説明

ロボットハンド及びフィンガー交換装置

【課題】多種の部品を把持可能で拡張性が高いロボットハンド及びこのロボットハンドにフィンガーを着脱するフィンガー交換装置を得ること。
【解決手段】ロボットアームに設置され、一対のフィンガー8で把持対象物を挟んで把持するロボットハンド3であって、ロボットアームに固定されるハンド本体6と、ハンド本体6に固定され、一対のフィンガー8の各々をフィンガー8と独立して着脱可能としたフィンガーベース7とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットハンド及びフィンガー交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多品種・少量生産に対応するために、頻繁な機種の段取り替え、生産量の急激な変化に対応可能な変種・変量形態を考慮した生産設備が要求されている。
【0003】
特に個別製品に対して専用機能に特化した設備ではなく、対象製品枠が広く汎用性の高い設備の開発が要求されている。その中で汎用性を持つ核製品であるロボットが近年多用されている。このロボットを使った生産設備において部品の取り出し・組立機構を担うハンドは、最適な部品把持を行うために適した形状を持つ必要がある。
【0004】
このため、人間の手の手首から先にあたる部分を交換し機能変化をさせることで、さまざまな形状を持つ部品の把持が可能としている。
【0005】
特許文献1には、ロボットを使用した装置におけるロボットハンドのアーム調節方法に関して開示されており、ロボットに取り付けられるハンドベースと磁力により結合分離可能なアームを備え、一つのアームを一時的に保持する機構部によりアームの位置を調整している。
【0006】
特許文献2には、左右の異なる爪からなる把持方法に関して記載されており、平行開閉ハンド機構を備え、ハンド機構に取り付けられたベース板に剛体の爪と板バネとからなる一対の爪により部品の把持を行っている。
【0007】
特許文献3には、ハンド交換方法について記載されており、装置の先端軸に固定した本体部とストッカーに収納してあるアダプタ部とからなり、本体部がアダプタ部の上方から下降して本体を一定角度回すことで本体部とアダプタ部との係合を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−158739号公報
【特許文献2】特開平10−146785号公報
【特許文献3】実開平07−11289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の技術では、アームの形状が予め決まっており部品の外形や素材あるいは表面状態によっては把持できない部品が発生するため、生産性や拡張性に乏しい。
【0010】
特許文献2の技術では、剛体の爪を基準として板バネの爪で把持する構造であり、爪の交換機能を備えていないため拡張性に乏しい。
【0011】
特許文献3の技術では、ロボット先端軸に取り付けた本体部とアダプタ部の結合が直線動作以外に最終結合時においてロボットの回転動作が必要であるため、回転位置の教示作業・位置管理が必要となり効率が悪い。
【0012】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、多種の部品を把持可能で拡張性が高いロボットハンド及びこのロボットハンドにフィンガーを着脱するフィンガー交換装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ロボットアームに設置され、一対のフィンガーで把持対象物を挟んで把持するロボットハンドであって、ロボットアームに固定されるハンド本体と、ハンド本体に固定され、一対のフィンガーの各々を独立して着脱可能としたフィンガーベースとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、把持対象の部品の形状が左右非対称であっても最適な先端形状を持つフィンガーを装着して的確かつ高精度に部品を把持でき、左右のフィンガーの組み合わせを変えることで、少数のフィンガーで多種の部品に対応することが可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明にかかるロボットハンドの実施の形態1を適用したロボット装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、ロボットハンドの概略図である。
【図3】図3は、フィンガーベースの概略図である。
【図4】図4は、フィンガーの概略図である。
【図5】図5は、実施の形態1にかかるフィンガー交換装置の概略図である。
【図6】図6は、実施の形態1にかかるフィンガー交換装置の概略図である。
【図7】図7は、フィンガーホルダの概略図である。
【図8】図8は、フィンガー交換部駆動装置によるフィンガーの着脱位置と固定位置との切換動作を示す図である。
【図9】図9は、ロボットハンドにフィンガーを装着する前の状態を示す図である。
【図10】図10は、ロボットハンドにフィンガーを装着した状態を示す図である。
【図11】図11は、ロボットハンドにフィンガーを装着する際のロボット装置の動作を示す図である。
【図12】図12は、ロボットハンドからフィンガーを取り外す際のロボット装置の動作を示す図である。
【図13】図13は、本発明にかかるフィンガー交換装置の実施の形態2の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明にかかるロボットハンド及びフィンガー交換装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0017】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかるロボットハンドの実施の形態1を適用したロボット装置の構成を示す図である。ロボット装置は、ロボット本体1、ロボットコントローラ2、ロボットハンド3、フィンガー交換装置4及び制御箱5を有する。ロボットハンド3は、ロボット本体1のロボットアーム1aの先端に取り付けられている。ロボット本体1は、ロボットコントローラ2からの指令に応じてロボットアーム1aの移動やロボットハンド3による把持や解放等の動作を行う。フィンガー交換装置4は、ロボットハンド3に装着可能なフィンガー8を複数保持している。制御箱5は、フィンガー8をロボットハンド3に装着する動作や、ロボットハンド3に装着されているフィンガー8を取り外す動作をフィンガー交換装置4に行わせる。
【0018】
図2は、ロボットハンド3の概略図であり、図2(a)は正面図、図2(b)は側面図である。ロボットハンド3はハンド本体6、フィンガーベース7及びフィンガー8を有する。ハンド本体6は、ロボットアーム1aに固定されている。フィンガーベース7は、左右独立した構造となっており、各フィンガーベース7にフィンガー8が装着される。
【0019】
図3は、フィンガーベース7の概略図であり、図3(a)は平面図、図3(b)は正面図である。フィンガーベース7は、ベース本体9と、フィンガー8を固定するための固定ピン10と、固定ピン10を押し付ける押さえバネ11とを有する。ベース本体9には取付穴30が形成されている。固定ピン10は、常態では取付穴30の内側に先端が突出するように押さえバネ11によって付勢されている。固定ピン10は、押さえバネ11のバネ力に逆らって押し込むことで取付穴30の壁面に埋没し、押し込む力を解除することで取付穴30の壁面から突出する。固定ピン10の先端は、曲面(例えば球面)になっており、取付穴30の壁面からは曲面の部分だけが突出するように設置されている。なお、固定ピン10及び押さえバネ11は一体の部品(例えばボールプランジャ)とすることも可能である。フィンガーベース7は、ハンド本体6に着脱可能に固定される。
【0020】
図4は、フィンガー8の概略図であり、図4(a)は平面図、図4(b)は正面図である。フィンガー8は、フィンガー本体12及び軸芯13を有する。フィンガー本体12は、把持対象とする部品に合わせてフィンガー8ごとに異なる多種多様な形状となっており図示する形状は一例である。フィンガー本体12は、軸芯13と反対側に位置決め穴12aが設けられている。軸芯13は、各フィンガー8で共通の構造となっており、側面にはフィンガーベース7との結合時においてフィンガーベース7の固定ピン10を案内する溝131と、固定ピン10の先端が押さえバネ11のバネ力によって挿入される凹部132とが設けられている。固定ピン10の先端は曲面になっているため、フィンガー8を回転させて固定ピン10が溝131や凹部132から外れると、固定ピン10が曲面に沿って取付穴30の壁面に埋没するようになっている。溝131及び凹部132はそれぞれ180度対面となる2箇所に施されているが、把持対象とする部品が軽量である場合は固定ピン10及び押さえバネ11を1箇所とし、固定ピン10の先端を挿入するための溝131及び凹部132も1箇所とすることでコストを低減できる。フィンガー8は強磁性材料で形成されている。
【0021】
図5及び図6は、実施の形態1にかかるフィンガー交換装置の概略図であり、図5はフィンガー8を着脱位置に配置した状態を示し、図6はフィンガー8を固定位置に配置した状態を示す。また、図5(a)及び図6(a)は平面図であり、図5(b)及び図6(b)は正面図である。フィンガー交換装置4は、フィンガー交換装置ベース14、フィンガーホルダ15、フィンガー交換部駆動装置16、フィンガー交換部駆動ベース17、フィンガー回転機構18、フィンガー検知センサ19を有する。
【0022】
フィンガーホルダ15は、ロボットハンド3に装着するフィンガー8を保持する。フィンガー交換部駆動ベース17は、フィンガー交換装置ベース14に対して所定方向(図5及び図6では左右方向)への往復移動が可能に設置されており、フィンガー交換部駆動装置16から供給される駆動力によって移動する。フィンガーホルダ15の各々とフィンガー交換部駆動ベース17とはフィンガー交換部駆動ベース17の直線運動を複数のフィンガーホルダ15の回転運動に変換する運動変換機構としてのフィンガー回転機構18を介して接続されており、フィンガー交換部駆動ベース17の移動に伴ってフィンガー回転機構18がフィンガーホルダ15を回転させる。フィンガー検知センサ19は、各フィンガーホルダ15に個別に設けられており、フィンガーホルダ15にフィンガー8が存在するか否かを検出する。例えば、フィンガー検知センサ19としては、投光器と受光器とをフィンガーホルダ15を挟むように設置した透過型光センサを適用可能であるが、フィンガー8の有無を検出可能であればこれとは異なる方式のセンサであっても良い。
【0023】
フィンガー交換部駆動ベース17に配置されるフィンガーホルダ15の設置数と設置場所はフィンガー8の形状と把持する対象部品の数によって決定される。
【0024】
図7は、フィンガーホルダ15の概略図であり、図7(a)は平面図、図7(b)は正面図である。フィンガーホルダ15は、フィンガーホルダベース20及び高低差吸収バネ21を有する。フィンガーホルダベース20の下部は軸20aとなっており、軸20aの部分でフィンガー交換装置ベース14に軸支されている。軸20aは、フィンガーホルダベース20にフィンガー8が保持された際に軸芯13と同軸となる位置に設けられている。軸20aにはフィンガー回転機構18が連結されておりクランクを形成している。また、フィンガーホルダベース20の上面には、フィンガー位置決めピン22及びフィンガー固定マグネット23が設けられている。フィンガー位置決めピン22は、フィンガーホルダベース20上にフィンガー8が載せられた際にフィンガー8の位置決め穴12aと嵌合してフィンガー8を位置決めする。フィンガー固定マグネット23は、フィンガーホルダベース20上に保持されたフィンガー8と磁気結合してフィンガー8を固定する。フィンガーホルダベース20は、高低差吸収バネ21で上方向に付勢されており、高低差吸収バネ21が縮むことで、常態よりも下へ移動可能である。
【0025】
図8は、フィンガー交換部駆動装置16によるフィンガー8の着脱位置と固定位置との切換動作を示す図である。フィンガー交換部駆動ベース17には案内部17bが設置されている。案内部17bは、フィンガー交換部駆動ベース17の移動方向と直交するガイド17aを備えている。ガイド17aは、例えばスリット状又は溝状である。また、フィンガー回転機構18のフィンガーホルダベース20に連結される側と反対側の端部にはベアリング18aが設置されており、ガイド17aに沿って摺動可能となっている。フィンガー8が着脱位置にある状態(図8(a)でフィンガー交換部駆動ベース17が図中での右方向に移動すると、ベアリング18aはガイド17aに案内されることによってガイド17aの中央に寄り、フィンガーホルダ15が回転(この場合反時計回り)する(図8(b))。フィンガー交換部駆動ベース17を図中での右方向にさらに移動させ、ベアリング18aがガイド17aの端に再び達するとフィンガー8が固定位置に移動する(図8(c))。また、フィンガー8が固定位置にある状態(図8(c))でフィンガー交換装置駆動ベース17を図中での左方向へ移動させると、同様にベアリング18aがガイド17aに案内されることによってベアリング18aがガイド17aの中央に寄ってフィンガーホルダ15が回転(この場合時計回り)し(図8(b)、ベアリング18aがガイド17aの端に再び達するとフィンガー8が離脱位置に移動する(図8(c))。
【0026】
図9は、ロボットハンド3にフィンガー8を装着する前の状態(離脱状態)を示す図である。図10は、ロボットハンド3にフィンガー8を装着した状態を示す図である。すなわち、ロボットハンド3にフィンガー8を装着する場合、フィンガー交換装置4は、図9に示すようにフィンガーホルダ15に保持しているフィンガー8を、図10に示すようにフィンガーベース7に取り付けてフィンガーホルダ15を空にするように動作する。一方、ロボットハンド3からフィンガー8を取り外す場合は、フィンガー交換装置4は、図10に示すようにフィンガーベース7に取り付けられているフィンガー8を空のフィンガーホルダ15に保持し、図9に示すようにフィンガーホルダ15に保持されたフィンガー8とフィンガーホルダ7とを分離するように動作する。
【0027】
まず、ロボットハンド3へフィンガー8を装着する場合について説明する。図11は、ロボットハンド3にフィンガー8を装着する際のロボット装置の動作を示す図である。最初にロボット本体1は把持対象部品に適したフィンガー8を動作プログラムにより認識する。次に、ロボット本体1は、フィンガー交換装置4の装着対象となるフィンガー8が置かれたフィンガーホルダ15の上方に移動し、対象となるフィンガーホルダ15にフィンガー8が存在することをフィンガー検知センサ19によりフィンガー8を装着する前に確認する(図11(a))。
【0028】
確認結果が正しければ(対象となるフィンガーホルダ15にフィンガー8が存在するならば)、ロボットアーム1aの動きによりフィンガーベース7の取付穴12にフィンガー8の軸芯13が挿入完了となる教示位置までロボットハンド3を下降させ、ロボットハンド3をフィンガーホルダ15に当接させる(図11(b))。この際、フィンガー8は、フィンガー8の軸芯13に設けられた溝131がフィンガーベース7の固定ピン10と向き合う第1の状態になっている。これにより、固定ピン10が溝131に沿うため、固定ピン10がフィンガー8の軸芯13と干渉してロボットハンド3の下降を妨げることはない。フィンガーベース7の取付穴30に軸芯13が挿入されることにより、フィンガーベース7に対してフィンガー8の位置が決定される。次に、制御箱5によりフィンガー交換部駆動装置16に駆動軸16aを突出させる命令を出力してフィンガー交換部駆動ベース17を直線的に移動させ、フィンガー回転機構18でフィンガー8を回転させる。これにより、各フィンガーホルダ15に置かれた全てのフィンガー8を軸芯13を回転軸として回転させ、着脱位置から固定位置に変化させる(図11(c))。
【0029】
フィンガーベース7の取付穴30に軸芯13が挿入されているフィンガー8は、フィンガー回転機構18によって回転させられて固定位置へ移動することで、凹部132がフィンガーベース7の固定ピン10と向き合う第2の状態となり、固定ピン10は軸芯13の側面に設けられた溝131から外れて凹部132に挿入される。凹部132に固定ピン10が挿入されて押さえバネ11が伸びることでフィンガー8がフィンガーベース7に結合される。ロボット本体1は結合状態においてロボットハンド3を上昇させることで、フィンガー8はフィンガー固定マグネット23と磁気結合する力に逆らってフィンガーベース7とともに上昇し、フィンガーホルダベース20から離れる(図11(d))。これにより、ロボットハンド3へフィンガー8を装着する手順が完了する。
【0030】
次に、ロボットハンド3からフィンガー8を取り外す手順について説明する。図12は、ロボットハンド3からフィンガー8を取り外す際のロボット装置の動作を示す図である。前回の取り出し動作を行ったフィンガーホルダ15をロボットコントローラ2が記憶しておくことにより、ロボット本体1は、離脱したフィンガー8を戻すフィンガーホルダ15をロボットコントローラ2からの指示によって認識する。なお、フィンガー検知センサ19を利用して、フィンガー8が保持されていないフィンガーホルダ15を検出し、そのフィンガーホルダ15を離脱したフィンガー8を戻すフィンガーホルダ15として認識させることも可能である。次にロボット本体1はフィンガー8を取り外すフィンガーホルダ15の上方に移動し、対象となるフィンガーホルダ15にフィンガー8が存在しないことをフィンガー検知センサ19によりフィンガー8を取り外す前に確認する(図12(a))。
【0031】
確認結果が正しければ(対象となるフィンガーホルダ15にフィンガー8が存在しないならば)、ロボットアーム1aの動きによりフィンガーホルダ15にフィンガー8が位置決め完了となる教示位置までロボットハンド3を下降させ、ロボットハンド3をフィンガーホルダ15に当接させる(図12(b))。下降が完了した状態でフィンガー8の位置決め穴12aにフィンガー位置決めピン22が挿入され、フィンガーホルダベース20に対してフィンガー8の位置が決定される。この時高低差吸収バネ21の伸縮により複数のフィンガーホルダ15の高さの違いを吸収することでロボット本体1の下降する教示位置を同じ高さとし、生産性を高めることができる。フィンガー8の位置決めがなされるとフィンガーホルダベース20の底面に設置されたフィンガー固定マグネット23がフィンガー8と磁気結合する。この時、フィンガー8は、凹部132がフィンガーベース7の固定ピン10と向き合う第2の状態となっている。
【0032】
次に、制御箱5によりフィンガー交換部駆動装置16に駆動軸16aを戻す命令を出力し、フィンガー交換部駆動ベース17を直線的に移動させ、フィンガー回転機構18を介してフィンガー8を軸芯13を回転軸として回転させ、固定位置から着脱位置に回転させる(図12(c))。フィンガー8は着脱位置に回転することで軸芯13の側面にある凹部132から固定ピン10の先端が外れ、フィンガー8は、フィンガー8の軸芯13に設けられた溝131がフィンガーベース7の固定ピン10と向き合う第1の状態となる。凹部132から外れた固定ピン10が溝131に入ることにより、フィンガー8がフィンガーベース7から離脱する。フィンガーベース7から離脱したフィンガー8は、フィンガー固定マグネット23との磁気結合によりフィンガーホルダ15に固定される。フィンガー8が離脱した状態においてロボットハンド3が上昇することで、ロボットハンド3からフィンガー8を取り外す手順が完了する(図12(d))。
【0033】
上記のように、フィンガー交換部駆動ベース17の直線移動により複数のフィンガーホルダベース20を回転させることにより、フィンガーホルダ15に個別に回転機構を設ける場合と比べてフィンガー交換装置の小型化・軽量化図ることができる。
【0034】
フィンガーベース7がハンド本体6に着脱可能であるため、軸芯13の径の違いなどに合わせてフィンガーベース7を交換することで、より多くの種類のフィンガー8をハンド本体6に装着することが可能となる。
【0035】
本実施の形態によれば、左右独立してフィンガーベースにフィンガーを着脱可能であるため、把持対象の部品の形状が左右非対称であっても最適な先端形状を持つフィンガーを装着して的確かつ高精度に部品を把持できる。また、左右独立してフィンガーが交換可能であるため、左右のフィンガーの組み合わせを変えることで、少数のフィンガーで多種の部品に対応することが可能となる。さらに、フィンガーベースをハンド本体に固定してフィンガーのみを交換するため、フィンガーを小型化してコストを低減できる。
【0036】
また、複数のフィンガーを保持するフィンガー交換装置を有し、ロボット本体の自立動作によりロボットハンドを昇降させてフィンガー交換が可能である。フィンガー交換時は、フィンガー交換装置がフィンガーを一定角度回転させる単純な動作によってフィンガーベースに対する着脱が可能であるため、フィンガー交換装置の機構部分の構造を単純化・小型化することが可能である。フィンガー交換装置の機構部分を小型化することにより、多くのフィンガーをフィンガー交換装置に保持することが可能となり、より多種の部品への対応が可能となる。
【0037】
実施の形態2.
図13は、本発明にかかるフィンガー交換装置の実施の形態2の構成を示す図である。図13に示すように本実施の形態において、フィンガー交換装置4は、対となるフィンガーホルダ15同士の間隔をフィンガーホルダピッチ変更装置24によって変更可能となっている。フィンガーホルダ15の間隔を変更可能とすることで、左右単独してフィンガー8を交換する際に、フィンガーホルダ15の間隔を拡げておいて交換対象となる左側又は右側のフィンガー8のみをフィンガーベース7に結合させることが可能となる。また左右同時にフィンガー交換を行う際には、フィンガーホルダ15の間隔をフィンガーベース7の取付穴30の間隔と同じ幅に狭めておいて左右のフィンガーをフィンガーベース7に同時に結合することで交換作業に要する時間を短縮でき、生産性を高めることができる。
【0038】
この他については実施の形態1と同様であるため、重複する説明は割愛する。
【0039】
本実施の形態によれば、左右のフィンガーを独立してフィンガー交換装置で交換可能であるため、フィンガーの組み合わせを変える作業を短時間で行うことができる。したがって、フィンガー交換のためにロボット本体による作業を停止する時間が短くなり、生産性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上のように、本発明にかかるロボットハンド及びフィンガー交換装置は、左右のフィンガーを独立して交換できる点で有用であり、特に、多品種少量生産を行う生産設備へ設置されるロボットでの使用に適している。
【符号の説明】
【0041】
1 ロボット本体
2 ロボットコントローラ
3 ロボットハンド
4 フィンガー交換装置
5 制御箱
6 ハンド本体
7 フィンガーベース
8 フィンガー
9 ベース本体
10 固定ピン
11 押しバネ
12 フィンガー本体
12a 位置決め穴
13 軸芯
14 フィンガー交換装置ベース
15 フィンガーホルダ
16 フィンガー交換部駆動装置
16a 駆動軸
17 フィンガー交換部駆動ベース
17a ガイド
17b 案内部
18 フィンガー回転機構
18a ベアリング
19 フィンガー検知センサ
20 フィンガーホルダベース
20a 軸
21 高低差吸収バネ
22 フィンガー位置決めピン
23 フィンガー固定マグネット
24 フィンガーホルダピッチ変更装置
30 取付穴
131 溝
132 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームに設置され、一対のフィンガーで把持対象物を挟んで把持するロボットハンドであって、
前記ロボットアームに固定されるハンド本体と、
前記ハンド本体に固定され、前記一対のフィンガーの各々を独立して着脱可能としたフィンガーベースとを備えることを特徴とするロボットハンド。
【請求項2】
前記フィンガーベースは、前記一対のフィンガーの各々に対応して、取付穴と、該取付穴の壁面から出没可能に設置され、常態では前記取付穴の内側に先端が突出するようにバネによって付勢された固定ピンとを有し、
前記一対のフィンガーの各々は、前記取付穴に挿入される軸芯と、該軸芯の側面に形成されて、前記軸芯と前記固定ピンとの干渉を防止する溝と、前記軸芯の側面に前記固定ピンの先端を挿入可能に形成された凹部とを有し、
前記固定ピンと前記溝とを位置合わせして前記フィンガーベースの取付穴に前記フィンガーの軸芯を挿入し、前記フィンガーベースと前記フィンガーとを相対的に回転させることにより、前記フィンガーの固定ピンを前記フィンガーベースの凹部に嵌合させて、前記フィンガーが前記フィンガーベースにバネ固定されることを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項3】
請求項2に記載のロボットハンドに前記フィンガーを着脱するフィンガー交換装置であって、
前記フィンガーを複数対保持する複数のフィンガーホルダと、
交換部駆動ベースと、
前記交換部駆動ベースを直線運動させる駆動装置と、
前記交換部駆動ベースの直線運動を前記複数のフィンガーホルダの回転運動に変換する運動変換機構とを備え、
前記駆動装置は、前記複数のフィンガーホルダに保持された前記フィンガーが、前記フィンガーの溝が前記フィンガーベースの固定ピンと向き合う第1の状態と、前記フィンガーの凹部が前記フィンガーベースの固定ピンと向き合う第2の状態とのいずれかの状態をとるように、前記交換部駆動ベースを移動させ、
前記ロボットアームによって前記フィンガーベースの取付穴に前記軸芯が挿入された前記第1の状態の前記フィンガーを、前記駆動装置が前記第2の状態に変化させることにより、前記フィンガーの固定ピンを前記フィンガーベースの凹部に嵌合させて、前記フィンガーを前記フィンガーベースに固定し、
前記ロボットアームによって前記フィンガーベースに保持させた前記第2の状態の前記フィンガーを、前記駆動装置が前記第1の状態に変化させることにより、前記フィンガーの固定ピンと前記フィンガーベースの凹部との嵌合を解除して前記フィンガーを前記フィンガーベースから離脱させることを特徴とするフィンガー交換装置。
【請求項4】
前記運動変換機構は、前記複数のフィンガーホルダの各々と前記交換部駆動ベースとを個別に接続する複数のクランクであることを特徴とする請求項3に記載のフィンガー交換装置。
【請求項5】
対となる前記フィンガーホルダ同士の間隔を変更する機構を備えることを特徴とする請求3又は4に記載のフィンガー交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−94930(P2013−94930A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242276(P2011−242276)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】