説明

ロック機構およびこれを備えた自動取引装置

【課題】開閉可能なトップカバー9を備え防盗性を要する自動取引装置1のロック機構において、簡単な構成で、外部からの攻撃によりロックが外れないようにする。
【解決手段】トップカバー9側に固定されたロックレバーシャフト7を支点として回転可能なロックレバー3を設け、装置本体2側に、前記ロックレバー3の先端を係合させるロックシャフト6と、前記ロックレバーシャフト7と嵌合するU字溝8と、を備えたロック受け5を設けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉可能なカバーを備え防盗性を要する自動取引装置の当該カバーのロック機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のロック機構を備えた自動取引装置では、図7に示したように、トップカバー9に回転支点13を設けて装置本体2に固定し、同図矢印Aのようにトップカバー9を閉じて装置本体2にロックできるようにロック機構を設けている。
【0003】
この従来のロック機構としては、図8に示したように、ロックレバーシャフト7を回転支点とし図示しないバネ等の付勢手段により矢印E方向に回転しようとするときに当該回転が抑制されるロックレバー3をトップカバー9側に備え、装置本体2側にロック用のロック部14aを備えたブラケット14を装置本体2の両側面の内側に配置するようにしている。
【0004】
そして、図8(a)の矢印Aのようにトップカバー9を閉じるときに、前記ロック部14aに当接したロックレバー3を図8(b)のように矢印E方向に回転させ、さらにトップカバー9を閉じると、ロックレバー3の先端がロック部14aを越えて前記付勢手段により図8(c)の矢印Fのように回転してロックするようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、紙幣等の現金を装置内に収納する装置では、容易にトップカバー9が図7の矢印Bのように開けられないようにするために、所定の鍵等を用いないとロックレバー3を矢印E方向に回転できないようにしロックが解除できないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−349457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のロック機構では、図9(a)に示したように、矢印Xのように外部向からトップカバー9をハンマー等により叩いて攻撃すると、トップカバー9が矢印Y方向に移動し、この移動とともにロックレバー3も矢印Y方向に移動し破線位置に移動し、ロック部14aからロックレバー3が外れてロックが解除され、トップカバー9を不正に開けられてしまうという問題があった。
【0008】
或いは、トップカバー9が矢印Y方向に移動してブラケット14のロック部14aにぶつかって変形し、ロックできないようになってしまうという問題もあった。
【0009】
上記不具合を解消する構成として、図9(b)に示したように、トップカバー9が矢印Y方向に移動したときにロックレバー3をF方向に回転させて、ロックが外れないようにする構成もあるが、このような構成では、F方向への回転のためのスペースを確保する必要があるとともに、ロックしたときでもF方向に付勢しロックが外れたときはロックレバー3を元に戻すといった複雑な機構が必要となり、省スペース化や低コスト化を阻害する要因となるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前述の課題を解決するために次の構成を採用する。すなわち、ロックする一方の側に固定されたロックレバーシャフトを支点として回転可能なロックレバーを設け、ロックする他方の側に、前記ロックレバーの先端を係合させるロックシャフトと、前記ロックレバーシャフトと嵌合するU字溝と、を備えたロック受けを設けるようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明のロック機構を備えた自動取引装置によれば、ロックする一方の側に固定されたロックレバーシャフトを支点として回転可能なロックレバーを設け、ロックする他方の側に、前記ロックレバーの先端を係合させるロックシャフトと、前記ロックレバーシャフトと嵌合するU字溝と、を備えたロック受けを設けるようにしたので、簡単な構成で、外部からの攻撃によりロックレバーがロックシャフトから外れてロックが解除されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1の自動取引装置のロック機構の構成の説明図である。
【図2】実施例1の自動取引装置のロック機構の構成および動作説明図である。
【図3】実施例1の自動取引装置のロック機構の動作説明図である。
【図4】実施例1の自動取引装置のロック機構の動作説明図である。
【図5】実施例1の自動取引装置のロック機構の動作説明図である。
【図6】変形例の自動取引装置のロック機構の構成図である。
【図7】従来の自動取引装置のロック機構の構成の説明図である。
【図8】従来の自動取引装置のロック機構の動作説明図である。
【図9】従来の自動取引装置のロック機構の動作説明図およびその他の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係わる実施の形態例を図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。なお、以下の説明ではトップカバーのロック機構について説明するが背面のカバーや側面のカバーなどのカバーのロック機構にも本発明を容易に適用することができる。
【実施例1】
【0014】
(構成)
図1は、実施例1のロック機構を備えた自動取引装置の構成を示した外観斜視図であり、図2は、実施例1のロック機構の構成を示した外観斜視図である。
【0015】
図1に示したように、実施例1のロック機構を備えた自動取引装置1は、トップカバー9側には、図中X1部のようにロックレバーシャフト7を支点として回転可能なロックレバー3が設けられており、装置本体2側には図中X2部のようにコの字型に曲げられたロック受け5が装置両側面の内側に設けられている。
【0016】
トップカバー9側に設けられたロックレバー3は、図2(上側)に示したように、トップカバー9に固定されたロックフレーム4に取付けられたロックレバーシャフト7を支点として図示しないバネ等の付勢手段により矢印F方向に付勢され、図示しないストッパにより図2(上側)に示した位置にて停止するように回転可能に取付けられている。なお、ロックフレーム4を設けず、ロックレバーシャフト7をトップカバー9に直接固定する構成としてもよい。
【0017】
また、ロックレバー3は、図2の一点鎖線のように図2(下側)のロック受け5のコの字曲げの内側にてロックシャフト6に係合する位置に配置されている。なお、ロックレバー3をロック受け5から装置内側方向に突き出たロックシャフト6の部分に係合する位置に配置するようにしてもよい。
【0018】
また、トップカバー9には図示しない鍵部等が設けられ、所定の鍵以外ではロックレバー3を回転させてロックを容易に解除できないようになっている。
【0019】
一方、装置本体2側に取付けられて固定されるロック受け5は、図2(下側)に示したように、U字型の溝形状であるU字溝8と、ロックレバー3の先端を係合させてロックされるロックシャフト6と、ロック受け5の取付け位置を調整して取り付けられるようにするための長孔10が設けられている。
【0020】
また、ロック受け5は強度を大きくするためにコの字曲げ形状とし、ロックシャフト6は当該ロック受け5を貫通させて固定するようにしている。
【0021】
(動作)
以上の構成により実施例1のロック機構は、以下のように動作する。この動作を、図3ないし図5の動作説明図を用いて以下詳細に説明する。
【0022】
まず、ロック受け5の取付けは、装置本体2の前扉を開いて、図3に示したように、ロックレバー3とロックシャフト6とが確実に係合できるようにロックレバー3とロックシャフト6との間に一定のクリアランスを確保しながら、ロック受け5のU字溝8の底部a点をロックレバーシャフト7に突き当てるように長孔10を用いて矢印Z方向を調整しネジ10aにて固定する。
【0023】
そして、トップカバー9を閉じると、図4(a)に示したように、ロック受け5のロックシャフト6に当接し、ロックレバー3が矢印E方向に回転する。さらにトップカバー9を閉じようとするとロックレバー3の先端がロックシャフト6を越えて、図4(b)の矢印Fのようにロックレバー3が回転して、ロックする。
【0024】
このとき、前述のように調整された、ロックレバーシャフト7とロック受け5のU字溝8が嵌合し、ロックレバーシャフト7がロック受け5に固定される。
【0025】
なお、トップカバー9を開けるときは、トップカバー9に設けられた図示しない鍵部等に所定の鍵を挿入し回転させロックレバーシャフト7およびロックレバー3を矢印E方向に回転させてロックを外し、トップカバー9を開ける。
【0026】
ここで、図5に示したように、トップカバー9が閉じられロックされた状態で、ハンマー等で矢印Xのように攻撃された場合、トップカバー9がY方向に移動しようとしロックレバー3もY方向に移動しようと作用するが、ロックレバーシャフト7とロック受け5のU字溝8が嵌合しており、ロックレバーシャフト7がU字溝8のb点に当接して移動しないため、ロックレバー3はロックシャフト7から外れない。
【0027】
(実施例1の効果)
以上のように、実施例1のロック機構によれば、トップカバー側に固定されたロックレバーシャフトを支点として回転自在にロックレバーを設け、装置本体側に、前記ロックレバーの先端を係合させるロックシャフトと、前記ロックレバーシャフトと嵌合するU字溝と、を備えたロック受けを設けるようにしたので、簡単な構成で、外部からの攻撃によりロックレバーがロックシャフトから外れてロックが解除されることを防止することができる。
【0028】
《その他の変形例》
以上の実施例の説明では、ロック状態の検出について説明しなかったが、図6の変形例として示したように、マイクロスイッチ等のセンサー12をロック受け5に取付け、ロックシャフト6とロックレバー3が係合したときにロックレバー3の先端がセンサー12とc点にて当接しセンサー12のレバーを押下しセンサー12がオンするようにし、トップカバー9を閉じたときにセンサー12がオンにならなかったときは、操作部等にハーフロック状態であることをアラーム表示するようにすれば、ハーフロック状態となることも確実に防止することができる。
【0029】
また、以上の実施例の説明では、ロックシャフト6にロックレバー3を係合させてロックするように説明したが、ロックレバー3に代えて図7の従来例のようなブラケット14をロック受け5の内側に取付けて、ロックシャフト6をブラケット14のロック部14aに係合させるようにしてもよい。
【0030】
また、以上の実施例の説明では、ロックレバー3とロック受け5を装置両側面の内側に一対ずつ設けるように説明したが、さらに多く設けるようにしてもよいし、一方の側面内側のみに一対設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上述べたように、本発明は、開閉可能なトップカバーを備え防盗性を要する現金処理機などの自動取引装置に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0032】
1 自動取引装置
2 装置本体
3 ロックレバー
4 ロックフレーム
5 ロック受け
6 ロックシャフト
7 ロックレバーシャフト
8 U字溝
9 トップカバー
10 長孔
12 センサー
13 回転支点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロックする一方の側に固定されたロックレバーシャフトを支点として回転可能なロックレバーを設け、
ロックする他方の側に、前記ロックレバーの先端を係合させるロックシャフトと、前記ロックレバーシャフトと嵌合するU字溝と、を備えたロック受けを設けるようにしたことを特徴とするロック機構。
【請求項2】
前記ロック受けの取付孔は、前記U字溝の方向に長い長孔としたことを特徴とする請求項1記載のロック機構。
【請求項3】
前記ロック受けは、コの字曲げの形状としたことを特徴とする請求項1記載のロック機構。
【請求項4】
前記ロックレバーが前記ロックシャフトに係合したことを検出できるセンサーをロック受けに取付けたことを特徴とする請求項1記載のロック機構。
【請求項5】
前記ロックする一方の側をトップカバーとし、前記ロックする他方の側を装置本体とし、請求項1ないし請求項4いずれか記載のロック機構を備えたことを特徴とする自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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