説明

ロープウェイシステム用輸送装置

【課題】壁部品又はフードカバーの製造関連の欠点を直ちに検出することにより、これら壁部品又はフードカバーをすぐに分離することができる、ロープウェイシステム用輸送装置を提供する。
【解決手段】特にロープウェイシステム用のフードカバー付き椅子又はゴンドラである輸送装置。システムは駅において少なくとも一つが被駆動偏向プーリ上でガイドされる支持及び搬送用ケーブルを有する。輸送装置は支持及び搬送ケーブルにしっかりと固定されても又は結合され駅で切り離し可能でもよく、支持及び搬送ケーブルの速度より十分低下した速度で、乗降領域を通ってガイドレールに沿って移動でき、その過程において乗客は輸送装置に乗り降り可能である。ゴンドラには透明壁部品が形成され、又は椅子には枢動可能に取り付けられた透明フードカバーが形成される。透明壁部品又は透明フードカバーは染料を含有するプラスチック材料、特にポリカーボネートから作られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は輸送装置に関する。本発明は特に、少なくとも一つが被駆動プーリである偏向プーリによって駅においてガイドされた支持及び搬送ケーブルを有するロープウェイシステム用の、フードカバーが形成された椅子又はゴンドラに関する。本輸送装置は、支持及び搬送ケーブルにしっかりと固定されるか、または支持及び搬送ケーブルに結合可能であり、駅において切り離し可能であって、支持及び搬送ケーブルの速度よりもかなり低い速度でガイドレールに沿って乗降領域を通って移動できる。この過程において乗客は輸送装置に乗り降り可能である。ゴンドラには透明な壁部品が形成され、または椅子には枢動可能に取り付けられた透明フードカバーが形成される。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、合衆国法律集第35章第119条に基づいて、2007年12月3日に出願されたオーストリア特許出願第A1964/2007号の優先権を主張する。この先行出願の全体は参照によりここに組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
従来のゴンドラ(cablecar)は、透明なプラスチック材料で作られた壁部品を用いて主に形成される。同様に、ロープウェイシステムの椅子用のフードカバーも透明なプラスチック材料から製造される。非常に多くの透明な壁部品でゴンドラを形成すること、または透明な椅子フードカバーを形成することの利点は、それにより使用者が景色を制限なく大いに眺めることができるという、ゴンドラ又は椅子の使用者に対する特定レベルの便宜性にある。
【0004】
プラスチック材料、例えばポリカーボネートから構成されるゴンドラ用透明壁部品又はフードカバーは、加熱された型内でプレスされるプラスチック材料のパネルにより製造され、所望の3次元形状を達成する。
【0005】
ゴンドラ用壁部品及び椅子用フードカバーは、必要な強度を保証するために約3mm〜5mmのほぼ一定の壁厚を有する必要がある。これらの壁部品及びフードカバーの製造には、プラスチック材料の変形中の3次元形状の違いにより生じる抵抗のために、壁厚が不十分な領域が形成されるかもしれないという問題がある。これは特に隅部の領域に当てはまる。もしこれらの欠点が検出されなければ、製品はさらに加工される。すなわち、これらがゴンドラ及び椅子に使用される場合に強度が不十分であると、短い運転期間の間に損傷特に破損に至る。こうなると、関連する壁部品又はフードカバーが新しい壁部品又は新しいフードカバーにより置き換えられなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来知られた装置及びこの一般的なタイプの方法の前記した欠点を克服することである。従って本発明の目的は、壁部品又はフードカバーの製造関連の欠点を直ちに検出できるようにし、その結果、これらの壁部品又はフードカバーをすぐに分離することができる、ロープウェイシステム用輸送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の目的及び他の目的に照らし、本発明によって、駅の間に延びると共に偏向プーリの周りでガイドされる支持及び搬送ケーブルを有するロープウェイシステム用輸送装置が提供される。前記プーリの少なくとも一つは被駆動プーリである。輸送装置は支持及び搬送ケーブルにしっかりと固定される。または輸送装置は支持及び搬送ケーブルに結合され、あるいは駅において切り離されるように構成されており、支持及び搬送ケーブルの速度を十分下回る速度で、乗降領域を通って延びるガイドレールに沿って移動する。駅において一人以上の乗客が輸送装置に乗り、あるいはそこから降りることができる。輸送装置は一つ以上の透明な壁部品が形成されており、または枢動可能に取り付けられた透明カバーフードを備えている。本発明による改良は、一つ以上の透明壁部品又は透明フードカバーを少なくとも一つの染料を含有するプラスチック材料から製造することにある。
【0008】
言い換えれば、壁部品又はフードカバーが少なくとも一つの染料を含有するプラスチック材料から製造されることによって、本発明の目的が達成される。
【0009】
プラスチック材料に含有される染料によって、壁厚が大きい領域はよりはっきりと着色され、一方、壁厚が小さい領域はあまり着色されない。これにより、関連する製品が必要な壁厚についての技術的要件を満たすかどうか、または関連する製品がそれ以上加工するに不適切であるために分離する必要があるかどうかを直ちに検出することが可能となる。
【0010】
少なくとも一つの染料を含有するプラスチック材料は、赤外放射粒子が染料粒子内に蓄積されるために、染色されないプラスチック材料の場合と比べて壁部品又はフードカバーがより顕著に加熱されるという効果をも達成する。これによって、ゴンドラの壁部品又は椅子のカバーフードがあまり氷結せず、表面がより速やかに乾燥する。さらに、染色の結果色づいた透明な壁部品又はフードカバーは、強い日光の下にある乗客に対して防眩保護をもたらす。
【0011】
本発明のさらなる特徴によれば、壁部品又はフードカバーは、少なくとも一つの染料を含有するプラスチック材料により作られたパネルから、加熱された型内で行われるプレス作業により製造される。
【0012】
本出願は、成形及び検査工程に関する情報等、本出願人の同時係属中の特許出願(オーストリア代理人整理番号WRA−36066]と重複する主題を含む。
【0013】
本発明の特徴と考えられる他の特徴は、添付された特許請求の範囲に記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、ここではロープウェイシステム用輸送装置において具現化されるように図解及び記述されるが、それにもかかわらず図示された詳細に限定することを意図するものではない。本発明の精神から逸脱することなく、また特許請求の範囲の均等物の範囲内で種々の変形と構造変更がなされてもよい。
【0015】
しかしながら、本発明の構造と動作方法は、添付図面と関連して読んだ際に個々の実施例の以下の記述から、そのさらなる目的と利点と共に最もよく理解されるであろう。
【0016】
図面の図を詳細に参照すると、本発明の実施例として図解されたロープウェイシステムの椅子は、多くの乗客のための座席面2を有する保持フレーム1を備える。乗客を例えば悪天候から保護するために、バブルとも呼ばれるフードカバー3が保持フレーム1に取り付けられる。フード3は軸31の周りに枢動可能に取り付けられる。フードカバー3の開位置(図1に示される位置)において乗客は着席することができ、また椅子から降りることができる。乗客がロープウェイシステムで移動する際に、風、降雪又は他の気象現象に対する防護を必要とする時には、フードカバー3が閉位置(図2に示される位置)まで枢動する。
【0017】
フードカバー3は全体又は大部分は、プラスチック材料、特にポリカーボネートで製造され、これには少なくとも一つの染料が添加される。染料を添加することによって、フードカバーが所望の強度に必要な約3mm〜5mmの壁厚を有するかどうかをフードカバーの製造後に検出することができる。なぜならば、壁厚が小さい領域の色合いは、壁厚がより大きい領域よりも明るいからである。
【0018】
あるフードカバーが不十分な壁厚を有する一つ以上の領域を有し、従って必要な強度を保証しないことが明らかにされた場合には、このフードカバーは分離される。これにより、最大限可能な範囲内で製造関連の損傷特に破損を除外し、そうでなければ必要となる交換操作を避けることができるため、結果として実質的にコストを節約することができる。
【0019】
染料を含有するプラスチック材料からフードカバーを製造することによって、フードカバーはより速く温まり、より速く除氷されることとなる。さらに、このようなフードカバーによって、ある程度の日陰と防眩が椅子の使用者に対してもたらされる。
【0020】
このようなフードカバーが、ロープウェイシステムの支持及び搬送ケーブル上に固く固定された椅子と、保持及び搬送ケーブルに結合可能な椅子の両方に使用できることは、容易に理解されるだろう。
【0021】
概説されたものと同じ利点は、透明な壁部品で形成されたロープウェイシステムのゴンドラにも当てはまる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】開位置で図解されたフードカバー付きのロープウェイシステムのリフト椅子の斜視図である。
【図2】閉位置にあるフードカバー付きの図1による椅子の同様の斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1 保持フレーム
2 座席面
3 フードカバー
31 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅の間に延びると共に偏向プーリの周りでガイドされる支持及び搬送ケーブルを有するロープウェイシステム用輸送装置において、
前記プーリの少なくとも一つが被駆動プーリであり、前記輸送装置は前記支持及び搬送ケーブルにしっかりと固定されるか、または支持及び搬送ケーブルに結合可能かつ前記駅において切り離し可能であって、前記支持及び搬送ケーブルの速度よりもかなり低い速度でガイドレールに沿って乗降領域を通って移動し、前記駅において一人以上の乗客が前記輸送装置に乗り降り可能であり、
前記輸送装置には一つ以上の透明な壁部品が形成されるか、または枢動可能に取り付けられた透明なカバーフードが設けられており、前記一つ以上の透明な壁部品又は前記透明なフードカバーが少なくとも一つの染料を含有するプラスチック材料から作られる輸送装置。
【請求項2】
前記プラスチック材料がポリカーボネートである請求項1に記載の輸送装置。
【請求項3】
フレームと、前記フレーム上に支持された座席面と、を有するリフトの椅子として構成されており、前記フードカバーが前記フレームに開位置と閉位置の間で枢動可能に支持された透明バブルである請求項1に記載の輸送装置。
【請求項4】
前記染料を含有するプラスチック材料により作られた複数の壁を有するキャビンを備えて形成されたゴンドラとして構成された請求項1に記載の輸送装置。
【請求項5】
前記壁部品又はフードカバーが、加熱された型内でのプレス作業によりプレスされた、前記少なくとも一つの染料を含有するプラスチック材料の熱成形パネルである請求項1に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−137567(P2009−137567A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232958(P2008−232958)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(500579431)インノヴァ・パテント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (31)