説明

レーザ照射装置、配管位置調整装置、配管位置調整方法およびパイプラインの製造方法

【課題】レーザ照射装置が照射するレーザ光を配管部材の軸線に平行となるよう、容易かつ確実に設置して、既設配管部材と新設配管部材との位置合わせを行うこと。
【解決手段】配管10に外周面に沿って装着されるとともに、配管10の外周面に沿って装着された状態で、該配管10の周方向に回転可能なリング状体21と、リング状体21の一部に設けられ、該リング状体21のリング軸方向に沿ってレーザ光を照射する照射手段22と、を備え、リング状体21は、回転軸がリング軸方向に沿って延在し、該リング軸回りに複数配置されたローラ28と、これらのローラ28のうち、リング軸回りに互いに隣接するものを連結する連結部材23、25、29と、を備え、連結部材23、25、29のうち少なくとも1つは、連結するリング軸回りに隣り合うローラ28を互いに接近させる方向の引張力を付与する張力付与部材25であるレーザ照射装置20を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプライン等を構成する配管部材どうしを接続するときに用いるのに適したレーザ照射装置、配管位置調整装置、配管位置調整方法およびパイプラインの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パイプライン等を構成する配管部材どうしを接続するに際し、既設の配管部材(以下、これを既設配管部材と称する)と、この既設配管部材に新たに接続する配管部材(以下、これを新設配管部材と称する)とを位置合わせする必要がある。
このため、例えば、既設配管部材にレーザ照射装置を設け、新設配管部材に取り付けたターゲットにレーザ照射装置からレーザ光を照射し、ターゲットに映し出されるレーザスポットをターゲットの検出点に位置合わせすることで、既設配管部材と新設配管部材とを位置合わせする手法が提案されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−7784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既設配管部材と新設配管部材とを位置合わせするには、レーザ照射装置が照射するレーザ光を既設配管部材の軸線に平行に設置する必要がある。しかも、既設配管部材に新設配管部材を接続することでパイプライン等を延伸していくので、レーザ照射装置は、先端の既設配管部材に順次付け替えていく必要がある。
しかし、配管部材は単なる円筒状であり、その軸線にレーザ照射装置が照射するレーザ光を平行に設置するための基準がない。したがって、レーザ光照射部材を配管部材の軸線に平行に設置するのが困難であり、特許文献1に記載の手法は実現性が低い。
【0005】
また、パイプライン等の一端側と他端側からそれぞれ配管部材を延伸していき、一端側と他端側の中間部で双方の配管部材どうしを接続する場合、最後に接続する配管部材よりも少なくとも数本前の配管部材を接続するときから、双方の配管部材どうしの位置を合わせておく必要がある。これは、双方の配管部材の位置が大きくずれていた場合、1本のみの配管部材のみではその位置修正を図るのが困難であるからである。このような場合、双方の配管部材どうしは数m〜数十m離れている。
特許文献1に記載の技術は、既設配管部材に対し新設配管部材を直接接続する場合を対象としているのであり、上記のように、数m〜数十m離れた配管部材どうしの位置合わせを想定しているものではない。さらに、特許文献1に記載の技術を用いて数m〜数十m離れた配管部材どうしの位置あわせしようとすると、配管部材の軸線に対してレーザ照射装置を高精度に設置する必要があるが、前記したようにそれは困難となっている。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、レーザ照射装置が照射するレーザ光を配管部材の軸線に平行となるよう容易かつ確実に設置して、既設配管部材と新設配管部材との位置合わせを行うことのできるレーザ照射装置、配管位置調整装置、配管位置調整方法およびパイプラインの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係るレーザ照射装置は、配管に外周面に沿って装着されるとともに、配管の外周面に沿って装着された状態で、該配管の周方向に回転可能なリング状体と、リング状体の一部に設けられ、該リング状体のリング軸方向に沿ってレーザ光を照射する照射手段と、を備え、リング状体は、回転軸がリング軸方向に沿って延在し、該リング軸回りに複数配置されたローラと、これらのローラのうち、前記リング軸回りに互いに隣接するものを連結する連結部材と、を備え、連結部材のうち少なくとも1つは、連結する前記リング軸回りに隣り合うローラを互いに接近させる方向の引張力を付与する張力付与部材であることを特徴とする。
このようなレーザ照射装置は、連結部材のうち少なくとも1つが、連結するリング軸回りに隣り合うローラを互いに接近させる方向の引張力を付与する張力付与部材であるので、リング状体を配管の周方向に回転させると、張力付与部材の引張力により張力付与部材の両側のローラを接近させようとするため、リング状体が配管の軸線に直交する面内に位置するようになる。
また、リング状体を配管の外周面に沿って、配管の軸線を中心として周方向に回転させることで、配管の周方向の複数個所で照射手段からレーザ光を照射することができる。
【0008】
また、請求項2に係る配管位置調整装置は、前記レーザ照射装置と、レーザ照射装置が装着された配管に対し、当該配管の軸線方向に沿って離間した他の配管に着脱可能に装着されるレーザ照射的と、を備えていることを特徴とする。
このような配管位置調整装置によれば、レーザ照射装置が装着された配管から、この配管の軸線方向に沿って離間した位置の他の配管のレーザ照射的に向けてレーザ光を照射することで、レーザ照射装置が装着された配管と、レーザ照射的が装着された他の配管との位置合わせを行うことができる。
【0009】
本発明の請求項3に係る配管位置調整方法は、前記配管方向調整装置を用い、互いに離間した二つの配管の位置を調整する方法であって、一方の配管の外周面に沿ってレーザ照射装置を装着するとともに、他方の配管にレーザ照射的を装着する工程と、レーザ照射装置を、一方の配管の外周面に沿って、該配管の軸線を中心として周方向に回転させる工程と、照射手段からレーザ照射的にレーザ光を照射する工程と、レーザ光を照射することによりレーザ照射的に映し出されたビームスポットの位置に基づき、一方の配管と他方の配管の位置関係を調整する工程と、を備えることを特徴とする配管位置調整方法とすることもできる。
このような配管位置調整方法によれば、リング状体を配管の周方向に回転させると、リング状体が配管の軸線に直交する面内に位置するようになるので、照射手段からのレーザ光の照射方向を配管の軸線方向に平行に設置できる。そして、その照射手段からレーザ光をレーザ照射的に照射して一方の配管と他方の配管の位置関係を調整することで、高精度な調整が行える。
【0010】
ここで、請求項4に係る配管位置調整方法においては、レーザ光を照射する工程では、レーザ照射装置を、一方の配管の外周面に沿って周方向に回転させて、その周方向の複数個所においてレーザ光を照射し、一方の配管と他方の配管の位置関係を調整する工程では、それぞれの箇所におけるビームスポットの位置に基づき、一方の配管と他方の配管の位置関係を調整する。
このように、周方向複数個所でビームスポットの位置を計測することで、一方の配管と他方の配管の位置関係を容易かつ高精度に調整できる。
【0011】
また、請求項5に係る配管位置調整方法においては、一方の配管と他方の配管の位置関係を調整する工程では、レーザ光を照射することによりレーザ照射的に映し出されたビームスポットの位置に基づき、一方の配管に対する他方の配管の位置ズレ量を算出し、算出された位置ズレ量に基づき、一方の配管と他方の配管の位置関係を調整する。
これにより、トライアンドエラーを繰り返すことなく一方の配管と他方の配管の位置関係を調整できる。
【0012】
また、請求項6に係るパイプラインの製造方法は、前記配管位置調整方法を有する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係るレーザ照射装置によれば、リング状体を配管の周方向に回転させると、張力付与部材の引張力により、張力付与部材の両側のローラを接近させようとするため、レーザ照射装置が照射するレーザ光を配管部材の軸線に平行となるよう、リング状体を配管の軸線に直交する面内に容易かつ確実に位置させることができる。
また、リング状体を配管の外周面に沿って、配管の軸線を中心として周方向に回転させることで、配管の周方向の複数個所で照射手段からレーザ光を照射することができる。このレーザ照射装置が装着された配管から、この配管の軸線方向に沿って離間した位置の他の配管に向けてレーザ光を照射することで、レーザ照射装置が装着された配管と、他の配管との位置合わせを高精度に行うことができる。
【0014】
請求項2に係る配管位置調整装置によれば、レーザ照射装置が装着された配管から、この配管の軸線方向に沿って離間した位置の他の配管のレーザ照射的に向けてレーザ光を照射することで、レーザ照射装置が装着された配管と、レーザ照射的が装着された他の配管との位置合わせを、容易かつ確実に、しかも高精度で行うことができる。
【0015】
請求項3に係る配管位置調整方法によれば、リング状体を配管の周方向に回転させると、リング状体が配管の軸線に直交する面内に位置するようになるので、照射手段からのレーザ光の照射方向を配管の軸線方向に平行に設置でき、配管の位置合わせを容易かつ確実に行うことができる。
【0016】
請求項4に係る配管位置調整方法によれば、周方向複数個所でビームスポットの位置を計測することで、配管の位置あわせを容易に行うことができる。
【0017】
請求項5に係る配管位置調整方法によれば、算出された位置ズレ量に基づいて、トライアンドエラーを繰り返すことなく、一方の配管と他方の配管の位置関係をダイレクトに調整することができる。
【0018】
請求項6に係るパイプラインの製造方法によれば、前記配管位置調整方法を有するので、配管の位置合わせを容易かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る配管位置調整方法を説明するための図である。
【図2】図1に示すレーザ照射装置を、配管の軸線に直交する断面から見た図である。
【図3】ベース台車の平面図および断面図である。
【図4】ベース台車を、シャフトの軸線方向に沿った断面で見た図である。
【図5】レーザ照射装置を構成するリング状体を伸ばした状態の図である。
【図6】レーザ照射装置を周方向に回転させながら位置調整を行う状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るレーザ照射装置、配管位置調整装置、配管位置調整方法を説明する。
図1は、パイプライン100を構成する配管部材10の接続方法を示すための図である。
図1に示すように、パイプライン100の一端側から延伸してきた一端側パイプライン100Aの先端部に位置する既設配管部材10Aに対し、パイプライン100の他端側から延伸してきた他端側パイプライン(図示無し)の先端部に新設配管部材10Bを接続しようとしている。
このとき、既設配管部材10Aと新設配管部材10Bのいずれか一方にはレーザ照射装置20を設け、他方には照射板(レーザ照射的)30を設ける。
【0021】
図2に示すように、レーザ照射装置20は、全体として環状のリング状体21を主体とし、該リング状体21に、レーザポインタ(照射手段)22が設けられた構成となっている。そしてレーザ照射装置20は、配管部材10(図1の例では既設配管部材10A)の外周部を取り囲むように装着されている。
リング状体21は、レーザポインタ22を保持するベース台車(連結部材)23と、ベース台車23の両端にそれぞれ複数が連結されたローラリンク部材24とを備えている。
【0022】
図3、図4に示すように、レーザポインタ22は、例えばその外殻が円柱状をなしており、その軸線に沿った方向にレーザビームBを照射するレーザ光源を内蔵している。
ベース台車23は、ベース板23aと、ベース板23a上に設けられ、レーザポインタ22をクランプするクランププレート25a、25bと、ベース板23aにブラケット26を介してリング状体21のリング軸方向に平行に保持されたシャフト27と、シャフト27の両端にベアリング28aを介して回転自在に支持されたローラ28と、を有している。これにより、ベース台車23は、ローラ28が回転することにより、既設配管部材10Aの外周面に沿って走行移動可能となっている。
また、クランププレート25a、25bは、レーザポインタ22を、その光軸方向がシャフト27と平行となるように保持するようになっている。
【0023】
図5に示すように、ローラリンク部材24は、一対のジョイントプレート(連結部材)29と、ジョイントプレート29の一端に保持されたシャフト27と、シャフト27の両端にベアリング28aを介して回転自在に支持されたローラ28と、を有している。そして、ジョイントプレート29の他端は、ベース台車23、あるいは他のローラリンク部材24のシャフト27に連結されている。また、一つのシャフト27に連結されて互いに隣接するジョイントプレート29、29の間には、リング状のカラー29aが介在させられている。
このように、ベース台車23に複数のローラリンク部材24が連結されることで、それぞれ両端にローラ28を有したシャフト27が、ベース板23a、ジョイントプレート29によりチェーン状に連結されることとなる。
【0024】
ベース台車23の一端側から複数が直列に接続されたローラリンク部材24の端部24aと、ベース台車23の他端側から複数が直列に接続されたローラリンク部材24の端部24bとは、張力付与部材(連結部材)25により連結されている。これにより、リング状体21が全体でリング状をなしている。この張力付与部材25は、一方のローラリンク部材24の端部24aと他方のローラリンク部材24の端部24bとを接近させる方向に引張力を付与する。
【0025】
なお張力付与部材25としては、弾性材料、具体的には、ゴム系材料やスプリング等を用いることができる。張力付与部材25は、環状として、一方のローラリンク部材24の端部24aと他方のローラリンク部材24の端部24bとに巻き回すようにしても良い。また、張力付与部材25は、帯状とし、ローラリンク部材24のジョイントプレート29と同様、一対の張力付与部材25により、一方のローラリンク部材24の端部24aと他方のローラリンク部材24の端部24bとを連結するようにしても良い。
【0026】
図1に示すように、照射板30は、円環状をなしており、その内径部30aが新設配管部材10Bの外周面に接するように取り付けられる。
【0027】
さて、上記したようなレーザ照射装置20を用いて既設配管部材10Aと新設配管部材10Bとの芯合わせを行い、パイプライン100を製造するには、まず、レーザ照射装置20を、既設配管部材10Aおよび新設配管部材10Bのいずれか一方に装着する。ここでは、レーザ照射装置20を、既設配管部材10Aに装着する。このとき、装着に際しては、張力付与部材25を伸ばし、環状のレーザ照射装置20を広げることで、レーザ照射装置20を既設配管部材10Aの外周面に容易に装着できる。
そして、装着後は、張力付与部材25がその弾力により元の状態に復帰しようとして収縮することで、レーザ照射装置20を構成するベース台車23、ローラリンク部材24のローラ28が既設配管部材10Aの外周面に密着する。この状態で、レーザ照射装置20は、既設配管部材10Aの外周面に沿ってその周方向に回転可能となる。
一方、既設配管部材10Aおよび新設配管部材10Bの他方に照射板30を取り付ける。
【0028】
次いで、図6に示すように、レーザ照射装置20を、既設配管部材10Aの外周面に沿って、周方向に回転させる。すると、環状のレーザ照射装置20が既設配管部材10Aの軸線に直交する面に対して斜めに位置していたとしても、レーザ照射装置20を周方向にしばらく回転走行させている間に、張力付与部材25が収縮しようとする力により、張力付与部材25がもっとも短くなる状態、つまり環状のレーザ照射装置20が既設配管部材10Aの軸線に直交する面内に位置する状態に落ち着く。この状態で、レーザポインタ22は、その照射光軸が、既設配管部材10Aの軸線に平行となる。
ここで、レーザ照射装置20を回転させる回数については、ベース台車23、ローラリンク部材24のローラ28と既設配管部材10Aとの間の摩擦力、張力付与部材25の発揮する引張力によって異なるので、ここでは特に限定する意図はない。
【0029】
図1、図6に示すように、この後は、レーザポインタ22からレーザビームBを照射する。すると、新設配管部材10Bに取り付けた照射板30にレーザビームBが照射された部分に点状のビームスポットが映し出される。
そこで、照射板30に映し出されたビームスポットと、新設配管部材10Bの外周面との間隔Gを、スケール等の適宜計測手段により計測する。
【0030】
次いで、レーザ照射装置20を周方向に一定角度(例えば90°)回転させる。そして、その位置において、上記と同様にレーザポインタ22からレーザビームBを放射し、照射板30に映し出されたビームスポットと新設配管部材10Bの外周面との間隔Gを計測する。
【0031】
しかる後、レーザ照射装置20の一定角度の回転と、レーザポインタ22からのレーザビームB照射および間隔Gの計測とを順次繰り返していく。
【0032】
そして、照射板30の全周にわたって、周方向に間隔を隔てた複数個所で、上記の間隔Gの計測を完了したら、既設配管部材10Aの軸線に対する新設配管部材10Bの軸線のズレ量を算出する。
これには、周方向複数個所で計測した間隔Gの位置から、新設配管部材10Bの軸線位置を算出し、既設配管部材10Aの軸線に対する、当該軸線に直交する面内での位置ずれ寸法を算出すればよい。
【0033】
そして、その算出結果に基づき、新設配管部材10Bの位置や向きを適宜手段で調整する。このとき、前記算出結果だけでなく、該算出結果とともに、例えば予め測定しておいた既設配管部材10Aと新設配管部材10Bとの間の距離なども考慮して、新設配管部材10Bの位置や向きを調整してもよい。
その後、新設配管部材10Bを他端側パイプライン100Bの先端部にボルト、溶接等の連結手段により連結する。
【0034】
以上説明したように、本実施形態に係るレーザ照射装置20によれば、レーザ照射装置20は環状であり、そのリング軸回りの一部に張力付与部材25を備えているので、レーザ照射装置20を既設配管部材10Aの外周部に装着するときには、張力付与部材25を伸ばすのみで、これを容易に装着することができる。
しかも、装着後、レーザ照射装置20を周方向に回転させることで、環状のレーザ照射装置20が既設配管部材10Aの軸線に直交する面内に位置するようになる。これにより、レーザポインタ22が既設配管部材10Aの軸線に平行な状態となるため、レーザポインタ22の照射方向の位置決めが容易に行える。
このようにして、レーザ照射装置20を既設配管部材10Aの軸線を基準として容易かつ高精度に設置することができ、既設配管部材10Aと新設配管部材10Bとの位置合わせを容易に行うことができる。
【0035】
さらに、レーザ照射装置20を回転させることで、新設配管部材10Bの周方向複数個所においてレーザポインタ22からレーザビームBを放射し、照射板30に映し出されたビームスポットと新設配管部材10Bの外周面との間隔Gを計測するようにした。これにより、既設配管部材10Aに対する新設配管部材10Bの位置ずれ量を容易に把握することができる。
【0036】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、新設配管部材10Bの周方向複数個所において、照射板30に映し出されたビームスポットと新設配管部材10Bの外周面との間隔Gに基づき、既設配管部材10Aに対する新設配管部材10Bの位置ずれ量を算出するようにしたが、これに限るものではない。すなわち、例えば、照射板30上に映し出されたビームスポットと新設配管部材10Bの外周面との間隔Gが、周方向の複数個所においてほぼ均等となるように新設配管部材10Bの位置を調整するようにしても良い。すなわち、上下方向、左右方向のそれぞれにおいて、両側の間隔Gが均等となるように新設配管部材10Bの位置を調整するのである。ただしこの場合、調整後に改めてレーザビーム照射による位置確認が必要であるため、トライアンドエラーの作業となる。
また、このような場合、照射板30に、基準となる円弧を描いておき、周方向複数個所の各照射位置において、この円弧にビームスポットの位置を合わせるように新設配管部材10Bの位置を調整しても良い。
【0037】
上記実施形態では、レーザ照射装置20を既設配管部材10Aに設け、新設配管部材10Bに照射板30を設けるようにしたが、これに限らず、レーザ照射装置20を新設配管部材10Bに設け、照射板30を既設配管部材10Aに設けてもよい。
【0038】
さらに、照射板30でレーザビームBを反射するようにし、その反射光をレーザポインタ22側で受光することで、既設配管部材10Aと新設配管部材10Bとの間隔Lを把握するようにしても良い。
【0039】
また前記実施形態では、複数のローラ28のうち、リング軸回りに互いに隣接するもののうちの1組が、張力付与部材25により連結されているものとしたが、これに限られず、2組以上が張力付与部材25により連結されていても良い。この場合、例えばローラリンク部材24に代えて、張力付与部材25を設けること等が可能である。
【0040】
その他、本発明の主旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10 配管部材(配管)
10A 既設配管部材
10B 新設配管部材
20 レーザ照射装置
21 リング状体
22 レーザポインタ(照射手段)
23 ベース台車(連結部材)
23a ベース板
24 ローラリンク部材
24a 端部
24b 端部
25 張力付与部材(連結部材)
25a クランププレート
26 ブラケット
27 シャフト
28 ローラ
28a ベアリング
29 ジョイントプレート(連結部材)
29a カラー
30 照射板(レーザ照射的)
30a 内径部
100 パイプライン
100A 一端側パイプライン
100B 他端側パイプライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管に外周面に沿って装着されるとともに、前記配管の外周面に沿って装着された状態で、該配管の周方向に回転可能なリング状体と、
前記リング状体の一部に設けられ、該リング状体のリング軸方向に沿ってレーザ光を照射する照射手段と、を備え、
前記リング状体は、
回転軸が前記リング軸方向に沿って延在し、該リング軸回りに複数配置されたローラと、
これらのローラのうち、前記リング軸回りに互いに隣接するものを連結する連結部材と、を備え、
前記連結部材のうち少なくとも1つは、連結する前記リング軸回りに隣り合うローラを互いに接近させる方向の引張力を付与する張力付与部材であることを特徴とするレーザ照射装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ照射装置と、
前記レーザ照射装置が装着された前記配管に対し、当該配管の軸線方向に沿って離間した他の配管に着脱可能に装着されるレーザ照射的と、を備えていることを特徴とする配管位置調整装置。
【請求項3】
請求項2に記載の配管方向調整装置を用い、互いに離間した二つの配管の位置を調整する方法であって、
一方の前記配管の外周面に沿って前記レーザ照射装置を装着するとともに、他方の前記配管に前記レーザ照射的を装着する工程と、
前記レーザ照射装置を、一方の前記配管の外周面に沿って、該配管の軸線を中心として周方向に回転させる工程と、
前記照射手段から前記レーザ照射的にレーザ光を照射する工程と、
前記レーザ光を照射することにより前記レーザ照射的に映し出されたビームスポットの位置に基づき、一方の前記配管と他方の前記配管の位置関係を調整する工程と、を備えることを特徴とする配管位置調整方法。
【請求項4】
前記レーザ光を照射する工程では、前記レーザ照射装置を、一方の前記配管の外周面に沿って周方向に回転させて、その周方向の複数個所において前記レーザ光を照射し、
一方の前記配管と他方の前記配管の位置関係を調整する工程では、それぞれの前記箇所における前記ビームスポットの位置に基づき、一方の前記配管と他方の前記配管の位置関係を調整することを特徴とする請求項3に記載の配管位置調整方法。
【請求項5】
一方の前記配管と他方の前記配管の位置関係を調整する工程では、前記レーザ光を照射することにより前記レーザ照射的に映し出されたビームスポットの位置に基づき、一方の前記配管に対する他方の前記配管の位置ズレ量を算出し、算出された位置ズレ量に基づき、一方の前記配管と他方の前記配管の位置関係を調整することを特徴とする請求項3または4に記載の配管位置調整方法。
【請求項6】
請求項3から5いずれか1項に記載の配管位置調整方法を有するパイプラインの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−219911(P2012−219911A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86188(P2011−86188)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(500171811)日鉄パイプライン株式会社 (34)