説明

ロール巻き付糸除去装置および除去方法

【課題】回転するロールに巻き付いた巻き付糸を短時間で除去することで、除去中に屑処理される正規糸条の損害を極力減らすことで生産効率を低下させることなく、また擦過部材の交換サイクルを延ばすことで、機器の保守・管理を容易にし、ロールに傷つけること無く、除去性能が長期に渡り維持できる巻き付糸除去装置を提供すること。
【解決手段】複数の凹凸を表面に有し、回転するロールに接触させた際に摩耗する擦過部材をロール上の巻き付糸に接触さることで、擦過部材の表面の凹凸で巻き付糸を掻き取り、掻き取られた糸は、移動機構で擦過部材をロールから離間させ吸引ノズルで吸引・排出させる。擦過部材には、摩耗しても常に表面に複数の凹凸が維持できる部材、例えば、内部に複数の空隙を有する多孔体である無機質気泡体または、無機質発泡体等を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール巻き付糸除去装置および除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、繊維等の線状体製品の製造工程においては、糸の搬送、張力や品質の安定化等の目的で多数のロールが用いられているが、単糸切れや、ロール表面の傷、油剤による粘着力等に基づくロールへの糸の巻き付は避けられない。
【0003】
ロールに巻き付いた糸は古典的には、ロールを回転させた状態で竹へら等を押し当ててロール端に導いて除去していたが、近年の様な生産コスト競争の激化による、生産ライン速度の高速化や、一つの系列の設備でロールを長尺化し、糸を並行に配列することで幾糸条もの生産を同時に行なう事が一般化されつつある。
しかし、この様な回転体への巻き付糸除去作業は、巻き込まれ等の災害を引き起こす大きな危険性を伴うことになる。また、労働安全上、設備を停機して巻き付糸を取り除くのが最も推奨される方法ではあるが、停機に伴う生産性の低下は、現代においては、非常に莫大な損失を伴うこととなる。
【0004】
このため、従来、この様なロール巻き付糸が発生した場合に装置を停機せず、安全に巻き付糸を除去する手段として、次の様な装置が提案されていた。以下に従来の巻き付糸除去装置について、装置構成および巻き付糸を除去する様子を図1〜図9を用いて説明する。
【0005】
図1は、繊維製造工程における糸条引き取り搬送部の一部を示したものであり、糸条1〜糸条5が、図示しない上流工程から並行に並んで、A方向に搬送用ロール6〜10により定常搬送され、B方向に図示しない下流工程に搬送されている様子を示している。
【0006】
次いで図2は、ロール10よりも下流側で、糸条3が何らかのトラブルにより糸切れを発生し、張力が無くなった糸条3がロール7に巻き付き始め、巻き付糸3aが発生した状態を示している。また、図示していない検知器により、糸条3の糸切れを検知した設備は、上流工程にて、図示してない糸条切断吸引装置で糸条3を切断するとともに吸引する事で図3に示す様、ロール7に巻き付き始めた糸条3のロール7への供給を裁ち切り、巻き付糸3aの量を極力少なくする仕組みとなっている。さらにロール7の近傍には、ロール7に巻き付いた巻き付糸3aを除去するための、巻き付糸除去装置21が、設置されている。この巻き付糸除去装置21は、レールに沿ってロール軸方向に移動可能にレール部22上に取り付けられている。レール部22は、ロール6〜ロール10それぞれの近傍にロールと平行に同一の取り合いで図示してないブラケットにより設置されており、巻き付糸除去装置21は、共用品として、糸条の巻き付いたロール6〜ロール10のいずれかの場所へ作業者が持ち運び、移動させることで、各ロールに対応した位置のレール部22に、はめ込んで使うことができる。図1〜図3にはロール7以外に設置したレール部22は、図示を省略している。図4は糸条の巻き付が発生したロール7と巻き付糸除去装置21近傍の拡大図を示し、ロール7長手方向のほぼ中央部には、巻き付糸3aを有する状態である。巻き付糸除去装置21の構成としては、スライドブロック23がレール部22上でロール7の軸方向に移動可能な様にレール部22にはめ込まれている。スライドブロック23には、エアー吸引用の断面形状が円形の吸引管27が、ロール7と平行にスライドブロック23を貫通する構成で組み込まれており、吸引管27は、スライドブロック23に対して、吸引管27の外周方向には回動可能で、長手方向にはスライド移動しない構成で組み込まれている。吸引管27の先端は90゜に曲げられたエルボ部28を有しており、エルボ部28の先は、糸条を吸引するための吸引口25が、ロール7表面に向かって開口する取り合いの構成になっている。また、吸引口25には、ブラケット24を介して厚さ10mmでロール7方向に向けて先端の尖った、へら26が、吸引口25よりもロール7の回転方向である矢印C方向で下流側に設けられている。この様な構成により、吸引口25と、へら26は、吸引管27のエルボ部28とは反対側の端に設けた操作用のハンドル29にて人手で、矢印F方向に捻ることで、へら26をロール7に接触させ、また、矢印E方向に捻ることで、へら26をロール7から離間させる動きができる構成となっている。さらに、吸引管27は、図示していない吸引手段とフレキホース30にて接続されており、吸引口25からは常にエアーが吸引されている。
【0007】
図4では、図示省略した作業者が、既に巻き付糸3aを除去しようとしている状態を示し、巻き付糸除去装置21は、レール部22に作業者により、はめ込まれ、ハンドル29を矢印E方向および矢印H方向に手で力を添えることでへら26は、ロール7および巻き付糸3aに接触せず、巻き付糸3aのある位置まで、除去部22は、レール部22上をスライド移動させられた状態である。ロール7は巻き付糸3aと共に糸条搬送速度である300m/minの周速で回転している。
【0008】
図5は図4の矢印Z方向から見た図であり、図示していない人手でハンドル29を矢印E方向に押さえることで、へら26が巻き付糸3aに接触してない状態を見やすい方向で示している。
【0009】
次いで図6に示す様、ハンドル29を矢印F方向に回動させることで、へら26が、巻き付糸3aに接触し、図7に示す様、へら26のへら先26aにより巻き付糸3aが切断/剥離され表面側の糸条から徐々に浮遊し、浮遊した糸片3cは吸引口25からの吸引力により矢印D方向に引き寄せられ、吸引口25から矢印K方向(図5,図6)に吸引され外部へ排出される。また、へら26を巻き付糸3aに接触し続けると、図8に示す様、へら先26は摩耗するとともに、へら先26aと巻き付糸3aとの間に挟まった糸屑塊3bが、徐々に大きく(図7→図8)なり、へら26の糸条剥離力が低下するため、適度な間隔をおいて、ハンドル29を矢印E方向に回動させ、図9に示す様、へら26を巻き付糸3aから離間させることで、糸屑塊3bを巻き付糸3aと擦過部材26の間から解放させることで、矢印D方向に糸屑塊3bが引き寄せられ吸引口25に吸引される。この様に、ハンドル29を矢印E方向,F方向へ交互に回動し、へら26の巻き付糸3aへの接触・離間を繰り返すことで、ロール7に巻き付いた巻き付糸3aが除去されるのである。へら26は、ロール7の表面を傷つけない様、ロール7の表面よりも軟らかい材質を使用しているため、へら26の先端であるへら先26aは、徐々に摩耗するものであり、消耗品として定期的に交換して使用するものである(特許文献1)。
【0010】
しかしながら、上述の様な従来のロール巻き付糸除去装置では、次の様な問題点があった。
【0011】
へら26は先端が先細ったものであり、先細ったへら先26aでまず巻き付糸3aを剥離するものであるが、鋭利なへら先26aは摩耗しやすく、初期の性能は短時間で低下する。その後、へら先26aの摩耗したへら26で巻き付糸を擦過するが、摩耗したへら先26aでは巻き付糸3aへの剥離効果が低く、除去に時間がかかる。この間、巻き付糸3aに対応した糸条3は、上流側で屑糸として、屑処理され、屑量が多く発生し、その分生産効率を低下させることになっていた。また、へら26は、ロール7よりも軟らかい材質であり、へら26自体の摩耗が早いため、へら先26aが鋭利な状態で使用し続けるために、へら26の交換サイクルを早める必要があり、保守・管理の手間がかかっていた。また、この問題を回避するため、へら26を金属等の硬質の材料を使うとロール7の外周面を傷つけ、通常稼働時にその傷の影響で、糸条の品質に悪影響を与えるまたは、ロール7に糸条が巻き付き易くなるといった問題があった。また、ヘラ26と巻き付糸3aとの接触長さ(擦過長)が小さいため、接圧力が小さい範囲に集中し高い摩擦熱が発生し、融点の低い糸条の場合は溶けてへら26やロール7およびロール7上の巻き付糸3aに付着して、除去性が低下し、連続して除去性能が維持できないといった問題があった。また、へら26の材質に融点の低いプラスチック製等使った場合は、へら自体が溶けて同様の問題が発生する。
【0012】
また、前述した従来の巻き付糸除去装置とは別の方式のものとして、図10に示す巻き付糸除去装置が別途従来品として提案されている。前述した巻き付糸除去装置のへら26設置部分に図10に示す様、ブラシ40が装着されており、それ以外は全て同じである。このため、巻き付糸を除去する対象となる糸条生産設備およびロール7に巻き付いた糸の状況、巻き付糸除去装置の構成、ハンドル29を人手で操作する点や、ロール7から除去された巻き付糸3aが、吸引口25から吸引され排出される点等は、全て同じものとして、以下に巻き付糸3aを除去する状況について、図10から図12を用いて説明する。
【0013】
図10は巻き付糸3aが巻き付いたロール7に対し、巻き付糸除去装置がセッティングされた状態を示し、ハンドル29が図示してない人手により矢印E方向に押さえられているため、ブラシ40が巻き付糸3aから離間している状態である。ブラシ40は、図11に示す様に線体固定部42と線体41から構成されている。ハンドル29が人手により、矢印F方向に回動させられるとブラシ40は、ロール7に近接し線体41は、図12に示す様、巻き付糸3aに接触し、巻き付糸3aが線体41に絡みつき、絡みついた巻き付糸3aは、引きちぎられ一部は、浮遊糸3cとして空中浮遊し、吸引口25の吸引力により、矢印D方向に吸引される。また、線体41に絡みついた絡み糸3bは、ハンドル29を矢印E方向に回動し、ロール7から離間させることで、図13に示す様、線体41から離れ吸引口25の吸引により矢印D方向へと吸引される。
この様に、ハンドル29を矢印E方向F方向へ交互に回動させ、ブラシ40をロール7の巻き付糸3aに接触および離間を繰り返すことで、巻き付糸3aは、ロール7から徐々に除去されるものである(特許文献2)。
【0014】
しかしながら、後者の従来の巻き付糸除去装置においては、使用すると図14に示す様、細くて剛性の弱い線体41は、回転する巻き付糸3aとの摩擦力に負けて線体先端部41aが曲がってしまい本来の掻き取り機能が低下してしまう。また、線体41の剛性UPを図るべく線体41の線径を大きくすると、細い先端で、糸を引っ掛けて切断するといった機能が低下し除去性能が著しく低下するといった問題があり、また、線体41が曲がらない様に、線体41の材質を金属等の硬質の物にすると、ロール表面を傷つけ、通常稼働時にその傷の影響で、糸条の品質に悪影響を与えるまたは、ロール7に糸条が巻き付き易くなるといった、前者の巻き付糸除去装置と同様の問題があった。
【特許文献1】特開平8−27632号公報
【特許文献2】実開昭53−41424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、上述した従来のロール巻き付糸除去装置における問題点を解決できるロール巻き付糸除去装置および除去方法を提供することにある。
【0016】
すなわち、生産効率を低下させることなく、保守・管理が容易で、製品糸条の品質にも悪影響を与えず、更にはロールを傷付けること無く、また除去性能が長期に渡り維持できる糸条巻き付糸除去装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために本発明は、回転するロールの外周面に巻き付いた巻き付糸を除去する装置であって、複数の凹凸を表面に有する擦過部材と、該擦過部材を前記ロールに対し接触する位置と離間する位置とに移動可能な移動手段と、前記擦過部材が前記ロールと接触して発生した糸屑を回収する糸屑回収手段とを備え、前記擦過部材は、擦過により減耗したときに表面に新たな凹凸を生成するものであることを特徴とするロール巻き付糸除去装置が提供される。
【0018】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記擦過部材が前記ロールよりも軟らかいことを特徴とするロール巻き付糸除去装置が提供される。
【0019】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記擦過部材が複数の空隙を有する多孔体であることを特徴とするロール巻き付糸除去装置が提供される。
【0020】
また、本発明の別の形態によれば、回転するロールの外周面に巻き付いた巻き付糸を除去する装置であって、複数の空隙を有する多孔体と、該多孔体を前記ロールに対し接触する位置と離間する位置とに移動可能な移動手段と、前記空隙体に併設した糸屑回収手段とを備えていることを特徴とするロール巻き付糸除去装置が提供される。
【0021】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記多孔体が前記ロールよりも軟らかいことを特徴とするロール巻き付糸除去装置が提供される。
【0022】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記多孔体が、無機質気泡体または無機質発泡体であることを特徴とするロール巻き付糸除去装置が提供される。
【0023】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記糸屑回収手段が吸引ノズルであることを特徴とするロール巻き付糸除去装置が提供される。
【0024】
また、本発明の好ましい形態によれば、複数のロールと、前記ロールに対し相対的に同じ位置にそれぞれ設置された複数のレール部を有し、前記レール部に上記のロール巻き付糸除去装置を着脱可能に構成したことを特徴とする糸条の製造装置が提供される。
【0025】
また、本発明の別の形態によれば、回転するロールの外周面に巻き付いた巻き付糸に、複数の凹凸を表面に有する擦過部材を接触させ、その摩擦力で前記巻き付糸を切断し前記ロールから掻き取り、前記擦過部を前記ロールから離間させ、前記巻き付糸を回収するロール巻き付糸除去方法であり、かつ前記巻き付糸と前記擦過部材の擦過により前記擦過部材が減耗され、その減耗により新たな凹凸を生成する擦過部材を用いることを特徴とするロール巻き付糸除去方法が提供される。
【0026】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記擦過部材に前記ロールよりも軟らかい材質を使用することを特徴とするロール巻き付糸除去方法が提供される。
【0027】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記擦過部材として、内部に複数の空隙を有する多孔体を用いることを特徴とするロール巻き付糸除去方法が提供される。
【0028】
また、本発明の別の形態によれば、回転するロールの外周面に巻き付いた巻き付糸に、複数の空隙を有する多孔体を接触させ、その摩擦力で前記巻き付糸を切断し前記ロールから掻き取り、前記擦過部を前記ロールから離間させ、前記巻き付糸を回収することを特徴とするロール巻き付糸除去方法が提供される。
【0029】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記多孔体として、前記ロールよりも軟らかい材質を用いることを特徴とするロール巻き付糸除去方法が提供される。
【0030】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記多孔体として、無機質気泡体または無機質発泡体を用いることを特徴とするロール巻き付糸除去方法が提供される。
【0031】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記巻き付糸の回収を吸引で行なうことを特徴とするロール巻き付糸除去方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、複数のロールと、前記ロールに対し相対的に同じ位置にそれぞれ設置された複数のレール部を有する糸条の製造装置にて、巻き付糸の発生したロールに設置されたレール部に上記のロール巻き付糸除去装置を取り付け、巻き付糸を除去することを特徴とするロール巻き付糸除去方法が提供される。
【発明の効果】
【0032】
本発明の好ましい形態によれば、以下に説明するとおり、複数の凹凸を有する擦過部材の表面を面接触させて巻き付糸を擦過し掻き取るため、従来品よりも擦過範囲が広く、擦過効率が向上するため、巻き付糸除去時間が短い。このため除去している間に屑処理する上流側からの送糸の糸屑量を極力少なくでき、生産効率の低下を抑えられる。また、前述した様に擦過部材の接触面積が広いため摩耗が少なく、擦過部材の交換頻度も少ないため保守・管理が容易である。また、擦過部材は表面が摩耗しても新たな凹凸が生成される構成であるため、除去性能が低下しない。このため、連続して性能が維持できる。更に擦過部材は、面接触のため、摩擦力が部分集中しないため高い摩擦熱が発生せず、巻き付糸や擦過部材を熱で損傷させる懸念も無い。また、擦過部材がロール表面よりも軟らかいため、ロール表面を傷つけることは無い。
【0033】
以上により、本発明の巻き付糸除去装置および方法によれば、より短時間で巻き付糸を除去でき、効率の良い糸条の生産が実現できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の最良の実施形態の一例をポリエステルフィラメントの製造装置に適用した場合を例にとって、図面を参照しながら説明する。
【0035】
本実施形態について、巻き付糸の発生状況および対象ロール等の糸条生産設備については、従来装置で説明したものと同じとし省略し、本説明では巻き付糸除去装置の部分について説明する。
【0036】
図15は本実施形態に係る巻き付糸除去装置および巻き付糸が発生したロールを斜視図で表したものである。また、図16および図17は図15の矢印Y方向から見た図であり本実施形態例の巻き付糸除去装置の除去動作を示す図である。また、図18は擦過ブロック単体の外観図であり、図19から図24は、本実施形態例の巻き付糸除去装置にて擦過部材に掻き取られ除去される巻き付糸の状況を示す図である。
【0037】
図15においては、300m/分の速度で複数の糸条を搬送している糸条生産設備のロール7に複数の糸条の内、1本の糸条が巻き付き、巻き付糸3aが発生した状況の中、ロール7近傍に巻き付糸除去装置21aが配設された状態を示す。
【0038】
巻き付糸除去装置21aはレールに沿ってロール軸方向に移動可能にレール部22上に取り付けられている。レール部22は、生産設備の複数あるロールに対して、相対的に同じ位置にそれぞれ設置されている。巻き付糸除去装置21aは、それぞれのロール部に設けられたレール部22に人手により、はめ込まれるものである。巻き付糸除去装置21aの構成としては、スライドブロック23aがレール部22上でロール7の軸方向に移動可能な様にレール部22にはめ込まれている。
【0039】
スライドブロック23aには、エアー吸引用の断面が円形の吸引管27がロール7と並行にスライドブロック23aを貫通する構成で組み込まれており、吸引管27は、スライドブロック23aに対して吸引管27の外周方向には回動可能で、長手方向にはスライド移動しない構成で組み込まれている。
【0040】
吸引管27の先端には、ホルダブロック24aが接続され、ホルダブロック24aからは、吸引管27に対して下方に直角の方向に吸引ノズルとしての吸引口25aが接続されている。吸引管27と吸引口25aは、ホルダブロック24aを介して接続されており、吸引口25aから吸引管27は、内部が繋がっており、エアーが流れる様になっている。また、ホルダブロック24aには、ロール7に向かって、面が突出する取り合いで、擦過部材である擦過ブロック45が組み込まれている。また、吸引管27のホルダブロック24aとは反対側の端には、ハンドル29が設けられており、図16(図15の矢印Y方向から見た図)に示す様、擦過部材移動機構として設けたハンドル29を矢印E方向に回動することで擦過ブロック45は、ロール7に巻き付いた巻き付糸3aから離間し、また、図17に示す様、ハンドル29を矢印F方向に回動することで擦過ブロック45は、巻き付糸3aに接触する様になっている。さらに、糸屑回収手段として吸引管27が図示していない吸引手段とフレキホース30で接続されており、吸引口25aから常にエアー吸引する様になっている。
【0041】
本実施形態における擦過部材は、巻き付糸の単糸を引っかけ引きちぎる複数の凹凸をその表面に有している。また、表面が摩耗しても新たな凹凸を生成するような構造になっている。内部に多数の空隙を有する多孔体や、ハニカム等表面から内部に渡り連続的な開口を有する構造体、スポンジのような網目状構造体、微粒子をバインダで固めた構造体、微粒子の焼結体などが好ましい。また、前記多孔体の空隙率は10〜80%であることが好ましく、20〜50%であることがより好ましい。これは空隙率が大きすぎると構造体として脆くなりすぎ摩耗量が増え、また空隙率が小さすぎると糸屑により擦過部材表面の凹凸がすぐに目詰まりをおこしてしまい糸屑の除去頻度が増えるためである。また多孔体の表面に現れる空隙は糸条を構成する単糸の太さに合わせその大きさを設定することが好ましく、上記空隙率の範囲にて1平方センチメートルあたりに5個〜800個の範囲が好ましく、1平方センチメートルあたりに50個〜400個のものがより好ましい。
【0042】
また、擦過部材はロールよりも軟らかいことが好ましい。ここで「軟らかい」とは前記ロールに擦り合わせた際にロールを傷つけないということであり、もちろんロールよりも硬度が低いことが好ましいが、材質としての硬度がロール表面よりも高いものであっても、ロールに擦り合わせた際、擦過部材の表面が崩れロールを傷つけることがないようなものであれば好適に用いることができる。なお本発明における多孔体とは、独立した複数の空隙または連なった複数の空隙を内部または内部および表面に有する物質または材質を示す。
【0043】
本実施形態において、擦過部材である擦過ブロック45は、多孔体である無機質発泡体を使用している。空隙率の調整および耐熱性の面から、このような無機質発泡体や無機質気泡体を使用することが好ましい。
【0044】
本実施形態例で使用している無機質発泡体は、新島物産株式会社が製造している製品名「ネオエックス」であり、天然の抗火石を原料とし発泡体として形成した材料である。一般的用途として家庭用軽石(足のかかと等の皮膚の角質削り材)として使用されている人工軽石材であり、本実施形態でのロール7に擦り合わせると、容易に摩耗する脆く軟らかい材料である。また、本実施形態では表面に現れる空隙が1平方センチメートルあたりに370個有するものを使用している。
【0045】
なお、ロール表面のキズ付防止・汚れの付着防止の面から、ロールの表面はハードクロムメッキやセラミックコーティング、窒化処理などの硬化処理が行われていることが好ましく、本実施形態のロールにはセラミックコーティングがされているものを用いた。
【0046】
また、本実施形態において、擦過ブロック45の外観形状は図18に示す様、円柱型のものであり、外径(φS)60mmで、高さ(h)25mmであり、平面である正面部47が巻き付糸3aに接触する様に側面部46をホルダブロック24aに固定して設置しているが、擦過ブロック45の形状は、四角い立方体形状でも良いし、多角形のものでも良い。また、正面部47は図に示すような平面のほか、ロールの外周面に合わせた円筒面としてもよい。
【0047】
本実施形態では、ポリエステルフィラメントの製造装置に適用した場合について説明しているが、ナイロンフィラメントや、アクリル系等の合成繊維は無論、全ての紡繊繊維の製造または高次加工工程に適応可能である。
【0048】
また、本実施形態では、対象となる糸条生産設備の糸条走行速度を300m/分としているが、5m/分程度の極低速から10000m/分レベルの高速の設備まで適応が可能である。また、本実施形態では、ロール毎にレール部を設置し、巻き付糸除去装置は兼用のものとしているが、レール部と巻き付糸除去装置が一体ユニットで、そのユニットが、それぞれのロール部に設置されている構成でも良く。さらには、レール部と巻き付糸除去装置の一体ユニット品を各ロール部へ運び、専用のブラケット等で設置する構成でも良い。さらにこれらは、人手による、移動では無く、ロボット等の自動装置で、各ロール部へ移動する構成でも良い。
【0049】
また、本実施形態では、ハンドルを人手で操作することで、レール上を巻き付糸除去装置が、スライド移動し、また、擦過部材が、巻き付糸に接触・離間する構成であるが、センサーを使用して巻き付糸の位置を見つけ、アクチュエータ駆動でレール上の除去部のスライド移動および擦過部材と巻き付糸の接触・離間を作動させる構成でも良い。
【0050】
上記の様に構成された装置において、本実施形態に係る巻き付糸除去は次の様な順序で実施される。
【0051】
図15に示す様、巻き付糸3aが巻き付いたロール7の位置に設置されたレール部22に巻き付糸除去装置21aのスライドブロック23aが、人手により、はめ込まれ、その後、人手でハンドル29を支え矢印M方向にスライド移動させ擦過ブロック45および、吸引口25aが固定されたホルダブロック24aが、巻き付糸3aに対応する位置まで移動させられる。この時、図16に示す様、擦過ブロック45がロール7の表面に触れないように、ハンドル29は人手により同時に矢印E方向に押さえられている。ホルダブロック24aが巻き付糸3aに対応する位置に移動完了すると、今度は、図17に示す様、ハンドル29を人手により、矢印F方向に回動させ、擦過ブロック45を巻き付糸3aに接触させる。
【0052】
図19に擦過ブロック45と巻き付糸3a部分が接触してない時の拡大図(図16に対応)、図20に擦過ブロック45が巻き付糸3a部分に接触し巻き付糸の除去を行っている状態の拡大図を示す。擦過ブロック45には、複数の空隙部48があり、その中でも、巻き付糸3a側に位置した正面側に面した空隙部48aに巻き付糸3aが引っかけられる。その際、ロール7は依然として回転しており、空隙部48aに引っかかった単糸はロールと擦過ブロックの相対変位により引きちぎられる。その状態での空隙部48a部(図20のJ部)を図21に拡大して示す。この様に、掻き取られ引きちぎられた、糸屑塊3bは、正面側空隙48aに糸屑塊3bが把持された状態となる。巻き付糸3aと擦過ブロック45は5秒間接触させられた後、人手によりハンドル29を矢印F方向に操作されることで、図22に示す様、巻き付糸3aと擦過ブロック45は離間する。この際、糸屑塊3bは、擦過ブロック45に密着して、ロール7から離間するが、その直後、糸屑塊3bは、擦過ブロック45の下方に位置する吸引口25aの吸引力により、擦過ブロック45から外れ、吸引口25a内に導かれ、吸引管27およびフレキホース30を経て、図示していない糸屑回収箱へと排出される。この後再び人手によるハンドル29の操作で、巻き付糸3aに擦過ブロック45を接触させることで巻き付糸3aが再び擦過ブロック45に掻き取られる。こうして、巻き付糸3aと擦過ブロック45との接触・離間を数回から十数回繰り返すことで、ロール7上に巻き付いた巻き付糸3aは、ロール7から全て除去される。除去に関し、擦過ブロック45は、複数の空隙部をもつ面を巻き付糸3aに擦り付けるため、複数の正面側空隙部48aで同時に巻き付糸を掻き取るため、1回の接触で多くの巻き付糸を除去できるため、短時間で除去ができる。また、擦過ブロック45は、接触面積が大きいため、摩耗が少なく擦過ブロック45の交換頻度も少なく、さらに摩耗しても、擦過ブロック自体が、全体にほぼ均等に複数の空隙部48を持っているため、図23に示す様使用初期段階では、G−Gラインに面する正面側空隙部48aにより、巻き付糸3aが擦過されるが、擦過ブロック45が摩耗し、例えばN−Nラインの位置まで摩耗すると、図24に示す様、内部に隠れていた空隙部48が、N−Nラインの位置で巻き付糸3a側の表面に現れ、新たに正面側空隙部48aとなり、巻き付糸が擦過される。この様に次から次へと新しい空隙が現れるため、何ら除去性能が低下することは無い。このため、長期に渡り初期の除去性能を維持したまま、擦過ブロック45の交換無しで使用できるのである。
【実施例】
【0053】
[実施例1]
以上説明した本実施形態に係る巻き付糸除去装置を用いて、560dtex96フィラメントの産業用ポリエステルフィラメントの製造工程におけるロールへの巻き付糸の除去を行った。糸条走行速度は300m/分、ロール外径は200mmとした。その結果、約2分で巻き付糸が全て除去できた。短時間で巻き付糸の除去ができたため、除去中にやむなく屑処理されていた製品糸の量もこれまでの20%以下に削減でき、生産効率の著しい低下を抑えることができた。また、擦過部材の摩耗量が少ないため、擦過部材の交換頻度が減り装置の保守・管理に関する負担が減った。また、ロール外周面が傷つくことが無いため、傷によるロールへの糸条巻き付きが発生せず、傷による製品への悪影響も無いため、続けて安定した生産が継続できた。さらに、擦過ブロックは摩耗しても新たな空隙部が現れるため、巻き付糸の除去性能は低下することなく継続維持できた。
[比較例1]
次に本実施形態の効果を確認するため、図4に示す従来の巻き付糸除去装置を用いて、560dtex96フィラメントの産業用ポリエステルフィラメントの製造工程におけるロールへの巻き付糸の除去を行った。糸条走行速度は300m/分、ロール外径は200mmとした。その結果、作業開始後5分経過しても巻き付糸の除去は完了せず、鋭利なへらの先端は摩耗により擦過性能が著しく低下していたため、作業の途中でへらの交換を強いられた。このため、巻き付糸の除去が完了するまで10分以上の時間がかかり、この間に上流から送られて来る糸条は全て屑処理された。このように、従来の巻き付糸除去装置では、除去中に発生する糸屑の量も多くなるため、生産効率を著しく低下させ、除去中に除去性能が低下するため、へら交換が頻繁に必要で装置の保守・管理が容易ではない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、巻き付糸除去装置に限らず、その他の線状体の製造装置でのロールでの巻き付に対しても応用することができる、また、線状体以外の付着物を回転体表面から除去する等、その応用範囲がこれらに限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】繊維製造工程における糸条引き取り搬送部の一部を示す。
【図2】図1において巻き付糸が発生し出した状態を示す。
【図3】巻き付部への糸条の供給を裁ち切った状態を示す。
【図4】図3で生じた巻き付糸発生部に従来の巻き付糸除去装置が設置された状態の拡大図を示す。
【図5】図4の矢印Z方向から見た巻き付糸除去装置を示す。
【図6】図5の状態から、巻き付糸の除去を開始した状態を示す。
【図7】へらを接圧することで巻き付糸が切断/剥離される状況を示す。
【図8】図7の状況が継続され、へら先が摩耗するともに、糸屑塊が大きくなる状況を示す。
【図9】図8の状態から、巻き付糸からへらを離した状態を示す。
【図10】従来の巻き付糸除去装置で別の構成の装置を示す。
【図11】図10のブラシ部の詳細を示す。
【図12】図11でブラシを巻き付糸に接圧し、巻き付糸の除去を開始した状態を示す。
【0056】

【図13】図12で除去しブラシに絡みついた糸屑塊が吸引口に吸引除去される様子を示す
【図14】図10の巻き付糸除去装置で、巻き付糸の除去を行った後のブラシ部の状態を示す。
【図15】本発明装置の一例である巻き付糸除去装置および巻き付糸発生ロールを示す。
【図16】図15の矢印Y方向から見た図を示す。
【図17】図16の状態より、巻き付糸を除去するべく擦過ブロックを巻き付糸に接触させた状態を示す。
【図18】図15装置に設置された擦過ブロック単体の外観図を示す。
【図19】図15装置において擦過ブロックと巻き付糸が接触してない状態を示す。
【図20】図19の状態から擦過ブロックが巻き付糸に接触し、巻き付糸の除去を行っている状態を示す。
【図21】図20のJ部拡大図である。
【図22】図20の状態から擦過ブロックを巻き付糸から離間させた状態を示す。
【図23】擦過ブロックの使用初期段階を示す。
【図24】図23の状態から擦過ブロックが摩耗し新たな正面側空隙部が現れた状態を示す。
【符号の説明】
【0057】
1:糸条
2:糸条
3:糸条
3a:巻き付糸
3b:糸屑塊
3b1:引っ掛かり部
3c:糸片
4:糸条
5:糸条
6:ロール
7:ロール
8:ロール
9:ロール
10:ロール
21:巻き付糸除去装置(従来装置)
21a:巻き付糸除去装置(本発明装置)
22:レール部
23:スライドブロック(従来装置)
23a:スライドブロック(本発明装置)
24:ブラケット
24a:ホルダブロック
25:吸引口(従来装置)
25a:吸引口(本発明装置)
26:へら
26a:へら先
27:吸引管
28:エルボ部
29:ハンドル
30:フレキホース
40:ブラシ
41:線体
41a:線体先端部
42:線体固定部
45:擦過ブロック
46:側面部
47:正面部
48:空隙部
48a:正面側空隙部
A:糸条走行方向
B:糸条走行方向
C:ロール回転方向
D:吸引方向
E:ハンドル回転方向
F:ハンドル回転方向
H:巻き付き除去装置スライド方向
K:吸引方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転するロールの外周面に巻き付いた巻き付糸を除去する装置であって、複数の凹凸を表面に有する擦過部材と、該擦過部材を前記ロールに対し接触する位置と離間する位置とに移動可能な移動手段と、前記擦過部材が前記ロールと接触して発生した糸屑を回収する糸屑回収手段とを備え、前記擦過部材は、擦過により減耗したときに表面に新たな凹凸を生成するものであることを特徴とするロール巻き付糸除去装置。
【請求項2】
前記擦過部材が前記ロールよりも軟らかいことを特徴とする請求項1に記載のロール巻き付糸除去装置。
【請求項3】
前記擦過部材が複数の空隙を有する多孔体であることを特徴とする請求項1または2に記載のロール巻き付糸除去装置。
【請求項4】
回転するロールの外周面に巻き付いた巻き付糸を除去する装置であって、複数の空隙を有する多孔体と、該多孔体を前記ロールに対し接触する位置と離間する位置とに移動可能な移動手段と、前記多孔体に併設した糸屑回収手段とを備えていることを特徴とするロール巻き付糸除去装置。
【請求項5】
前記多孔体が前記ロールよりも軟らかいことを特徴とする請求項4に記載のロール巻き付糸除去装置。
【請求項6】
前記多孔体が、無機質気泡体または無機質発泡体であることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のロール巻き付糸除去装置。
【請求項7】
前記糸屑回収手段が吸引ノズルであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のロール巻き付糸除去装置。
【請求項8】
複数のロールと、前記ロールに対し相対的に同じ位置にそれぞれ設置された複数のレール部を有し、前記レール部に請求項1〜7のいずれかに記載のロール巻き付糸除去装置を着脱可能に構成したことを特徴とする糸条の製造装置。
【請求項9】
回転するロールの外周面に巻き付いた巻き付糸に、複数の凹凸を表面に有する擦過部材を接触させ、その摩擦力で前記巻き付糸を切断し前記ロールから掻き取り、前記擦過部を前記ロールから離間させ、前記巻き付糸を回収するロール巻き付糸除去方法であり、かつ前記巻き付糸と前記擦過部材の擦過により前記擦過部材が減耗され、その減耗により新たな凹凸を生成する擦過部材を用いることを特徴とするロール巻き付糸除去方法。
【請求項10】
前記擦過部材に前記ロールよりも軟らかい材質を使用することを特徴とする請求項9に記載のロール巻き付糸除去方法。
【請求項11】
前記擦過部材として、内部に複数の空隙を有する多孔体を用いることを特徴とする請求項10に記載のロール巻き付糸除去方法。
【請求項12】
回転するロールの外周面に巻き付いた巻き付糸に、複数の空隙を有する多孔体を接触させ、その摩擦力で前記巻き付糸を切断し前記ロールから掻き取り、前記擦過部を前記ロールから離間させ、前記巻き付糸を回収することを特徴とするロール巻き付糸除去方法。
【請求項13】
前記多孔体として、前記ロールよりも軟らかい材質を用いることを特徴とする請求項12に記載のロール巻き付糸除去方法。
【請求項14】
前記多孔体として、無機質気泡体または無機質発泡体を用いることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載のロール巻き付糸除去方法。
【請求項15】
前記巻き付糸の回収を吸引で行なうことを特徴とする請求項9〜14のいずれかに記載のロール巻き付糸除去方法。
【請求項16】
複数のロールと、前記ロールに対し相対的に同じ位置にそれぞれ設置された複数のレール部を有する糸条の製造装置にて、巻き付糸の発生したロールに設置されたレール部に請求項1〜7のいずれかに記載のロール巻き付糸除去装置を取り付け、巻き付糸を除去することを特徴とするロール巻き付糸除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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