説明

ロール交換装置における自動のロール装着域のための危険域防護装置

本発明は、ロール交換装置(02)におけるロール搬送域(01)のための危険域防護装置であって、該ロール搬送域の進入境界部に、非接触式に作用する保護装置を備え、該保護装置は、予め認識された既知の物が進入および/または退出するために無効化可能であり、評価ユニットを備え、保護装置は、光格子(03)として形成されており、該光格子(03)は、相互に平行に延びる複数の光線(04)を備えているものにおいて、評価ユニットは、何らかの物が進入および/または退出する際に光線(04)が中断する順序を検出するための手段を備えており、評価ユニットが、該光線の中断順序に基づいて、危険域への到達が許容される既知の物を検出し、その際、保護装置を無効化し、危険域防護装置は、追加的に、非接触式に作用する第2の保護装置を備えており、該保第2の護装置は、持続的に有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載のロール交換装置における自動のロール交換域のための危険域防護装置に関する。
【0002】
たとえば工作機械および産業ロボットのような技術設備では、機械の可動部分に近付く人が怪我をするリスクが存在する。ロール交換装置における危険箇所は、特にロール支持アームの旋回域、ロール交換装置の後方における接着アームの旋回域、装着域ならびにロール交換装置の下方の溝である。したがって、機械に、機械の可動部の作動による人の怪我を防止する保護装置を設ける必要がある。このために従来から、とりわけ機械式の保護装置が用いられている。工作機械は多くの場合完全に包囲され、その際、アプローチは防護扉を通って行われる。産業ロボットは、保護柵で包囲された範囲で運転される。
【0003】
しかし機械式の保護装置は、欠点を有している。保護装置自体にも、また、場合によっては設けられる防護扉を開放するためにも、適当な空間を設ける必要があり、これにより設備全体の所要スペースが増えることになる。さらに生産プロセスに迅速な介入は不可能である。なぜならば防護扉または保護柵の開放に相応の時間および制御の手間が掛かるからである。加えて機械式の保護装置は、保守が不要でなく、摩耗が生じないものでもない。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102005048466号明細書において、印刷機のロール交換装置における作業員保護装置が記載されており、作業員保護装置は、たとえば保護ネットとして、ロール交換装置の装着サイドに形成されている。作業員保護装置は、残存ロールが、危険な、つまり破断の恐れがある直径寸法に近付くと、装着サイドを、保護されたスペースとする。このようにしてロール交換装置に位置する作業員は、破損したロールの断片に対して確実に保護される。このために保護装置は、新たな材料ロールを供給するのに用いられる移動台および装着サイドのロールスタンドに対する固定点に設けられている。新たな材料ロールを供給するために、移動台は、ロールスタンドに向かって移動し、その際、保護装置を緊締する。したがって保護装置は、残存ロールが危険な状態となると、有効化される。別の時点では、ロール交換装置の装着サイドの範囲は、妨害されずに進入可能である。機械式の保護装置の無効状態でも、作業員に、潜在的に危険性のある領域における危険な状況を指摘するために、追加的に、光バリヤを用いた領域防護装置が提案される。光バリヤから送信される信号に基づいて、視聴可能なサインが、ロール交換装置の領域にいる作業員に送られる。
【0005】
国際公開第2005/080241号パンフレットから、運転の安全性のために、比較的大きな可動の材料ロールの周辺に区域防護装置を設けることが公知である。ここでは、材料ロール貯蔵部の境界に柵を取り付けることが提案されている。貯蔵部に対する材料ロールの搬入もしくは搬出のために、区域防護装置にゲートを設けることができる。ゲート部分には、好適には非接触式に作動する区域防護装置が提供され、区域防護装置は、たとえば光バリヤまたは超音波センサを用いて実現される。そのようなセンサを様々な高さに配置することによって、複雑な問い合わせルーチンが実現されるので、たとえば材料ロールは、問題なくゲートを通過することができ、これに対してセンサ区間の権限のない通過はアラームを作動させ、かつ/または事故を防止するために、材料ロールの運動を停止させる。
【0006】
欧州特許公開第0849201号明細書は、貯蔵ロールの側方の姿勢を検出して位置決めする方法に関しており、ここでは、ロール太さやロール交換装置に対する側方の間隔は、直接に、対向して位置するたとえばレーザ光センサまたは超音波センサとして構成された検出エレメントによって測定され、評価される。さらに検出エレメントは、貯蔵ロールを位置決めするための駆動ユニットの、メモリにプログラム可能な制御装置と接続されている。
【0007】
欧州特許公開第153630号明細書において、巻き上げられて貯蔵ロールを形成する材料ウェブを準備するための装置が開示されており、この装置は、縦軸線を中心に貯蔵ロールを回動させ支持するための貯蔵部を備えている。センサは、回動中に、貯蔵ロールの半径を検出するために用いられる。貯蔵ロールの縦軸線に対して平行に、半径を検出する複数のセンサが配置されている。
【0008】
前掲の文献に記載された、非接触式に作用する装置は、ロール交換装置における自動のロール装着域のロールの位置または寸法を検出するために用いられ、保護または安全機能を満たすものではない。
【0009】
ドイツ連邦共和国特許第3134815号明細書において、たとえばショーウインドを保護もしくは監視するための、非接触式に作用するエリア保護装置が公知である。エリア保護装置は、防護しようとするエリア側に沿って、全長にわたってビームを放射する源を有している。これとは反対側に延在して、反射性の条片が配置されている。ビームは、主に源と反射性の条片とによって形成される平面上で反射される。ビーム源の両端部に、それぞれ1つのビーム検出器が設けられており、ビーム検出器は、評価回路と接続されている。エリア保護装置は、たとえば危険域において通過安全装置として用いることができ、ここでは2つのバーの間に光カーテンが形成され、その中断時に信号が送信される。この危険域防護装置の欠点によれば、簡単な保護機能しか担うことができない。
【0010】
ドイツ連邦共和国特許第19938639号明細書において、危険域、特に自動で作動する機械の危険域を防護するための装置が公知であり、防護装置は、光学式に監視する仮想のバリヤを形成する第1の手段と、バリヤが中断される際に機械を停止させるための切換信号を形成する第2の手段とを備えている。第1の手段は、画像記録ユニットならびに所定の目標を有しており、その画像は、画像記録ユニットによって記録され、比較ユニット(第2の手段)によって、規準画像を表す値と比較される。所定の目標は、構造化されたコントラストの豊かな、現在位置を特定するための位置マークを有するパターンである。この装置の構成による点状のパターンによって、仮想のバリヤを形成することができ、その形状は、光バリヤの形状に相当する。これに対して選択的に、点状の多数のパターンを並べて配置して、ライン状のパターンを形成することもできる。この装置は、保護機能を満たすだけである。記録された画像の評価および規準画像との比較は煩雑である。
【0011】
ドイツ連邦共和国実用新案登録第29602098号明細書は、輪転印刷機の印刷部にロールに巻き上げられた被印刷物ウェブを導入するための、輪転印刷機におけるロール交換装置に関する。ロール交換装置の周辺域は、少なくとも1つのセンサ、特に光学センサ、たとえばカメラによって監視され、カメラは、画像認識計算機に接続されている。画像認識計算機では、記録された周辺域の実際画像と記憶された目標画像または目標画像の連続との間で比較が行われる。ずれが存在する場合、信号形成装置によって、警告信号または警報信号が形成される。少なくとも1つのセンサに、進入検知マット、コンタクトストリップ、光バリヤなどの非接触式に作用する保護装置が含まれ、保護装置は、部分情報を伝達するため、またはセンサを制御または有効化するために用いられる。この文献に開示された構成では、ロール交換装置の周辺域の監視が実現され、これによって選択的な保護が実現され、既知の対象物が検出され、その域への進入が警告または警報信号を作動させることなく実現される。もちろん画像認識は、監視される域における主体要因によって、たとえば検出された実際画像上の、目標画像から既知のものとして認識される対象物のずれた調節によって僅かに影響を与えられ、これにより障害または機能エラーが生じることもある。
【0012】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10026305号明細書には、非接触式に作用する少なくとも1つの保護装置を備えた、保護域を監視するためのオプトエレクトロニクス式の装置が記載されており、この装置は、保護域に物が進入する際に状況確認信号を形成するための評価ユニットを備えている。非接触式に作用する保護装置は、光格子であってよく、光格子は、光線を送信する送信ユニットと、光線を受信する受信ユニットと、受信ユニットと接続された評価ユニットとを備えている。保護機能の他の追加的な機能を行うために、非接触式に作用する保護装置は、保護域の傍ではあるが保護域の外側に位置する2次的な監視域を検出するための画像検出装置と接続されている。いわゆるミューティング機能は、状況確認信号を形成することなく、保護域に既知の物が進入するために、非接触式に作用する保護装置の短時間の無効化を許容する。ミューティング機能は、画像検出ユニットによって実現され、画像検出ユニットは、2次的な監視域に進入する物を検出し、その際、許容される物と許容されない物との間の区別が行われる。検出された物の分類が可能である。この構成の欠点によれば、既知の物の検出が必ずしも確実に機能するとは限らない。さらに追加的な画像検出ユニットの装置は、手間が増え、コスト増加につながる。
【0013】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102005030829号明細書から、光格子を運転する方法が公知であり、そこでは記憶された基準動作を有する光線の連続的な中断から切換信号が形成される。
【0014】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102004038906号明細書において、光格子に対して追加的に、物上のマークを評価ユニットに伝達することが提案されている。
【0015】
ドイツ連邦共和国実用新案登録第29500873号明細書では、光格子の光線の中断順序が検出され、許容される物または人が区別される。
【0016】
本発明の課題は、ロール交換装置における自動のロール装着域のための危険域防護装置を提供することである。
【0017】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴部に記載の構成によって解決される。
【0018】
特に本発明によって得られる利点によれば、ロール交換装置における自動のロール装着域のための、非接触式に作用する保護機構に基づいて、改善された危険域防護装置を提供することができ、様々なロール直径でも、残芯容器の搬出でも、保護域の持続的な防護が保証される。
【0019】
危険域防護装置は、非接触式に作用する保護装置を備えおり、保護装置は、評価ユニットと接続されている。保護装置は、光格子として形成されており、光格子は、相互に平行に延びる複数の光線を備えている。評価ユニットは、何らかの物が進入および/または退出する際に光線の中断順序を検出し、したがって既知の物を認識して、所定の場合には、保護装置を無効化する。
【0020】
本発明の格別な利点によれば、保護装置は、保護機能の他に、ミューティング機能を有しており、これにより、ミューティング機能のための追加的な装置に掛かる手間やコストが節約される。
【0021】
いわゆるミューティング機能は、安全装置の一部または安全装置全体の時間的に制限された無効化を許容する。好適には、物の進入は、安全装置を作動させることなく許容される。
【0022】
好適な実施の形態では、光線は、均等に相互間隔を有していて、水平方向に対して斜めに延びており、その際、光線は、別の実施の形態では、水平方向に延びてもよく、光格子が形成する面は、垂直方向に対して斜めに配置してもよい。
【0023】
既知の物の上方を延びる光格子の少なくとも1つの光線は、好適には、持続的に有効であってよく、これによって、人または許容されない物が、保護装置の無効状態で進入が許可される既知の物と一緒に進入する場合に、ロール交換装置における自動のロール装着域における保護域への人または許容されない物の進入が検出される。
【0024】
進入が許可される既知の物は、たとえば材料ロール、残芯容器または無人運搬車であってよい。
【0025】
危険域防護装置は、追加的に、ミューティングのための少なくとも2つのフォトセル、たとえば反射性のフォトセルを備えることができ、フォトセルは、評価ユニットと接続されている。好適な実施の形態では、特に4つの反射性のフォトセルが、ミューティング群として(光格子の前後に2つずつ)組み込まれている。したがって物、特に残芯容器は、たとえばその上に接着された反射ストリップに基づいて検出され、ミューティング機能が有効化されるか、もしくは、保護装置が無効化される。このことは特にロールに対して別の形状を有する残芯容器の搬出時に要求される。たとえば評価ユニット内でロールだけが既知の物として具体化されている場合(形状および光線の中断順序の簡単な評価に基づいて)、残芯容器における反射ストリップのミューティング機能が実行される。残芯容器の搬出は、多くの場合無人運搬車(AGV=automatic guided vehicle)を用いて行われる。無人運搬車は、安全域を通過するために、同様にミューティング用の反射ストリップを備えるか、または、AGVを、安全域への進入が許可される既知の物として認識するために、評価ユニットにおいて、光格子の光線の相応の中断順序が既知である必要がある。
【0026】
保護装置の無効状態で既知の物と一緒に人または物が進入することに対して保護された領域を防護するために、危険域防護装置は、持続的に有効で非接触式に作用する第2の保護装置を備えることができ、第2の保護装置は、少なくとも2本の光線を有しており、光線は、既知の物の上方で僅かな間隔を有して交差し、引き続き延在して、既知の物の傍を通過する。2本の光線は、既知の物の上半部に接する仮想接線に対して数ミリメートルから数センチメートルまでの間隔でこれと平行に延びている。2本の光線の下端は、公知の物の上縁よりも大幅に下側に位置し、選択された接触角度に応じて、既知の物の軸平面の傍に位置する。
【0027】
本発明の利点によれば、既知の物が、比較的大きなロール直径を有しているロールである場合でも、持続的に有効な、非接触式に作用する第2の保護装置によって、確実で持続的な危険域防護装置を実現することができる。光線の経過は、第2の保護装置の光線の意図的でない上方の通過も下方の通過も許容しない。光線の下方の通過は、もちろん人が強く屈んだ状態で移動する場合は可能である。最良の保護装置は、限定した範囲で、あらゆる可能性もしくは意図的な迂回に対して保護することができる。保護装置の課題は、どのような場合でも意図的な進入を確実に防止することではない。
【0028】
本発明の別の利点を挙げると、保護装置は、直にロール交換装置に取り付けることができる。したがってロールの上方に配置された固定点を必要とする公知の構成とは異なって、ロール交換装置の外側に位置する追加的な固定点は必要としない。
【0029】
特に好適な構成では、非接触式に作用する保護装置および/または非接触式に作用する持続的に有効な第2の保護装置は、光線ごとに送信器と受信器とを備えている。また、保護装置は、全ての光線のために正確に1つの送信器と1つの受信器と複数の変向ミラーとを備えるようにすることもできる。
【0030】
好適な構成では、前述の保護装置に一方向性の光バリヤが用いられ、その際、送信器と受信器とは、対向して位置し、それぞれ別のハウジングに配置されている。
【0031】
特に好適には、前述の保護装置に反射性の光バリヤが用いられる。このような構成では、コンビネーション型の送信受信ユニットがリフレクタに対向して配置されている。送信された光線は、リフレクタを介して受信ユニットに戻される。
【0032】
好適には、送信器、受信器、リフレクタもしくは変向ミラーの位置が可変である。このようにして防護域への進入が許容される様々な既知の物に対する適合が行われる。これに関して、特に好適には、危険域防護装置は、既知の物の寸法を検出するためのセンサを備えている。
【0033】
特に持続的に有効な非接触式に作用する第2の保護装置の規定通りの機能のために、光線が既知の物に接触しないよう保証する必要がある。なぜならば光線は、危険域を、第1の保護装置の無効状態で、既知の物が進入および/または退出する間に防護する必要があるからである。したがって第2の保護装置は、既知の物が進入境界部を通走する場合に、作動してはならない。様々な物に対する適合性によって、光線は、常に、既知の物が通過する域の外側に位置するよう保証される。
【0034】
さらに別の好適な構成では、センサが調節装置と接続されている。調節装置は、既知の物に対して、送信器、受信器、リフレクタもしくは変向ミラーを自動で適合させるようになっている。このような調節装置を使用することによって、常に、送信器、受信器、リフレクタもしくは変向ミラーの新たな位置決めが、既知の物の検出された寸法に応じて行われるように保証されている。もちろん手動で位置決めを行うこともできる。このためにロール交換装置に、手動の位置決めを補助する適切なスケールが取り付けられている。
【0035】
1524mmまでのロール直径を有するロールのための危険域防護装置が好適である。このような大きなロールでは、従来慣用の保護装置では、小さな人が少し屈むだけで第2の保護装置の光線の下方を通過することができたので、十分な保護を行うことはできなかった。
【0036】
危険域防護装置は、フォトセルを備えることもでき、フォトセルは、ロールまたは無人運搬車を開始位置に位置決めするために、防護域の内側に配置されている。
【0037】
本発明の実施の形態を図示して、以下に詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】自動的ロール装着域における危険域防護装置を示す原理図である。
【図2】危険域防護装置と共にロール交換装置を示す斜視図である。
【図3a】自動のロール装着域における危険域防護装置を示す原理図である。
【図3b】別の構成の危険域防護装置を示す原理図である。
【図3c】非接触式に作用する持続的に有効な第2の保護装置と共に、自動のロール装着域における危険域防護装置の、非接触式に作用する保護装置の光格子を示す図である。
【図4】開始位置にロールを位置決めするためのフォトセルを備えた、自動のロール装着域における危険域防護装置の1つの実施の形態を示す正面図である。
【0039】
図1は、ロール交換装置02(図2)における自動のロール装着域01もしくはロール搬送域のための危険域防護装置を示す。危険域防護装置は、非接触式に作用する第1の保護装置を備えており、第1の保護装置は、進入境界部に配置されている。防護されるべき進入境界部は、ロール供給側だけでなく、両側で人が自由に進入可能である場合には、ロール供給側とは反対側にも設けられている。第1の保護装置は、2つの光線04を有しており、光線04は、ロール05もしくは残芯容器が通過する部分を保護し、その際、第1の保護装置は、進入および退出を実現するために無効化(非作動化)可能である。以下において、保護される域に進入するロール05について言及するが、これは、同様に、進入する残芯容器または無人運搬車にも適用され、ロール05または残芯容器もしくは無人運搬車の退出時の逆の運動経過にも適用される。
【0040】
ロール05を交換するために、第1の保護装置は、無効化させることができる。さらに危険域防護装置は、ロール05の周辺域を持続的に防護するための、持続的に有効な、非接触式に作用する第2の保護装置を備えている。第2の保護装置は、光線07を有しており、光線07は、最大ロール直径(取扱可能な最大ロール直径)から50mmの間隔を有している。しかし、割合大きなロール直径では、このように構成された第2の保護装置は、不都合である。
【0041】
図2もしくは図3aから看取されるように、割合小さな人がロール05と一緒に、ロール装着域における防護された域に入り込み、可動の機械部分もしくは移動されるロール05によって怪我をする恐れがある。
【0042】
図3bは、自動のロール装着域01の付近の危険域防護装置を示す。危険域防護装置は、2本の光線04を有する、進入境界部に非接触式に作用する第1の保護装置を備えており、光線04は、ロール05もしくは残芯容器または無人運搬車が通過可能な域を保護する。ロール05の周辺域を持続的に防護するために、持続的に有効な、非接触式に作用する第2の保護装置が用いられる。第2の保護装置は、2本の光線07を備えており、光線07は、ロール05の上方に置かれた点から出発して側方にロール05を通って床付近まで延びている。図3bから看取されるように、そのように構成された保護装置でも十分な保護を提供することができない。光線07がロール05を通ってほぼ床まで延びていることによって、たとえば進入時にロール05の傍でロール05と共に移動する人が光線07を飛び越えて進入する恐れがある。
【0043】
図3cは、自動のロール装着域01の付近の危険域防護装置を示す。この危険域防護装置は、公知の構成とは異なり、自動のロール装着域01において防護される域の進入境界部に、非接触式に作用する保護装置のための光格子03を備えている。光格子03は、ロール05もしくは残芯容器または無人運搬車を進入または退出させるために無効化される。さらにロール05の周辺域を持続的に防護するための、持続的に有効な非接触式に作用する第2の保護装置が設けられており、第2の保護装置については後述する。ここで言及しておくと、防護されるべき進入境界部は、ロール供給側だけでなく、ロール供給側とは反対側にも存在する場合もある。保護装置は、両側で人が自由に到達可能である場合、両側に取り付けられている。非接触式に作用する保護装置は、評価ユニットと相俟って、光格子03によって防護されるべき進入境界部を防護する。
【0044】
図示の実施の形態では、光格子03は、相互に平行に延びる光線04によって形成されており、光線04は、均等に好適には相互に40mmの間隔を有していて、水平面に対して斜めに延びている。もちろん別の間隔または様々な傾斜を選択してもよい。光線04は、水平に延びてもよく、光格子の面は、垂直面に対して傾斜して配置してもよく、その際、傾斜は、好適には15°である。
【0045】
光格子03の光線04に対応して発信器および受信器が配置されており、発信器および受信器は、光線04の端点に位置決めされている。光格子03は、図示していない評価ユニットと接続されている。評価ユニットは、ロール05もしくは残芯容器もしくは無人運搬車の進入および/退出時に光線04を中断する順序を検出し、防護される域への進入が許容されている既知の物が検出される場合には、光格子03による危険域防護装置を無効化させる。
【0046】
評価ユニットでは、光格子03の個々の光線04が順次中断されること、または再び解放されことが評価される。どれだけ多くもしくはどの部分で個々の光線04が中断されるのかは問題ではない。しかし個々の光線04が中断する間の空白は許容されない。
【0047】
それとは関係なく、危険域防護装置は、さらにミューティングのための4つのフォトセル、特に反射性のフォトセル06を備えており、その際、対偶を成して2つの反射性のフォトセル06が光格子03の前後に配置されている。フォトセル06は、既知の物、特に残芯容器を検出する際に光格子03を無効化(ミューティング)するために用いられ、反射性のフォトセル06は、その形状に起因して、光線の中断順序の評価が困難である。さらに反射性のフォトセル06は、図示していない評価ユニットと接続されている。検出するために、残芯容器は、反射ストリップを備えており、反射ストリップは、反射性のフォトセル06の配置に応じて、残芯容器上に位置決めされている。残芯容器上の反射ストリップが検出されると、光格子03はミューティング(停止)される。危険域防護装置を残芯容器が通過すると、第4の反射性のフォトセル06は、もはや光線の反射を受信しないので、光格子03は再び有効化される。
【0048】
ミューティング機能は、無人運搬車の場合、2つの反射性のフォトセル06によって実現することができる。なぜならば無人運搬車は、ロール05を設置するために、完全に光格子を通走するのではなく、一部でしかロール交換装置02に進入しないからである。第1の反射性のフォトセル06は、反射性のフォトセル06の配置に相応して車両上に位置決めされた反射ストリップを検出して、光格子03を遮断する。第2の反射性のフォトセル06が、無人運搬車が退出する際に光線の反射を受信しない場合、光格子03は再び有効化される。
【0049】
光格子03の最上位の2本の光線04は持続的に有効であり、これによって、光格子03による危険域防護装置の無効状態で、ロール交換装置02における自動のロール装着域における防護域にロール05または残芯容器と共に人または物が進入する、ということが防止される。
【0050】
持続的に有効な非接触式に作用する第2の保護装置は、少なくとも2つの光線07を備えており、光線07は、ロール05の長手延伸方向もしくは軸方向に対して横向きに、ロール05の上方でロールから僅かに離れた位置で交差し、そこから、ロール05もしくはロール容器の傍を通過して延びている。両方の光線07の交点は、好適にはロール上縁の上方で、数センチメートル、たとえば<15cm、特に<8cm、好適には<5cmにあり、光線07は、交点の下方で、数ミリメートル、たとえば<15mm、特に<8mm、好適には<5mmから数センチメートルまでの間隔でロール05を通過する。したがって光線07は、上位の端点でロール05の上方にあるが、ロール延在部分の外側にある。下位の端点は、ロール上縁の下方にあり、好適にはロール直径の1/2よりも大きな高さで、ロール直径の約2/3〜3/4に相当する高さにある。
【0051】
図3cから看取されるように、両方の光線07の延伸経過は、光線07の不意の上方の通過も不意の下方の通過も許容されない。場合によっては光線07の下方の通過は、人が大きく屈んだ状態で移動する場合には可能である。
【0052】
図4は、自動のロール装着域01の付近における危険域防護装置の構成を正面図で示している。図示の実施の形態では、反射光バリヤが用いられる。持続的に有効な非接触式に作用する第2の保護装置は、各光線07用に、コンビネーション型の送信受信ユニット08を備えている。光線07は、対向して位置するリフレクタ09において戻されて、送信受信ユニット08にガイドされる。このような光線のガイドは、光格子03の光線04でも用いることができる。もちろん持続的に有効な第2の保護装置および/または光格子03では、送信器および受信器が対向して配置されている一方向性の光バリヤを用いることもできる。選択的な実施の形態では、光格子03および持続的に有効な第2の保護装置の全ての光線04,07が、1つの送信器と1つの受信器とを備えてもよい。その際、光線04,07をガイドするために、複数の変向ミラーが必要である。送信器として、赤外線または可視光線を送信する発光ダイオードまたはレーザダイオードを用いることができ、受信器としてフォトトランジスタを用いることができる。
【0053】
好適には、送信受信ユニット08ならびにリフレクタ09の位置が可変である。このために好適には、持続的に有効な第2の保護装置は、ロール直径を検出するための図示していないセンサを備えている。センサは、図示していない調節装置と接続することができ、調節装置は、検出されたローラ直径に応じて、送信受信ユニット08ならびにリフレクタ09の自動の位置決めを行う。このようにして常に光線07の最適なガイドが保証される。送信受信ユニット08ならびにリフレクタ09の位置は、もちろん手動で補正することもできる。その際、ロール交換装置02に適切なスケール(目盛り)が取り付けられていると好適である。
【0054】
光格子03の無効状態で、ロール交換装置02における自動のロール交換部の防護域に、ロール05または残芯容器と共に人または許容されない物が進入すると、人もしくは許容されない物によって、少なくとも1つの光線07の光線路が中断される。このような妨害は、受信器によって検出されて、ロール交換装置02を遮断する適切な調節信号に変換される。さらにアラーム装置11を介して、視覚的および/または音響学的な信号を送信することができる。
【0055】
さらに危険域防護装置は、好適にはミューティングのための4つの反射性のフォトセルと1つのフォトセル12とを備えており、フォトセル12は、ロール05を開始位置に位置決めするために、ロール交換装置02における自動のロール交換部の防護域の内側に配置されていて、図示していない評価装置と接続されている。手前に位置する供給域(保管域)から到来するロール05は、危険域防護装置と後続のフォトセル12の検出域とを通過する。評価ユニットは、フォトセル12の解放を検出し、ロール駆動装置を停止させる。ロール05は、ロール駆動装置によって、フォトセル12の光線が新たに中断されるまで、後退方向に開始位置に向かって移動される。
【0056】
いずれの場合でも、光線は、送信受信ユニットおよびリフレクタの代わりに、分離型の送信器および受信器ならびに場合によってはミラーによって形成し、かつ/または受信し、かつ/または変向することができる。
【符号の説明】
【0057】
01 自動のロール装着域、ロール搬送域、 02 ロール交換装置、 03 光格子、 04 光線、 05 ロール、 06 フォトセル、反射性のフォトセル、 07 光線、 08 送信受信ユニット、送信器、受信器、 09 リフレクタ、受信器、送信器、 11 アラーム装置、 12 フォトセル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール交換装置(02)におけるロール搬送域(01)のための危険域防護装置であって、
該ロール搬送域(01)の進入境界部に、非接触式に作用する保護装置を備え、該保護装置は、予め認識された既知の物が進入および/または退出するために無効化可能であり、評価ユニットを備え、保護装置は、光格子(03)として形成されており、該光格子(03)は、相互に平行に延びる複数の光線(04)を備えているものにおいて、
評価ユニットは、何らかの物が進入および/または退出する際に光線(04)が中断する順序を検出するための手段を備えており、評価ユニットが、該光線の中断順序に基づいて、危険域への到達が許容される既知の物を検出し、その際、保護装置を無効化し、危険域防護装置は、追加的に、非接触式に作用する第2の保護装置を備えており、該第2の保護装置は、持続的に有効であることを特徴とする、危険域防護装置。
【請求項2】
既知の物が、ロール(05)、残芯容器または無人運搬車である、請求項1記載の危険域防護装置。
【請求項3】
光線(04)は、相互に均等な間隔を有している、請求項1記載の危険域防護装置。
【請求項4】
前記間隔は、40mmである、請求項3記載の危険域防護装置。
【請求項5】
光線(04)は、水平に延びている、請求項1記載の危険域防護装置。
【請求項6】
光格子(03)が形成する面は、鉛直面に対して斜めに配置されている、請求項5記載の危険域防護装置。
【請求項7】
光線(04)は、水平面に対して斜めに延びている、請求項1記載の危険域防護装置。
【請求項8】
前記傾斜は、15°である、請求項6または7記載の危険域防護装置。
【請求項9】
光格子(03)の、既知の物の上方で延在している少なくとも1本の光線(04)は、持続的に有効である、請求項1記載の危険域防護装置。
【請求項10】
ミューティングのための少なくとも2つのフォトセル(06)を備え、該フォトセル(06)は、評価ユニットと接続されている、請求項1記載の危険域防護装置。
【請求項11】
既知の物の長手延伸方向に対して横向きに延びる少なくとも2本の光線(07)を備えている、請求項1記載の危険域防護装置。
【請求項12】
光線(07)の上位の各端点は、既知の物の上縁の上方に位置している、請求項11記載の危険域防護装置。
【請求項13】
光線(07)の下位の各端点は、既知の物の上縁の下方に位置している、請求項11記載の危険域防護装置。
【請求項14】
光線(07)が、既知の物の上方で交差し、交点から既知の物を通過するように延びている、請求項11記載の危険域防護装置
【請求項15】
両方の光線(07)は、既知の物の上半部に接する仮想の接線に対して平行に、該仮想の接線に対して間隔を置いて延びている、請求項11記載の危険域防護装置。
【請求項16】
光線(07)の下位の各端点は、既知の物の半部よりも上方に配置されている、請求項11記載の危険域防護装置。
【請求項17】
各光線(07)に対応して送信器および受信器が配置されており、該送信器および受信器は、光線(04;07)の端点に位置決めされている、請求項1から16までのいずれか1項記載の危険域防護装置。
【請求項18】
保護装置は、全ての光線(04;07)のために1つの送信器と1つの受信器と複数の変向ミラーとを備えている、請求項1から17までのいずれか1項記載の危険域防護装置。
【請求項19】
送信器と受信器とが、それぞれ反対側に配置されている、請求項17または18記載の危険域防護装置。
【請求項20】
コンビネーション型の送信受信ユニット(08)が、リフレクタとは反対側に配置されている、請求項17または18記載の危険域防護装置。
【請求項21】
送信器、受信器、リフレクタおよび/または変向ミラーの位置が可変である、請求項17から20までのいずれか1項記載の危険域防護装置。
【請求項22】
保護装置は、既知の物の寸法を検出するためのセンサを備えている、請求項1記載の危険域防護装置。
【請求項23】
センサは、調節装置と接続されており、該調節装置は、既知の物に送信器、受信器、リフレクタもしくは変向ミラーを自動的に適合させるようになっている、請求項22記載の危険域防護装置。
【請求項24】
既知の物は、450mmよりも大きな直径を有するロール(05)である、請求項1から23までのいずれか1項記載の危険域防護装置。
【請求項25】
危険域防護装置は、フォトセル(12)を備えており、該フォトセル(12)は、防護域内に配置されていて、かつロール(05)または無人運搬車を開始位置に位置決めすることができる、請求項1または24記載の危険域防護装置。

【図1】
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【図2】
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【図3a−3c】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−505134(P2012−505134A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531413(P2011−531413)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059698
【国際公開番号】WO2010/043430
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(390014188)ケーニツヒ ウント バウエル アクチエンゲゼルシヤフト (50)
【氏名又は名称原語表記】Koenig & Bauer Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Friedrich−Koenig−Strasse 4, Wuerzburg, Germany
【Fターム(参考)】