説明

ロール媒体保持機構、ロール給紙装置、及び画像形成装置

【課題】支持部材のロック機構を設けなくても支持部材の位置を規制し、支持部材が移動してしまうことを防止できるロール媒体保持機構を提供する。
【解決手段】保持部材であるフランジ12を、ロール紙10aの芯管10bの内周と当接して支持する軸芯部12aと、ロール紙10aの端面10cと当接するガイド部12bとにより構成する。フランジ12には、半径方向に開閉する支持部材14を周方向で複数箇所に設ける。芯管10bの内径が大きいロール紙10aをフランジ12に取り付ける場合には、支持部材14が軸芯部12aの外周面と芯管10bの内周面に当接し、芯管10bの径が小さい場合には、支持部材14を移動させて芯管10bの端部が支持部材14に当接して支持部材14の退避位置を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール媒体保持機構、これを用いたロール給紙装置、及びこの給紙装置を搭載したプリンタ、プロッタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図8は従来のロール媒体保持機構の一例を示す断面図である。図中10aはロール紙、10bはロール紙芯管、12aは軸芯部、12bはガイド部、13は、駆動軸、14は支持部材、15は弾性部材である。この機構では、ロール紙10aの芯管10bの径が小さい場合には支持部材14を回動させ(回動支点14a)、ロール紙10aの端部よりも外側に退避させる(図の下側の支持部材14参照)。しかしながら、支持部材14をロック機構(図示せず)によりその位置を規制していても、十分にロックされていない状態でセットした場合や、ユーザーによりロール紙10aをセットする時にロックがはずれてしまった場合には、支持部材14がロール紙10aの端部より内側に倒れてしまい(図の上側の支持部材14参照)、例えば図中矢印Dで示す部分のようにロール紙10aにダメージを与えることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで本発明は、支持部材のロック機構を設けなくても支持部材の位置を規制により支持部材の移動を防止できる機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のロール媒体保持機構は、ロール状の媒体を保持するための保持部材と、前記保持部材に移動可能に取り付ける複数の支持部材と、を備えたロール媒体保持機構において、前記ロール状の媒体の芯管の径が大きい場合には、前記支持部材が前記保持部材の軸芯部の外周面と前記芯管の内周面とに当接し、前記ロール状の媒体の芯管の径が小さい場合には、前記支持部材を移動させて前記芯管の端部が前記支持部材に当接して前記支持部材の退避位置を規制する構成としてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、支持部材のロック機構を設けなくても支持部材の位置を規制し、支持部材が移動してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の実施対象となる画像形成装置の一例の全体構成を示す斜視図
【図2】同概念的断面図
【図3】本発明に係るロール媒体保持機構で用いるフランジを示す斜視図
【図4】芯管の内径が大きいロール紙をフランジに取り付けた状態を示す図(A)と拡大図(B)
【図5】芯管の内径が小さいロール紙をフランジに取り付けた状態を示す図
【図6】支持部材と支持部材当接部と支持部材の回動支点の退避位置における位置関係を示す図
【図7】ロール紙の芯管が端面よりも駆動軸の軸方向で奥側に入っている状態での支持部材当接部の位置を示す図
【図8】従来のロール媒体保持機構の一例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。なお以下では図9に示した従来の例と共通する要素には共通する符号を付して説明する。
【0008】
図1は、本発明の実施対象となる画像形成装置の一例の全体構成を示す斜視図、図2は、同じく概念的断面図である。図示の例の画像形成装置は、スプール軸受け台101a、101bが、長尺の用紙が巻回されてなるシートロールとしてのロール紙10a1、10a2(以下、特に必要がなければ、単にロール紙10aと記載する)から用紙10をそれぞれ繰り出し可能に支持するシートロール支持部としての機能、構成を有している。また、上下方向Zと直交する前後方向Xに示すように、図1における装置本体1の左側に向く「前」側が前面1F(正面)側であり、右側を向く「後」側が後(奥)側である。また上下方向Zおよび前後方向Xに直交するとともに図1の紙面を貫通する方向が主走査方向Y(図2参照)であり、シート幅方向(用紙幅方向)に相当する。
【0009】
画像形成部3は、インクジェット記録方式で画像形成を行う構成のものである。図2に示すように、図示の装置は、インクジェット記録装置であり、かつシリアル型インクジェット記録装置である。
【0010】
装置本体1の内部の画像形成部3に対応した部位には、ガイドロッド18およびガイドレール19が装置本体1内の図示しない側板に掛け渡してある。これらのガイドロッド18およびガイドレール19には、キャリッジ20が主走査方向Yに摺動可能に保持してある。キャリッジ20には、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のインク滴を吐出する液体吐出ヘッドである液体記録ヘッド(図示せず)が搭載してある。また各液体記録ヘッドには、図示しないが、各液体記録ヘッドにインクを供給するサブタンクを一体的に備えている。
【0011】
キャリッジ20を主走査方向Yに移動走査する主走査機構は、主走査方向Yの一方側(図において左斜め上方)に配置した駆動モータ21と、この駆動モータ21の出力軸に連結し、駆動モータ21によって回転駆動される駆動プーリ22と、主走査方向Yの他方側(図において右斜め下方)に配置した従動プーリ23と、駆動プーリ22と従動プーリ23との間に巻き掛けたベルト部材24とを備えている。従動プーリ23には、図示しないテンションスプリングによって外方、すなわち駆動プーリ22から離れる方向にテンションを掛けている。
【0012】
ベルト部材24は、キャリッジ20背面側に設けたベルト固定部にその一部分を固定保持してあり、それによりキャリッジ20を主走査方向Yに牽引するようになっている。
【0013】
キャリッジ20の主走査方向Yに沿ってキャリッジ20の主走査位置を検知するためのエンコーダシート(図示せず)が配置してあり、キャリッジ20に設けたエンコーダセンサ(図示せず)によって、上述のエンコーダシートを読み取る。このキャリッジ20における主走査領域のうち、記録領域では上段のロール紙10aまたは下段のロール紙10aから後述するように繰り出され、搬送されてきた用紙10が、図示しない紙送り機構によってキャリッジ20の移動方向である主走査方向Yと直交する副走査方向(図1の前後方向Xのうちの前方向Xaである)に間欠的に搬送される。
【0014】
また、主走査領域のうちの一方の端部側領域(図において右斜め下方側)には、キャリッジ20内の各液体記録ヘッドの維持回復を行う維持回復機構25が配置してあり、さらに、各液体記録ヘッドのサブタンクに供給する各色のインクを収容したメインカートリッジ26が装置本体1に対して着脱自在に装着してある。
【0015】
また図1に示すように、画像形成部3で画像が記録された用紙を所定の長さに切断するシート切断手段としてのカッタ27が配置してある。このカッタ27は、複数のプーリ(そのうちの1つのプーリは駆動モータ21に連結している)間に掛け渡したワイヤやタイミングベルトに固定してあり、駆動モータ21によりプーリを介してワイヤやタイミングベルトが主走査方向Yに移動することで用紙を所定の長さに切断する公知のものである。
【0016】
図3は、本発明に係るロール媒体保持機構で用いるフランジを示す斜視図である。図示のように、フランジ12はロール紙10aの芯管10bの内周と当接して支持する軸芯部12aと、ロール紙10aの端面10cと当接するガイド部12bとにより構成してある。これら、軸芯部12aとガイド部12bは、一体で形成しても、別体で形成してもどちらでも良い。
【0017】
またフランジ12には、半径方向に開閉する支持部材14が周方向で複数箇所に設けてある(図では3個設けてあるが、数はこの例に限定されない)。支持部材14は、ガイド部12bの内部に周方向に回動支点14aを持ち、回動して開閉するようになっている。これにより、軸芯部12aの径が可変となっている。
【0018】
図4は、芯管10bの内径が大きいロール紙10aをフランジ12に取り付けた状態を示す図(A)と拡大図(B)である。支持部材14は、軸芯部12a側の面に、駆動軸13側へ突出する支持部材当接部14bが形成してある。また、支持部材14を軸芯部12aに向けて倒したときに、支持部材当接部14bが軸芯部12aと干渉しないように、軸芯部12aの支持部材当接部14bと対応する部位を、図示のように凹部(支持部材当接部14bの収納部である)として形成してある。
【0019】
この状態の時、支持部材当接部14bは、ガイド部12bの凹部(収納部12c)に収められ、収納部12cの半径方向の大きさ(図示の例では弾性部材15も含めた寸法)が支持部材当接部14bの高さ寸法(径方向の寸法)より図示のように大きいため、支持部材当接部14bをフランジ12の軸芯部12aに接触させることなく収納できる。したがって、支持部材14を軸芯部12aと対向するように倒すことができる。またこの時、支持部材14はロール紙10aの芯管10bの内周面とフランジ12の軸芯部12a上の弾性部材15との間に挟みこまれる。
【0020】
図5は、芯管10bの内径が小さいロール紙10aをフランジ12に取り付けた状態を示す図である。この状態の時、支持部材14は、フランジ12のガイド部12b内に収納された状態にあり、図示のように支持部材当接部14bがガイド部12bのロール紙10a側の面から外側へ飛び出した状態にある。
【0021】
図6は、支持部材14と支持部材当接部14bと支持部材14の回動支点14aの退避位置における位置関係を示す図である。この状態の時、支持部材当接部14bは支持部材14から所定距離aだけ突き出ており、支持部材14の回動支点14aより半径方向で外側の位置にある。また支持部材当接部14bは、ロール紙10aの芯管10bと同じ高さになる位置にあり、芯管10bと支持部材当接部14bとが当接するように設定してある。したがって、支持部材14の上端が図中で左側へ倒れてきてロール紙10aの側面に接触することが防がれるようになっている。
【0022】
図7はロール紙10aの芯管10bが端面10cよりも駆動軸13の軸方向で奥側(図中左側)に入っている状態で支持部材当接部14bの位置を示す図である。この状態の時、支持部材当接部14bの幅寸法(駆動軸13の軸方向での寸法を言う)がロール紙10aの芯管10bが端面10cから奥まっている距離cよりも大きい幅(芯管10bの端部に当接できる位置まで突き出す寸法)となっていれば、ロール紙10aの端面10cに支持部材14が接触することなくロール紙10aの端面10cを抑えることができる。なお支持部材14の先端部が図7でよくわかるように先端側(駆動軸13の軸方向で奥側)が低くなる斜面状に形成してあるので、ロール紙10aの端面10cにダメージを与えることなく抑えることが可能になっている。
【0023】
なお支持部材当接部14bが芯管10bの外径より低い位置(芯管10bの内径側)にある位置構成とすることで、ロール紙10aの端面10cに支持部材当接部14bが接触することを防げる。
【0024】
またなお、本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 :装置本体
3 :画像形成部
10 :用紙
10a、10a1、10a2 :ロール紙
10b :芯管
10c :芯管の端面
12 :フランジ
12a :軸芯部
12b :ガイド部
12c :収納部(凹部)
13 :駆動軸
14 :支持部材
14a :回動支点
14b :支持部材当接部
15 :弾性部材
18 :ガイドロッド
19 :ガイドレール
20 :キャリッジ
21 :駆動モータ
22 :駆動プーリ
23 :従動プーリ
24 :ベルト部材
25 :維持回復機構
26 :メインカートリッジ
27 :カッタ
101a、101b :スプール軸受け台
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】特開2007‐290864号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状の媒体を保持するための保持部材と、
前記保持部材に移動可能に取り付ける複数の支持部材と、
を備えたロール媒体保持機構において、
前記ロール状の媒体の芯管の径が大きい場合には、前記支持部材が前記保持部材の軸芯部の外周面と前記芯管の内周面とに当接し、
前記ロール状の媒体の芯管の径が小さい場合には、前記支持部材を移動させて前記芯管の端部が前記支持部材に当接して前記支持部材の退避位置を規制する構成としてなる、
ことを特徴とするロール媒体保持機構。
【請求項2】
請求項1に記載のロール媒体保持機構において、
前記支持部材が前記ロール状の媒体あるいは前記ロール状の媒体の芯管への当接部を有し、
該当接部は、前記支持部材が前記退避状態にあるときに、前記当接部が前記支持部材より前記ロール状の媒体側へ突き出た位置にあり、また前記支持部材の回動中心よりも半径方向で外側に位置する、
ことを特徴とするロール媒体保持機構。
【請求項3】
請求項2に記載のロール媒体保持機構において、
前記支持部材の当接部は芯管の外径より低い位置にある、
ことを特徴とするロール媒体保持機構。
【請求項4】
請求項2に記載のロール媒体保持機構において、
前記ロール紙の芯管が該ロール紙の端面よりも内側にある場合でも、前記退避状態にある前記支持部材の当接部が、前記ロール紙の芯管と当接する突き出し量を有する、
ことを特徴とするロール媒体保持機構。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のロール媒体保持機構において、
前記ロール状の媒体の芯管の径が大きく、前記支持部材が前記保持部材の軸芯部の外周面と前記芯管の内周面とに当接している時、前記当接部を収納可能な逃げ部を前記保持部材の軸芯部に設けてある、
ことを特徴とするロール媒体保持機構。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のロール状記録媒体保持機構を備えたことを特徴とするロール給紙装置。
【請求項7】
画像形成部と、請求項6に記載のロール給紙装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
画像形成部と、請求項1から5のいずれかに記載のロール状記録媒体保持機構を備えたことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−100154(P2013−100154A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243952(P2011−243952)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】