説明

ロール体搬送装置

【課題】ロール体の受け渡しの際の位置決めをより好適に行う。
【解決手段】ロール体搬送用無人搬送車100は、ロール体の胴部が載置されるべき載置台102と、生産機に対する載置台102の位置を検出する検出手段と、ロール体搬送用無人搬送車100の本体168がロール体の受け渡しのために停止しているとき、検出手段による検出結果に基づいて、載置台102を非鉛直方向に動かす移動手段と、ロール体搬送用無人搬送車100の本体168がロール体の受け渡しのために停止しているとき、検出手段による検出結果に基づいて、載置台102を回転させる回転手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール体を搬送する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムロールなどのロール体を取り扱う多くの工場では、ロール体を生産したり加工したりする装置(以下、生産機と称す)へロール体を搬入したり生産機からロール体を搬出したりするために、無人走行式の台車が使用されている。この台車は例えばロール体の保管場所からロール体を受け取り、軌道あるいは無軌道の搬送路を走行して生産機のチャッキング装置にロール体を搬入する。
【0003】
台車と生産機との間のロール体の受け渡しの際、台車を生産機に対して位置決めする必要がある。この位置決めの方式として従来では例えば特許文献1に記載されるようなアウトリガー方式が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−222109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アウトリガー方式では、地上にコーンを設け、AGV側にアウトリガーを設け、アウトリガーの凹部をコーンに嵌めることによって位置決めの精度を高めている。しかしながら、凹部とコーンとの嵌め合いの際に塵や埃が生じる可能性があるので、この方式はクリーン性が必要とされる環境では敬遠されがちである。また、生産機の近傍の床にコーンが設けられるので、床をフラット化することが難しい。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的はロール体の受け渡しの際の位置決めをより好適に行うことができるロール体搬送装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様はロール体搬送装置に関する。このロール体搬送装置は、ロール体の胴部が載置されるべき載置台と、当該ロール体搬送装置との間でロール体の受け渡しが行われる装置に対する載置台の位置を検出する検出手段と、当該ロール体搬送装置の本体がロール体の受け渡しのために停止しているとき、検出手段による検出結果に基づいて、載置台を非鉛直方向に動かす移動手段と、当該ロール体搬送装置の本体がロール体の受け渡しのために停止しているとき、検出手段による検出結果に基づいて、載置台を回転させる回転手段と、を備える。
【0008】
この態様によると、ロール体搬送装置の本体がロール体の受け渡しのために停止しているとき、載置台の位置を調整することができる。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ロール体の受け渡しの際の位置決めをより好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1(a)、(b)は、搬送対象のロール体を説明するための模式図である。
【図2】図2(a)〜(d)は、実施の形態に係るロール体搬送用無人搬送車を示す模式図である。
【図3】図3(a)、(b)は、ロール体搬送用無人搬送車が生産機からロール体を受け取る際の様子を示す模式図である。
【図4】載置台がクロスローラを中心として回転する際の傾斜レールおよび接点部の動きを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0013】
図1(a)、(b)は、搬送対象のロール体2を説明するための模式図である。図1(a)はロール体2の斜視図である。ロール体2は、帯状またはシート状の素材4、例えばフィルムや紙、をコア6に巻回してなる。コア6は半径方向中央に中空部8を有する。コア6は、素材4を巻回する際にそのベースとなる。
【0014】
図1(b)は実施の形態に係るロール体搬送用無人搬送車の載置台102に載置されたロール体2を示す側面図である。ロール体2はその外周面2aすなわち胴部が載置台102に接することによって載置台102に載置される。載置台102は、搬送中にロール体2が転がらないように断面がV字状とされる。
【0015】
本実施の形態に係るロール体搬送用無人搬送車は工場内を無軌道で移動するAGVであり、ロール体を胴部で支持し、生産機へロール体を搬入したり、生産機からロール体を搬出したりする。ロール体の搬送の観点から見ると、生産機はロール体搬送用無人搬送車との間でロール体の受け渡しが行われる装置である。
【0016】
ロール体の搬送には、ロール体の胴部を支持して搬送する胴受け搬送とロール体のコアを支持して搬送するコア受け搬送とがあるが、本実施の形態では特に胴受け搬送の場合を説明する。胴受け搬送であるが故に、本実施の形態に係るロール体搬送用無人搬送車はロール体の胴部を受けるための載置台を有する。この載置台の大きさはロール体の胴部を支持するのに十分である必要がある。
【0017】
本実施の形態に係るロール体搬送用無人搬送車では、載置台は2つの支持部によって2箇所で支持され、この2つの支持部が動くことにより載置台が動く。一方の支持部の動きは載置台を介して他方の支持部の動きに影響を与えうるので、本実施の形態に係るロール体搬送用無人搬送車はそれを考慮した構成を有する。これに対してコア受け搬送では、コアを受けるための2本のアームは基本的に独立に制御しうる。したがって、本実施の形態における載置台、支持部の制御技術と、コア受け搬送におけるアームの制御技術とは異なることは当業者には理解される。
【0018】
本実施の形態に係るロール体搬送用無人搬送車は、ロール体の受け渡しのために生産機の近傍の所定の停止位置で停止する。ロール体搬送用無人搬送車は、その本体がロール体の受け渡しのために停止しているとき、載置台の位置を水平面内でさらに調整する手段と、載置台を所定の回転軸を中心として回転させる手段と、を有する。これにより、ロール体搬送用無人搬送車の本体の実際の停止位置や向きが所定の停止位置や所定の向きからずれた場合でも、本体を動かさずにそのずれを補償することができる。これにより、ロール体の受け渡しの際の位置決めの精度をより高めることができる。
【0019】
図2(a)〜(d)は、本実施の形態に係るロール体搬送用無人搬送車100を示す模式図である。ロール体搬送用無人搬送車100は、載置台102と、載置台支持手段と、第1位置検出器138と、第2位置検出器140と、第1支持部124と、第2支持部と、第1y方向駆動部150と、第2y方向駆動部160と、x方向移載スライド162と、本体168と、を備える。
本体168は、リフタ164と、台車部166と、を含む。
【0020】
以下、互いに直交するx方向、y方向、z方向を導入して説明する。z方向を、鉛直方向すなわち載置台102にロール体が載置された場合にそのロール体にかかる重力の方向とする。x方向、y方向は非鉛直方向すなわち鉛直方向と交差する方向であり、特に水平面内で互いに直交する方向である。載置台102にロール体が載置された場合のそのロール体のコアが延在する方向をx方向とする。
【0021】
図2(a)はロール体搬送用無人搬送車100の上面図である。
載置台支持手段は、第1ガイドピン114と、第2ガイドピン116と、第3ガイドピン118と、第4ガイドピン120と、第1ロードセル122と、第2ロードセル130と、第3ロードセル132と、台フレーム104と、傾斜レール126と、ポール保持部134と、を含む。
【0022】
第1ガイドピン114、第2ガイドピン116、第3ガイドピン118、第4ガイドピン120はそれぞれ台フレーム104に固定され、載置台102の四隅に設けられた第1ガイド孔106、第2ガイド孔108、第3ガイド孔110、第4ガイド孔112に遊嵌される。台フレーム104は、少なくともロール体搬送用無人搬送車100の本体168が移動している間は本体168に対して固定される。載置台102は、このようにガイドピンがガイド孔に遊嵌されることによってロール体搬送用無人搬送車100に対して水平面内で位置決めされる。
【0023】
第1ロードセル122、第2ロードセル130、第3ロードセル132はそれぞれ、第3ガイドピン118と第4ガイドピン120との間、第1ガイドピン114と第4ガイドピン120との間、第2ガイドピン116と第3ガイドピン118との間に設けられる。各ロードセルは台フレーム104に固定され、載置台102をz方向において支持する。
【0024】
ロール体搬送用無人搬送車100が生産機からロール体を受け取る際、ロードセルによる荷重制御が行われる。ロール体搬送用無人搬送車100は不図示の制御部を備え、受け取るロール体の重量がその制御部に予め入力される。制御部は、ロール体の受け取りの際、ロードセルからの信号が示す重量と入力された重量とを比較し、前者が後者に到達するまでリフタ164を制御したり荷重が均等となるように傾斜調整部152、第1y方向駆動部150、第2y方向駆動部160、x方向移載スライド162を制御する。
【0025】
傾斜レール126およびポール保持部134は台フレーム104の下面に固定される。傾斜レール126はy方向に延在するレールである。ポール保持部134は下向きに開口したカップ状の部材である。
【0026】
図2(b)はロール体搬送用無人搬送車100の側面図である。
第1位置検出器138および第2位置検出器140はそれぞれ、台フレーム104のx方向の一端および他端に取り付けられ、生産機に対する載置台102の位置や向きを検出する。載置台102の向きは、載置台102を略平面と見たときの法線の向きであってもよい。
【0027】
第1位置検出器138および第2位置検出器140は位置の検出結果を制御部に送信する。制御部は本体168が停止すると、位置検出器からの検出結果に示される載置台102の位置や向きが所望の位置や向きとなるように、第1y方向駆動部150、第2y方向駆動部160、x方向移載スライド162、傾斜調整部152を制御する。制御部は、第1y方向駆動部150、第2y方向駆動部160、x方向移載スライド162、傾斜調整部152のそれぞれに、例えば変位量を指定する制御信号を送出する。
【0028】
第1支持部124および第2支持部は、互いに異なる位置で台フレーム104を、したがって載置台102を回転可能に支持する。第1支持部124は、回転ピン146と、クロスローラ148と、を含む。
回転ピン146は、一端が台フレーム104側の部材に、他端がクロスローラ148側の部材に取り付けられたピンである。回転ピン146は、載置台102が水平面に対して傾斜する場合すなわちz方向と直交する回転軸を中心として載置台102が回転する場合のその回転の中心となる。
クロスローラ148は、回転ピン146をz方向に沿った回転軸の周りに回転可能に支持する。クロスローラ148は、z方向に沿った回転軸の周りに載置台102が回転する場合のその回転の中心となる。
【0029】
第1y方向駆動部150は、制御部からの制御信号に基づいて、本体168に対してy方向に第1支持部124を直線的に動かす。第1y方向駆動部150は、LMガイド(Linear Motion Guide)等のリニアガイドとモータとを適宜組み合わせて構成される。第2y方向駆動部160も同様に本体168に対してy方向に第2支持部を動かす。第1y方向駆動部150および第2y方向駆動部160はいずれもx方向移載スライド162の上面に固定される。
【0030】
第1y方向駆動部150および第2y方向駆動部160が同じ変位で対応する支持部を動かすとき、載置台102はy方向に直線的に動かされる。第1y方向駆動部150および第2y方向駆動部160が異なる変位で対応する支持部を動かすとき、載置台102の動きは、クロスローラ148を中心とした回転成分と、場合によってはy方向に沿った直線運動成分と、を有する。
【0031】
第2支持部は、クロスローラ148を中心として載置台102が回転する場合に第2支持部と傾斜レール126との接触位置がx方向に移動することを可能とするために、x方向に遊びを有する。第2支持部は、傾斜調整部152と、ポール136と、円弧逃げスライド158と、を含む。
【0032】
傾斜調整部152は傾斜レール126と接する接点部128を有する。傾斜調整部152は、制御部からの制御信号に基づいて、傾斜レール126に対して接点部128を摺動させる。傾斜調整部152はリニアガイドやモータやボールネジなどから構成される。
【0033】
ポール136の一端は円弧逃げスライド158に取り付けられ、他端はポール保持部134の内側に挿入される。載置台102がクロスローラ148を中心として回転すると、ポール保持部134から力が加えられる形でポール136が移動する。その結果、円弧逃げスライド158も追従して動く。
円弧逃げスライド158は、ポール136の動きに伴って傾斜調整部152の接点部128をx方向に移動可能なようにリニアガイドなどから構成される。
【0034】
x方向移載スライド162は、制御部からの制御信号に基づいて、本体168に対してx方向に第1支持部124および第2支持部を、したがって載置台102を動かす。x方向移載スライド162はリフタ164の上面に固定される。
【0035】
リフタ164はパンタ式の電動リフタであり、x方向移載スライド162を、したがって載置台102をz方向に動かすまたは昇降させる。
台車部166は従動車輪170および駆動車輪172を含み、リフタ164を搭載する。台車部166はロール体搬送用無人搬送車100を工場内で移動させる。
【0036】
図2(c)は傾斜レール126に対する接点部128の摺動の様子を図2(b)のBの矢印で示される向きから見た模式図である。傾斜レール126の下面は傾斜レール126が延在する方向に沿って傾斜している。円弧逃げスライド158、ポール136およびポール保持部134によって、傾斜レール126の円弧逃げスライド158に対するy方向の移動は規制されているので、接点部128が傾斜調整部152によって傾斜レール126が延在する方向に動かされる場合、接点部128は傾斜レール126上を滑る。すると、傾斜レール126の傾斜によって台フレーム104が、したがって載置台102が回転ピン146を中心として回転する、または水平面に対して傾斜する。
【0037】
図2(d)は図2(a)のA−A線断面図である。図2(d)では載置台102および載置台支持手段が示され、他の部材は図示が省略される。第3ガイドピン118は第4ガイド孔112に遊嵌されている。第4ガイドピン120についても同様である。第1ロードセル122は載置台102をz方向において支持している。
【0038】
以上のように構成されたロール体搬送用無人搬送車100の動作について説明する。
ロール体搬送用無人搬送車100は、それとの間でロール体の受け渡しが行われる生産機のところまで移動してくると一端停止する。ロール体搬送用無人搬送車100は、本体168が停止したままの状態で、第1位置検出器138および第2位置検出器140からの位置検出信号に基づいて載置台102の位置と向きを必要なだけ調整する。
ロール体搬送用無人搬送車100は、その後リフタ164によって載置台102を鉛直上向きに上昇させてロール体の受け渡しを行う。
【0039】
図3(a)、(b)は、ロール体搬送用無人搬送車100が生産機174からロール体176を受け取る際の様子を示す模式図である。図3(a)は生産機174およびロール体搬送用無人搬送車100の上面図であり、図3(b)は側面図である。
この場合、生産機174においてロール体搬送用無人搬送車100が侵入できる切る欠き量Lが十分でなく、ロール体搬送用無人搬送車100が最大限侵入してもロール体搬送用無人搬送車100の本体168の中心R1のy方向位置は生産機174に取り付けられたロール体176の中心R2のy方向位置に届かない。
【0040】
ロール体搬送用無人搬送車100は生産機174に最大限侵入して停止すると、第1y方向駆動部150および第2y方向駆動部160を含む駆動部178を使用して、載置台102を支持する支持部180をy方向生産機側に動かす。このようにして載置台102の中心と生産機174に取り付けられたロール体176の中心R2とが位置合わせされる。その後、駆動部178に含まれるリフタ164によって載置台102を上昇させて生産機174からロール体176を受け取る。
【0041】
図4は、載置台102がクロスローラ148を中心として回転する際の傾斜レール126および接点部128の動きを説明するための説明図である。第1支持部124および第2支持部が異なる変位でy方向に動かされるときにクロスローラ148を中心とした載置台102の回転が生じる。この回転の際接点部128は第2支持部のy方向の移動に合わせてy方向に移動する。ここで第2支持部がx方向の遊びを有さない場合、接点部128は図4の破線の円で示される位置182に移動され回転後の傾斜レール126から外れうる。しかしながら本実施の形態では第2支持部がx方向の遊びを有するので、載置台102の回転に伴って接点部128のあるべき位置がx方向にずれてもそのずれを吸収することができる。すなわち、載置台102の回転に追従して接点部128がx方向にも動かされる。その結果、回転の前後で傾斜レール126と接点部128との位置関係は実質的に保たれる。
【0042】
本実施の形態に係るロール体搬送用無人搬送車100によると、ロール体搬送用無人搬送車100の本体168の停止位置が所望の位置からずれていたり、載置台102の向きが所望の向きとは違っていたりしていても、本体168を停止させたままで、載置台102の生産機に対する位置や向きを望むとおりとなるよう調整できる。これにより、ロール体の受け渡しの際の生産機に対する載置台102の位置決めの精度をより高めることができる。その結果、ロール体の受け渡しがよりスムーズに行われ、受け渡しの失敗が発生する確率を低減できる。
【0043】
特にAGVは無軌道で移動するので、軌道に沿って移動するものと比べて停止位置がばらつきやすい。したがって、本実施の形態に係るロール体搬送用無人搬送車100は、無軌道でロール体を搬送するAGVとしてより好適である。
【0044】
さらに、本体168が所望の位置に精度良く停止したとしても、床精度が悪いために、生産機に対する載置台102の位置をさらに微調整する必要があることがある。従来のアウトリガー方式では床に設けられたコーンを基準に載置台を位置決めするので、床そのものの精度が悪い場合は対応が困難となる。しかしながら本実施の形態に係るロール体搬送用無人搬送車100では位置検出器を使用し、載置台102の工場内での絶対位置に基づいて本体168停止後の調整を行うので、床精度が悪い場合でも生産機に対する載置台102の位置の精度を高く保つことができる。
【0045】
なお、載置台の位置を本体を動かすことで微調整することも考えられるが、場合によっては重たいロール体を積載したそれ自体も重たいAGVを微小な距離だけ正確に動かすのは困難であり、実現するにしてもより高価な本体駆動機構等が必要となる。これに対して本実施の形態に係るロール体搬送用無人搬送車100は、載置台102の位置・向きの調整をより容易に、より低コストで実現する。
【0046】
また、特にロール体を生産機から受け取るとき、生産機のチャックの停止位置が所望の位置からずれることがある。本実施の形態に係るロール体搬送用無人搬送車100では、第1y方向駆動部150、第2y方向駆動部160、x方向移載スライド162および傾斜調整部152の制御と荷重制御とを連動させることによって、リフタ164の駆動中にチャックの停止位置のずれを補償するよう載置台102の位置、向きを調整できる。これにより、よりスムーズで受け取りミスの少ないロール体の受け渡しが実現される。
【0047】
また、従来のアウトリガー方式と比べて、本実施の形態に係るロール体搬送用無人搬送車100を使用する工場ではコーンを設ける必要がないので床をよりフラット化することができる。
【0048】
また、従来のアウトリガー方式ではアウトリガーがコーンと接触する際に相応の発塵が有り、クリーンな環境での使用にはあまり適していなかった。これに対して本実施の形態に係るロール体搬送用無人搬送車100ではそのような発塵はないのでクリーン性が必要とされる環境での使用により適している。
【0049】
また、本実施の形態に係るロール体搬送用無人搬送車100は、本体168の停止後、第1y方向駆動部150および第2y方向駆動部160によって載置台102をy方向に動かすことができる。これにより、例えば上記図3のような状況、すなわち生産機の切り欠き量が十分でない場合でも、生産機との間のロール体の受け渡しが可能となる。言い換えると、生産機側に要求される切り欠き量が低減され、生産機の設計の自由度が向上する。
【0050】
また、本実施の形態に係るロール体搬送用無人搬送車100は、本体168の停止後、載置台102をz方向と直交する回転軸を中心として回転させることができる。これにより、本体168の停止後、例えば床が傾いていることによって載置台102が傾いている場合でも、載置台102を水平に戻すことができる。
【0051】
また、本実施の形態に係るロール体搬送用無人搬送車100では、第2支持部はx方向に遊びを有する。したがって、載置台102がクロスローラ148を中心として回転した場合でも傾斜レール126と接点部128との位置関係を維持することができる。
【0052】
また、本実施の形態に係るロール体搬送用無人搬送車100では、載置台102はロードセルを介してz方向において支持され、ロール体の受け取りの際にはそのロードセルからの信号を利用した荷重制御が行われる。これにより、ロール体の受け取りがよりスムーズとなり、ロール体自体の重さに起因するロール体の受け取りミスが軽減される。
【0053】
以上、実施の形態に係るロール体搬送用無人搬送車100の構成と動作について説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0054】
実施の形態では、第1位置検出器138および第2位置検出器140によって生産機に対する載置台102の位置や向きを検出する場合について説明したが、この検出器としては、位置検出器と光やレーザなどの光源の組を設けてもよく、あるいはまたカメラとマークを使用してもよい。
【0055】
実施の形態では、第2支持部はx方向に遊びを有する場合について説明したが、これに限られず、例えば遊びを設ける代わりに傾斜レールの幅を大きくとってもよい。
実施の形態では、3つのロードセルを用いる場合について説明したが、ロードセルを四隅に設けるとより確実にロールを受け渡すことができる。
【符号の説明】
【0056】
2 ロール体、 100 ロール体搬送用無人搬送車、 102 載置台、 124 第1支持部、 126 傾斜レール、 138 第1位置検出器、 140 第2位置検出器、 150 第1y方向駆動部、 152 傾斜調整部、 158 円弧逃げスライド、 160 第2y方向駆動部、 162 x方向移載スライド、 164 リフタ、 166 台車部、 168 本体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール体の胴部が載置されるべき載置台と、
本ロール体搬送装置との間でロール体の受け渡しが行われる装置に対する前記載置台の位置を検出する検出手段と、
本ロール体搬送装置の本体がロール体の受け渡しのために停止しているとき、前記検出手段による検出結果に基づいて、前記載置台を非鉛直方向に動かす移動手段と、
本ロール体搬送装置の本体がロール体の受け渡しのために停止しているとき、前記検出手段による検出結果に基づいて、前記載置台を回転させる回転手段と、を備えることを特徴とするロール体搬送装置。
【請求項2】
前記移動手段は、鉛直方向およびロール体の中心軸の両方と略直交する方向に前記載置台を動かすことを特徴とする請求項1に記載のロール体搬送装置。
【請求項3】
前記回転手段は、鉛直方向と略直交する軸を中心として前記載置台を回転させることを特徴とする請求項1または2に記載のロール体搬送装置。
【請求項4】
前記移動手段および前記回転手段は、
互いに異なる位置で前記載置台を回転可能に支持する2つの支持部と、
非鉛直方向に前記2つの支持部を動かす駆動部と、を有し、
前記2つの支持部の一方は、前記駆動部が前記2つの支持部を動かす方向および鉛直方向の両方と交差する方向に移動可能とすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のロール体搬送装置。
【請求項5】
前記載置台は、その少なくとも2箇所に設けられたガイド孔に、本ロール体搬送装置の本体に対して固定されたガイドピンが遊嵌されることによって、本ロール体搬送装置に対して水平面内で位置決めされ、
前記載置台は、荷重変換手段を介して鉛直方向において支持されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のロール体搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−166877(P2012−166877A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27716(P2011−27716)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【特許番号】特許第4967063号(P4967063)
【特許公報発行日】平成24年7月4日(2012.7.4)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】