レールマウント式門型クレーンのベルトコンベア式レーン移動方法及び装置
【課題】RMT1(レールマウント式門型クレーン)のレーン間移動を、短時間で機動的に行え、故障が少なくメンテナンス性の高い構造及び設備により実現し、コンテナヤード15内におけるRMT1の効率的な運用を実現することを目的とする。
【解決手段】レーン間を結ぶように設置されたベルトコンベア40上に、前記RMT1を移動し、ベルトコンベア40を運転して、移動先レーンまで前記RMT1を移動させる。
【解決手段】レーン間を結ぶように設置されたベルトコンベア40上に、前記RMT1を移動し、ベルトコンベア40を運転して、移動先レーンまで前記RMT1を移動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば港湾等のコンテナヤード内において、コンテナの運搬を行うレールマウント式門型クレーン及びコンテナヤード内の設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
港湾等のコンテナヤードでは、クレーンによって船舶及びトレーラ間の、コンテナの積み下ろしを行っている。
【0003】
図8にコンテナヤード15の概観を示す。
【0004】
コンテナ船等の船舶16によって運搬された20ftあるいは40ftコンテナ等のコンテナ31は、岸壁に設置されたコンテナクレーン17によって荷揚げされ、コンテナヤード15内を走行するトレーラ32に搭載される。トレーラ32に搭載されたコンテナ31は、門型クレーン1によって複数列に整然と並べられ、荷揚げを完了する。これらのコンテナ31は他の船舶16に再び積まれたり、トレーラ32により他の場所へ運搬されたりする。同様のコンテナヤードを内陸地における貨物のターミナルとして利用することもある。
【0005】
ここで、使用されている門型クレーン1は大きく分けて、タイヤにより移動するもの(以下、RTT)と、レール及び車輪の組み合わせで移動するレールマウント式門型クレーン(以下、RMT)がある。RTTはヤード15内を自在に移動することが可能であるが、運搬物の重量又は自重が増加すると、それを支えるためのタイヤの個数が多くなる。コンテナ31等の運搬物の重量が大きい場合は、タイヤでは支えきれなくなるため、RMTが採用される。
【0006】
また、RMTは、ヤード15内に敷設されたレール13上を移動することで、走行方向が規定され、位置決めが容易となり、吊荷移動の際は荷揺が少ない安定した運搬を実現している。さらに、レール13に沿って移動するため、RMTの側面図である図10に示すケーブルリール20等で給電することが可能となるため、エンジンを搭載したクレーンに比べメンテナンス性が高く、排気ガス等も発生しないため環境性能も高い。
【0007】
他方、RMTは、コンテナヤード15において荷役作業の高効率化や作業の平準化を図るために、例えば図8に示した第1レーン21の荷役作業量が少なく、第2レーン22の作業量が多い場合に、第1レーン21のクレーンC1を第2レーン22に移動させるという要求があり、また、故障時の対策としてRMTをレーン間(例えば第1レーン21と第2レーン22)で移動させるという要求があるが、RMTはレーン間を移動する手段を持たないため、あらかじめひとつのレーンに多数のクレーンを配置しておくことで対応している場合があり、設備的に無駄が大きく、非効率であるという問題を抱えていた。
【0008】
これに対して、RMTのレーン間移動を行うための発明がなされてきた(例えば特許文献1参照)。
【0009】
特許文献1に記載の発明によれば、RMTのレーン間移動を実現するために、図7に示すように、各レーン(例えば第1レーン21、第2レーン22)に対して垂直に交わる方向に、レーン間移動用レール33を敷設し、RMT37のレーン間移動を実現している。
【0010】
この時、荷役作業用レーン端部38に移動したRMT37は、前記RMT37下部に設置されたジャッキ36によりジャッキアップすることで、車輪11にかかる荷重を抜き、RMT37と車輪11の間に設置された図示しない旋回装置を作動させ、車輪11を90度回転させる。その後、車輪11がレーン間移動用レール33に乗るように、ジャッキアップしたRMT37を降ろすことで、RMT37の方向は変えずに車輪11のみレーン間移動用レール33の方向に回転させ、レーン間移動用レール33上を移動するよう構成されている。
【特許文献1】特開2004−175515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1の記載の方法においては、図7に示すようにRMT37をジャッキアップし、車輪11を旋回させた後、レーン間移動用レール33を走行し、移動先であるレーンを走行するため再びジャッキアップ及び車輪11の旋回を行うため、レーン間の移動に時間及び手間がかかるので、RMT37のレーン間移動を容易かつ機動的に行うことは困難である。
【0012】
また、RMT37をジャッキアップするジャッキ36や、車輪11を旋回させるための旋回装置等の機構が必要となり、これらの機構には重量物であるRMT37やコンテナ31の重量が常にかかるため、不具合が生じやすくなり、そのためメンテナンス性が低いという問題がある。特に、港湾で使用される場合は、複雑な機構が潮風の影響を受け、劣化が激しくなり故障の発生頻度が高くなる。
【0013】
更に、図7に示すようにレール13に切断部25が存在し、このレール切断部25をクレーンの車輪11が通過する際、レール切断部25の角で車輪11と接触する部分の摩耗が激しくなり、レール13及びレーン間移動用レール33の交換回数が増加してしまう。
【0014】
特に近年、港湾等のコンテナヤード15は24時間フル稼働となる場合も多く、RMT37のメンテナンス頻度が高くなると、コンテナヤード15の稼働率は著しく低下してしまい、さらに、レール磨耗に伴うレール交換作業中は、そのレール13に関わるRMT1の使用が不可能となるため、コンテナヤード15の稼働率の大幅低下は不可避となってしまう。
【0015】
そこで、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、RMTのレーン間移動を、短時間で機動的に行え、故障が少なくメンテナンス性の高い構造及び設備により実現し、コンテナヤード15内におけるRMTの効率的な運用を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明に係るベルトコンベア式レーン移動方法は、箱状のコンテナ輸送に使用されるRMT1が、走行するために敷設された2本の平行レールで構成されたレーンを、複数設けた港湾等のコンテナヤード15で、前記RMT1を他のレーンに移動する方法であって、レーン間を結ぶように設置されたベルトコンベア40上に、前記RMT1を移動・載置し、ベルトコンベア40を運転して、移動先レーンまで前記RMT1を移動させることを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の発明にかかるベルトコンベア式レーン移動装置は、箱状のコンテナ輸送に使用されるRMT1が、走行するために敷設された2本の平行レールで構成されたレーンを、複数設けた港湾等のコンテナヤード15で、前記RMT1を他のレーンに移動する装置であって、各レーンと接するように設置された、前記RMT1を運搬するためのベルトコンベア40を具備したことを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載の発明にかかるベルトコンベア式レーン移動装置は、各レーン端部にベルトコンベア40が接するよう配置されたことを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の発明にかかるベルトコンベア式レーン移動装置は、前記RMT1に対応したレール溝45を有した板状物43と、前記板状物43を連結接続するための接続ゴム44と、を有したキャタピラ41を具備したことを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載の発明にかかるベルトコンベア式レーン移動装置は、前記RMT1をベルトコンベアに固定するための固定具を具備したことを特徴とする。
【0021】
具体的には、前記固定具が前記RMT1の車輪11近傍に設置された固定用ピン47と、前記板状物43に設けられた前記固定用ピン47に対応する孔状又は溝状の固定用溝46によって構成されている。
【0022】
さらには、前記RMT1を前記ベルトコンベア40に搭載する際の位置合わせを行う、位置合わせセンサ52を前記ベルトコンベア40に設置することで、前記固定用ピン47と固定用溝46の連結を補助することも可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明のベルトコンベア式レーン移動方法により、従来の方法に比べ、RMT1がレーン間を移動する際に、ジャッキアップや旋回等の必要な動作がなくなり、必要とする時間が短縮され、より機動的に、容易にRMT1のレーン間移動を実現することが可能となった。
【0024】
RMT1が旋回装置やジャッキ36を具備する必要がないため、単純な機構で構成することが可能となった。そのため、RMT1の故障となる要因が減少し、メンテナンス性が向上した。特に港湾等のコンテナヤード15で使用されるRMT1は、潮風の影響等で金属の疲労や劣化が激しくなるため、より単純な構造で故障が少ない機械であることが望まれ、本発明はその要求を満たすものである。
【0025】
RMT1をベルトコンベア40に固定し、RMT1の転倒や脱輪を防止するための固定具を用いることで、ベルトコンベア40作動時におけるRMT1の安定性が向上し、RMT1のレーン間移動速度を高めることが可能となった。
【0026】
レール溝45を有した板状物43を具備したキャタピラ41を使用することで、RMT1の搭載を容易にし、ベルトコンベア40作動時の安定性が向上した。また、キャタピラ41のRMT1搭載箇所以外の部分は、前記板状物43を必ずしも備える必要はなく、例えばゴムや鎖状物等のキャタピラ代替物48で構成することで、ベルトコンベア40の構造を単純化することが可能となり、メンテナンス性が向上した。
【0027】
位置合わせセンサ52をベルトコンベア40に、望ましくは板状物43に設置したことで、レール13と板状物43に設けられたレール溝45の位置合わせを正確かつ迅速に行うことを可能とした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0029】
図1は本発明の概略の平面図、図2はその正面図、そして図3は側面図である。第1レーン21及び第2レーン22は平行な1組のレール13により構成されており、前記レーンに対応したRMT1が設置されている。各レーンの端部に接するようにベルトコンベア40が設置されている。
【0030】
図2に示すベルトコンベア40は、RMT1の車輪11に対応したレール溝45を備えた板状物43を、接続ゴム44で連結し、さらにRMT1の搭載予定のないと思われる箇所は、キャタピラ代替物48が連結されたキャタピラ41と、駆動装置42とを具備している。
【0031】
図4及び図5はRMT1の車輪11とベルトコンベア40の板状物43との固定を、固定用ピン47と固定用溝46により行っている様子を示している。
【0032】
図6はRMT1の車輪11とベルトコンベア40のレール溝45との関係を示しており、RMT1下部に車軸14を介して設置された車輪11が、キャタピラ41の板状物43に設けられたレール溝45に導かれている。
【0033】
図9はRMT1の荷役時の概略図であり、レールマウント式門型クレーンであるRMT1がコンテナ31をトロリ12で吊り上げ、待機しているトレーラ32に搭載する様子を示している。RMT1は移動の際、車輪11を利用する。
【0034】
図10はRMT1の側面図である。RMT1は、下部に配置された支持部35を介して設置された複数の車輪11によりレール13上を移動する。
【0035】
図11は、コンテナヤード15内にベルトコンベア40を設置した概略図を示している。
【0036】
図1に示すように第2レーン22の端部にRMT1を移動させ、前記端部に隣接して設置されているベルトコンベア40に搭載する。その後、ベルトコンベア40のキャタピラ41を稼動させ、目標とするレーンまでRMT1を移動させ、例えば第1レーン21に移動させることが可能となっている。
【0037】
ベルトコンベア40は、板状物43と接続ゴム44を交互に接続したキャタピラ41と駆動装置42とを具備しており、板状物43はRMT1の車輪11に対応するレール溝45を備えている。ここで、キャタピラ41の一部を、板状物43と接続ゴム44に替えて、ゴム状ベルトや鎖状物等のキャタピラ代替物48で構成してもよい。
【0038】
図2に示すように、キャタピラ41は駆動装置42により稼動するよう構成されており、キャタピラ41のRMT1を搭載する可能性のない場所、例えば図2に示すキャタピラ41の下半分を構成する箇所は、前記キャタピラ代替物48で構成することが可能であり、それにより、ベルトコンベア40の構造の単純化や、低コスト化を実現することが可能となっている。
【0039】
図3に示すように、RMT1が走行するレール13とキャタピラ41の上面は同じ高さになるように配置されており、RMT1のキャタピラ41への移動をスムーズにしている。
【0040】
図4及び図5はRMT1の車輪11とキャタピラ41を固定に用いる固定具の様子を示している。RMT1は車輪11近傍に固定用ピン47を搭載しており、前記固定用ピン47に対応する孔状若しくは溝状の固定用溝46が板状物43に構成されている。RMT1をキャタピラ41に搭載後、固定用ピン47は油圧等により、押し出され固定用溝46に挿入し、RMT1をキャタピラ41に固定することが可能となっている。この固定具により、ベルトコンベア40の移動時における、RMT1の転倒及び脱輪防止を実現している。また、ベルトコンベア40の移動速度を上昇した際は、前記固定具によりRMT1の転倒及び脱輪防止に大きな効果を得ることができる。
【0041】
図6はRMT1をキャタピラ41に搭載した際の、車輪11部の拡大図を示している。車輪11は、RMT1下部に車軸14を介して設置されており、両側面につば18を具備している。ここで、板状物43はレール溝45を具備しており、前記レール溝45は、レーンを構成しているレール13と同じ高さになるように形成され、RMT1がレーンからキャタピラ41へ振動等が少なく、安定した状態でスムーズに移動することを可能としている。
【0042】
また、位置合わせセンサ52により、レール13とレール溝45の位置合わせを迅速に行うことを可能とした。そのため、RMT1のレーン間移動速度が上がり、コンテナヤード15におけるRMT1の効率的な配置を、状況に合わせて迅速に変化させることが可能となり、その結果、荷役効率の高いコンテナヤード15の提供を実現した。
【0043】
図11は本発明の実施例の1つを示している。例えば、コンテナヤード15内に8つのレーンが図に示すように配置されている場合、中間地点にベルトコンベア40を設置することで、すべてのレーン間でRMT1を移動させることが可能となっている。
【0044】
また、図11に示すようにRMT1をメンテナンスするためのメンテナンスレーン49を設けることで、荷役作業に影響を及ぼさず、RMT1のメンテナンスが可能となり、さらに、メンテナンスレーン49のRMT1は、荷役作業の集中しているレーンに状況に応じて、機動的に投入することが可能となっている。
【0045】
上述のように、本発明のベルトコンベア式レーン移動方法及び装置により、RMT1のレーン間移動を、短時間で機動的に行え、故障が少なくメンテナンス性の高い構造及び設備により実現し、コンテナヤード15内におけるRMT1の効率的な運用が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明のベルトコンベア式レーン移動装置の概略を示した平面図である。
【図2】本発明のベルトコンベア式レーン移動装置の概略を示した正面図である。
【図3】本発明のベルトコンベア式レーン移動装置の概略を示した側面図である。
【図4】RMTをベルトコンベアに固定する固定具設置状況を示した概略図である。
【図5】RMTをベルトコンベアに固定する固定具設置状況を示した概略図である。
【図6】RMTをベルトコンベアに搭載した際の、車輪周辺部の拡大図である。
【図7】従来のレーン移動装置の概略図である。
【図8】港湾等のコンテナヤード全体を示した概略図である。
【図9】RMTによる荷役の状態を示した概略図である。
【図10】RMTの側面図である。
【図11】本発明のベルトコンベア式レーン移動装置の実施例である。
【符号の説明】
【0047】
1 レールマウント式門型クレーン(RMT)
11 車輪
15 コンテナヤード
40 ベルトコンベア
41 キャタピラ
43 板状物
44 接続ゴム
45 レール溝
46 固定用溝
47 固定用ピン
48 キャタピラ代替物
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば港湾等のコンテナヤード内において、コンテナの運搬を行うレールマウント式門型クレーン及びコンテナヤード内の設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
港湾等のコンテナヤードでは、クレーンによって船舶及びトレーラ間の、コンテナの積み下ろしを行っている。
【0003】
図8にコンテナヤード15の概観を示す。
【0004】
コンテナ船等の船舶16によって運搬された20ftあるいは40ftコンテナ等のコンテナ31は、岸壁に設置されたコンテナクレーン17によって荷揚げされ、コンテナヤード15内を走行するトレーラ32に搭載される。トレーラ32に搭載されたコンテナ31は、門型クレーン1によって複数列に整然と並べられ、荷揚げを完了する。これらのコンテナ31は他の船舶16に再び積まれたり、トレーラ32により他の場所へ運搬されたりする。同様のコンテナヤードを内陸地における貨物のターミナルとして利用することもある。
【0005】
ここで、使用されている門型クレーン1は大きく分けて、タイヤにより移動するもの(以下、RTT)と、レール及び車輪の組み合わせで移動するレールマウント式門型クレーン(以下、RMT)がある。RTTはヤード15内を自在に移動することが可能であるが、運搬物の重量又は自重が増加すると、それを支えるためのタイヤの個数が多くなる。コンテナ31等の運搬物の重量が大きい場合は、タイヤでは支えきれなくなるため、RMTが採用される。
【0006】
また、RMTは、ヤード15内に敷設されたレール13上を移動することで、走行方向が規定され、位置決めが容易となり、吊荷移動の際は荷揺が少ない安定した運搬を実現している。さらに、レール13に沿って移動するため、RMTの側面図である図10に示すケーブルリール20等で給電することが可能となるため、エンジンを搭載したクレーンに比べメンテナンス性が高く、排気ガス等も発生しないため環境性能も高い。
【0007】
他方、RMTは、コンテナヤード15において荷役作業の高効率化や作業の平準化を図るために、例えば図8に示した第1レーン21の荷役作業量が少なく、第2レーン22の作業量が多い場合に、第1レーン21のクレーンC1を第2レーン22に移動させるという要求があり、また、故障時の対策としてRMTをレーン間(例えば第1レーン21と第2レーン22)で移動させるという要求があるが、RMTはレーン間を移動する手段を持たないため、あらかじめひとつのレーンに多数のクレーンを配置しておくことで対応している場合があり、設備的に無駄が大きく、非効率であるという問題を抱えていた。
【0008】
これに対して、RMTのレーン間移動を行うための発明がなされてきた(例えば特許文献1参照)。
【0009】
特許文献1に記載の発明によれば、RMTのレーン間移動を実現するために、図7に示すように、各レーン(例えば第1レーン21、第2レーン22)に対して垂直に交わる方向に、レーン間移動用レール33を敷設し、RMT37のレーン間移動を実現している。
【0010】
この時、荷役作業用レーン端部38に移動したRMT37は、前記RMT37下部に設置されたジャッキ36によりジャッキアップすることで、車輪11にかかる荷重を抜き、RMT37と車輪11の間に設置された図示しない旋回装置を作動させ、車輪11を90度回転させる。その後、車輪11がレーン間移動用レール33に乗るように、ジャッキアップしたRMT37を降ろすことで、RMT37の方向は変えずに車輪11のみレーン間移動用レール33の方向に回転させ、レーン間移動用レール33上を移動するよう構成されている。
【特許文献1】特開2004−175515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1の記載の方法においては、図7に示すようにRMT37をジャッキアップし、車輪11を旋回させた後、レーン間移動用レール33を走行し、移動先であるレーンを走行するため再びジャッキアップ及び車輪11の旋回を行うため、レーン間の移動に時間及び手間がかかるので、RMT37のレーン間移動を容易かつ機動的に行うことは困難である。
【0012】
また、RMT37をジャッキアップするジャッキ36や、車輪11を旋回させるための旋回装置等の機構が必要となり、これらの機構には重量物であるRMT37やコンテナ31の重量が常にかかるため、不具合が生じやすくなり、そのためメンテナンス性が低いという問題がある。特に、港湾で使用される場合は、複雑な機構が潮風の影響を受け、劣化が激しくなり故障の発生頻度が高くなる。
【0013】
更に、図7に示すようにレール13に切断部25が存在し、このレール切断部25をクレーンの車輪11が通過する際、レール切断部25の角で車輪11と接触する部分の摩耗が激しくなり、レール13及びレーン間移動用レール33の交換回数が増加してしまう。
【0014】
特に近年、港湾等のコンテナヤード15は24時間フル稼働となる場合も多く、RMT37のメンテナンス頻度が高くなると、コンテナヤード15の稼働率は著しく低下してしまい、さらに、レール磨耗に伴うレール交換作業中は、そのレール13に関わるRMT1の使用が不可能となるため、コンテナヤード15の稼働率の大幅低下は不可避となってしまう。
【0015】
そこで、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、RMTのレーン間移動を、短時間で機動的に行え、故障が少なくメンテナンス性の高い構造及び設備により実現し、コンテナヤード15内におけるRMTの効率的な運用を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明に係るベルトコンベア式レーン移動方法は、箱状のコンテナ輸送に使用されるRMT1が、走行するために敷設された2本の平行レールで構成されたレーンを、複数設けた港湾等のコンテナヤード15で、前記RMT1を他のレーンに移動する方法であって、レーン間を結ぶように設置されたベルトコンベア40上に、前記RMT1を移動・載置し、ベルトコンベア40を運転して、移動先レーンまで前記RMT1を移動させることを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の発明にかかるベルトコンベア式レーン移動装置は、箱状のコンテナ輸送に使用されるRMT1が、走行するために敷設された2本の平行レールで構成されたレーンを、複数設けた港湾等のコンテナヤード15で、前記RMT1を他のレーンに移動する装置であって、各レーンと接するように設置された、前記RMT1を運搬するためのベルトコンベア40を具備したことを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載の発明にかかるベルトコンベア式レーン移動装置は、各レーン端部にベルトコンベア40が接するよう配置されたことを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の発明にかかるベルトコンベア式レーン移動装置は、前記RMT1に対応したレール溝45を有した板状物43と、前記板状物43を連結接続するための接続ゴム44と、を有したキャタピラ41を具備したことを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載の発明にかかるベルトコンベア式レーン移動装置は、前記RMT1をベルトコンベアに固定するための固定具を具備したことを特徴とする。
【0021】
具体的には、前記固定具が前記RMT1の車輪11近傍に設置された固定用ピン47と、前記板状物43に設けられた前記固定用ピン47に対応する孔状又は溝状の固定用溝46によって構成されている。
【0022】
さらには、前記RMT1を前記ベルトコンベア40に搭載する際の位置合わせを行う、位置合わせセンサ52を前記ベルトコンベア40に設置することで、前記固定用ピン47と固定用溝46の連結を補助することも可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明のベルトコンベア式レーン移動方法により、従来の方法に比べ、RMT1がレーン間を移動する際に、ジャッキアップや旋回等の必要な動作がなくなり、必要とする時間が短縮され、より機動的に、容易にRMT1のレーン間移動を実現することが可能となった。
【0024】
RMT1が旋回装置やジャッキ36を具備する必要がないため、単純な機構で構成することが可能となった。そのため、RMT1の故障となる要因が減少し、メンテナンス性が向上した。特に港湾等のコンテナヤード15で使用されるRMT1は、潮風の影響等で金属の疲労や劣化が激しくなるため、より単純な構造で故障が少ない機械であることが望まれ、本発明はその要求を満たすものである。
【0025】
RMT1をベルトコンベア40に固定し、RMT1の転倒や脱輪を防止するための固定具を用いることで、ベルトコンベア40作動時におけるRMT1の安定性が向上し、RMT1のレーン間移動速度を高めることが可能となった。
【0026】
レール溝45を有した板状物43を具備したキャタピラ41を使用することで、RMT1の搭載を容易にし、ベルトコンベア40作動時の安定性が向上した。また、キャタピラ41のRMT1搭載箇所以外の部分は、前記板状物43を必ずしも備える必要はなく、例えばゴムや鎖状物等のキャタピラ代替物48で構成することで、ベルトコンベア40の構造を単純化することが可能となり、メンテナンス性が向上した。
【0027】
位置合わせセンサ52をベルトコンベア40に、望ましくは板状物43に設置したことで、レール13と板状物43に設けられたレール溝45の位置合わせを正確かつ迅速に行うことを可能とした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0029】
図1は本発明の概略の平面図、図2はその正面図、そして図3は側面図である。第1レーン21及び第2レーン22は平行な1組のレール13により構成されており、前記レーンに対応したRMT1が設置されている。各レーンの端部に接するようにベルトコンベア40が設置されている。
【0030】
図2に示すベルトコンベア40は、RMT1の車輪11に対応したレール溝45を備えた板状物43を、接続ゴム44で連結し、さらにRMT1の搭載予定のないと思われる箇所は、キャタピラ代替物48が連結されたキャタピラ41と、駆動装置42とを具備している。
【0031】
図4及び図5はRMT1の車輪11とベルトコンベア40の板状物43との固定を、固定用ピン47と固定用溝46により行っている様子を示している。
【0032】
図6はRMT1の車輪11とベルトコンベア40のレール溝45との関係を示しており、RMT1下部に車軸14を介して設置された車輪11が、キャタピラ41の板状物43に設けられたレール溝45に導かれている。
【0033】
図9はRMT1の荷役時の概略図であり、レールマウント式門型クレーンであるRMT1がコンテナ31をトロリ12で吊り上げ、待機しているトレーラ32に搭載する様子を示している。RMT1は移動の際、車輪11を利用する。
【0034】
図10はRMT1の側面図である。RMT1は、下部に配置された支持部35を介して設置された複数の車輪11によりレール13上を移動する。
【0035】
図11は、コンテナヤード15内にベルトコンベア40を設置した概略図を示している。
【0036】
図1に示すように第2レーン22の端部にRMT1を移動させ、前記端部に隣接して設置されているベルトコンベア40に搭載する。その後、ベルトコンベア40のキャタピラ41を稼動させ、目標とするレーンまでRMT1を移動させ、例えば第1レーン21に移動させることが可能となっている。
【0037】
ベルトコンベア40は、板状物43と接続ゴム44を交互に接続したキャタピラ41と駆動装置42とを具備しており、板状物43はRMT1の車輪11に対応するレール溝45を備えている。ここで、キャタピラ41の一部を、板状物43と接続ゴム44に替えて、ゴム状ベルトや鎖状物等のキャタピラ代替物48で構成してもよい。
【0038】
図2に示すように、キャタピラ41は駆動装置42により稼動するよう構成されており、キャタピラ41のRMT1を搭載する可能性のない場所、例えば図2に示すキャタピラ41の下半分を構成する箇所は、前記キャタピラ代替物48で構成することが可能であり、それにより、ベルトコンベア40の構造の単純化や、低コスト化を実現することが可能となっている。
【0039】
図3に示すように、RMT1が走行するレール13とキャタピラ41の上面は同じ高さになるように配置されており、RMT1のキャタピラ41への移動をスムーズにしている。
【0040】
図4及び図5はRMT1の車輪11とキャタピラ41を固定に用いる固定具の様子を示している。RMT1は車輪11近傍に固定用ピン47を搭載しており、前記固定用ピン47に対応する孔状若しくは溝状の固定用溝46が板状物43に構成されている。RMT1をキャタピラ41に搭載後、固定用ピン47は油圧等により、押し出され固定用溝46に挿入し、RMT1をキャタピラ41に固定することが可能となっている。この固定具により、ベルトコンベア40の移動時における、RMT1の転倒及び脱輪防止を実現している。また、ベルトコンベア40の移動速度を上昇した際は、前記固定具によりRMT1の転倒及び脱輪防止に大きな効果を得ることができる。
【0041】
図6はRMT1をキャタピラ41に搭載した際の、車輪11部の拡大図を示している。車輪11は、RMT1下部に車軸14を介して設置されており、両側面につば18を具備している。ここで、板状物43はレール溝45を具備しており、前記レール溝45は、レーンを構成しているレール13と同じ高さになるように形成され、RMT1がレーンからキャタピラ41へ振動等が少なく、安定した状態でスムーズに移動することを可能としている。
【0042】
また、位置合わせセンサ52により、レール13とレール溝45の位置合わせを迅速に行うことを可能とした。そのため、RMT1のレーン間移動速度が上がり、コンテナヤード15におけるRMT1の効率的な配置を、状況に合わせて迅速に変化させることが可能となり、その結果、荷役効率の高いコンテナヤード15の提供を実現した。
【0043】
図11は本発明の実施例の1つを示している。例えば、コンテナヤード15内に8つのレーンが図に示すように配置されている場合、中間地点にベルトコンベア40を設置することで、すべてのレーン間でRMT1を移動させることが可能となっている。
【0044】
また、図11に示すようにRMT1をメンテナンスするためのメンテナンスレーン49を設けることで、荷役作業に影響を及ぼさず、RMT1のメンテナンスが可能となり、さらに、メンテナンスレーン49のRMT1は、荷役作業の集中しているレーンに状況に応じて、機動的に投入することが可能となっている。
【0045】
上述のように、本発明のベルトコンベア式レーン移動方法及び装置により、RMT1のレーン間移動を、短時間で機動的に行え、故障が少なくメンテナンス性の高い構造及び設備により実現し、コンテナヤード15内におけるRMT1の効率的な運用が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明のベルトコンベア式レーン移動装置の概略を示した平面図である。
【図2】本発明のベルトコンベア式レーン移動装置の概略を示した正面図である。
【図3】本発明のベルトコンベア式レーン移動装置の概略を示した側面図である。
【図4】RMTをベルトコンベアに固定する固定具設置状況を示した概略図である。
【図5】RMTをベルトコンベアに固定する固定具設置状況を示した概略図である。
【図6】RMTをベルトコンベアに搭載した際の、車輪周辺部の拡大図である。
【図7】従来のレーン移動装置の概略図である。
【図8】港湾等のコンテナヤード全体を示した概略図である。
【図9】RMTによる荷役の状態を示した概略図である。
【図10】RMTの側面図である。
【図11】本発明のベルトコンベア式レーン移動装置の実施例である。
【符号の説明】
【0047】
1 レールマウント式門型クレーン(RMT)
11 車輪
15 コンテナヤード
40 ベルトコンベア
41 キャタピラ
43 板状物
44 接続ゴム
45 レール溝
46 固定用溝
47 固定用ピン
48 キャタピラ代替物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ輸送に使用されるレールマウント式門型クレーンが、走行するために敷設されたレールで構成されたレーンを、複数設けたコンテナヤードで、前記レールマウント式門型クレーンを他のレーンに移動する方法であって、レーン間を結ぶように設置されたベルトコンベア上に、前記レールマウント式門型クレーンを移動・載置し、ベルトコンベアを運転して、移動先レーンまで前記レールマウント式門型クレーンを移動させることを特徴とするベルトコンベア式レーン移動方法。
【請求項2】
コンテナ輸送に使用されるレールマウント式門型クレーンが、走行するために敷設されたレールで構成されたレーンを、複数設けたコンテナヤードで、前記レールマウント式門型クレーンを他のレーンに移動する装置であって、各レーンと接するように設置された、前記レールマウント式門型クレーンを運搬するためのベルトコンベアを具備したことを特徴とするベルトコンベア式レーン移動装置。
【請求項3】
各レーン端部にベルトコンベアが接するよう配置されたことを特徴とする請求項2に記載のベルトコンベア式レーン移動装置。
【請求項4】
前記レールマウント式門型クレーンに対応したレール溝を有した板状物と、前記板状物を連結接続するための接続ゴムと、を有したキャタピラを具備したことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のベルトコンベア式レーン移動装置。
【請求項5】
前記レールマウント式門型クレーンをベルトコンベアに固定するための固定具を具備したことを特徴とする請求項2乃至請求項4に記載のベルトコンベア式レーン移動装置。
【請求項1】
コンテナ輸送に使用されるレールマウント式門型クレーンが、走行するために敷設されたレールで構成されたレーンを、複数設けたコンテナヤードで、前記レールマウント式門型クレーンを他のレーンに移動する方法であって、レーン間を結ぶように設置されたベルトコンベア上に、前記レールマウント式門型クレーンを移動・載置し、ベルトコンベアを運転して、移動先レーンまで前記レールマウント式門型クレーンを移動させることを特徴とするベルトコンベア式レーン移動方法。
【請求項2】
コンテナ輸送に使用されるレールマウント式門型クレーンが、走行するために敷設されたレールで構成されたレーンを、複数設けたコンテナヤードで、前記レールマウント式門型クレーンを他のレーンに移動する装置であって、各レーンと接するように設置された、前記レールマウント式門型クレーンを運搬するためのベルトコンベアを具備したことを特徴とするベルトコンベア式レーン移動装置。
【請求項3】
各レーン端部にベルトコンベアが接するよう配置されたことを特徴とする請求項2に記載のベルトコンベア式レーン移動装置。
【請求項4】
前記レールマウント式門型クレーンに対応したレール溝を有した板状物と、前記板状物を連結接続するための接続ゴムと、を有したキャタピラを具備したことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のベルトコンベア式レーン移動装置。
【請求項5】
前記レールマウント式門型クレーンをベルトコンベアに固定するための固定具を具備したことを特徴とする請求項2乃至請求項4に記載のベルトコンベア式レーン移動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−242090(P2009−242090A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−94282(P2008−94282)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000005902)三井造船株式会社 (1,723)
【Fターム(参考)】
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