説明

レンズ駆動装置

【課題】装置本体における径方向の寸法が大きくなるのを防止しつつ、装置本体に保持されるレンズの径を確保することができるレンズ駆動装置を提供すること。
【解決手段】レンズを保持するレンズホルダ6と、マグネット11、コイル10及びヨーク12を有し、レンズホルダ6を光軸方向に沿って移動させるレンズ駆動部とを具備し、レンズホルダ6の周囲に配置されるヨーク12の一部に複数の切り欠き部12cを形成する一方、切り欠き部12cでレンズホルダ6の一部を受け入れることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ駆動装置に関し、特に、デジタルカメラにおけるオートフォーカス機能や手ぶれ補正機能に好適なレンズ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話に搭載されるレンズ駆動装置において、ボイスコイルモータを使用してレンズ群の位置制御を行うものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。一方、近年、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話は小型化が進んでおり、これに伴って、カメラモジュールに用いられるレンズ駆動装置も小型化が要請されている。
【特許文献1】特開平8−94904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来のレンズ駆動装置においては、レンズの径方向に沿って構成部品が並設されるため、装置本体における径方向の寸法が大きくなるという問題がある。装置本体における径方向の寸法を小さくしようとする場合には、レンズの径を確保することが困難になるという別の問題が発生する。
【0004】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、装置本体における径方向の寸法が大きくなるのを防止しつつ、装置本体に保持されるレンズの径を確保することができるレンズ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のレンズ駆動装置は、レンズを保持するレンズホルダと、磁石、コイル及びヨークを有し前記レンズホルダを光軸方向に沿って移動させるレンズ駆動部とを具備し、前記レンズホルダの周囲に配置される前記ヨークの一部に複数の切り欠き部を形成する一方、前記切り欠き部で前記レンズホルダの一部を受け入れることを特徴とする。
【0006】
上記レンズ駆動装置によれば、レンズホルダの周囲に配置されるヨークの一部に形成された複数の切り欠き部でレンズホルダの一部が受け入れられることから、装置本体における径方向の寸法を維持する一方、レンズホルダ内にレンズを保持するスペースを確保することができる。これにより、装置本体における径方向の寸法が大きくなるのを防止しつつ、装置本体に保持されるレンズの径を確保することが可能となる。
【0007】
上記レンズ駆動装置においては、前記ヨーク内に配設される磁石を環状に形成すると共に、当該磁石の前記ヨークにおける前記切り欠き部の非形成部分に対応する位置に肉厚部を設けることが好ましい。この場合には、ヨークの切り欠き部の非形成部分に対応する位置に磁石の肉厚部が配置されることから、ヨークの切り欠き部の非形成部分における磁力を高めることができるので、装置本体におけるレンズに対する駆動力が低下するのを防止することが可能となる。
【0008】
特に、上記レンズ駆動装置においては、前記磁石の肉厚部を、矩形状を有する装置本体のベース部材の角部に対応する位置に配置することが好ましい。この場合には、装置本体のベース部材の角部に対応する位置に磁石の肉厚部が配置されるので、ベース部材の角部近傍のスペースを有効活用して、装置本体の外形寸法を大きくすることなく肉厚部を形成することが可能となる。
【0009】
また、上記レンズ駆動装置においては、前記ヨークにおける前記切り欠き部に対応する位置にカバー部材を配置するようにしても良い。この場合には、ヨークの切り欠き部がカバー部材で覆われるので、当該切り欠き部を介して塵埃等が装置本体内に侵入するのを防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基板上の撮像素子を収納する収納部を有するベース部材に形成された貫通孔に、レンズ駆動部のコイルの接点部と基板の接点部とを電気的に接続する弾性接続部材を配設したことから、装置内にレンズ駆動装置と基板とを電気的に接続するためのスペースを設ける必要がなくなるので、装置本体を小型化しつつ、装置内の構成要素間の電気的な接続経路を確保することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るレンズ駆動装置の分解斜視図である。図1に示すように、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1は、イメージセンサ2が実装される基板3と、IRカットフィルタ4が装着されるベース部材(以下、単に「ベース」という)5と、レンズホルダ6が取り付けられ、このレンズホルダ6を介してレンズケース7が取り付けられるケース8と、取り付けられたレンズホルダ6の上方からケース8に被せられるカバー9と、レンズホルダ6に固定されるコイル10と、レンズホルダ6の上方に配設されるマグネット11及びヨーク12と、ヨーク12に貼付されるカバーフィルム13とを含んで構成される。
【0012】
図1に示すように、基板3は、上方側から見て正方形状に設けられている。基板3における各辺の側面には、外部との接続を行う外部接続部材3aが複数個設けられている。特定の1辺の側面に設けられた外部接続部材3aの近傍には、1対の接点部3bが設けられている。イメージセンサ2は、基板3の中央位置に撮像領域2aが配置されるようにワイヤボンディングにより固定される。なお、図1においては、イメージセンサ2を基板3に固定するための端子部分のみ表示し、ワイヤ自体は省略している。
【0013】
ベース5は、基板3に対応する正方形状を有する板状部材で構成されている。ベース5の中央近傍には、撮像領域2aに対応する位置に長方形状を有する開口部5aが形成され、この開口部5aの周囲に円形状を有する凹部5bが形成されている。IRカットフィルタ4は、凹部5bに対応する円形状を有し、凹部5bに装着される。ベース5の四隅には、上方に向けて僅かに突出する凸部5cが形成されている。これらの凸部5cの近傍には、上方に向けて突出する突出片5dが形成されている。ベース5における基板3に形成された接点部3bに対応する位置には、一対の貫通孔5eが形成されている。この貫通孔5eには、後述するレンズホルダ6の接点部62e及び64eと、基板3の接点部3bとを電気的に接続するスプリング5fが配設される。スプリング5fは、金属等の導電性材料から形成され弾性を有している。
【0014】
ケース8は、概して基板3及びベース5に対応する正方形状を有し、その中央には円形状の開口部8aが形成されている。また、本レンズ駆動装置1の側面の一部を構成する側面部8b及び8cを有している。側面部8bは、端部近傍で後述するヨーク12の脚部12bを受け入れる形状を有し、その内側部分でベース5の突出片5dを受け入れる形状を有している。側面部8bの中央部の下面には、後述するレンズホルダ6の接点部62e及び64eを受け入れる凹部8dが形成されている。一方、側面部8cには、後述するレンズホルダ6が有する板ばねの一部を収容する溝部8eが形成されている。さらに、ケース8の四隅には、上方側に突出するピン8fが立設されている。
【0015】
レンズケース7は、小径部7aと大径部7bとを有し、これらの内部に形成される空間に複数のレンズを光軸方向に沿って保持する。小径部7aには、その上面に入光口として機能する開口部7cが形成されている。また、大径部7bの周面には、ねじ山7dが形成されている。ねじ山7dは、後述するレンズホルダ6の内周面に形成されたねじ山と係合し、レンズケース7自体の位置調整の際に利用される。
【0016】
レンズホルダ6は、複数の部品が組み合わせられて構成されている。複数の部品が組み合わされた状態において、その内部に形成される空間に上下に位置調整可能にレンズケース7を保持する。レンズホルダ6は、構成部品である板ばねの端部をケース8に固定し、その中央部分をケース8に対して上下に揺動可能に構成される。レンズホルダ6の上面には、円環形状を有するコイル10が固定される。例えば、コイル10は、レンズホルダ6の上面に接着固定される。なお、このレンズホルダ6の詳細な構成については後述する。
【0017】
カバー9は、ケース8の上面に対応した形状を有し、その中央に円形状の開口部9aが形成されている。また、ケース8の側面部8bに対応する一対の辺9bと、側面部8cに対応する一対の辺9cとを有している。辺9bは、ケース8の側面部8bと同様に、端部近傍で後述するヨーク12の脚部12bを受け入れる形状を有し、その内側部分でベース5の突出片5dを受け入れる形状を有している。また、カバー9の四隅には、ケース8のピン8iが貫通する穴部9dが形成されている。
【0018】
マグネット11は、上記コイル10よりも大径の円環形状を有し、ヨーク12の内壁面に固定される。ヨーク12に固定された状態において、レンズホルダ6の上面に固定されたコイル10の周囲を囲繞するように配設される。マグネット11の内周面は、一定距離だけ離間した状態でコイル10の外周面と対向している。なお、マグネット11の光軸方向の長さは、コイル10の上下移動に対応するために、コイル10の長さよりも長く構成されている。
【0019】
ヨーク12は、磁性体として機能し、図1に示す下方側に開口した形状を為す円環形状を有している。また、その下端部においてブラケット12aに固定されている。ブラケット12aは、その四隅にて下方側に屈曲されており、この屈曲された部分で脚部12bを構成している。ヨーク12の内周面の上側には、複数の切り欠き部12cが形成されている。切り欠き部12cは、後述するレンズホルダ6の突出片61cを受け入れる形状を有している。カバーフィルム13は、円環形状を有し、ヨーク12の上面に貼付され、切り欠き部12cから塵埃等が侵入するのを防止する役割を果たしている。
【0020】
ここで、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1を組み立てた場合の状態について説明する。図2は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1を組み立てた場合の斜視図である。また、図3は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1を組み立てた場合の断面図である。なお、図3においては、レンズケース7に保持されるレンズについては省略している。
【0021】
レンズ駆動装置1を組み立てた状態においては、図2及び図3に示すように、ベース5の上方にケース8及びカバー9が重ねられる。このとき、図2に示すように、ベース5の突出片5dの間にケース8の側面部8b及びカバー9の辺9bの中央部が収容される。これにより、ベース5上において、ケース8及びカバー9が位置決めされる。
【0022】
また、図2及び図3に示すように、カバー9の上方にヨーク12が重ねられる。このとき、図2に示すように、ヨーク12の脚部12bは、重ねられたケース8の側面部8b及びカバー9の辺9bの表面を覆うように配置される。そして、脚部12bの下端部は、ベース5の凸部5cの内側に配置される。このように、ケース8の側面部8b及びカバー9の辺9bと、凸部5cとの間に挟み込まれることで、ヨーク12が位置決めされる。
【0023】
ヨーク12は、断面略U字状の形状を有し、その内部においては、その外側の内壁面にマグネット11が接着固定されている。そして、このマグネット11の内周面と、ヨーク12の内側の内壁面との間に、レンズホルダ6に固定されたコイル10が配置される。コイル10は、マグネット11の内周面と、ヨーク12の内側の内壁面とから一定距離だけ離間した位置に配置されている。
【0024】
なお、これらのコイル10、マグネット11及びヨーク12により、レンズホルダ6及びレンズケース7を移動させるレンズ駆動部が構成される。本実施の形態において、レンズ駆動部は、所謂ボイスコイルモータで構成される。特に、本実施の形態においては、コイル10への通電によりマグネット11に沿ってコイル10を移動させるムービングコイル形式のボイスコイルモータを適用した場合について示している。
【0025】
また、図3に示すように、ヨーク12の内側には、レンズケース7が配設されている。そして、レンズケース7に保持される複数のレンズに対応する下方位置にIRカットフィルタ4が配置されると共に、このIRカットフィルタ4の下方位置にイメージセンサ2の撮像領域2aが配置されている。
【0026】
本実施の形態に係るレンズ駆動装置1は、このような構成を備え、レンズケース7を上下移動させることで、これに保持されるレンズを駆動するものである。以下、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1において、レンズケース7を上下移動させる場合の動作について説明する。
【0027】
本実施の形態に係るレンズ駆動装置1において、レンズケース7を上下移動させる場合には、例えば、本レンズ駆動装置1を搭載する携帯電話やデジタルカメラの制御部からの駆動指示に応じてコイル10に電流が流される。このとき、本レンズ駆動装置1においては、レンズホルダ6が有する板ばね(第1及び第2の板ばね)をその通電手段として利用する。具体的には、基板3の接点部3bから、ベース5に埋め込まれたスプリング5f及び第1の板ばねを介して電流がコイル10に送り込まれる。そして、コイル10を流れた電流は、第2の板ばね64及びベース5に埋め込まれたスプリング5fを介して基板3に送り出される。
【0028】
このようにコイル10に電流を流すと、コイル10に流れる電流がマグネット11から発生する磁界と作用することにより、コイル10を上下方向に移動させる推力が発生する。本実施の形態に係るレンズ駆動装置1においては、コイル10に流す電流量を制御することによってこの推力を制御し、コイル10を上下移動させ、その位置決めを行う。これにより、コイル10が固定されるレンズホルダ6の位置決めを行うと共に、レンズホルダ6に取り付けられたレンズケース7内のレンズの位置決めを行うことが可能となる。
【0029】
以下、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1の特徴を有する構成部品について説明する。本実施の形態に係るレンズ駆動装置1においては、レンズホルダ6、マグネット11及びヨーク12の構成に特徴を有するため、以下においてはこれらの構成について説明するものとする。
【0030】
まず、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するレンズホルダ6の構成について説明する。図4は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するレンズホルダ6を説明するための分解斜視図であり、図5は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するレンズホルダ6を組み立てた場合の斜視図である。なお、図4においては、説明の便宜上、レンズホルダ6が取り付けられるケース8及びカバー9を表示している。
【0031】
図4及び図5に示すように、レンズホルダ6は、上面部61と、第1の板ばね62と、スペーサ63と、第2の板ばね64と、下面部65とが組み合わされて構成される。各構成部品の中央部分には開口部が形成されており、図5に示すように、各構成部品が組み合わされた状態において、レンズホルダ6の内部には、レンズケース7を収容する空間が形成される。このようなレンズホルダ6により保持された状態で、レンズケース7の小径部7aは、上面部61の開口部から図5に示す上方側に突出した状態となる。
【0032】
図4に示すように、上面部61は、その内壁面でレンズケース7の大径部7bの上面近傍を覆うカバー部61aと、カバー部61aの下端部から装置側方に突出形成された鍔部61bとを有する。カバー部61aの上面は、レンズホルダ6自体の上面として機能し、上述したコイル10が接着固定される。カバー部61aの上面には、上方に向けて突出する複数(ここでは4つ)の突出片61cが形成されている。突出片61cは、その内壁でレンズケース7の小径部7aの外周面に接触し、レンズケース7の位置精度を向上する役割を果たす。突出片61cの外側表面には、レンズの位置の微調整を行うための凹部61dが形成されている。レンズの位置調整は、これらの凹部61dに係合する工具を使用してレンズホルダ6を回転させることで行われる。カバー部61aの周面には、コイル10を通過させる溝部61eが形成されている。鍔部61bにおける下面の外周側の所定位置には、後述する第1の板ばね62の切り欠き62h等を介して、後述する下面部65の突起部65bと当接する突起部61fが形成されている。また、鍔部61bにおける下面の内周側の所定位置には、後述する第1の板ばね62の切り欠き62i等に入り込む突起部61gが形成されている。
【0033】
第1の板ばね62は、例えば、リン青銅等の導電性材料で構成される。第1の板ばね62は、中央に開口部を有する円環状部62aと、この円環状部62aの所定位置から延在する複数の腕部62bと、各腕部62bの端部に設けられた固定部62cとを有する。特定の固定部62cには、下方側に屈曲される連結片62dが形成されている。連結片62dの先端は、接点部62eを有する接点部材62fに形成される挟持部62gに連結される。円環状部62aの外周側において、上面部61の突起部61fに対応する位置には、切り欠き部62hが形成されている。一方、円環状部62aの内周側において、上面部61の突起部61gに対応する位置には、切り欠き部62iが形成されている。なお、円環形状部62aの所定位置には、装置の側方に突出するコイル接続片62jが形成されている(図4に不図示)。
【0034】
スペーサ63は、中央に開口部を有する円環状部63aを有する。円環状部63aの外周側において、上面部61の突起部61fに対応する位置には、切り欠き部63bが形成されている。一方、円環状部63aの内周側において、上面部61の突起部61gに対応する位置には、切り欠き部63cが形成されている。
【0035】
第2の板ばね64は、第1の板ばね62と同様に、例えば、リン青銅等の導電性材料で構成される。第2の板ばね64は、中央に開口部を有する円環状部64aと、この円環状部64aの所定位置から延在する複数の腕部64bと、各腕部64bの端部に設けられた固定部64cとを有する。特定の固定部64cには、下方側に屈曲される連結片64dが形成されている。連結片64dの先端は、接点部64eを有する接点部材64fに形成される挟持部64gに連結される。円環状部64aの外周側において、上面部61の突起部61fに対応する位置には、切り欠き部64hが形成されている。一方、円環状部64aの内周側において、上面部61の突起部61gに対応する位置には、切り欠き部64iが形成されている。なお、円環形状部64aの所定位置には、装置の側方に突出するコイル接続片64jが形成されている。
【0036】
下面部65は、中央に開口部を有する円環状部65aを有する。円環状部65aにおける上面の外周側の所定位置には、上面部61の突起部61fと当接する突起部65bが形成されている。なお、下面部65の内周面には、レンズケース7のねじ山7dが係合するねじ山65cが形成されている。
【0037】
レンズホルダ6は、図5に示すように、第1の板ばね62、スペーサ63及び第2の板ばね64を挟んだ状態で、上面部61に下方側に向けて形成された突起部61fと、下面部65に上方側に向けて形成された突起部65bとの当接面を、例えば、接着固定することにより、これらの構成部品が一体化するように構成されている。
【0038】
なお、ここでは、上面部61の突起部61fと、下面部65の突起部65bとの接着固定によりレンズホルダ6を一体化する場合について示しているが、レンズホルダ6を一体化する構造については、これに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。レンズホルダ6の一体化を実現できれば、いかなる手法を採用しても良い。例えば、上面部61、第1の板ばね62及びスペーサ63から成る部品をインモールド成形により形成する一方、第2の板ばね64及び下面部65から成る部品をインモールド成形により形成し、これらを接着固定するようにしても良い。或いは、上面部61から下面部65までの全ての部品をインモールド成形により形成するようにしても良い。
【0039】
このように組み立てられた場合、レンズホルダ6が有する第1の板ばね62と、第2の板ばね64とは、図5に示すように、レンズホルダ6における異なる高さの位置に配置される。また、第1の板ばね62の固定部62cと、第2の板ばね64の固定部64cとは、図5に示すように、レンズホルダ6における周方向の異なる位置に配置される。固定部62c及び固定部64cは、レンズホルダ6の四隅でそれぞれ近接して配置されている。固定部62c及び固定部64cには、図5に示すように、それぞれケース8に立設されたピン8fを受け入れる半円弧形状の切り欠き部が形成されている。
【0040】
一方、ケース8の上面において、四隅に立設されたピン8fの近傍は、レンズホルダ6が有する第1の板ばね62の固定部62c、並びに、第2の板ばね64の固定部64cの位置に応じた段差を有する形状に設けられている。具体的には、第2の板ばね64の固定部64cの位置に応じた第1固定部8gと、第1固定部8gよりも高い位置に配置され、第1の板ばね62の固定部62cの位置に応じた第2固定部8hとが設けられている。
【0041】
このような形状を有するケース8において、第1固定部8gに第2の板ばね64が有するそれぞれの固定部64cが固定される。この場合において、固定部64cは、切り欠き部にピン8fを収容した状態で固定される。このように切り欠き部にピン8fを収容した状態で固定することで、第2の板ばね64がケース8からずれるのを防止している。このとき、第2の板ばね64の円環状部64aは、ケース8の開口部8aの内側に配置されている。
【0042】
同様に、第2固定部8hに第1の板ばね62が有するそれぞれの固定部62cが固定される。この場合において、固定部62cは、切り欠き部にピン8fを収容した状態で固定される。このように切り欠き部にピン8fを収容した状態で固定することで、第1の板ばね62がケース8からずれるのを防止している。このとき、第1の板ばね62の円環状部62aは、ケース8の開口部8aの内側に配置されている。
【0043】
図6は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するレンズホルダ6とケース8との関係について説明するための斜視図である。上述したように、レンズホルダ6は、第1の板ばね62及び第2の板ばね64を上面部61、スペーサ63及び下面部65で挟んで一体化されており、これらの第1の板ばね62及び第2の板ばね64のみでケース8に対して固定されている。このため、レンズホルダ6は、第1の板ばね62及び第2の板ばね64が許容する一定の範囲で図6に示す上下方向に移動可能に構成されている。
【0044】
なお、このようにケース8に固定される場合において、第1の板ばね62の連結片62d及び第2の板ばね64の連結片64dは、ケース8の溝部8eに収容される。これらの連結片62d及び連結片64dにそれぞれ連結される接点部材62f及び接点部材64fは、ケース8の下面側に配設される。そして、接点部材62fの接点部62e、並びに、接点部材64fの接点部64eは、ケース8に形成された凹部8dに収容されている。このように凹部8dに収容された接点部62e及び接点部64eは、ベース5に埋め込まれたスプリング5fの上端部と接触することとなる。
【0045】
次に、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するマグネット11の構成について説明する。図7は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するマグネット11の上面図である。
【0046】
図7に示すように、マグネット11においては、所定の位置に肉厚部11aと薄肉部11bとが形成されている。肉厚部11a及び薄肉部11bは、それぞれマグネット11の中心を挟んで対向する位置に形成されている。肉厚部11aは、ヨーク12にマグネット11が固定された状態において、ヨーク12の四隅(脚部12bが形成された部分)に対応する位置に配置される。一方、薄肉部11bは、ヨーク12にマグネット11が固定された状態において、ヨーク12の切り欠き部12cに対応する位置に配置される。
【0047】
次に、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するヨーク12の構成について説明する。図8は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するヨーク12の斜視図である。図9は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するヨーク12をレンズホルダ6等に取り付けた場合の斜視図である。
【0048】
図8に示すように、ヨーク12の内周面には、4つの切り欠き部12cが形成されている。各切り欠き部12cの上端部は、ヨーク12の上面の中央近傍まで達している。このような構成を有するヨーク12がレンズホルダ6等に取り付けられた場合、図9に示すように、ヨ−ク12の切り欠き部12cは、レンズホルダ6の上面部61に形成された突出片61cを受け入れる。
【0049】
ここで、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1が有するレンズホルダ6、マグネット11及びヨーク12の位置関係について説明する。図10は、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1の上面図である。なお、図10においては、説明の便宜上、ヨーク12を介してその内部の構成を表示している。
【0050】
図10に示すように、レンズホルダ6の上面部61に形成された突出片61cは、ヨーク12の切り欠き部12cの内側部分に収容される。このように突出片61cがヨーク12の切り欠き部12cに収容されることから、レンズホルダ6に取り付けられるレンズケース7のためのスペースを大きく確保することができ、この結果、レンズケース7に保持されるレンズの径を大きく維持することができる。
【0051】
また、マグネット11は、薄肉部11bがヨーク12の切り欠き部12cが形成されている部分に対応する位置に配置され、肉厚部11aがヨーク12の切り欠き部12cが形成されていない部分に対応する位置に配置されている。これにより、ヨーク12に切り欠き部12cが形成されていない部分における磁力を高め、装置本体における駆動力が低下するのを防止している。
【0052】
特に、マグネット11の肉厚部11aは、装置本体の角部に対応する位置に配置されている。このため、装置本体の角部近傍のスペースを有効に活用することができ、装置本体の外形寸法を大きくすることなくマグネット11の肉厚部11aを形成することが可能となる。
【0053】
このように本実施の形態に係るレンズ駆動装置1によれば、レンズホルダ6の周囲に配置されるヨーク12の一部に形成された複数の切り欠き部12cでレンズホルダ6の上面部61に形成された突出片61cが受け入れられることから、装置本体における径方向の寸法を維持する一方、レンズホルダ6内にレンズを保持するスペースを確保することができる。これにより、装置本体における径方向の寸法が大きくなるのを防止しつつ、装置本体に保持されるレンズの径を確保することが可能となる。
【0054】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0055】
例えば、上記実施の形態においては、ヨーク12に4つの切り欠き部12cを形成する場合について説明しているが、ヨーク12の構成については、これに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、ヨーク12に2つの切り欠き部12cを形成するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施の形態に係るレンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図2】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置を組み立てた場合の斜視図である。
【図3】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置を組み立てた場合の断面図である。
【図4】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有するレンズホルダを説明するための分解斜視図である。
【図5】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有するレンズホルダを組み立てた場合の斜視図である。
【図6】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有するレンズホルダとケースとの関係について説明するための斜視図である。
【図7】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有するマグネットの上面図である。
【図8】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有するヨークの斜視図である。
【図9】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置が有するヨークをレンズホルダ等に取り付けた場合の斜視図である。
【図10】上記実施の形態に係るレンズ駆動装置の上面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 レンズ駆動装置
2 イメージセンサ
3 基板
4 IRカットフィルタ
5 ベース部材(ベース)
6 レンズホルダ
61 上面部
61c 突出片
62 第1の板ばね
63 スペーサ
64 第2の板ばね
65 下面部
7 レンズケース
8 ケース
9 カバー
10 コイル
11 マグネット
12 ヨーク
12c 切り欠き部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを保持するレンズホルダと、磁石、コイル及びヨークを有し前記レンズホルダを光軸方向に沿って移動させるレンズ駆動部とを具備し、前記レンズホルダの周囲に配置される前記ヨークの一部に複数の切り欠き部を形成する一方、前記切り欠き部で前記レンズホルダの一部を受け入れることを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
前記ヨーク内に配設される磁石を環状に形成すると共に、当該磁石の前記ヨークにおける前記切り欠き部の非形成部分に対応する位置に肉厚部を設けたことを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記磁石の肉厚部を、矩形状を有する装置本体のベース部材の角部に対応する位置に配置したことを特徴とする請求項2記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記ヨークにおける前記切り欠き部に対応する位置にカバー部材を配置することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のレンズ駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−197313(P2008−197313A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−31665(P2007−31665)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】