説明

ロボットハンド

【課題】メンテナンス作業の効率が向上するロボットハンドを提供する。
【解決手段】フィンガー10と、フィンガー10を駆動する電動モータ14,15と、電動モータ14,15の動作を制御するモータドライバ16と、フィンガー10を支持するフィンガーベース13と、が一体にモジュール化されている。フィンガーベース13は、ハンドベース101の取付部102に着脱可能に取り付けられる。ハンドベース101には、動作指令を出力する電源モジュール104が設けられている。モータドライバ16は、電源モジュール104にコネクタ接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用ロボットのアーム先端部等に取り付けられ、部品を把持し、組立を行う際に使用するロボットハンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラ、プリンタ等の小型で複雑な構造をした製品に対する自動化の要求が高まってきており、これらの製品に使用される部品は、小物部品が多く、その形状も多種にわたっている。これらに対応する為に、ロボットハンドには、小型で、かつ多種多様なワークの把持と、様々なワーク同士の組立作業ができるものが要求されている。
【0003】
また、ロボットハンドには、常時、稼働要求されているため、ロボットハンドのフィンガーには、大きな負荷がかかっている。そこで、フィンガーの破損、故障等のメンテナンスの際には、速やかに交換できることが要求されている。
【0004】
これに対し、2本のフィンガーとこれらフィンガーを駆動する電動モータとをフィンガーベースに一体に設けてフィンガーモジュールを構成し、このフィンガーモジュールをハンドベースに対して着脱可能とした技術が開示されている(特許文献1参照)。この特許文献1記載のフィンガーベースには、電動モータへの電力供給及び信号出力に使用されるコネクタが設けられている。したがって、電動モータに電力を供給するモータドライバは、ハンドベース側に設けられているものである。つまり、フィンガーモジュールとモータドライバとは別体である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−222971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の構成では、フィンガーの故障或いは破損等によりフィンガーモジュールの交換が必要になった場合、新たに接続されるフィンガーモジュールに合わせて既存のモータドライバを調整する必要があり、メンテナンス作業に時間がかかってしまう。
【0007】
また、既存のモータドライバを調整せずに、フィンガーモジュールと共にモータドライバを交換することも考えられる。しかし、新たなフィンガーモジュールと新たなモータドライバとの対応関係を変えないように注意して取付作業を行わなければならない。しかも、フィンガーモジュールの着脱作業のほか、モータドライバの着脱作業も必要であり、メンテナンス作業に時間がかかってしまう。
【0008】
そこで、本発明は、メンテナンス作業の効率を向上させるロボットハンドを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、フィンガー、前記フィンガーを駆動する電動モータ、前記電動モータに電力を供給すると共に入力した動作指令に基づいて前記電動モータの動作を制御するモータドライバ、及び前記フィンガーを支持するフィンガーベースが一体にモジュール化されたフィンガーモジュールと、前記フィンガーベースが着脱可能に取り付けられる取付部が形成されたハンドベースと、前記ハンドベースに設けられて前記モータドライバとコネクタ接続され、前記電動モータを動作させる動作指令を前記モータドライバに出力するコントローラと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フィンガー、電動モータ及びモータドライバがフィンガーモジュールで一体化させている。これにより、フィンガーモジュールの交換が必要になった場合、新たなフィンガーモジュールにおいてモータドライバを予め調整しておけば、メンテナンス作業の際にモータドライバの調整作業を行わなくてもよい。したがって、フィンガーモジュールを交換するメンテナンス作業を迅速に行うことができ、メンテナンス作業の効率が向上する。
【0011】
また、モータドライバがフィンガーモジュールに一体化されているので、モータドライバ単体の着脱作業を行う必要もない。そして、コントローラとモータドライバとの接続作業は、コネクタ接続で行えばよく、作業が簡略化し、メンテナンス作業の効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係るロボットハンドの概略構成を示す説明図である。
【図2】フィンガーモジュールをハンドモジュールから取り外した状態を示す説明図であり、(a)はフィンガーモジュールの側面図、(b)はフィンガーモジュールの正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るロボットハンドにおけるフィンガーモジュールのハンドモジュールへの取り付け方法の説明図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るロボットハンドの概略上面図であり、(a)はフィンガーを取り外した状態のロボットハンドである。(b)はフィンガーが2本の場合のロボットハンド、(c)はフィンガーが3本の場合のロボットハンド、(d)はフィンガーが4本の場合のロボットハンドである。
【図5】本発明の第3実施形態に係るロボットハンドの要部斜視図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るロボットハンドの概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るロボットハンドの概略構成を示す説明図である。図1に示すロボットハンド200は、ワークを把持するものである。このロボットハンド200は、フィンガーモジュール50を複数備えている。本第1実施形態では、ロボットハンド200は、2つのフィンガーモジュール50,50を備えている。また、ロボットハンド200は、ハンド本体としてのハンドモジュール100を備えている。各フィンガーモジュール50,50は、ハンドモジュール100に着脱可能に構成されている。
【0015】
まず、各フィンガーモジュール50,50の構成について説明する。なお、フィンガーモジュール50とフィンガーモジュール50とは同一構成であり、以下、これらフィンガーモジュール50,50を、フィンガーモジュール50として説明する。図2は、フィンガーモジュール50をハンドモジュール100から取り外した状態を示す説明図であり、(a)はフィンガーモジュール50の側面図、(b)はフィンガーモジュール50の正面図である。
【0016】
図2に示すフィンガーモジュール50は、複数(本第1実施形態では2つ)のリンク部材11,12が回動可能に連結されてなる1本のフィンガー10と、フィンガー10を支持する平板状のフィンガーベース13と、を備えている。フィンガー10は、複数本(本実施形態では2本)でワークを把持するように構成されている。また、フィンガーモジュール50は、フィンガー10を駆動する電動モータ14,15を備えている。具体的には、第1の電動モータ14は、第1のリンク部材11を駆動し、第2の電動モータ15は、第2のリンク部材12を駆動する。
【0017】
更に、フィンガーモジュール50は、これら電動モータ14,15に電力を供給すると共に、入力した動作指令に基づいて電動モータ14,15の動作を制御するモータドライバ16を備えている。電動モータ14,15は、フィンガーベース13のフィンガー10を支持する面とは反対側の面に固定されている。モータドライバ16は、配線基板と、配線基板上に実装された半導体素子とからなる制御基板であり、電動モータ14,15に固定されている。これにより、フィンガー10、電動モータ14,15、モータドライバ16及びフィンガーベース13が一体にモジュール化されてフィンガーモジュール50が構成されている。
【0018】
フィンガー10の第1のリンク部材11は、中節部であり、その基端が第1の関節21であり、第1の関節21でフィンガーベース13に回動可能に連結されている。また、第2のリンク部材12は、指先部であり、その基端が第2の関節22であり、第2の関節22で第1のリンク部材11の先端に回動可能に連結されている。
【0019】
第1の関節21上には、ベルトプーリー23が配置され、また、第2の関節22と同軸上にも、ベルトプーリー24が配置されている。これらベルトプーリー23,24は、ベルト25によって接続されている。
【0020】
まず、第1の電動モータ14を回転させると、その回転駆動力が不図示のギア等を介して伝達され、第1の関節21で第1のリンク部材11が回動する。一方、第2の電動モータ15を回転させると、その駆動力がベルトプーリー23に伝達され、ベルト25を介してベルトプーリー24が回転し、第2の関節22と同軸上に固定された不図示のギア等を介して第2の関節22で第2のリンク部材12が回動する。
【0021】
各電動モータ14,15には、それぞれロータリエンコーダ26,27が設けられている。各ロータリエンコーダ26,27は、不図示のケーブルによってモータドライバ16に接続され、各電動モータ14,15(回転子の回転軸)の回転を検出する。モータドライバ16は、各ロータリエンコーダ26,27の検出結果から回転速度、回転位置、回転量を常時モニタリングして、各電動モータ14,15の駆動制御を行っている。また、モータドライバ16には、電動モータ14,15双方に電力を供給するために不図示のケーブルで接続されている。
【0022】
モータドライバ16には、電源モジュール104(図1参照)に電気的に接続するためのケーブル28が設けられている。ケーブル28の先端には、電源モジュール104のコネクタ接続部104a〜104dにコネクタ接続するためのコネクタ部29が設けられている。
【0023】
次に、ハンドモジュール100について説明する。図1に示すように、ハンドモジュール100は、フィンガーモジュール50のフィンガーベース13が固定して取り付けられる平板状のハンドベース101を備えている。本第1実施形態では、ハンドベース101には、フィンガー10が2本であるので、フィンガーベース13を取り付けるための取付部102が2つ形成されている。
【0024】
また、ハンドモジュール100は、ハンドベース101のフィンガーベース13が取り付けられる側の面とは反対側の面に固定されたハンド筐体103を備えている。ハンド筐体103内には、コントローラとしての電源モジュール104が固定して配置されている。この電源モジュール104は、不図示の外部コントローラとケーブル30で接続され、不図示の外部コントーラからロボットハンド200の動作指令を入力する。電源モジュール104は、各フィンガーモジュール50のモータドライバ16への電力の供給と、各モータドライバ16と相互通信し、不図示の外部コントローラと相互通信をする機能を有する。
【0025】
つまり、電源モジュール104は、外部コントローラから入力したロボットハンド200の動作指令に基づいて、各フィンガーモジュール50の電動モータ14,15を動作させる動作指令を、ケーブル28を介して各モータドライバ16に出力する。また、電源モジュール104は、ケーブル28を介して各モータドライバ16に電力を供給する。この動作指令を入力したモータドライバ16は、電動モータ14,15に電力を供給すると共に入力した動作指令に基づいて電動モータ14,15の動作を制御する。
【0026】
また、電源モジュール104には、複数(図1では4つ)のコネクタ接続部104a〜104dが設けられている。各フィンガーモジュール50,50のモータドライバ16から延びるケーブル28は、これらコネクタ接続部104a〜104dのいずれかにコネクタ部29でコネクタ接続される。したがって、コネクタ部29は、コネクタ接続部104a〜104dに対して着脱可能である。
【0027】
このようにロボットハンド200の各々のフィンガーモジュール50は、不図示の外部コントーラからの指令を、モータドライバ16を介して、電流値、エンコーダ指令値等をそれぞれ独立に制御する。また、それぞれ独立に、不図示の外部コントローラと相互通信を行いながら、把持力、把持速度、関節角度を調整することで、様々な形状のワークへの把持に対応できるように設定されている。
【0028】
本第1実施形態では、フィンガーモジュール50は、1指2関節を駆動させる屈曲回転系アクチュエータのもので説明したがこれに限定するものではない。部品や組立動作等の使用環境に応じて、屈曲、回転、伸縮等の動作可能なアクチュエータが選択可能で、その個数も1個以上の複数個構成が可能であり、ワーク把持、組立動作に適した形態のフィンガーモジュールの構成をとりうる。
【0029】
次に、フィンガーモジュール50のフィンガーベース13が着脱可能に取り付けられるハンドベース101の取付部102について図3を参照しながら説明する。ハンドベース101には、取付部102として、位置決め用穴102aと、雌ねじ穴102bとが形成されている。フィンガーベース13には、位置決め用穴102aに嵌合する位置決め用ボス13aと、雌ねじ穴102bに螺合する雄ねじであるボルト等の締結具13cが挿通される貫通孔13bが形成されている。フィンガーベース13の位置決め用ボス13aがハンドベース101の位置決め用穴102aに嵌り込み、貫通孔13bを介して締結具13cが雌ねじ穴102bに螺合することにより、フィンガーベース13が取付部102に取り付けられる。これにより、フィンガーモジュール50がハンドベース101に位置決め固定される。そして、コネクタ部29をコネクタ接続部104aに接続することにより、フィンガーモジュール50がハンドモジュール100に取り付けられたことになる。
【0030】
なお、フィンガーベース13を取付部102から取り外す際には、締結具13cを緩めればよい。そして、コネクタ部29をコネクタ接続部104aから取り外すことにより、フィンガーモジュール50をハンドモジュール100から容易に取り外すことができる。
【0031】
そして、図1において、例えばフィンガーモジュール50を交換する場合には、フィンガーモジュール50のフィンガーベース13を取付部102から取り外し、コネクタ部29をコネクタ接続部104aから取り外せばよい。そして、調整済みのモータドライバ16を有する新たなフィンガーモジュール50を用意しておけばよく、この新たなフィンガーモジュール50のフィンガーベース13を取付部102に取り付け、コネクタ部29をコネクタ接続部104aに接続すればよい。フィンガーモジュール50を交換する際も同様である。
【0032】
以上、本第1実施形態によれば、フィンガー10、電動モータ14,15及びモータドライバ16がフィンガーモジュール50で一体化させている。これにより、フィンガーモジュール50の交換が必要になった場合、新たなフィンガーモジュール50においてモータドライバ16を予め調整しておけば、メンテナンス作業の際にモータドライバ16の調整作業を行わなくてもよい。したがって、フィンガーモジュール50を交換するメンテナンス作業を迅速に行うことができ、メンテナンス作業の効率が向上する。
【0033】
また、モータドライバ16がフィンガーモジュール50に一体化されているので、モータドライバ16単体の着脱作業を行う必要もない。そして、電源モジュール104とモータドライバ16とのケーブル接続作業は、コネクタ接続で行えばよく、作業が簡略化し、メンテナンス作業の効率が向上する。
【0034】
また、交換後におけるロボットハンド200における各フィンガーモジュール50,50の把持力と把持スピード等のバラツキを補正するキャリブレーション作業の短縮化或いは、廃止が可能となり、大幅なメンテナンス作業の効率が向上する。
【0035】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るロボットハンドについて説明する。図4は、ロボットハンドの概略上面図であり、図4(a)はフィンガーを取り外した状態のロボットハンドである。図4(b)はフィンガーが2本の場合のロボットハンド、図4(c)はフィンガーが3本の場合のロボットハンド、図4(d)はフィンガーが4本の場合のロボットハンドである。なお、ロボットハンドのハンド本体であるハンドモジュールにおけるハンドベース以外の構成、及び各フィンガーモジュールの構成は、上記第1実施形態で説明した図1〜図3と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0036】
本第2実施形態では、ハンドベース101Aには、図4(a)に示すように、フィンガーベースが取り付けられる取付部102A〜102Hがフィンガー10の本数の変更に対応したそれぞれの位置に形成されている。具体的には、ハンドベース101Aには、2本〜4本のフィンガー10の場合に対応して、フィンガーベースが取り付けられる取付部102A〜102Hがそれぞれの位置に形成されている。
【0037】
取付部102A〜102Hの構成は、上記第1実施形態と同様であり、フィンガーモジュール50のフィンガーベース13(図3参照)を取付部に固定することでロボットハンドが構成される。具体的には、2本のフィンガー10とする場合には、図4(b)に示すように、フィンガーベースをそれぞれの取付部102C,102Gに取り付ければよい。また、3本のフィンガー10とする場合には、図4(c)に示すように、フィンガーベースをそれぞれの取付部102A,102D,102Fに取り付ければよい。また、4本のフィンガー10とする場合には、図4(d)に示すように、フィンガーベースをそれぞれの取付部102B,102D,102F,102Hに取り付ければよい。
【0038】
電源モジュール104(図1参照)には、4つのコネクタ接続部104a〜104dが設けられているので、各フィンガーモジュールのモータドライバ16から延びるケーブルに設けられたコネクタ部を各コネクタ接続部に接続すればよい。これにより、不図示の外部コントローラが各フィンガーモジュールを認識し、ロボットハンドの動作が可能となる。
【0039】
なお、ロボットハンドのフィンガーの本数による最小構成は、ロボットハンドの中心が、ロボットハンドの回動中心と一致し、外接円直径が最小になる様にすれば構築できる。
【0040】
以上、本第2実施形態によれば、フィンガーモジュールの数を変更するだけで、フィンガー10だけでなく、モータドライバ16の数もフィンガー10の数に対応して変更されるので、作業工程に応じて、フィンガー10の本数及び配置を変えるのが容易である。
【0041】
このように、フィンガー10の本数に応じた専用のハンドベース101Aに、フィンガー10を1本単位で、着脱自在に本数変更可能にしたことで、容易にあらゆるバリエーションのロボットハンドを構築することができる。
【0042】
そして、フィンガー10と、電動モータと、モータドライバとをモジュール化させている為、対象ワークに応じた、適したフィンガー本数、配置が可能となる。さらに、ロボットアームに対する回動半径を最小にしやすい構成にできるので、小型で、かつ狭い組立作業スペース内での組立作業が可能なロボットハンドを構築し易くなる。
【0043】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係るロボットハンドについて説明する。図5は、本発明の第3実施形態に係るロボットハンドの要部斜視図であり、図6は、本発明の第3実施形態に係るロボットハンドの概略上面図である。なお、ロボットハンドの全体構成は、上記第1実施形態で説明した図1、図2、図3と、上記第2実施形態で説明した図4と同じであり、詳細な説明は省略する。
【0044】
図5に示すように、フィンガーモジュール50において、2つの電動モータ14,15がフィンガーベース13に配置されており、各電動モータ14,15には、それぞれエンコーダ26,27が配置されている。各エンコーダ26,27には、フィンガーモジュール50に識別用のID情報を付与するそれぞれのロータリースイッチ(以下、ロータリーSWという)41,42が配置されている。
【0045】
例えば、図6に示すように、4本のフィンガーモジュール50〜50を有するロボットハンドにおいては、フィンガーモジュール50〜50のそれぞれにID1〜ID4のそれぞれのID情報を付与する。
【0046】
ID情報としては、図5におけるロータリーSW41を『1』の位置、ロータリーSW42を『2』の位置に設定し、『1』+『2』をID1とすることで、フィンガーモジュール50にID1を付与する。ID情報としてフィンガーモジュール50にID2を付与する場合には、ロータリーSW41を『3』、ロータリーSW42を『4』に設定する。ID情報としてフィンガーモジュール50にID3を付与する場合には、ロータリーSW41を『5』、ロータリーSW42を『6』に設定する。ID情報としてフィンガーモジュール50にID4を付与する場合には、ロータリーSW41を『7』、ロータリーSW42を『8』に設定する。
【0047】
ID情報を付与した各フィンガーモジュール50〜50のフィンガーベース13(図5)を、ハンドベース101Aに組み付ける際には、ハンドベース101A上の所定の取付部にフィンガーベースを取り付ける。そして、各フィンガーモジュール50〜50のケーブル28(図1)を、電源モジュール104(図1)の任意のコネクタ接続部104a〜104dに接続する。
【0048】
その後、ロボットハンドを設置した不図示の組立ロボットステーションを起動させると、不図示の外部コントローラが、ロボットハンドに接続された全てのフィンガーモジュール50〜50のID情報を自動的に認識する。そして、不図示の外部コントローラは、フィンガーモジュール50〜50の構成と、本数を判別の上、自動的に、そのロボットハンド構成の制御に切り替えを行い、制御可能な状態にする。
【0049】
以上、本第3実施形態によれば、各フィンガーモジュール50〜50に固有のID情報を付与し、ロボットハンドのハンドベース101Aに組み付けた際に、外部コンピュータが、フィンガーモジュールのID情報を認識することができる。そして、外部コンピュータが、そのID情報の種類と個数、組み合わせを自動的に識別することができ、それにより、フィンガーモジュールの構成と本数に応じたロボットハンド構成の制御に、自動的に切り替えることができる。よって、ユーザーによるロボットハンドに関わる制御の設定変更や、調整を不要にできるので、ロボットステーションの切り替え作業をスムーズに行うことができる。
【0050】
なお、上記第1〜第3実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上記第1実施形態では、フィンガーが2本の場合のロボットハンドについて説明したが、これに限定するものではなく、フィンガーが3本以上の場合のロボットハンドについても適用可能である。
【0051】
また、上記第2実施形態では、フィンガー10が2〜4本タイプの3バリエーションとして組み換え可能にしたロボットハンドについて説明したが、これに限定するものではない。把持対象物の形状等に応じて、フィンガーの配置本数や、フィンガーの配置位置(指間ピッチや角度)を変更としたロボットハンドを構築してもよい。
【0052】
また、上記第3実施形態では、ロータリエンコーダ26,27に、ロータリーSW41,42を配置し、これらに割り振ったID情報の組み合わせによりフィンガーモジュール50のIDを振り分けたが、これに限定するものではない。モータドライバ16等、フィンガーモジュール50に、ID情報を付与する機能を設けてもよい。
【0053】
また、上記第1〜第3実施形態では、モータドライバ16から延びるケーブル28の先端にコネクタ部29を設け、電源モジュール104のコネクタ接続部104a〜104dにコネクタ接続する場合について説明したが、これに限定するものではない。コントローラとしての電源モジュール104から延びるケーブルの先端にコネクタ部を設け、モータドライバ16のコネクタ接続部にコネクタ部を接続するようにしてもよい。また、ケーブルの両端にコネクタ部を設け、一方のコネクタ部を、モータドライバ16のコネクタ接続部に接続し、他方のコネクタ部を電源モジュール104のコネクタ接続部に接続するようにしてもよい。また、ケーブルを介さずに直接、モータドライバ16と電源モジュール104とをコネクタ接続する場合であってもよい。
【0054】
また、上記第1〜第3実施形態では、取付部102が位置決め用穴102aと雌ねじ穴102bとからなる場合について説明したが、これに限定するものではない。位置決め用穴102aの代わりに位置決め用ボスを設け、フィンガーベースに位置決め用穴を設けてもよい。また、雌ねじ穴102bの代わりに、締結具が挿通される貫通孔としてもよく、この場合には、フィンガーベースに雌ねじ穴を形成してもよいし、別途、ナットを用いて締結されるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、産業用ロボットによる自動組立におけるロボットハンドに利用可能である。
【符号の説明】
【0056】
10…フィンガー、13…フィンガーベース、14,15…電動モータ、16…モータドライバ、28…ケーブル、50…フィンガーモジュール、101…ハンドベース、102…取付部、104…電源モジュール(コントローラ)、200…ロボットハンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィンガー、前記フィンガーを駆動する電動モータ、前記電動モータに電力を供給すると共に入力した動作指令に基づいて前記電動モータの動作を制御するモータドライバ、及び前記フィンガーを支持するフィンガーベースが一体にモジュール化されたフィンガーモジュールと、
前記フィンガーベースが着脱可能に取り付けられる取付部が形成されたハンドベースと、
前記ハンドベースに設けられて前記モータドライバとコネクタ接続され、前記電動モータを動作させる動作指令を前記モータドライバに出力するコントローラと、を備えたことを特徴とするロボットハンド。
【請求項2】
前記ハンドベースには、前記取付部が前記フィンガーの本数の変更に対応したそれぞれの位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項3】
前記フィンガーモジュールには、前記フィンガーモジュールを識別するためのID情報が付与されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のロボットハンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−853(P2013−853A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136321(P2011−136321)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】