説明

レンチキュラープリントシート

【課題】 画像が動くように見える視覚効果が得られるレンチキュラープリントシートを注文に応じて簡単に作成し、所要の状態で判別して搬送、発送できるようにする。
【解決手段】 入力された画像情報に基づき少なくとも画像の一部が可変可能な複合画像12とこの複合画像の情報を表示する情報表示部17,18とを印刷したプリントシート11と、その複合画像の印刷領域13に貼り付けられたレンチキュラーレンズ15とでレンチキュラープリントシート1が構成される。このレンチキュラープリントシートは、プリントシートへのレンチキュラーレンズ貼り付け部を所定サイズで打ち抜きカットすることにより打ち抜き枠シート部から切り離して作成するように構成され、このレンチキュラープリントシートは、打ち抜き枠シート部に対し切り離し可能な橋絡部31を介して接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンチキュラーレンズを通して画像が動いているように見える視覚効果を有するレンチキュラープリントシートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラの普及に伴って、デジタル写真のWebサービスも広がりを見せており、一般的なプリント写真を初めとして、様々なプリント写真の提供がなされている。
そのなかで、最近は、プリント写真上にレンチキュラーレンズを貼り合わせることにより、その画像があたかも動いているように見える視覚効果を持たせたものも提供されるようになってきており、その多様化は著しいものである(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
ここで、レンチキュラー(lenticular;以下レンチキュラープリントシートと称す)とは、シート状のレンチキュラーレンズを用いて、見る角度によって絵柄が変化したり、立体感が得られたりする印刷物のことであって、数cm角の小型のものから、建物の壁面に取り付けられている広告板などの大型のものまである。
【0004】
レンチキュラーの構造は、レンチキュラー画像と呼ばれる画像の上に、表面に微細な細長いカマボコ状の凸レンズが無数に並んだシート(レンチキュラーレンズ)が配置されている。このレンチキュラーレンズは透明なプラスチック製のものが使われている。このレンチキュラーレンズを、画像を印刷した印刷物の上に貼り合わせるか、このレンチキュラーレンズの裏面に直接画像を印刷して作られる。レンチキュラー画像は、2つ以上の画像を細長く短冊状に切り、切った画像をインターレース状に順番に並べて1枚の画像にする。そして、画像の1つの細片ごとに1つの凸レンズが載るように貼り合わせる(または印刷する)必要がある。この貼り合わせ時に、位置がずれてしまうときれいに見ることができない。
【0005】
上述したようなレンチキュラーにより、以下の3種類の効果を得ることができる。
1、見る角度によって絵柄が変わるもの。この場合には、全く異なる複数の画像を組み合わせて使う。
2、アニメーション効果のあるもの。この場合には、少しずつ異なる画像を多数枚組み合わせる。目を動かしていくと動画を見ることができる。
3、3D効果のあるもの。この場合には、左目用と右目用の、視差が生じる2枚の画像を組み合わせる(ステレオペア)。上の2つとは違い目を動かしてみるのではなく1点から見るだけで立体感を得られる。
【0006】
画像(複数枚必要)からレンチキュラーを作成するサービスが各社から提供されているほか、レンチキュラーを作成するキットが発売されているので、パソコンを用いて自分で作成することもできるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭61−281215号公報
【特許文献2】特開昭61−249787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したようなレンチキュラープリントシートによれば、これを注文、作成、受領したりする際に若干の問題を生じている。
すなわち、ネット或いは店頭などで一般ユーザーから注文されたオリジナルのレンチキュラーを用いたアニメーション等の商品を提供する場合において、注文したユーザーが受け取るとき、レンチキュラー越しに製品画像を見るため、細かな画像の違いを確認しづらいという問題がある。
【0009】
さらに、自分が類似した画像をたくさん持っている場合、どの画像を指定したのかわかりづらく、同じものを後日注文しようとした場合にどの画像を選んだのかわからなくなってしまうという問題もある。
【0010】
また、商品の特性上製品には識別をするマーク・文字等は入れられないため、生産現場で整合性をとる時は管理画面等で確認するしかなかった。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、画像が動くように見える視覚効果が得られるレンチキュラープリントシートを簡単かつ適切に作成し、所要の状態で判別して搬送し、発送することができるレンチキュラープリントシートを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的に応えるために本発明(請求項1記載の発明)に係るレンチキュラープリントシートは、レンチキュラーレンズを通して画像が動いているように見えるレンチキュラープリントシートであって、画像情報に基づき少なくとも画像の一部が可変可能な複合画像とこの複合画像の情報を表示する情報表示部とを印刷したプリントシートと、このプリントシートの複合画像の印刷領域に貼り付けられたレンチキュラーレンズとからなり、レンチキュラープリントシートは、プリントシートへのレンチキュラーレンズ貼り付け部を所定サイズで打ち抜きカットすることにより打ち抜き枠シート部から切り離して作成するように構成され、このレンチキュラープリントシートは、打ち抜き枠シート部に対し切り離し可能な橋絡部を介して接続されていることを特徴とする。
【0013】
本発明(請求項2記載の発明)に係るレンチキュラープリントシートは、請求項1において、情報表示部は、プリントシート上で複合画像の非印刷領域に印刷された該画像よりも小面積であって該画像に対応する確認用のサブ画像と、複合画像に対応して設けられ読み取り手段により読み取り可能に設けたコード情報とからなることを特徴とする。
【0014】
本発明(請求項3記載の発明)に係るレンチキュラープリントシートは、請求項2において、プリントシート上で複合画像の非印刷領域に、該複合画像よりも小面積であって該複合画像を構成する各画像に対応する確認用のサブ画像をそれぞれ印刷して並設したことを特徴とする。
【0015】
本発明(請求項4記載の発明)に係るレンチキュラープリントシートは、請求項2または請求項3において、コード情報は、レンチキュラープリントシートを所望する複合画像の注文者情報を含んでいることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明に係るレンチキュラープリントシートによれば、画像が動くように見える視覚効果を得るレンチキュラープリント製品と共に、その内容を把握できる画像の情報表示部を印刷した打ち抜き枠シート部を切り離し可能な橋絡部を介して一体的に連結して搬送、発送するようにしているから、レンチキュラープリント製品を見なくても、情報表示部を見るだけで、製品の内容、注文情報等を把握でき、製品の製作時、さらに発送時に便利であり、また注文者側においても、後日同一商品を注文しようとしたときにも、間違いなく簡単に画像の指定ができるようになる等、再注文の際に便利である等の種々優れた効果がある。
【0017】
特に、本発明によれば、レンチキュラーレンズを用いたアニメーション製品部分をユーザーに提供する際に、アニメーション製品に用いた画像をサブ画像としてすべて印刷した部分を一緒にユーザーに提供しており、しかもその場合にアニメーション製品と切り離しがし易い様に数箇所の細い部分でつなげておくように構成しているから、生産時における搬送、さらに注文先への発送などを円滑かつ確実に行える。
【0018】
また、本発明によれば、製品自体に情報を管理するコードを記載することができないレンチキュラーを使用した商品を生産する時、印刷時に製品画像と一緒に切り取られる側(生産管理シート)にサイズだけ小さくしたサブ画像とQRコード(登録商標)も印刷し、製品を打ち抜いた後もサブ画像を見るだけで安易に作業者が製品とQRコードを印刷された製品管理シートが同一であることを確認でき、作業が楽になり、誤発送も無くすことが可能となる等、生産者が楽に間違いなく製品を管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るレンチキュラープリントシートの一実施形態を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明に係るレンチキュラープリントシートの一実施形態を示す。
これらの図において、符号1で示すレンチキュラープリントシートは、図1(a)、(b)に示すように、レンチキュラーレンズを通して画像が動いているように見えるアニメーション製品となるシート部材を形成するためのものであって、画像情報に基づき少なくとも画像の一部が可変可能なアニメーション画像のような複合画像12を印刷したプリントシート11と、このプリントシート11の画像印刷領域13に貼り付けられたレンチキュラーレンズ15とから構成されている。
【0021】
また、前記プリントシート11上で複合画像12の非印刷領域16には、該画像よりも小面積であって該アニメーション画像に対応する確認用のサブ画像17が、画像の情報表示部として印刷されている。ここで、この実施形態では、複合画像12を3枚の画像からなるものを用い、これに対応して3枚のサブ画像17を、画像印刷領域13の側方の非印刷領域16に印刷して並設している。
【0022】
さらに、この非印刷領域16には、上記のサブ画像17と同様の画像の情報表示部として、前記複合画像12に対応したコード情報18が、読み取り手段(図示せず)により読み取り可能に設けられている。このコード情報18は、二次元バーコード、たとえばQRコードで構成され、レンチキュラープリントシート1を所望する複合画像12の注文者情報等の商品情報を含んでいる。
【0023】
このようなレンチキュラープリントシート1は、該シート1を傾けたりして角度を変えることにより、複合画像12があたかもアニメーションのように変化して見えるようになっている。
【0024】
また、このようなレンチキュラープリントシート1は、図1の(c)のようにレンチキュラーレンズ15の貼り付け部を所定形状で打ち抜きカットすることで、打ち抜き枠シート部から写真サイズのアニメーション製品であるレンチキュラープリント製品20として切り離して提供されるように構成されている。
【0025】
ここで、本発明によれば、このレンチキュラープリント製品20は、レンチキュラープリントシート1の打ち抜き枠シート部に対し切り離し可能な橋絡部31を介して接続されている。この橋絡部31は、ユーザーが切り離し易いように細くなっているつなぎ部分であり、必要に応じて切り離されてレンチキュラープリント製品20として使用される。
なお、図中30は、切り離し溝である。
【0026】
このレンチキュラープリント製品20は、該レンチキュラープリントシート1の作成時において、図1(c)に示すように、これを打ち抜いた残りの打ち抜き枠シート部を一体となって生産工場内で搬送することにより、該製品20の具体的な内容と注文者情報等を、情報表示部のサブ画像17、コード情報18で確認し、これらの情報により注文者宛に発送することができるものである。
【0027】
以上の構成において、生産工場内でのレンチキュラープリントシート1等の生産は、以下のようにして行う。
すなわち、レンチキュラーレンズ15を通して画像が動いているように見えるレンチキュラープリントシート1を生産する際には、図1(a)に示すように、注文者が注文時に入力した画像情報に基づく画像データ、注文データを、生産工場内で取得し、これに基づき、少なくとも画像の一部が可変可能な複合画像12を形成し、当該複合画像12および該画像よりも小面積であって該画像に対応する確認用のサブ画像17を印刷することによりプリントシート11を形成する。
【0028】
プリントシート11の画像印刷領域13において複合画像12の印刷領域13上に、図1(a),(b)に示すように、レンチキュラーレンズ15を貼り付けする。
そして、このレンチキュラーレンズ15の貼り付け部(印刷領域13)を、図1(b),(c)に示すように、所定サイズ、たとえばレンチキュラーレンズ15の貼り付け部よりも若干小さめのサイズで打ち抜き、数カ所の橋絡部31を残してカットする。
ここで、この打ち抜き形状は、ユーザーが切り離しやすいように細くしたつなぎ部分である橋絡部31を3箇所にもつ溝形状である。
【0029】
さらに、プリントシート11の非印刷領域16に複合画像12に対応したコード情報18を読み取ることにより、レンチキュラープリントシート1により得られるレンチキュラープリント製品20を枠付きのまま袋詰めして発送すればよいものである。
【0030】
ここで、本発明によれば、上述したカット後においても、図1(c)に示すように、打ち抜き残りの打ち抜き枠シート部と橋絡部31を介して一体的な状態のまま搬送することにより、レンチキュラープリント製品20の内容の把握を、打ち抜き枠シート部側に記載されているサブ画像17により簡単かつ適切に行え、またそのレンチキュラープリント製品20の注文者などの情報も、打ち抜き枠シート22に印刷されているコード情報18から読み取って行うことができる。
【0031】
この場合において、注文者への発送は、レンチキュラープリント製品20を、打ち抜き枠シート部をも含めたままで発送しているから、後日の注文などの際に便利なように注文者に役立てることができるのである。
【0032】
すなわち、このようにレンチキュラープリント製品20とそれにつながる切り抜き枠シート部とを受け取ったユーザーは、自分が注文した画像かどうかサブ画像17で確認してから、該橋絡部31を切り離して製品を使用し、切り離した残りの切り抜き枠シート部はユーザーがそのまま保管しておき、後日の再注文の際などに、該枠部分の情報を利用するとよいものである。
【0033】
なお、本発明は上述した実施の形態で説明した構造には限定されず、レンチキュラープリントシート1等を構成する各部の形状、構造等を適宜変形、変更し得ることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0034】
1 レンチキュラープリントシート
11 プリントシート
12 複合画像
13 印刷領域
15 レンチキュラーレンズ
16 非印刷領域
17 サブ画像(情報表示部)
18 コード情報(情報表示部)
20 レンチキュラープリント製品
30 打ち抜き溝
31 橋絡部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンチキュラーレンズを通して画像が動いているように見えるレンチキュラープリントシートであって、
画像情報に基づき少なくとも画像の一部が可変可能な複合画像とこの複合画像の情報を表示する情報表示部とを印刷したプリントシートと、
このプリントシートの複合画像の印刷領域に貼り付けられたレンチキュラーレンズとからなり、
レンチキュラープリントシートは、プリントシートへのレンチキュラーレンズ貼り付け部を所定サイズで打ち抜きカットすることにより打ち抜き枠シート部から切り離して作成するように構成され、
このレンチキュラープリントシートは、打ち抜き枠シート部に対し切り離し可能な橋絡部を介して接続されていることを特徴とするレンチキュラープリントシート。
【請求項2】
請求項1記載のレンチキュラープリントシートにおいて、
前記情報表示部は、プリントシート上で複合画像の非印刷領域に印刷された該画像よりも小面積であって該画像に対応する確認用のサブ画像と、前記複合画像に対応して設けられ読み取り手段により読み取り可能に設けたコード情報とからなることを特徴とするレンチキュラープリントシート。
【請求項3】
請求項2記載のレンチキュラープリントシートにおいて、
前記プリントシート上で複合画像の非印刷領域に、該複合画像よりも小面積であって該複合画像を構成する各画像に対応する確認用のサブ画像をそれぞれ印刷して並設したことを特徴とするレンチキュラープリントシート。
【請求項4】
請求項2または請求項3記載のレンチキュラープリントシートにおいて、
前記コード情報は、レンチキュラープリントシートを所望する複合画像の注文者情報を含んでいることを特徴とするレンチキュラープリントシート。

【図1】
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【公開番号】特開2011−107349(P2011−107349A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261416(P2009−261416)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】