説明

ロックボルト締付構造

【課題】ロックボルト基端部にプレートに重ねてナットを締め付ける構造において、地山の表面に対し直角にロックボルトが打設されていなくて傾斜していても、地山表面にプレートを密着させられるようにする。
【解決手段】地山に定着させたロックボルト1の基端部にプレート2に重ねてナット3を締め付ける構造であって、ナット3のプレート2に対する座面を曲面部31に形成する。また、プレート2のナット3の着座面を、ナット3の曲面部31に対応する曲面部21に形成する。さらに、プレート2にナット3を収容する窪み部22を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地山に定着させたロックボルト基端部にプレートに重ねてナットを締め付ける構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ロックボルトは、山岳トンネル工法において、トンネル周囲の地山に挿入して定着させ、突出する基端部にナットを螺合させて締め付けを行うことにより、地山の耐荷性能を向上させる。
通常、ロックボルト施工後の地山には防水シートが被せられ、その後に次工程へと移っていく。そこで、防水シートを被せ易くするため、また、被せた防水シートが傷まないようにするため、ロックボルト施工後の基端部の突出長を短くする工夫がなされてきた。
【0003】
特許文献1には、地山に定着させたロックボルト基端部に、プレートに一体化結合したナットを締め付ける構造が開示されている。
特許文献2には、プレートに重ねてナットを、ロックボルト基端部に締め付ける構造が開示されている。
特許文献3には、プレートとナットをテーパ形状で係合する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−119393号公報
【特許文献2】特開2001−323799号公報
【特許文献3】特開2009−293196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1−3のような従来の締付構造では、ロックボルト基端部に対しプレート及びナットの座面が直角となっているため、地山の表面に対し直角にロックボルトを打設しないと、プレートの片側が浮いてしまう問題があった。
【0006】
本発明の課題は、ロックボルト基端部にプレートに重ねてナットを締め付ける構造において、地山の表面に対し直角にロックボルトが打設されていなくて傾斜していても、地山表面にプレートを密着させられるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、地山に定着させたロックボルト基端部にプレートに重ねてナットを締め付ける構造であって、前記ナットの前記プレートに対する座面を曲面部に形成したことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のロックボルト締付構造であって、前記プレートの前記ナットの着座面を、前記ナットの曲面部に対応する曲面部に形成したことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のロックボルト締付構造であって、前記プレートに前記ナットを収容する窪み部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、地山の表面に対し直角にロックボルトが打設されていなくて傾斜していても、地山表面にプレートを密着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を適用したロックボルト締付構造の実施形態1の構成を示す縦断面図である。
【図2】実施形態2のプレートを示す平面図(a)とその中央縦断面図(b)である。
【図3】実施形態2のナットを示す平面図(a)とその正面半断面図(b)と側面半断面図(c)と底面図(d)である。
【図4】実施形態2のプレート及びナットによるロックボルト締付構造を示す平面図(a)とその中央縦断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
(実施形態1)
図1(a)及び(b)は本発明を適用したロックボルト締付構造の実施形態1の構成を示すもので、図中、1はロックボルト、2はプレート、3はナット、Gは地山である。
【0013】
図示のように、地山Gに定着させたロックボルト1の基端部にプレート2に重ねてナット3が締め付けられている。
【0014】
ナット3は、図示のように、プレート2に対する座面が曲面部31に形成されている。
【0015】
プレート2は、ロックボルト1の基端部が挿入される貫通孔の周囲でナット3の着座部が、図示のように、ナット3の曲面部31に対応した同様曲率の凹みによる曲面部21に形成されている。
【0016】
また、プレート2には、地山Gに定着させたロックボルト1の基端部に締め付けた状態のナット3を収容する深さの窪み部22が形成されており、この窪み部22に貫通孔及び曲面部21が形成されている。
【0017】
以上、実施形態のプレート2及びナット3を用いることで、地山Gに定着させたロックボルト1の基端部にプレート2に重ねてナット3を締め付けると、図示したように、地山Gの表面に対し直角にロックボルト1が打設されていなくて傾斜していた場合でも、プレート2の曲面部21にナット3の曲面部31が着座して傾斜角度に追従するため、地山Gの表面にプレート2を密着させることができる。
【0018】
そして、ロックボルト1の基端部に締め付けた状態のナット3は、プレート2の窪み部22に収容された状態になって、施工後の地山Gの表面はほぼなだらかとなる。このため、図示しない防水シートで容易に地山Gを覆うことができ、防水シートがナット等によって傷められることもない。
【0019】
(実施形態2)
図2(a)及び(b)は実施形態2のプレート2を示すもので、図示のように、プレート2には、前述した実施形態1と曲率が異なる、すなわち、曲率が小さい凹みによる曲面部21及び窪み部22が形成されている。
【0020】
図3(a)から(d)は実施形態2のナット3を示すもので、図示のように、ナット3の座面は、ナット2の曲面部21に対応した同様曲率の曲面部31に形成されている。
【0021】
図4(a)及び(b)は実施形態2のプレート2及びナット3によるロックボルト1の締付構造を示すもので、図示のように、地山Gに定着させたロックボルト1の基端部にプレート2に重ねてナット3を締め付けた状態で、プレート2の曲面部21にナット3の曲面部31が着座している。
【0022】
従って、前述した実施形態1と同様、例えば地山Gの表面に対しロックボルト1が傾斜して打設された場合でも、プレート2の曲面部21とナット3の曲面部31との当接により傾斜角度に追従して、プレート2が地山Gの表面に密着する。
【0023】
なお、以上の実施形態においては、ナット及びプレートに曲面部を形成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくともナットの座面を曲面部に形成しただけであってもよい。
また、曲面部の曲率等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0024】
1 ロックボルト
2 プレート
21 曲面部
22 窪み部
3 ナット
31 曲面部
G 地山

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地山に定着させたロックボルト基端部にプレートに重ねてナットを締め付ける構造であって、
前記ナットの前記プレートに対する座面を曲面部に形成したことを特徴とするロックボルト締付構造。
【請求項2】
前記プレートの前記ナットの着座面を、前記ナットの曲面部に対応する曲面部に形成したことを特徴とする請求項1に記載のロックボルト締付構造。
【請求項3】
前記プレートに前記ナットを収容する窪み部を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載のロックボルト締付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−196037(P2011−196037A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61794(P2010−61794)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000195971)西松建設株式会社 (329)
【出願人】(594052917)北越メタル株式会社 (2)