説明

ロータリ耕耘装置

【課題】 ロータリケース下部を幅狭の細長状に形成する。
【解決手段】 トランスミッションケース2に連設されたセンターケース10の下部10aには、互いに逆回転する第一と第二のロータリ軸11,12が同軸上に突設されていて、両ロータリ軸11,12には、夫々第一の回転爪13と第二の回転爪14が取付けられる。前記第一のロータリ軸11には、スプロケット51とチェーン52を介して動力が伝達され回転される。このスプロケット51には、ベベルギヤからなる第一のサイドギヤ53が固定され、一方、前記第二のロータリ軸12には第二のサイドギヤ55が連結されていて、これら第一と第二のサイドギヤ53,55にセンターギヤ60が噛合している。このため、第一のロータリ軸11が一方向に回転すると、第一のサイドギヤ53とセンターギヤ60を介して第二のサイドギヤ55が他方向に回転し、よって第二のロータリ軸12が他方向に回転する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ロータリ耕耘装置に係り、詳しくはトランスミッションケースの後方に第一と第二のロータリ軸を同軸上に突設し、これら両ロータリ軸に夫々第一と第二の回転爪を取付けたロータリ耕耘装置に関する。
【0002】
【従来の技術】耕耘装置のロータリ軸に複数個の回転爪を取付け、その中の一部の回転爪を機体の進行方向と同方向に回転させたり、逆方向に回転させた状態に切換可能として、機体のダッシュ現象を抑止しながら耕耘するものとして、例えば特開平6−303801号公報記載の技術が知られている。
【0003】この従来例によれば、図13に示すように、トランスミッションケースに連設されたセンターケース10の左右に第一のロータリ軸11,11が突設されていて、この第一のロータリ軸11には複数個の第一の回転爪13が取付けられている。また、第一のロータリ軸11の外周側には第二のロータリ軸12が回転自在に配設されていて、該第二のロータリ軸12には第二の回転爪14が取付けられている。
【0004】前記第一のロータリ軸11は、図14に示すように、スプロケット51とチエーン52により正転駆動され、また、前記第二のロータリ軸12には、スプライン結合により前記スプロケット51若しくは該スプロケット51と逆方向に回転する逆転ギヤ80と係合離脱自在な切換ギヤ81が設けられている。そして、この切換ギヤ81を、シフタ82により前記スプロケット51若しくは逆転ギヤ80に選択的に切換え連結することで、前記第二のロータリ軸12を正転駆動したり逆転駆動できるようにしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した従来例によると、第一のロータリ軸11の外周側に第二のロータリ軸12を正逆転自在に配設するために、前記切換ギヤ81を第二のロータリ軸12にスプライン結合したり、あるいはこの切換ギヤ81を摺動させるためにシフタ82を設けなければならない等、構造が複雑となる課題があった。
【0006】また、従来例のような構造にすると、センターケース10内に逆転ギヤ80や切換ギヤ81等を収容する必要から、該センターケース10下部の左右幅が膨大化し、例えば第二の回転爪14が機体前方に向けて跳ね上げた土が膨大化した前記センターケース10の下部上面に抱きかかえられて機体がスタックするおそれがあった。
【0007】この発明は、斯かる課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ロータリケースへの泥土の付着量を可及的に少なくすると共に、付着した泥土は確実に掻き落すことのできるロータリ耕耘装置を提供することにあり、また、他の目的は、同軸上で互いに逆回転する2つの回転軸に夫々回転爪を取付けることで、圃場条件が違っても一定の耕耘性能を確保することのできるロータリ耕耘装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、上記目的を達成するため、この発明は、トランスミッションケース(2)に連設されたセンターケース(10)の下部(10a)に、第一のロータリ軸(11)および該第一のロータリ軸(11)と逆方向に回転する第二のロータリ軸(12)を同軸上に突設し、これら両ロータリ軸(11,12)に夫々第一の回転爪(13)と第二の回転爪(14)を取付けたロータリ耕耘装置において、前記第一のロータリ軸(11)に固定された回転部材(51)と、前記スプロケット(51)にトランスミッションからの動力を伝達する巻掛け部材(52)と、前記回転部材(51)の両脇に配置された第一のサイドギヤ(53)と、前記第二のロータリ軸(12)が前記第一のロータリ軸(11)に回転自在に支持されたスリーブ軸(12)からなると共に、該スリーブ軸(12)と一体的に回転可能に連結された第二のサイドギヤ(55)と、前記第一と第二のサイドギヤ(53,55)に噛合し、かつセンターケース下部(10a)に支持されているセンターギヤ(60)と、を備えていることを特徴とする。
【0009】好ましくは、切換レバー(31)の操作によりトランスミッション内の歯車の伝達経路を切り換えることにより、前記回転部材(51)の回転方向を正逆切換え自在とするのが良い。
【0010】また、好ましくは、前記センターケース(10)は、内部に巻掛け部材(52)を収容して幅狭の細長形状に形成される。
【0011】更に、好ましくは、前記第1の回転爪(13)と第2の回転爪(14)は、回転方向前後に刃(23)を有する平面視ハート形の板状体をなすと共に、先端側を一側面に湾曲させ、基端部には前記第一または第二のロータリ軸(11,12)への取付け孔(24)を設けるのが良い。
【0012】更にまた、好ましくは、前記第2の回転爪(14)の内側で、かつ前記センターケース下部(10a)と対向する位置に泥落し爪(18)を取付けるのが好ましい。
【0013】(作用)以上の構成により、本発明において、耕耘機(1)等のトランスミッションケース(2)の後方に、センターケース(10)を介してロータリ耕耘装置が連設されていて、前記センターケース(10)の下部(10a)には、第一のロータリ軸(11)および該第一のロータリ軸(11)と逆方向に回転する第二のロータリ軸(12)が同軸上に突設されている。そして、これら両ロータリ軸(11,12)には、夫々第一の回転爪(13)と第二の回転爪(14)が取付けられている。
【0014】前記第一のロータリ軸(11)には回転部材(51)が固定され、この回転部材(51)に巻掛け部材(52)が巻き掛けられていて、この巻掛け部材(52)によりトランスミッションからの動力が第一のロータリ軸(11)に伝達される。
【0015】前記回転部材(51)の両脇には、例えばベベルギヤからなる第一のサイドギヤ(53)が配置されており、一方、前記第二のロータリ軸(12)にはこれと一体的に回転可能な第二のサイドギヤ(55)が連結されていて、これら第一と第二のサイドギヤ(53,55)に、センターケース下部(10a)に支持されたセンターギヤ(60)が噛合している。
【0016】このため、トランスミッションからの動力によって、第一のロータリ軸(11)がその軸心を中心として一方向に回転すると、第一のサイドギヤ(53)とセンターギヤ(60)を介して第二のサイドギヤ(55)が他方向に回転し、この第二のサイドギヤ(55)と一体的に回転可能に連結された第二のロータリ軸(12)が他方向に回転する。すなわち、第一のロータリ軸(11)と第二のロータリ軸(12)とは、常に逆方向に回転する仕組みになっている。
【0017】このとき、逆転機構を形成している前記第一のサイドギヤ(53)とセンターギヤ(60)および第二のサイドギヤ(55)相互間の噛み合いは、例えば夫々ベベルギヤを介して行っているので、各ギヤの第一のロータリ軸心からの回転半径を小さく設定することが可能となり、よって前記第一のサイドギヤ(53)とセンターギヤ(60)を収容しているセンターケース(10)を、幅狭の細長形状に形成することが可能となる。
【0018】なお、前記第二のロータリ軸(12)に取付けられる第2の回転爪(14)の内側には、センターケース下部(10a)と対向する位置に泥落し爪(18)が取付けられているので、この泥落し爪(18)によりセンターケース(10)に付着した泥土が掻き落とされる。
【0019】また、前記第一のロータリ軸(11)の回転方向は、切換レバー(31)の操作によりトランスミッション内の歯車の伝達経路を切り換えることにより、正逆自在に切換えることができ、これに応じて第二のロータリ軸(12)は第一のロータリ軸(11)の回転方向と逆方向に回転する。
【0020】更に、前記第1の回転爪(13)と第2の回転爪(14)は、回転方向前後に刃(23)を有する平面視ハート形の板状体をなしており、このため、第一および第二のロータリ軸(11,12)が正逆いずれに回転しようとも、耕耘性能が変化することはない。
【0021】なお、上述の括弧内の符号は、図面を対照するためのものであるが、この発明の構成を何ら限定するものではない。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき、本発明の実施の形態を説明する。なお、前述した従来例と同一または相当する部材には、同一の符号を付して説明する。
【0023】図1は、本発明が適用される耕耘機1の外観を示すもので、この耕耘機1は、機体フレームを構成するトランスミッションケース2、エンジン3、走行車輪5、トランスミッションケース2の後方下部に設けられたロータリ耕耘装置6、ハンドル7、ロータリ耕深規制装置9等を備えている。また、エンジン3の出力プーリからトランスミッションケース2の入力軸29(図3参照)に固定されたプーリ4(図3参照)にわたって緊張・弛緩ベルトが巻掛けられており、これらベルト及びプーリ4はケース30にて覆われている。
【0024】更に、トランスミッションケース2の上部からハンドル7の上方に沿って変速レバー31が延びており、かつ該変速レバー31は、エンジン3上部の燃料タンク32及びトランスミッションケース2にわたって取付けられているガイド板33のガイド溝35に案内される。
【0025】このガイド溝35は、図2に示すように、横方向(図の左右方向)が前進1速位置F1 、前進2速位置F2 、中立位置N、後進位置R及び作業中立位置N′を有する走行変速段からなり、また縦方向(上下方向)が正転位置S、中立位置NR 及び逆転位置Cを有するロータリ回転方向切換段からなる。なお、前記変速レバー31は、その基端部がコ字状になっており、上下方向回動自在かつ左右方向に一体に連動するようにシフトフォーク(図示せず)に連結されている。
【0026】また、図3および図12に示すように、前記トランスミッションケース2には、その両側面にわたって変速シフト軸41が配設され、該シフト軸41には、図示しないシフトフォークがクリック機構により摺動自在に嵌挿されている。このシフトフォークは、入力軸29に摺動のみ自在にスプライン結合している走行用シフタ歯車46に係合されている。
【0027】また、前記変速シフト軸41に隣接して、トランスミッションケース2の両側面にわたってロータリ用シフト軸26が配設され、該シフト軸26には、図示しないシフトフォークがクリック機構により摺動自在に嵌挿されている。このシフトフォークは、入力軸29に摺動自在にスプライン結合しているロータリ用シフタ歯車63に係合されている。
【0028】なお、図3に示すように、変速用シフト歯車46が、出力軸36の歯車65に係合して前進1速F1 、また、シフト歯車46が、出力軸36の歯車67に常時係合している歯車47に係合して前進2速F2 、更に、シフト歯車46が、出力軸36の歯車69に常時噛合している中間軸34の歯車70に係合して後進Rが得られる。
【0029】一方、図3および図4に示すように、ロータリー用シフタ歯車63が、中間軸34の歯車71に係合して出力軸36から正転Sが得られ、また、シフタ歯車63が、中間軸34の歯車72に常時噛合している出力軸36の歯車73に直接係合して逆転Cが得られる。
【0030】そして、走行伝動系の回転は、出力軸36からチェーン及び差動歯車を介して前述した走行車輪5に伝達され、またロータリ伝動系の回転は、トランスミッションケース2の後方に連設されたセンターケース10内のチェーン52を介してその下部に設けられたロータリ耕耘装置6に伝達される。
【0031】このロータリ耕耘装置6は、図3に示すように、機体進行方向と略々直交する方向の左右に突出された第一のロータリ軸11と、この第一のロータリ軸11と逆方向に回転する第二のロータリ軸12とを有し、これらが同軸上に配置されていて、更にこれら両ロータリ軸11,12に夫々第1の回転爪13と第2の回転爪14,14’が取付けられている。
【0032】ここで、本発明は、前記第一のロータリ軸11に固定された回転部材51と、前記回転部材51にトランスミッションからの動力を伝達する巻掛け部材52と、前記回転部材51の両脇に嵌合された第一のサイドギヤ53とを備えている。
【0033】図3および図5に示すように、前記第一のロータリ軸11には、ピン15により回転部材としてのスプロケット51が一体的に固定されていて、このスプロケット51に巻掛け部材としてのチェーン52を介してトランスミッション側のスプロケット50が接続され、これにより前記第一のロータリ軸11にトランスミッションからの動力が伝達される。また、前記スプロケット51の両脇には、ベベルギヤからなる第一のサイドギヤ53,53が嵌合されている。
【0034】なお、このスプロケット51の回転方向は、前記変速レバー31の操作によりトランスミッション内の歯車の伝達経路を切り換えることで、前述のように正逆方向に切換え自在とすることができる。
【0035】また、本発明は、前記第二のロータリ軸12が前記第一のロータリ軸11に回転自在に支持されたスリーブ軸からなると共に、該スリーブ軸と一体的に回転可能に連結された第二のサイドギヤ55と、前記第一のサイドギヤ53,53と第二のサイドギヤ55に噛合し、かつセンターケース10下部に支持されているセンターギヤ60とを備えている。
【0036】前述と同様に、図3および図5において、前記第二のロータリ軸12は、本実施の形態では、ベアリング54とオイルシール61を介して前記第一のロータリ軸11に回転自在に支持されたスリーブ軸12から成っていて、このスリーブ軸12には第二のサイドギヤ55,55がスプライン結合されている。この第二のサイドギヤ55は、ニードルベアリング56により第一のロータリ軸11に回転自在に支持されていて、その一端の外周部にスプライン歯が形成され、他端にベベルギヤが形成されている。
【0037】なお、この第二のサイドギヤ55の外周部は、ベアリング58とオイルシール57を介してセンターケース10下部の外筒10bに回転自在に支持されている。
【0038】また、前記第一のロータリ軸11における第一のサイドギヤ53と第二のサイドギヤ55との中間部には、第一のロータリ軸11に回転自在に取付軸59が、センターケース10の下部ケース10aに固定されている。そして、この取付軸59には、第一のロータリ軸11を中心としてその対称位置に、2個のベベルギヤから成るセンターギヤ60,60が取り付けられている。更に、このセンターギヤ60が、前記第一のサイドギヤ53と第二のサイドギヤ55に噛合している。
【0039】このため、トランスミッションからの動力がチェーン52を介してスプロケット51に伝達され、第一のロータリ軸11がその軸心を中心として一方向に回転すると、スプロケット51に嵌合された第一のサイドギヤ53とこれに噛合するセンターギヤ60を介して第二のサイドギヤ55が他方向に回転するため、この第二のサイドギヤ55と一体的に回転可能に連結された第二のロータリ軸12が他方向に回転する。すなわち、第一のロータリ軸11と第二のロータリ軸12とは、常に逆方向に回転する仕組みになっている。
【0040】以上において、逆転機構を形成している前記第一のサイドギヤ53とセンターギヤ60、および第二のサイドギヤ55相互間の噛み合いは、夫々ベベルギヤを介して行っているため、各ギヤの第一のロータリ軸11の軸心からの回転半径を小さく設定することができる。よって、前記第一のサイドギヤ53とセンターギヤ60を収容しているセンターケース下部10aは、小さな容積で足りかつ幅狭の細長形状に形成することができる。なお、前記センターケース10は、内部にチェーン52を収容するのみなのでより幅狭の細長形状に形成することができる。
【0041】また、前記第一のロータリ軸11は、内側中央の内側ロータリ軸11’と、該内側ロータリ軸11’の左右外側に一体的に連結された外側ロータリ軸11”から成る。この外側ロータリ軸11”はパイプ状をなしていて、内側ロータリ軸11’に嵌入され、更にピン21が挿入されて連結されている。
【0042】図6および図7に示すように、前記外側ロータリ軸11”の外周部には、爪取付板22が固定され、この爪取付板22に前記第一の回転爪13が取り付けられている。また、前記スリーブ軸12の外周部には、爪取付板16,17が固定され、この爪取付板16には、内側の第二の回転爪14が取り付けられ、また、前記爪取付板17には、前記回転爪14よりも若干外側にずらして外側の第二の回転爪14’が、第一のロータリ軸11に対し略々対称位置に取付けられている。
【0043】これら第一および第二の回転爪13,14,14’は、略々同一形状をなすと共に、図3に示すように、第一のロータリ軸11およびスリーブ軸12に取付けられた状態では、回転軸に対し同一円周上を回転できるようにしている。
【0044】そして、前記外側の第二の回転爪14’が取付けられている爪取付板17には、該第二の回転爪14’の内側に泥落し爪18が取付けられている。この泥落し爪18は、図6に示すように、前記内側と外側の回転爪14,14’の取付角度が180度よりも大きい側で、かつ両回転爪14,14’から略々等分の位置に取り付けられている。このため、両回転爪14,14’と泥落し爪18の3枚の爪が3分割状となって、全体としての回転バランスが保たれている。
【0045】前記泥落し爪18は、図6および図7に示すように、両回転爪14,14’の回転円周よりも小さな円周上を移動するような大きさにされている。すなわち、泥落し爪18は、耕耘することなく専らセンターケース10に付着した泥土を落とす役目をなしている。
【0046】前記第一および第二の回転爪13,14,14’は、回転方向前後に刃を有する平面視ハート形の板状体をなすと共に、先端側を一側面に湾曲させている。
【0047】すなわち、図8〜図11に示すように、中心線Xに対して左右対称に半ハート形の端縁を形成した板状体で形成されていて、その先端側が一側面に滑らかに湾曲され、かつ中心線Xの両側には刃部23,23が形成されている。
【0048】また、これら第一および第二の回転爪13,14,14’の取付け側の基端部には、前記第一または第二のロータリ軸11,12への取付け孔24,24が設けられている。更に、前記基端部から先端側に向けて前記中心線Xに沿って折り曲げることにより、断面山形の補強用リブ25が形成されている。なお、前記取付け孔24,24の周辺には、補強用リブ25と段差状となる平面部が形成されていて(図11参照)、この平面部が爪取付板16,17,22との接合面となっている。
【0049】本実施例は、以上のような構成よりなるので、エンジン3の回転はケース30内のベルトを介してトランスミッションケース2内の入力軸に伝達される。そして、オペレータが変速レバー31をガイド板33のガイド溝35に沿って横(左右)方向に移動すると、該変速レバー31の左右動は図示しないシフトフォークに伝えられ、該シフトフォークを変速シフト軸41に沿って摺動し、ガイド板33の表示に対応した適宜位置にて位置決めされる。例えば、変速レバー31を中立位置Nから前進2速位置F2 に移動すると、フォークは走行変速用シフタ歯車46を歯車47に係合して耕耘機1を非作業走行に適応すべく高速走行し、また後進位置Rに移動すると、シフタ歯車46は歯車70に係合して後進する。なおこの際、変速レバー31の左右動によっては、ロータリは影響を受けず、ロータリ停止位置NR に保たれている。
【0050】そして、変速レバー31をガイド板33における作業中立位置N′に位置した状態で、該レバー31をガイド溝35に沿って縦(上下)方向に操作すると、図示しないシフトフォークをシフト軸26に沿って摺動し、かつガイド板33の表示に対応した適宜位置にて位置決めされる。例えば、変速レバー31を中立位置NR から正転位置Sに移動すると、シフトフォークはシフタ歯車63を歯車71に係合して前進方向と同方向の回転をロータリ耕耘装置6に伝達する。また、変速レバー31を逆転位置Cに移動すると、シフタ歯車63が歯車73に係合して前進方向と逆方向の回転をロータリ耕耘装置6に伝達する。
【0051】そして、変速レバー31を上又は下に移動した状態で、該レバー31をガイド溝35に沿って前進1速位置F1 になるように横方向に移動する。
【0052】すると、前述と同様に、シフトフォークを介してシフタ歯車46を歯車65に係合するようにシフトし、作業に適した低速回転を車輪5に伝達する。これにより、ロータリ耕耘装置6が正転又は逆転にて回転した状態で耕耘機1が前進し、耕耘作業が行われる。
【0053】ところで、耕耘を行う圃場としては、硬い圃場や柔らかい圃場等、その圃場条件が種々異なっているが、オペレータが変速レバー31を操作することで、第一の回転爪13の回転方向を正逆切換えれば、これに応じて第二の回転爪14,14’が逆転、正転するので、オペレータの選択により一定の耕耘性能を確保することが可能となる。また、この場合、前記第1と第2の回転爪13,14,14’は、回転方向前後に刃23,23を有する平面視ハート形をしているので、回転爪13,14,14’の回転方向を正逆切換えたとしても耕耘性能に変化が生じることはない。なお、耕耘作業中において、トランスミッションケース10の下部10aには、一般に泥土が付着するが、この付着した泥土は泥落し爪18により確実に掻き落とされる。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、センターケースの下部に、第一のロータリ軸とこれと逆方向に回転する第二のロータリ軸を同軸上に突設し、これら両ロータリ軸に夫々第1と第2の回転爪を取付けたロータリ耕耘装置において、前記第一のロータリ軸にスプロケットを固定し、このスプロケットの両脇に第一のサイドギヤを固定し、更に第二のロータリ軸と一体的に回転可能な第二のサイドギヤを連結し、これら第一と第二のサイドギヤに噛合するセンターギヤを備えたことにより、第二のロータリ軸の逆転機構をコンパクトに構成することができるため、該逆転機構を収容するセンターケース下部を幅狭のコンパクトに形成することができる。
【0055】このため、センターケースをトランスミッションケースとの連設側基部から下部に至るまで幅狭の細長形状に形成することができ、センターケースに付着する泥土量を少なくすることができる。また、センターケースを幅狭のコンパクトに構成できるため、ロータリ軸のセンター寄りに回転爪を取付けることができ、掘削ムラの解消を図ることができる。
【0056】また、請求項2記載の発明によれば、切換レバーの操作により第一のロータリ軸の回転方向を正逆切換え自在とし、これに応じて第二のロータリ軸が逆転、正転可能に構成したことにより、硬い圃場や柔らかい圃場等の種々の圃場条件に対し、一定の耕耘性能を確保することができると共に、オペレータによる耕耘作業の選択範囲を広げることができる。
【0057】更に、請求項4記載の発明によれば、ロータリ軸に取付けられた第1と第2の回転爪は、回転方向前後に刃を有する平面視ハート形の板状体をなしているため、ロータリ軸の回転方向を正逆に切換えた場合であっても、同一の耕耘性能を発揮することができる。
【0058】更にまた、請求項5記載の発明によれば、第2の回転爪の内側でセンターケースと対向する位置に泥落し爪を取付けたことにより、センターケースに付着した泥土を確実に落とすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された耕耘機の側面図である。
【図2】ガイド板のガイド溝を示す正面図である。
【図3】トランスミッションとこれに連設されたロータリ作業機の展開状態の断面図である。
【図4】トランスミッション内の歯車の噛み合い状態を示す側面図である。
【図5】図3の要部拡大断面図である。
【図6】図3のVI方向矢視図である。
【図7】図3の部分断正面図である。
【図8】回転爪の正面図である。
【図9】図8の側面図である。
【図10】図8のX−X線断面図である。
【図11】図8のXI−XI線断面図である。
【図12】図3の要部拡大断面図である。
【図13】従来のロータリ作業機の正面図である。
【図14】図3の要部の拡大断正面図である。
【符号の説明】
1 耕耘機
2 トランスミッションケース
3 エンジン
5 走行車輪
6 ロータリ作業機
10 センターケース
10a 下部ケース
10b 外筒
11,11’,11” 第一のロータリ軸
12 第二のロータリ軸
13 第一の回転爪
14,14’ 第二の回転爪
16,17,22 爪取付板
18 泥落し爪
23 刃部
26 ロータリ用シフト軸
29 入力軸
31 変速レバー
34 第二軸
35 ガイド溝
36 第三軸
41 変速シフト軸
50,51 スプロケット
52 チェーン
53 第一のサイドギヤ
55 第二のサイドギヤ
60 センターギヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 トランスミッションケースに連設されたセンターケースの下部に、第一のロータリ軸および該第一のロータリ軸と逆方向に回転する第二のロータリ軸を同軸上に突設し、これら両ロータリ軸に夫々第一の回転爪と第二の回転爪を取付けたロータリ耕耘装置において、前記第一のロータリ軸に固定された回転部材と、前記回転部材にトランスミッションからの動力を伝達する巻掛け部材と、前記回転部材の両脇に配置された第一のサイドギヤと、前記第二のロータリ軸が前記第一のロータリ軸に回転自在に支持されたスリーブ軸からなると共に、該スリーブ軸と一体的に回転可能に連結された第二のサイドギヤと、前記第一と第二のサイドギヤに噛合し、かつセンターケース下部に支持されているセンターギヤと、を備えている、ことを特徴とするロータリ耕耘装置。
【請求項2】 切換レバーの操作によりトランスミッション内の歯車の伝達経路を切り換えることにより、前記回転部材の回転方向を正逆切換え自在とした、ことを特徴とする請求項1記載のロータリ耕耘装置。
【請求項3】 前記センターケースは、内部に前記巻掛け部材を収容して幅狭の細長形状に形成されている、ことを特徴とする請求項1記載のロータリ耕耘装置。
【請求項4】 前記第一の回転爪と第二の回転爪は、回転方向前後に刃を有する平面視ハート形の板状体をなすと共に、先端側を一側面に湾曲させ、基端部には前記第一または第二のロータリ軸への取付け孔を設けた、ことを特徴とする請求項1記載のロータリ耕耘装置。
【請求項5】 前記第二の回転爪の内側で、かつ前記センターケース下部と対向する位置に泥落し爪を取付けた、ことを特徴とする請求項1記載のロータリ耕耘装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図5】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開平9−233902
【公開日】平成9年(1997)9月9日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−43900
【出願日】平成8年(1996)2月29日
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)