説明

ロボットシステム及び撮像方法

【課題】高精度な撮像を行うロボットシステムを提供する。
【解決手段】本発明によるロボットシステム(10)は、撮像装置(22)および距離測定部(24)を有する撮像ユニット(20)と、撮像ユニット(20)の取り付けられたロボット(30)とを備える。撮像装置(22)がワーク(W)を仮撮像し、仮撮像の結果に基づいてロボット(30)が撮像ユニット(20)を仮移動させた後、距離測定部(24)がワーク(W)までの距離を測定し、測定の結果に基づいてロボット(30)が撮像ユニット(20)を移動させ、撮像装置(22)がワークを撮像する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロボットシステム及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットの制御技術はコンピュータ技術とともに進歩しており、近年、産業用ロボットによる高精度な作業が要求されている。例えば、ロボットアームは、自動車等の生産ラインに配設されており、自動車の部品等のワークに対して作業を行うために用いられる。ロボットアームをワークまで移動させる制御として、予め設定された目標位置までの予め定められた経路に沿ってロボットアームを移動させるティーチングプレイバック制御が広く用いられている。ティーチングプレイバック制御では、予め定められた経路に沿ってロボットアームを移動させる動作を事前に教示しておき、この動作を再現させる。
【0003】
しかしながら、実際の作業においては、ワーク自体の個体差や、生産ライン上でのワーク搬送精度等に起因して、ワークの位置にズレが生じることがあり、このズレのために、適切な作業が行われないことがある。このため、このようなズレを解消するためのロボットの制御手法が検討されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されたロボットの制御手法では、ロボットアームに取り付けられた視覚センサにより、ワークに対する位置のズレ量を求め、ロボットアームの位置補正が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−174457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、事前の教示にしたがって視覚センサ(撮像装置)の取り付けられたロボットを移動させて撮像を行う場合、視覚センサ(撮像装置)による撮像が誤差のある状態で行われることがある。この場合、撮像結果に基づいて補正を行っても、適切な作業を行うことができない。
【0006】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、高精度な撮像を行うロボットシステムおよび撮像方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるロボットシステムは、撮像装置および距離測定部を有する撮像ユニットと、前記撮像ユニットの取り付けられたロボットとを備えるロボットシステムであって、前記撮像装置がワークを仮撮像し、前記仮撮像の結果に基づいて前記ロボットが前記撮像ユニットを仮移動させた後、前記距離測定部が前記ワークまでの距離を測定し、前記測定の結果に基づいて前記ロボットが前記撮像ユニットを移動させ、前記撮像装置が前記ワークを撮像する。
【0008】
ある実施形態において、前記ロボットシステムは、前記ロボットの動作態様を規定した教示データに基づいて前記ロボットを制御するロボットコントローラをさらに備え、前記ロボットコントローラは、前記教示データにおいて指定された前記ロボットの位置を、前記撮像装置の撮像結果に基づいて変更するように前記ロボットを制御する。
【0009】
ある実施形態において、前記仮移動の方向および移動量の少なくとも一方は、前記仮撮像の結果および予め記憶された基準像に基づいて決定される。
【0010】
ある実施形態において、前記ロボットシステムは、前記ワークに対して作業を行うエンドエフェクタであって、前記ロボットに取り付けられたエンドエフェクタをさらに備え、前記エンドエフェクタによって前記作業の行われる位置は、前記撮像装置の撮像結果に基づいて変更される。
【0011】
ある実施形態において、前記エンドエフェクタは、シーリング材を吐出するシーリングガンである。
【0012】
本発明による撮像方法は、撮像装置および距離測定部を有する撮像ユニットと、前記撮像ユニットの取り付けられたロボットとを備えるロボットシステムを用意する工程と、前記撮像装置を用いてワークを仮撮像する工程と、前記仮撮像の結果に基づいて前記ロボットが前記撮像ユニットを仮移動させる工程と、前記仮移動の後、前記距離測定部が前記ワークまでの距離を測定する工程と、前記測定の結果に基づいて前記ロボットが前記撮像ユニットを移動させた後で、前記撮像装置が前記ワークを撮像する工程とを包含する。
【発明の効果】
【0013】
本実施形態によれば、高精度な撮像を行うことができる。また、本実施形態によれば、高精度に撮像された撮像結果を利用して高精度な作業または測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態のロボットシステムを示す模式図である。
【図2】(a)〜(e)は、本実施形態の撮像方法を示す模式図である。
【図3】本実施形態のロボットシステムにおける撮像ユニットの一例を示す模式図である。
【図4】本実施形態のロボットシステムにおける撮像ユニットの一例を示す模式図である。
【図5】本実施形態のロボットシステムの模式図である。
【図6】本実施形態のロボットシステムの模式図である。
【図7】本実施形態のロボットシステムの部分的な模式図である。
【図8】本実施形態のロボットシステムの模式図である。
【図9】本実施形態のロボットシステムにおける撮像を示す模式図である。
【図10】本実施形態のロボットシステムにおける距離測定を示す模式図である。
【図11】本実施形態のロボットシステムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明によるロボットシステム及び撮像方法の実施形態を説明する。ただし、本発明の実施形態は以下の実施形態に限定されない。
【0016】
(第1実施形態)
図1に、本実施形態のロボットシステム10の模式図を示す。ロボットシステム10は、撮像ユニット20と、撮像ユニット20の取り付けられたロボット30と、撮像コントローラ40と、ロボットコントローラ50とを備える。撮像ユニット20はロボット30の先端に取り付けられている。本実施形態において、ロボット30はそれぞれサーボモータを有する複数のアクチュエータを備えた多関節ロボットである。各アクチュエータの駆動により、ロボット30の各部分の位置および向きを変更させることでき、これにより、ロボット30全体の位置、および、撮像ユニット20の位置を変更させることができる。
【0017】
撮像ユニット20は、撮像装置22および距離測定部24を有している。例えば、撮像装置22と距離測定部24とは一体的に設けられている。撮像装置22は、例えば、カメラを有する。撮像装置22は、2次元的な平面画像の撮像を行う。一例として撮像装置22の画素数は数十万画素である。
【0018】
距離測定部24は被測定物までの距離を測定するセンサであり、ここではロボット30の動作によってワークWを被測定対象として、距離測定部24からワークWまでの距離を測定する。本実施形態では、距離測定部24として、反射レーザ変位センサが用いられる。なお、距離測定部24は超音波を用いて距離を測定してもよい。あるいは、距離測定部24は、リニアスケールを用いてワークWまでの距離を測定してもよい。
【0019】
撮像装置22はワークWを撮像し、この撮像の結果に基づいてロボット30は撮像ユニット20を移動させる。その後、距離測定部24はワークWまでの距離を測定し、測定結果に基づき、ロボット30は撮像ユニット20を移動させ、撮像装置22がワークWの対象領域を撮像する。
【0020】
本実施形態のロボットシステム10では、ワークWまでの距離を測定する前および後に、撮像を行う。本明細書において、距離測定前のワークWの撮像を「仮撮像」と記載することがあり、仮撮像の結果に基づく撮像ユニット20の移動を「仮移動」と記載することがある。
【0021】
ロボットコントローラ50は、ロボット30の動作態様(ロボットの変化する経由すべき位置である教示点)を規定した教示データに基づいてロボット30の動作軌跡を生成する。なお、ここでは、ロボットコントローラ50は、ロボット30だけでなく撮像ユニット20の制御を行う撮像コントローラ40も併せて制御する。
【0022】
ロボットコントローラ50は、記憶装置51及びプロセッサ52を有しており、ロボット30の各サーボモータに接続されている。ロボット30の各サーボモータはロボットコントローラ50からの動作命令に応じてロボット30を動作させる。
【0023】
記憶装置51には、ロボット30の変化する位置を指定する教示データが予め記憶されている。例えば、教示データには、ロボット30の初期状態の位置から変化する位置が指定されている。また、教示データには、撮像ユニット20およびロボット30の動作を規定する教示データが予め記憶されている。
【0024】
本実施形態において、教示データには、ロボット30の位置を、初期状態から仮撮像が可能なように変化させる動作命令と、仮撮像が可能な位置で撮像装置22に撮像させる動作命令と、仮撮像によって得られた結果に基づいてロボット30を動作させる動作命令と、距離測定部24に被測定物(常態の場合、ワークW)までの距離を測定させる動作命令と、被測定物までの距離の測定結果に基づいて撮像ユニット20と被測定物との距離が予め定められた距離となるようにロボット30を動作させる動作命令と、その後、撮像装置22に再度撮像させる動作命令とが含まれている。また、後述するように、2回目の撮像の後にロボット30が移動する場合、教示データによって、ロボット30の変化する位置が指定されてもよい。
【0025】
ロボットコントローラ50のプロセッサ52は、このような教示データに基づいて、ロボット30の各サーボモータおよび撮像コントローラ40に動作指令を送出する。ロボット30をプレイバック動作させる場合、プロセッサ52は、教示データに基づいて、各サーボモータ及び撮像ユニット20に対する動作命令を生成し、通信経路を介して動作命令を送出する。
【0026】
撮像コントローラ40は、撮像装置22によって仮撮像または撮像された画像、および/または、距離測定部24によって測定された距離に基づいて処理を行う。撮像コントローラ40は、記憶装置41及びプロセッサ42を有しており、撮像ユニット20及びロボットコントローラ50に接続されている。
【0027】
記憶装置41には、ワークWの予め設定された距離Dからの理想的な撮像画像である基準像が記憶されている。プロセッサ42は、撮像装置22によって仮撮像された画像から、記憶装置41に記憶された基準像に対応する領域を抽出する。この抽出は、予め記憶された特徴点を利用して行われることが好ましい。その後、プロセッサ42は、現在の撮像ユニット20の位置から撮像ユニット20を仮移動させる移動量(位置修正データ)を算出し、ロボットコントローラ50に出力する。
【0028】
また、プロセッサ42は、仮移動後に距離測定部24の測定結果に基づいて撮像ユニット20とワークWとの距離が予め設定された距離Dとなる移動量を算出し、ロボットコントローラ50に出力する。さらに、プロセッサ42は、撮像ユニット20によって撮像された画像と基準像との一致度を演算するパターンマッチング処理を行う。プロセッサ42は、一致度と閾値を比較して、ワークWの合否を判定する。
【0029】
一般に、ワークWの設計誤差、ワークWの搬送誤差等に起因して、ロボット30が単純に教示データにおいて指定されたように移動するだけでは、撮像を適切に行うことができないことがあるが、ロボットシステム10により、高精度な撮像を行うことができる。ワークWに対して作業(例えば、加工)が行われる場合、撮像結果に基づいて作業動作が補正または変更(修正)されてもよい。あるいは、撮像結果に基づいてワークWの測定が行われてもよい。
【0030】
ロボットシステム10は複数のワークWに対する作業(例えば、加工)および測定の少なくとも一方に好適に用いられる。また、ロボット30の動作が予め教示されている場合でも、ロボット30の動作はワークWに応じて変化することが好ましい。
【0031】
以下、図2を参照して、本実施形態の撮像方法を説明する。まず、図2(a)に示すように、ロボットシステム10を用意する。上述したように、ロボットシステム10は、撮像ユニット20と、撮像ユニット20の取り付けられたロボット30とを備えており、撮像ユニット20は撮像装置22および距離測定部24を有している。
【0032】
図2(b)に示すように、撮像装置22がワークWを撮像する。ワークWは対象領域を有しており、撮像装置22は、ワークWの対象領域を含んだ領域の撮像を行う。ワークWの対象領域には外観的な特徴が設けられていることが好ましい。図2(b)では、ワークWの対象領域をXで示している。例えば、ワークWの対象領域には、特定のマークが付されていてもよく、あるいは、1つ以上の穴または孔が設けられていてもよい。また、例えば、撮像装置22によって撮像された画像から、予め記憶された基準像に対応する領域(対象領域)を特定し、撮像された画像と予め記憶された基準像との比較を行ってもよい。
【0033】
図2(c)に示すように、前の撮像結果に基づいてロボット30は撮像ユニット20を移動させる。例えば、撮像装置22がワークWの対象領域を適切に撮像できるようにロボット30は撮像ユニット20を移動させる。一例として、撮像された画像と予め記憶された基準像との比較結果から、ロボット30が撮像ユニット20を移動させる方向および/または距離が決定される。
【0034】
図2(d)に示すように、撮像ユニット20が移動した後、距離測定部24はワークWまでの距離を測定する。
【0035】
次に、図2(e)に示すように、測定結果に基づいてロボット30は撮像ユニット20を移動させ、撮像装置22がワークWの対象領域を撮像する。以上のようにしてワークWの対象領域の撮像が行われる。
【0036】
本実施形態のロボットシステム10では、「仮撮像」の結果に基づいて被撮像対象となるワークWの大まかな位置を取得し、距離測定部24の測定結果に基づいて、基準像と実質的に同じ撮像距離(距離D)で非撮像対象を撮像する。このため、比較的廉価で低画素の撮像装置22を用いた場合でも、ワークWを高精度に撮像することができる。また、ワークWの撮像は、基準像と実質的に同じ距離で行われるため、撮像された画像に対してパターンマッチング処理を行う場合の精度が向上するとともに、比較画像の拡大や縮小などの加工演算のための演算量を低減することができ、演算処理をより短時間で行うことができる。
【0037】
距離測定後の撮像結果は、基準像との一致度に基づいてワークWの合否を判定する製品検査用途のほか、以下のように用いることができる。例えば、撮像された画像は基準像と比較し、ズレを求めてもよい。例えば、ワークWの設計誤差、ワークWの搬送誤差等により、ワークWの位置が所定の位置(例えば、教示データにおいて指定された位置)に対してずれている場合でも、求められたズレに応じて作業の位置を変更することにより、適切な作業を行うことができる。
【0038】
あるいは、撮像結果に基づき、ワークW内の対象領域の形状および長さが測定されてもよい。例えば、ワークWの対象領域における特定のマークの径を測定することができる。具体的には、撮像画像における特定のマークのエッジを利用してマークの径に対応する画素数を求めることができる。ロボットシステム10では、所定の距離で撮像を行うため、撮像された画像における画素数は実際の長さとほぼ直接的(ほぼ一義的に)に対応する。撮像された画像における1画素の長さは、ワークW上の実際の長さに所定の関係で対応しており、例えば、撮像された画像における特定のマークの画素数から特定のマークの実際の径(長さ)を測定することができる。あるいは、ワークWの対象領域に存在する隣接する穴または孔の距離を測定することもできる。
【0039】
本実施形態のロボットシステム10では、仮撮像を行って撮像ユニット20を仮移動させた後に、ワークWまでの距離を測定して撮像ユニット20をさらに移動させて、ワークWの対象領域を撮像している。このため、撮像は、撮像装置22とワークWとの間の距離が特定の距離の場合に行われる。このように、本実施形態のロボットシステム10では、仮撮像の結果に基づいて、ワークWの主面方向に位置を決めた後、距離測定部24の測定結果に基づいてワークWの主面の法線方向の位置が調整される。このため、撮像の際のズレを低減させることができ、3次元的に所定の位置から、高精度な撮像が行われる。
【0040】
なお、必要に応じて、距離を測定した結果に基づいて撮像ユニット20を移動させた後、距離測定部24はワークWまでの距離を再び測定し、再測定の結果に基づいて、撮像ユニット20をさらに移動させてもよい。また、撮像ユニット20の移動は、ワークWを固定した状態で行われてもよく、あるいは、ワークWも移動させた状態で行われてもよい。
【0041】
ここで、図3を参照して本実施形態のロボットシステム10における撮像ユニット20の構成を説明する。図3では、ロボット30の先端部分も併せて示している。ロボットシステム10では、距離測定部24は撮像装置22と一体的に設けられており、撮像装置22がワークWに向く場合、距離測定部24もワークWに向くように構成されている。撮像装置22は視野Lで撮像を行う。
【0042】
なお、周囲が暗い場合、適切な撮像を行えないことがある。この場合、ロボットシステム10は照明部を有することが好ましい。例えば、照明部は発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)を含む。
【0043】
図4に、本実施形態のロボットシステム10における撮像ユニット20の模式図を示す。図4に示した撮像ユニット20では照明部26をさらに有する点を除いて図3を参照して上述した撮像ユニット20と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する説明を省略する。図4に示した撮像ユニット20では、照明部26は環状に設けられており、撮像装置22の視野Lに入らないように配置されている。このため、ワークWを効率的に照らすことができる。
【0044】
なお、上述した説明では、撮像ユニット20の撮像装置22および距離測定部24は一体的に設けられていたが、本実施形態はこれに限定されない。撮像装置22および距離測定部24は別々に配置されていてもよい。また、上述した説明では、撮像ユニット20の撮像装置22および距離測定部24は同時にワークWに向くように構成されていたが、本実施形態はこれに限定されない。撮像ユニット20において、撮像または仮撮像を行う場合には撮像装置22がワークWに向く一方で距離測定部24はワークWに向いておらず、距離測定を行う場合には、撮像装置22がワークWに向いていない一方で距離測定部24はワークWに向いくように構成されてもよい。例えば、撮像ユニット20の撮像装置22および距離測定部24は異なる方向を向いており、ロボット30の先端を回転させて撮像ユニット20を回転させることにより、撮像装置22および距離測定部24の向く方向を適宜変更させることができる。
【0045】
なお、上述したように、仮移動の方向および距離の少なくとも一方は、仮撮像された画像と、予め記憶された基準像との比較に基づいて決定されてもよい。
【0046】
(第2実施形態)
図5に、本実施形態のロボットシステム10の模式図を示す。本実施形態のロボットシステム10は、第1実施形態において上述したロボットシステムと同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する説明を省略する。
【0047】
記憶装置41には、ワークWの基準像が記憶されている。プロセッサ42は、撮像装置22によって仮撮像された画像から、記憶装置41に記憶された基準像に対応する領域を抽出し、基準像との一致度を求める。プロセッサ42は、このようなパターンマッチングに基づき、撮像ユニット20を仮移動させる方向および距離の少なくとも一方を決定してもよい。
【0048】
また、距離測定の前または後に、プロセッサ42は、撮像装置22によって撮像された画像と記憶装置41に記憶された基準像との比較を行ってもよい。例えば、比較は、形状および長さの少なくとも1つの点から行われる。なお、ロボットシステム10では、距離測定の後に高精度な撮像が行われるため、撮像装置22によって撮像された画像と基準像との違いを高精度に比較することができる。
【0049】
なお、上述したように、撮像結果に基づいて作業を行ってもよい。この場合、高精度な撮像結果に基づき作業を高精度に行うことができる。
【0050】
図6に、本実施形態のロボットシステム10の模式図を示す。図6に示したロボットシステム10は、撮像ユニット20の取り付けられたロボット30とは別のロボット130にエンドエフェクタ(作業部)110が取り付けられている。
【0051】
例えば、エンドエフェクタ110はシーリングを行う。または、エンドエフェクタ110は溶接または別の加工を行ってもよい。あるいは、エンドエフェクタ110は加工以外の作業を行ってもよい。なお、図6に示したロボットシステム10では、エンドエフェクタ110は撮像ユニット20とは異なるロボット130に取り付けられたが、ロボットシステム10において、エンドエフェクタ110を設ける場合、ロボット30に撮像ユニット20だけでなくエンドエフェクタ110を取り付けることが好ましい。
【0052】
図7に、ロボットシステム10の部分的な模式図を示す。図7では、ロボット30の先端部分を図示している。ロボット30には、撮像ユニット20が取り付けられている。撮像ユニット20は、撮像装置22、距離測定部24および照明部26を有している。また、ロボット30には、撮像ユニット20だけでなくエンドエフェクタ110が取り付けられている。ここでは、エンドエフェクタ110としてシーリングを行うシーリングガンを備えている。
【0053】
図7に示したロボットシステム10では、ロボット30の先端は回転可能に構成されている。ロボット30の先端が回転することにより、ある場合には、撮像ユニット20がワークWに向いており、別の場合には、エンドエフェクタ110がワークWに向くように変更することができる。
【0054】
ここで、図8〜図10を参照してシーリングを行うロボットシステム10の一例を説明する。図8に、ロボットシステム10の模式的な斜視図を示す。図8において、ワークWは建設機械のキャビンである。シーリングガン110はワークWの所定の領域にシーリング材を吐出する。シール剤は、防水剤および接着剤として機能する。
【0055】
図8に示したロボットシステム10では、搬送装置170は、ワークWを載せた台車160を移動させる。例えば、搬送装置170は、ワークWのセットされた台車160をワークセット位置で積載した後、撮像ユニット20およびエンドエフェクタ110の取り付けられたロボット30の近くまで搬送する。撮像及び作業の終了後、搬送装置170は、ワークWのセットされた台車160をワーク払い出し位置まで搬送し、ワークWのセットされた台車160はワーク払い出し位置で搬送装置170から降ろされる。ここでは、搬送装置170はロボット30の外部軸サーボによって駆動される。
【0056】
ここで、ワークWを台車160に載せてから、搬送し、撮像及び作業を行い、台車160を搬送装置170から降ろすまでの手順の一例を説明する。例えば、作業者は、まず、ワークセット位置でワークW(キャビン)を台車160にセットする。このとき、ワークWは台車160に対して簡易的に位置決めされる。例えば、ワークWは、台車160のレール及び突き当てによって簡易的に位置決めされる。
【0057】
ワークWを台車160に載せた後、起動ボタンによって台車160を突き上げる。その後、搬送装置170は突き上げられた台車160の下部に入り込み、突き上げ装置を降ろすことにより、ワークWの載せられた台車160が搬送装置170に積載される。
【0058】
搬送装置170がワークWの載せられた台車160を所定の位置まで搬送すると、ロボット30に取り付けられた撮像装置22および距離測定部24を利用してワークWの撮像が行われる。例えば、図9に示すように、撮像装置22がワークWの対象領域を撮像する。ここでは、対象領域は、キャビンWの角部に位置する領域である。撮像装置22によって撮像された画像から、例えばネジや角部などの特徴点を抽出し、対象領域の位置を特定する。この位置に基づいてロボット30は撮像ユニット20を移動させる。例えば、撮像装置22によって撮像された画像から特定された対象領域の位置と予め教示された位置との差から、位置の誤差を求めて、この誤差(暫定値)に基づいて撮像ユニット20を移動させてもよい。
【0059】
次に、図10に示すように、距離測定部24がワークWまでの距離を測定する。例えば、測定された距離と予め教示された距離との差から、距離誤差量が求められる。
【0060】
次に、測定結果に基づいてロボット30は撮像ユニット20を移動させる。例えば、撮像ユニット20とワークWとの間の距離が所定の値Dになるようにロボット30は撮像ユニット20を移動させる。その後、再び、撮像装置22がワークWの対象領域を撮像する。この撮像結果と基準像とのマッチング処理を行うことにより、予め教示データに設定された作業開始位置と、実際のワークWの対象領域の位置との差分を示す位置誤差情報が求められる。
【0061】
次に、シーリングガン110をワークWに向けたまま、ロボット30は教示データにおいて指定された位置からワークWの位置誤差情報に基づいて移動した後、シーリング作業が行われる。なお、このようなロボット30の位置の変更は、ロボットコントローラ50のプロセッサ52からの指示に基づいて行われる。
【0062】
シーリング作業完了後、搬送装置170はワークWの載せられた台車160をワーク払い出し位置に搬送する。ワーク払い出し位置においてワークWの載せられた台車160は、突き上げ装置にて保持され、搬送装置170から降ろされる。その後、搬送装置170はワークセット位置へと戻る。搬送装置170がワーク払い出し位置から離れた後、突き上げ装置が降下し、作業者はワークWの載せられた台車160を引き出す。以上のようにしてワークWに対して高精度にシーリングを行うことができる。また、上述した動作を複数のワークWに対して行う場合、複数のワークWに対して同一条件で撮像を行うことができるため、キャリブレーションの条件が同一となり、シーリング位置を高精度に補正することができる。
【0063】
なお、上述した説明では、1つのロボット30には1つの距離測定部24が取り付けられていたが、本実施形態はこれに限定されない。1つのロボット30に3つの距離測定部24が取り付けられていてもよく、これにより、ワークWの傾きを取得することができる。なお、この場合、3つの距離測定部24は互いに比較的離れるように配置されることが好ましい。
【0064】
また、上述した説明では、1つのワークWに対して撮像ユニット20およびエンドエフェクタ110の取り付けられたロボット30が1つ配置されていたが、本実施形態はこれに限定されない。1つのワークWに対して撮像ユニット20およびエンドエフェクタ110の取り付けられたロボット30が複数配置されてもよい。
【0065】
(第3実施形態)
図11に、本実施形態のロボットシステム10の模式図を示す。図11に示したロボットシステム10は、1つのワークWに対して撮像ユニット20およびエンドエフェクタ110の取り付けられたロボット30が複数配置されている点を除いて図8〜図10を参照して上述したロボットシステム10と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する説明を省略する。このように、複数の組の撮像ユニット20およびエンドエフェクタ110の取り付けられたロボット30によってワークWの複数個所の撮像を行ってもよい。これにより、ワークWへの作業(例えば、加工)および測定を短時間で行うことができる。
【0066】
なお、図1に示したロボットシステム10では、1組の撮像ユニット20およびロボット30によってワークWの距離を測定して撮像を行ったが、複数組の撮像ユニット20およびロボット30によってワークWの距離を測定して撮像を行ってもよい。例えば、3組の撮像ユニット20およびロボット30によってワークWの3個所の距離を測定することより、ワークWの傾きに関する情報を取得することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本実施形態では、ワークWを高精度に撮像することができる。このような撮像結果を用いることにより、高精度な作業を好適に行うことができる。あるいは、撮像結果は、ワークWの測定に用いてもよい。
【符号の説明】
【0068】
10 ロボットシステム
20 撮像ユニット
22 撮像装置
24 距離測定部
30 ロボット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置および距離測定部を有する撮像ユニットと、
前記撮像ユニットの取り付けられたロボットと
を備える、ロボットシステムであって、
前記撮像装置がワークを仮撮像し、前記仮撮像の結果に基づいて前記ロボットが前記撮像ユニットを仮移動させた後、前記距離測定部が前記ワークまでの距離を測定し、前記測定の結果に基づいて前記ロボットが前記撮像ユニットを移動させ、前記撮像装置が前記ワークを撮像する、ロボットシステム。
【請求項2】
前記ロボットの動作態様を規定した教示データに基づいて前記ロボットを制御するロボットコントローラをさらに備え、
前記ロボットコントローラは、前記教示データにおいて指定された前記ロボットの位置を、前記撮像装置の撮像結果に基づいて変更するように前記ロボットを制御する、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記仮移動の方向および移動量の少なくとも一方は、前記仮撮像の結果および予め記憶された基準像に基づいて決定される、請求項1または2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記ワークに対して作業を行うエンドエフェクタであって、前記ロボットに取り付けられたエンドエフェクタをさらに備え、
前記エンドエフェクタによって前記作業の行われる位置は、前記撮像装置の撮像結果に基づいて変更される、請求項1から3のいずれかに記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記エンドエフェクタは、シーリング材を吐出するシーリングガンである、請求項4に記載のロボットシステム。
【請求項6】
撮像装置および距離測定部を有する撮像ユニットと、前記撮像ユニットの取り付けられたロボットとを備えるロボットシステムを用意する工程と、
前記撮像装置を用いてワークを仮撮像する工程と、
前記仮撮像の結果に基づいて前記ロボットが前記撮像ユニットを仮移動させる工程と、
前記仮移動の後、前記距離測定部が前記ワークまでの距離を測定する工程と、
前記測定の結果に基づいて前記ロボットが前記撮像ユニットを移動させた後で、前記撮像装置が前記ワークを撮像する工程と
を包含する、撮像方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−63474(P2013−63474A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201984(P2011−201984)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】