説明

ローラ装置

第1端及び第2端を有し且つその周面上に媒体の一部分を巻き取りうる可回転なローラ、そのローラを搬送経路沿いに搬送しうるキャリッジ、並びにそのローラを移動させうる第1及び第2ドライブを準備する。第1及び第2ドライブを差発生的に駆動することで、搬送経路方向に対するローラの向きを調整し、差発生的又は非差発生的に駆動することで、搬送経路沿いにキャリッジを移動させる。媒体を搬送しつつ向き調整済ローラを軸芯回転させることでその媒体をローラ周面に巻き取る。向き調整済ローラの周面を自分との重なりなく覆える大きさへとその媒体を断片化する。第1及び第2ドライブを非差発生的に駆動することで、その向き調整済ローラを経路の一部分に沿い搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体を搬送経路沿いに搬送しうるよう構成されたローラ乃至ローラ群の向き及び整列具合を調整する方法及び装置、特にドナー素材を含む媒体への像形成でドナー素材を面上にもたらしその後その媒体をその面から分離させる像形成システム向けの円筒ローラアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ等のカラーフラットパネルディスプレイでは、通常、色フィルタを使用し個々の画素を発色させている。その色フィルタは例えばレーザ誘起熱転写プロセスで製造することができる。図1に、従来技術に係る熱転写プロセスの概要を示す。図中の基板10は本件技術分野にて既知のレシーバ要素であり、その上に載っているシート状媒体12も本件技術分野にて既知のドナー要素である。この媒体12は、図示しないが、その転写によって色フィルタを形成することが可能なドナー素材、例えば染料、顔料等を含有している。
【0003】
媒体12を像状に露光させると、その上の相応部位から基板10の表面へとドナー素材が転写されていく。例えば、1個又は複数個の可制御型レーザ14から媒体12へと1本又は複数本のレーザビーム16を照射すると、その照射を受けた部分に像が発生し、そこから基板10側の対応部位へのドナー素材転写が誘起される。そのレーザ14としてダイオードレーザ、即ち割合に変調が容易、割合に低コスト且つ割合に小型なレーザを使用すれば、媒体12への像形成をレーザ14の制御で直に制御することができる。なお、図示しないマスクを使用し種々の素材を露光させる形態にすることもできる。
【0004】
用途によっては、像形成後に逐次分離させつつ複数種類の媒体12を順繰りに基板10に載せて像を形成する、といった形態が採られる。例えば色フィルタ製造時には、一種類目の媒体12を用いある色例えばレッドのドナー素材を基板10に付着させ、その媒体12を分離させた上で二種類目の媒体12を用い例えばグリーンのドナー素材を付着させ、その媒体12を分離させた上で三種類目の媒体12を用い例えばブルーのドナー素材を付着させ、そしてその媒体12を分離させるのが普通である。
【0005】
それら、媒体12等の可撓性媒体を種々の面に載せまたそこから分離させる処理には、通常、幾通りかの円筒状支持材例えばローラを備える媒体付加器が使用される。ローラを使用するのは種々の動作を実行するのに都合がよいためである。例えばその付加器にドナー要素を送る装荷動作、面上にそのドナー要素を引き渡す付加動作、像形成を初めとする処理の実行後にその面からドナー要素を分離させる分離動作等である。それらの動作の実行に当たってはその動作に相応しくローラを整列させる必要がある。例えば装荷動作では、ウェブ状の媒体がその実装先の媒体ロール等から媒体付加器内のローラへと運ばれるので(或いは更にその媒体が複数枚のシートに断片化されるので)、媒体ロールをローラに対し正しく整列させないとウェブ状媒体の張り具合(ウェブ張力)が実質的に均一でなくなり皺が発生する可能性がある。ウェブ張力は媒体搬送方向に沿って作用する力の強さで左右される量であり、ウェブ張力が過大だと滑り、ドナー要素被覆破損、更には媒体それ自体の変形が生じかねず、さりとてウェブ張力が不足だとウェブに皺が寄ることとなりかねない。装荷動作に関わるこの問題が更に込み入った問題になる場合もある。複数の媒体ロールから都合複数種類のドナー要素を装荷する場合等である。例えば含有ドナー要素色が違う都合複数種類のドナー要素を装荷する場合、ローラに対する媒体ロールの向きが媒体ロール毎に大きく違っていると、ウェブ張力が装荷毎に異なる強さになってしまう。
【0006】
更に、熱転写等の像形成プロセスは基板10・媒体12間界面の均質性に敏感なものである。特に、泡、皺等が取り込まれてしまうと基板10へのドナー素材転写量がばらつき、様々な偽像が発生する原因となりかねないので、媒体付加器に装荷されているドナー要素を基板10に引き渡す際には、原則として、皺、気泡等を生まない均質界面を基板10・媒体12間に発生させておく必要がある。然るに、付加動作では、媒体付加器を付加方向沿いに相対移動させつつ、媒体付加器内の付加ローラ等で媒体12を基板10上で転がすことで、媒体12を引き渡すことが多い。そのため、付加ローラ・付加方向間の整列誤差が皺や不均一重なりの発生原因となりうる。
【0007】
また、像形成後に使用済媒体12を基板10から分離させる分離動作では、通常、媒体付加器を分離方向沿いに相対移動させながら、媒体付加器内の様々なローラのうち例えば剥離ローラ等を使用し、その媒体12を基板10から剥がしていくことが多い。そのため、剥離ローラ・分離方向間の整列誤差が各種偽像の発生原因となりうる。例えば、剥離ローラ・分離方向間の捩れ(スキュー)で剪断力が生じ、形成される画像が低質化することがある。
【0008】
更に、本件技術分野で習熟を積まれた方々(いわゆる当業者)には自明な通り、こうした媒体付加器では、個々の動作に適する諸ローラの向きが動作毎に異なるという矛盾が発生することがある。そうした矛盾を防ぐには製造公差を厳しくすればよいが、それは装置コスト増大につながるので望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
即ち、本件技術分野で求められているのは、円筒状のローラを1本又は複数本有する媒体付加器において、その付加器に媒体を装荷する装荷動作、その媒体を面上に引き渡す付加動作、その面から媒体を分離させる分離動作等、その付加器で実行すべき個別の動作に応じローラの向きが調整されるようにすることである。
【0010】
また、本件技術分野で求められているのは、円筒状のローラを1本又は複数本有する媒体付加器を備え、熱転写像形成プロセス等の像形成プロセスで媒体上に像を形成する像形成装置において、その付加器で実行すべき個別の機能に応じローラの配置が調整されるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は媒体上に像を形成する方法に関する。形成する像は例えば1個又は複数個の形状パターンを含む像であり、その形状パターンは例えば色フィルタ用の色別構成要素、有機発光ダイオードディスプレイを組成する有色光源等のパターンである。像を形成する手段としては、例えば、レーザ誘起ダイ転写プロセス、レーザ誘起マス転写プロセス等を初めとするレーザ誘起熱転写プロセスを使用する。このプロセスと併せ、ドナー要素をレシーバ要素に載せる処理や、前者から後者へと素材が転写された後にドナー要素をレシーバ要素から分離させる処理も実行する。
【0012】
本発明の一実施形態に係る方法では、第1端及び第2端を有し且つその周面上に媒体の一部分を巻き取りうる可回転なローラ、そのローラを搬送経路沿いに搬送しうるキャリッジ、並びにそのローラを移動させうる第1及び第2ドライブを準備する。次に、第1及び第2ドライブを差発生的(differentially)に駆動することで、搬送経路方向に対するローラの向きを調整する。例えば、搬送経路方向に対しほぼ平行な方向へとローラが転がるような向きへと調整する。他方で、その向き調整済ローラを移動させつつ媒体の一部分を搬送する。例えば、第1及び第2ドライブを差発生的又は非差発生的(non-differentially)に駆動することで、キャリッジを搬送経路沿いに移動させる。その向き調整済ローラをその回転軸周りで回転させることで、媒体の一部分をそのローラの周面に巻き取っていく。巻き取られる部分は、例えば、そのローラの周面を自分との重複無しでくるめる大きさにする。その向き調整済ローラを搬送経路の一部分に沿い移動させるため、第1及び第2ドライブを非差発生的に駆動する。
【0013】
キャリッジに第1及び第2被案内端が備わっている場合は、第1及び第2ドライブを差発生的に駆動することで、搬送経路方向に対し平行な方向に沿い第1及び第2被案内端間に位置差を発生させるようにするとよい。第1被案内端及びそれに対して位置差を有する第2被案内端を、搬送経路沿いにタンデムに移動させることもできる。
【0014】
媒体が媒体ロール化されている場合は、媒体ロールの向きに対しローラの向きが揃うよう第1及び第2ドライブを差発生的に駆動し、その媒体ロールからその向き揃え済ローラへと媒体の一部分を取り込むようにするとよい。第1及び第2ドライブを差発生的に駆動することで、媒体ロールとローラの間に生じる面内整列誤差を抑制することや、媒体ロールから向き揃え済ローラへと媒体の一部分を取り込むとき媒体幅方向に生じる張力の均質性を高めることができる。更に、第1及び第2ドライブを差発生的に駆動することで、媒体ロール及び向き揃え済ローラそれぞれの回転軸と交差する共通な軸に対する両回転軸の直交度を高めることができる。即ち、交差する二軸間の角度を90°に近づけることができる。
【0015】
経路方向に対するローラの向きを調整する処理では、例えば、搬送経路方向に対するローラの向きが搬送経路沿いの第1ポジションでは第1の向き、搬送経路沿いの第2ポジションでは第2の向きとなるよう、第1及び第2ドライブを差発生的に駆動する。ローラの周面に媒体の一部分を巻き取るのは、例えばそのローラが第1の向きを向いているときとし、媒体のうち巻き取り済の部分を基板に引き渡すのは、例えばそのローラが第2の向きを向いているときにする。媒体のうち巻き取り済の部分を基板に引き渡すときには、第1及び第2ドライブを非差発生的に駆動するとよい。媒体の巻き取り済部分を基板に引き渡すには、ローラが第2の向きを向いているときにそのローラを基板上で転がせばよい。その基板から媒体の一部分を分離させる際にも向き調整済ローラを基板上で転がせばよい。媒体の一部分を基板から分離させる際には、第1及び第2ドライブを非差発生的に駆動するのが望ましい。
【0016】
本発明の他の実施形態に係る媒体搬送装置は、第1端及び第2端を有し且つその周面上に媒体の一部分を巻き取りうる可回転なローラと、支持部上に可動搭載されておりローラを搬送経路沿いに搬送することが可能なキャリッジと、そのローラを移動させうる複数のドライブと、ドライブのうち第1及び第2ドライブを差発生的に駆動することで搬送経路方向に対するローラの向きを調整し、且つキャリッジを駆動することでその向き調整済ローラを移動させつつ媒体の一部分を搬送させるコントローラと、を備える。そのローラは付加ローラ、剥離ローラ及び取上ローラのいずれでもよい。コントローラで第1及び第2ドライブを駆動しキャリッジを搬送経路沿いに移動させること、例えば搬送経路の第1部分に沿いキャリッジを移動させるときには第1及び第2ドライブを差発生的に、また第2部分に沿い移動させるときには非差発生的に、それぞれ駆動することもできる。コントローラで第1及び第2ドライブを差発生的に駆動することで、搬送経路方向に対し平行な方向に沿いローラの第1端と第2端の間に位置差を発生させることができる。キャリッジを搬送経路沿いに移動させる際に、搬送経路のうち第1部分ではコントローラで第1及び第2ドライブを差発生的に駆動し、第2部分では非差発生的に駆動することもできる。キャリッジに第1及び第2ガイドベアリングを設けると共に、搬送経路方向に対して平行な方向に沿い第1及び第2ガイドベアリング間に位置差が生じるよう、コントローラで第1及び第2ドライブを差発生的に駆動する構成にしてもよい。第1及び第2ガイドベアリングのうち一方を中心にしたキャリッジの枢動が可能になるよう可撓部を設けてもよい。
【0017】
本発明の更に他の実施形態に係る対媒体像形成方法では、ローラを搬送経路沿いに搬送可能なキャリッジを準備し、そのローラ上に媒体を実装し、その実装済媒体を経路沿いに位置する像形成システムへと搬送し、経路方向に対するローラの向きを調整し、実装済媒体をその向き調整済ローラから面上へと引き渡し、そしてその引渡済媒体に像を形成する。搬送経路方向に対するローラの向きは、ローラを移動させうる複数のドライブを準備し、それら複数のドライブを差発生的に駆動することで、調整することができる。実装済媒体が向き調整済ローラから上掲の面上へと引き渡されつつあるときは、それら複数のドライブを例えば非差発生的に駆動する。搬送経路沿いにキャリッジが移動するよう複数のドライブを駆動することや、実装済媒体が向き調整済ローラから上掲の面上へと引き渡されつつあるときにキャリッジが移動するよう複数のドライブを駆動することもできる。実装済媒体を向き調整済ローラから上掲の面へと引き渡すには、例えばそのローラをその面上で転がせばよい。ローラは例えば付加ローラである。
【0018】
キャリッジは搬送経路沿いに接触ローラを搬送可能なものとすることができる。これは、搬送経路方向に対する接触ローラの向きを調整し、その向き調整済接触ローラを像形成済媒体に接触させ、その像形成済媒体を上掲の面から分離させる、といった具合に使用する。
【0019】
その接触ローラを移動させうる複数のドライブがある場合、それら複数のドライブを差発生的に駆動することで、経路方向に対する接触ローラの向きを調整することができる。像形成済媒体が上掲の面から分離しつつあるときには、それらのドライブを非差発生的に駆動すること、例えばそれらのドライブを駆動してキャリッジを移動させることが望ましい。上掲の面から像形成済媒体を分離させるには、その媒体上で向き調整済接触ローラを転がせばよい。取上ローラを設け、上掲の面から分離しつつある像形成済媒体を巻き取るようにしてもよい。接触ローラは例えば剥離ローラである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】媒体から基板へのドナー素材転写に従来から使用されている熱転写像形成プロセスの概略を示す図である。
【図2A】本発明の一実施形態に係る装置の概要を示す図である。
【図2B】図2Aの実施形態に係る装置の一部分及びそれを用い媒体ロールから媒体の一部分を引き出して付加ローラに載せる装荷動作の概略を示す図である。
【図2C】その動作の続きの概略を示す図である。
【図2D】その動作の続きの概略を示す図である。
【図2E】その動作の続きの概略を示す図である。
【図2F】図2Aの実施形態に係る装置内で付加ローラの向きを調整し媒体ロールの向きに実質的に揃える動作の概略を示す図である。
【図2G】媒体が載っている基板の断面の概略を示す図である。
【図2H】図2Aの実施形態に係る装置内の付加ローラでその上にある媒体を基板に引き渡す付加動作の概略を示す図である。
【図2J】図2Aの実施形態に係る装置内の付加ローラを用い媒体を基板に引き渡す付加動作に当たり、所望の付加方向に対し実質的に平行な方向沿いに付加ローラが転がることとなるようその付加ローラの向きを調整する動作の概略を示す図である。
【図2K】図2Aの実施形態に係る装置の一部分並びに剥離ローラ及び取上ローラをを用い基板から媒体を分離させる分離動作の概略を示す図である。
【図2L】その動作の続きの概略を示す図である。
【図2M】その動作の続きの概略を示す図である。
【図2N】本実施形態の装置内で媒体を分離させる分離動作に当たり、所望の分離方向に対し実質的に平行な方向に転がることとなるよう図2K〜図2M中の剥離ローラの向きを調整する動作の概略を示す図である。
【図3】図2Aの実施形態に係る装置の使用方法を示すフローチャートである。
【図4】媒体ロール・付加ローラ間に典型的な整列誤差がある状態で媒体を付加ローラに載せている状況の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に関し別紙図面を参照して例示により説明する。以下の説明では、本発明に関しより一貫したご理解を頂くため細部を具体的に説明しているが、本発明を実施するに当たりそうした細部にこだわる必要はない。他方、理解の妨げになることを避けるため、周知部材については詳細な説明や図示を省略してある。従って、本明細書及び別紙図面に記載の事項は限定ではなく説明と解されるべきである。しかも、別紙図面は原寸比に対し忠実ではない。
【0022】
図2A〜図2H及び図2J〜図2Nに、本発明の一実施形態に係る装置102及びそれを動作させる方法の概要を示す。この装置102では、複数の媒体ロール113、115及び117に、順にドナー要素たる媒体112、114及び116、例えば互いに別の色に係る媒体が巻かれている。これらの媒体112、114及び116は、その一部分を媒体付加器124に装荷する装荷動作、装荷された媒体を基板110の表面に引き渡す付加動作、その媒体に像を形成する像形成動作、並びにその使用済媒体をその面から分離させる分離動作を含むプロセスの対象となる。
【0023】
図2Aに概記する通り、この装置102は、媒体供給源120、媒体送給システム122、媒体付加/分離システム(以下「媒体付加器」)124、排出システム126及び像形成システム130を含め、複数のサブシステムを支持部103上に配置した構成を有している。それらのうち供給源120は媒体ロールシステムであり、ここには媒体供給元たる媒体ロール113、115及び117がセットされている。送給システム122は、ロール113、115及び117のうち媒体供給元として指定されているものから媒体を取り込み、断片化し、その媒体片を付加器124へと案内する。付加器124は、像形成システム130内に位置する基板110にその媒体片を引き渡す。像形成システム130は引き渡された媒体片に像を形成する。その後、付加器124は、その使用済媒体片を基板110から分離させて排出システム126に送る。これらの動作は、ロール113、115及び117のいずれが媒体供給元になった場合でも同様に実行される。なお、便宜上、X、Y及びZの三軸を有する座標系を参照しつつ装置102や媒体の動きを説明することとする。
【0024】
装置102を構成するサブシステムのうち1個又は複数個、例えば媒体供給源120、媒体送給システム122、媒体付加器124及び像形成システム130は、コントローラ135によって制御されている(供給源120に係る制御信号の図示は省略)。コントローラ135は単体のコントローラ又はコントローラ複数個の集まりであり、基板110を像形成システム130に装荷する動作やそこから基板110を排出させる動作を司る基板ハンドリング機構(図示せず)も、このコントローラ135で制御することができる。コントローラ135から像形成ヘッド136へと画像データ137を供給し、そのデータ137に従い像形成用のビームを輻射するようそのヘッド136を制御することもできる。制御できるサブシステムは多岐に亘り、制御に使用可能な制御信号や実行可能な制御手法も多岐に亘る。これらの制御向けのソフトウェアを実行できるコントローラ135は、例えば、1個又は複数個のデータプロセッサ、並びにそれに付随するハードウェア(アクセシブルなメモリ、論理回路、駆動回路、増幅器、A/D変換器、D/A変換器、入出力ポート等)で実現することができる。マイクロプロセッサ、チップ内コンピュータ、コンピュータ内CPUを初めとする各種のマイクロコントローラを、コントローラ135として使用するとよい。
【0025】
図3に本実施形態に係る手順の流れを示す。この手順は、像形成プロセスへの媒体の投入、投入された媒体への像形成、並びに像形成済媒体の分離を含む手順である。以下、図3中の諸ステップにつき、図2A〜図2H及び図2J〜図2N中の装置102を例にして説明する。但し、これは専ら説明のためであり、本発明は他の装置でも実施可能である。まず、ステップ300では、図2B〜図2Eに示す如く装置102が媒体供給源120から媒体を取り込む。例えば、媒体送給システム122が媒体ロール113からその上の媒体112を取り込む。コントローラ135は、この動作に当たり、取り込むべき媒体を指定する信号群を発生させ、図示しないアクチュエータ群をその信号に従い作動させることで、送給システム122を動かし供給源120内媒体ロールに対する位置関係を制御する。具体的には、送給システム122内に設けられている可動フレーム140の枢軸141周り傾斜を制御する。各媒体ロールは、枢軸141までの距離400が互いにほぼ等しくなるよう配置されているので、フレーム140を然るべく傾斜させることで、指定された媒体ロールにフレーム140を接近させ、そのロール上の媒体を捉えうる姿勢にすることができる。このほか、エレベータ式の機構等も、送給システム122・媒体ロール間相対運動用の機構内に設けることができる。
【0026】
そのフレーム140には間隙形成ローラ、取込ローラ143等のローラを有する取込機構142が搭載されている。取込ローラ143には、そのローラ143の近くに来た媒体112の端部145を捉えうる位置に、その媒体112を捉えるための吸引口144が1個又は複数個設けられている。コントローラ135は、媒体端部145を図示しないセンサ群で検出し、ローラ143の位置を制御して媒体端部145を捕捉させる。即ち、図示しないアクチュエータ群でローラ143を動かし、フレーム140上で経路402に沿い媒体ロール113へと近づけることで、図2Bに示す如く吸引口144を媒体端部145のそばに持ってくる。媒体端部145が吸引口144で捕捉されたら、それをローラ間隙に引き込ませ、経路402沿いにロール113から引き離す。引き込んだ媒体112は、フレーム140沿いに可動な搬送ガントリ146へと引き渡す。そのガントリ146上には、例えば、媒体端部145を捕捉できるよう幾つかの吸引口147が設けられている。ガントリ146はその状態でフレーム140沿いに移動し、媒体端部145を媒体付加器124に引き渡す。ガントリ146の移動方向は例えば経路402沿いの方向である。なお、ここでは媒体捕捉に吸引口を使用しているが、いわゆる当業者には自明な通り、それ以外の把持装置乃至捕捉装置を使用し本発明を実施することもできる。
【0027】
媒体付加器124は、媒体装荷ポジション404にてその媒体112の引渡を受ける。図2Aに概記する通り、付加器124は種々の可回転円筒状ローラをキャリッジ150で支持する構成であり、キャリッジ150を移動させることでその上のローラも所要経路沿いに移動させることができる。図示の通り、それら円筒状ローラのうち1本は付加ローラ152である。このローラ152の役目は、像形成システム130内の像形成時支持部185上に載っている基板110の表面上に、適当な大きさに切り分けられた媒体(ここではドナー要素)を載せることである。そのため、ローラ152は、その第1端420及び第2端422と交差する軸153を中心にして回転させうるよう、またその周面424上に媒体例えば112を巻き取りうるよう構成されている。本実施形態では、ローラ152には種々の吸引口154が設けられており、ステップ320にて円筒面424に媒体例えば112が巻き付く際にはそれらの吸引口154を用いてその媒体112を吸着する。即ち、図2B及び図2Cに示すように、ローラ152・搬送ガントリ146間相対移動を経てそれらの吸引口154により端部145を捕捉させる。具体的には、幾つかのアクチュエータ156を制御することで、ローラ152を経路406沿いにガントリ146に近づけた後、ローラ152を経路406沿いにそのガントリ146から離していく。経路406は、この図ではZ軸と平行であるが、これとは別の方向にすることもできる。アクチュエータ156としては、電動モータ、流体圧アクチュエータ等、ローラ152を移動させうるものを適宜接続乃至連結する。端部145が吸引口154で捕捉されたら、アクチュエータ156を制御することでローラ152を経路406沿いにガントリ146から遠ざけ、所要長の媒体112が巻き取られるようローラ152を軸153周りで回転させる。更に、当該所要長の媒体112が取り込まれたら、図2Dに示す如くカッタ149で媒体112を切断する。本実施形態の場合、カッタ149で媒体112を所要長に切断するのは、ガントリ146を遡行させカッタ140付近で媒体112を捕捉してからであり、ガントリ146は、断片になった媒体112のうちローラ152にまだ巻き取られていない部分がローラ152に載っていく過程で、所要の張力を印加する。
【0028】
本実施形態の場合、付加ローラ152の大きさは、図2Eに示す如く、そのほぼ全周卯がその媒体片でくるまれるよう、またその媒体片の部分同士が重ならないよう設定されている。これは、媒体112に無視できない厚みがありその端部で段差が発生するからである。即ち、ローラ152上に媒体112を載せたときにその媒体112が自分自身と重なるようでは、不連続部分等が発生することとなりかねない。媒体112は続いてローラ152により基板110へと引き渡されるので、媒体112における不連続部分の発生を抑えることで、ドナー素材の不均質化による偽像の発生を抑えることができる。
【0029】
ただ、図4にその平面を概記する通り、媒体112の供給元となっている媒体ロール113と、その媒体112を載せるべき付加ローラ152との間に、整列誤差が発生する可能性が残る。この図でロール113・ローラ152間に生じているのは面内整列誤差、即ちロール113・ローラ152間に延びるウェブ状媒体の表面に沿った誤差(但しその面が実質的に捩れていないと仮定したときの値)である。この種の整列誤差が生じている状態では、図示の如く、ある共通の軸450Aに対するローラ152側回転軸153の交差角及びロール113側回転軸415の交差角が、共に直角になることはあり得ない。ロール113・ローラ152間に向きの違いが生じるからである。図中、XY座標系上のX軸に対するロール113の向きの違いは角度θで、ローラ152のの向きの違いは角度αで表されている。角度αは、キャリッジ150の各側にある被案内端に対するローラ152の整列誤差を表す角度でもあり、図の状態では角度θよりも小さくなっている。なお、本願では、諸ローラ,諸ロールの向きを便宜上X軸基準で表しているが、自明な通りそれらは他の方向を基準として表すこともできる。例えば、種々のローラや媒体ロールの向きを、そのローラが搬送される方向(図ではY軸と平行な経路方向)を基準にして表すこともできる。また、明瞭化のため角度θ及びαは強調されており、実際には、これよりずっと小さい角度でも、本願指摘の諸問題が発生する可能性がある。発明者が鑑みるに、例えばその幅が約2m、厚みが約0.05mmのウェブ状媒体を使用する種々の装置のなかには、皺の発生上許容できる整列誤差が最大数mrad(ミリラジアン)程度の装置もあれば、1乃至2mrad程度の装置もあれば、0.1mrad程度の装置もある。ウェブの幅を狭くすれば皺は軽減されるであろうが、不都合なことに、幅広なウェブを使用しなければならないこともある。例えば大画面テレビジョン用色フィルタ等、大判色フィルタを製造する場合である。また、ロール113・ローラ152間のウェブ差し渡しを長めにすることでも皺が軽減されるであろうが、残念なことに、装置102の全体寸法が大きくなるためこのやり方も不都合である。
【0030】
こうした媒体ロール整列誤差の発生原因は多様である。例えば、諸媒体ロールを支持する構造物乃至機構に係る製造及び位置公差が整列誤差の発生に関わっており、整列誤差があるとウェブ状媒体に応力ばらつきが発生しうる。更に、媒体で形成されている媒体ロールが円筒状ではなくテーパ状の形状になることがある。例えば、媒体ロールを製造するウェブ製造プロセスでのばらつきが原因で、その端間で直径が変化するテーパ状の媒体ロールが形成されることがある。テーパの付き方は媒体ロール毎に違うので、このこともまたウェブ状媒体における応力ばらつきの増加原因となる。ウェブ幅方向沿いウェブ応力が均一でないと、張力が強い部位では各種被覆(例えば媒体中のドナー素材)の損傷、更には媒体の基材自体の伸び乃至破損が生じ、弱い部位では逆にウェブ張力制御が効きにくくなる。加えて、媒体が薄い場合は整列誤差が原因で媒体に皺が寄る可能性が高い。図4に、そうした整列誤差で生じる不均一応力分布410のあらましを示す。図示の通り、ウェブ状媒体112のうち不支持部分には皺160が生じており、付加ローラ152に巻き付いている部分には取り込まれ皺162が生じている。吸引口154による吸引で媒体112をローラ152上に捉える際、ごく小さな整列誤差で生じたごく小規模な皺がその吸引で平滑されることがある反面、より大きな取り込まれ皺がその吸引で発生することもある。媒体112は引き続いてローラ152から基板表面に引き渡され、得られる画質が基板・媒体間の間隔ばらつきに対し敏感なレーザ誘起熱転写プロセス等の像形成動作に供されるので、媒体112と共に皺162等の取り込まれ皺が基板に引き渡されてしまうと、引き続いて形成される像の画質がその皺から大きな影響を受けることとなりうる。特に、典型的な色フィルタ製造プロセスの如く複数本の媒体ロールが使用される場合には、媒体ロール毎に整列誤差が違う(即ち向きが違う)ため、この問題が更に厄介な問題となりうる。なお、上述した皺発生問題は主として面内整列誤差に関わるものである。発明者の知見によれば、媒体ロール113・付加ローラ152間に存するウェブ状媒体に少々面外捩れが生じたとしても、通常、その面外捩れが原因で顕著に大きな応力増加がウェブ上に生じることや、その面外捩れが主たる皺発生原因になることはない。面外捩れとは、ウェブがロール間又はロール・ローラ間で引き渡される際にそのウェブが捩れることをいう。
【0031】
付加ローラ152・媒体ロール113間のこうした整列誤差を修正するため、ステップ310では、ローラ152が搬送される方向(搬送経路方向)に対するローラ152の向きを調整している。図2Fに示すように、本実施形態では第1ドライブ170及び第2ドライブ172を含む複数個のドライブが設けられているので、装荷上の問題が生じにくい向きになるようローラ152の姿勢を調整することができる。具体的には、ドライブ170及び172を用い、ロール113の向きとほぼ揃うようにローラ152の向きを調整する。ドライブ170及び172を用いローラ152の向きを調整することで、媒体112の幅方向に沿ってウェブ張力を略均一化すること、例えば図2F中の略均一応力分布412を実現することや、媒体112をローラ152に巻き取る際の取り込まれ皺発生を抑えることや、図示されている軸450Bのロール113側回転軸415及びローラ152側回転軸153それぞれに対する交差角を90°に近づける(直交度を高める)ことができる。ロール113に発し向き調整後のローラ152に至る媒体112を、軸450B周りで若干捩らせてもよい。
【0032】
これらのドライブ170及び172は個別に制御することができる。その制御により、付加ローラ152の端のうちそのドライブに対応する端を位置決めし、ローラ152の向きを媒体ロール113の向きに対し実質的に揃えることができる。ドライブ170及び172には、エネルギを機械運動に変換する動力発生手段、例えばサーボモータ、ステッパモータ、その他のモータ等が組み込まれている。ドライブ170及び172には、その動力を伝達する手段、例えば相応のベルト、ねじ、ラック、ピニオン等を組み込むこともできる。
【0033】
本実施形態では、これらのドライブ170及び172を制御することで、キャリッジ150を第1ガイド174A及び第2ガイド174B(以下「174」と総称)沿いに移動させる。キャリッジ150はガイド174に沿い様々な位置へと移動可能である。移動先は、媒体付加器124における機能上の必要で定まる。キャリッジ150を動かせる経路408はY軸に対しほぼ平行であり、動かせる方向はその経路408に沿った様々な方向、即ちアウェイ方向408A及びホーム方向408Bである。本実施形態では、また、ドライブ170及び172を制御することで、種々の位置でキャリッジ150の向きを調整し、経路408に対する捩れ具合を調整する。この捻り動作を制御することで、媒体付加器124を構成している種々の円筒状ローラを、それらの個別位置に相応しい向きにすることができる。例えば、図中のドライブ170及び172は共にモータ(図示せず)を内蔵しており、それらはタイミングベルト175A及び175Bに連結されている(符号同順)。キャリッジ150の各側被案内端はガイドベアリング176A及び176Bに連結されており、それらはガイド174A及び174Bによって案内されている。具体的には、キャリッジ150の被案内端のうち片側のものがガイドカプリング179Aを介しガイドベアリング176Aに、その逆側にあるものがガイドカプリング179Bを介しガイドベアリング176Bにそれぞれ連結されている。本実施形態では、カプリング179Aがカプリング179Bに比べ低スティフネスであるため、キャリッジ150をX軸沿いにある程度動かすことやZ軸周りである程度揺動させることができ、ひいてはキャリッジ150を引っかかり無しにガイド174に沿って移動させることができるため、キャリッジ150を構成している種々の円筒状ローラをその移動で所望の向きにすることができる。ここでは可撓部178を設けることでスティフネスを抑えているが、その他の高コンプライアンス部材でも低スティフネス化は可能である。図示しないが、リミットスイッチを使用すれば、諸機構の損傷につながらないようキャリッジ150の捩れ具合を緩和又は解消することもできる。
【0034】
また、第1ドライブ170側にはホームセンサ180A及びアウェイセンサ182A、第2ドライブ172側にはホームセンサ180B及びアウェイセンサ182Bがそれぞれ設けられている。これらのセンサ180A、180B、182A及び182Bは移動限界点検出用である。本実施形態におけるドライブ170及び172は銘々にギアヘッドサーボモータ、サーボモータドライバ及びエンコーダ(いずれも図示せず)を備える構成であるので、ドライブ170及び172を制御する際、コントローラ135は、それらのエンコーダからモーションフィードバックを受けつつ、またセンサ180A、180B、182A及び182Bの出力を監視しつつ、モータトルクを制御することができる。簡明化のため、コントローラ135とそれらのセンサ180A、180B、182A及び182Bとの間で交わされる信号は図示を省略してある。この制御では、初期化終了後にまず両ドライブ170及び172を駆動し、キャリッジ150をホームセンサ180A及び180Bの方向にやや低速で移動させる。ホームセンサ180Aがトリガされたらドライブ170、ホームセンサ180Bがトリガされたらドライブ172をそれぞれ停止させる。この時点で、コントローラ135はドライブ170及び172の絶対位置に関する粗情報を取得する。その後は、対応するエンコーダからインデクス信号が得られるまで、ドライブ170及び172を対応するホームセンサ180A又は180Bから離していく。この動作により、コントローラ135にドライブ170及び172の位置に関する精細情報がもたらされる。この時点で、コントローラ135の許には、キャリッジ150の向きを諸動作向けに調整するのに十分な情報が集まる。
【0035】
本実施形態では、ドライブ170及び172をコントローラ135で差発生的に駆動することで、キャリッジ150の向きを媒体装荷ポジション404に適する向き、即ち付加ローラ152が媒体ロール113に対しほぼ平行になる向きへと調整する。ロール113に対しローラ152が好適に整列したといえるのは、例えば、ローラ152の向きが、許容水準を上回る皺が媒体に生じない向きになっているときである。図2Fに例示した状態では、X軸及びY軸で規定される平面において、ローラ152の向きがロール113の向きとほぼ揃っている。こうして向きを揃えた後は、ローラ152をその軸153周りで回転させることで、その周面上に媒体112を巻き取っていく。向きが揃っているので、同図に略記する如く取り込まれ皺はあまり発生しない。
【0036】
本実施形態では、付加ローラ152の向きは経路408沿いにキャリッジ150が移動する方向(ここではアウェイ方向408A)を基準に調整する。即ち、ガイド174沿いにキャリッジ150を動かすときに、キャリッジ150の各側被案内端が互いに異なる量だけ変位するよう、ドライブ170及び172を個別に制御し両被案内端を移動させる。可撓部178があるので、こうしてキャリッジ150の各側被案内端を相対変位させることができる。図2Fに示すように、媒体装荷ポジション404にてキャリッジ150及び付加ローラ152の向きが捩れるようにするには、キャリッジ150の被案内端同士を搬送方向沿いに相対変位させることで位置差ΔAを発生させればよい。これにより、XY平面内のX軸に対するキャリッジ150の向きは角度βだけずれる。なお、キャリッジ150に対するローラ152の初期整列状態、即ち図4中の角度整列誤差αで左右されるため、X軸を基準としたローラ152の捩れ角と、X軸を基準としたキャリッジ150の捩れ角とが、一致することもあれば一致しないこともある。
【0037】
付加ローラ152はキャリッジ150により経路沿いに搬送されるので、ドライブ170及び172を差発生的に駆動することで、ローラ152の向きを所望の向きにすることができる。例えば、その経路のある部分では、キャリッジ150の被案内端同士がほぼ同じ速度で移動するようドライブ170及び172を非差発生的に駆動し、同経路の別の部分では、ドライブ170及び172を差発生的に駆動するようにすればよい。搬送経路のある部分ではキャリッジ150の各側被案内端をタンデムに移動させ、他の部分又は特定の位置では差発生的に移動させる、といった具合である。ドライブ170及び172を差発生的に駆動すると、キャリッジ150の各側被案内端間で移動速度又は移動距離が異なってくる。第1ドライブ170、第2ドライブ172又はその双方の駆動形態は、駆動システムにおけるバックラッシュ等の諸事情に従いコントローラ135によって修正されることがありうる。いずれにせよ、前掲の例の如くその幅が2m(即ちガイド174A・174B間の距離が約2m)、付加ローラ152に許容される整列誤差が1mrad程の媒体なら、ドライブ170及び172を差発生的に駆動することで、最大約2mmの位置差をキャリッジ150の各側被案内端間に発生させる必要がある。僅かな角度補正でも割合に大きな位置差が必要になることや、ドライブ170及び172の差発生的駆動でこれを成功裏に実現できることをここからもご理解頂けよう。
【0038】
なお、本発明には、媒体ロール113・付加ローラ152間整列誤差修正手法が違う別の実施形態もある。例えば、ドライブ170及び172の非差発生的駆動により、ロール113に対する角度差を持ったまま媒体装荷ポジション404までローラ152を搬送させる実施形態である。この実施形態では、ローラ152の向きがロール113の向きに対し実質的に平行なこともあればそうでないこともある。ポジション404では、媒体112の端部145を搬送ガントリ146でローラ152に運び吸引口154で端部145を捕捉するようにし、次いで、媒体112の所要部分を円筒面424に巻き付ける前掲のステップ320を完了する前に、その媒体112の幅に沿いほぼ均一なウェブ張力が生じるようドライブ170及び172の差発生的駆動でローラ152の向きを調整する。具体的には、キャリッジ150の被案内端のうち第1ドライブ170に対応するものが例えばポジション404に居続けるようそのドライブ170を稼働させつつ、キャリッジ150の被案内端のうち第2ドライブ172に対応するものが例えばポジション404から離れていくようそのドライブ172を稼働させることで、幅方向に沿い実質均一なウェブ張力を実現する。このように第2ドライブ172で再調整する手法は、第2ドライブ172を定トルクモードで稼働させることで実現することができる。定トルクモードでは、対応する被案内端の位置が、そのウェブ状媒体にもたらされている張力、即ちロール113それ自体、各種間隙形成ローラ、ガントリ146、その他の関連機構による反力で決まる量だけ変化する。また、キャリッジ150の被案内端に対しほぼ等しい駆動力が作用するようドライブ170及び172を非差発生的に駆動し、それによってポジション404に対する被案内端の位置を調整することでも、幅方向に沿い実質均一なウェブ張力を実現することができる。そして、ポジション404にて第1ドライブ170、第2ドライブ172又はその双方を再調整しつつローラ152を回転させ、媒体112の一部を円筒面424に巻き付ける形態にもすることができる。
【0039】
また、図示した実施形態では、ドライブ170及び172内にサーボモータを設け、このサーボモータを対応するエンコーダからの位置情報に基づき差発生的に駆動するようにしている。この構成では、サーボモータ制御の分野で既知の閉ループ式位置制御法を適用し、キャリッジ被案内端の位置精度を高めることができる。また、これ以外の形態のドライブ170及び172によって本発明を実施することもできる。例えば、供給する制御パルスの個数をモータ毎に変えることで複数のステッパモータを差発生的に制御する形態である。
【0040】
用途によっては、色フィルタ製造プロセスのように、複数種類の媒体を対応する媒体ロールから取り込んで付加ローラ152に載せねばならない場合もある。このとき、媒体ロール115や媒体ロール117から媒体114や媒体116を取り込みローラ152に載せる動作は、媒体112に係る前述の動作と同じ形態で行うことができる。新たな媒体をローラ152に載せるのは、例えばそのローラ152から使用済媒体を分離させてからとする。ローラ152から分離させた使用済媒体を更なる処理に回すこともできる。但し、それまで使用してきた媒体ロール(前掲の例では媒体ロール113)と、これから使用しようとする媒体ロールとでは、その向きに違いがあるものである。コントローラ135では、この点に鑑み、例えば新たな媒体ロール向けに制御パラメタを指定し直し、その制御パラメタに従いドライブ170及び172を差発生的に制御することで、新たな媒体ロールの向きに対し最適な向きになるようローラ152の向きの向きを調整する。こうすることで、ロール152の向きを適正化しつつ複数種類の媒体を好適に使用することができる。
【0041】
こうして向き調整の済んだ付加ローラ152上に媒体112を載せた後は、そのローラ152を像形成システム130へと移動させる。即ち、ステップ340を実行し、ローラ152を用いその媒体112を基板110の表面に載せていく。基板110は像形成時支持部185によって支持されており、その像形成システム130内には支持部185に対し移動させうるよう1個又は複数個の像形成ヘッド136が設けられている。本実施形態の場合、そのヘッド136は、支持部185を跨ぐように設けられた橋梁状支持部187上に可動支持されている。橋梁状支持部187に対するヘッド136の動きはコントローラ135が制御する。図示しないが、ヘッド136・支持部185間相対運動の実現に使用可能な駆動システムは幾つかある。要求される運動に相応しいドライブ、動力伝達手段、案内手段等を随意に使用すればよい。本実施形態では、そうした駆動システムをコントローラ135で制御することにより、Y軸と平行な経路に沿って支持部185を動かしつつ、X軸と平行な経路に沿ってヘッド136を動かすようにしている。また、いわゆる当業者にはご理解頂けるように、これとは異なる形態の運動にしてもよい。例えば、ヘッド136を固定しておき支持部185を動かすようにしてもよいし、支持部185を固定しておきヘッド136を動かすようにしてもよい。ヘッド136、支持部185又はその双方を対応する経路に沿って反復運動させることもできる。像形成システム130内に複数のシステムを設けてそれらを互いに別の駆動システムで稼働させることもできる。
【0042】
その像形成ヘッド136は、例えば内蔵するレーザ等の輻射源(図示せず)から1本又は複数本の像形成ビーム(図示せず)を輻射する構成である。その動作を適宜制御することで、媒体上に像を形成することができる。即ち、発現させるべき像を示す画像データ137に基づく変調(像状変調)を施しつつ、ヘッド136発のビームで媒体を横断走査させることで、その像を発現させることができる。その際、媒体のうち像を形成したい部位については、相応の強度、相応の強度変化を呈する像形成ビームが得られるようにヘッド136内の像形成チャネルを駆動する一方、像形成したくない部位については、像形成動作が実行されないように対応する像形成チャネルを駆動する。ヘッド136内に複数個の像形成チャネル、例えば像形成チャネルアレイを設ける場合、そのアレイにおける像形成チャネルの配列は一次元的な配列でも二次元的な配列でもよい。輻射源から媒体に至る像形成ビームの伝搬経路は、輻射源から媒体へと直にそのビームを届ける経路でもよいし、1個又は複数個の光学素子でビームを偏向させて媒体に届ける経路でもよい。
【0043】
このとき、媒体への像形成に使用できる機構は幾通りかある。例えば、その媒体として、像形成ビームの照射を受けるとその特性が変化し像が発現する現像可能面を有するものを使用するとよい。ビームでその面を部分切除し像形成するアブレーションプロセスも使用可能だが、本実施形態では熱転写像形成プロセスを使用している。
【0044】
基板110上に媒体112を載せたものは、概ね図2Gに示す如き断面を呈する。図示の通り、基板110は、本件技術分野で既知たる手法のいずれかで像形成時支持部185にしっかりと固定されており、媒体112はその基板110の上面に載っている。これは、画質確保上、基板110に対し媒体112が動かないようにしながら像を形成するのが望ましいからである。本実施形態の場合、支持部185の上に、基板110の縁から横方向に退いた位置に基板110の厚みとほぼ同じ高さのスタンド188や、スタンド188・基板110間の隙間173で吸引力を作用させる1個又は複数個の吸引口189A,189Bを設けることで、媒体112を基板110に対ししっかりと固定させている。なお、これを改良した手法又はこれに代わる手法で媒体112を基板110に対し固定する形態が本発明に包含されることも、いわゆる当業者にはご理解頂けよう。
【0045】
媒体112内のドナー素材(図示せず)を基板110に転写する手法としては、レーザ誘起熱転写プロセス等を使用することができる。本実施形態で使用可能なレーザ誘起熱転写法プロセスとしては、レーザ誘起ダイ転写プロセス、レーザ誘起メルト転写プロセス、レーザ誘起アブレーション転写プロセス、並びにレーザ誘起マス転写プロセスがある。
【0046】
使用する基板110、媒体112及びドナー素材の組成は、原則として像形成の目的で定まる。例えば像形成システム130を用い基板110上にディスプレイ用の色フィルタを製造する場合、基板110は透明素材(例えばガラス)製、媒体112はプラスチック製、ドナー素材は一種類又は複数種類の着色剤、とするのが普通である。着色剤は、適切なものであれば染料ベース組成でも顔料ベース組成でもよい。ドナー素材に相応のバインダ素材を一種類又は複数種類添加してもよい。
【0047】
形成される像の画質は、通常、ドナー要素載置先面の均質性に依存する。その面の不整(例えば皺)は各種偽像の発生原因となりうる。例えばレーザ誘起熱転写像形成プロセスにおけるドナー素材転写量ばらつき発生原因の一つは基板・媒体間界面の不整である。即ち、不均質な基板・媒体間界面はドナー素材転写量ばらつきの原因となるので、媒体からのドナー素材分離能乃至基板へのドナー素材付着能に大きな悪影響を及ぼしかねない。従って、媒体例えば112が載置される面の不整をできるだけ抑えるのが望ましい。
【0048】
本実施形態の場合、付加ローラ152上の媒体112をそのローラ152で基板110に引き渡すに当たり、図2Hに概記する動作を実行する。この動作では、媒体付加ポジション417にある基板110のそばに来るよう、キャリッジ150を搬送経路方向(この場合アウェイ方向408A)沿いに動かす。次いで、ローラ152を、像形成時支持部185側吸引口189Aのそばに媒体112の端部が来るよう位置決めする。本実施形態の場合、アクチュエータ156を制御することで、ローラ152を経路406沿いに支持部185へと接近させる。更に、ローラ152側吸引口154のうち幾つかの動作を停止させた状態で吸引口189Aを動作させることで、媒体112の端部を基板110側に引き渡す。次いで、キャリッジ150を付加方向(即ちガイド174沿い)に動かしながら、基板110上を転がるようローラ152を回転させることで、媒体112の残りの部分を基板110に載せていく。本実施形態では、アウェイ方向408A沿いにキャリッジ150を移動させつつこの転がしを実行する。
【0049】
このとき、キャリッジ150による付加の方向に対する付加ローラ152の回転軸153の向きが十分に正確でないと、基板110に対する媒体112の重なり方が不均等になることがある。即ち、付加方向に対しローラ152の軸153が捩れていると、横方向の力が作用するため場合によっては滑りが生じ、基板110に対する媒体112の重なり方が不均等になることがある。これは媒体12が引っ張られて皺が寄る原因になる。基板110から持ち上がったときにローラ152が回転軸153沿いに動き振動が発生する原因になる点でも、そうした横方向の力は不都合なものであり、これも画質劣化の原因になる。
【0050】
そこで、本実施形態では、ステップ330にて、搬送経路方向に対する付加ローラ152の向きをドライブ170及び172の制御により調整し、媒体112が基板110に正しく載るようにしている。即ち、キャリッジ150の移動経路沿いに位置する諸点でドライブ170及び172を差発生的に駆動することで、経路方向に対するローラ152の向きを所要の向きへと調整している。図中、移動経路は、媒体装荷ポジション404から媒体付加ポジション417へと延びており、移動方向はアウェイ方向408A、即ちその経路沿いに付加ポジション417へと向かう方向である。本実施形態の場合、ドライブ170及び172の差発生的駆動でローラ152の向きを調整し、媒体112を基板110に載せる後工程(図2J参照)におけるキャリッジ150の付加方向(同図ではアウェイ方向408Aと平行)に対してローラ152がほぼ平行に転がるようにしている。図2Jに示した状態は、ドライブ170及び172差発生的に駆動して対応する被案内端を動かした結果、キャリッジ150の各側にある被案内端がガイド174沿いに相対変位するに至った状態である。そのため、図示の如くキャリッジ150の向きがローラ152の移動方向に対し捩れているが、ローラ152の向きは、媒体112を基板110に載せる際の所要移動方向に対し実質的に直交する向きになっている。即ち、キャリッジ150の各側被案内端を相対変位させ、付加ポジション417に至る移動方向沿いに位置差ΔBを持たせることで、XY平面内のX軸に対し角度γだけキャリッジ150の向きを捻ってある。角度γは、ローラ152上に媒体112を巻き取る動作向けの角度βと違い、基板110上に媒体112を好適に載せうるよう定められており、この図では角度βと異なる値になっている。即ち、キャリッジ150の各側にある被案内端は、それぞれ、図2Fに示した媒体装荷ポジションから図2Jに示す新たなポジションへと移動する際に、異なる量だけ変位している。この角度γにより、ローラ152の初期整列誤差、即ち図4中に角度αとして示したものを補償することができる。こうしてローラ152を正しい向きにしたら、次いで、ドライブ170及び172を制御してキャリッジ150を相応の付加方向沿いに移動させることで、図2Jに示す如く媒体112を基板110に載せていく。例えば、第1ドライブ170と第2ドライブ172を非差発生的に駆動しつつ、媒体112を基板110に載せていく。
【0051】
媒体112を基板110に載せ終えたら、ステップ350にて、像形成ヘッド136を用いその媒体112に像を形成する。本実施形態の場合、ヘッド136から輻射される像形成ビームで媒体112を横断走査することにより、レーザ誘起熱転写像形成プロセスに従い媒体112から基板110へとドナー素材を転写させている。
【0052】
像形成が済んだら、ステップ370にて、使い終えた媒体112を基板110の表面から分離させる。これを実行する理由は幾つかあるが、例えば別のドナー要素(媒体114や媒体116)を用い像形成する際には、それに先立ちその基板110から使用済の媒体112を分離させることが必要になろう。使用済の媒体112を基板110から分離させる手法は幾つかあり、その一つは基板110から媒体112を引き剥がす手法である。
【0053】
本実施形態では、図2K〜図2Nに概記する手法で使用済媒体112を基板110から分離させる。それらのうち図2Kは、像形成時支持部185の一端、基板110、媒体112及びキャリッジ150の概要を示す部分切欠側面図である。キャリッジ150上の円筒状ローラのなかには、本実施形態の場合、剥離ローラ190及び取上ローラ191が含まれている。ローラ190及び191は、いずれも、その第1端及び第2端を過ぎる回転軸や、その一部分に媒体を巻き取ることが可能な周面を有している。剥離ローラ190は、回転軸190A周りで回転させうるよう剥離ローラカプリング193の対を介しキャリッジ150に連結されており、取上ローラ191は、回転軸191A周りで回転させうるよう取上ローラカプリング194を介しキャリッジ150に連結されている。図示の通り、取上ローラカプリング194は、取上ローラ191の軸191Aをキャリッジ150に対し移動させるアクチュエータ197を備えている。以下、このアクチュエータ197のことを取上ローラ軸移動アクチュエータ197と呼ぶ。剥離ローラカプリング193は、剥離ローラ190の軸190Aをキャリッジ150に対し移動させるアクチュエータ199を備えている。以下、このアクチュエータ199のことを剥離ローラ軸移動アクチュエータ199と呼ぶ。これらの軸移動アクチュエータ197及び199は、いずれも、コントローラ135から供給される種々の信号で制御することができ、また適宜接続乃至連結されたアクチュエータ(群)で実現することができる。例えば、電動モータ、流体圧アクチュエータ等のアクチュエータを適宜接続乃至連結することで、軸移動アクチュエータ197及び199を実現することができる。
【0054】
図示の通り、取上ローラカプリング194は、取上ローラ191をその軸191A周りで回転させる取上ローラ軸芯回転アクチュエータ198も備えている。このアクチュエータ198は、コントローラ135から発せられる種々の信号で制御することができる。アクチュエータ198は、適宜接続乃至連結された電動モータで実現するのが望ましいが、適切に構成されたものである限り、他のどのような種類のアクチュエータでも実現可能である。吸引口200は媒体112の分離を助ける手段として設けられている。なお、本実施形態では剥離ローラ190が従動ローラ即ちアイドラローラであるが、剥離ローラ190を回転駆動する構成にしてもよい。
【0055】
基板110から媒体112を分離させる際、コントローラ135は、ドライブ170及び172を制御することで、キャリッジ150を像形成時支持部185に対し移動させる。即ち、媒体112の端部210付近にある媒体分離ポジション414にて、キャリッジ150を位置決めする。次に、図2Kに示す如く、剥離ローラ軸移動アクチュエータ199を制御することで、Z軸と平行な成分を含む方向に沿って剥離ローラ190を移動させ、媒体112と接触させる。ローラ190が媒体112に接する位置は像非形成領域212内、即ち像形成済領域214の外側にするのが望ましい。そうした位置でローラ190を媒体112に接触させることで、像形成済領域214にローラ190が悪影響を与えその領域214内の像を劣化させることを、防ぐことができる。
【0056】
図2Kに示す如く、コントローラ135は、更に種々の信号を用いて取上ローラ軸移動アクチュエータ197を制御し、取上ローラ191を媒体112付近まで移動させる。好ましくは、像形成済領域214から剥離ローラ190までの距離に比べ、像形成済領域214から取上ローラ191までの距離の方が大きくなるよう、媒体112の像非形成領域212付近に取上ローラ191を移動させる。図2K中、取上ローラ191は、像非形成領域212の一部分215に接近するよう移動しており、その部分215はスタンド188がある部分と少なくとも部分的に重なっている。また、基板110の縁からその部分215までの距離は、基板110の縁からその基板110に媒体112を固定するための吸引口189Bまでの距離より、大きくなっている。取上ローラ191は媒体112と接触し、部分215を含め像非形成領域212の一部を自ローラ191に吸着させる。
【0057】
媒体112の一部分215を取上ローラ191の円筒面上に捉えた後は、図2Lに示す如く、コントローラ135が取上ローラ軸移動アクチュエータ197を制御し、取上ローラ191を基板110から遠ざけていく。即ち、少なくともZ軸と平行な成分を含む方向に沿って移動させていく。図2Kと図2Lの比較で判るように、アクチュエータ197の動作でキャリッジ150及び剥離ローラ190が動いているが、キャリッジ150及び剥離ローラ190の位置は変わっていない。このような形態で取上ローラ191を動かすと、対応部分215を含む媒体112の諸部分が、像形成時支持部185から遠ざかっていく。
【0058】
図2Lに示す如く、剥離ローラ190は好適にも媒体112と接触し続け、その媒体112に力を及ぼし続ける。従って、媒体112の一部分を基板110と接触させたまま、剥離ローラ190を挟み逆側にある他部分が、基板110から引き剥がされて剥離ローラ190の周面の一部に巻き取られることとなる。
【0059】
次いで、キャリッジ150をホーム方向408B沿いに移動させつつ取上ローラ191を矢印418の方向に回転させると、図2Mに示す如く、媒体112が取上ローラ191によって回収されていく。即ち、取上ローラ191の円筒面上に媒体112が巻き付いていく。剥離ローラ190を基板110上の媒体112の一部分に接触させたままであるので、媒体112には引き続き剥離ローラ190からの力が作用している。
【0060】
剥離ローラ190及び取上ローラ191を同時に回転及び移動させつつドナー要素の剥離動作を実行するのは、プリントスルー現象を防ぐためである。プリントスルー現象は、例えば、ローラを移動させつつそのローラ上に媒体を巻き取ることで媒体をはぎ取る場合に発生する。即ち、媒体の縁のうち先行してローラに巻き取られた方の縁を媒体の未剥離部分上で転がすと、その縁に備わる無視できない厚みによって、当該未剥離部分に不連続部分が発生する。その点、本実施形態では、取上ローラ191が基板110から遠ざけられているため、即ち端部210が取上ローラ191に巻き付いており像形成済領域214上で直に転がることがないため、像形成済領域214にその影響が及ばない。従って、媒体112の端部210にて縁の厚みによる段差が生じても、基板110上に発現する像がその段差の影響を受けることがない。なお、プリントスルー偽像等の偽像があまり目立たない用途では、取上ローラ191等のローラを設けない形態で本発明を実施することもできる。例えば、分離動作実行時にローラを媒体上で直に転がし、その媒体を連続的にそのローラに巻き取ることで、その媒体を分離させるようにしてもよい。
【0061】
面から媒体を分離させるときに発生しうる偽像はほかにもある。例えば、熱転写プロセスを実行した後、接触ローラを媒体上で転がすことで媒体を基板から剥がす場合、接触ローラ・分離方向間の整列誤差が原因で様々な偽像が発生する可能性がある。剥離ローラ190も接触ローラの一種であるので、上述の媒体分離動作では、ホーム方向408B沿いに動くようガイド174でキャリッジ150の動きを制約している。方向408Bに対し剥離ローラ190の向きが捩れると、媒体112・基板110間の剥離界面に剪断力が作用し、形成された像が攪乱される可能性があるからである。例えば、図4に示した例では、剥離ローラ190がXY座標系に対し角度δの捩れを呈している。この場合の角度δは、キャリッジ150の各側被案内端に対する剥離ローラ190の整列誤差も表している。
【0062】
そこで、本実施形態では、基板110から媒体112を分離させるのに先立ち、ステップ360にて、ドライブ170及び172を制御して剥離ローラ190の向きを整えるようにしている。即ち、媒体分離ポジション414に向かうようキャリッジ150を移動させる経路沿いの諸点で、図示の如くポジション414に向かい、ドライブ170及び172を差発生的に駆動することで、剥離ローラ190の向きを望ましい向きへと調整している。より具体的には、ドライブ170及び172を差発生的に駆動することで、基板110から媒体112を分離させるときのキャリッジ150の移動方向に対し実質的に平行な方向に沿い転がるような向きに、剥離ローラ190の向きを調整している。こうしてドライブ170及び172を差発生的に駆動すると、キャリッジ150がガイド174沿いに移動している間にキャリッジ150の各側被案内端が互いに異なる量だけ移動する。図2Nではキャリッジ150が媒体分離ポジション414に達しており、剥離ローラ190の回転軸190Aの向きが、それに続き媒体112を基板110から分離させる動作における所要移動方向に対し実質的に直交している。キャリッジ150の各側被案内端間に相対移動による位置差ΔCが生じており、XY平面内のX軸に対しキャリッジ150が角度ηの捩れを呈している。媒体112を基板110に載せる動作に係る図2J中の角度γと異なり、この角度ηは、媒体112を基板110から好適に分離させるよう設定されており、角度γとは違う値になっている。即ち、キャリッジ150の各側にある被案内端は、それぞれ、図2Jに示した媒体付加ポジションから図2Nに示す新たなポジションへと移動する際に、異なる量だけ変位している。この角度ηにより、キャリッジ150に対するローラ152の初期整列誤差、即ち図4中に角度δとして示したものを補償することができる。こうしてローラ152を正しい向きにしたら、次いで、ドライブ170及び172を制御してキャリッジ150を移動させることで、媒体112を基板110から分離させていく。例えば、図2Nに示すように、ドライブ170及び172を非差発生的に駆動しつつ、媒体112を基板110から分離させていく。また、こうして媒体112を基板110から分離させる際には、剥離ローラ190のそばに生じる剥離界面にて剪断力が生じる。角度ηを適宜設定することで、その剪断力を弱めることができる。
【0063】
使用済の媒体112を基板110から剥がして取上ローラ191上に巻き取ったら、ステップ380にて、キャリッジ150を排出システム126へと移動させ媒体112を排出する。本実施形態では、取上ローラ軸芯回転アクチュエータ198を制御し、取上ローラ191上の使用済媒体112をほどいて排出システム126内に排出する。
【0064】
このように、ドライブ170及び172を適宜制御することで、媒体付加器124で実行すべき種々の動作毎に、移動方向に対する各種ローラの向き(付加ローラ152や剥離ローラ190の向き)を正しい向きにすることができる。ローラがそれらの動作で採るべき向きは、試行錯誤法を含めた種々の手法で定めることができ、また媒体の種類(例えばその大きさや厚み)に応じて調整することができる。コントローラ135に与えるドライブ170,172向け駆動指令やデータを、付加器124内のローラ(群)を然るべく整列させうるように作成しておけばよい。その駆動指令は、温度変化、湿度変化等の環境変化に応じ修正することができるほか、各種可動部品(例えばガイドやガイドベアリング)の摩耗等の要因に応じ修正することもできる。
【0065】
また、以上例示説明した通り、本発明は、種々のディスプレイで使用される色フィルタの製造に適用することができる。例えば、液晶ディスプレイ用の色フィルタや有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ用の色フィルタである。また、OLEDディスプレイには様々な実現形態がある。例えば、液晶ディスプレイと同じように、複数種類の色別構成要素で形成された色フィルタを白色OLED光源と併用する形態がある。互いに別のOLED素材で形成された複数種類の有色光源を配する形態でも、本発明の実施に適するディスプレイを形成することができる。後者の形態では、そのOLED型光源自体で有色光輻射が制御されるため、受動型色フィルタを使用する必要がない。その場合、OLED素材を適切な媒体に転写しておき、そこからレーザ誘起熱転写法で基板上に転写すればよい。
【0066】
なお、本発明に係る手法は、本願中で例示説明したディスプレイ乃至電子デバイスの製造以外の分野、例えば生医学撮像用ラボンチップ(LOC)の製造にもそのまま適用することができる。本発明は、ウェブ状媒体を使用する様々な分野、例えば医用技術、印刷技術、電子デバイス製造技術等の分野で利用することができる。
【0067】
いわゆる当業者であれば、本願明細書の記載に基づき本発明を実施し、また本発明の技術的範囲内で上掲の実施形態に改変乃至改良を施すことができよう。
【符号の説明】
【0068】
10,110 基板(レシーバ要素)、12,112,114,116 媒体(ドナー要素)、14 レーザ、16 レーザビーム、102 装置、103 支持部、113,115,117 媒体ロール、120 媒体供給源、122 媒体送給システム 124 媒体付加/分離システム(媒体付加器)、126 排出システム、130 像形成システム、135 コントローラ、136 像形成ヘッド、137 画像データ、140 フレーム、141 枢軸、142 取込機構、143 取込ローラ、144,147,154,189A,189B,200 吸引口、145,210 媒体端部、146 搬送ガントリ、149 カッタ、150 キャリッジ、152 付加ローラ、153,190A,191A,415 回転軸、156 アクチュエータ、160 皺、162 取り込まれ皺、170 第1ドライブ、172 第2ドライブ、173 隙間、174 ガイド、174A 第1ガイド、174B 第2ガイド、175A,175B タイミングベルト、176A,176B ガイドベアリング、178 可撓部、179A,179B ガイドカプリング、180A,180B ホームセンサ、182A,182B アウェイセンサ、185 像形成時支持部、187 橋梁状支持部、188 スタンド、190 剥離ローラ、191 取上ローラ、193 剥離ローラカプリング、194 取上ローラカプリング、197 取上ローラ軸移動アクチュエータ、198 取上ローラ軸芯回転アクチュエータ、199 剥離ローラ軸移動アクチュエータ、212 像非形成領域、214 像形成済領域、215 像非形成領域の一部分、300〜380 ステップ、400 ローラ配置円半径、402,406 ローラ移動経路、404 媒体装荷ポジション、408 キャリッジ移動経路、408A アウェイ方向、408B ホーム方向、410 不均一応力分布、412 略均一応力分布、414 媒体分離ポジション、417 媒体付加ポジション、418 取上ローラ回転方向、420 付加ローラ第1端、422 付加ローラ第2端、424 付加ローラ周面、450A,450B 回転軸と交差する軸、ΔA,ΔB,ΔC 位置差、α,β,γ,δ,η,θ 角度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端及び第2端を有し且つその周面上に媒体の一部分を巻き取りうる可回転なローラを準備するステップと、
そのローラを搬送経路沿いに搬送しうるキャリッジを準備するステップと、
そのローラを移動させうるドライブを複数準備するステップと、
それらのドライブのうち第1及び第2ドライブを差発生的に駆動することで搬送経路方向に対するローラの向きを調整するステップと、
その向き調整済ローラを移動させつつ媒体の一部分を搬送するステップと、
を有する媒体搬送方法。
【請求項2】
請求項1記載の媒体搬送方法であって、第1及び第2ドライブを駆動するとキャリッジが搬送経路沿いに移動する媒体搬送方法。
【請求項3】
請求項1記載の媒体搬送方法であって、媒体を搬送する際、向き調整済ローラをその回転軸周りで回転させる媒体搬送方法。
【請求項4】
請求項1記載の媒体搬送方法であって、向き調整済ローラの周面を自分との重複無しでくるめる大きさの媒体を準備又は作成し、その媒体がその周面に巻き取られるよう向き調整済ローラをその回転軸周りで回転させる媒体搬送方法。
【請求項5】
請求項1記載の媒体搬送方法であって、搬送経路の一部分に沿い向き調整済ローラを移動させる際に、第1及び第2ドライブを非差発生的に駆動する媒体搬送方法。
【請求項6】
請求項1記載の媒体搬送方法であって、上記向き調整ステップにて、搬送経路方向に対しほぼ平行な方向に転がる向きになるよう、搬送経路方向に対するローラの向きを調整する媒体搬送方法。
【請求項7】
請求項2記載の媒体搬送方法であって、搬送経路の一部分に沿いキャリッジを移動させる際に、第1及び第2ドライブを非差発生的に駆動する媒体搬送方法。
【請求項8】
請求項2記載の媒体搬送方法であって、搬送経路方向に対するキャリッジの向きを調整する際に、第1及び第2ドライブを差発生的に駆動する媒体搬送方法。
【請求項9】
請求項8記載の媒体搬送方法であって、向き調整済キャリッジを搬送経路の一部分沿いに移動させる際に、第1及び第2ドライブを非差発生的に駆動する媒体搬送方法。
【請求項10】
請求項2記載の媒体搬送方法であって、キャリッジとして第1及び第2被案内端を有するものを使用し、搬送経路方向に対し平行な方向沿いに第1及び第2被案内端間に位置差が生じるよう第1及び第2ドライブを差発生的に駆動する媒体搬送方法。
【請求項11】
請求項10記載の媒体搬送方法であって、第1被案内端及びそれに対して位置差を有する第2被案内端を、搬送経路沿いにタンデムに移動させる媒体搬送方法。
【請求項12】
請求項1記載の媒体搬送方法であって、媒体で形成された媒体ロールを使用し、その媒体ロールの向きに対しローラの向きが揃うよう第1及び第2ドライブを差発生的に駆動し、更にその媒体ロールからその向き揃え済ローラへと媒体の一部分を取り込む媒体搬送方法。
【請求項13】
請求項12記載の媒体搬送方法であって、第1及び第2ドライブを差発生的に駆動することで、媒体ロールとローラの間に生じる面内整列誤差を抑制する媒体搬送方法。
【請求項14】
請求項12記載の媒体搬送方法であって、第1及び第2ドライブを差発生的に駆動することで、媒体ロールから向き揃え済ローラへと媒体の一部分を取り込むとき媒体幅方向に生じる張力の均質性を高める媒体搬送方法。
【請求項15】
請求項12記載の媒体搬送方法であって、第1及び第2ドライブを差発生的に駆動することで、媒体ロール及び向き揃え済ローラそれぞれの回転軸と、両回転軸と交差する共通の軸と、の直交度を高める媒体搬送方法。
【請求項16】
請求項12記載の媒体搬送方法であって、媒体ロールを形成している媒体を断片化するステップを有する媒体搬送方法。
【請求項17】
請求項1記載の媒体搬送方法であって、上記向き調整ステップにて、搬送経路方向に対するローラの向きが経路沿いの第1ポジションでは第1の向き、搬送経路沿いの第2ポジションでは第1の向きと違う第2の向きとなるよう、第1及び第2ドライブを差発生的に駆動する媒体搬送方法。
【請求項18】
請求項17記載の媒体搬送方法であって、ローラが第1の向きを向いているときにそのローラの周面に媒体の一部分を巻き取り、ローラが第2の向きを向いているときに媒体のうち巻き取り済の部分を基板に引き渡す媒体搬送方法。
【請求項19】
請求項18記載の媒体搬送方法であって、媒体のうち巻き取り済の部分を基板に引き渡す際に、第1及び第2ドライブを非差発生的に駆動する媒体搬送方法。
【請求項20】
請求項18記載の媒体搬送方法であって、媒体のうち巻き取り済の部分を基板に引き渡す際に、ローラが第2の向きを向いている状態でそのローラを基板上で転がす媒体搬送方法。
【請求項21】
請求項1記載の媒体搬送方法であって、向き調整済ローラを基板上で転がすことでその基板から媒体の一部分を分離させるステップを有する媒体搬送方法。
【請求項22】
請求項1記載の媒体搬送方法であって、媒体の一部分が基板から分離するよう第1及び第2ドライブを非差発生的に駆動するステップを有する媒体搬送方法。
【請求項23】
請求項1記載の媒体搬送方法であって、像形成プロセスに従い媒体の一部分に像を形成するステップを有する媒体搬送方法。
【請求項24】
請求項23記載の媒体搬送方法であって、その像形成プロセスがレーザ誘起熱転写プロセスを含む媒体搬送方法。
【請求項25】
請求項1記載の媒体搬送方法であって、その媒体がドナー要素であり、且つそのドナー要素から基板へとドナー素材を転写するステップを有する媒体搬送方法。
【請求項26】
請求項1記載の媒体搬送方法であって、上記向き調整ステップにて、搬送経路方向に対し平行な方向に沿い第1端記第2端間に位置差が生じるよう、第1及び第2ドライブを差発生的に駆動する媒体搬送方法。
【請求項27】
支持部と、
第1端及び第2端を有し且つその周面上に媒体の一部分を巻き取りうる可回転なローラと、
支持部上に可動搭載されておりローラを搬送経路沿いに搬送しうるキャリッジと、
そのローラを移動させうる複数のドライブと、
ドライブのうち第1及び第2ドライブを差発生的に駆動することで搬送経路方向に対するローラの向きを調整し、またキャリッジを駆動することでその向き調整済ローラを移動させつつ媒体の一部分を搬送させるコントローラと、
を備える媒体搬送装置。
【請求項28】
請求項27記載の媒体搬送装置であって、上記ローラが、付加ローラ、剥離ローラ及び取上ローラのうちいずれかである媒体搬送装置。
【請求項29】
請求項27記載の媒体搬送装置であって、上記複数のドライブが、搬送経路沿いにキャリッジを移動させうるドライブであり、上記コントローラが、第1及び第2ドライブを駆動することでキャリッジを搬送経路沿いに移動させる媒体搬送装置。
【請求項30】
請求項27記載の媒体搬送装置であって、上記コントローラが、搬送経路の第1部分に沿いキャリッジが移動しているときは第1及び第2ドライブを差発生的に駆動し、搬送経路の第2部分に沿いキャリッジが移動しているときは第1及び第2ドライブを非差発生的に駆動する媒体搬送装置。
【請求項31】
請求項29記載の媒体搬送装置であって、上記コントローラが、第1及び第2ドライブを差発生的に駆動して搬送経路の第1部分沿いにキャリッジを移動させ、第1及び第2ドライブを非差発生的に駆動して搬送経路の第2部分沿いにキャリッジを移動させる媒体搬送装置。
【請求項32】
請求項29記載の媒体搬送装置であって、上記キャリッジが第1及び第2ガイドベアリングを備え、上記コントローラが、搬送経路方向に対して平行な方向に沿い第1及び第2ガイドベアリング間に位置差が生じるよう第1及び第2ドライブを差発生的に駆動する媒体搬送装置。
【請求項33】
請求項32記載の媒体搬送装置であって、第1及び第2ガイドベアリングのうち一方を中心にしたキャリッジの枢動を可能にする可撓部を備える媒体搬送装置。
【請求項34】
請求項27記載の媒体搬送装置であって、上記コントローラが、搬送経路方向に対して平行な方向に沿い上記第1端と上記第2端の間に位置差が生じるよう、第1及び第2ドライブを差発生的に駆動する媒体搬送装置。
【請求項35】
ローラを搬送経路沿いに搬送可能なキャリッジを準備するステップと、
そのローラ上に媒体を実装するステップと、
その実装済媒体を搬送経路沿いに位置する像形成システムへと搬送するステップと、
経路方向に対するローラの向きを調整するステップと、
実装済媒体をその向き調整済ローラから面上へと引き渡すステップと、
その引渡済媒体に像を形成するステップと、
を有する対媒体像形成方法。
【請求項36】
請求項35記載の対媒体像形成方法であって、ローラを移動させうる複数のドライブを準備するステップと、それら複数のドライブを差発生的に駆動することで搬送経路方向に対するローラの向きを調整するステップと、を有する対媒体像形成方法。
【請求項37】
請求項36記載の対媒体像形成方法であって、実装済媒体を向き調整済ローラから上記面上へと引き渡す際に、上記複数のドライブを非差発生的に駆動する対媒体像形成方法。
【請求項38】
請求項36記載の対媒体像形成方法であって、搬送経路沿いにキャリッジが移動するよう上記複数のドライブを駆動するステップを有する対媒体像形成方法。
【請求項39】
請求項36記載の対媒体像形成方法であって、実装済媒体を向き調整済ローラから上記面上へと引き渡す際に、搬送経路沿いにキャリッジが移動するよう上記複数のドライブを駆動する対媒体像形成方法。
【請求項40】
請求項35記載の対媒体像形成方法であって、向き調整済ローラを上記面上で転がすことで、実装済媒体をその向き調整済ローラからその面上へと引き渡す対媒体像形成方法。
【請求項41】
請求項35記載の対媒体像形成方法であって、上記ローラが付加ローラである対媒体像形成方法。
【請求項42】
請求項35記載の対媒体像形成方法であって、上記キャリッジが搬送経路沿いに接触ローラを搬送可能なものであり、更に、
搬送経路方向に対する接触ローラの向きを調整するステップと、
その向き調整済接触ローラを像形成済媒体に接触させるステップと、
像形成済媒体を上記面から分離させるステップと、
を有する対媒体像形成方法。
【請求項43】
請求項42記載の対媒体像形成方法であって、上記接触ローラを移動させうる複数のドライブを準備するステップと、それら複数のドライブを差発生的に駆動することで搬送経路方向に対する接触ローラの向きを調整するステップと、を有する対媒体像形成方法。
【請求項44】
請求項43記載の対媒体像形成方法であって、像形成済媒体を上記面から分離させる際に、上記複数のドライブを非差発生的に駆動する対媒体像形成方法。
【請求項45】
請求項43記載の対媒体像形成方法であって、像形成済媒体を上記面から分離させる際に、上記複数のドライブを駆動してキャリッジを移動させる対媒体像形成方法。
【請求項46】
請求項43記載の対媒体像形成方法であって、向き調整済接触ローラを像形成済媒体上で転がすことで、上記面からその媒体を分離させる対媒体像形成方法。
【請求項47】
請求項46記載の対媒体像形成方法であって、上記面から分離しつつある像形成済媒体を巻き取るための取上ローラを準備するステップを有する対媒体像形成方法。
【請求項48】
請求項35記載の対媒体像形成方法であって、引渡済媒体への像形成を熱転写プロセスで実行する対媒体像形成方法。
【請求項49】
請求項42記載の対媒体像形成方法であって、上記接触ローラが剥離ローラである対媒体像形成方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2J】
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【図2K】
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【図2L】
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【図2M】
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【図2N】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−521800(P2011−521800A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503507(P2011−503507)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【国際出願番号】PCT/IB2008/000912
【国際公開番号】WO2009/127888
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(598088778)コダック グラフィック コミュニケーションズ カナダ カンパニー (34)
【Fターム(参考)】