説明

ローズマリーオイルの抽出物、該ローズマリーオイルの抽出物を含有するゴキブリ忌避剤、並びにローズマリーオイルの抽出物を得る方法

【課題】ゴキブリに対して十分な忌避効果があり、且つ持続性のある忌避剤を提供すること。
【解決手段】ローズマリーオイルをクロマトグラフィーにより精製することによって得られる抽出物であって、ローズマリーオイルを吸着剤に吸着させたカラムから、ヘキサンまたはヘキサン・ジエチルエーテル混合溶媒を展開溶媒として用いて溶出した後、残渣をジエチルエーテル、酢酸エチルをそれぞれ展開溶媒として溶出したゴキブリに対する忌避作用を有するローズマリーオイルの抽出物、および該ローズマリーオイルの抽出物を含有するゴキブリ忌避剤とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローズマリーオイルの抽出物である特定の分画成分を含有するゴキブリ忌避剤、並びに該ローズマリーオイルの抽出物を得る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴキブリ等の衛生害虫を忌避するために、ディートやピレスロイド系殺虫剤等が用いられている。ところが、近年このような成分を人が触れやすいところや食品のある付近などで使用するのに抵抗感を持つ傾向が見られる。
【0003】
そこで、天然物由来のより安全性の高い成分を用いた忌避剤が検討されており、例えば、植物から採取した精油を用いて害虫を忌避することが行われている。具体的には、植物精油を含有する害虫忌避足バンドを人の足に装着する方法や、シソ科に属する植物の精油を含有する衛生害虫忌避薬剤を用いる衛星害虫忌避装置が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。このような害虫忌避剤には、例えば、ラベンダー油、ペパーミント油、バジル油等の植物精油が使用できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−51564号公報
【特許文献2】特開2003−164248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、植物精油は安全性は高いが忌避効果が十分ではなく、また、持続性に欠けるという欠点があった。そのため十分な忌避効果を得るためには多量に使用する必要があり、入手が難しい、コストが高くなる、など実用面においても問題があった。
そこで、本発明はゴキブリに対して多量に用いなくても十分な忌避効果があり、コストも抑えることができ、且つ持続性のある植物精油、およびゴキブリ忌避剤を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、ローズマリーオイルの分画成分の中でも特定の分画成分がゴキブリの忌避効果が高く、その持続性も高いことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、以下の(1)〜(3)によって達成されるものである。
(1)ローズマリーオイルをクロマトグラフィーにより精製することによって得られる抽出物であって、
ローズマリーオイルを吸着剤に吸着させたカラムから、ヘキサンまたはヘキサン・ジエチルエーテル混合溶媒を展開溶媒として用いて溶出した後、残渣をジエチルエーテル、酢酸エチルをそれぞれ展開溶媒として溶出したゴキブリに対する忌避作用を有するローズマリーオイルの抽出物。
(2)上記(1)のローズマリーオイルの抽出物を含有するゴキブリ忌避剤。
(3)ローズマリーオイルを吸着剤に吸着させたカラムから、クロマトグラフィーにより、
(a)ヘキサンを展開溶媒として第1分画成分を溶出する工程、
(b)該第1分画成分を採取した残渣から、ヘキサン:ヘキサン・ジエチルエーテル混合溶媒(ヘキサン:ジエチルエーテル(4:1))=1:1の混合溶媒を展開溶媒として第2分画成分を溶出する工程、
(c)該第2分画成分を採取した残渣から、ヘキサン:ジエチルエーテル=1:1の混合溶媒を展開溶媒として第3分画成分を溶出する工程、
(d)該第3分画成分を採取した残渣から、ヘキサン:ジエチルエーテル=1:4の混合溶媒を展開溶媒として第4分画成分を溶出する工程、
(e)該第4分画成分を採取した残渣から、ジエチルエーテルを展開溶媒として第5分画成分を溶出する工程、
(f)該第5分画成分を採取した残渣から、酢酸エチルを展開溶媒として第6分画成分を溶出する工程
により第5分画成分および第6分画成分をそれぞれ採取する、ゴキブリに対する忌避作用を有するローズマリーオイルの抽出物を得る方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明のローズマリーオイルからジエチルエーテル、酢酸エチルをそれぞれ展開溶媒として溶出した抽出物である第5分画成分および第6分画成分には、精製された忌避成分が含有されるため、このローズマリーオイルの抽出物を有効成分とした本発明のゴキブリ忌避剤は、ゴキブリに対する忌避効果が高く、また、その持続性も高いため、使用量を抑えることもできる。また、人体に対して安全性が高いため、様々な場所に適用することができ、特に人が触れやすいところや食品のある付近などでも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ローズマリーオイルの第1分画成分のガスクロマトグラムである。
【図2】ローズマリーオイルの第2分画成分のガスクロマトグラムである。
【図3】ローズマリーオイルの第3分画成分のガスクロマトグラムである。
【図4】ローズマリーオイルの第4分画成分のガスクロマトグラムである。
【図5】ローズマリーオイルの第5分画成分のガスクロマトグラムである。
【図6】ローズマリーオイルの第6分画成分のガスクロマトグラムである。
【図7】実施例2、3で使用した実験装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明に係るローズマリーオイルの抽出物は、ローズマリーオイルをクロマトグラフィーにより精製することによって得られる抽出物である。
【0011】
ローズマリー(学名:Rosmarinus officinalis)は地中海沿岸の諸国に広く分布するシソ科の常緑低木であり、ローズマリーオイルは、ローズマリーの葉や花を蒸留して採取される精油であり、淡緑色の液体である。本発明において使用できるローズマリーオイルとしては、例えば、ローズマリー・シネオール、ローズマリー・ベルベノン、ローズマリー・カンファー等を挙げることができる。
【0012】
ローズマリーオイルは、シリカゲル、アルミナ、ガラスビーズ、ポリマー樹脂、珪藻土等の吸着剤を用いた吸着カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーにより分画することができる。本発明において、操作が簡便且つ多量の試料処理が可能であるという理由からシリカゲルを用いた吸着カラムクロマトグラフィーを使用することが好ましい。
【0013】
吸着カラムクロマトグラフィーを用いる場合、展開溶媒は極性の低いものから順に用い、複数工程で溶出することが好ましい。溶媒の極性を徐々に高くすることで、低極性物質から高極性物質を順次溶出することができるからである。展開溶媒としては、ヘキサン、ジエチルエーテル、酢酸エチル等が挙げられ、これらの溶媒を混合し、その混ぜる比率によって展開溶媒の極性を変えることができる。
【0014】
本発明において、ローズマリーオイルを吸着剤に吸着させたカラムから、ヘキサンまたはヘキサン・ジエチルエーテル混合溶媒を展開溶媒として用いて溶出して忌避成分以外の成分を分離した後、残渣をジエチルエーテル、酢酸エチルをそれぞれ展開溶媒として溶出して、忌避成分を精製、濃縮する。
【0015】
具体的には、まず、シリカゲル等の吸着剤に吸着させたローズマリーオイルを、ヘキサンを展開溶媒としてクロマトグラフィーを利用して第1分画成分を溶出する。次に、第1分画成分を採取した残渣について、ヘキサン:ヘキサン・ジエチルエーテル混合溶媒(ヘキサン:ジエチルエーテル(4:1))=1:1の混合溶媒を展開溶媒としてクロマトグラフィーで処理して第2分画成分を溶出する。続けて、第2分画成分を採取した残渣について、ヘキサン:ジエチルエーテル=1:1の混合溶媒を展開溶媒としてクロマトグラフィーで処理して第3分画成分を溶出する。そして、第3分画成分を採取した残渣について、ヘキサン:ジエチルエーテル=1:4の混合溶媒を展開溶媒としてクロマトグラフィーで処理して第4分画成分を溶出する。前記第1分画成分から第4分画成分には、ローズマリーオイルの芳香成分や抗酸化成分、消臭成分が精製、濃縮されて溶出すると考えられる。
【0016】
その後、第4分画成分を採取した残渣について、ジエチルエーテルを展開溶媒としてクロマトグラフィーで処理して第5分画成分を溶出する。そして、第5分画成分を採取した残渣について、酢酸エチルを展開溶媒としてクロマトグラフィーで処理して第6分画成分を溶出する。
【0017】
尚、ヘキサン、ヘキサン・ジエチルエーテル混合溶媒を用いた溶出工程である第1分画成分を得る工程から第4分画成分を得る工程では、極性の低い溶媒に溶けやすい成分から順次溶出することにより、芳香成分や抗酸化成分を分離するものである。展開溶媒はジエチルエーテルの割合が順次多くなるようにして、極性を徐々に高くしている。また、ヘキサン、ヘキサン・ジエチルエーテル混合溶媒を用いた溶出は、任意の工程数を行えば良い。
【0018】
そして、上記方法により採取した第5分画成分および第6分画成分には、ゴキブリの忌避成分が精製、濃縮されて含有されている。これらの分画成分は溶出原液をそのまま使用しても良いが、適切な方法で濃縮、乾燥して使用したり、適宜な溶媒に溶解して使用することもできる。前記溶媒としては、例えば、アセトン、エタノール、メタノール、パラフィン等が挙げられる。
【0019】
本発明のゴキブリ忌避剤は、上記方法によりローズマリーオイルをヘキサンとヘキサン・ジエチルエーテル混合溶媒とを用いて不要成分を分離した後に、ジエチルエーテル、酢酸エチルをそれぞれ展開溶媒として溶出した抽出物の少なくとも一方を有効成分とするものである。本発明のゴキブリ忌避剤は、各種製剤として用いることができ、液体や固体等の担体等を用いて、例えば、液剤、ゲル剤、ゾル剤、粒剤、顆粒剤、スプレー剤、シート剤等として製剤化すればよい。これらの製剤を対象空間に設置することにより忌避成分を自然に揮散させたり、または対象空間に直接散布して、対象空間内の空気の移動や対流を利用して忌避成分を対象空間全体に行き渡るようにする。その他にも、ゴキブリ忌避剤をゴキブリの体の少なくとも一部に付着させたり、体表・脚の全体にわたり付着させてもよい。
【0020】
有効成分である前記ローズマリーオイルの抽出物は、これらの製剤に適する有効量となるようにその配合量や使用量が選択されればよい。例えば、液剤として使用する場合は、有効成分は液剤中、0.01質量%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.1〜30質量%配合すると良い。ゲル剤として使用する場合は、有効成分はゲル剤中、0.1質量%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%配合すると良い。粒剤として使用する場合は、有効成分は粒剤中、0.1質量%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%配合すると良い。前記ローズマリーオイルの抽出物を上記範囲とすることで、十分なゴキブリの忌避効果を得ることができるとともに、その持続性を高めることができる。
尚、有効成分の有効気中濃度としては、0.1μg/L〜1000μg/Lが好ましく、1μg/L〜100μg/Lがより好ましい。有効成分は、例えば、居室においては、居住者の移動、ドアや窓の開閉等により発生する空気の移動または対流により、有効成分が居室全体に自然に行き渡る。
【0021】
また、本発明のゴキブリ忌避剤には、その効果を損なわない限り、必要に応じて、その他の成分も配合可能である。例えば、着色剤、紫外線吸収剤、防腐剤、pH調整剤、酸化防止剤、香料、精油等から選ばれる1種または2種以上を配合することができる。
【0022】
着色剤としては、例えば、青色1号、緑色202号、紫色201号等の法定色素、リボフラビン、シソ、クロロフィル等の天然色素等が挙げられる。
【0023】
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、2−(2´−ヒドロキシ−5´−メチルフェニル)エンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系等が挙げられる。
【0024】
防腐剤としては、例えば、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、パラベン類等が挙げられる。
【0025】
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、リン酸、炭酸ナトリウム等が挙げられる。
【0026】
本発明のゴキブリ忌避剤は各種ゴキブリに適用することができ、例えば、チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、ヤマトゴキブリ、オオゴキブリ、サツマゴキブリ等が挙げられ、中でもチャバネゴキブリ、クロゴキブリに対する忌避作用に優れている。
【実施例】
【0027】
以下、実施例より本発明のゴキブリ忌避剤をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら制限されるものではない。
【0028】
(実施例1)
<ローズマリーオイルの分画>
分画は、シリカゲルクロマトグラフィーを用いて行った。
液体出口に向けて縮径するクロマトグラフィー用のガラスカラム(内径50mm×長さ500mm)の液体出口に脱脂綿を詰めた。カラムにヘキサン適量を流し入れた後、縮径部分に海砂を詰めた。
シリカゲル(商品名:シリカゲル60(球状、粒径63〜210μm),関東化学株式会社製)を200g入れたビーカーに、ヘキサン適量を入れて攪拌した。これを前記カラムにゆっくり流し込み、ヘキサンを流しながら、シリカゲルがカラム内に密に詰まるのを確認した。
ヘキサンがシリカゲル層の下面位置から滴下するようになったところで、ローズマリーオイル(商品名:ROSEMARY OIL,MATIERES PREMIERES ESSENTIELLES社製)10gを流し込みシリカゲルにローズマリーオイルを吸着させた。
【0029】
ローズマリーオイルが全てシリカゲルに染み込んだのを確認した後、下記の展開溶媒を用いて第1分画成分〜第6分画成分を溶出・分画した(流速40〜50mL/min)。
(展開溶媒)
第1分画:ヘキサン 300mL
第2分画:ヘキサン 300mL + ヘキサン:ジエチルエーテル=4:1 300 mL
第3分画:ヘキサン:ジエチルエーテル=1:1 300mL
第4分画:ヘキサン:ジエチルエーテル=1:4 300mL
第5分画:ジエチルエーテル 300mL
第6分画:酢酸エチル 300mL
【0030】
上記採取した第1分画成分〜第6分画成分に関して、ガスクロマトグラフィーにより成分組成の解析を行った。解析条件は以下の通りである。また、解析結果を図1〜図6に示す。
(ガスクロマトグラフィーの解析条件)
ガスクロマトグラフ装置:GC−14B(商品名,株式会社島津製作所製)
カラム:PEG−20M(商品名,GLサイエンス株式会社製)
担体:10% Uniport HP(商品名,GLサイエンス株式会社製)
カラムサイズ:3.2mmφ×2m
カラム温度:70℃(1min)→8℃/min→210℃(5min)
注入温度(Injection温度):240℃
検出温度(Detection温度):240℃
キャリアガス:窒素:50mL/min、水素:60mL/min
【0031】
図1〜図6に示したように、図5に示した第5分画成分と図6に示した第6分画成分のガスクロマトグラムには保持時間10分付近で同様のピークが表われていることがわかった。このことから、本発明の方法により、忌避成分が他の有効成分から単離されたことがわかる。
【0032】
(実施例2)
<忌避実験:クロゴキブリ>
図7に示すように、幅100cm×長さ100cm×高さ25cmのケージ10の四隅に0.8L容の有底円柱状のプラスチックカップ1〜4を底を上方にして設置した。プラスチックカップには、側面に縦1cm×横4cmの開口部5をケージ10の床面と接する側から切り欠いて形成した。
縦10mm×横10mm×厚さ2mmのパルプ紙に実施例1で得たローズマリーオイルの第1分画成分を10μg滴下し、アルミホイルで覆い、虫針で10個穴を開けて第1検体を作製した。第2分画成分〜第6分画成分についても同様に行い、第2検体〜第6検体を作製した。
【0033】
カップ1とカップ3に第1検体Sを設置し処理区とし、ケージ10の略中央には餌6と水7を設置して、ケージ10内にクロゴキブリの雄雌各25匹ずつを放った。尚、カップ2とカップ4は無処理区である。
1日毎に第1検体Sを処理区から無処理区に移動させ、1日毎に処理区、無処理区内に定着しているゴキブリ数をカウントして下記式により忌避率(%)を算出した。第2検体〜第6検体に関しても同様に行った。尚、試験は各検体につき2回ずつ行い、その結果の平均値を表1に示す。
忌避率(%)=(無処理区の定着数−処理区の定着数)/無処理区の定着数×100
【0034】
【表1】

【0035】
(実施例3)
<忌避実験:チャバネゴキブリ>
幅50cm×長さ50cm×高さ25cmのケージ10を用いた以外は実施例2と同様にして、チャバネゴキブリについて忌避実験を行った。尚、チャバネゴキブリが雄雌各30匹ずつで試験を行った。結果を表2に示す。
【0036】
【表2】

【0037】
表1、2の結果より、第5検体および第6検体は第1検体〜第4検体に比べて忌避効果が高く、しかも持続時間も長いことがわかる。このことから、本発明の方法により分画した第5分画成分および第6分画成分は、ゴキブリに対する忌避効果に優れていることがわかった。
【0038】
続いて、本発明に係るローズマリーオイルの抽出物を用いたゴキブリ忌避剤の処方例(製剤例1〜8)を示す。尚、製剤例中、ローズマリーオイルの第5分画成分および第6分画成分は、実施例1の方法によりローズマリーオイルをジエチルエーテル、酢酸エチルそれぞれで精製した抽出物である。
【0039】
<製剤例1:液剤>
ローズマリーオイルの第5分画成分 1.0g
ポリエチレン硬化ヒマシ油 2.0g
エタノール 1.0g
イオン水 残 部
合計 100.0g
【0040】
<製剤例2:液剤>
ローズマリーオイルの第6分画成分 1.0g
ポリエチレン硬化ヒマシ油 2.0g
エタノール 1.0g
イオン水 残 部
合計 100.0g
【0041】
<製剤例3:ゲル剤>
ローズマリーオイルの第5分画成分 5.0g
ポリエチレン硬化ヒマシ油 0.8g
エタノール 1.0g
カラギーナン 2.0g
濃グリセリン 0.5g
緑3号 0.1g
イオン水 残 部
合計 100.0g
【0042】
<製剤例4:ゲル剤>
ローズマリーオイルの第6分画成分 5.0g
ポリエチレン硬化ヒマシ油 0.8g
エタノール 1.0g
カラギーナン 2.0g
濃グリセリン 0.5g
緑3号 0.1g
イオン水 残 部
合計 100.0g
【0043】
<製剤例5:粒剤>
ローズマリーオイルの第5分画成分 5.0g
無水ケイ酸 2.0g
BHT 0.001g
重質炭酸カルシウム 残 部
合計 100.0g
【0044】
<製剤例6:粒剤>
ローズマリーオイルの第6分画成分 5.0g
無水ケイ酸 2.0g
BHT 0.001g
重質炭酸カルシウム 残 部
合計 100.0g
【0045】
<製剤例7:エアゾール剤>
〔原液〕
ローズマリーオイルの第5分画成分 5.0g
ネオチオゾール 100.0mLとする
〔噴射剤〕
DME(ジメチルエーテル) 90.0mL
LPG(液化石油ガス) 110.0mL
合計 300.0mL
【0046】
<製剤例7:エアゾール剤>
〔原液〕
ローズマリーオイルの第6分画成分 5.0g
ネオチオゾール 100.0mLとする
〔噴射剤〕
DME(ジメチルエーテル) 90.0mL
LPG(液化石油ガス) 110.0mL
合計 300.0mL
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明のゴキブリ忌避剤は、ゴキブリに対する忌避効果が高く、またその持続性も高い。そして、人体に対して害のある物質を含有していないため、人が触れやすいところや食品のある付近などでも安全に使用できる。
【符号の説明】
【0048】
1〜4 カップ
5 開口部
6 餌
7 水
10 ケージ
S 検体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローズマリーオイルをクロマトグラフィーにより精製することによって得られる抽出物であって、
ローズマリーオイルを吸着剤に吸着させたカラムから、ヘキサンまたはヘキサン・ジエチルエーテル混合溶媒を展開溶媒として用いて溶出した後、残渣をジエチルエーテル、酢酸エチルをそれぞれ展開溶媒として溶出したゴキブリに対する忌避作用を有するローズマリーオイルの抽出物。
【請求項2】
請求項1のローズマリーオイルの抽出物を含有するゴキブリ忌避剤。
【請求項3】
ローズマリーオイルを吸着剤に吸着させたカラムから、クロマトグラフィーにより、
(a)ヘキサンを展開溶媒として第1分画成分を溶出する工程、
(b)該第1分画成分を採取した残渣から、ヘキサン:ヘキサン・ジエチルエーテル混合溶媒(ヘキサン:ジエチルエーテル(4:1))=1:1の混合溶媒を展開溶媒として第2分画成分を溶出する工程、
(c)該第2分画成分を採取した残渣から、ヘキサン:ジエチルエーテル=1:1の混合溶媒を展開溶媒として第3分画成分を溶出する工程、
(d)該第3分画成分を採取した残渣から、ヘキサン:ジエチルエーテル=1:4の混合溶媒を展開溶媒として第4分画成分を溶出する工程、
(e)該第4分画成分を採取した残渣から、ジエチルエーテルを展開溶媒として第5分画成分を溶出する工程、
(f)該第5分画成分を採取した残渣から、酢酸エチルを展開溶媒として第6分画成分を溶出する工程
により第5分画成分および第6分画成分をそれぞれ採取する、ゴキブリに対する忌避作用を有するローズマリーオイルの抽出物を得る方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−12028(P2011−12028A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158502(P2009−158502)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000100539)アース製薬株式会社 (191)
【出願人】(000169466)高砂香料工業株式会社 (194)
【Fターム(参考)】