説明

ロープウェイシステムのゴンドラ用壁部品又は椅子用のフードカバーを製造する方法

【課題】ロープウェイシステムのゴンドラの壁部品又は椅子用フードカバーの製造関連の欠点を直ちに検出することにより、これら壁部品又はフードカバーをすぐに分離することができる、壁部品又はフードカバーを製造する方法を提供する。
【解決手段】本方法は、プラスチック材料、特にポリカーボネートで作られたパネルから出発する。壁部品又はフードカバーを形成するために、パネルは加熱可能な型に導入されてその中でプレスされる。パネルのプラスチック材料は一つ以上の染料を含有する。壁部品又はフードカバーの異なる色階調はこの壁部品又はフードカバーの異なる壁厚及び不十分な壁厚を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロープウェイシステムのゴンドラ用壁部品又はロープウェイシステムの椅子用のフードカバーを製造する方法に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、合衆国法律集第35章第119条に基づいて、2007年12月3日に出願されたオーストリア特許出願第A1963/2007号の優先権を主張する。この先行出願の全体は参照によりここに組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
壁部品又はフードカバーを製造するためには、プラスチック材料、特にポリカーボネートで作られたパネルが加熱可能な型に導入され、その中でプレスされる。従来のゴンドラ(cablecar)は、透明なプラスチック材料で作られた壁部品を用いて主に形成される。同様に、ロープウェイシステムの椅子用のフードカバーも透明なプラスチック材料から製造される。非常に多くの透明壁部品でゴンドラを形成すること、または透明な椅子フードカバーを形成することの利点は、それにより使用者が景色を制限なく大いに眺めることができるという、ゴンドラ又は椅子の使用者に対する特定レベルの便宜性にある。
【0004】
ゴンドラに必要な透明壁部品又は椅子フードカバーは、プラスチック材料、例えばポリカーボネートから構成され、加熱された型内でプレスされるプラスチック材料のパネルにより製造され、所望の3次元形状を達成する。
【0005】
ゴンドラ用壁部品及び椅子用フードカバーは、必要な強度を保証するために約3mm〜5mmのほぼ一定の壁厚を有する必要がある。これらの壁部品及びフードカバーの製造には、プラスチック材料の変形中の3次元形状の違いにより生じる抵抗のために、壁厚が不十分な領域が形成されるかもしれないという問題がある。これは特に隅部の領域に当てはまる。もしこれらの欠点が検出されなければ、製品はさらに加工される。すなわち、これらがゴンドラ又は椅子に使用される場合に強度が不十分であると、短い運転期間の間に損傷特に破砕に至る。こうなると、関連する壁部品又はフードカバーを新しい壁部品又は新しいフードカバーにより置き換えなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来知られた装置及び方法の上記の欠点を克服することである。従って本発明の目的は、壁部品又はフードカバーの製造関連の欠点を直ちに検出できるようにし、その結果、これらの壁部品又はフードカバーがすぐに分離することができる、ロープウェイシステムのゴンドラの壁部品又は椅子用フードカバーを製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の目的及び他の目的に照らし、本発明によってロープウェイシステムのゴンドラ用壁部品又はロープウェイシステムの椅子用フードカバーを製造する方法が提供される。この方法は以下のステップを含む。すなわち、
プラスチック材料、好ましくはポリカーボネートで作られると共に少なくとも一つの染料を含有するパネルを設けるステップと、
前記プラスチック材料のパネルを加熱可能な型に導入し、前記パネルを前記型内でプレスして壁部品又はフードカバーを製造するステップと、
前記壁部品又はフードカバーを色の階調(グラデーション)に関して検査するステップであって、前記壁部品又はフードカバーの色の階調の違いが、壁厚が異なること又は不十分であることを示すステップと、を含む。
【0008】
本発明のさらなる特徴によれば、壁部品又はフードカバーのグラデーションが壁厚が不十分であることを示した場合には、壁部品又はフードカバーは分離されて、不良品として分類される。
【0009】
本発明のさらなる特徴によれば、ブラスチック材料により作られたパネルは3mm〜5mmの厚さを有する。
【0010】
上記及び他の特徴に照らし、保持フレームと、前記保持フレーム上に支持された座席面と、上に概説された方法により製造されると共に前記保持フレームに開位置と閉位置の間で枢動可能に取り付けられるフードカバーと、を備えるロープウェイシステム用椅子も提供される。同様に、上に概説された方法により製造された壁部品を備えるロープウェイシステム用ゴンドラが提供される。
【0011】
言い換えれば、パネルのプラスチック材料が少なくとも一つの染料を含有し、壁部品又はフードカバーの色の階調(グラデーション)が異なることによってこの壁部品又はフードカバーの壁厚の違い又は壁厚の不十分さが示される点において、本発明の目的が達成される。
【0012】
本発明の特徴と考えられる他の特徴は、添付された特許請求の範囲に記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、ここではロープウェイシステムのゴンドラ用壁部品又は椅子用フードカバーを製造する方法において具現化されるように図解及び記述される。しかしながら、これは図示された詳細に限定することを意図するものではない。本発明の精神から逸脱することなく、また特許請求の範囲の均等物の範囲内で種々の変形と構造変更が成されてもよい。
【0014】
本発明の構造及び動作方法は、添付図面と関連して読んだ際に個々の実施例の以下の記述から、そのさらなる目的と利点と共に最もよく理解されるであろう。
【0015】
図面の図を詳細に参照すると、本発明の実施例として図解されたロープウェイシステムの椅子は、多くの乗客のための座席面2を有する保持フレーム1を備える。乗客を例えば悪天候から保護するために、バブルとも呼ばれるフードカバー3が保持フレーム1に取り付けられる。フード3は軸31の周りに枢動可能に取り付けられる。フードカバー3の開位置(図1に示される位置)において乗客は着席することができ、また椅子から降りることができる。乗客が、ロープウェイシステムで移動する際に風、降雪又は他の気象現象に対する防護を必要とする時には、フードカバー3が閉位置(図2に示される位置)まで枢動する。
【0016】
フードカバー3の全体又は大部分は、プラスチック材料、特にポリカーボネートで製造され、これには少なくとも一つの染料が添加される。染料を添加することによって、フードカバーが所望の強度に必要な約3mm〜5mmの壁厚を有するかどうかをフードカバーの製造後に検出することができる。なぜならば、壁厚が小さい領域の色合いは、壁厚がより厚い領域よりも明るいからである。
【0017】
あるフードカバーが不十分な壁厚を有する一つ以上の領域を有し、従って必要な強度を保証しないことが明らかにされた場合には、このフードカバーは分離される。これにより、最大限可能な範囲内で製造関連の損傷特に破損を除外し、そうでなければ必要となる交換操作を避けることができるため、結果として実質的にコストを節約することができる。
【0018】
染料を含有するプラスチック材料からフードカバーを製造することによって、フードカバーはより速く温まり、より速く除氷されることとなる。さらに、このようなフードカバーによって、ある程度の日陰と防眩が椅子の使用者に対してもたらされる。
【0019】
このようなフードカバーが、ロープウェイシステムの保持及び搬送ケーブル上に固く固定された椅子と、保持及び搬送ケーブルに結合可能な椅子の両方に使用できることは、容易に理解されるだろう。
【0020】
概説されたものと同じ利点は透明な壁部品で形成されたロープウェイシステムのゴンドラにも当てはまる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】開位置で図解されたフードカバー付きのロープウェイシステムのリフト椅子の斜視図である。
【図2】閉位置にあるフードカバー付きの図1による椅子の同様の斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
1 保持フレーム
2 座席面
3 フードカバー
31 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロープウェイシステムのゴンドラ用の壁部品又はロープウェイシステムの椅子用のフードカバーを製造する方法であって、
プラスチック材料で作られると共に少なくとも一つの染料を含有するパネルを設けるステップと、
前記プラスチック材料のパネルを加熱可能な型に導入し、前記パネルを前記型内でプレスして壁部品又はフードカバーを製造するステップと、
前記壁部品又はフードカバーを色の階調に関して検査するステップであって、前記壁部品又はフードカバーの色の階調の違いが、壁厚が異なること又は不十分であることを示すステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記壁部品又はフードカバーの色の階調が壁厚が不十分であることを示した場合に、前記壁部品又はフードカバーを分離して不良品として分類するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プラスチック材料がポリカーボネートである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プラスチック材料により作られるパネルが3mm〜5mmの厚さを有する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
保持フレームと、
前記保持フレーム上に支持された座席面と、
請求項1に記載の方法により製造され、前記保持フレームに開位置と閉位置の間で枢動可能に取り付けられるフードカバーと、を備えるロープウェイシステム用椅子。
【請求項6】
請求項1に記載の方法により製造された壁部品を備えるロープウェイシステム用ゴンドラ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−137566(P2009−137566A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230536(P2008−230536)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(500579431)インノヴァ・パテント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (31)