説明

ローダー用レール装置

【課題】 床面の平坦化作業を簡易にする。
【解決手段】 床4に設置され、上側が開口部1b側となっている溝形のガイドレール1と、ガイドレールの溝部1a内に保持されているローダーレール2と、ローダーレールを操作するための昇降操作装置3とを備え、ローダーレールは、ローダー走行専用レール6、ローダー走行専用レールを上下に移動可能に保持しているレール昇降装置7を設け、昇降操作装置はレール昇降装置7に接続され、ローダー走行専用レール6の上下の移動を制御可能であり、ローダー走行専用レールは、昇降操作装置3を通じて床面4aと同じ高さまで上方に移動可能であって、開口部1bを開口端の位置で被覆可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、貨物車両の荷室、倉庫などの床内に設置して使用するローダー用レール装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
貨物車輌等に積載される貨物(主にパレット輸送品)を、貨物室床面上において移送する手段として、積載物を貨物室床面より離床、または着床する昇降機構を備えたローダー(又は床上貨物運搬装置)を、床面に埋設したローダーレールの溝内を走行可能にする技術が提案されている(特開2001−106488号公報、特開2002−347505号公報及び特開2005−132594号公報など)。
これらの技術において、床面にはローダーレールの溝の開口部が開けられ、不使用時には上記開口部は床面上では開口のままであるために、この開口部からごみなどが入ったり、作業者の歩行や台車の走行の障害になる不都合があった。
このような不都合を解消するために、本出願人は特開2007−290824号公報に開示されているローダー用レール装置を提案した。
当該ローダー用レール装置は、溝形に形成されているガイドレール及びローダーレールを備えているものである。
上記ガイドレールは、上側を開口状態にして床内に取り付けられている。
また、上記ローダーレールは、その内部が上下方向に昇降できるローダーの収納空間であり、内面に補強レール部を設けてあって、この補強レール部のローダーレール部上をその長さ方向に沿って上記ローダーが走行可能である。
上記ローダーレールは、上記ガイドレール内に収納可能であり、ローダーレール部をガイドレールの底部上に重ね合わせて収納されているときにはローダーのレールとして使用される。
上記ローダーレールは、上記ガイドレールの開口部から外側に離脱可能であり、さらにローダーレールを反転して底部を上側に位置することによって、この底部がガイドレールの開口部端の位置でこの開口部を被覆することができることから、カバーとなる。この状態では、上記ローダーレール内の空間が上記ローダーの格納空間となる。
【特許文献1】特開2001−106488号公報
【特許文献2】特開2002−347505号公報
【特許文献3】特開2005−132594号公報
【特許文献4】特開2007−290824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したローダー用レール装置は、ローダーレールの使用目的に応じて、すなわち、荷物の搬入時には専用レールとして、またローダーレールをガイドレールから取り出して反転させることによって、専用レールからカバーに切り換えることができ、切換えに特別な機構や装置を使用する必要がなく、床面の平坦化による作業者の歩行や台車の走行の障害になる不都合がない利点がある。
ローダー用レール装置をより使い易くするためには、床面の平坦化作業に関して、さらなる改善の必要がある。
この発明の目的は、床面の平坦化作業を簡易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明の第1の特徴は、上側が開口部側となっている溝形のガイドレールと、上記ガイドレールの溝部内に保持されているローダーレールと、上記ローダーレールを操作するための昇降操作装置とを備えていることにある。上記ガイドレールが床に設置されており、上記ローダーレールがその長さ方向にローダーの走行が自在であるローダー走行専用レールを設けていると共に、上記ローダー走行専用レールを上下に移動可能に保持しているレール昇降装置を設けている。上記昇降操作装置は上記レール昇降装置に接続されていると共に、上記ローダー走行専用レールの上下の移動を制御可能であり、上記ローダー走行専用レールは、上記昇降操作装置を通じて床面と同じ高さまで上方に移動可能であってかつ、上記開口部の開口端の位置でこの開口部を被覆可能である。
この発明の第2の特徴は、上記第1の特徴を備え、ガイドレールが溝部の上部に両側面に保護部材を全長に亘ってかつ上記溝部の側面から内側に張り出されていることにある。
この発明の第3の特徴は、上記第1又は第2の特徴を備え、ローダー走行専用レールのローダー走行面が全長に亘って、補強レールで構成されていることにある。
この発明の第4の特徴は、上記第1乃至第3のいずれかの特徴を備え、ローダー走行専用レールの両側部の外側面に、全長に亘って弾性部材からなる隙間防止材を取り付け、上記隙間防止材が上記側部の外側面とガイドレールの溝部の内側面との間の隙間を覆っていることにある。
この発明の第5の特徴は、上記第1乃至第4のいずれかの特徴を備え、レール昇降装置が下側クランクフレームと、スライドかつ昇降可能である上側クランクフレームと、上下両側のクランクフレーム間に間隔を置いて配置し、かつ上記クランクフレーム間を接続している複数の起伏可能である定位置停止クランクとを備え、上記上側クランクフレームがローダー走行専用レールをその下側で保持していることにある。
この発明の第6の特徴は、上記第1乃至第4のいずれかの特徴を備え、レール昇降装置が下側クランクフレームと、スライドかつ昇降可能である上側クランクフレームと、上下両側のクランクフレーム間に間隔を置いて配置してある複数の起伏可能である定位置停止クランクとを備え、上記上側クランクフレームがローダー走行専用レールをその下側で保持し、昇降操作装置が昇降操作クランク及びクランク連結部材を備え、上記昇降操作クランクが一側でクランクピンを回転中心として起伏可能にガイドフレームに取り付けられ、他側で回転可能に支持している上記クランク連結部材を介してローダーレールの一端部に接続されていることにある。
この発明の第7の特徴は、上記第1乃至第4のいずれかの特徴を備え、レール昇降装置が下側クランクフレームと、スライドかつ昇降可能である上側クランクフレームと、上下両側のクランクフレーム間に間隔を置いて配置してある複数の起伏可能である定位置停止クランクとを備え、上記上側クランクフレームがローダー走行専用レールをその下側で保持し、昇降操作装置が昇降操作クランク及びクランク連結部材を備え、上記昇降操作クランクが一側でクランクピンを回転中心として起伏可能にガイドフレームに取り付けられ、他側で回転可能に支持している上記クランク連結部材を介して上記ローダー走行専用レールの一端部に接続されていることにある。
この発明の第8の特徴は、上記第1乃至第4のいずれかの特徴を備え、レール昇降装置が下側クランクフレームと、スライドかつ昇降可能である上側クランクフレームと、上下両側のクランクフレーム間に間隔を置いて配置してある複数の起伏可能である定位置停止クランクとを備え、上記上側クランクフレームがローダー走行専用レールをその下側で保持し、昇降操作装置が昇降操作クランク、ローダーストッパー及びクランク連結部材を備え、上記昇降操作クランクが一側でクランクピンを回転中心として起伏可能にガイドフレームに取り付けられ、他側で回転可能に支持している上記クランク連結部材を介して上記ローダー走行専用レールの一端部に接続され、上記ローダーストッパーが上記昇降操作クランクにローダー走行専用レールのローダー走行面側に設け、ローダーがガイドレールの一端部から離脱することを阻止するストッパー部を設けてあることにある。
【発明の効果】
【0005】
この発明において、ローダー走行専用レールの昇降動作を通じて、ローダーの使用時にはガイドレールを開口状態にして専用レールとして使用でき、ローダーの不使用時には上記ガイドレールの開口部を閉鎖して床面の平坦化を行なうことができるから、床面の平坦化作業に手間がかからず、作業の迅速化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
この発明に係るローダー用レール装置について図面を参照して説明する。
図1〜図3において、ローダー用レール装置は、ガイドレール1と、ガイドレールの溝部1a内に保持されているローダーレール2と、昇降操作装置3とを備えている。
【0007】
ガイドレール1について図1〜図6を参照して説明する。
ガイドレール1はアルミ材によって溝形に形成され、溝部1aの上端部が開口部1bとなっている。ガイドレール1は開口部1bを上側にして床4内に設置されている。溝部1aの両側壁の上端には、鍔部1cを外側に向けてかつ水平に張り出している。ガイドレール1は、鍔部1cを介して床面4a上に止めねじによって固定されている。
ガイドレール1の開口部1b端の両縁部には、全長に亘ってアングル状の保護部材5を取り付けてある。各保護部材5は溝部1aの内側面から突出している張出し受け部1dに支持され、溝部の両内側面に内側に張り出し状態に配置されている。
ガイドレール1における溝部1aの底部の内面上には、図2及び図5に示すように、間隔を置いてリブ状の受け部1e1,1e2を突出してある。両受け部1e1,1e2間は収納溝1e3となっている。
【0008】
ローダーレール2について図1及び図2を参照して説明する。
ローダーレール2は、その長さ方向にローダーの走行が自在であるローダー走行専用レール6と、このローダー走行専用レールを上下に移動可能にするレール昇降装置7とを備えている。
【0009】
ローダー走行専用レール6は、図2及び図6に示すように、アルミ材によって開口部が下向である溝形に形成されている。ローダー走行専用レール6は、その両側部6aがそれぞれ全長に亘って設けてある立ち上がり部となっている。各側部6aには、その長さ方向に沿って保持溝6bを設けてある。両側の保持溝6bには、弾性部材からなる隙間防止材8の内端部が圧入状態に取り付けられ、外端部8aが側部6aより露出されている。
ローダー走行専用レール6は、後述するようにレール昇降装置7を通じて床面4aと同じ高さまで上方に移動可能であってかつ、ガイドレール1の開口部1bの開口端の位置でこの開口部を被覆可能である(図1)。
隙間防止材8は、常にその外端部8aがガイドレール1の溝部1aの内側面に弾力的に接触している。このため、隙間防止材8は、図6に示すようにローダー走行専用レール6の側部6aの外側面と、ガイドレール1の溝部1aの内側面との間の隙間を覆っている。
ローダー走行専用レール6は、その上側全面が全長に亘るローダー走行面であり、図1に示す例ではこのローダー走行面は補強材である補強レール9で構成されている。
補強レール9には溝形のステンレス材が用いられている。補強レール9は、図6に示すように、ローダー走行専用レール6上に重ねられており、補強レールの両側部がローダー走行専用レールの側部6aの内側に形成されている支持溝6cに差し入れられ、位置保持されている。上下に重ねられているローダー走行専用レール6と補強レール9とは、一端部を止めねじ10(図1)によって結合されている。
ローダー走行専用レール6は、その下側でレール昇降装置7によって保持されている。
【0010】
レール昇降装置7について図1〜図4及び図7〜図8を参照して説明する。
図7及び図8において、レール昇降装置7は、下側クランクフレーム11と、スライドかつ昇降可能である上側クランクフレーム12と、上下両側のクランクフレーム間に間隔を置いて配置してある複数の起伏可能である定位置停止クランク13とを備えているクランクユニットで構成されている。
クランクユニットは、積載のための床4の長さが例えば9,600mmであれば、複数の長さを有するユニットに分割されて、例えば長さ2,400mmのクランクユニットを4ユニットに配置し、それぞれを接続して使用する。
下側クランクフレーム11及び上側クランクフレーム12は、図1及び図2に示すように、いずれもステンレス材を用いて溝形に形成されており、開口部側が互いに上下方向に対向して配置されている。
下側クランクフレーム11は、ガイドレール1における溝部1aの底部に形成されている収納溝1e3内に収納され、止めねじ14によって上記底部に固定されている。
図7及び図8に示すように、定位置停止クランク13は、上下両側のクランクフレーム11,12間に所定ピッチ毎に設けられ、その上下端部で上下両側のクランクフレームの双方を連結している。各定位置停止クランク13は、図1及び図2に示すように、両側にクランク板13aを設けてある。各クランク板13aの下端部側にはストッパー面13b(図1及び図7)が形成されている。
各定位置停止クランク13における両クランク板13aの上下両端部は、ピン15,16を回転中心として上側クランクフレーム12の軸受け部12a及び下側クランクフレーム11の軸受け部11aに取り付けられている。各定位置停止クランク13はピン16を回転中心として下側クランクフレーム11に対して起伏可能である。各定位置停止クランク13は、回転時(起立時)にクランク板13aのストッパー面13bが下側クランクフレームの内面に接触して、図1に示す起立状態からさらに下側クランクフレームの一端部(図左側)に倒れることが抑制されるから、各定位置停止クランクの起立の定位置が確保される。
下側クランクフレーム11の軸受け部11aと上側クランクフレーム12の軸受け部12aとは、いずれも各クランクフレームの側壁上から突出されて、外観が半円状の突部となっている。
各定位置停止クランク13は、図7(i)に示すように水平に伏されている時、下側クランクフレーム11と上側クランクフレーム12とが折り畳められて、重ねられた状態にある。この状態では、下側クランクフレーム11の軸受け部11aが上側クランクフレーム12の側部に納まるように、この側部に係合凹部12bを設けてある。同様に、下側クランクフレーム11の側部にも上側クランクフレーム12の軸受け部12aが納まるように、係合凹部11bを設けてある。
上側クランクフレーム12は、図7(ii)に示すように起立されている時、上側クランクフレーム12が下側クランクフレーム11から離れて上方にかつ図左側にスライド移動した状態にある。
【0011】
ローダー走行専用レール6とレール昇降装置7との関係を説明する。
ローダー走行専用レール6には、図2に示すようにその長さ方向に向けてピン孔6dを適宜のピッチ間隔で配置してある。同様の補強レール9にも、各ピン孔6dと対向する位置にピン孔9aを開けてある。ピン孔6dとピン孔9aとは連続する一つの貫通孔を形成している。
レール昇降装置7の上側クランクフレーム12上には、その長さ方向に向けて走行レールセットピン17をピン孔6d,9aと同じピッチ間隔で配置してある。
ローダー走行専用レール6及び補強レール9は、これらを上側クランクフレーム12上に重ねることによって、走行レールセットピン17がピン孔6d,9aを貫通しているために、走行レールセットピンによってその位置が保持されている。
【0012】
昇降操作装置3について図1〜図5を参照して説明する。
昇降操作装置3は、ベース18、クランク固定ステー20、昇降操作クランク21、クランク連結部材23、クランク昇降操作棒25及びローダーストッパー26を備えている。
図1及び図2に示すように、ベース18はガイドレール1の内底部の収納溝1e3内に収納され、止めねじ19によって上記内底部に固定されている。ベース18の一端部(図4左端部)側にはクランク固定ステー20を位置保持するための保持溝18aを設けてある。ベース18の一端部にはクランク固定ステー20が取り付けられており、他端部(図4の右端部)はレール昇降装置7の下側クランクフレーム11の一端部に接している。
クランク固定ステー20は溝形に形成され、両側から立ち上がっている軸受け部20aの上部にはピン挿入孔20bを貫通してある。クランク固定ステー20はベース18と交差するように組み立てられている。すなわち、クランク固定ステー20の軸受け部20a間にベース18を嵌め込み、クランク固定ステー20の水平部がベースの保持溝18aの下側に係合され、また両軸受け部が保持溝18aの両側に係合されている。クランク固定ステー20の水平部及びベース18は、互いの各下面が同一平面を形成して、保持溝18aを通じて組み立てられている。
昇降操作クランク21は、図2左右両側にピン挿入孔21a,21bをその幅方向に向けて貫通し、また各ピン孔と交差するように両側端部から内側に向けて切り込んであるスリット21c,21dを有している。
昇降操作クランク21は、図3及び図5に示すように一側のスリット21c内にクランク固定ステー20の軸受け部20aが差し込まれている。昇降操作クランク21とクランク固定ステー20とは、一側のピン挿入孔21aを貫通するクランクピン22によって互いに連結されている。昇降操作クランク21は、クランクピン22を回転中心としてクランク固定ステー20の軸受け部20aに取り付けられている。
また昇降操作クランク21は、図1及び図3に示すように他側のスリット21dを介してクランク連結部材23が接続されている。
クランク連結部材23は、図1〜図4に示すように板体で形成されており、昇降操作クランク21側の一端両側に軸受け部23aを設けてある。両軸受け部23aにはピン挿入孔を貫通してある。クランク連結部材23は、ベース18上にローダー走行専用レール6の下側で止めねじ10によって固定されている。
昇降操作クランク21は、図3〜図5に示すように他側のスリット21d内にクランク連結部材23の軸受け部23aが差し込まれている。昇降操作クランク21とクランク連結部材23とは、他側のピン挿入孔21bを貫通するクランクピン24によって互いに連結されている。昇降操作クランク21は、クランクピン24を回転中心としてクランク連結部材23の軸受け部23aに接続されている。
昇降操作クランク21には、図1及び図2に示すようにクランク昇降操作棒25が着脱可能である操作用の孔21eを開けてある。
昇降操作クランク21の図1上面には、ローダーストッパー26を止めねじ27によって取り付けてある。ローダーストッパー26には、図2に示すようにその一側に傾斜したストッパー面26aを形成してある。ストッパー面26aは、後述するが、ローダー使用時にローダーが後退してガイドレール1の一端部から外側へ離脱することを防止するための手段であり、後退時にローダーがストッパー面に当たって走行を妨げる役割を有している。ローダーストッパー26には、昇降操作クランク21の操作用の孔21eと上下の対向位置に操作用の孔26bを開けてある。図1及び図2に示すようにクランク昇降操作棒25は、孔26b及び孔21eに対して挿入又は離脱可能である。
【0013】
ガイドレール1と、ローダーレール2(ローダー走行専用レール6及びレール昇降装置7)と、昇降操作装置3との関係について説明する。
図3及び図4に示すように、ローダーレール2のローダー走行専用レール6がガイドレール1内に降下した状態に位置している状態では、昇降操作装置3の昇降操作クランク21はクランクピン22を中心として図4時計方向に回転して伏されており、このため下側クランクフレーム11と上側クランクフレーム12とが重ねられた状態となっている。この状態でローダー走行専用レール6の補強レール9上をローダーが走行可能となる。
図3及び図4に示す位置にあるローダーストッパー26の操作用の孔26b内にクランク昇降操作棒25を差し入れ、直立しているクランク昇降操作棒を図4左側に水平になるまで倒して行くと、伏されている昇降操作クランク21はクランクピン22を中心として図4反時計方向に回転しながら起立されて行く。
昇降操作クランク21が回転して起立されて行く過程では、クランク連結部材23を介してローダー走行専用レール6を持ち上げながら図4左方に引っ張るので、引張の動作に伴って各定位置停止クランク13は、ピン16を回転中心として図反時計方向に回転して起立し、図1に示すように上側クランクフレーム12は上昇しながら昇降操作クランク21側に移動し、下側クランクフレーム11から離れる。
ローダー走行専用レール6は、昇降操作クランク21を通じて床面4aと同じ高さ(図6鎖線に示す位置)まで上方に移動し、ガイドレール1の開口部1bの開口端の位置でこの開口部を被覆(閉鎖)し、走行レールの機能の他にカバー機能の役割をする。
閉鎖状態において、図1に示すように補強レール9の上面は床面4aと同一平面を形成し、床面が平坦化されている。
【0014】
次に使用方法について説明する。
荷物の搬入時における使用方法を説明する。
この場合には、ローダーレール2を図5に示すようにローダーの専用レールとして利用する。すなわち、
予め、昇降操作装置3を用いて、図4及び図5に示すように、ローダーレール2におけるレール昇降装置7の下側クランクフレーム11と上側クランクフレーム12を突き合わせ、ローダー走行専用レール6上の補強レール9をガイドレール1の溝部1a内の位置に納めておく。この時、上側クランクフレーム12の上面は昇降操作クランク21の上面と同一平面を形成している。
まず、荷物搬入のためにローダーをガイドレール1内のローダー走行専用レール6上に載せる。
ついで、昇降操作クランク21の上面にローダーストッパー26を載せて止めねじ27で両者を結合する。結合状態では、昇降操作クランク21の操作用の孔21eとローダーストッパー26の操作用の孔26bとは貫通孔となる。
その後、ローダーをローダー走行専用レール6の補強レール9上面を走行させながら、荷物搬入を行う。
ローダーの走行時に、このローダーが後退してローダー走行専用レール6の一端部(図3左端部)を越えようとしても、ローダーのローラが図左肩上がりに傾斜しているローダーストッパー26のストッパー面26aに当たるから、ローダー走行専用レールの一端部を越えて離脱することを防止することができる。
荷物を床4から排出した後の使用方法を説明する。
この場合には、ローダーレール2を図1に示すように、ガイドレール1の溝部1aの開口部1bのカバーとして利用する。
ローダーレール2がローダー専用のレールとして作業を終えた段階では、クランク昇降操作棒25及びローダーストッパー26は、図4に示すように水平の状態にある。この状態では、昇降操作クランク21の操作用の孔21eとローダーストッパー26の操作用の孔26bとは上向きの貫通孔を形成している。
そこで、まず、ローダーストッパー26の操作用の孔26b内にクランク昇降操作棒25を差し入れる。すると、このクランク昇降操作棒の下端部は昇降操作クランク21の操作用の孔21eに達し、クランク昇降操作棒が昇降操作クランク上に直立する。
次に、図4において、直立しているクランク昇降操作棒25を左側に徐々に倒して行くと、昇降操作クランク21は一方のクランクピン22を中心として反時計方向に回転しながら起立して行き、この過程で他方のクランクピン24は一方のクランクピンの周りを反時計方向に旋回しながら、クランク連結部材23を引っ張って行く。
昇降操作クランク21が回転しながら起立される過程では、クランク連結部材23を通じてローダー走行専用レール6を持ち上げながら図4左方に引っ張るので、引張の動作に伴って各定位置停止クランク13は、ピン16を回転中心として図反時計方向に回転して起立され、図1に示すように上側クランクフレーム12は上昇しながら昇降操作クランク21側に移動し、下側クランクフレーム11から離れる。
上側クランクフレーム12の上昇に追随してローダー走行専用レール6は上昇を続け、やがてその上昇レベルが昇降操作クランク21を通じて補強レール9が床面4aと同じ高さ(図6鎖線に示す位置)に達した時点で、停止される。
この結果、ローダー走行専用レール6は、ガイドレール1の開口部1bの開口端の位置でこの開口部を被覆(閉鎖)し、走行レールの機能の他にカバー機能の役割をする。
閉鎖状態において、図1に示すように補強レール9の上面は床面4aと同一平面を形成し、床面は全面に渡って平坦となり、作業者の歩行などに支障は生じない。
このように、ローダーレール2の使用目的に応じて、昇降操作装置3を操作してレール昇降装置7を介してローダー走行専用レール6を昇降させて、専用レールからカバーへ又はその逆に切り換えることができる。
ローダーレール2をカバーからローダーの専用レールへ切り換えるには、図1に示すように、横向きのローダーストッパー26の操作用の孔26b内にクランク昇降操作棒25を差し入れ、クランク昇降操作棒を起立させると、昇降操作クランクがクランクピン22を中心として時計方向に回転するから、クランク連結部材23を通じてローダー走行専用レール6を図4右方に押し戻すので、この動作に伴って各定位置停止クランク13は、ピン16を回転中心として図時計方向に回転し、上側クランクフレーム12は降下しながら昇降操作クランク21とは反対側にスライドし、下側クランクフレーム11に接近し、定位置停止クランクが水平状態に伏し、下側クランクフレーム上に上側クランクフレームが重ねられる。この結果、図4及び図6に示すようにローダーレール2はガイドレール1の溝部1a内に納まり、ローダーの専用レールとして利用可能になる。
【0015】
図示するローダー用レール装置によれば、次のような効果が生じる。
ローダーの使用時には、ローダーレール2のローダー走行専用レール6を降下させることにより、ガイドレールを開口状態にして専用レールとして使用でき、ローダーの不使用時にはローダー走行専用レール6を上昇させることにより上記ガイドレールの開口部を閉鎖する。
このように、ローダー走行専用レール6の昇降動作を通じて、ローダーレール2を専用レールからカバーへ又はその逆に簡単に切り換えることができ、ローダー走行専用レールの上昇動作のみにより、床面の平坦化ができ、平坦化作業を簡易にすることができる。
ガイドレール1の溝部1aの両内側面にこれより内側に張り出した状態で全長に亘って保護部材5を取り付けているので、ローダーが溝部の側壁に接触してこれを損傷することを防止することができる。また接触する可能性のある箇所のみ保護部材5によって保護することにより、ガイドレール1を軽量部材であるアルミ材を用いることができ、本装置全体の軽量化を図ることができる。
ローダー走行専用レール6の走行面を着脱可能である補強レール9で補強しているので、その強度を必要に応じて変更することができる。
隙間防止材8は弾性変形可能である弾性部材によって構成されかつ、その外端部8aがガイドレール1の内側面に接触している。このため、ローダー走行専用レール6の昇降時、補強レール9上に散積した粉塵などがガイドレール1の内側面とローダー走行専用レールとの隙間からガイドレール内へ粉塵などが侵入するのを防止することができ、またローダー走行専用レールの上昇時に粉塵などを床面4a上に押し上げ、床面全体の清掃とを併せて除去することができ、さらに床4の膨張に伴う溝部1aの開口部1bが変形して、上記開口部からローダーレールが上方へ離脱不能になる不都合や前後方向への走行が不能になる不都合を防止することができる。
レール昇降装置7を上下両側のクランクフレーム11,12と、上下両側のクランクフレーム間を接続している複数の起伏可能である定位置停止クランク13とを組み合わせ、ローダー走行専用レール6を上記上側クランクフレームによって保持しているので、簡単な構成によって、床面4aの平面化を実現することができ、またローダー走行専用レール上のローダーの走行を可能にすることできる。
クランクピン22を回転中心として昇降操作装置3を回転操作するのみで、レール昇降装置7のローダー走行専用レール6を昇降させることができるので、床面4aの平面化作業が簡易となる。
昇降操作クランク21上にローダーストッパー26を取り付けることによって、ストッパー面26aがローダー走行専用レール6の端部の位置で補強レール9の上面に対して図4左斜めから方向から交差するので、補強レール9の上面を走行するローダーがローダー走行専用レールの端部を越えて離脱することを防止する役割を持つ。
【0016】
図1に示す例ではガイドレール1は鍔部1cを備えているが、必ずしも図示の例に限られない。
昇降操作装置3は、クランク連結部材23を介して図1に示す例ではローダー走行専用レール6の一端部に接続されているが、レール昇降装置7側すなわち、図示例では上側クランクフレーム12側に接続するようにしても良い。昇降操作装置3の各構成は図示の例に限られない。
ローダー走行専用レール6のローダー走行面の補強方法として、図示するように独立部材である補強レール9によって補強することを要しない。
レール昇降装置7の定位置停止クランク13の設置数は、耐久性や製造コストなどを考慮してローダー走行専用レール6を走行する貨物の重量に応じて適宜であるが、使用頻度として比較的重量のある貨物を搬送する場合には多く、軽量の場合には少なくする。レール昇降装置7の構成は上下両側のクランクフレーム11,12と定位置停止クランク13の組み合わせたものに限定されない。
ローダーストッパー26を昇降操作装置3に着脱可能に又は一体的に取り付けるのが良いが、必ずしも設けなくても良い。ローダーストッパー26におけるストッパー部26aは傾斜したストッパー面であることを要しない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明に係るローダー用レール装置をガイドレールのカバーとして利用している時の設置状態の主要部を示す一部切欠拡大斜視図である。
【図2】この発明に係るローダー用レール装置を分解して示す拡大斜視図である。
【図3】この発明に係るローダー用レール装置をローダーの専用レールとして利用している時の設置状態の主要部を示す平面図である。
【図4】図3IV−IV線断面図である。
【図5】図3V−V線断面図である。
【図6】図3VI−VI線断面図である。
【図7】この発明に係るローダー用レール装置におけるレール昇降装置の主要部を示す正面図であり、(i)はローダー走行専用レールをレールとして使用している時の状態を示し、(ii)はローダー走行専用レールをカバーとして使用している時の状態を示す図である。
【図8】この発明に係るローダー用レール装置におけるレール昇降装置の主要部を示す平面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 ガイドレール
1a ガイドレールの溝部
1b 開口部
1d 張出し受け部
2 ローダーレール
3 昇降操作装置
4 床
4a 床面
5 保護部材
6 ローダー走行専用レール
6a 側部
7 レール昇降装置
8 隙間防止材
8a 隙間防止材の外端部
9 補強レール
11 下側クランクフレーム
12 上側クランクフレーム
13 定位置停止クランク
13a クランク板
15,16 ピン
17 走行レールセットピン
18 ベース
20 クランク固定ステー
21 昇降操作クランク
22,24 クランクピン
23 クランク連結部材
25 クランク昇降操作棒
26 ローダーストッパー
26a ストッパー面(ストッパー部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側が開口部側となっている溝形のガイドレールと、上記ガイドレールの溝部内に保持されているローダーレールと、上記ローダーレールを操作するための昇降操作装置とを備えており、
上記ガイドレールは床に設置されており、
上記ローダーレールは、その長さ方向にローダーの走行が自在であるローダー走行専用レールを設けていると共に、上記ローダー走行専用レールを上下に移動可能に保持しているレール昇降装置を設けており、
上記昇降操作装置は、上記レール昇降装置に接続されており、上記ローダー走行専用レールの上下の移動を制御可能であり、
上記ローダー走行専用レールは、上記昇降操作装置を通じて床面と同じ高さまで上方に移動可能であってかつ、上記開口部の開口端の位置でこの開口部を被覆可能である
ことを特徴とするローダー用レール装置。
【請求項2】
ガイドレールは、溝部の上部に両側面に保護部材を全長に亘ってかつ上記溝部の側面から内側に張り出されていることを特徴とする請求項1記載のローダー用レール装置。
【請求項3】
ローダー走行専用レールは、ローダー走行面が全長に亘って、補強レールで構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のローダー用レール装置。
【請求項4】
ローダー走行専用レールの両側部の外側面に、全長に亘って弾性部材からなる隙間防止材を取り付けてあり、
上記隙間防止材は、上記側部の外側面とガイドレールの溝部の内側面との間の隙間を覆っていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のローダー用レール装置。
【請求項5】
レール昇降装置は、下側クランクフレームと、スライドかつ昇降可能である上側クランクフレームと、上下両側のクランクフレーム間に間隔を置いて配置してあり、かつ上記クランクフレーム間を接続している複数の起伏可能である定位置停止クランクとを備えており、
上記上側クランクフレームは、ローダー走行専用レールをその下側で保持している
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のローダー用レール装置。
【請求項6】
レール昇降装置は、下側クランクフレームと、スライドかつ昇降可能である上側クランクフレームと、上下両側のクランクフレーム間に間隔を置いて配置してある複数の起伏可能である定位置停止クランクとを備えており、上記上側クランクフレームがローダー走行専用レールをその下側で保持しており、
昇降操作装置は、昇降操作クランク及びクランク連結部材を備えており、
上記昇降操作クランクは、一側でクランクピンを回転中心として起伏可能にガイドフレームに取り付けられ、他側で回転可能に支持している上記クランク連結部材を介してローダーレールの一端部に接続されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のローダー用レール装置。
【請求項7】
レール昇降装置は、下側クランクフレームと、スライドかつ昇降可能である上側クランクフレームと、上下両側のクランクフレーム間に間隔を置いて配置してある複数の起伏可能である定位置停止クランクとを備えており、上記上側クランクフレームがローダー走行専用レールをその下側で保持しており、
昇降操作装置は、昇降操作クランク及びクランク連結部材を備えており、
上記昇降操作クランクは、一側でクランクピンを回転中心として起伏可能にガイドフレームに取り付けられ、他側で回転可能に支持している上記クランク連結部材を介して上記ローダー走行専用レールの一端部に接続されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のローダー用レール装置。
【請求項8】
レール昇降装置は、下側クランクフレームと、スライドかつ昇降可能である上側クランクフレームと、上下両側のクランクフレーム間に間隔を置いて配置してある複数の起伏可能である定位置停止クランクとを備えており、上記上側クランクフレームがローダー走行専用レールをその下側で保持しており、
昇降操作装置は、昇降操作クランク、ローダーストッパー及びクランク連結部材を備えており、
上記昇降操作クランクは、一側でクランクピンを回転中心として起伏可能にガイドフレームに取り付けられ、他側で回転可能に支持している上記クランク連結部材を介して上記ローダー走行専用レールの一端部に接続され、
上記ローダーストッパーは、上記昇降操作クランクにローダー走行専用レールのローダー走行面側に設けてあり、ローダーがガイドレールの一端部から離脱することを阻止するストッパー部を設けてある
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のローダー用レール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−1119(P2010−1119A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160684(P2008−160684)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)