説明

ロープウェー設備

【課題】搬器の移動が機械式にまたは自動的になされてなるロープウェー設備を利用すること。
【解決手段】運搬手段(4,6)の脇に少なくとも部分的に平行に設けられており、かつ搬器(2)と係合されおよびこの搬器から係合解除されることができる少なくとも1つの牽引手段(7,7´)が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の駅と、牽引ロープと、これらの駅で牽引ロープに連結可能でありかつ牽引ロープから連結解除可能である搬器、例えばゴンドラまたはチェア・リフトと、複数の駅の区域に設けられた案内手段と、これらの案内手段に沿って搬器を駆動しかつ少なくとも部分的に一時的に動かなくされることが可能である運搬手段とを具備し、案内手段に沿って、牽引ロープから連結解除された搬器が牽引ロープの脇で運搬されてなるロープウェー設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1からは、ロープウェー設備が稼動されていないとき、搬器の留置きのために、駅舎に存在する空間を、より正確に言えば、案内手段を用いることが公知であり、搬器は、通常の稼動では、案内手段に沿って、任意の或る駅の転向プーリの回りを案内される。特許文献1では、搬器の留置きのために、運搬手段の駆動を、加速用車輪、減速用車輪、および/または両者の間に設けられた運搬用車輪が、搬器から係合解除されるように、かように適応させる種々の可能性が記載されている。しかしながら、この場合、問題は、この区域で駐車された搬器のためには、そのとき、ロープウェーの新たな運転開始の際に、搬器を、動かされる複数の車輪が更なる駆動を引き受けてなる区域へと、動かす駆動手段が存在しないことである。従って、このことは、操作員が手で行なわねばならない。
【特許文献1】EP 0 774 392 A
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の課題は、搬器の移動が機械式にまたは自動的になされてなるロープウェー設備を利用することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、前提部分に記載のロープウェー設備の場合に、本発明により、運搬手段の脇に少なくとも部分的に平行に設けられており、かつ搬器と係合されおよびこの搬器から係合解除されることができる少なくとも1つの牽引手段が設けられていることによって解決される。
【0005】
本発明では、特許文献1から公知であるように、複数の車輪の一部、すなわち、加速用車輪、減速用車輪、および/または両者の間に設けられた運搬用車輪が動かなくされる。何故ならば、これらの車輪、より正確に言えば、これらの車輪の駆動手段は、搬器を、搬器が駅に互いに窮屈に並んで駐車するように、駆動することができるためには、適切ではないからである。この作業を今や担うだろう操作員を、手によるこの作業から開放するために、本発明では、複数の車輪が動かないようにされてなる1つの区域または複数の区域に、この運搬を引き受ける追加の牽引手段が設けられている。
【0006】
この牽引手段は、実際の運搬手段の脇で平行に設けられており、好ましい実施の形態では、牽引手段が、2つの転向ローラの回りを走行する牽引要素、例えばベルトコンベヤ、チェーンホイスト等であることを特徴とする。この場合、更に、牽引要素が、この牽引要素から突出しておりかつ搬器と係合されることができる少なくとも1つの連行手段を有することは、好ましい。連行手段によって、各々の搬器を、運搬手段が動かなくされていてなる区域における所望の位置へ押しやることができる。
【0007】
牽引手段の長手方向の長さは、少なくとも有効な区域で、ほぼ、運搬手段が動かなくされてなる長さに、対応する。従って、牽引手段は、運搬手段が動かされていない全区域に到達可能である。従って、搬器は、この全区域で、容易に移動可能である。
【0008】
運搬手段は、特許文献1から公知であるように、自らの運搬位置から外れて移動可能である車輪を有する。このことは、運搬手段の車輪を動かさないようにする、実証された、構造的に容易に解決される可能性である。
【0009】
しかしまた、本発明では、その代わりに、運搬手段が、駆動手段から連結解除されることができる車輪または数グループの車輪を有することが提案されている。従って、車輪または数グループの車輪の駆動手段が、作動中であり、更に、まさしく動かされるべきであり、または動かされねばならない他の車輪または数グループの車輪ためにも利用されるだろう。
【0010】
その代わりにまたは追加的に、運搬手段は、複数のグループに纏められている車輪を有し、これらのグループの駆動手段は動かされないことが可能である。従って、この実施の形態は、前記の実施の形態と比較して、駆動手段を容易にオンおよびオフにすれば良く、複数の車輪または数グループの車輪の連結および連結解除のための追加の連結手段を省略することができる。
【0011】
本発明の他の特徴および利点は、添付した図面を参照した、本発明の好ましい実施の形態の、以下の記述から、明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1には、ガイドレール(案内手段)1が示されている。ガイドレールに沿って、牽引ロープから連結解除された複数のゴンドラ2が、ロープウェー設備の駅3を通って移動される。複数のゴンドラ2の駆動は、3グループの車輪(運搬手段)によって、具体的には、1グループの減速用車輪(以下、単に車輪とも言う)4と、1グループの運搬用車輪(以下、単に車輪とも言う)5と、1グループの加速用車輪(以下、単に車輪とも言う)6とによってなされる。複数のゴンドラ2は、牽引ロープから連結解除外された後に、減速用車輪4によって、乗客がこれらのゴンドラ2から気分よく降りてまたゴンドラへ乗り込むことができる速度へ、減速される。このことは、複数のゴンドラ2が、運搬用車輪5によって、常に緩慢な速度で運搬され続けてなる区域でなされる。続いて、複数のゴンドラ2が、加速用車輪6によって、牽引ロープの速度に対応する速度へ加速される。その後、複数のゴンドラが、再度、牽引ロープに連結される。
【0013】
駅3で、搬器、例えば前記ゴンドラを留め置きしまたはゴンドラを駐車させることができるためには、複数の加速用車輪6および減速用車輪4の一部分を動かなくすることが可能である。すなわち、これらの加速用車輪および減速用車輪は、加速力および減速力を複数のゴンドラ2に加えない。このことは、EP 0 774 392 Aに記載のように、例えば、以下のことによって、すなわち、複数の加速用車輪6および減速用車輪4が、自らの搬送位置から移動可能であり、それ故に、この区域にある複数のゴンゴラ2が、これらの加速用車輪および減速用車輪によって駆動されないことによって、なされることができる。この変形例は、図5に略示されている。
【0014】
図3に示されている他の実施の形態では、複数の減速用車輪4および加速用車輪6の一部分が、駆動手段から連結解除される。常に任意の1つの車輪が、幾らか低いか高い変速で、次の車輪を駆動するように、複数の減速用車輪4および加速用車輪6の駆動がなされるとき、当該のグループの減速用車輪4または加速用車輪6のすべての続く車輪が、もはや駆動されないためには、任意の或る車輪の、次の車輪への駆動を連結解除することで十分である。図3に示す例では、駆動の連結解除は、左側に位置している減速用車輪4から連結解除される減速用車輪(以下、単に車輪とも言う)4aである。それ故に、すべての減速用車輪4は、減速用車輪(以下、単に車輪とも言う)4bまで駆動されない。減速用車輪4bの後には、個別に駆動される複数の運搬用車輪5のグループが続く。複数の加速用車輪6の一部分の駆動手段の連結解除が、同様にしてなされる。
【0015】
複数の減速用車輪4および加速用車輪6が動かされていないこれらの区域では、今や、搬器すなわちゴンドラ2を駐車することができる。このことを機械的に行なうことができるように、これらの区域には、各々の区域の脇で少なくとも部分的に平行に設けられている追加の牽引手段7,7´が設けられている。これらの牽引手段7,7´は、図示した実施の形態では、2つの転向車輪8,9および8´,9´夫々の回りを巡るチェーン(牽引要素)10,10´夫々を有する。チェーンには、ピン状の連行手段の形態の牽引要素11,11´が取り付けられている。各々の牽引手段7,7´の2つの転向車輪8,9および8´,9´夫々のうちの1が駆動されている。それ故に、連行手段11,11´は、一方では、牽引手段7,7´の、図2に示した側へ、他方では、反対側にある他方の側へもたらされることができる。前者の側では、連行手段は、ガイドレール1から離隔した側にあって、ゴンドラ2と噛み合っていない。後者の側では、連行手段は、ガイドレール1に向いた側にあって、この側では、車輪4,6が動かないとき、複数のゴンドラ2の運搬を引き受ける。
【0016】
これらのゴンドラ2の留置き過程のサイクルは、図1に示した出発位置から始まる。この出発位置は、ロープウェーの通常の運転に対応し、運転の最中には、複数のゴンドラの移動は、駅3を通って時計回りになされる。例えば、ロープウェーがまず停止され、次に、2つの減速用車輪4aと4bの間で複数の減速用車輪4が動かなくされ、ロープウェーが反対の移動方向に駆動される。通常の運転の際には加速用車輪として用いられる複数の車輪6は、今や、減速用車輪として作用する。任意の或るゴンドラ2が、2つの減速用車輪4aと4bの間の留置き区間の区域にあるや否や、牽引手段7の駆動手段がオンにされる。それ故に、連行手段11は、図1に示した出発位置から始まって、転向車輪9の回りを時計回りに移動して、ゴンドラ2に接触する。連行手段は、ゴンドラを、このゴンドラが留置き区間の終りで車輪4aに位置するまで、連行する。このとき、ロープウェーは停止されるか、低速で運転される。続いて、牽引手段7の駆動が切り換えられ、連行手段11は再度出発位置に戻る。今や、次のゴンドラが、運搬用車輪5によって、留置き区間の始まりの車輪4bへ運ばれ、次に、連行手段11によって、巡回した末に駐車しているゴンドラの直後へ押しやられる。このことは、図6で最終的な留置き位置にあるまさしく第3のゴンドラ2が、留置き区間へ押されるようにして、減速用車輪4の区域で複数のゴンドラが全留置き区間に満たされるまで、しばしば、繰り返される。
【0017】
このことが終了した後に、加速用車輪6も動かされない。それ故に、加速用車輪6の区域でも、この留置き区間の右端で始まって、運搬用車輪5の脇で、連行手段11´によって、ゴンドラ2を次々に駐車させることによって、複数のゴンドラを駐車することができる。
【0018】
複数のゴンドラ2を新たに作動させるためには、連行手段11´は、右側から、一番右側のゴンドラに当てられて、今や、複数のゴンドラを左側へゆっくり押しやる。それ故に、複数のゴンドラ2は、順々に、動かされた加速用車輪6の区域へ入り、運び去られる。連行手段11´は、今や、図2に示した出発位置へ戻される。次に、すべての加速用車輪6が再度動かされる。留置き区間で、動かなくされた減速用車輪4の区域にある複数のゴンドラ2を、次々に再度駆動するのは、連行手段11を左側から一番左側のゴンドラ2に当ててから、すべての留め置きされたゴンドラを徐々に右側へ押しやって、これらのゴンドラを運搬用車輪5によって捉え、運び去ることによってである。
【0019】
すべてのゴンドラ2がこの留置き区間から運び去られた後に、連行手段11は、再度、図2に示した出発位置に戻り、すべての減速用車輪4は、ロープウェーの通常の作動のために、再度動かされる。
【0020】
図8では、搬器2の、牽引手段7のおよび運搬手段の、本発明の理解に必要な構成部分が詳細に示されている。搬器2のうちの、支持ロッド12が見て取れる。この支持ロッドは、連結手段13を介して、ロープウェー設備の支持および牽引用ロープに連結されることができる。連結手段13には、更に、走行車輪14,15が設けられており、これらの走行車輪は、固定式のレール1,16の上を走行する。更に、連結手段13には、駆動面17が設けられている。この駆動面には、運搬手段の複数の車輪、例えば、図8に示した減速用車輪4が係合する。複数の車輪4,5,6は、対のベルトプーリ18によって駆動される。複数の隣り合う車輪の回転数が、運搬用車輪5の場合のように、同じ大きさであることが意図されるときは、2つのベルトプーリは同一の直径を有する。複数の隣り合う車輪の回転数が、減速用車輪4および加速用車輪6の場合のように、異なっていることが意図されるときは、図8に見られるように、ベルトプーリの直径も異なっている。
【0021】
複数の車輪4,5,6は、固定式のフレーム19に取り付けられている。このフレームには、更に、本発明に係わる牽引手段7,7´も取り付けられている。牽引手段7のうち、図8には、ガイド20が示されており、ガイドにはチェーン10が案内されている。更に、連行手段11が示されており、この連行手段は、右側の位置で、実線で、まさしく支持ロッド12に係合する。これに対し、左側の位置にある連行手段11は、破線で出発位置に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明に係わる、通常の運転中のロープウェー設備の、その駅の実施の形態を側面図で示す。
【図2】図2は、図1の駅を平面図で示す。
【図3】図3は、複数のゴンドラの駐車中の図1および2の駅を側面図で示す。
【図4】図4は、図3の駅を平面図で示す。
【図5】図5は、運搬手段の複数の車輪を動かなくするための代替の実施の形態を平面図で示す。
【図6】図6は、図5の駅を平面図で示す。
【図7】図7は、最大数の駐車されたゴンドラを有する、図6に対応する図を示す。
【図8】図8は、ロープウェー設備の駅の詳細を断面図で示す。
【符号の説明】
【0023】
1 案内手段、レール
2 搬器、ゴンドラ
3 駅
4 運搬手段、車輪
5 運搬手段、車輪
6 運搬手段、車輪
7 牽引手段
7´ 牽引手段
16 案内手段、レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駅(3)と、牽引ロープと、これらの駅(3)で前記牽引ロープに連結可能でありかつこの牽引ロープから連結解除可能である搬器(2)、例えばゴンドラまたはチェア・リフトと、前記複数の駅(3)の区域に設けられた案内手段(1,16)と、これらの案内手段(1,16)に沿って前記搬器(2)を駆動しかつ少なくとも部分的に一時的に動かなくされることが可能である運搬手段(4,5,6)とを具備し、前記案内手段(1,16)に沿って、前記牽引ロープから連結解除された搬器(2)が前記牽引ロープの脇で運搬されてなるロープウェー設備において、
前記運搬手段(4,6)の脇に少なくとも部分的に平行に設けられており、かつ前記搬器(2)と係合されおよびこの搬器から係合解除されることができる少なくとも1つの牽引手段(7,7´)が設けられていることを特徴とするロープウェー設備。
【請求項2】
前記牽引手段(7,7´)は、2つの転向ローラ(8,9;8´,9´)の回りを走行する牽引要素(10)、例えばベルトコンベヤ、チェーンホイスト等であることを特徴とする請求項1に記載のロープウェー設備。
【請求項3】
前記牽引要素(10)は、この牽引要素(10)から突出しておりかつ前記搬器(2)と係合されることができる少なくとも1つの連行手段(11)を有することを特徴とする請求項2に記載のロープウェー設備。
【請求項4】
前記牽引手段(7,7´)の長手方向の長さは、ほぼ、前記運搬手段(4,6)が動かなくされることができる長さに、対応することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1に記載のロープウェー設備。
【請求項5】
前記運搬手段(4,6)は、自らの駆動位置から外れて移動可能である車輪を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1に記載のロープウェー設備。
【請求項6】
前記運搬手段(4,6)は、駆動手段から連結解除されることができる車輪または数グループの車輪を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1に記載のロープウェー設備。
【請求項7】
前記運搬手段(4,6)は、複数のグループに纏められている車輪を有し、これらのグループの駆動手段は動かされないことが可能であること請求項1ないし4のいずれか1に記載のロープウェー設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−132978(P2008−132978A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−305832(P2007−305832)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(505343882)インノワ・パテント・ゲーエムベーハー (7)