説明

ロールシェード装置

【課題】
薄型のロールシェード装置を提供すること。
【解決手段】
車両の遮光シート10を開放する巻取状態と、遮光シート10を閉鎖する展開状態に移動される遮光シート10の移動方向の側縁部10aに連結される可撓ベルト60と、移動方向に延在するとともに、可撓ベルト60を摺動自在に支持して、遮光シート10の移動を案内するガイドレール20,21と、遮光シート10に連係されガイドレール20,21に係合されて、遮光シート10を移動させるラックベルト42,43とを備えるロールシェード装置100であって、ガイドレール20,21に移動方向に延在に延在して形成され、可撓ベルト60及びラックベルト42,43が移動方向に対して重ねて配設される単一のベルト溝23を有することを特徴とするロールシェード装置100とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のロールシェード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ルーフ開口部に設けられた覆いの下方に巻取用スプールに自動的に巻取可能なブラインドウェブを具備する車両ルーフ用のブラインドが開示されている。ブラインドウェブは、左右側縁に複数の補強縁部を有している。補強縁部は、ブラインドウェブの平面に対し折り曲げ可能であり、ブラインドウェブが繰り出される際は、ガイドレールのブラインドウェブの平面に対して折り曲げられた案内部を有する案内溝により折り曲げられ、ブラインドウェブが巻き取られる際は、案内部から離脱し平坦状態へ戻される。また、ブラインドウェブの前端と係合してブラインドを作動するための引張りロープが、案内溝の案内部の下方に設けられた収容通路に配設されている。
【0003】
このブラインドは、ブラインドウェブが巻取用スプールから繰り出される途中や繰り出された展開状態において、ブラインドウェブの側方がはためくことがない。また、引張りロープは案内溝の案内部の下方に配設され目立たつことがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−190733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている車両ルーフ用のブラインドでは、案内溝は、案内部の下方に、引張りロープ用の収容通路を有するため、ガイドレールの厚みが増し、ひいては車両ルーフ用のブラインドの厚みが増してしまう。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、薄型の車両ルーフ用のブラインド(本発明におけるロールシェード装置)を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的課題を解決するために本発明にて講じられた第1の技術的手段は、車両の透光部材を開放する巻取状態と、前記透光部材を閉鎖する展開状態とに移動される遮光シートの移動方向の側縁部に連結される案内帯と、前記移動方向に延在するとともに、前記案内帯を摺動自在に支持して前記遮光シートの移動を案内するレール部材と、少なくとも一部分が前記移動方向に延在するとともに、前記レール部材に摺動自在に支持され、前記遮光シートに連係され、前記遮光シートを移動させるラックベルトとを備えるロールシェード装置であって、前記レール部材に前記移動方向に延在して形成され、前記案内帯及び前記ラックベルトが前記移動方向に対して重ねて配設される単一の溝を有するロールシェード装置としたことである。
【0008】
第2の技術的手段は、請求項1に記載のロールシェード装置において、前記案内帯及び前記ラックベルトを連結する連結部材を備えることとしたことである。
【0009】
第3の技術的手段は、請求項1または請求項2に記載のロールシェード装置において、前記ラックベルトの前記移動方向に対して直交する断面の長手方向と前記案内帯の前記移動方向に対して直交する断面の長手方向が同じ方向に配設されていることとしたことである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によると、案内帯及びラックベルトは、単一の溝に移動方向に対して重ねて配設されるため、レール部材を薄型化でき、ひいてはロールシェード装置を薄型化できる。
【0011】
請求項2の発明によると、案内帯及びラックベルトは、連結部材により連結されているため、遮光シートとラックベルトの移動時のずれを抑制できる。
【0012】
請求項3の発明によると、ラックベルト及び案内帯のそれぞれの断面の長手方向が同じ方向に配設されているため、ラックベルト及び案内帯が配設される溝を共用でき、その断面を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るロールシェード装置が設けられた車両ルーフの斜視図。
【図2】本発明に係るロールシェード装置の斜視図。
【図3】図2のA−A断面を示す断面図。
【図4】図2のB−B断面を示す断面図。
【図5】図3の上方から見た可撓ベルトとラックベルトの連結構造を示す図。
【図6】可撓ベルトとラックベルトの連結構造の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図1乃至図5に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1の実施例に係るロールシェード装置100が設けられる自動車のルーフ1の斜視図である。ルーフ1を形成するルーフパネル1aには、開口部1bが形成され、ガラスパネル(透光部材)1cが配設されている。ルーフパネル1aの下方には、図2に示すロールシェード装置100が配設される。ロールシェード装置100は、ガラスパネル1cの開放または閉鎖を行う。なお、ガラスパネル1cは、ルーフパネル1aに対して固定あるいは可動する構造のいずれであってもよい。
【0016】
図2は、ロールシェード装置100の斜視図である。ロールシェード装置100は、遮光シート10、ガイドレール(レール部材)20,21及び巻取機構30を備えている。
【0017】
ガイドレール20,21は、開口部1bの車両幅方向(幅方向)の両側に対向して設けられ、車両前後方向に延在している。ガイドレール20,21には、前端部間、後端部間を橋渡しする樹脂ハウジング22及びリアフレーム23が配設されている。
【0018】
樹脂ハウジング22の長手方向中央部には、アクチュエータ40が配設されている。アクチュエータ40は、電動モータ(図示略)により駆動される駆動ギヤ41を有する。駆動ギヤ41には、その回転に伴い一端が引き寄せられると共に他端が繰り出される一対のラックベルト42,43が噛合されている。ラックベルト42,43は、駆動ギヤ41から樹脂ハウジング22に沿ってそれぞれ延びガイドレール20、21に案内されている。
【0019】
リアフレーム23には、車両幅方向に延びる巻取軸に支持され車両幅方向に延在する巻取ローラ31が配設されている。巻取ローラ31は、巻取り及び繰り出し可能な遮光シート10がその一端を連結されて巻回され、内蔵する付勢手段により遮光シート10を巻取る側に常時付勢している。遮光シート10は繰り出され、ガラスパネル1cを閉鎖するように移動される。
【0020】
遮光シート10の他端には、巻取ローラ31と平行に車両幅方向(遮光シート10の幅方向)に延在するガーニッシュ11が連結されている。
【0021】
ガーニッシュ11の長手方向両端部は、ラックベルト42,43に連結されている。ラックベルト42,43の移動に伴い、ガーニッシュ11は車両前後方向に移動する。
【0022】
図3は、図2のA−A断面を示す断面図であり、ガーニッシュ11、ラックベルト42とガイドレール20との係合構造を示す。なお、ガーニッシュ11、ラックベルト43とガイドレール21との係合構造は、ガーニッシュ11、ラックベルト42とガイドレール20との係合構造と同様のため説明は省略する。
【0023】
車両前後方向の移動を案内するシュー12は、段差を有して背向し突出する突部13a、13bを有する結合部材13を介してガーニッシュ11に連結されている。ガイドレール20は、車両前後方向に延在して形成されるシュー案内溝20a及びベルト案内溝20bを有する。シュー案内溝20aは、シュー12を車両前後方向に摺動自在に案内する。ベルト案内溝20bは、ラックベルト42を車両前後方向に摺動自在に案内する。また、シュー案内溝20a及びベルト案内溝20bは、遮光シート10の幅方向に隣接して配設されている。そして、シュー案内溝20aの遮光シート10の幅方向内方及びシュー案内溝20aとベルト案内溝20bの間に、遮光シート10の幅方向に連通するガイド部20c、20dがそれぞれ形成されている。
【0024】
遮光シート10の幅方向外方に突出する突部13bは、ガイド部20c、20dを貫通し、シュー案内溝20aにおいてシュー12が固定され、ベルト案内溝20bにおいてラックベルト42が固定されている。ラックベルト42は、移動方向に対して直交する断面の長手方向Pが車両上下方向に配設されている。
【0025】
シュー案内溝20a及びベルト案内溝20bを隣接して配設し、シュー12及びラックベルト42を共通の突部13bにより固定することで、ロールシェード装置100の小型化及び部品点数の低減がはかられる。
【0026】
突部13bは、遮光シート10が移動する移動面と同じ平面上で遮光シート10の幅方向に外方に突出するとともに、ガーニッシュ11の車両上下方向の下方面11aが移動面と同じ平面上に配設されている。
【0027】
遮光シート10及びガーニッシュ11の下方面11aが同じ平面上に配設されることにより、段差がなく外観が向上される。
【0028】
図4は、図2のB−B断面を示す断面図であり、遮光シート10は、ガイド部20c、シュー案内溝20a及びガイド部20dを挿通し、遮光シート10の車両幅方向側縁部10aに、可撓ベルト(案内帯)60が、接着、溶着又は縫製等により取り付けられている。可撓ベルト60は、遮光シート10の移動方向(車両前後方向)に延在し、ガイドレール20のベルト案内溝20bに案内されている。可撓ベルト60は、移動方向に対して直交する断面の長手方向Qが車両上下方向に配設されている。可撓ベルト60は、ガイドレール20の巻取ローラ31側に設けられた移行溝(図示略)により、可撓ベルト60の断面の長手方向が車両上下方向(移動面に垂直)の姿勢から移動面に平行な姿勢に変位され、遮光シート10と共に巻取ローラ31に巻取られる。このように、ラックベルト42及び可撓ベルト60は、ガイドレール20における遮光シート10の移動方向に延在する単一のベルトガイド溝20bに該移動方向に対して重ねて配設される。詳説すると、ラックベルト42及び可撓ベルト60のそれぞれの断面の長手方向P、Qが車両上下方向の同じ方向に配設される。そのため、ラックベルト42及び可撓ベルト60が係合されるベルト案内溝20bを共用でき、その断面を小さくすることができる。ここで、ラックベルト42及び可撓ベルト60のそれぞれの断面の長手方向P、Qは必ずしも車両上下方向と同じ方向に配設される必要はなく、例えば車幅方向と同じ方向に配設してもよい。また、ラックベルト42及び可撓ベルト60のそれぞれの断面の長手方向P、Qは必ずしも完全に一致しなくても、単一のベルト案内溝20bに移動方向に対して重ねて配設される構成であれば長手方向P、Qはずれた構成であってもよい。
【0029】
図5は、図3の上方から見た可撓ベルト60とラックベルト42の連結構造を示す図である。ラックベルト42と案内帯60は、直列に連結され連続した単一のベルト案内溝20bに、ベルト案内溝20bの長手方向に見てラックベルト42と案内帯60が重合するように配設され案内されている。これにより、ガイドレール20を薄型化でき、ひいてはロールシェード装置100を薄型化できる。可撓ベルト60に形成された貫通孔60aに、ラックベルト42に連結されたシュー12に遮光シート10の幅方向に設けられた突状の突部12aが係合し、可撓ベルト60とラックベルト42が連結される。すなわち、シュー12は、ガーニッシュ11の車両前後方向の移動を案内する機能と、ラックベルト42と案内帯60とを連結する機能とを有する。これにより、可撓ベルト60とラックベルト42の移動時のずれを抑制でき、可撓ベルト60(遮光シート10)の移動を円滑にできる。
【0030】
図6に可撓ベルト60とラックベルト42の連結構造の変形例を示す。図6に示す連結構造は、可撓ベルト60に固定された連結部材61に突状に設けられた突部61aがラックベルト42に設けられた貫通孔42aに係合され、可撓ベルト60とラックベルト42が連結される。
【符号の説明】
【0031】
1c・・・ガラスパネル(透光部材)
10・・・遮光シート
10a・・・側縁部
12・・・シュー(連結部材)
20、21・・・ガイドレール(レール部材)
42、43・・・ラックベルト
60・・・可撓ベルト(案内帯)
61・・・連結部材
100・・・ロールシェード装置
P・・・ラックベルトの移動方向に対して直交する断面の長手方向
Q・・・案内帯の移動方向に対して直交する断面の長手方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の透光部材を開放する巻取状態と、前記透光部材を閉鎖する展開状態とに移動される遮光シートの移動方向の側縁部に連結される案内帯と、
前記移動方向に延在するとともに、前記案内帯を摺動自在に支持して前記遮光シートの移動を案内するレール部材と、
少なくとも一部分が前記移動方向に延在するとともに、前記レール部材に摺動自在に支持され、前記遮光シートに連係され、前記遮光シートを移動させるラックベルトとを備えるロールシェード装置であって、
前記レール部材に前記移動方向に延在して形成され、前記案内帯及び前記ラックベルトが前記移動方向に対して重ねて配設される単一の溝を有することを特徴とするロールシェード装置。
【請求項2】
請求項1に記載のロールシェード装置において、
前記案内帯及び前記ラックベルトを連結する連結部材を備えることを特徴とするロールシェード装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のロールシェード装置において、
前記ラックベルトの前記移動方向に対して直交する断面の長手方向と前記案内帯の前記移動方向に対して直交する断面の長手方向が同じ方向に配設されていることを特徴とするロールシェード装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−68286(P2011−68286A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222409(P2009−222409)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)