レンズ駆動装置
【課題】本発明は、構造の簡素化及び小型化を可能にしたレンズ駆動装置を提供する。
【解決手段】レンズ駆動装置1では、リードスクリュー4の最終端で径方向の逃げを可能にするために、ギア部としてラックギア部8aを採用している。更に、高精度で成形されているガイドシャフト6の有効利用を図るために、レンズMを保持するレンズホルダ10に設けられたバネ支持枠11と、リードスクリュー4に噛合するラックギア部8aを有する可動部材8と、をガイドシャフト6が貫通することで、可動部材8及びレンズホルダ10を直線的に案内させ、ガイドシャフト6を可動部材8の回動中心としても利用することができる。また、ガイドシャフト6の周囲で巻回させるように圧縮コイルバネ20を配置させ、この圧縮コイルバネ20を利用してラックギア部8aをリードスクリュー4に押圧させている。
【解決手段】レンズ駆動装置1では、リードスクリュー4の最終端で径方向の逃げを可能にするために、ギア部としてラックギア部8aを採用している。更に、高精度で成形されているガイドシャフト6の有効利用を図るために、レンズMを保持するレンズホルダ10に設けられたバネ支持枠11と、リードスクリュー4に噛合するラックギア部8aを有する可動部材8と、をガイドシャフト6が貫通することで、可動部材8及びレンズホルダ10を直線的に案内させ、ガイドシャフト6を可動部材8の回動中心としても利用することができる。また、ガイドシャフト6の周囲で巻回させるように圧縮コイルバネ20を配置させ、この圧縮コイルバネ20を利用してラックギア部8aをリードスクリュー4に押圧させている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部(例えば、携帯端末機のカメラ部や光ディスク装置の光ピックアップ機構)に実装されて、レンズの焦点合わせやレンズの球面収差補正に利用されるレンズ駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開2005−315935号公報がある。この公報に記載されたレンズ駆動装置は、レンズが固定されたレンズ保持枠を有し、このレンズ保持枠には、第1のシャフト支持部と第2のシャフト支持部とが設けられ、第1のシャフト支持部には第1のシャフトが貫通され、この第1のシャフトによってレンズ保持枠の回り止めが達成されている。また、第2のシャフト支持部には第2のシャフトが貫通され、第2のシャフトによって、レンズ保持枠を精度良く直線的にガイドすることができる。この第2のシャフト支持部には、軸部を中心に回動する第1のラックが装着され、第1のラックの端部にはラックギア部が形成され、このラックギア部が、リードスクリューに噛合している。さらに、このラックギア部は、軸部の周囲に巻回されたねじりコイルバネによってリードスクリューに付勢されている。更に、第1のラックと第2のラックとの間における軸部の周囲には圧縮コイルばねが巻回され、この圧縮コイルばねによって、ラックギア部は、リードスクリューに沿って第2のラックと相反する方向に付勢され、ラックギア部のバックラッシュを無くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−315935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来のレンズ駆動装置は、レンズ保持枠を精度良くガイドするために利用される第2のシャフトに対して平行に延在する軸部によって、レンズ保持枠とラックとを回動自在に連結する構造になっているので、構造が複雑化すると同時に装置が大型化するといった問題点がある。
【0005】
本発明は、構造の簡素化及び小型化を可能にしたレンズ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光学部に実装されるレンズ駆動装置において、
モータによって回転されるリードスクリューと、
リードスクリューに噛合するラックギア部又はハーフナット部からなるギア部を有する可動部材と、
リードスクリューの回転により、リードスクリューの回転軸線に沿って往復動するレンズホルダと、
回転軸線に対して平行に延在すると共に、レンズホルダに設けられたバネ支持枠及び可動部材を貫通し且つ案内するガイドシャフトと、
ガイドシャフトの周囲で巻回されると共に、バネ支持枠内に配置され、一端がレンズホルダに係止され、他端が可動部材に係止され、他端による付勢力によってギア部をリードスクリューに押圧するコイルバネと、を備えたことを特徴とする。
【0007】
このレンズ駆動装置においては、リードスクリューに噛合させるためのギア部として、ラックギア部又はハーフナット部を採用している。例えば、このギア部に通常の雌ねじナットを利用すると、モータが何らかの原因で制御不能になってリードスクリューが回転し続けると、雌ねじナットはリードスクリューの最終端で噛み込み現象を起こしてしまって、雌ねじナットやリードスクリューが完全に壊れてしまうといった不具合がある。また、騒音の低減を達成するためには、リードスクリューや雌ねじナットにねじ精度が要求される。このような不具合を解消させるために、本発明では、ギア部として、ラックギア部又はハーフナット部が採用されている。更に、本発明では、高精度で成形されているガイドシャフトの有効利用を図るために、レンズを保持するレンズホルダに設けられたバネ支持枠と、リードスクリューに噛合するラックギア部又はハーフナット部からなるギア部を有する可動部材とをガイドシャフトが貫通することで、可動部材及びレンズホルダを直線的に案内させ、ガイドシャフトを可動部材の回動中心としても利用することができる。また、ガイドシャフトの周囲で巻回させるようにコイルバネを配置させ、このコイルバネを利用してギア部をリードスクリューに押圧させている。このような構成によると、ギア部として、ラックギア部又はハーフナット部を採用した場合に、リードスクリューとガイドシャフトとを近づけることができてレンズ駆動装置の小型化が達成される。
【0008】
また、ガイドシャフトは、バネ支持枠の第1の部分と、第1の部分に対向する第2の部分と、可動部材とを貫通し、
可動部材は、第1の部分と第2の部分との間に配置されて、第1の部分に当接され、コイルバネは、圧縮コイルバネであり、圧縮コイルバネは、バネ支持枠内で可動部材と第2の部分との間に配置され、圧縮コイルバネの一端は、バネ支持枠に係止され、圧縮コイルバネの他端は可動部材に係止されていると好適である。
このような構成を採用すると、可動部材をレンズホルダのバネ支持枠に常に当接させているので、レンズホルダをスムーズに可動させることができる。しかも、バネの本数を減らしてレンズ駆動装置を簡素化させることができるといった優れた効果を奏する。
【0009】
また、ガイドシャフトに対して平行に延在する回り止めシャフトを備え、レンズホルダには、リードスクリューの回転軸線に対して直交して延在する回り止め片が設けられ、回り止め片は、バネ支持枠に係止された圧縮コイルバネの一端による付勢力によって回り止めシャフトに押圧されていると好適である。
このような構成を採用すると、リードスクリューに対するギア部の押圧と、バネ支持枠に対する可動部材の押圧とに寄与している圧縮コイルバネによって、レンズホルダの回り止めを可能にする。そして、回り止めシャフトに対して回り止め片を単に当て付けるだけで良いので組立て易い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、構造の簡素化及び小型化を可能にしている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るレンズ駆動装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】レンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図3】レンズ駆動装置の平面図である。
【図4】可動部材の斜視図である。
【図5】可動部材の底面図である。
【図6】可動部材の側面図である。
【図7】可動部材の縦断面図である。
【図8】レンズホルダの斜視図である。
【図9】レンズホルダの斜視図である。
【図10】レンズ駆動装置の要部を示す斜視図である。
【図11】図10の断面図である。
【図12】図10の断面図である。
【図13】他の実施例に係る可動部材を示す斜視図である。
【図14】図13の可動部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るレンズ駆動装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0013】
光ディスク装置内部の光ピックアップ機構(光学部)においては、光ディスクの情報層上に光ビームを正確に集光させる必要がある。このため、高精度な光ピックアップ機構にあっては、光ディスクのカバー層の厚さの誤差によって生じる球面収差を補正できるように、レンズを光軸方向に微動させることが必要である。
【0014】
図1〜図3に示すように、光ピックアップ機構(光学部)に実装されているレンズ駆動装置1は、レンズの球面収差補正に利用され、コ字形状のベース部材2を有し、ユニット化を図るために、このベース部材2には、後述する様々な部品が組み付けられている。
【0015】
ステッピングモータ3に設けられた取付ブラケット3aから下方に突出するくの字状の舌片3bは、ベース部材2の底板2eに形成された切り込み部2f内に挿入され、ベース部材2の後枠部2aに取付ブラケット3aを圧着させた後、取付ブラケット3aはネジSによって後枠部2aに固定されている。このような構成にすることで、モータ3の光軸方向の浮きを防止し、モータ3の組み付け容易性を可能にしている。また、取付ブラケット3aを廃止し、ステッピングモータ3とベース部材2を直接固定してもよい。
【0016】
モータ3の回転軸3cにはリードスクリュー4が圧入により固定され或いは一体で形成されている。このリードスクリュー4は、ベース部材2の後枠部2aに形成された開口部2cから挿入され、リードスクリュー4から突出する回転軸3cの先端は、ベース部材2の前枠部2bに固定された軸受5によって回転自在に支持されている。
【0017】
ベース部材2の後枠部2dと前枠部2bとを掛け渡すように、ベース部材2には、リードスクリュー4の回転軸線Lに対して平行に延在するガイドシャフト6の両端が固定されている。また、ベース部材2の後枠部2aと前枠部2bとを掛け渡すように、ベース部材2には、ガイドシャフト6に対して平行に延在する回り止めシャフト7の両端が固定されている。
【0018】
図2、図4〜図7に示すように、リードスクリュー4には、ギア部の一例をなすラックギア部8aが噛合され、このラックギア部8aを有する可動部材8の基端部8bにはガイドシャフト6が貫通する。このガイドシャフト6を中心に可動部材8は回動し、ガイドシャフト6に沿って基端部8bは直線的に案内される。この基端部8bには、回転軸線L方向に延在するロッド部9が一体成形され、ロッド部9には断面矩形のスリット9aが設けられ、このスリット9a内をガイドシャフト6が挿通されている。
【0019】
更に、基端部8bに形成された軸孔8cとロッド部9に形成された軸孔9bとに挿通されたガイドシャフト6によって、可動部材8はガイドシャフト6を中心に回動される。また、断面矩形のスリット9aの壁面がガイドシャフト6の周面に当接することで、ガイドシャフト6に沿って可動部材8をスムーズに案内させることができる。そして、ロッド部9を設けることで、回転軸線Lに対するラックギア部8aの傾きが防止され、リードスクリュー4に対してラックギア部8aを常に安定して噛合させることができる。
【0020】
図2、図8及び図9に示すように、レンズMが固定されるレンズホルダ10は、コ字状のバネ支持枠11を有し、このバネ支持枠11には、側方(回転軸線Lに対して直交する方向)でレンズ支持アーム部12が突出し、このレンズ支持アーム部12の遊端にはレンズ枠12aが設けられている。さらに、バネ支持枠11には、レンズ支持アーム部12と反対側の側方(回転軸線Lに対して直交する方向)で回り止め片15が突出する。
【0021】
バネ支持枠11は、回転軸線L方向に延在する連結部11aと、連結部11aの一端から回転軸線Lに対して直交する方向に突出する第1の部分11bと、連結部11aの他端で、第1の部分11bと平行に突出する第2の部分11cと、からなる。第1の部分11bには、ガイドシャフト6を挿入させるガイド孔13aが形成され、第2の部分11cにも、ガイドシャフト6を挿入させるガイド孔13bが形成され、これらガイド孔13a,13bによって、ガイドシャフト6に沿ってレンズホルダ10をスムーズに案内している。なお、第1の部分11bには、前枠部2bに当接するストッパ部14aが突出され、第2の部分11cには、後枠部2dに当接するストッパ部14bが突出されている。
【0022】
図10及び図11に示すように、バネ支持枠11の第1の部分11bと第2の部分11cとの間には、可動部材8の基端部8bが配置されている。この基端部8bには、軸孔8cの周囲でリング状をなす断面半円形状の摩擦低減部8d(図4参照)が形成され、この摩擦低減部8dが第1の部分11bに当接されている。この摩擦低減部8dは、モータ3が制御不能になった際に、リードスクリュー4の最終端における可動部材8のラックギア部8aの円滑な逃げを可能にしている。
【0023】
この当接状態を維持するために、第2の部分11cと可動部材8の基端部8bとの間に圧縮コイルバネ20が配置されている。この圧縮コイルバネ20は、ガイドシャフト6が貫通するロッド部9の周囲に巻回され、この圧縮コイルバネ20の一端20aは、バネ支持枠11の連結部11aに引っ掛けるように係止して固定され、圧縮コイルバネ20の他端20bは、コ字状に形成され、可動部材8の基端部8bのラックギア部8a側に形成された溝部21に引っ掛けるように係止して固定されている。
【0024】
図12に示すように、圧縮コイルバネ20の一端20aの付勢力によって、バネ支持枠11の連結部11aは矢印A方向に押され、これによって、ガイドシャフト6を中心として回動する回り止め片15が回り止めシャフト7に押し当てられて(矢印A’)、レンズホルダ10自体の回り止めが達成される。また、圧縮コイルバネ20の他端20bの付勢力によって、可動部材8は矢印B方向に押され、これによって、ガイドシャフト6を中心として回動する可動部材8のラックギア部8aがリードスクリュー4に押し当てられて(矢印B’)、ラックギア部8aの確実な噛合が達成される。
【0025】
このように、圧縮コイルバネ20は、リードスクリュー4に対するラックギア部8aの押圧に利用されて、モータ3の駆動によってレンズホルダ10と一緒に進退する可動部材8のラックギア部8aとリードスクリュー4との間のバックラッシュの発生防止も達成されている。
【0026】
従来にあっては、このギア部に通常の雌ねじナットが利用されており、モータが何らかの原因で制御不能になってリードスクリューが回転し続けると、雌ねじナットはリードスクリューの最終端で噛み込み現象を起こしてしまって、雌ねじナットやリードスクリューが完全に壊れてしまうといった不具合がある。また、騒音の低減を達成するためには、リードスクリューや雌ねじナットにねじ精度が要求される。
【0027】
このような不具合を解消させるために、レンズ駆動装置1では、ギア部としてラックギア部8aを採用し、リードスクリュー4の最終端で径方向の逃げを可能にしている。更に、高精度で成形されているガイドシャフト6の有効利用を図るために、レンズMを保持するレンズホルダ10に設けられたバネ支持枠11と、リードスクリュー4に噛合するラックギア部8aを有する可動部材8と、をガイドシャフト6が貫通する。これにより、可動部材8及びレンズホルダ10を直線的に案内させ、ガイドシャフト6を可動部材8の回動中心としても利用することができる。
【0028】
また、ガイドシャフト6の周囲で巻回させるように圧縮コイルバネ20を配置させ、この圧縮コイルバネ20を利用してラックギア部8aをリードスクリュー4に押圧させている。このような構成によると、ラックギア部8aを採用した場合に、リードスクリュー4とガイドシャフト6とを近づけることができてレンズ駆動装置1の小型化が達成され、しかも、バネの本数を減らしてレンズ駆動装置1を簡素化させることができるといった優れた効果を奏する。リードスクリュー4に対するラックギア部8aの押圧と、バネ支持枠11に対する可動部材8の押圧と、に寄与している圧縮コイルバネ20によって、レンズホルダ10の回り止めを可能にする。そして、回り止めシャフト7に対して回り止め片15を単に当て付けるだけで良いので組立て易くなる。
【0029】
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、図13及び図14に示すように、他の可動部材30は、ギア部としてハーフナット部30aが採用され、基端部30bにはロッド部31が一体成形されている。このハーフナット部30aとは、一周の半分すなわち半周以下のネジ山をもったものをいう。
【0030】
また、ラックギア部8a及びハーフナット部30aは、確実な噛合を達成させるために、回転軸線L方向に3ピッチ以上が好ましい。
【0031】
可動部材8,30の基端部8b,30bに形成されている摩擦低減部8dは、リング状に限らず、半球体が等間隔に点在する形状であってもよい。
【符号の説明】
【0032】
1…レンズ駆動装置、3…モータ、4…リードスクリュー、6…ガイドシャフト、7…回り止めシャフト、8,30…可動部材、8a…ラックギア部(ギア部)、10…レンズホルダ、11…バネ支持枠、11b…第1の部分、11c…第2の部分、15…回り止め片、20…圧縮コイルバネ、30a…ハーフナット部(ギア部)、L…回転軸線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部(例えば、携帯端末機のカメラ部や光ディスク装置の光ピックアップ機構)に実装されて、レンズの焦点合わせやレンズの球面収差補正に利用されるレンズ駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開2005−315935号公報がある。この公報に記載されたレンズ駆動装置は、レンズが固定されたレンズ保持枠を有し、このレンズ保持枠には、第1のシャフト支持部と第2のシャフト支持部とが設けられ、第1のシャフト支持部には第1のシャフトが貫通され、この第1のシャフトによってレンズ保持枠の回り止めが達成されている。また、第2のシャフト支持部には第2のシャフトが貫通され、第2のシャフトによって、レンズ保持枠を精度良く直線的にガイドすることができる。この第2のシャフト支持部には、軸部を中心に回動する第1のラックが装着され、第1のラックの端部にはラックギア部が形成され、このラックギア部が、リードスクリューに噛合している。さらに、このラックギア部は、軸部の周囲に巻回されたねじりコイルバネによってリードスクリューに付勢されている。更に、第1のラックと第2のラックとの間における軸部の周囲には圧縮コイルばねが巻回され、この圧縮コイルばねによって、ラックギア部は、リードスクリューに沿って第2のラックと相反する方向に付勢され、ラックギア部のバックラッシュを無くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−315935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来のレンズ駆動装置は、レンズ保持枠を精度良くガイドするために利用される第2のシャフトに対して平行に延在する軸部によって、レンズ保持枠とラックとを回動自在に連結する構造になっているので、構造が複雑化すると同時に装置が大型化するといった問題点がある。
【0005】
本発明は、構造の簡素化及び小型化を可能にしたレンズ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光学部に実装されるレンズ駆動装置において、
モータによって回転されるリードスクリューと、
リードスクリューに噛合するラックギア部又はハーフナット部からなるギア部を有する可動部材と、
リードスクリューの回転により、リードスクリューの回転軸線に沿って往復動するレンズホルダと、
回転軸線に対して平行に延在すると共に、レンズホルダに設けられたバネ支持枠及び可動部材を貫通し且つ案内するガイドシャフトと、
ガイドシャフトの周囲で巻回されると共に、バネ支持枠内に配置され、一端がレンズホルダに係止され、他端が可動部材に係止され、他端による付勢力によってギア部をリードスクリューに押圧するコイルバネと、を備えたことを特徴とする。
【0007】
このレンズ駆動装置においては、リードスクリューに噛合させるためのギア部として、ラックギア部又はハーフナット部を採用している。例えば、このギア部に通常の雌ねじナットを利用すると、モータが何らかの原因で制御不能になってリードスクリューが回転し続けると、雌ねじナットはリードスクリューの最終端で噛み込み現象を起こしてしまって、雌ねじナットやリードスクリューが完全に壊れてしまうといった不具合がある。また、騒音の低減を達成するためには、リードスクリューや雌ねじナットにねじ精度が要求される。このような不具合を解消させるために、本発明では、ギア部として、ラックギア部又はハーフナット部が採用されている。更に、本発明では、高精度で成形されているガイドシャフトの有効利用を図るために、レンズを保持するレンズホルダに設けられたバネ支持枠と、リードスクリューに噛合するラックギア部又はハーフナット部からなるギア部を有する可動部材とをガイドシャフトが貫通することで、可動部材及びレンズホルダを直線的に案内させ、ガイドシャフトを可動部材の回動中心としても利用することができる。また、ガイドシャフトの周囲で巻回させるようにコイルバネを配置させ、このコイルバネを利用してギア部をリードスクリューに押圧させている。このような構成によると、ギア部として、ラックギア部又はハーフナット部を採用した場合に、リードスクリューとガイドシャフトとを近づけることができてレンズ駆動装置の小型化が達成される。
【0008】
また、ガイドシャフトは、バネ支持枠の第1の部分と、第1の部分に対向する第2の部分と、可動部材とを貫通し、
可動部材は、第1の部分と第2の部分との間に配置されて、第1の部分に当接され、コイルバネは、圧縮コイルバネであり、圧縮コイルバネは、バネ支持枠内で可動部材と第2の部分との間に配置され、圧縮コイルバネの一端は、バネ支持枠に係止され、圧縮コイルバネの他端は可動部材に係止されていると好適である。
このような構成を採用すると、可動部材をレンズホルダのバネ支持枠に常に当接させているので、レンズホルダをスムーズに可動させることができる。しかも、バネの本数を減らしてレンズ駆動装置を簡素化させることができるといった優れた効果を奏する。
【0009】
また、ガイドシャフトに対して平行に延在する回り止めシャフトを備え、レンズホルダには、リードスクリューの回転軸線に対して直交して延在する回り止め片が設けられ、回り止め片は、バネ支持枠に係止された圧縮コイルバネの一端による付勢力によって回り止めシャフトに押圧されていると好適である。
このような構成を採用すると、リードスクリューに対するギア部の押圧と、バネ支持枠に対する可動部材の押圧とに寄与している圧縮コイルバネによって、レンズホルダの回り止めを可能にする。そして、回り止めシャフトに対して回り止め片を単に当て付けるだけで良いので組立て易い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、構造の簡素化及び小型化を可能にしている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るレンズ駆動装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】レンズ駆動装置の分解斜視図である。
【図3】レンズ駆動装置の平面図である。
【図4】可動部材の斜視図である。
【図5】可動部材の底面図である。
【図6】可動部材の側面図である。
【図7】可動部材の縦断面図である。
【図8】レンズホルダの斜視図である。
【図9】レンズホルダの斜視図である。
【図10】レンズ駆動装置の要部を示す斜視図である。
【図11】図10の断面図である。
【図12】図10の断面図である。
【図13】他の実施例に係る可動部材を示す斜視図である。
【図14】図13の可動部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るレンズ駆動装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0013】
光ディスク装置内部の光ピックアップ機構(光学部)においては、光ディスクの情報層上に光ビームを正確に集光させる必要がある。このため、高精度な光ピックアップ機構にあっては、光ディスクのカバー層の厚さの誤差によって生じる球面収差を補正できるように、レンズを光軸方向に微動させることが必要である。
【0014】
図1〜図3に示すように、光ピックアップ機構(光学部)に実装されているレンズ駆動装置1は、レンズの球面収差補正に利用され、コ字形状のベース部材2を有し、ユニット化を図るために、このベース部材2には、後述する様々な部品が組み付けられている。
【0015】
ステッピングモータ3に設けられた取付ブラケット3aから下方に突出するくの字状の舌片3bは、ベース部材2の底板2eに形成された切り込み部2f内に挿入され、ベース部材2の後枠部2aに取付ブラケット3aを圧着させた後、取付ブラケット3aはネジSによって後枠部2aに固定されている。このような構成にすることで、モータ3の光軸方向の浮きを防止し、モータ3の組み付け容易性を可能にしている。また、取付ブラケット3aを廃止し、ステッピングモータ3とベース部材2を直接固定してもよい。
【0016】
モータ3の回転軸3cにはリードスクリュー4が圧入により固定され或いは一体で形成されている。このリードスクリュー4は、ベース部材2の後枠部2aに形成された開口部2cから挿入され、リードスクリュー4から突出する回転軸3cの先端は、ベース部材2の前枠部2bに固定された軸受5によって回転自在に支持されている。
【0017】
ベース部材2の後枠部2dと前枠部2bとを掛け渡すように、ベース部材2には、リードスクリュー4の回転軸線Lに対して平行に延在するガイドシャフト6の両端が固定されている。また、ベース部材2の後枠部2aと前枠部2bとを掛け渡すように、ベース部材2には、ガイドシャフト6に対して平行に延在する回り止めシャフト7の両端が固定されている。
【0018】
図2、図4〜図7に示すように、リードスクリュー4には、ギア部の一例をなすラックギア部8aが噛合され、このラックギア部8aを有する可動部材8の基端部8bにはガイドシャフト6が貫通する。このガイドシャフト6を中心に可動部材8は回動し、ガイドシャフト6に沿って基端部8bは直線的に案内される。この基端部8bには、回転軸線L方向に延在するロッド部9が一体成形され、ロッド部9には断面矩形のスリット9aが設けられ、このスリット9a内をガイドシャフト6が挿通されている。
【0019】
更に、基端部8bに形成された軸孔8cとロッド部9に形成された軸孔9bとに挿通されたガイドシャフト6によって、可動部材8はガイドシャフト6を中心に回動される。また、断面矩形のスリット9aの壁面がガイドシャフト6の周面に当接することで、ガイドシャフト6に沿って可動部材8をスムーズに案内させることができる。そして、ロッド部9を設けることで、回転軸線Lに対するラックギア部8aの傾きが防止され、リードスクリュー4に対してラックギア部8aを常に安定して噛合させることができる。
【0020】
図2、図8及び図9に示すように、レンズMが固定されるレンズホルダ10は、コ字状のバネ支持枠11を有し、このバネ支持枠11には、側方(回転軸線Lに対して直交する方向)でレンズ支持アーム部12が突出し、このレンズ支持アーム部12の遊端にはレンズ枠12aが設けられている。さらに、バネ支持枠11には、レンズ支持アーム部12と反対側の側方(回転軸線Lに対して直交する方向)で回り止め片15が突出する。
【0021】
バネ支持枠11は、回転軸線L方向に延在する連結部11aと、連結部11aの一端から回転軸線Lに対して直交する方向に突出する第1の部分11bと、連結部11aの他端で、第1の部分11bと平行に突出する第2の部分11cと、からなる。第1の部分11bには、ガイドシャフト6を挿入させるガイド孔13aが形成され、第2の部分11cにも、ガイドシャフト6を挿入させるガイド孔13bが形成され、これらガイド孔13a,13bによって、ガイドシャフト6に沿ってレンズホルダ10をスムーズに案内している。なお、第1の部分11bには、前枠部2bに当接するストッパ部14aが突出され、第2の部分11cには、後枠部2dに当接するストッパ部14bが突出されている。
【0022】
図10及び図11に示すように、バネ支持枠11の第1の部分11bと第2の部分11cとの間には、可動部材8の基端部8bが配置されている。この基端部8bには、軸孔8cの周囲でリング状をなす断面半円形状の摩擦低減部8d(図4参照)が形成され、この摩擦低減部8dが第1の部分11bに当接されている。この摩擦低減部8dは、モータ3が制御不能になった際に、リードスクリュー4の最終端における可動部材8のラックギア部8aの円滑な逃げを可能にしている。
【0023】
この当接状態を維持するために、第2の部分11cと可動部材8の基端部8bとの間に圧縮コイルバネ20が配置されている。この圧縮コイルバネ20は、ガイドシャフト6が貫通するロッド部9の周囲に巻回され、この圧縮コイルバネ20の一端20aは、バネ支持枠11の連結部11aに引っ掛けるように係止して固定され、圧縮コイルバネ20の他端20bは、コ字状に形成され、可動部材8の基端部8bのラックギア部8a側に形成された溝部21に引っ掛けるように係止して固定されている。
【0024】
図12に示すように、圧縮コイルバネ20の一端20aの付勢力によって、バネ支持枠11の連結部11aは矢印A方向に押され、これによって、ガイドシャフト6を中心として回動する回り止め片15が回り止めシャフト7に押し当てられて(矢印A’)、レンズホルダ10自体の回り止めが達成される。また、圧縮コイルバネ20の他端20bの付勢力によって、可動部材8は矢印B方向に押され、これによって、ガイドシャフト6を中心として回動する可動部材8のラックギア部8aがリードスクリュー4に押し当てられて(矢印B’)、ラックギア部8aの確実な噛合が達成される。
【0025】
このように、圧縮コイルバネ20は、リードスクリュー4に対するラックギア部8aの押圧に利用されて、モータ3の駆動によってレンズホルダ10と一緒に進退する可動部材8のラックギア部8aとリードスクリュー4との間のバックラッシュの発生防止も達成されている。
【0026】
従来にあっては、このギア部に通常の雌ねじナットが利用されており、モータが何らかの原因で制御不能になってリードスクリューが回転し続けると、雌ねじナットはリードスクリューの最終端で噛み込み現象を起こしてしまって、雌ねじナットやリードスクリューが完全に壊れてしまうといった不具合がある。また、騒音の低減を達成するためには、リードスクリューや雌ねじナットにねじ精度が要求される。
【0027】
このような不具合を解消させるために、レンズ駆動装置1では、ギア部としてラックギア部8aを採用し、リードスクリュー4の最終端で径方向の逃げを可能にしている。更に、高精度で成形されているガイドシャフト6の有効利用を図るために、レンズMを保持するレンズホルダ10に設けられたバネ支持枠11と、リードスクリュー4に噛合するラックギア部8aを有する可動部材8と、をガイドシャフト6が貫通する。これにより、可動部材8及びレンズホルダ10を直線的に案内させ、ガイドシャフト6を可動部材8の回動中心としても利用することができる。
【0028】
また、ガイドシャフト6の周囲で巻回させるように圧縮コイルバネ20を配置させ、この圧縮コイルバネ20を利用してラックギア部8aをリードスクリュー4に押圧させている。このような構成によると、ラックギア部8aを採用した場合に、リードスクリュー4とガイドシャフト6とを近づけることができてレンズ駆動装置1の小型化が達成され、しかも、バネの本数を減らしてレンズ駆動装置1を簡素化させることができるといった優れた効果を奏する。リードスクリュー4に対するラックギア部8aの押圧と、バネ支持枠11に対する可動部材8の押圧と、に寄与している圧縮コイルバネ20によって、レンズホルダ10の回り止めを可能にする。そして、回り止めシャフト7に対して回り止め片15を単に当て付けるだけで良いので組立て易くなる。
【0029】
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、図13及び図14に示すように、他の可動部材30は、ギア部としてハーフナット部30aが採用され、基端部30bにはロッド部31が一体成形されている。このハーフナット部30aとは、一周の半分すなわち半周以下のネジ山をもったものをいう。
【0030】
また、ラックギア部8a及びハーフナット部30aは、確実な噛合を達成させるために、回転軸線L方向に3ピッチ以上が好ましい。
【0031】
可動部材8,30の基端部8b,30bに形成されている摩擦低減部8dは、リング状に限らず、半球体が等間隔に点在する形状であってもよい。
【符号の説明】
【0032】
1…レンズ駆動装置、3…モータ、4…リードスクリュー、6…ガイドシャフト、7…回り止めシャフト、8,30…可動部材、8a…ラックギア部(ギア部)、10…レンズホルダ、11…バネ支持枠、11b…第1の部分、11c…第2の部分、15…回り止め片、20…圧縮コイルバネ、30a…ハーフナット部(ギア部)、L…回転軸線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部に実装されるレンズ駆動装置において、
モータによって回転されるリードスクリューと、
前記リードスクリューに噛合するラックギア部又はハーフナット部からなるギア部を有する可動部材と、
前記リードスクリューの回転により、前記リードスクリューの回転軸線に沿って往復動するレンズホルダと、
前記回転軸線に対して平行に延在すると共に、前記レンズホルダに設けられたバネ支持枠及び前記可動部材を貫通し且つ案内するガイドシャフトと、
前記ガイドシャフトの周囲で巻回されると共に、前記バネ支持枠内に配置され、一端が前記レンズホルダに係止され、他端が前記可動部材に係止され、前記他端による付勢力によって前記ギア部を前記リードスクリューに押圧するコイルバネと、を備えたことを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
前記ガイドシャフトは、前記バネ支持枠の第1の部分と、前記第1の部分に対向する第2の部分と、前記可動部材とを貫通し、
前記可動部材は、前記第1の部分と前記第2の部分との間に配置されて、前記第1の部分に当接され、
前記コイルバネは、圧縮コイルバネであり、
前記圧縮コイルバネは、前記バネ支持枠内で前記可動部材と前記第2の部分との間に配置され、前記圧縮コイルバネの前記一端は、前記バネ支持枠に係止され、前記圧縮コイルバネの前記他端は前記可動部材に係止されていることを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記ガイドシャフトに対して平行に延在する回り止めシャフトを備え、前記レンズホルダには、前記リードスクリューの回転軸線に対して直交して延在する回り止め片が設けられ、前記回り止め片は、前記バネ支持枠に係止された前記圧縮コイルバネの前記一端による付勢力によって前記回り止めシャフトに押圧されていることを特徴とする請求項2記載のレンズ駆動装置。
【請求項1】
光学部に実装されるレンズ駆動装置において、
モータによって回転されるリードスクリューと、
前記リードスクリューに噛合するラックギア部又はハーフナット部からなるギア部を有する可動部材と、
前記リードスクリューの回転により、前記リードスクリューの回転軸線に沿って往復動するレンズホルダと、
前記回転軸線に対して平行に延在すると共に、前記レンズホルダに設けられたバネ支持枠及び前記可動部材を貫通し且つ案内するガイドシャフトと、
前記ガイドシャフトの周囲で巻回されると共に、前記バネ支持枠内に配置され、一端が前記レンズホルダに係止され、他端が前記可動部材に係止され、前記他端による付勢力によって前記ギア部を前記リードスクリューに押圧するコイルバネと、を備えたことを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
前記ガイドシャフトは、前記バネ支持枠の第1の部分と、前記第1の部分に対向する第2の部分と、前記可動部材とを貫通し、
前記可動部材は、前記第1の部分と前記第2の部分との間に配置されて、前記第1の部分に当接され、
前記コイルバネは、圧縮コイルバネであり、
前記圧縮コイルバネは、前記バネ支持枠内で前記可動部材と前記第2の部分との間に配置され、前記圧縮コイルバネの前記一端は、前記バネ支持枠に係止され、前記圧縮コイルバネの前記他端は前記可動部材に係止されていることを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記ガイドシャフトに対して平行に延在する回り止めシャフトを備え、前記レンズホルダには、前記リードスクリューの回転軸線に対して直交して延在する回り止め片が設けられ、前記回り止め片は、前記バネ支持枠に係止された前記圧縮コイルバネの前記一端による付勢力によって前記回り止めシャフトに押圧されていることを特徴とする請求項2記載のレンズ駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−53202(P2012−53202A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194654(P2010−194654)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】
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