説明

レールガン式二段加速装置

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本発明は、核融合実験装置等に適用するレールガン式二段加速装置に関するものである。
(従来の技術)
従来のレールガン式二段加速装置を第5図乃至第8図R>図、及び第9、10図に示した。
先ず第5図乃至第8図に示すレールガン式二段加速装置を説明すると、第5図の(1)がガス銃式飛翔体初期加速装置、(10)が放電用電源、第5、6図の(2)が導入管、第5図の(3)がパルス整形回路網、(4)がプラズマ、第5、8図の(5)が飛翔体、(6)(6)がレール、第7図の(8)がニードル、第8図の(d1)が導入管(2)の内径(飛翔体(5)の外径に略同じ導入管(2)の内径)、(d2)がレール(6)(6)間のうち、導入管側部分の内径、(d3)が同導入管側部分以降のレール(6)(6)間部分の内径で、ニードル(8)がレール(6)(6)間のうち、導入管側部分(内径(d2)の部分)に突出している。
次に第9、10図に示すレールガン式二段加速装置を説明すると、(2)が導入管、(5)が飛翔体、(6)(6)がレール、(8)がニードル、(d1)が導入管(2)の内径(飛翔体(5)の外径に略同じ導入管(2)の内径)、(d4)がレール(6)(6)間の内径(飛翔体(5)の外径に略同じレール(6)(6)間の内径)で、ニードル(8)が埋め込まれて、レール(6)(6)間のうち、導入管側部分に突出していない。
次に前記第5図乃至第8図、及び前記第9、10図に示すレールガン式二段加速装置の作用を説明すると、ガス銃式飛翔体初期加速装置(1)により射出された飛翔体(5)が加速ガスの膨張により初期加速されながら導入管(2)からレール(6)(6)間へ入射されて、ニードル(8)部を通過するとき、放電用電源(10)によりニードル(8)から飛翔体(5)後方の加速ガス中へ放電トリガとして電圧が印加されて、飛翔体(5)後方の加速ガスが絶縁破壊され、加速ガス中にプラズマ(4)が発生して、飛翔体(5)が追加速されるようになっている。
(発明が解決しようとする課題)
前記第5図乃至第8図に示すレールガン式二段加速装置には、次の問題があった。即ち、■ ニードル(8)がレール(6)(6)間のうち、導入管側部分(内径(d2の部分)に突出しているので、導入管(2)からレール(6)(6)間へ入射した飛翔体(5)にニードル(8)に衝突して、飛翔体(5)が破砕される。
■ 外径が導入管(2)の内径(d1)に略同じ飛翔体(5)がそれよりも大径のレール(6)(6)間の導入管側部分(内径(d2)の部分)に入射されるので、飛翔体(5)後方のプラズマ(4)が飛翔体(5)の前方に回り込んで、飛翔体(5)が有効に追加速されない。
■ 飛翔体(5)がその外径よりも大きいレール(6)(6)間の導入管側部分(内径(d2)の部分)に一旦入射された後、再び飛翔体(5)の外径に近い導入管側部分以降のレール(6)(6)間部分(内径(d3)の部分)に入射されるので、飛翔体(5)がレール(6)(6)間の導入管側部分(内径(d2)の部分)からレール(6)(6)間部分(内径(d3)の部分)に入り込む確率が低いという問題があった。
また、前記第9、10図に示すレールガン式二段加速装置には、次の問題があった。即ち、■ ニードル(8)が埋設されており、ニードル(8)の先端に電界が集中するので、安定で、均一な放電が得にくい。
■ ニードル(8)からレール(6)(6)の一方に放電する可能性があって、作動が不安定になるという問題があった。
本発明は前記の問題点に鑑み提案するものであり、その目的とする処は、■飛翔体の健全性を確保でき、■飛翔体の追加速を有効に行うことができ、■高速な飛翔体加速のマツチングを容易に行うことができるレールガン式二段加速装置を提供しようとする点にある。
(課題を解決するための手段)
上記の目的を達成するために、本発明は、ガス銃式飛翔体初期加速装置により初期加速された飛翔体の後方にある加速ガス中に通電することによりプラズマを発生させ、このプラズマにより飛翔体を一対のレール間にかけられた電圧と自己磁場とにより生じる電磁力(ローレンツ力)によって加速するとともに飛翔体を追加速するレールガン式二段加速装置において、レーザ光を飛翔体の後方の加速ガス中へ入射するレーザ光入射手段を具えている。
(作用)
本発明のレールガン式二段加速装置は前記のように構成されており、ガス銃式飛翔体初期加速装置により射出された飛翔体を加速ガスの膨張により初期加速しながら導入管から一対のレール間へ入射する。このとき、レーザ光をレーザ光入射手段から飛翔体後方の加速ガスへ入射して、放電トリガを与え、飛翔体後方の加速ガス中にプラズマを発生させて、飛翔体を追加速する。
(実施例)
次に本発明のレールガン式二段加速装置を第1図乃至第3図に示す一実施例により説明すると、(1)がガス銃式飛翔体初期加速装置、(2)が導入管、(3)がパルス整形回路網、(4)がプラズマ、(5)が飛翔体、(6)(6)がレール、(7)が上記パルス整形回路網(3)の近傍位置に配設したレーザ光入射手段で、レーザ光(7′)をレーザ光入射手段(7)から飛翔体(5)の後方の加速ガス中へ入射するようになっている。また(d1)が導入管(2)の内径(飛翔体(5)の外径に略同じ導入管(2)の内径)、(d4)がレール(6)(6)間の内径(飛翔体(5)の外径に略同じレール(6)(6)間の内径である。
次に前記第1図乃至第3図に示すレールガン式二段加速装置の作用を具体的に説明する。
ガス銃式飛翔体初期加速装置(1)により射出された飛翔体(5)を加速ガスの膨張により初期加速しながら導入管(2)から一対のレール(6)(6)間へ入射する。
このとき、レーザ光(7′)をレーザ光入射手段(7)から飛翔体(5)後方の加速ガスへ入射して、放電トリガを与え、飛翔体(5)後方の加速ガス中にプラズマ(4)を発生させて、飛翔体(5)を追加速する。
第4図は、レーザ光入射手段(7)をガス銃式飛翔体初期加速装置(1)の背後に配設して、レーザ光(7′)を同ガス銃式飛翔体初期加速装置(1)から一対のレール(6)(6)間の飛翔体(5)後方の加速ガス中へ入射させる以外、前記第1図乃至第3図に示す実施例と同様に構成した他の実施例で、この実施例でも前記と同様の作用が行われる。
(発明の効果)
本発明のレールガン式二段加速装置は前記のようにガス銃式飛翔体初期加速装置により射出された飛翔体を加速ガスの膨張により初期加速しながら導入管から一対のレール間へ入射する。このとき、レーザ光をレーザ光入射手段から飛翔体後方の加速ガスへ入射して、放電トリガを与え、飛翔体後方の加速ガス中にプラズマを発生させて、飛翔体を追加速するので、つまりプラズマを発生させるための放電トリガをレーザ光により与えるので、レール間の径を導入管の径と略同じにできる。そのため、■飛翔体のニードル等の突起物に対する衝突、破砕を防止できて、飛翔体の健全性を確保できる。■飛翔体後方のプラズマの飛翔体前方への回り込みを防止できて、飛翔体の追加速を有効に行うことができる。
またレーザ光によるプラズマ発生の後れ時間は非常に短いので、高速な飛翔体加速のマツチングを容易に行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係わるレールガン式二段加速装置の一実施例を示す系統図、第2図はレーザ光が飛翔体の加速方向に対して側方から入射される状態を示した説明図、第3図は導入管とレールとを示す縦断側面図、第4図は他の実施例を示す系統図、第5図は従来のレールガン式二段加速装置を示す系統図、第6図は導入管及びレールの縦断正面図、第7図はレール及びニードルの縦断正面図、第8図は導入管及びレールの拡大縦断側面図、第9図R>図は他の従来例のレール及びニードルの縦断正面図、第10図は同従来例の導入管及びレールの拡大縦断側面図である。
(1)……ガス銃式飛翔体初期加速装置、(2)……導入管、(3)……パルス整形回路網、(4)……プラズマ、(5)……飛翔体、(6)(6)……レール、(7)……レーザ光入射手段、(7′)……レーザ光、(d1)……導入管(2)の内径、(d4)……レール(6)(6)間の内径。

【特許請求の範囲】
【請求項1】ガス銃式飛翔体初期加速装置により初期加速された飛翔体の後方にある加速ガス中に通電することによりプラズマを発生させ、このプラズマにより飛翔体を一対のレール間にかけられた電圧と自己磁場とにより生じる電磁力によって加速するとともに飛翔体を追加速するレールガン式二段加速装置において、レーザ光を飛翔体の後方の加速ガス中へ入射するレーザ光入射手段を具えていることを特徴としたレールガン式二段加速装置。

【第1図】
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【第2図】
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【第3図】
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【第4図】
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【第6図】
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【第7図】
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【第9図】
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【第5図】
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【第8図】
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【第10図】
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【特許番号】第2737055号
【登録日】平成10年(1998)1月16日
【発行日】平成10年(1998)4月8日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭63−259531
【出願日】昭和63年(1988)10月17日
【公開番号】特開平2−107993
【公開日】平成2年(1990)4月19日
【審査請求日】平成7年(1995)9月11日
【出願人】(999999999)三菱重工業株式会社
【参考文献】
【文献】特開 昭60−138488(JP,A)
【文献】特開 昭63−169500(JP,A)
【文献】特開 昭64−70698(JP,A)
【文献】実開 昭62−51300(JP,U)