説明

ロボット

【課題】組立作業やメンテナンス作業の作業効率を向上させることができる。
【解決手段】各フィンガー3a〜3cは、ベース部材4a〜4cと、一端がベース部材に旋回可能に支持されたリンク部材5a〜5cと、を有する。本体1には、フィンガー3a〜3cが取り付け可能な複数の取付部2a〜2cが設けられており、各取付部2a〜2cには、各フィンガー3a〜3cが取り付けられる。各フィンガー3a〜3cのリンク部材は、各電動回転モータ7a〜7cにより駆動される。各取付部2a〜2cの近傍には、ストッパ部材15a〜15cが設けられている。ストッパ部材15a〜15cは、互いに異なる高さに設定されており、各取付部におけるリンク部材の旋回可能範囲を、互いに異ならせている。制御装置8は、これら旋回可能範囲の違いに基づいて、各電動回転モータ7a〜7cと各取付部2a〜2cとの対応関係を認識する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体の複数の取付部のうちいずれの取付部にも各関節ユニットを取り付けることが可能なロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の関節を備えることで動作内容の自由度を高めた多関節のロボットアームや、同じく複数の関節を備えることで動作内容の自由度を高めたエンドエフェクタの開発が行われている。以下、このような多関節ロボット、エンドエフェクタをロボットという。これらのロボットは、作業の汎用性が高く、また細かく複雑な作業に対応できるため、人手に代わり製品の組立を自動的に行うような産業用ロボットなどに応用されている。
【0003】
一般的なロボットは、複数の取付部を有する本体と、各取付部に取り付けられる複数の関節ユニットと、各関節ユニットの駆動部(例えば電動回転モータ)を制御する制御装置と、を備えている。関節ユニットは、多関節ロボットの場合はロボットアームであり、エンドエフェクタの場合はフィンガーである。制御装置と複数の関節ユニットとは、配線で接続されている。制御装置は、CPUからなるコントローラと、コントローラにコネクタで接続され、各駆動部に電力を供給する複数のサーボアンプ(駆動制御部)とからなる。サーボアンプは、ロボット本体に組み込まれるものもあれば、コントローラの中に組み込まれるものもある。
【0004】
ロボットが正常に動作するためには、モータとサーボアンプ、コントローラとサーボアンプの接続関係が適切でなければならない。モータ、サーボアンプ、コントローラの接続関係が適切でない場合、例えば、ロボットの右手を動かそうと制御しているのに左手が動くといったように、ロボットの各関節は、操作者の意図していない動きをする。そのため、ロボットの制御においては、動かしたいロボットの関節の動力に対応するモータを、コントローラから確実に指令して動かすことが重要である。
【0005】
このことから、ロボットの組み立てやメンテナンスを行う際には、作業者が、ロボットの所望の関節と、それを駆動するモータ、サーボアンプ、そしてコントローラとの対応関係を一つ一つ確認しながら接続するようにしている。特に、関節数の多いロボットである場合、駆動するモータの数が各関節分だけ設けられているので、ロボットとコントローラとを接続する作業に多大な時間が必要となる。
【0006】
そこで、ロボットの本体に設けられたモータと、ロボットの制御装置との誤った接続を防止する技術が提案されている(特許文献1参照)。この特許文献1に記載の発明によると、まず、モータパルスエンコーダに設けられた識別ラベルから、各モータの型式情報を読み込むとともに、サーボアンプに設けられた識別ラベルから、各サーボアンプの型式情報を読み込む。次に、読み込んだモータの型式情報に基づいて、制御装置に接続されたロボット本体の機種を認識する。そして、モータの型式が全て制御しようとするロボット本体の機種のモータの型式と一致した場合、ロボット本体の機種設定し、ロボットを使用できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−152510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、近年、複数の関節ユニットで部材の共通化を図り、各関節ユニットを本体の各取付部に取り付けるよう構成されたロボットが考案されている。例えばロボットがエンドエフェクタであった場合には、各フィンガーが共通の部材で構成されている。このようなロボットでは、各関節ユニットで構成部材の共通化が図られているため、各関節ユニットは、複数ある取付部のうちいずれの取付部にも取り付けることが可能となっている。
【0009】
しかし、従来の方法では、制御装置は、関節ユニットがどの取付部に取り付けられているかまでは判別することはできなかった。また、各関節ユニットでは部材の共通化を図っているので駆動部の型式は同一であり、制御装置は、関節ユニットの駆動部との配線接続の対応関係も判別することはできなかった。
【0010】
したがって、作業者が関節ユニットを本体の誤った取付部に装着した場合や配線接続の対応関係を誤った場合には、動作させたい関節ユニットとは別の関節ユニットが動作する事態が発生する可能性があった。
【0011】
そこで、本発明は、組立作業やメンテナンス作業の作業効率を向上させることができるロボットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のロボットは、ベース部材、一端が前記ベース部材に旋回可能に支持されたリンク部材を有する複数の関節ユニットと、前記関節ユニットが取り付け可能な複数の取付部を有し、前記各取付部に前記各関節ユニットが取り付けられた本体と、前記各関節ユニットのリンク部材を旋回駆動する複数の駆動部と、前記各取付部における前記各関節ユニットのリンク部材の旋回可能範囲が互いに異なるように前記各関節ユニットのリンク部材の旋回動作を規制する規制手段と、前記各関節ユニットのリンク部材の旋回位置を検出する検出手段と、前記各関節ユニットのリンク部材を前記規制手段で規制されるまで旋回させるテスト動作を実行し、前記テスト動作の実行によって前記検出手段により得られた前記各リンク部材の旋回可能範囲の違いに基づいて、前記各駆動部と前記各取付部との対応関係を認識する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、各関節ユニットのリンク部材の旋回可能範囲が、各取付部で異なるように、各リンク部材を規制し、制御手段に各駆動部と各取付部との対応関係を認識させているので、作業者が配線の接続関係や関節ユニットの取付関係を確認する必要がなくなる。したがって、ロボットの組立作業やメンテナンス作業が容易となり、これらの作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係るロボットの一例としてのエンドエフェクタの概略構成を示す説明図である。(a)はエンドエフェクタの概略構成を示すブロック図、(b)はエンドエフェクタの斜視図、(c)〜(e)はエンドエフェクタの各フィンガーを示す説明図である。
【図2】エンドエフェクタのフィンガーの取付状態と、コントローラ、サーボアンプ及び電動回転モータの配線接続状態を示す図である。(a)はフィンガーの取付状態を異ならせた場合を説明するための図、(b)はサーボアンプと電動回転モータとの接続関係を異ならせた場合を説明するための図、(c)はコントローラとサーボアンプとの接続関係を異ならせた場合を説明するための図である。
【図3】フィンガーの動作を説明するための図であり、(a)はリンク部材を基準ストッパ部材に当接させた状態を示す図、(b)はリンク部材を旋回させている状態を示す図、(c)はリンク部材をストッパ部材に当接させた状態を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るロボットの一例としてのエンドエフェクタの概略構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係るロボットの一例としてのエンドエフェクタのフィンガーの動作を説明するための図である。(a)はリンク部材を基準ストッパ部材に当接させた状態を示す図、(b)はリンク部材を旋回させている状態を示す図、(c)はリンク部材をストッパ部材に当接させた状態を示す図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係るロボットの一例としてのエンドエフェクタの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るロボットの一例としてのエンドエフェクタの概略構成を示す説明図である。図1(a)はエンドエフェクタの概略構成を示すブロック図、図1(b)はエンドエフェクタの斜視図、図1(c)〜図1(e)はエンドエフェクタの各フィンガーを示す説明図である。
【0017】
エンドエフェクタ100は、図1(a)及び図1(b)に示すように、複数の取付部2a,2b,2cを有する本体1と、各取付部2a,2b,2cに取り付けられた複数の関節ユニットとしてのフィンガー3a,3b,3cと、を備えている。本第1実施形態では、取付部は3つであり、フィンガーも取付部と同数の3つである。各取付部2a,2b,2cは、本体1の平面に形成されている。
【0018】
各フィンガー3a,3b,3cは、各取付部2a,2b,2cに固定されるベース部材4a,4b,4cと、一端(基端)が各ベース部材4a,4b,4cに旋回可能に支持された第1のリンク部材5a,5b,5cと、を有している。また、各フィンガー3a,3b,3cは、一端(基端)が各第1のリンク部材5a,5b,5cの他端(先端)に旋回可能に支持された第2のリンク部材6a,6b,6cを有している。フィンガー3a,3b,3cが取付部2a,2b,2cに取り付けられるとは、より具体的には、フィンガー3a,3b,3cのベース部材4a,4b,4cが取付部2a,2b,2cに取り付けられることである。各フィンガー3a,3b,3cのリンク部材5a,5b,5cは、回転軸を中心に旋回するようになっている。リンク部材5a,5b,5cの回転軸は、図1(c)〜図1(e)に示すように、関節Ja,Jb,Jcの中心となる。
【0019】
また、エンドエフェクタ100は、図1(a)に示すように、各リンク部材5a,5b,5cを旋回駆動する複数の駆動部としての電動回転モータ7a,7b,7cを有している。本第1実施形態では、各電動回転モータ7a,7b,7cは、各フィンガー3a,3b,3cに一体に設けられている。そして、電動回転モータは、本第1実施形態ではフィンガーと同数の3つである。なお、本第1実施形態では、各電動回転モータ7a,7b,7cは、不図示の機構を介して第2のリンク部材6a,6b,6cも旋回駆動する。
【0020】
エンドエフェクタ100は、各電動回転モータ7a,7b,7cの動作を制御する制御手段としての制御装置8を備えている。この制御装置8は、CPUからなるコントローラ9と、コントローラ9のコネクタ10a,10b,10cに配線で接続された複数の駆動制御部としてサーボアンプ11a,11b,11cとを有している。このように、サーボアンプ11a,11b,11cは、コントローラ9にパラレル接続されている。本第1実施形態では、サーボアンプは、フィンガー、駆動部、取付部と同数の3つである。
【0021】
コントローラ9は、各コネクタ10a,10b,10cから動作指令を出力する。サーボアンプ11a,11b,11cは、各電動回転モータ7a,7b,7cと配線で接続され、入力を受けた動作指令に応じて各電動回転モータ7a,7b,7cの動作に必要な電力を各電動回転モータ7a,7b,7cに供給する。コントローラ9からサーボアンプ11a,11b,11cへの動作指令の内容は、電動回転モータ7a,7b,7cの回転数や停止位置、速度、モータに流す電流値などのパラメータとなる。各サーボアンプ11a,11b,11cは、各フィンガー3a,3b,3cに組み込まれていてもよいし、コントローラ9に組み込まれていてもよいし、独立構成としてもよい。
【0022】
各電動回転モータ7a,7b,7cには、それぞれエンコーダ12a,12b,12cが設けられており、各エンコーダ12a,12b,12cで各電動回転モータ7a,7b,7cの回転角度を検出している。つまり、これらエンコーダ12a,12b,12cで、各フィンガー3a,3b,3cのリンク部材5a,5b,5cの旋回位置を検出する検出手段としての検出装置13が構成されている。これらエンコーダ12a,12b,12cにより、各リンク部材5a,5b,5cの旋回位置として、各電動回転モータ7a,7b,7cの回転角度が検出される。サーボアンプ11a,11b,11cは、エンコーダ12a,12b,12cの検出信号を受け取り、コントローラ9からの動作指令通りに電動回転モータ7a,7b,7cが回転するように、電動回転モータ7a,7b,7cに電力を供給し駆動制御する。
【0023】
各エンコーダ12a,12b,12cは、配線でサーボアンプ11a,11b,11cに接続される。その際、エンコーダ12aと電動回転モータ7a、エンコーダ12bと電動回転モータ7b、エンコーダ12cと電動回転モータ7cは、同じサーボアンプに接続される必要があるため、予め配線を束ねておいてもよいし、ケーブルを用いてもよい。なお、検出装置13のエンコーダ12a,12b,12cとして、ロータリーポテンショメータを用いるのがよいが、検出装置13として、リニアエンコーダ、レーザー変位計等、さまざまなセンサを使用することが可能である。
【0024】
制御装置8のコントローラ9には、記憶手段としての記憶装置14が接続されている。この記憶装置14は、例えば書き換え可能な不揮発性メモリ、HDD、ROM等である。
【0025】
制御装置8は、各電動回転モータ7a,7b,7cのテスト動作を実行するテストモードと、動作指令に従って各電動回転モータ7a,7b,7cを動作させる通常の制御モードとに切り替え可能に構成されている。例えば、不図示のスイッチが操作者に操作された場合に、テストモードに切り替わるようになっている。制御モードへは、テスト動作終了後、自動的に切り替わるようにしてもよいし、操作者が不図示のスイッチを操作したときに、切り替わるようにしてもよい。
【0026】
本第1実施形態では、フィンガー3a,3b,3cは、共通の部材で構成されており、いずれの取付部2a,2b,2cにも取り付け可能となっている。また、サーボアンプ11a,11b,11cも、共通の部材で構成されており、いずれの各電動回転モータ7a,7b,7cが接続されても、各電動回転モータ7a,7b,7cに電力を供給して動作させることができる。
【0027】
従って図1では、フィンガー3aは取付部2aに取り付けられ、フィンガー3bは取付部2bに取り付けられ、フィンガー3cは取付部2cに取り付けられているが、各フィンガー3a,3b,3cは、どの取付部2a,2b,2cにも取り付けることが可能である。例えば、図2(a)に示すように、フィンガー3aが取付部2bに取り付けられ、フィンガー3bが取付部2aに取り付けられることも可能である。
【0028】
また、図1では、電動回転モータ7aとサーボアンプ11aとが配線で接続され、電動回転モータ7bとサーボアンプ11bとが配線で接続され、電動回転モータ7cとサーボアンプ11cとが配線で接続されているが、任意の接続関係とすることができる。例えば、図2(b)に示すように、電動回転モータ7aとサーボアンプ11bとが配線で接続され、電動回転モータ7bとサーボアンプ11aとが配線で接続されていてもよい。
【0029】
また、図1では、コントローラ9のコネクタ10aとサーボアンプ11aとが配線で接続され、コントローラ9のコネクタ10bとサーボアンプ11bとが配線で接続され、コントローラ9のコネクタ10cとサーボアンプ11cとが配線で接続されている。しかし、コントローラのコネクタとサーボアンプとの接続関係は、これに限定するものではなく、任意の接続関係とすることができる。例えば、図2(c)に示すように、コントローラ9のコネクタ10bとサーボアンプ11aとが配線で接続され、コントローラ9のコネクタ10aとサーボアンプ11bとが配線で接続されていてもよい。
【0030】
ところで、本第1実施形態では、エンドエフェクタ100は、規制手段として、本体1に各取付部2a,2b,2cに対応して設けられた複数のストッパ部材15a,15b,15cを備えている。ストッパ部材15a,15b,15cは、フィンガー3a,3b,3cのリンク部材5a,5b,5cが当接して停止する停止位置が互いに異なるように形成されている。具体的には、ストッパ部材15a,15b,15cは、本体1の平面からの高さが互いに異なる位置でリンク部材5a,5b,5cが停止するように、互いに異なる高さに形成されている。本第1実施形態では、ストッパ部材は、取付部と同数の3つである。各ストッパ部材15a,15b,15cは、各取付部2a,2b,2cの近傍に設けられている。
【0031】
これらストッパ部材15a,15b,15cにより、各取付部2a,2b,2cにおける各フィンガー3a,3b,3cのリンク部材5a,5b,5cの旋回可能範囲が互いに異なるように各リンク部材5a,5b,5cの旋回動作が規制される。
【0032】
本第1実施形態では、ストッパ部材15a,15b,15cは、本体1と一体に形成されており、本体1の平面から突出して形成されている。なお、複数のストッパ部材のうち、本体1の一部をストッパ部材とするものがあってもよい。例えば、本体1の平面の一部をストッパ部材としてもよい。また、ストッパ部材15a,15b,15cは、本体1とは別部材で形成されて、本体1に取り付けるようにしてもよい。この場合、ストッパ部材を取り外し可能に構成することで、適宜別の高さに変更することができる。
【0033】
また、エンドエフェクタ100は、本体1に各取付部2a,2b,2cに対応して設けられた複数の基準ストッパ部材16a,16b,16cを備えている。基準ストッパ部材16a,16b,16cは、電動回転モータ7a,7b,7cの回転角度の始点を規定するためのものである。基準ストッパ部材16a,16b,16cは、リンク部材5a,5b,5cがストッパ部材15a,15b,15cに当接する方向とは反対方向にリンク部材5a,5b,5cを旋回させたときに、リンク部材5a,5b,5cが当接するよう形成されている。具体的には、基準ストッパ部材16a,16b,16cは、本体1の平面からの高さが同じ位置でリンク部材5a,5b,5cが停止するように、互いに同じ高さに形成されている。本第1実施形態では、基準ストッパ部材は、取付部と同数の3つである。各基準ストッパ部材16a,16b,16cは、各取付部2a,2b,2cの近傍に設けられている。
【0034】
基準ストッパ部材16a,16b,16cは、本体1と一体に形成されており、本体1の平面から突出して形成されている。なお、基準ストッパ部材は本体1の一部であってもよい。例えば、基準ストッパ部材が本体1の平面であってもよい。また、基準ストッパ部材は、本体1とは別部材で形成されて、本体1に固定するようにしてもよい。
【0035】
以上の構成により、取付部2aに取り付けられたフィンガー3aのリンク部材5aの旋回可能範囲は、図1(c)に示すように、回転角度θaとなる。取付部2bに取り付けられたフィンガー3bのリンク部材5bの旋回可能範囲は、図1(d)に示すように、回転角度θbとなる。取付部2cに取り付けられたフィンガー3cのリンク部材5cの旋回可能範囲は、図1(e)に示すように、回転角度θcとなる。これら回転角度θa,θb,θcは、互いに異なる角度である。そして、取付部2aでは、どのフィンガー3a,3b,3cが取り付けられても、その回転角度は同じθaである。同様に、取付部2bでは、どのフィンガー3a,3b,3cが取り付けられても、その回転角度は同じθbである。同様に、取付部2cでは、どのフィンガー3a,3b,3cが取り付けられても、その回転角度は同じθcである。
【0036】
このような、各リンク部材5a,5b,5cの回転角度θa〜θcの差は、ロボット自体の組み立てのバラツキや、ロボット自体の部品公差により発生する機体差よりも大きくなるように設定するのがよい。これにより、リンク部材5a,5b,5cの回転角度の差は、ストッパ部材15a,15b,15cでリンク部材5a,5b,5cが当接したときにエンコーダ12a,12b,12cに検出されたときの検出値の差となる。
【0037】
なお、各ストッパ部材15a〜15c及び各基準ストッパ部材16a〜16cは、各フィンガー3a〜3c自体の破損を防止し、または各フィンガー3a〜3cにより周囲の人や物に被害を与えないようにする、メカストッパーとしても機能する。
【0038】
次に、制御装置8による各フィンガー3a,3b,3cが取り付けられた取付部2a,2b,2cを認識する動作について説明する。本第1実施形態では、制御装置8は、テストモードと、制御モードとに切り替え可能に構成されている。以下、テストモードに切り替えられた場合について説明する。
【0039】
組み立てやメンテナンスが終わったエンドエフェクタ100を、工場の生産の現場などで実使用する前に、次のようなテスト動作を行う。テスト動作とは、エンドエフェクタの各フィンガーのリンク部材の旋回可能範囲を検出するために、制御装置8により、順次、各フィンガーのリンク部材を旋回させるものである。つまり、制御装置8は、各フィンガー3a〜3cのリンク部材5a〜5cをストッパ部材15a〜15cで規制されるまで旋回させるテスト動作を実行する。このテスト動作の内容は、予め操作者によって、コントローラに設定しておくのがよい。
【0040】
その際、テスト動作中に、フィンガー同士が干渉したり、周囲の物体と接触したりしないように、テスト動作の内容と、周囲の環境を用意する。例えば、周囲に接触するような治工具を無くした環境で、1つのフィンガー3a,3b,3c毎に低速で基準ストッパ部材16a,16b,16cを起点としてストッパ部材15a,15b,15cへの突き当てを行う。フィンガー3a,3b,3c同士が接触しなければ、同時に複数のフィンガー3a,3b,3cを動かしてもよい。
【0041】
制御装置8の具体的なテスト動作について、図3を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、図1(a)に示すような接続状態の場合について説明する。まず、コントローラ9は、コントローラ9のコネクタ10aより、フィンガー3aのリンク部材5aが基準ストッパ部材16aに当接するよう動作指令を出力する。このコネクタ10aに接続されたサーボアンプ11aは、動作指令を受けて、サーボアンプ11aに接続された電動回転モータ7aに電力を供給し、リンク部材5aを基準ストッパ部材16aに当接する方向に旋回させる(図3(a))。リンク部材5aが基準ストッパ部材16aに当接するとリンク部材5aの旋回動作、即ち電動回転モータ7aの回転動作が停止する。コントローラ9は、この停止位置を原点(基準位置)として、エンコーダ12aによるパルスのカウント値をリセットする。このとき、テスト動作を、ロボットの各関節の動作の基準点を調べる、原点出し動作としてもよい。
【0042】
ついで、コントローラ9は、コネクタ10aより、フィンガー3aのリンク部材5aがストッパ部材15aに当接するよう動作指令を出力する。このコネクタ10aに接続されたサーボアンプ11aは、動作指令を受けて、サーボアンプ11aに接続された電動回転モータ7aに電力を供給し、リンク部材5aをストッパ部材15aに当接する方向に旋回させる(図3(b))。リンク部材5aがストッパ部材15aに当接するとリンク部材5aの旋回動作、即ち電動回転モータ7aの回転動作が停止する(図3(c))。コントローラ9は、エンコーダ12aのパルス数を基準位置からカウントしており、リンク部材5aがストッパ部材15aに当接して停止した際のパルス数を、旋回可能範囲、つまり回転角度θa1として、記憶装置14に記憶させる。
【0043】
このテスト動作は、フィンガー3b,3c、即ちコネクタ10b,10cについても同様に行う。これにより、記憶装置14には、コネクタ10aにサーボアンプ11aを介して接続された電動回転モータ7aに対応付けた回転角度θa1が記憶される。また、記憶装置14には、コネクタ10bにサーボアンプ11bを介して接続された電動回転モータ7bに対応付けた回転角度θb1が記憶される。また、記憶装置14には、コネクタ10cにサーボアンプ11cを介して接続された電動回転モータ7cに対応付けた回転角度θc1が記憶される。なお、これら検出結果を記憶装置14に記憶させたが、別の記憶装置(不図示)に記憶させてもよい。
【0044】
コントローラ9は、テスト動作時に得られた各リンク部材5a〜5cの旋回可能範囲(データ)の違いに基づいて、各電動回転モータ7a〜7cと各取付部2a〜2cとの対応関係を認識する。
【0045】
この認識動作について具体的に説明する。ここで、記憶装置14には、各取付部2a〜2cに対応する関節ユニットのリンク部材の旋回可能範囲のテーブルデータが予め記憶されている。各取付部2a〜2cでは、フィンガーの取付関係、配線接続関係に拘らず、フィンガーのリンク部材5a〜5cの回転角度θa〜θcが、ストッパ部材15a〜15cにより決まっている。本第1実施形態では、記憶装置14には、リンク部材5a〜5cの旋回可能範囲のテーブルデータとして、絶対値が記憶されている。より具体的には、記憶装置14には、取付部2aと対応付けた回転角度θa、取付部2bと対応付けた回転角度θb、取付部2cと対応付けた回転角度θcがテーブルデータとして記憶されている。
【0046】
コントローラ9は、記憶装置14に記憶されたテーブルデータと、検出結果とを照らし合わせ、比較することで、複数ある取付部2a〜2cのうち、指令を出力したときに動作したフィンガーが取り付けられている取付部を認識する。
【0047】
詳述すると、コントローラ9は、テーブルデータを参照して、検出した回転角度θa1と一致する(又は最も近接する)回転角度θaを見つけ出す。コントローラ9は、これに対応する取付部2aを、指令で動作した電動回転モータ7aに駆動されたフィンガー3aが取り付けられた取付部として認識する。回転角度θb1,θc1についても同様である。
【0048】
つまり、コントローラ9は、コネクタ10aから動作指令を出力した際に動作する電動回転モータ7aと、この電動回転モータ7aにより駆動されるリンク部材5aを有するフィンガー3aが取り付けられた取付部2aとの対応関係を認識する。同様に、コントローラ9は、コネクタ10bから動作指令を出力した際に動作する電動回転モータ7bと、この電動回転モータ7bにより駆動されるリンク部材5bを有するフィンガー3bが取り付けられた取付部2bとの対応関係を認識する。また同様に、コントローラ9は、コネクタ10cから動作指令を出力した際に動作する電動回転モータ7cと、この電動回転モータ7cにより駆動されるリンク部材5cを有するフィンガー3cが取り付けられた取付部2cとの対応関係を認識する。このように、コントローラ9は、各サーボアンプ11a,11b,11cを介して接続された各電動回転モータ7a〜7cを、コネクタ10a,10b,10cの差込位置で認識している。
【0049】
コントローラ9は、制御モード実行時には、テスト動作による認識結果により、動作指令の内容を、コネクタ10a,10b,10c間で入れ替えて出力する。具体的には、コントローラ9は、取付部2aに対応させてある動作指令を、コネクタ10aからサーボアンプ11aに出力し、電動回転モータ7aを駆動して、取付部2aに取り付けられたフィンガー3aを動作させる。同様に、コントローラ9は、取付部2bに対応させてある動作指令を、コネクタ10bからサーボアンプ11bに出力し、電動回転モータ7bを駆動して、取付部2bに取り付けられたフィンガー3bを動作させる。また同様に、コントローラ9は、取付部2cに対応させてある動作指令を、コネクタ10cからサーボアンプ11cに出力し、電動回転モータ7cを駆動して、取付部2cに取り付けられたフィンガー3cを動作させる。以上、制御装置8は、制御モードに切り替わった際に、テスト動作による認識結果を反映させて、各取付部2a,2b,2cに対応する動作指令に従って各電動回転モータ7a,7b,7cを動作させている。
【0050】
なお、各サーボアンプの内部に認識符号(即ち、ID)が設定され、IDに対してコントローラが指令内容を変えている場合は、コントローラから各サーボアンプに動作指令を送信する際、各IDに対応する動作指令の内容を入れ替えるようにしてもよい。
【0051】
図1(a)の接続状態の場合について説明したが、例えば図2(a)〜図2(c)の接続状態であっても同様に、認識処理は可能である。
【0052】
本第1実施形態では、各取付部2a〜2cにおけるリンク部材5a〜5cの旋回可能範囲を異ならせるよう規制し、制御装置8に、取付部と、当該取付部に取り付けられているフィンガーを動作させる電動回転モータとの対応関係を認識させている。これにより、エンドエフェクタ100の組み立て作業やメンテナンス作業を行う作業者は、配線の接続関係やフィンガー3a〜3cの取付関係を確認する必要がなくなる。したがって、エンドエフェクタ100の組立作業やメンテナンス作業が容易となり、これらの作業効率が向上する。
【0053】
そして、本第1実施形態では、テスト動作による認識結果を反映させて、各取付部2a〜2cに対応する動作指令に従って各電動回転モータ7a〜7cを動作させている。したがって、例えば取付部2aのフィンガーを動作させようとしているのに取付部2bや2cのフィンガーが動作してしまうといった、各フィンガー3a〜3cの誤動作を防止することができる。
【0054】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るロボットについて説明する。上記第1実施形態では、サーボアンプ11a〜11cが、コントローラ9にパラレルに配線接続された場合について説明したが、本第2実施形態では、サーボアンプが、コントローラにシリアルに配線接続された場合について説明する。
【0055】
図4は、本発明の第2実施形態に係るロボットの一例としてのエンドエフェクタの概略構成を示すブロック図である。なお、本第2実施形態のエンドエフェクタ100Aの部材構成は、上記第1実施形態(図1(b))と同様であり、説明を省略する。
【0056】
上記第1実施形態では、コントローラ9が、サーボアンプ11a〜11cと協働して、テスト動作、即ち認識処理を行っていたが、本第2実施形態では、各サーボアンプ11a〜11cがテスト動作、即ち認識処理を行うものである。
【0057】
本第2実施形態の制御装置8Aは、複数のサーボアンプ11a〜11cと、複数のサーボアンプ11a〜11cが接続される1つのコネクタ10を有する、CPUからなるコントローラ9Aと、を備えている。コントローラ9Aは、コネクタ10を介して各サーボアンプ11a〜11cに動作指令を出力する。このように、複数のサーボアンプ11a〜11cをコントローラ9Aにシリアル接続することで、サーボアンプへの配線の束線を少なくするメリットがある。
【0058】
各サーボアンプ11a〜11cには、固有の認識符号(即ち、ID)が設定され、コントローラ9Aはサーボアンプ11a〜11cに設定されたIDで、動作指令の送り先を認識している。
【0059】
各サーボアンプ11a〜11cには、それぞれにIDを設定するID設定部21a,21b,21cが接続されている。また、各サーボアンプ11a〜11cには、上記第1実施形態の記憶装置14に記憶されたテーブルデータと同じテーブルデータが記憶された記憶手段としての記憶装置14a,14b,14cが接続されている。これら記憶装置14a,14b,14cは、例えば書き換え可能な不揮発性メモリ、HDD、ROM等である。
【0060】
次に、制御装置8Aによる各フィンガー3a,3b,3cが取り付けられた取付部2a,2b,2cを認識する動作について説明する。本第2実施形態では、制御装置8Aは、テストモードと、制御モードとに切り替え可能に構成されている。以下、テストモードに切り替えられた場合について説明する。なお、各サーボアンプ11a〜11cの動作は同じであるので、サーボアンプ11aについて説明する。
【0061】
まずサーボアンプ11aは、フィンガー3aのリンク部材5aが基準ストッパ部材16aに当接するようサーボアンプ11aに接続された電動回転モータ7aに電力を供給し、リンク部材5aを基準ストッパ部材16aに当接する方向に旋回させる(図3(a))。リンク部材5aが基準ストッパ部材16aに当接するとリンク部材5aの旋回動作、即ち電動回転モータ7aの回転動作が停止する。サーボアンプ11aは、この停止位置を原点(基準位置)として、エンコーダ12aによるパルスのカウント値をリセットする。このとき、テスト動作を、ロボットの各関節の動作の基準点を調べる、原点出し動作としてもよい。
【0062】
ついで、サーボアンプ11aは、フィンガー3aのリンク部材5aがストッパ部材15aに当接するよう電動回転モータ7aに電力を供給し、リンク部材5aをストッパ部材15aに当接する方向に旋回させる(図3(b))。リンク部材5aがストッパ部材15aに当接するとリンク部材5aの旋回動作、即ち電動回転モータ7aの回転動作が停止する(図3(c))。サーボアンプ11aは、エンコーダ12aのパルス数を基準位置からカウントしており、リンク部材5aがストッパ部材15aに当接して停止した際のパルス数を、旋回可能範囲、つまり回転角度θa1として、記憶装置14aに記憶させる。サーボアンプ11b,11cについても同様に動作し、各記憶装置14b,14cに回転角度θb1、θc1が記憶される。なお、これら検出結果は、別の不図示の記憶装置に記憶させてもよい。
【0063】
サーボアンプ11aは、テスト動作時に得られたリンク部材5aの旋回可能範囲(データ)の違いに基づいて、電動回転モータ7aと取付部2aとの対応関係を認識する。詳述すると、記憶装置14a(14b,14c)には、取付部2aと対応付けた回転角度θa、取付部2bと対応付けた回転角度θb、取付部2cと対応付けた回転角度θcがテーブルデータとして記憶されている。サーボアンプ11aは、テーブルデータを参照して、検出した回転角度θa1と一致する(又は最も近接する)回転角度θaを見つけ出す。サーボアンプ11aは、これに対応する取付部2aを、指令で動作した電動回転モータ7aに駆動されたフィンガー3aが取り付けられた取付部として認識する。
【0064】
つまり、サーボアンプ11aは、テスト動作させた電動回転モータ7aと、この電動回転モータ7aにより駆動されるリンク部材5aを有するフィンガー3aが取り付けられた取付部2aとの対応関係を認識する。次に、ID設定部21aは、認識した取付部2aに対応するID1を、サーボアンプ11aに設定する。以上の動作は、サーボアンプ11b,11cについても同様であり、各サーボアンプ11b,11cにも、取付部2b,2cのそれぞれに対応するID2,ID3が設定される。
【0065】
コントローラ9Aは、予め、各IDと動作指令とを対応付けており、サーボアンプ11aにはID1が設定されているので、サーボアンプ11aにID1に対応する動作指令を出力する。また、コントローラ9Aは、サーボアンプ11bにはID2が設定されているので、サーボアンプ11bにID2に対応する動作指令を出力する。また、コントローラ9Aは、サーボアンプ11cにはID3が設定されているので、サーボアンプ11cにID3に対応する動作指令を出力する。したがって、本第2実施形態では、コントローラ9Aは、各IDと動作指令とを対応関係を変更する必要はない。
【0066】
以上、制御装置8Aは、制御モードに切り替わった際に、テスト動作による認識結果を反映させて、各取付部2a,2b,2cに対応する動作指令に従って各電動回転モータ7a,7b,7cを動作させている。
【0067】
本第2実施形態では、シリアル通信で各フィンガー3a〜3cの制御が行われている場合も、上記第1実施形態と同様の効果、即ち、各フィンガー3a〜3cの取り付け位置によって、各フィンガーの誤動作が起こるのを防止することができる。
【0068】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係るロボットについて詳細に説明する。図5は、本発明の第3実施形態に係るロボットの一例としてのエンドエフェクタのフィンガーの動作を説明するための図である。
【0069】
本第3実施形態のフィンガー33a〜33cは、上記第1,第2実施形態のフィンガーと略同様の構成であるが、基準ストッパ部材36a〜36cがベース部材4a〜4cと一体になっている点が異なる。基準ストッパ部材36a〜36cの機能は、上記第1実施形態で説明した基準ストッパ部材16a〜16cと同様である。
【0070】
つまり、図5(a)に示すように、リンク部材5a〜5cを基準ストッパ部材36a〜36cに当接させたときを基準位置とする。この基準位置から図5(b)に示すように、リンク部材5a〜5cをストッパ部材15a〜15cの方向に旋回させ、図5(c)に示すように、リンク部材5a〜5cをストッパ部材15a〜15cに当接させる。この動作を行うことにより、リンク部材5a〜5cの旋回可能範囲を得ることができる。
【0071】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係るロボットについて説明する。上記第1〜第3実施形態では、テスト動作によって各電動回転モータと各取付部との対応関係を認識した後は、テスト動作による認識結果を反映させて、取付部に対応する動作指令に従って電動回転モータを動作させる制御モードに切り替わる場合について説明した。本第4実施形態では、テスト動作で認識させた後、誤接続があったらその旨を報知するようにしたものである。
【0072】
図6は、本発明の第4実施形態に係るロボットの一例としてのエンドエフェクタの概略構成を示すブロック図である。図6に示すように、エンドエフェクタ100Bのコントローラ9には、報知手段としての報知装置41が接続されている。
【0073】
この報知装置41は、テスト動作で認識した対応関係が予め設定しておいた所定の対応関係と異なる場合には、その旨を報知するよう構成されている。即ち、もし、エンドエフェクタ100Bの組み立て作業又はメンテナンス作業を行う作業者が、適正とする取り付け位置と異なった取付部にフィンガー3a〜3cが取り付けられていたら、報知装置41は、取り付けの誤りの旨を、作業者に報知する。
【0074】
また、コントローラ9、サーボアンプ11a〜11c、電動回転モータ7a〜7cの間で配線接続に誤りがあった場合にも、対応関係が所定の対応関係とは異なるものとなるので、報知装置41は、その旨を報知する。ここで、所定の対応関係とは、フィンガーと取付部とが正しい取付関係であり、且つ配線接続が正しい接続関係の場合の対応関係をいう。例えば、図1(a)の状態が所定の対応関係である。そして、例えば図2(a)〜図2(c)に示す状態のときには、報知装置41により報知される。
【0075】
また、そもそも電動回転モータが動作せず、フィンガーの取付部を認識できないこともある。そのような場合は、コントローラ9が有するタイマーで、旋回可能範囲検出のテスト動作のタイムアウトをエラーとして検出したり、モータに流れる電流値をサーボアンプで検出することで、接続の誤りを報知装置41により報知するようにする。
【0076】
報知装置41としては、コントローラに接続されたディスプレイ等の画像表示装置であり、画面にその旨を表示するようにしてもよい。また、報知装置41がLEDであり、LEDを点灯させて報知してもよい。また、報知装置41がスピーカであり、アラーム音等の発生で報知してもよい。
【0077】
本第4実施形態によれば、作業者がエンドエフェクタの組立作業やメンテナンス作業のとき、フィンガー3a〜3cを誤った取付部へ取り付けたり、コントローラ、サーボアンプ、電動駆動モータ間で誤った接続をしても、その誤りを作業者が認識することができる。
【0078】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【0079】
上記第1〜第4実施形態では、ロボットがエンドエフェクタである場合について説明したが、これに限定するものではなく、ロボットが多関節ロボットの場合であっても本発明は適用可能である。この場合、関節ユニットは、ロボットアームとなる。
【0080】
また、上記第1〜第4実施形態では、関節ユニットとしてのフィンガーが3つの場合について説明したが、これに限定するものではなく、関節ユニットは、2つ以上であればよい。その場合も、本体には、関節ユニットと同数の取付部が設けられることになる。
【0081】
また、上記第1〜第4実施形態では、駆動部が電動回転モータの場合について説明したがこれに限定するものではない。例えば、駆動部が、リンク部材の両側に配置される人工筋肉アクチュエータ、ゴム等の弾性アクチュエータであってもよい。
【0082】
また、上記第1〜第4実施形態では、駆動部が、関節ユニットと1つのユニットとして一体化されている場合について説明したが、関節ユニットとは別体で本体に固定されていてもよい。
【0083】
また、上記第1〜第4実施形態では、規制手段が、本体に設けた複数のストッパ部材の場合について説明したが、これに限定するものではない。本体とは別体に設けられ、各関節ユニットの旋回可能範囲が異なるように形成された複数のストッパ面を有する部材にロボットを相対移動させて、各関節ユニットの認識動作を行ってもよい。
【0084】
また、上記第1〜第4実施形態では、各基準ストッパ部材の高さを、原点出し動作に用いるために、同一としたが、これに限定するものではない。各取付部でリンク部材の旋回可能範囲を異ならせることができれば、各基準ストッパ部材の高さは任意に設定することができる。
【0085】
また、上記第1〜第4実施形態では、記憶装置に取付部と旋回可能範囲とを対応させたテーブルデータが記憶され、制御装置がテーブルデータを参照して、駆動部と取付部との対応関係を認識していたが、これに限定するものではない。制御装置は、取得した複数の旋回可能範囲の大小関係から、駆動部と取付部との対応関係を認識するようにしてもよい。例えば、駆動部として電動回転モータ7aを動作させたときに検出された回転角度が最も大きければ、電動回転モータ7aにより駆動されたリンク部材を有するフィンガーが取り付けられているのが取付部2aであると認識するようにしてもよい。この場合、予め大小関係を示すテーブルデータを作成しておいてもよいが、制御プログラムに従って大小判断を行えばよいので、テーブルデータを省略することも可能である。
【符号の説明】
【0086】
1…本体、2a,2b,2c…取付部、3a,3b,3c…フィンガー(関節ユニット)、4a,4b,4c…ベース部材、5a,5b,5c…第1のリンク部材(リンク部材)、7a,7b,7c…電動回転モータ(駆動部)、8,8A…制御装置(制御手段)、9,9A…コントローラ、10,10a,10b,10c…コネクタ、11a,11b,11c…サーボアンプ(駆動制御部)、12a,12b,12c…エンコーダ、13…検出装置、14,14a,14b,14c…記憶装置(記憶手段)、15a,15b,15c…ストッパ部材(規制手段)、16a,16b,16c…基準ストッパ部材、33a,33b,33c…フィンガー(関節ユニット)、36a,36b,36c…基準ストッパ部材、41…報知装置(報知手段)、100,100A,100B…エンドエフェクタ(ロボット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材、一端が前記ベース部材に旋回可能に支持されたリンク部材を有する複数の関節ユニットと、
前記関節ユニットが取り付け可能な複数の取付部を有し、前記各取付部に前記各関節ユニットが取り付けられた本体と、
前記各関節ユニットのリンク部材を旋回駆動する複数の駆動部と、
前記各取付部における前記各関節ユニットのリンク部材の旋回可能範囲が互いに異なるように前記各関節ユニットのリンク部材の旋回動作を規制する規制手段と、
前記各関節ユニットのリンク部材の旋回位置を検出する検出手段と、
前記各関節ユニットのリンク部材を前記規制手段で規制されるまで旋回させるテスト動作を実行し、前記テスト動作の実行によって前記検出手段により得られた前記各リンク部材の旋回可能範囲の違いに基づいて、前記各駆動部と前記各取付部との対応関係を認識する制御手段と、を備えたことを特徴とするロボット。
【請求項2】
前記各取付部と、前記各取付部における前記リンク部材の旋回可能範囲との対応をテーブルデータとして予め記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶されたテーブルデータを参照して、前記検出手段の検出結果から前記各駆動部と前記各取付部との対応関係を認識することを特徴とする請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記規制手段は、前記本体に前記各取付部に対応して設けられ、前記関節ユニットのリンク部材が当接して停止する停止位置が互いに異なるように形成された複数のストッパ部材からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のロボット。
【請求項4】
前記本体に前記各取付部に対応して設けられ、前記リンク部材が前記ストッパ部材に当接する方向とは反対方向に前記リンク部材を旋回させたときに、前記リンク部材が当接する複数の基準ストッパ部材を備え、
前記駆動部は、電動回転モータであり、
前記検出手段は、前記各電動回転モータに設けられ、前記各関節ユニットのリンク部材が前記各基準ストッパ部材に当接したときを基準とし、前記各ストッパ部材に当接したときの前記各電動回転モータの回転角度を、旋回位置として検出する複数のエンコーダであることを特徴とする請求項3に記載のロボット。
【請求項5】
前記各関節ユニットは、前記ベース部材に一体に設けられ、前記リンク部材がストッパ部材に当接する方向とは反対方向に前記リンク部材を旋回させたときに、前記リンク部材が当接する基準ストッパ部材を有し、
前記駆動部は、電動回転モータであり、
前記検出手段は、前記各電動回転モータに設けられ、前記各関節ユニットのリンク部材が前記各基準ストッパ部材に当接したときを基準とし、前記各ストッパ部材に当接したときの前記各電動回転モータの回転角度を、旋回位置として検出する複数のエンコーダであることを特徴とする請求項3に記載のロボット。
【請求項6】
前記制御手段は、前記各電動回転モータと接続され、入力を受けた動作指令に応じて前記各電動回転モータの動作に必要な電力を前記各電動回転モータに供給する複数の駆動制御部と、
前記各駆動制御部が接続される複数のコネクタを有し、前記各コネクタを介して前記各駆動制御部に動作指令を出力するコントローラと、を有し、
前記コントローラが、前記テスト動作を実行することを特徴とする請求項4又は5に記載のロボット。
【請求項7】
前記制御手段は、前記各電動回転モータと接続され、入力を受けた動作指令に応じて前記各電動回転モータの動作に必要な電力を前記各電動回転モータに供給する複数の駆動制御部と、
前記複数の駆動制御部が接続されるコネクタを有し、前記コネクタを介して前記各駆動制御部に動作指令を出力するコントローラと、を有し、
前記各駆動制御部が、前記テスト動作を実行することを特徴とする請求項4又は5に記載のロボット。
【請求項8】
前記制御手段は、前記テスト動作を実行するテストモードと、前記テスト動作による認識結果を反映させて、前記各取付部に対応する動作指令に従って前記各駆動部を動作させる制御モードとに切り替え可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のロボット。
【請求項9】
前記対応関係が予め設定した所定の対応関係と異なる場合には、その旨を報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−52456(P2013−52456A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190722(P2011−190722)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】