説明

ロボットおよびロボットライン

【課題】ロボット本体のエリアを越え、離れた所望の位置まで物体を精度良く移動させることができ、複数のロボットを組み合わせることで簡便にラインを構築できるロボットを提供する。
【解決手段】ロボットは、物体が載置あるいは設置されるスライダー11およびスライダー11を移動軸に沿って移動させるアクチュエーター12を備える移動軸ユニット10と、アクチュエーター12を制御する制御部2と、移動軸ユニット10が設置され、制御部2が内蔵されるロボットの本体1と、を備えるロボットであって、制御部2は、スライダー11の位置を補正するための位置補正情報を送受信する制御情報通信手段を備え、移動軸ユニット10は、移動軸が本体1に対して所望の第1の方向を向くように、本体1から分離交換が可能な状態で設置され、スライダー11の移動可能範囲は、所望の長さの移動軸ユニット10と交換することで、変わることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットおよびロボットラインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に記載されているように、作業卓の上面に設けられ、被加工物がセットされて一方向に移動する移動台と、作業卓の上面中央部に配設され、移動台の移動方向と直交する方向に移動する工具取り付け台と、工具取り付け台の移動端部直下に設けられた部品供給部とを備えた卓型ロボットが知られていた。
また、特許文献2に記載されているように、X、Y、Zのそれぞれ直交する3軸アクチュエーターを備えた卓上型ロボットにおいて、Y軸アクチュエーターをY軸方向外側にオーバーハングさせ、この卓上型ロボットを一列に並べるようにして構成したロボットラインが知られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第02728058号公報
【特許文献2】特開2002−264049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の卓型ロボットは、被加工物がセットされた移動台や工具取り付け台の移動範囲が、作業卓の上面に限られてしまうという課題があった。そのため、被加工物のセットや加工が終了した後の移動は、卓型ロボット以外の搬送手段に頼らざるを得ないという課題があった。
また、特許文献2に記載の卓上型ロボットは、オーバーハングさせたY軸アクチュエーターによって隣に並べた卓上型ロボットに被加工物を搬送させることが可能であるが、隣り合う卓上型ロボットの位置を高精度で調整する必要があったり、被加工物を搬送する都度、改めて被加工物の位置合わせをする必要があったりし、作業効率が悪いという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係るロボットは、物体が載置あるいは設置されるスライダーおよびスライダーを移動軸に沿って移動させるアクチュエーターを備える移動軸ユニットと、アクチュエーターを制御する制御部と、移動軸ユニットが設置され、制御部が内蔵されるロボット本体と、を備えるロボットであって、制御部は、移動軸ユニットにおけるスライダーの位置を補正するための位置補正情報を送受信する制御情報通信手段を備え、移動軸ユニットは、移動軸がロボット本体に対して所望の第1の方向を向くように、ロボット本体から分離交換が可能な状態で設置され、スライダーの移動可能範囲は、所望の長さの移動軸ユニットと交換することで、変わることを特徴とする。
【0007】
本適用例によれば、移動軸ユニットがロボット本体から分離交換が可能な状態で設置されるため、所望の長さの移動軸ユニットと交換することができる。また、制御部は、スライダーの位置補正情報を送受信する制御情報通信手段を備えるため、制御部から離れた位置から受信する位置補正情報によってスライダーの位置を補正することができる。つまり、本適用例によれば、ロボット本体のエリアを越え、離れた所望の位置まで物体を精度良く移動させることができ、物体を離れた位置で作業に供することができるようになる。
【0008】
[適用例2]上記適用例に係るロボットにおいて、一つ以上の移動軸ユニットを更に備え、更に備える移動軸ユニットの移動軸の方向は、第1の方向と交差する方向であることを特徴とする。
【0009】
本適用例によれば、上記適用例の効果を備える多軸制御が可能なロボットを提供することができる。
【0010】
[適用例3]適用例1に係るロボットにおいて、二つの移動軸ユニットを更に備え、第1の方向はX軸方向であり、更に備える二つの移動軸ユニットの移動軸の方向は、それぞれがX軸方向に略直角に交差するY軸方向とZ軸方向であることを特徴とする。
【0011】
本適用例によれば、上記適用例の効果を備えるXYZ3軸の直交型ロボットを提供することができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例に係るロボットにおいて、移動軸ユニットの軸方向は、特定方向および/または一定方向ではないことを特徴とする。
【0013】
本適用例によれば、ロボット本体から分離交換が可能な移動軸ユニットは、更にロボット本体の向きに対して所望の方向に移動軸ユニットを延在させることができる。また移動軸の方向は一定の直線方向に限らないため、移動するスライダーの軌道を曲げることができる。従って、物体をよりフレキシブルな位置に精度良く移動させることができるロボットを提供することができる。
【0014】
[適用例5]本適用例に係るロボットラインは、適用例1ないし適用例4のいずれか一例に記載の複数のロボットが、ライン状に配置されたロボットラインであって、少なくとも一つの移動軸ユニットが、ロボットラインにおいて共有される共有移動軸ユニットとして備えられ、複数のロボットの内、1台のロボットはマスターロボットであり、他のロボットはスレーブロボットであり、スレーブロボットは、位置補正情報をマスターロボットに送信し、マスターロボットの制御部は、位置補正情報に基づいて共有移動軸ユニットにおけるスライダーの位置を補正することを特徴とする。
【0015】
本適用例によれば、上記適用例に記載のロボットが、ライン状に配置されたロボットラインにおいて、少なくとも一つの移動軸ユニットが複数のロボットに共有される。1台のロボットがマスターロボットとしてスライダーを移動させ、スレーブロボットからの位置補正情報に基づきスライダーの位置を補正するため、スライダーの制御を集中管理することができる。その結果、例えばロボットラインで流れ作業を行う場合など、ライン内の干渉を回避するコントロールが容易に実現できる。
また、スライダーに載置される物体が、例えばロボットラインで加工される被加工物の場合には、同じスライダーに載置(保持)されたまま複数のロボット位置に移動させることができるため、ロボット間で被加工物を受け渡す工程が不要となる。その結果、加工のサイクルタイムを短縮することができる。更に、共通の移動軸ユニットに被加工物が保持されるため、作業精度を維持することができる。
また、ロボットは、共通する部品で構成される複数の移動軸ユニットで構築され、また、ロボットラインは、共通するロボットで構築されるため、ライン全体に亘る部品の共通化が可能となる。
【0016】
[適用例6]本適用例に係るロボットラインは、適用例1ないし適用例4のいずれか一例に記載の複数のロボットが、ライン状に配置されたロボットラインであって、複数のロボットの複数の移動軸ユニットが連結され、ロボットラインにおいて共有される連結移動軸ユニットとして備えられ、複数のロボットの内、1台のロボットはマスターロボットであり、他のロボットはスレーブロボットであり、スレーブロボットは、位置補正情報をマスターロボットに送信し、マスターロボットの制御部は、位置補正情報に基づいて連結移動軸ユニットにおけるスライダーの位置を補正することを特徴とする。
【0017】
本適用例によれば、複数のロボットの複数の移動軸ユニットを連結することで、ロボットラインにおいて共有される連結移動軸ユニットを構成することができる。つまり、ロボットラインで共有する移動軸ユニットを構成するために、それぞれのロボットの移動軸ユニットを取り外して一つの移動軸ユニットに取り替えることなく、既に取り付けられている移動軸ユニットを連結するだけで、共有する移動軸ユニットを構成することができる。従って、本適用例によれば、上記適用例の効果に加え、より簡便に構築することができるロボットラインを提供することができる。
【0018】
[適用例7]上記適用例に係るロボットラインにおいて、スライダーにアクチュエーターの駆動部を備え、移動軸ユニットは、複数のスライダーを備え、制御部は、複数のスライダーがそれぞれ備える駆動部を識別して制御することを特徴とする。
【0019】
本適用例によれば、一つの移動軸ユニットに複数のスライダーを備え、それぞれのスライダーは独立して駆動制御されるため、ロボットラインにおいて複数の作業を並行して行うことが可能となる。つまり、流れ作業のラインなどを構築する場合には、隣り合うロボットで別の作業を行うことができるなど、より効率的なロボットラインを構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)実施形態1に係るロボットを示す斜視図、(b)ロボットの機能を説明する概略図。
【図2】実施形態2に係るロボットラインを示す概略図。
【図3】(a)実施形態3に係るロボットラインを示す概略図、(b)連結移動軸に屈曲部を用いた例を示す概略図。
【図4】複数の移動軸ユニットを共有する変形例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明を具体化した実施形態について、図面を参照して説明する。以下は、本発明の一実施形態であって、本発明を限定するものではない。なお、以下の各図においては、説明を分かりやすくするため、実際とは異なる尺度で記載している場合がある。
【0022】
(実施形態1)
まず、実施形態1に係るロボットについて説明する。
図1(a)は、実施形態1に係るロボット100を示す斜視図、(b)は、ロボット100の機能を説明する概略図である。
ロボット100は、XYZ3軸の移動軸ユニットから成る直交型ロボットであり、本体1、X移動軸ユニット10、Y移動軸ユニット20、Z移動軸ユニット30などから構成されている。
【0023】
本体1は、テーブル状のやや平たい直方体ボックスで構成され、略水平な面に設置される。本体1の内部には、後述する制御部や制御情報通信手段などを備え、正面1a(図1(a)においてX軸+側の面)には、操作ボタンや表示部などが配置されている。
本体1の奥側左右には、本体1の上面1bから略垂直方向(Z軸+方向)に伸びる一対の支柱25が設けられている。支柱25の上部には、Y移動軸ユニット20が略水平方向に架設されている。
【0024】
X移動軸ユニット10は、スライダー11とアクチュエーター12とを備え、本体1の上面1bの略中央部に、第1の方向としてのX軸方向に延在するように設置されている。
スライダー11は、X移動軸ユニット10の上面をスライドする小テーブルであり、アクチュエーター12によって移動される。スライダー11には、その用途により様々な物体が載置あるいは設置される。具体的には、例えば、載置される物体が被加工物の場合には、スライダー11には、被加工物を載置し保持する治具などが設置される。また、被加工物がロボットの周囲にある場合などには、スライダー11に加工用の工具類を設置しても良い。
【0025】
アクチュエーター12は、スライダー11をX軸方向に移動させる駆動手段を備えており、その駆動手段には、様々な方法を用いることができる。本実施形態では、アクチュエーター12に直結されたボールネジと、スライダー11に備えられ、該ボールネジと係合するボールネジナットから成り、アクチュエーター12の回転駆動によりスライダー11が移動するボールネジ回転型を用いているが、これに限定するものではない。例えば、ナット回転型、リニアモーター型、ベルト駆動型などであっても良い。
【0026】
X移動軸ユニット10は、ユニットとして本体1の上面1bに設置される構成のため、本体からの分離およびユニットの交換を簡便に行うことができる。例えば、スライダー11の移動範囲を長くしたい場合には、所望の長さのX移動軸ユニット10と交換することで、それが可能となる。
また、X移動軸ユニット10の軸方向、つまりスライダー11を移動させる方向も本体1の上面1bでの設置方向(X移動軸ユニット10を延在させる向き)を変えることによって変更することが可能である。
【0027】
本体1の内部には、制御部2を備え、制御部2は制御情報通信手段3などを備えている。
制御部2は、所望の動作プログラムや作業者の指示に従い、アクチュエーター12の駆動制御をすることで、スライダー11の移動および静止位置の制御を行う。
制御情報通信手段3は、X移動軸ユニット10におけるスライダー11の位置を補正するための位置補正情報を送受信する通信手段である。制御部2は、制御情報通信手段3に伝達された位置補正情報に基づきスライダー11の位置を補正する。
【0028】
Y移動軸ユニット20は、スライダー21とアクチュエーター22とを備え、支柱25の上部に略水平方向に架設されている。スライダー21には、Z移動軸ユニット30が取り付けられている。
Z移動軸ユニット30は、スライダー31とアクチュエーター32とを備え、X軸方向およびY軸方向のそれぞれに略垂直なZ方向に延在するようにスライダー21に取り付けられている。
【0029】
制御部2は、所望の動作プログラムや作業者の指示に従い、アクチュエーター12の駆動制御に加え、アクチュエーター22、32の駆動制御をすることで、スライダー21、スライダー31の移動および静止位置の制御を行う。
スライダー31は、Y移動軸ユニット20およびZ移動軸ユニット30によって、X軸方向に略垂直な面を移動する小テーブルである。スライダー31には、その用途により様々な物体が載置あるいは設置される。例えば、スライダー11に被加工物が載置される場合には、加工用の工具などが設置される。
【0030】
なお、ロボット100は、X移動軸ユニット10のみが所望の長さの移動軸ユニットと交換できるとして説明したが、これに限定するものではない。Y移動軸ユニット20も同様に所望の長さの移動軸ユニットと交換可能としても良い。
【0031】
以上述べたように、本実施形態によるロボットによれば、以下の効果を得ることができる。
X移動軸ユニット10がロボット100の本体1から分離交換が可能な状態で設置されるため、所望の長さの移動軸ユニットと交換することができる。また、制御部2は、スライダー11の位置補正情報を送受信する制御情報通信手段3を備えるため、制御部2から離れた位置から受信する位置補正情報によってスライダー11の位置を補正することができる。つまり、ロボット100によれば、ロボット本体のエリアを越え、離れた所望の位置まで物体を精度良く移動させることができ、物体を離れた位置で作業に供することができるようになる。
本実施形態によれば、上記実施形態の効果を備える多軸制御が可能なロボットを提供することができる。
【0032】
また、ロボット100の本体1から分離交換が可能なX移動軸ユニット10は、更に本体1の向きに対して所望の方向にX移動軸ユニット10を延在させることができる。また移動軸の方向は一定の直線方向に限らないため、移動するスライダー11の軌道を曲げることができる。従って、物体をよりフレキシブルな位置に精度良く移動させることができるロボットを提供することができる。
【0033】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係るロボットラインについて説明する。なお、説明にあたり、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を使用し、重複する説明は省略する。
図2は、実施形態2に係るロボットライン200を示す概略図である。
本実施形態では、上述したロボット100を用いてロボットラインを構築している例を示している。なお、本実施例では、X移動軸ユニット10だけではなく、Y移動軸ユニット20も同様に所望の長さの移動軸ユニットと交換可能な例で説明している。
【0034】
ロボットライン200は、一つのX移動軸ユニット10を複数のロボット100で共有するラインが平行して2列並んで構成されている。また、Y軸方向に並ぶロボット100は、それぞれY移動軸ユニット20を共有している。
また、それぞれのX移動軸ユニット10には、複数のスライダー11を備えており、それぞれのY移動軸ユニット20には、一つないし二つのZ移動軸ユニット30およびスライダー31を備えている。
【0035】
複数のロボット100の内1台をマスターロボット100mとし、残りのロボット100をスレーブロボット100sとして制御している。マスターロボット100mは、ロボットライン200に含まれるすべてのアクチュエーターを駆動制御する。また、それぞれのスレーブロボット100sは、所定範囲のスライダー11、21の位置補正情報をマスターロボット100mに送信する。位置補正情報を受信したマスターロボット100mは、対応するスライダー11、21の位置補正を行う。
【0036】
以上述べたように、本実施形態によるロボットラインによれば、以下の効果を得ることが出来る。
ロボット100が、ライン状に配置されたロボットライン200において、X移動軸ユニット10およびY移動軸ユニット20が複数のロボット100に共有される。1台のロボット100がマスターロボット100mとして複数のスライダー11、21を移動させ、スレーブロボット100sからの位置補正情報に基づきスライダー11、21の位置を補正するため、スライダー11、21の制御を集中管理することができる。その結果、例えばロボットラインで流れ作業を行う場合など、ライン内の干渉を回避するコントロールが容易に実現できる。
【0037】
また、スライダー11に載置される物体が、例えばロボットラインで加工される被加工物の場合には、同じスライダー11に載置(保持)されたまま複数のロボット位置に移動させることができるため、ロボット間で被加工物を受け渡す工程が不要となる。その結果、加工のサイクルタイムを短縮することができる。更に、共通のX移動軸ユニット10に被加工物が保持されるため、作業精度を維持することができる。
また、ロボット100は、共通する部品で構成される複数の移動軸ユニットで構築され、また、ロボットライン200は、共通するロボット100で構築されるため、ライン全体に亘る部品の共通化が可能となる。
【0038】
(実施形態3)
次に、実施形態3に係るロボットラインについて説明する。なお、説明にあたり、上述の実施形態と同一の構成部位については、同一の符号を使用し、重複する説明は省略する。
図3(a)は、実施形態3に係るロボットライン300を示す概略図である。
実施形態2では、一つの移動軸ユニットが、共有移動軸ユニットとして複数のロボットに共有されるとして説明したが、本実施形態では、複数のロボットの複数の移動軸ユニットが連結され、連結移動軸ユニットとして複数のロボットに共有される。
【0039】
ロボットライン300は、ライン状に並ぶ複数のロボット100から構築されており、複数のロボット100の内1台をマスターロボット100mとし、残りのロボット100をスレーブロボット100sとして制御している。
各ロボット100のX移動軸ユニット10は、連結部Aによって連結されている。連結部Aは、スライダー11がスムーズに移動できる精度で連結される。具体的には、アクチュエーター12のボールネジを精度良く連結することが好ましい。
また、X移動軸ユニット10の連結をより簡便とするために、アクチュエーター12の構成は、X移動軸ユニット10の軌道軸に沿って設けたラックとスライダー11に備えたウォームギアによって駆動するウォームギア回転型であっても良い。
【0040】
実施形態2の場合と比較し、連結部分の連結誤差がスライダー11の位置精度を悪化させるが、隣り合うスレーブロボット100sからの位置補正信号により、マスターロボット100mがスライダー11の位置補正を行う。
【0041】
図3(b)は、連結する移動軸に屈曲部を用いた例を示す概略図である。図3(a)に示す例では、直接X移動軸ユニット10を連結させているが、この例では、連結部に屈曲移動軸10xを用いている。
屈曲移動軸10xは、スライダー11の搬送のみを目的とした移動軸であり、図3(b)に示すように、軸の方向を屈曲させることにより、ロボットラインの列を曲げて連結することができる。
【0042】
以上述べたように、本実施形態によるロボットラインによれば、以下の効果を得ることが出来る。
複数のロボット100の複数のX移動軸ユニット10を連結することで、ロボットラインにおいて共有される連結移動軸ユニットを構成することができる。つまり、ロボットラインで共有する移動軸ユニットを構成するために、それぞれのロボット100のX移動軸ユニット10を取り外して一つの移動軸ユニットに取り替えることなく、既に取り付けられているX移動軸ユニット10を連結するだけで、共有する移動軸ユニットを構成することができる。従って、本実施形態によれば、上記実施形態の効果に加え、より簡便に構築することができるロボットラインを提供することができる。
【0043】
また、連結部に屈曲移動軸10xを用いることにより、ロボットラインの列を曲げて連結することができるため、よりフレキシブルにラインを構成することができる。
【0044】
(変形例1)
変形例1に係るロボットラインについて、以下に説明する。なお、上述の実施形態と同一の構成部位については、同一の符号を使用し、重複する説明は省略する。
図4は、変形例1に係るロボット400を示す斜視図である。本変形例では、複数の移動軸ユニットを共有する例を示している。
実施形態1〜3では、ロボットを平面でライン構成する形態として説明したが、この構成に限定するものではなく立体的にラインを構成しても良い。
【0045】
ロボット400は、所望する長さの移動軸ユニットと交換が可能なX移動軸ユニット10v、およびY移動軸ユニット20vを備えている。更にZ軸には、Z移動軸ユニット30、および、Z軸方向に所望する長さの移動軸ユニットと交換が可能なZ移動軸ユニット30vを備えている。
【0046】
本変形例に係るロボットによれば、実施形態1での効果に加えて、ロボットラインを立体的に構築することができる。具体的には、例えば、実施形態2で構築したロボットラインを上下の2層に構築し、上層と下層との物体の授受をZ移動軸ユニット30vによって可能とすることができる。
【符号の説明】
【0047】
1…本体、2…制御部、10…X移動軸ユニット、10x…屈曲移動軸、11,21,31…スライダー、12,22,32…アクチュエーター、20…Y移動軸ユニット、25…支柱、30…Z移動軸ユニット、30v…Z移動軸ユニット、100,400…ロボット、100m…マスターロボット、100s…スレーブロボット、200,300…ロボトライン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体が載置あるいは設置されるスライダー、および、前記スライダーを移動軸に沿って移動させるアクチュエーターを備える移動軸ユニットと、
前記アクチュエーターを制御する制御部と、
前記移動軸ユニットが設置され、前記制御部が内蔵されるロボット本体と、を備えるロボットであって、
前記制御部は、前記移動軸ユニットにおける前記スライダーの位置を補正するための位置補正情報を送受信する制御情報通信手段を備え、
前記移動軸ユニットは、前記移動軸が前記ロボット本体に対して所望の第1の方向を向くように、前記ロボット本体から分離交換が可能な状態で設置され、
前記スライダーの移動可能範囲は、所望の長さの前記移動軸ユニットと交換することで、変わることを特徴とするロボット。
【請求項2】
一つ以上の前記移動軸ユニットを更に備え、
更に備える前記移動軸ユニットの前記移動軸の方向は、前記第1の方向と交差する方向であることを特徴とする請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
二つの前記移動軸ユニットを更に備え、
前記第1の方向はX軸方向であり、更に備える二つの前記移動軸ユニットの前記移動軸の方向は、それぞれが前記X軸方向に略直角に交差するY軸方向とZ軸方向であることを特徴とする請求項1に記載のロボット。
【請求項4】
前記移動軸ユニットの軸方向は、特定方向および/または一定方向ではないことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のロボット。
【請求項5】
複数の請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のロボットが、ライン状に配置されたロボットラインであって、
少なくとも一つの前記移動軸ユニットは、前記ロボットラインにおいて共有される共有移動軸ユニットとして備えられ、
前記複数のロボットの内、1台の前記ロボットはマスターロボットであり、他の前記ロボットはスレーブロボットであり、
前記スレーブロボットは、前記位置補正情報を前記マスターロボットに送信し、
前記マスターロボットの前記制御部は、前記位置補正情報に基づいて前記共有移動軸ユニットにおける前記スライダーの位置を補正することを特徴とするロボットライン。
【請求項6】
複数の請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のロボットが、ライン状に配置されたロボットラインであって、
前記複数のロボットの複数の前記移動軸ユニットが連結され、前記ロボットラインにおいて共有される連結移動軸ユニットとして備えられ、
前記複数のロボットの内、1台の前記ロボットはマスターロボットであり、他の前記ロボットはスレーブロボットであり、
前記スレーブロボットは、前記位置補正情報を前記マスターロボットに送信し、
前記マスターロボットの前記制御部は、前記位置補正情報に基づいて前記連結移動軸ユニットにおける前記スライダーの位置を補正することを特徴とするロボットライン。
【請求項7】
前記スライダーに前記アクチュエーターの駆動部を備え、
前記移動軸ユニットは、複数の前記スライダーを備え、
前記制御部は、前記複数のスライダーがそれぞれ備える前記駆動部を識別して制御することを特徴とする請求項5または請求項6に記載のロボットライン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−82042(P2013−82042A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224593(P2011−224593)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】