説明

ロボットシステム

【課題】生産性を向上できるようにする。
【解決手段】らっきょう12を搬送するコンベア14と、コンベア14による搬送経路上を搬送されてくるらっきょう12の3次元形状を検知する3次元センサ18と、らっきょう12に対し持ち上げつつ移送する作業を行うためのツールを取り付け可能なロボット16A,16Bと、ロボット16A,16Bに対し動作指令を出力すると共に、3次元センサ18の検知結果に基づき、動作指令の補正を行うコントローラ28とを有しており、コントローラ28は、ロボット16に対し、補正後の動作指令を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、例えば、搬送装置による搬送経路上を搬送されてくる対象物を持ち上げつつ移送する作業、対象物に対し接着剤や塗料等を塗布する作業、対象物の不要部位を切除する作業、対象物に対し焼印を押す作業、等の所定の作業を行うためのツールを取り付け可能なロボットを備えたロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送装置による搬送経路上を搬送されてくる対象物に対し上記のような所定の作業を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術においては、搬送装置(ベルトコンベア)によって順次対象物(ワーク)が搬送されてきて、流れてくる対象物は、定位置についた時にビデオカメラによって撮影される。ビデオカメラで生成された映像信号は、画像処理装置に送られ、画像処理装置では、対象物の形状、載置姿勢、凹凸の有無、バリの位置等を確認する。そして、その情報に基づいて、例えばロボット(多関節ロボット)のロボットアームに固定されたツール(ロボットハンド)の、2本の指に設けられた爪間隔可変機構に取り付けられた把持爪を、対象物に当てる位置を決定し、これに従って爪間隔可変機構は、把持爪の間隔を調整する。
【0003】
そして、ロボットアームが画像処理装置からの情報により、対象物の位置まで移動し、ツールで対象物を把持する。その後、ロボットアームは、グラインダに対象物の未整形部を当て、上下、回転、持ち替え等することにより、整形をする。対象物の整形が終了すれば、ロボットアームは、対象物を搬送装置上に置き、一連の作業を終了し、次の対象物に向けて把持爪の間隔を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−262886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、ロボットに対しては、予め例えば教示ペンダント等を介して入力された動作指令が出力され、ロボットは、この動作指令に基づき動作する。
【0006】
ところで、例えば野菜や果物といった自然物や、複数種類が混在した状態の人工物(工業製品)等、個体間で形状が不定な不定形物を対象物とする場合、対象物間の形状にばらつきがあり、各対象物の形状を確認できないため、ロボットは、動作指令に基づき動作しても、搬送経路上を搬送されてくる対象物に対しツールにより所定の作業を精度良く行えないおそれがある。上記従来技術においては、搬送経路上を搬送されてくる対象物をビデオカメラで撮影し、その映像信号に基づき、対象物の形状を確認するので、対象物が自然物や人工物等の形状が不定な不定形物である場合でも、上記映像信号に基づき動作指令の補正を行って、ロボットに対し補正後の動作指令を出力することで、ロボットは、補正後の動作指令に基づき動作することで、搬送経路上を搬送されてくる対象物に対しツールにより所定の作業を精度良く行うことが可能となる。
【0007】
しかしながら、ビデオカメラ等の撮像装置で撮像した撮像画像に基づいては、対象物の2次元形状は確認できるものの、対象物の3次元形状を正確に確認するのは困難である。このため、対象物が不定形物である場合、撮像装置で撮像した撮像画像に基づき動作指令の補正を行う手法では、ロボットが補正後の動作指令に基づき動作しても、搬送経路上を搬送されてくる対象物に対し所定の作業を確実に精度良く行えるとは言えず、精度良く行われなかった結果、作業後の対象物が不良品となり、市場に出すことができず、生産性が低下するという問題があった。一方で、搬送経路上を搬送されてくる対象物に対し所定の作業を確実に精度良く行うため、通常よりも長い時間をかけて作業を行う手法が考えられるが、この場合、タクトタイムが延長するので、上記の場合と同様、生産性が低下するという問題があった。
【0008】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、生産性を向上できるロボットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一の観点によれば、対象物を搬送する搬送装置と、前記搬送装置による搬送経路上を搬送されてくる前記対象物の3次元形状を検知する3次元センサと、前記対象物に対し所定の作業を行うためのツールを取り付け可能なロボットと、前記ロボットに対し動作指令を出力する指令出力手段、及び、前記3次元センサの検知結果に基づき、前記動作指令の補正を行う動作補正手段、を有するコントローラ手段と、を有し、前記指令出力手段は、前記ロボットに対し、前記動作補正手段による補正後の動作指令を出力するロボットシステムが適用される。
【発明の効果】
【0010】
本発明のロボットシステムによれば、生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施の形態のらっきょう切断加工システムの全体構成を模式的に表す上面図である。
【図2】らっきょう切断加工システムの全体構成を模式的に表す側面図である。
【図3】コントローラが実行する制御内容の一例を表すフローチャートである。
【図4】らっきょう切断加工システムの動作の一例を説明する説明図である。
【図5】らっきょう切断加工システムの動作の一例を説明する説明図である。
【図6】らっきょう切断加工システムの動作の一例を説明する説明図である。
【図7】らっきょう切断加工システムの動作の一例を説明する説明図である。
【図8】らっきょう切断加工システムの動作の一例を説明する説明図である。
【図9】らっきょう切断加工システムの動作の一例を説明する説明図である。
【図10】らっきょう切断加工システムの動作の一例を説明する説明図である。
【図11】ロボットの待機姿勢を決定してロボットを選択する変形例のらっきょう切断加工システムの全体構成を模式的に表す側面図である。
【図12】コントローラが実行する制御内容の一例を表すフローチャートである。
【図13】ロボットの設置領域を決定してロボットを選択する変形例のらっきょう切断加工システムの全体構成を模式的に表す側面図である。
【図14】コントローラが実行する制御内容の一例を表すフローチャートである。
【図15】ロボットを1台だけ設置する変形例のらっきょう切断加工システムの全体構成を模式的に表す側面図である。
【図16】らっきょう切断加工システムの全体構成を模式的に表す側面図である。
【図17】コントローラが実行する制御内容の一例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1及び図2に示すように、本実施形態のらっきょう切断加工システム10(ロボットシステム)は、らっきょう12(対象物)に対し、根毛部12a及び茎部12bを切除して球根部12cを抽出する切断加工を行うシステムである。なお、らっきょう12は、球根野菜、すなわち自然物であり、個体間の形状(例えば、根毛部12a、茎部12b、及び球根部12cの位置、大きさ、範囲等)にばらつきがあって、個体間の形状が不定な不定形物の一例である。このらっきょう切断加工システム10は、コンベア14(搬送装置)と、3次元センサ18と、複数台(この例では2台)のロボット16A,16B(以下適宜、これらを区別なく示す場合には「ロボット16」と称する)と、コントローラ28(コントローラ手段)とを有している。なお、コンベア14、3次元カメラ18、及び各ロボット16A,16Bと、コントローラ28とは、相互通信可能に接続されている。
【0014】
コンベア14は、搬送面に載置されたらっきょう12を一方向(図1中の右側から左側、図2中の紙面奥行き側から紙面手前側)へ搬送する装置であり、モータ142と、コンベア駆動部144(駆動部)と、エンコーダ146とを備えている。モータ142は、回転力を発生する。コンベア駆動部144は、モータ142に連結されており、当該モータ142の回転力により回転駆動される。エンコーダ146は、コンベア駆動部144に連結されており、当該コンベア駆動部144の回転位置を検出する。エンコーダ146の検出結果、すなわちコンベア駆動部144の回転位置情報は、コントローラ28へ出力される。
【0015】
3次元センサ18は、レーザ光源及びカメラを備えており、コンベア14による搬送経路の上流側において、当該搬送経路の上方に位置すると共にレーザ光源及びカメラが下方を向くように、床部に固定された略逆L字状の支持部材32に固定されている。具体的には、レーザ光源は、コンベア14の搬送面における所定の位置に、コンベア14の搬送方向と直交する方向に長いスリット状(線状)のレーザ光(以下適宜、「レーザスリット光」と称する)を連続して照射(投光)するように配向されている。カメラは、レーザ光源によるレーザ光スリット照射経路とは異なる光路の反射光(入射光に対し所定の角度を有する反射光)を受光するように配向されており、レーザ光源によるレーザスリット光照射位置及びその近傍を連続的に撮像する。
【0016】
この3次元センサ18は、搬送経路上を所定の速度で連続して続々と搬送されてくる、すなわち、検知領域が設定された下方を通過していくらっきょう12にレーザ光源からレーザスリット光を照射し、そのレーザスリット光の反射光をカメラで撮像して、下方を通過していくらっきょう12を走査する。そして、カメラの撮像画像に基づき、三角測量の原理を用いて上記走査したらっきょう12までの距離を算出して、当該らっきょう12の3次元形状を検知する。3次元センサ18の検知結果、すなわち3次元センサ18のカメラの撮像画像及びその撮像画像上の距離情報は、コントローラ28へ出力される。
【0017】
各ロボット16A,16Bは、3次元センサ18よりも搬送経路の下流側において、当該搬送経路に沿って各ロボット16A,16B同士がある程度(例えば1m程度)離間するように、搬送経路の幅方向一方側(図1中の上側、図2中の左側)領域及び他方側(図1中の下側、図2中の右側)領域に亘ってそれぞれ設置されている。また、ロボット16A,16Bのうち搬送経路の最も上流側のロボット16Aは、後述のツール(具体的には、後述の吸着パッド166a)により、搬送経路上を搬送されてくるらっきょう12に対し後述の持ち上げ処理を行う領域が、3次元センサ18の固定位置、具体的には3次元センサ18によるらっきょう12の検知領域、から搬送経路の下流側に、当該搬送経路に沿って所定の距離S(らっきょう12が3次元センサ18の検知結果から後述の距離画像を取得するための処理にかかる処理時間に搬送される距離。例えば1m)以上離間するように、設置されている。
【0018】
これら各ロボット16A,16Bは、この例では垂直多関節ロボットであり、基台162と、旋回ベース163と、アーム164と、らっきょう12を所定の持ち上げ方法により持ち上げつつ移送する作業(所定の作業に相当)を行うためのツールとを備えている。基台162は、図示しない床部に固定された台座30の天側に対し固定されている。旋回ベース163は、基台162に対し旋回自在に取り付けられている。アーム164は、複数の部材から構成されており、各部材同士が回転自在に取り付けられている。また、各ロボット16A,16Bの周囲には、カメラ20、切断装置22、廃棄ボックス24、及び投入ボックス26がそれぞれ設置されている。なお、各カメラ20,20と、コントローラ28とは、相互通信可能に接続されている。
【0019】
搬送経路の上流側のロボット16Aは、アーム164の先端に、上記ツールとして、図示しない真空装置により真空状態にされることで、らっきょう12を上記所定の持ち上げ方法としての真空吸着により持ち上げ可能な吸着パッド166a(吸着装置)が取り付けられている。このロボット16Aは、旋回ベース163及びアーム164を協調動作することで、搬送経路上を搬送されてくるらっきょう12(詳細には、後述のようにらっきょう12の球根部12cの部分)に吸着パッド166aを接触させ、吸着パッド166aによる真空吸着により当該らっきょう12を持ち上げつつ、周囲の後述のカメラ20のレンズ201の視野内の所定の撮像位置へ移動させる。そして、吸着パッド166aにより持ち上げているらっきょう12を、周囲の後述の切断装置22の円形カッタ222の刃2221の位置へ移動させ、当該切断装置22により上記切断加工を行わせる。その後、吸着パッド166aにより持ち上げている、上記切断加工により根毛部12a及び茎部12bが切除されたらっきょう12の球根部12cを、周囲の投入ボックス26の上方へ移動させ、当該投入ボックス26へ投入する。
【0020】
一方、搬送経路の下流側のロボット16Bは、アーム164の先端に、上記ツールとして、らっきょう12を上記所定の持ち上げ方法としての把持により持ち上げ可能なハンド166b(ロボットハンド)が取り付けられている。このロボット16Bは、旋回ベース163及びアーム164を協調動作することで、搬送されてくるらっきょう12(詳細には、後述のようにらっきょう12の球根部12cの部分)にハンド166bを接触させ、ハンド166bによる把持により当該らっきょう12を持ち上げつつ、周囲の後述のカメラ20のレンズ201の視野内の所定の撮像位置へ移動させる。そして、ハンド166bにより持ち上げているらっきょう12を、周囲の後述の切断装置22の円形カッタ222の刃2221の位置へ移動させ、当該切断装置22により上記切断加工を行わせる。その後、ハンド166bにより持ち上げている、上記切断加工により根毛部12a及び茎部12bが切除されたらっきょう12の球根部12cを、周囲の投入ボックス26の上方へ移動させ、当該投入ボックス26へ投入する。
【0021】
なお、吸着パッド166aによる真空吸着によりらっきょう12を持ち上げる際のタクトタイムは、ハンド166bによる把持によりらっきょう12を持ち上げる際のタクトタイムよりも短くなっている。すなわち、吸着パッド166aによる真空吸着の方がハンド166bによる把持よりも、らっきょう12を速く持ち上げ可能となっている。
【0022】
各カメラ20,20は、レンズ201と、レンズ201の周囲にリング状に配置された複数のLEDで構成された照明202とを正面側に備えており、背面側がコンベア14の側面側に向くと共に、レンズ201の視野が、周囲のロボット16のツールの可動範囲内に位置するように、各ロボット16A,16Bの近傍にそれぞれ設置されている。各カメラ20,20を正面側が上方に向かないように設置することで、上方から落下してくる水滴よりレンズ201を守ることができる。また、各カメラ20,20のレンズ201の正面側には、図示しないバックライトが設置されている。そして、これら各カメラ20,20は、上記のように、周囲のロボット16によってらっきょう12がレンズ201の視野内の上記撮像位置に移動させられたとき、レンズ201を介して当該視野内を撮像することで、撮像位置に移動させられたらっきょう12を撮像して、当該らっきょう12の形状及び姿勢を検知する。各カメラ20,20の検知結果、すなわち各カメラ20,20の撮像画像は、コントローラ28へ出力される。
【0023】
各切断装置22,22は、らっきょう12に対し上記切断加工を行う刃2221を外周に備えた、周方向に回転する円形カッタ222を有しており、円形カッタ222の刃2221の位置が、周囲のロボット16のツールの可動範囲内に位置するように、各ロボット16A,16Bの近傍にそれぞれ設置されている。
【0024】
各廃棄ボックス24,24は、切断装置22で切断されたらっきょう12の根毛部12a及び茎部12bを廃棄するための天側が開放した箱であり、各切断装置22,22の下方にそれぞれ設置されている。
【0025】
各投入ボックス26,26は、切断装置22で根毛部12a及び茎部12bが切除されたらっきょう12の球根部12cを投入するための天側が開放した箱であり、各ロボット16A,16Bの近傍にそれぞれ設置されている。
【0026】
コントローラ28は、3次元カメラ18、各ロボット16A,16B、及び各カメラ20,20等の動作を制御するための、入力装置、表示装置、記憶装置、及び演算装置等を備えたコンピュータで構成されている。このコントローラ28の記憶装置には、予め例えば教示ペンダント等を介して入力された、搬送経路上を搬送されてくるらっきょう12に対しツールにより持ち上げつつ移送する作業を行うための、ロボット16及びツールの種別の指定がされていない動作指令(例えば、各制御点の位置、各関節の角度、補間動作の種別等の教示データ)を含む、複数の動作指令が格納されている。
【0027】
以下、図3を用いて、本実施形態においてコントローラ28が実行する制御内容の一例を説明する。
【0028】
図3において、このフローに示す処理は、例えば入力装置を介して所定の開始操作(例えば、コントローラ28の電源オン)が行われることによって開始される。まずステップS5で、コントローラ28は、各ロボット16A,16Bが所定の待機姿勢(例えば、図2に示す姿勢)となるように、各ロボット16A,16Bに対し、記憶装置に記憶された所定の動作指令を出力する。これにより、各ロボット16A,16Bは、コントローラ28からの動作指令に基づき、旋回ベース163及びアーム164を協調動作し、所定の待機姿勢となって待機する。
【0029】
そして、ステップS10に移り、コントローラ28は、3次元センサ18の検知結果、すなわち3次元センサ18のカメラの撮像画像及びその撮像画像上の距離情報を入力する。
【0030】
その後、ステップS20で、コントローラ28は、上記ステップS10で入力された3次元センサ18のカメラの撮像画像及びその撮像画像上の距離情報に基づき、3次元センサ18との距離を画像上に表した距離画像(3次元情報)を生成する。そして、その生成した距離画像に基づき、3次元センサ18の下方を通過したらっきょう12(以下適宜、「特定のらっきょう12」と称する)の3次元形状を検出する。
【0031】
そして、ステップS30に移り、コントローラ28は、上記ステップS20で検出された特定のらっきょう12の3次元形状に基づき、当該特定のらっきょう12の吸着パッド166aにより真空吸着できそうな部位の検出を行う(詳細は後述)。
【0032】
その後、ステップS40で、コントローラ28は、上記ステップS30での検出結果に応じて、特定のらっきょう12に対するロボット16のツールによる持ち上げ処理の処理態様として、持ち上げ方法の決定を行う。例えば、上記ステップS30で、特定のらっきょう12の真空吸着できそうな部位が検出された、すなわち特定のらっきょう12に真空吸着できそうな部位が存在する場合には、当該特定のらっきょう12に対する持ち上げ方法を、吸着パッド166aによる真空吸着及びハンド166bによる把持のうち、タクトタイムの短い真空吸着に決定する。一方、上記ステップS30で、特定のらっきょう12の真空吸着できそうな部位が検出されなかった、すなわち特定のらっきょう12に真空吸着できそうな部位が存在しない場合には、当該特定のらっきょう12に対する持ち上げ方法を、吸着パッド166aによる真空吸着及びハンド166bによる把持のうち、タクトタイムの長い把持に決定する。すなわち、特定のらっきょう12に真空吸着できそうな部位が存在する場合には、持ち上げ方法がタクトタイムの短い真空吸着に決定され、特定のらっきょう12に真空吸着できそうな部位が存在しないときだけ、持ち上げ方法がタクトタイムの長い把持に決定される。このステップS40の手順が、特許請求の範囲に記載の態様決定手段として機能する。
【0033】
そして、ステップS50に移り、コントローラ28は、ロボット16A,16Bのうち、特定のらっきょう12に対し作業を行うロボット16として、上記ステップS40で決定された持ち上げ方法に対応するツール(第1ツールに相当。以下適宜、「特定のツール」と称する)が取り付けられたロボット16(第1ロボットに相当。以下適宜、「特定のロボット16」と称する)の選択を行う。例えば、上記ステップS40で、持ち上げ方法が真空吸着に決定されていた場合には、真空吸着を行うツールである吸着パッド166aを備えたロボット16Aを選択する。一方、上記ステップS40で、持ち上げ方法が把持に決定されていた場合には、把持を行うツールであるハンド166bを備えたロボット16Bを選択する。このステップS50の手順が、特許請求の範囲に記載の第1ロボット選択手段として機能する。
【0034】
その後、ステップS60で、コントローラ28は、上記ステップS50での選択結果に応じて、特定のらっきょう12の接触目標部位の設定を行う。接触目標部位は、特定のロボット16の特定のツールによる接触の目標となる部位である。例えば、上記ステップS50でロボット16Aが選択されていた場合には、上記ステップS30で検出された特定のらっきょう12の真空吸着できそうな部位のうち、所定の条件を満たす部位(詳細は後述)を、特定のらっきょう12の接触目標部位としての吸着目標部位に設定する。吸着目標部位は、吸着パッド166aによる真空吸着の目標となる部位である。一方、上記ステップS50でロボット16Bが選択されていた場合には、特定のらっきょう12の上記球根部12cの適宜の部位を、特定のらっきょう12の接触目標部位としての把持目標部位に設定する。把持目標部位は、ハンド166bによる把持の目標となる部位である。
【0035】
そして、ステップS70に移り、コントローラ28は、コンベア14のエンコーダ146より適宜のタイミングで入力された当該エンコーダ146の検出結果、すなわちコンベア駆動部144の回転位置情報に基づき、搬送経路上を搬送されるらっきょう12の移動量を算出する。そして、その算出したらっきょう12の移動量に基づき、特定のロボット16の特定のツールの可動範囲内に、特定のらっきょう12が搬送されてくるタイミング、言い換えれば特定のロボット16の、搬送経路上を搬送されてくる特定のらっきょう12を特定のツールで持ち上げるための動作開始タイミングを算出する。このステップS70の手順が、特許請求の範囲に記載のタイミング算出手段として機能する。
【0036】
その後、ステップS75で、コントローラ28は、記憶装置に格納された当該ステップS75に関する動作指令を読み出し、その読み出した動作指令を補正する。具体的には、上記ステップS70で算出された動作開始タイミングになったときに旋回ベース163及びアーム164を協調動作し、搬送経路上を搬送されてくる特定のらっきょう12の接触目標部位に特定のツールを接触させ、当該特定のツールにより特定のらっきょう12を持ち上げつつ周囲のカメラ20に係る上記撮像位置へ移動させるように、上記読み出した動作指令を特定のロボット16の特定のツール用に補正する。例えば、上記ステップS50でロボット16Aが選択されていた場合には、特定のらっきょう12の吸着目標部位に吸着パッド166aを接触させ、当該吸着パッド166aによる真空吸着により特定のらっきょう12を持ち上げつつ撮像位置へ移動させるように、動作指令をロボット16Aの吸着パッド166a用に補正する。一方、上記ステップS50でロボット16Bが選択されていた場合には、特定のらっきょう12の把持目標部位にハンド166bを接触させ、当該ハンド166bによる把持により特定のらっきょう12を持ち上げつつ撮像位置へ移動させるように、動作指令をロボット16Bのハンド166b用に補正する。
【0037】
その後、ステップS80で、コントローラ28は、特定のロボット16に対し、上記ステップS75で補正後の動作指令を出力する。これにより、特定のロボット16が、コントローラ28からの動作指令に基づき、動作開始タイミングになったときに、旋回ベース163及びアーム164を協調動作し、搬送経路上を搬送されてくる特定のらっきょう12の接触目標部位に特定のツールを接触させ、当該特定のツールにより特定のらっきょう12を持ち上げつつ周囲のカメラ20に係る撮像位置へ移動させる(詳細は後述)。例えば、上記ステップS50でロボット16Aが選択されていた場合には、ロボット16Aが、特定のらっきょう12の吸着目標部位に吸着パッド166aを接触させ、当該吸着パッド166aによる真空吸着により特定のらっきょう12を持ち上げつつ撮像位置へ移動させる。一方、上記ステップS50でロボット16Bが選択されていた場合には、ロボット16Bが、特定のらっきょう12の把持目標部位にハンド166bを接触させ、当該ハンド166bによる把持により特定のらっきょう12を持ち上げつつ撮像位置へ移動させる。
【0038】
そして、ステップS90に移り、コントローラ28は、特定のロボット16の周囲に設置されたカメラ20の検知結果、すなわち当該カメラ20の撮像画像を入力する。
【0039】
その後、ステップS100で、コントローラ28は、上記ステップS90で入力されたカメラ20の撮像画像に基づき、カメラ20で撮像された特定のらっきょう12の形状及び姿勢を検出して、当該特定のらっきょう12の加工目標部位の設定を行う(詳細は後述)。加工目標部位は、上記切断装置22の円形カッタ222の刃2221による切断開始位置及びそこからの切断角度を含む切断部分全体の目標となる部位である。
【0040】
そして、ステップS105に移り、コントローラ28は、記憶装置に格納された当該ステップS105に関する動作指令を読み出し、その読み出した動作指令を補正する。具体的には、特定のツールにより持ち上げている特定のらっきょう12の加工目標部位を、上記刃2221の位置へ導くように、上記読み出した動作指令を特定のロボット16の特定のツール用に補正する。例えば、上記ステップS50でロボット16Aが選択されていた場合には、吸着パッド166aにより持ち上げている特定のらっきょう12の加工目標部位を刃2221の位置へ導くように、動作指令をロボット16Aの吸着パッド166a用に補正する。一方、上記ステップS50でロボット16Bが選択されていた場合には、ハンド166bにより持ち上げている特定のらっきょう12の加工目標部位を刃2221の位置へ導くように、動作指令をロボット16Bのハンド166b用に補正する。
【0041】
そして、ステップS110に移り、コントローラ28は、特定のロボット16に対し、上記ステップS105で補正後の動作指令を出力する。これにより、特定のロボット16が、コントローラ28からの動作指令に基づき、旋回ベース163及びアーム164を協調動作し、特定のツールにより持ち上げている特定のらっきょう12の加工目標部位を、刃2221の位置へ導き、所定の動作を行う(詳細は後述)。例えば、上記ステップS50でロボット16Aが選択されていた場合には、ロボット16Aが、吸着パッド166aにより持ち上げている特定のらっきょう12の加工目標部位を、刃2221の位置へ導、所定の動作を行う。一方、上記ステップS50でロボット16Bが選択されていた場合には、ロボット16Bが、ハンド166bにより持ち上げている特定のらっきょう12の加工目標部位を、刃2221の位置へ導、所定の動作を行う。
【0042】
その後、ステップS120で、コントローラ28は、例えば入力装置を介して所定の終了操作(例えば、コントローラ28の電源オフ)が行われたかどうかを判定する。所定の終了操作が行われるまでステップS120の判定は満たされず、上記ステップS5に戻り同様の手順を繰り返す。所定の終了操作が行われたらステップS120の判定が満たされて、このフローに示す処理を終了する。
【0043】
なお、上記において、ステップS75及びステップS105の手順が、特許請求の範囲に記載の動作補正手段として機能する。また、ステップS5、ステップS80、及びステップS110の手順が、動作出力手段として機能する。
【0044】
以下、図4〜図10を用いて、らっきょう切断加工システム10の動作の一例を説明する。
【0045】
まず、コントローラ28から各ロボット16A,16Bに対し、記憶装置に格納された所定の動作指令が出力され、各ロボット16A,16Bが、旋回ベース163及びアーム164を協調動作し、所定の待機姿勢となって待機する(ステップS5参照)。そして、図4に示すように、搬送経路の上流側を所定の速度で連続して続々と搬送されるらっきょう12が、3次元センサ18の下方を通過するとき、3次元センサ18で検知される。そして、その検知結果、すなわち3次元センサ18のカメラの撮像画像及びその撮像画像上の距離情報が、コントローラ28へ出力される。これにより、コントローラ28に、3次元センサ18のカメラの撮像画像及びその撮像画像上の距離情報が入力され(ステップS10参照)、その入力された3次元センサ18のカメラの撮像画像及びその撮像画像上の距離情報に基づいて、上記距離画像が生成される。図5(a)(b)に、生成された距離画像の一例をモデル化した模式図を示す。なお、図5(a)(b)に示す距離画像は、互いに同じ情報を別視点でモデル化したものである。図5(a)(b)に示すように、生成された距離画像には、3次元センサ18の下方を通過した上記特定のらっきょう12の形状が3次元で表されており、この距離画像に基づいて、特定のらっきょう12の3次元形状が検出される(ステップS20参照)。そして、その検出された特定のらっきょう12の3次元形状に基づいて、当該特定のらっきょう12の真空吸着できそうな部位の検出が行われる(ステップS30参照)。本実施形態では、特定のらっきょう12の真空吸着できそうな部位として、生成された距離画像に表された特定のらっきょう12の球根部12cにおける、吸着パッド166aによる真空吸着の障害物(例えば根毛部12aの根毛や茎部12aの葉等)が上方に存在しておらず、かつ、所定の面積(例えば1cm3)以上の平坦面積を備える部位の検出が行われる。
【0046】
その後、上記の検出結果に応じて、特定のらっきょう12に対するロボット16のツールによる持ち上げ方法の決定が行われる(ステップS40参照)。以下では、上記において特定のらっきょう12の真空吸着できそうな部位が検出された場合を例にとって説明する。すなわち、上記において特定のらっきょう12の真空吸着できそうな部位が検出された場合には、当該特定のらっきょう12に対する持ち上げ方法が上記真空吸着に決定される。そして、ロボット16A,16Bのうち、真空吸着に対応するツールである吸着パッド166aを備えたロボット16Aが選択される(ステップS50参照)。その後、特定のらっきょう12の真空吸着できそうな部位のうち、最も高い位置に存在する部位(図5(a)及び図5(b)に示す例では符号31で示す部位)が検出され、その検出された部位が、当該特定のらっきょう12の吸着目標部位に設定される(ステップS60参照)。そして、コンベア14のエンコーダ146よりコントローラ28に適宜のタイミングで入力された当該エンコーダ146の検出結果、すなわちコンベア駆動部144の回転位置情報に基づいて、搬送経路上を搬送されるらっきょう12の移動量が算出される。そして、その算出されたらっきょう12の移動量に基づいて、ロボット16Aの吸着パッド166aの可動範囲内に、特定のらっきょう12が搬送されてくるタイミング、言い換えればロボット16Aの、搬送経路上を搬送されてくる特定のらっきょう12を吸着パッド166aで持ち上げるための動作開始タイミングが算出される(ステップS70参照)。
【0047】
そして、記憶装置に格納された動作指令が読み出され、ロボット16Aの吸着パッド166a用に補正される(ステップS75参照)。その後、コントローラ28からロボット16Aに対し、補正後の動作指令が出力され、図6に示すように、ロボット16Aが、上記算出された動作開始タイミングになったときに旋回ベース163及びアーム164を協調動作し、搬送経路上を搬送されてくる特定のらっきょう12の上記設定された吸着目標部位(図6に示す例では符号31で示す部位)に吸着パッド166aを接触させる。そして、図7に示すように、吸着パッド166による真空吸着により特定のらっきょう12を持ち上げ、予め定められた所定の撮像姿勢となるように旋回ベース163及びアーム164を協調動作することで、吸着パッド166で持ち上げているらっきょう12を、周囲のカメラ20のレンズ201の視野内の上記撮像位置に移動させる(ステップS80参照)。
【0048】
すると、カメラ20で、レンズ201の視野内の、撮像姿勢となっているロボット16A、及び、撮像位置に移動させられた特定のらっきょう12が撮像される。そして、その撮像画像が、コントローラ28へ出力される。これにより、コントローラ28に、当該カメラ20の撮像画像が入力される(ステップS90参照)。図8(a)に、コントローラ28に入力されたカメラ20の撮像画像の一例をモデル化した模式図を示す。図8(a)に示すように、カメラ20の撮像画像には、ロボット16A及び特定のらっきょう12の形状及び姿勢が2次元で表されており、この撮像画像に基づいて、カメラ20で撮像された特定のらっきょう12の形状及び姿勢が検出され、当該特定のらっきょう12の加工目標部位の設定が行われる(ステップS100参照)。本実施形態では、まず、図8(a)に示すようなカメラ20の撮像画像に表されたロボット16Aの画像16A′を除外した画像を生成する。その後、図8(b)に示すように、その生成した画像に表された特定のらっきょう12の画像12′の最大内接円(図8(b)に示す例では符号33で示す円)を算出し、その算出した最大内接円の中心位置を求め、その位置を特定のらっきょう12の画像12′の重心(図8(b)に示す例では符号34で示す位置)とする。次に、図9(a)に示すように、上記求めた特定のらっきょう12の画像12′の重心の、一方側の所定の範囲(図9(a)に示す例では符号35で示す範囲)の面積と、他方側の所定の範囲(図9(a)に示す例では符号36で示す範囲)の面積とを比較し、面積が大きい側(図9(a)に示す例では符号35で示す範囲側)を根毛部12a側、面積が小さい側(図9(a)に示す例では符号36で示す範囲側)を茎部12b側と判断する。そして、図9(b)に示すように、上記求めた特定のらっきょう12の画像12′の重心から茎部12b側の幅(太さ)を計測して幅が所定の値以下になった部位(図9(b)に示す例では符号37で示す部位)と、上記求めた特定のらっきょう12の画像12′の重心から根毛部12a側の幅(太さ)を計測して幅が所定の値以下になった部位(図9(b)に示す例では符号38で示す部位)とを、特定のらっきょう12の加工目標部位として設定する。
【0049】
そして、記憶装置に格納された動作指令が読み出され、ロボット16Aの吸着パッド166a用に補正される(ステップS105参照)。その後、コントローラ28からロボット16Aに対し、補正後の動作指令が出力され、図10に示すように、ロボット16Aが、旋回ベース163及びアーム164を協調動作し、吸着パッド166aで持ち上げている特定のらっきょう12の上記設定された加工目標部位(図10に示す例では符号37,38で示す部位)を、上記円形カッタ222の刃2221の位置へ導く。そして、吸着パッド166aで持ち上げている特定のらっきょう12を刃2221で加工目標部位に沿って切断させる。これにより、根毛部12a及び茎部12bが球根部12cより切り離され落下することで、刃2221の下方の上記廃棄ボックス24内へ入る。そして、吸着パッド166aで持ち上げている特定のらっきょう12の球根部12cを、周囲の投入ボックス26の上方へ移動させ、そこで吸着パッド166による真空吸着を解除することで、特定のらっきょう12の球根部12cを投入ボックス26へ投入する(ステップS110参照)。
【0050】
以上説明したように、本実施形態のらっきょう切断加工システム10は、らっきょう12を搬送するコンベア14と、吸着パッド166a又はハンド166bを備えたロボット16A,16Bと、各ロボット16A,16Bに対し動作指令を出力するコントローラ28とを有している。各ロボット16A,16Bは、コントローラ28からの動作指令に基づき動作し、搬送経路上を搬送されてくるらっきょう12を吸着パッド166a又はハンド166bで持ち上げつつ移送する作業を行う。
【0051】
ここで、前述した不定形物であるらっきょう12に対し持ち上げつつ移送する作業を行う場合、らっきょう12の個体間の形状にばらつきがあり、各らっきょう12の形状を認識できないため、各ロボット16A,16Bは、コントローラ28からの動作指令に基づき動作しても、らっきょう12を取り損なうおそれがある。このような不都合を解消するため、一般には、搬送経路上を搬送されてくるらっきょう12をカメラで撮像し、コントローラ28が、その撮像画像に基づき動作指令を補正し、動作させるロボット16に対し補正後の動作指令を出力することで、らっきょう12に対し持ち上げつつ移送する作業を行う場合でも、ロボット16が補正後の動作指令に基づき動作することで、らっきょう12の取り損ねを低減させることができる。しかしながら、カメラで撮像した撮像画像に基づいては、らっきょう12の2次元形状は確認できるものの、らっきょう12の3次元形状を正確に確認するのは困難である。このため、らっきょう12に対し持ち上げつつ移送する作業を行う場合、カメラで撮像した撮像画像に基づき動作指令の補正を行う手法では、ロボットが補正後の動作指令に基づき動作しても、らっきょう12の取り損ねを確実に防止できるとは言えず、らっきょう12の取り損ねが生じる結果、生産性が低下するという問題があった。一方で、らっきょう12に対し持ち上げつつ移送する作業を確実に行うため、通常よりも長い時間をかけてらっきょう12を持ち上げる手法が考えられるが、この場合、タクトタイムが延長するので、上記の場合と同様に、生産性が低下するという問題があった。
【0052】
そこで本実施形態においては、搬送経路の上流側に3次元センサ18を設け、当該3次元センサ18により、搬送経路上を搬送されてくるらっきょう12の3次元形状を検知する。その後、コントローラ28が、3次元センサ18の検知結果に基づき、動作指令の補正を行って、動作させるロボット16に対し補正後の動作指令を出力する。これにより、コントローラ28からの補正後の動作指令を入力したロボット16は、当該補正後の動作指令に基づき動作することで、搬送経路上を搬送されてくるらっきょう12を吸着パッド166a又はハンド166bにより確実かつ迅速に持ち上げることが可能となる。
【0053】
以上のようにして、本実施形態によれば、らっきょう12に対し持ち上げつつ移送する作業を行う場合でも、タイムタクトを延長することなく、らっきょう12の取り損ねを確実に防止することが可能となる。その結果、生産性を向上することができる。
【0054】
また、本実施形態では特に、3次元センサ18が、コンベア14の搬送面における所定の位置にレーザスリット光を照射するように配光されたレーザ光源と、レーザ光源によるレーザスリット光の照射位置及びその近傍を撮像するカメラとを有している。3次元センサ18をこのような構造とすることにより、搬送経路上を搬送されてくるらっきょう12の3次元形状を確実に精度よく検知することができる。
【0055】
また、本実施形態では特に、コントローラ28が、3次元センサ18の検知結果に基づき、搬送経路上を搬送されてくるらっきょう12の持ち上げ方法の決定を行う。これにより、らっきょう12を確実かつ迅速に持ち上げ処理可能な持ち上げ方法を決定することが可能となる。そして、コントローラ28が、上記決定された持ち上げ方法に応じて、吸着パッド166a又はハンド166bにより、搬送経路上を搬送されてくるらっきょう12を持ち上げつつ移動させるように、動作指令の補正を行う。これにより、らっきょう12を確実かつ迅速に持ち上げ処理可能な持ち上げ方法で、搬送経路上を搬送されてくるらっきょう12を持ち上げつつ移送することが可能となる。その結果、らっきょう12に対し持ち上げつつ移送する作業を行うでも、タイムタクトを延長することなく、らっきょう12の取り損ねを確実に防止することができ、生産性を向上することができる。
【0056】
また、本実施形態では特に、次のような効果を得ることができる。すなわち、3次元センサ18の検知結果から距離画像を取得するための処理は、演算量が多く必要な処理時間は比較的長い。そこで本実施形態においては、ロボット16A,16Bのうち、搬送経路の最も上流側に設置されるロボット16Aを、吸着パッド166aにより持ち上げ処理を行う領域が、3次元センサ18によるらっきょう12の検知領域から搬送経路の下流側に、当該搬送経路に沿って所定の距離S以上離間するように設置している。これにより、上記所定の距離Sを、らっきょう12が3次元センサ18の検知結果から距離画像を取得するための処理にかかる処理時間に搬送される距離よりも長く設定することで、ロボット16Aの吸着パッド166aにより持ち上げ処理を行う領域に到達する前に、上記処理を終了させ距離画像を取得させることができる。その結果、取得された距離画像に基づいて吸着パッド166aの3次元形状を確認した上で、吸着パッド166aに対する持ち上げ処理を行うことができるので、吸着パッド166aの取り損ねを確実に防止することができる。また、3次元センサ18の検知結果から距離画像を取得するための処理を行っている間も吸着パッド166aを搬送させることにより、当該処理にかかる処理時間を無駄にせずに有効に使用することができる。
【0057】
また、本実施形態では特に、コンベア14が、モータ142と、モータ142により回転駆動されるコンベア駆動部144と、コンベア駆動部144に連結され当該コンベア駆動部144の回転位置を検出するエンコーダ146とを備えている。そして、コントローラ28が、エンコーダ146の検出結果に基づき、ロボット16の動作開始タイミングを算出する。これにより、コンベア14によるらっきょう12の搬送動作と確実に連動しつつ、搬送経路上を搬送されてくるらっきょう12をロボット16のツールにより確実に持ち上げることができる。
【0058】
また、本実施形態では特に、ロボット16は、互いに持ち上げ方法の異なるツールを備えたロボット16A,16Bの2台設置されている。そして、コントローラ28が、3次元センサ18の検知結果に対応する距離画像に基づき、らっきょう12の持ち上げ方法の決定を行い、ロボット16A,16Bのうち、上記決定された持ち上げ方法に対応するツールを備えたロボット16の選択を行う。その後、その選択されたロボット16の上記決定された持ち上げ方法に対応するツールにより、搬送経路上を搬送されてくるらっきょう12を持ち上げつつ移送するように、動作指令の補正を行う。これにより、ロボット16A,16Bのうち、らっきょう12を確実かつ迅速に持ち上げ可能な持ち上げ方法に対応するツールを備えたロボット16を選択的に使用することが可能となる。その結果、らっきょう12の取り損ねを確実に防止でき、生産性を確実に向上することができる。
【0059】
また、本実施形態では特に、ロボット16Aのアーム164に吸着パッド166aを取り付け、ロボット16Bのアーム164にハンド166bを取り付けている。ロボット16Aのアーム164に吸着パッド166aを取り付けることで、らっきょう12を吸着により持ち上げることができる。これにより、らっきょう12を突き刺し等により傷つけることなく持ち上げることができ、らっきょう12をハンド166bによる把持により持ち上げる場合に比べ、タクトタイムを短縮できる。また、ロボット16Bのアーム164にハンド166bを取り付けることで、らっきょう12を把持により持ち上げることができる。これにより、吸着パッド166aによる吸着によりらっきょう12を持ち上げる場合に比べ、タクトタイムは延長するものの、らっきょう12が吸着に向かない形状や材質である場合や、らっきょう12の吸着パッド166aにより吸着できそうな部位の近傍に障害物がある場合等、らっきょう12を吸着パッド166aによる吸着により持ち上げることが困難である場合でも、らっきょう12を確実に持ち上げることができる。
【0060】
なお、実施の形態は、上記内容に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順次説明する。
【0061】
(1)ロボットの待機姿勢を決定してロボットを選択する場合
上記実施形態においては、3次元センサ18の検知結果に対応する距離画像に基づき、らっきょう12の持ち上げ方法を決定して、ロボット16を選択していたが、これに限られず、3次元センサ18の検知結果に対応する距離画像に基づき、ロボット16の持ち上げ処理を開始するまでの待機姿勢を決定して、ロボット16を選択してもよい。
【0062】
図11に示すように、本変形例においては、ロボット16Bのアーム164の先端に取り付けられたツールと、コントローラ28(図1参照)の制御内容とが、上記実施形態と異なっている。すなわち、本変形例においては、ロボット16Bは、アーム164の先端に、ロボット16Aと同様の吸着パッド166aが取り付けられている。
【0063】
以下、図12を用いて、本変形例においてコントローラ28が実行する制御内容の一例を説明する。なお、この図12は、前述の図3に対応する図であり、図3と同様の手順には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
【0064】
図12において、まずステップS5′で、コントローラ28は、各ロボット16A,16Bが互いに異なる所定の待機姿勢(例えば、図11に示す姿勢)となるように、各ロボット16A,16Bに対し、記憶装置に記憶された所定の動作指令を出力する。これにより、各ロボット16A,16Bは、コントローラ28からの動作指令に基づき、旋回ベース163及びアーム164を協調動作し、各ロボット16A,16Bを上記互いに異なる所定の待機姿勢となって待機する。
【0065】
その後のステップS10及びステップS20は、前述の図3と同様であり、ステップS20で、前述の特定のらっきょう12の3次元形状を検出したら、ステップS35に移る。
【0066】
ステップS35では、コントローラ28は、前述のステップS20で検出された特定のらっきょう12の3次元形状に基づき、当該特定のらっきょう12の吸着パッド166aにより真空吸着できそうな部位の検出を行う。そして、その検出したらっきょう12の真空吸着できそうな部位のうち、所定の条件を満たす部位を、当該特定のらっきょう12の吸着パッド166aによる吸着目標部位に設定する。
【0067】
その後、ステップS40′で、コントローラ28は、特定のらっきょう12の吸着目標部位の設定位置に応じて、当該特定のらっきょう12に対する前述の持ち上げ処理の処理態様として、ロボット16の持ち上げ処理を開始するまでの待機姿勢の決定を行う。具体的には、上記ステップS5′でロボット16A,16Bがとった互いに異なる待機姿勢のうち、吸着目標部位へ確実にアプローチでき、かつ、吸着目標部位へのアプローチにかかる時間が短い、すなわちタクトタイムの短い待機姿勢の決定を行う。なお、このステップS40′の手順が、特許請求の範囲に記載の態様決定手段として機能する。
【0068】
そして、ステップS50′に移り、コントローラ28は、ロボット16A,16Bのうち、特定のらっきょう12に対し作業を行うロボット16として、上記ステップS40′で決定された待機姿勢で待機するロボット16(第2ロボットに相当)の選択を行う。なお、このステップS50′の手順が、特許請求の範囲に記載の第2ロボット選択手段として機能する。
【0069】
その後の手順は、前述の図3とほぼ同様であるので、説明を省略する。
【0070】
なお、上記において、前述のステップS75及び前述のステップS105の手順が、特許請求の範囲に記載の動作補正手段として機能する。また、ステップS5′、前述のステップS80、及び前述のステップS110の手順が、動作出力手段として機能する。
【0071】
以上説明した本変形例においては、ロボット16は、互いに異なる待機姿勢で待機するロボット16A,16Bの2台設置されている。そして、コントローラ28が、3次元センサ18の検知結果に対応する距離画像に基づき、ロボット16の持ち上げ処理を開始するまでの待機姿勢の決定を行い、ロボット16A,16Bのうち、上記決定された待機姿勢で待機するロボット16の選択を行う。その後、その選択されたロボット16の吸着パッド166aにより、搬送経路上を搬送されてくるらっきょう12を持ち上げつつ移送するように、動作指令の補正を行う。これにより、ロボット16A,16Bのうち、らっきょう12を確実かつ迅速に持ち上げ可能な待機姿勢で待機するロボット16を選択的に使用することが可能となる。その結果、らっきょう12の取り損ねを確実に防止でき、生産性を確実に向上することができる。
【0072】
(2)ロボットの設置領域を決定してロボットを選択する場合
前述の実施形態においては、3次元センサ18の検知結果に対応する距離画像に基づき、らっきょう12の持ち上げ方法を決定して、ロボット16を選択していたが、これに限られず、3次元センサ18の検知結果に対応する距離画像に基づき、ロボット16の設置領域を決定して、ロボット16を選択してもよい。
【0073】
図13に示すように、本変形例においては、ロボット16Bのアーム164の先端に取り付けられたツールと、コントローラ28(図1参照)の制御内容とが、前述の実施形態と異なっている。すなわち、本変形例においては、ロボット16Bは、アーム164の先端に、ロボット16Aと同様の吸着パッド166aが取り付けられている。
【0074】
以下、図14を用いて、本変形例においてコントローラ28が実行する制御内容の一例を説明する。なお、この図14は、前述の図3や図12に対応する図であり、図3や図12と同様の手順には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
【0075】
図14において、ステップS5、ステップS10、及びステップS20は、前述の図3と同様であり、ステップS35は、前述の図12と同様であり、ステップS35で、前述の特定のらっきょう12の吸着目標部位を設定したら、ステップS42に移る。
【0076】
ステップS42では、コントローラ28は、特定のらっきょう12の吸着目標部位の設定位置に基づき、搬送経路上を搬送されてくる当該特定のらっきょう12の吸着目標部位の、前述のコンベア14による搬送経路の幅方向位置を検出する。具体的には、吸着目標部位がコンベア14による搬送経路の幅方向中央部CP(図13参照)の一方側(図13中の左側)及び他方側(図13中の右側)のうちどちら側にあるかを検出する。
【0077】
その後、ステップS44で、コントローラ28は、上記ステップS42での検出結果、すなわち吸着目標部位が搬送経路の幅方向中央部CPの一方側及び他方側のうちどちら側にあるかに基づき、特定のらっきょう12に対する前述の持ち上げ処理の処理態様として、ロボット16の設置領域の決定を行う。例えば、上記ステップS42で、吸着目標部位が搬送経路の幅方向中央部CPの一方側にあると検出された場合には、ロボット16の設置領域を前述の搬送経路の幅方向一方側領域に決定する。一方、上記ステップS42で、吸着目標部位が搬送経路の幅方向中央部CPの他方側にあると検出された場合には、ロボット16の設置領域を前述の搬送経路の幅方向他方側領域に決定する。
【0078】
そして、ステップS50″に移り、コントローラ28は、ロボット16A,16Bのうち、特定のらっきょう12に対し作業を行うロボット16として、上記ステップS44で決定されたロボット16の設置領域に設置されたロボット16(第3ロボットに相当)の選択を行う。例えば、上記ステップS44で、ロボット16の設置領域が搬送経路の幅方向一方側領域に決定されていた場合には、搬送経路の幅方向中央部CPの一方側の吸着目標部位へ確実にアプローチでき、かつ、当該吸着目標部位へのアプローチにかかる時間が短い、すなわちタクトタイムの短い搬送経路の幅方向一方側領域に設置されたロボット16Aを選択する。一方、上記ステップS44で、ロボット16の設置領域が搬送経路の幅方向他方側領域に決定されていた場合には、搬送経路の幅方向中央部CPの他方側の吸着目標部位へ確実にアプローチでき、かつ、当該吸着目標部位へのアプローチにかかる時間が短い、すなわちタクトタイムの短い搬送経路の幅方向他方側領域に設置されたロボット16Bを選択する。なお、このステップS50″の手順が、特許請求の範囲に記載の第3ロボット選択手段として機能する。
【0079】
その後の手順は、前述の図3とほぼ同様であるので、説明を省略する。
【0080】
なお、上記において、ステップS42及びステップS44の手順が、特許請求の範囲に記載の態様決定手段として機能し、そのうち、ステップS42の手順が位置検出手段として機能し、ステップS44の手順が領域決定手段として機能する。また、前述のステップS75及び前述のステップS105の手順が、特許請求の範囲に記載の動作補正手段として機能する。また、ステップS5′、前述のステップS80、及び前述のステップS110の手順が、動作出力手段として機能する。
【0081】
以上説明した本変形例においては、ロボット16は、搬送経路の幅方向一方側領域及び他方側領域に亘って設けられたロボット16A,16Bの2台設置されている。そして、コントローラ28が、3次元センサ18の検知結果に対応する距離画像に基づき、搬送経路上を搬送されてくるらっきょう12の搬送経路の幅方向位置を検出し、その検出結果に基づき、ロボット16の設置領域の決定を行い、ロボット16A,16Bのうち、上記決定された設置領域に設置されたロボット16の選択を行う。その後、その選択されたロボット16の吸着パッド166aにより、搬送経路上を搬送されてくるらっきょう12を持ち上げつつ移送するように、動作指令の補正を行う。これにより、ロボット16A,16Bのうち、らっきょう12を確実かつ迅速に持ち上げ可能な設置領域に設置されたロボット16を選択的に使用することが可能となる。その結果、らっきょう12の取り損ねを確実に防止でき、生産性を確実に向上することができる。
【0082】
(3)ロボットを1台だけ設置する場合
以上においては、ロボット16を2台設置する構成としていたが、これに限られず、ロボット16を1台だけ設置する構成としてもよい。
【0083】
図15及び図16に示すように、本変形例のらっきょう切断加工システム10A(ロボットシステム)は、前述のコンベア14と、前述の3次元センサ18と、前述のロボット16Aと、前述のコントローラ28とを有している。
【0084】
本変形例のロボット16Aは、アーム164の先端側に、互いに持ち上げ方法の異なる複数(この例では2つ)のツールとして、前述の吸着パッド166a及びハンド166bが取り付けられている。このロボット16Aの周囲には、前述のカメラ20、切断装置22、廃棄ボックス24、及び投入ボックス26が設置されている。
【0085】
また、本変形例のコントローラ28の記憶装置には、予め例えば教示ペンダント等を介して入力された、搬送経路上を搬送されてくるらっきょう12に対しツールにより持ち上げつつ移送する作業を行うための、ツールの種別の指定がされていない動作指令を含む、複数の動作指令が格納されている。
【0086】
以下、図17を用いて、本変形例においてコントローラ28が実行する制御内容の一例を説明する。なお、この図17は、前述の図3に対応する図であり、図3と同様の手順には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
【0087】
図17において、まずステップS5Aで、コントローラ28は、ロボット16Aが所定の待機姿勢(例えば、図16に示す姿勢)となるように、ロボット16Aに対し、記憶装置に記憶された所定の動作指令を出力する。これにより、ロボット16Aは、旋回ベース163及びアーム164を協調動作し、所定の待機姿勢となって待機する。
【0088】
その後のステップS10〜ステップS40は、前述の図3と同様であり、ステップS40で、前述の特定のらっきょう12の持ち上げ方法を決定したら、ステップS50Aに移る。なお、本変形例においてもステップS40の手順が、特許請求の範囲に記載の態様決定手段として機能する。
【0089】
ステップS50Aでは、コントローラ28は、ロボット16Aに備えられた2つのツール、すなわち吸着パッド166a及びハンド166bのうち、特定のらっきょう12に対し作業を行う持ち上げるツールとして、前述のステップS40で決定された持ち上げ方法に対応するツール(第2ツールに相当。以下適宜、「特定のツール」と称する)の選択を行う。例えば、前述のステップS40で、持ち上げ方法が真空吸着に決定されていた場合には、真空吸着を行うツールである吸着パッド166aを選択する。一方、前述のステップS40で、持ち上げ方法が把持に決定されていた場合には、把持を行うツールであるハンド166bを選択する。なお、このステップS50Aの手順が、特許請求の範囲に記載のツール選択手段として機能する。
【0090】
その後、ステップS60Aで、コントローラ28は、上記ステップS50Aでの選択結果に応じて、特定のらっきょう12の接触目標部位の設定を行う。例えば、上記ステップS50Aで吸着パッド166aが選択されていた場合には、前述のステップS30で検出された、特定のらっきょう12の真空吸着できそうな部位のうち、所定の条件を満たす部位を、当該特定のらっきょう12の吸着目標部位に設定する。一方、上記ステップS50Aでハンド166bが選択されていた場合には、特定のらっきょう12の上記球根部12cの適宜の部位を、当該特定のらっきょう12の把持目標部位に設定する。
【0091】
そして、ステップS70Aに移り、コントローラ28は、前述のステップS70と同様にして、上記ステップS50Aで選択されたツールの可動範囲内に、特定のらっきょう12が搬送されてくるタイミング、言い換えればロボット16Aの動作開始タイミングを算出する。このステップS70Aの手順が、特許請求の範囲に記載のタイミング算出手段として機能する。
【0092】
その後、ステップS75Aで、コントローラ28は、記憶装置に格納された当該ステップS75Aに関する動作指令を読み出し、その読み出した動作指令を補正する。具体的には、上記ステップS70Aで算出された動作開始タイミングになったときに旋回ベース163及びアーム164を協調動作し、搬送経路上を搬送されてくる特定のらっきょう12の接触目標部位に特定のツールを接触させ、当該特定のツールにより特定のらっきょう12を持ち上げつつ周囲のカメラ20に係る前述の撮像位置へ移動させるように、上記読み出した動作指令を特定のツール用に補正する。例えば、上記ステップS50Aで吸着パッド166aが選択されていた場合には、特定のらっきょう12の吸着目標部位に吸着パッド166aを接触させ、当該吸着パッド166aによる真空吸着により特定のらっきょう12を持ち上げつつ撮像位置へ移動させるように、動作指令を吸着パッド166a用に補正する。一方、上記ステップS50Aでハンド166bが選択されていた場合には、特定のらっきょう12の把持目標部位にハンド166bを接触させ、当該ハンド166bによる把持により特定のらっきょう12を持ち上げつつ撮像位置へ移動させるように、動作指令をハンド166b用に補正する。
【0093】
その後、ステップS80Aで、コントローラ28は、ロボット16Aに対し、上記ステップS75Aで補正後の動作指令を出力する。これにより、ロボット16Aが、コントローラ28からの動作指令に基づき、動作開始タイミングになったときに、旋回ベース163及びアーム164を協調動作し、搬送経路上を搬送されてくる特定のらっきょう12の接触目標部位に特定のツールを接触させ、当該特定のツールにより特定のらっきょう12を持ち上げつつ周囲のカメラ20に係る撮像位置へ移動させる。例えば、上記ステップS50Aで吸着パッド166aが選択されていた場合には、ロボット16Aは、特定のらっきょう12の吸着目標部位に吸着パッド166aを接触させ、当該吸着パッド166aによる真空吸着により特定のらっきょう12を持ち上げつつ撮像位置へ移動させる。一方、上記ステップS50Aでハンド166bが選択されていた場合には、ロボット16Aは、特定のらっきょう12の把持目標部位にハンド166bを接触させ、当該ハンド166bによる把持により特定のらっきょう12を持ち上げつつ撮像位置へ移動させる。
【0094】
その後のステップS90及びステップS100は、前述の図3とほぼ同様であり、ステップS100で、特定のらっきょう12の加工目標部位を設定したら、ステップS105Aに移る。
【0095】
ステップS105Aでは、コントローラ28は、記憶装置に格納された当該ステップS105Aに関する動作指令を読み出し、その読み出した動作指令を補正する。具体的には、特定のツールにより持ち上げている特定のらっきょう12の加工目標部位を、前述の刃2221の位置へ導くように、上記読み出した動作指令を特定のツール用に補正する。例えば、上記ステップS50Aで吸着パッド166aが選択されていた場合には、吸着パッド166aにより持ち上げている特定のらっきょう12の加工目標部位を刃2221の位置へ導くように、動作指令を吸着パッド166a用に補正する。一方、上記ステップS50Aでハンド166bが選択されていた場合には、ハンド166bにより持ち上げている特定のらっきょう12の加工目標部位を刃2221の位置へ導くように、動作指令をハンド166b用に補正する。
【0096】
そして、ステップS110Aに移り、コントローラ28は、ロボット16Aに対し、上記ステップS105で補正後の動作指令を出力する。これにより、ロボット16Aは、コントローラ28からの動作指令に基づき、旋回ベース163及びアーム164を協調動作し、特定のツールにより持ち上げている特定のらっきょう12の加工目標部位を、刃2221の位置へ導き、所定の動作を行う。例えば、上記ステップS50Aで吸着パッド166aが選択されていた場合には、ロボット16Aは、吸着パッド166aにより持ち上げている特定のらっきょう12の加工目標部位を、刃2221の位置へ導、所定の動作を行う。一方、上記ステップS50でハンド166bが選択されていた場合には、ロボット16Aは、ハンド166bにより持ち上げている特定のらっきょう12の加工目標部位を、刃2221の位置へ導、所定の動作を行う。
【0097】
その後のステップS120は、前述の図3と同様であるので説明を省略する。
【0098】
なお、上記において、ステップS75A及びステップS105Aの手順が、特許請求の範囲に記載の動作補正手段として機能する。また、ステップS5A、ステップS80A、及びステップS110Aの手順が、動作出力手段として機能する。
【0099】
以上説明した本変形例においては、ロボット16Aが、吸着パッド166a及びハンド166bを備えている。そして、コントローラ28が、3次元センサ18の検知結果に対応する距離画像に基づき、らっきょう12の持ち上げ方法の決定を行い、吸着パッド166a及びハンド166bのうち、上記決定された持ち上げ方法に対応するツールの選択を行う。その後、その選択されたツールにより、搬送経路上を搬送されてくるらっきょう12を持ち上げつつ移送するように、動作指令の補正を行う。これにより、ロボット16Aに備えられた吸着パッド166a及びハンド166bのうち、らっきょう12を確実かつ迅速に持ち上げ可能な持ち上げ方法に対応するツールを選択的に使用することが可能となる。その結果、らっきょう12の取り損ねを確実に防止でき、生産性を確実に向上することができる。
【0100】
(4)その他
前述の実施形態では、ロボット16Aのアーム164に吸着パッド166aを取り付け、ロボット16Bのアーム164にハンド166bを取り付けていたが、これに限られず、ロボット16Aのアーム164に、ツールとして、吸着パッド166aに代えて、らっきょう12を前述の所定の持ち上げ方法としての突き刺しにより持ち上げ可能な有刺部材を取り付けてもよい。あるいは、ロボット16Bのアーム164に、ツールとして、ハンド166bに代えて上記有刺部材を取り付けてもよい。ロボット16A又はロボット16Bのアーム164に有刺部材を取り付けることで、らっきょう12を突き刺しにより持ち上げることができる。これにより、らっきょう12をハンド166bによる把持により持ち上げる場合に比べ、タクトタイムを短縮できる。
【0101】
また、前述の実施形態では、ロボット16Aのアーム164に吸着パッド166aを取り付け、ロボット16Bのアーム164にハンド166bを取り付けていたが、これに限られず、ロボット16A,16Bのアーム164に互いに真空吸着量(真空吸着力)の異なる吸着パッド166aを取り付けてもよい。
【0102】
また、前述の(1)(2)の変形例では、各ロボット16A,16Bのアーム164に吸着パッド166aを取り付けていたが、これに限られず、各ロボット16A,16Bのアーム164に、吸着パッド166aに代えて、ハンド166b又は上記有刺部材を取り付けてもよい。
【0103】
また、前述の(3)の変形例では、ロボット16Aのアーム164に吸着パッド166a及びハンド166bを取り付けていたが、これに限られず、ロボット16Aのアーム164に、吸着パッド166a又はハンド166bに代えて上記有刺部材を取り付けてもよい。あるいは、ロボット16Aのアーム164に、吸着パッド166a及びハンド166bに加えて上記有刺部材を取り付けてもよい。あるいは、ロボット16Aのアーム164に、互いに真空吸着量(真空吸着力)の異なる2つの吸着パッド166aを取り付けてもよい。
【0104】
また以上では、コントローラ28が、各種の演算及び処理を一括して行っていたが、これに限られず、これら各種の演算及び処理をコントローラ28とは別の装置が分担して行ってもよい。例えば、第1画像処理装置、第2画像処理装置、ロボットコントローラ、及びこれらを制御する制御装置(例えばPCやPLC)を設け、第1画像処理装置が、3次元センサ18のカメラの撮像画像及びその撮像画像上の距離情報に基づき、前述の距離画像の生成及び真空吸着できそうな部位の検出を行い、第2画像処理装置が、カメラ20の撮像画像に基づき、前述のらっきょう12の形状及び姿勢の検出を行い、ロボットコントローラが、前述の持ち上げ処理の処理態様の決定、ロボット16の選択又はツールの選択、動作指令の補正、及び動作指令の出力、等のロボット16の動作制御に関する処理を行ってもよい。この場合、第1画像処理装置、各カメラ20ごとに設けた第2画像処理装置、各ロボット16ごとに設けたロボットコントローラ、及びこれらを制御する制御装置が、コントローラ手段に相当する。
【0105】
また以上では、不定形物であるらっきょう12を持ち上げつつ移送していたが、これに限られず、らっきょう12以外の野菜や果物といった自然物や、複数種類が混在した状態の人工物(工業製品)等の不定形物を持ち上げつつ移送してもよい。この場合、らっきょう12以外の野菜や果物といった自然物や、複数種類が混在した状態の人工物等の不定形物が、特許請求の範囲に記載の対象物に相当する。また、不定形物に限られず、定形物に対し加工を行ってもよい。この場合、定形物が、特許請求の範囲に記載の対象物に相当する。
【0106】
また、鉄等の磁性体からなる対象物を持ち上げつつ移送する作業を行う場合、ロボット16のアーム164に、鉄等の磁性体からなる対象物を前述の所定の持ち上げ方法としての電磁吸着により持ち上げ可能な電磁石を取り付けてもよい。この場合、電磁石が、特許請求の範囲に記載の吸着装置及びツールに相当する。
【0107】
また、前述の実施形態及び(1)(2)の変形例では、ロボット16を2台設置していたが、これに限られず、ロボット16を3台以上設置してもよい。また、前述の(3)の変形例では、ロボット16を1台設置していたが、これに限られず、ロボット16を2台以上設置してもよい。
【0108】
また、以上においては、ロボットシステムを、所定の作業として、搬送経路上を搬送されてくるらっきょう12に対し持ち上げつつ移送する作業を行うらっきょう切断加工システム10に適用した場合を例にとって説明した。しかしながら、これに限られず、ロボットシステムを、所定の作業として、対象物に対し接着剤や塗料等を塗布する作業、対象物の不要部位を切除する作業、対象物に対し焼印を押す作業、等を行う場合に適用してもよい。これらの作業に適用した場合も、3次元センサの検知結果に基づき動作指令を補正し、動作させるロボットに対し補正後の動作指令を出力することで、作業を確実に精度良く行うことができるので、前述の実施形態と同様、生産性を向上することができる。
【0109】
また、前述の図3等に示すフローは実施の形態を図示する手順に限定するものではなく、趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0110】
また、以上既に述べた以外にも、前述の実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0111】
その他、一々例示はしないが、前述の実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0112】
10 らっきょう切断加工システム(ロボットシステム)
10A らっきょう切断加工システム(ロボットシステム)
12 らっきょう(対象物)
14 コンベア(搬送装置)
16 ロボット
16A,B ロボット
18 3次元カメラ
28 コントローラ(コントローラ手段)
142 モータ
144 コンベア駆動部(駆動部)
146 エンコーダ
166a 吸着パッド(吸着装置、ツール)
166b ハンド(ロボットハンド、ツール)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置による搬送経路上を搬送されてくる前記対象物の3次元形状を検知する3次元センサと、
前記対象物に対し所定の作業を行うためのツールを取り付け可能なロボットと、
前記ロボットに対し動作指令を出力する指令出力手段、及び、前記3次元センサの検知結果に基づき、前記動作指令の補正を行う動作補正手段、を有するコントローラ手段と、
を有し、
前記指令出力手段は、
前記ロボットに対し、前記動作補正手段による補正後の動作指令を出力する
ことを特徴とする、ロボットシステム。
【請求項2】
前記3次元センサは、
前記搬送装置の搬送面における所定の位置に線状のレーザ光を投光するように配向されたレーザ光源と、
前記レーザ光源による前記レーザ光の投光位置及びその近傍を撮像するカメラと、
を有することを特徴とする、請求項1記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記ロボットは、
前記所定の作業として、前記対象物を所定の持ち上げ方法により持ち上げつつ移送する作業を行うための前記ツールを取り付け可能に構成されており、
前記コントローラ手段は、
前記3次元センサの検知結果に基づき、前記搬送経路上を搬送されてくる前記対象物に対する前記ツールによる持ち上げ処理の処理態様の決定を行う態様決定手段を有し、
前記動作補正手段は、
前記態様決定手段により決定された持ち上げ処理の処理態様に応じて、前記ツールにより前記搬送経路上を搬送されてくる前記対象物を持ち上げつつ移送するように、前記動作指令の補正を行う
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
1以上の前記ロボットのうち、前記搬送経路の最も上流側に設置されるロボットは、
前記ツールにより前記持ち上げ処理を行う領域が、前記3次元センサによる前記対象物の検知領域から前記搬送経路の下流側に、当該搬送経路に沿って所定の距離以上離間するように、設置される
ことを特徴とする、請求項3に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記搬送装置は、
モータと、
前記モータにより回転駆動される駆動部と、
前記駆動部に連結され当該駆動部の回転位置を検出するエンコーダと、
を備え、
前記コントローラ手段は、
前記エンコーダの検出結果に基づき、前記ロボットの動作開始タイミングを算出するタイミング算出手段を有する
ことを特徴とする、請求項4に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記ロボットは、
複数台設置されており、
前記コントローラ手段の前記態様決定手段は、
前記3次元センサの検知結果に対応する3次元情報に基づき、前記持ち上げ処理の処理態様としての前記持ち上げ方法の決定を行い、
前記コントローラ手段は、
前記複数台のロボットのうち、前記態様決定手段により決定された持ち上げ方法に対応する第1ツールが取り付けられた第1ロボットの選択を行う第1ロボット選択手段を有し、
前記動作補正手段は、
前記第1ロボットに取り付けられた前記第1ツールにより、前記搬送経路上を搬送されてくる前記対象物を持ち上げつつ移送するように、前記動作指令の補正を行い、
前記指令出力手段は、
前記第1ロボットに対し、前記動作補正手段による補正後の動作指令を出力する
ことを特徴とする、請求項4又は5に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記ロボットは、
複数台設置されており、
前記態様決定手段は、
前記3次元センサの検知結果に対応する3次元情報に基づき、前記持ち上げ処理の処理態様として、前記ロボットの前記持ち上げ処理を開始するまでの待機姿勢の決定を行い、
前記コントローラ手段は、
前記複数台のロボットのうち、前記態様決定手段により決定された待機姿勢で待機する第2ロボットの選択を行う第2ロボット選択手段を有し、
前記動作補正手段は、
前記第2ロボットに取り付けられた前記ツールにより、前記搬送経路上を搬送されてくる前記対象物を持ち上げつつ移送するように、前記動作指令の補正を行い、
前記指令出力手段は、
前記第2ロボットに対し、前記動作補正手段による補正後の動作指令を出力する
ことを特徴とする、請求項4又は5に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記ロボットは、
前記搬送経路の幅方向一方側領域及び他方側領域に亘って複数台設置されており、
前記態様決定手段は、
前記3次元センサの検知結果に対応する3次元情報に基づき、前記搬送経路上を搬送されてくる前記対象物の前記搬送経路の幅方向位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段の検出結果に基づき、前記持ち上げ処理の処理態様としての前記ロボットの設置領域の決定を行う領域決定手段と、
を備えており、
前記コントローラ手段は、
前記複数台のロボットのうち、前記領域決定手段により決定された設置領域に設置された第3ロボットの選択を行う第3ロボット選択手段を有し、
前記動作補正手段は、
前記第3ロボットに取り付けられた前記ツールにより、前記搬送経路上を搬送されてくる前記対象物を持ち上げつつ移送するように、前記動作指令の補正を行い、
前記指令出力手段は、
前記第3ロボットに対し、前記動作補正手段による補正後の動作指令を出力する
ことを特徴とする、請求項4又は5に記載のロボットシステム。
【請求項9】
前記複数台のロボットは、
前記所定の持ち上げ方法を行う前記ツールとして、前記対象物を吸着により持ち上げ可能な吸着装置、前記対象物を把持により持ち上げ可能なロボットハンド、及び、前記対象物を突き刺しにより持ち上げ可能な有刺部材、の1以上をそれぞれ取り付け可能に構成されている
ことを特徴とする、請求項6乃至8のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項10】
前記ロボットは、
互いに前記持ち上げ方法の異なる複数の前記ツールを取り付け可能に構成されており、
前記態様決定手段は、
前記3次元センサの検知結果に対応する3次元情報に基づき、前記持ち上げ処理の処理態様としての前記持ち上げ方法の決定を行い、
前記コントローラ手段は、
前記複数のツールのうち、前記態様決定手段により決定された持ち上げ方法に対応する第2ツールの選択を行うツール選択手段を有し、
前記動作補正手段は、
前記第2ツールにより、前記搬送経路上を搬送されてくる前記対象物を持ち上げつつ移送するように、前記動作指令の補正を行う
ことを特徴とする、請求項4又は5に記載のロボットシステム。
【請求項11】
前記ロボットは、
前記所定の持ち上げ方法を行う前記複数のツールとして、前記対象物を吸着により持ち上げ可能な吸着装置、前記対象物を把持により持ち上げ可能なロボットハンド、及び、前記対象物を突き刺しにより持ち上げ可能な有刺部材、の2以上を取り付け可能に構成されている
ことを特徴とする、請求項10に記載のロボットシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−86229(P2013−86229A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230684(P2011−230684)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】