説明

ロール支持台

【課題】ロール体を懸架した状態で変形が生じることなく、安全に搬送及び保管することができるとともに、複数積み重ねることが可能なロール支持台を提供する。
【解決手段】シート材21を芯材22に巻回してなるロール体20を、芯材22の両端部を支持することにより、シート材21を非接触状態に保持するロール支持台100であって、複数のフレーム材を連結して形成された四角形状の基台10と、その基台10の四隅に立設された支柱11と、基台10の両端に配置される2本ずつの支柱11の中央部どうしを連結する前後フレーム12と、前後フレーム12の中央部とその前後フレーム12が連結状態としている両支柱11の下部とをそれぞれ連結する筋交フレーム13とを備えており、前後フレーム12の中央部には、芯材22の端部を支持する保持部18が設けられ、支柱11の上端には、他のロール支持台の支柱の下端を支持する受け部19が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム箔等のシート材の長尺物を芯材に巻回してなるロール体を、保管や搬送するために用いるロール支持台に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム箔等のシート材の長尺物は、傷つきや変形等を防止するため、芯材に巻回してロール体とした後に、そのロール体の左右から突出した芯材の両端部分を支持することによりロール体を空中に懸架した状態とされ、保管や搬送等が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1では、コイル(ロール体)の周面のほぼ半分を覆う大きさで直方体形状のフレーム枠(ロール支持台)を形成しており、このフレーム枠上部の対向する両側辺の中央に、コイルの巻芯(芯材)が嵌合するU字状受け具と、その受け具の先端開口部に取り付けられる抜け止め具とから成る支持部材を設けて、コイルの巻芯を支持することにより、コイルを空中に懸架した状態に保持している。
【0004】
また、特許文献2には、フレーム材を連結して形成された略長方形状の基台と、この基台の四隅に立設された支柱と、長方形状の基台の短辺を挟んで対峙する支柱どうしの間に配設された支持フレームと、これら各支持フレームの中央部に設けられた支持部とを備えたロール支持台が開示されている。ロール体から突出する芯材の両端部を各支持部に係合させることにより、ロール体を基台から浮かせた状態で懸架することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平7‐6096号公報
【特許文献2】特開2010‐265024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1又は特許文献2に提案されるロール支持台に収納されたロール体は、芯材を支持することにより懸架されるので、ロール体自体がロール支持台の支柱や内壁等と干渉することがない。また、トラック等で搬送する際にもロール体が傷つくことなく、安全に搬送及び保管ができる。
しかし、これらのロール支持台においては、ロール体を支持した状態で複数積み重ねることを想定していない。そのため、ロール体の支持状態で複数のロール支持台を積み重ねることができず、搬送や保管時に大規模なスペースを確保しなければならなかった。また、このようなロール支持台のフレーム構造では、ロール支持台を積み重ねた際の強度不足が懸念される。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ロール体を懸架した状態で変形が生じることなく、安全に搬送及び保管することができるとともに、複数積み重ねることが可能なロール支持台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シート材を芯材に巻回してなるロール体を、前記芯材の両端部を支持することにより、前記シート材を非接触状態に保持するロール支持台であって、複数のフレーム材を連結して形成された四角形状の基台と、該基台の四隅に立設された支柱と、前記基台の両端に配置される2本ずつの支柱の中央部どうしを連結する前後フレームと、前記前後フレームの中央部と該前後フレームが連結状態としている両支柱の下部とをそれぞれ連結する筋交フレームとを備えており、前記前後フレームの中央部には、前記芯材の端部を支持する保持部が設けられ、前記支柱の上端には、他のロール支持台の支柱の下端を支持する受け部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
ロール体の重量は、芯材の保持部が設けられた前後フレームの中央部に負荷されるが、保持部が設けられた前後フレームの中央部とその両端の支柱の下部とを連結するように筋交フレームを設けているので、ロール体の重量を四隅の支柱に分散させて支持することができる。また、支柱の上端に設けられた受け部で、他のロール支持台を支持可能に構成しており、ロール支持台に収納されたロール体の重量と、上方に載置した他のロール支持台の重量とを、立設する支柱の圧縮方向で支持することができ、変形を防止することができる。したがって、ロール体を懸架した状態で安全に搬送及び保管することができ、ロール体を懸架した状態のロール支持台を複数積み重ねて使用することが可能である。
なお、フレーム構造により変形を防止することができるので、フレーム材にステンレス材よりも剛性は低いが、軽量のアルミニウム材等を用いることができ、ロール支持台自体を軽量化することができる。この場合、ロール支持台を積み重ねた際の重量を減少させることができる。また、ステンレス材を用いた場合と比べて組み立てが容易となることから、安価に製造することができる。
【0010】
本発明のロール支持台において、前記支柱は、前記基台の下方に突出して設けられており、前記基台の両側部に配置される側部フレームの中央部と、該側部フレームの両端に配置される両支柱の上部とを連結する側面筋交フレームを有しているとよい。
支柱を基台よりも突出させて設けることにより、ロール支持台の下部に形成される空間に、フォークリフト等のフォーク爪部を差し込む空間が形成されており、基台を支持した状態でロール支持台を安定して移動させることができる。また、フォーク爪部を受ける部分が側面筋交フレームによって補強されており、変形しにくくなっている。また、複数のロール支持台を積み重ねた状態でも、側面筋交フレームによって、積み重ねられたロール支持台の荷重がフォーク爪部に直接伝えられるようになっていることから、搬送時の変形を防止することができる。
【0011】
本発明のロール支持台において、前記側部フレームと平行に設けられ、前記支柱の上端どうしを連結する上側部フレームと、前記支柱に平行に設けられ、前記上側部フレームの中央部と前記側部フレームの中央部とを連結する中央フレームとを有するとよい。
上側部フレームと、中央フレームとを設けることによってロール支持台を補強することができるので、変形をより確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ロール体の荷重を分散させてロール支持台の変形を防止できるので、ロール体を懸架した状態で安全に搬送及び保管することができる。また、ロール支持台を複数積み重ねた状態で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態のロール支持台を示す斜視図である。
【図2】図1に示すロール支持台の(a)が正面図、(b)が側面図である。
【図3】図1に示すロール支持台にロール体を懸架した状態を示す斜視図である。
【図4】複数のロール支持台を重ねた状態を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のロール支持台の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明のロール支持台100は、図3に示すように、シート材21を芯材22に巻回してなるロール体20を、芯材22の両端部を支持することにより、シート材21を非接触状態に保持するものである。
【0015】
ロール支持台100は、アルミニウム合金の押出成形によって角筒状に形成された複数のフレーム材を連結して形成されており、図1から図3に示すように、四角形状の基台10と、その基台10の四隅に立設された支柱11とを備え、略直方体形状に設けられている。
フレーム材の材料には、例えば、JIS規格における6000系合金又は7000系合金のアルミニウムを使用することができる。この場合、ロール支持台100は、断面が30mm角のフレーム材を組み合わせることによって構成されている。また、これらのフレーム材は、一方のフレーム材の側面に、他方のフレーム材の端面又は側面を突き当てた状態で、その突き当て部を溶接することにより接合されている。
【0016】
ロール支持台100の底面に位置する基台10は、複数のフレーム材を格子状に組み合わせて形成されている。
また、ロール支持台100の前後面は、図2(a)に示すように、基台10の両端に配置される2本ずつの支柱11の中央部どうしが前後フレーム12により連結され、前後フレーム12の中央部と、その前後フレーム12が連結状態としている両支柱11の下部とは、それぞれ筋交フレーム13により連結され、構成されている。
【0017】
ロール支持台100の両側面は、図2(b)に示すように、基台10の両側部に配置される側部フレーム14の中央部と、その側部フレーム14の両端に配置される両支柱11の上部とが、側面筋交フレーム15により連結されている。また、側部フレーム14と平行に、支柱11の上端どうしを連結する上側部フレーム16が設けられている。そして、この上側部フレーム16の中央部と、側部フレーム14の中央部とを連結する中央フレーム17が、支柱11に平行に設けられている。
【0018】
基台10の四隅に立設される支柱11は、基台10の下方に突出して設けられており、図2(b)に示すように、ロール支持台100の下部にフォークリフト等のフォーク爪部31を差し込む空間が形成されている。
そして、前後フレーム12の中央部には、芯材22の端部を支持する保持部18が設けられている。保持部18は、例えばMCナイロンにより、図2(a)に示すように、ロール体20の芯材22の外周面に沿う略U字状の凹部を形成している。この凹部に、上方から挿入される芯材22の端部を係合させることにより、ロール体20のシート材21をロール支持台100と非接触状態に保持することができる。
なお、保持部18は、前後フレーム12に着脱可能に設けられており、芯材の径が変更になった場合でも、芯材の径に合わせた凹部を有する保持部と差し換えることで、容易に対応することができる。
【0019】
また、支柱11の上端には、他のロール支持台100の支柱11の下端を支持する受け部19が設けられている。この受け部19は、例えば、支柱11の側辺に外接する内周円を有するカップ状に形成されており、この受け部19に他のロール支持台100の支柱11の下端を挿入することにより、図4に示すように、ロール支持台100どうしの水平方向の動きを拘束した状態で、ロール支持台100どうしを上に重ねて積み上げることができるようになっている。
【0020】
このように構成されたロール支持台100にロール体20を収納した際には、ロール体20の重量は、図2(a)の矢印a1で示すように、ロール支持台100の前後面に設けられた芯材22の保持部18に負荷され、この保持部18が設けられた前後フレーム12の中央部に負荷がかかる。この際、ロール支持台100においては、保持部18が設けられた前後フレーム12の中央部と、その両端の支柱11の下部とをそれぞれ連結するように筋交フレーム13を設けているので、保持部18に負荷されるロール体20の重量は、矢印a2で示すように、ロール支持台100の前後面に設けられた2本ずつの筋交フレーム13に伝わり、この筋交フレーム13を介して矢印a3で示すように、四隅の支柱11に分散させて支持することができる。
【0021】
また、図4に示すように、複数のロール支持台100を積み重ねて使用する場合には、支柱11の上端に設けられた受け部19に他のロール支持台100の支柱11を挿入することにより、四隅の支柱11で支持可能となっている。
したがって、ロール支持台100に収納されたロール体20の重量と、上方に載置した他のロール支持台100の重量とを、四隅に立設する支柱11の圧縮方向で支持することができるので、変形を防止することができる。
【0022】
このように、ロール支持台100のフレーム構造により、ロール体20の重量と、積み重ねた他のロール支持台100の重量とを支持して変形を防止することができるので、フレーム材にスチール材やステンレス材よりも剛性は低いが、軽量のアルミニウム材等を採用してロール支持台を構成することができる。
なお、安価なスチール材を用いてロール支持台を構成した場合には、スチール材はステンレス材やアルミニウム材と比べて錆び易いため、生じた錆が運搬中のシート材に付着するおそれがある。また、錆を防止するためにスチール材に防錆用の塗料を塗布した場合にも、その塗料が剥がれてシート材に付着するおそれがある。このため、ロール支持台を構成するフレーム材の材料としては、錆が生じ難いステンレス材やアルミニウム材が適している。
しかし、ステンレス材を用いた場合にも、フレーム材どうしの溶接部に、錆を防止するための後処理(熱処理等)が必要であり、フレーム材の製造工程が煩雑になるため、製造コストが高くなるという問題がある。さらに、ステンレス材の材料コストも、アルミニウム材と比べて高くなる。
一方、フレーム材にアルミニウム材を用いた場合には、溶接後の後処理等を必要としないため、ステンレス材を用いた場合と比べて組み立てが容易となる。したがって、ロール支持台100を安価に製造することができる。また、ロール支持台100自体を軽量化することができるので、ロール支持台100を積み重ねた際の重量を減少させることができ、ロール支持台100を構成する材料として最も適している。
なお、このようにアルミニウム材を用いてロール支持台100を構成した場合には、ステンレス材を用いた場合と比べて、約2/3程度の重量とすることができる。
【0023】
また、ロール支持台100の支柱11は、基台10の下方に突出して設けられており、ロール支持台100を移動させる際には、図3及び図4に矢印で示すように、ロール支持台100の側面側から下部に形成される空間にフォークリフト等のフォーク爪部31を差し込み、基台10を支持した状態で、安定して移動させることができる。また、基台10のフォーク爪部31を受ける部分は、側面筋交フレーム15によって補強されており、変形しにくくなっている。
【0024】
そして、複数のロール支持台100を積み重ねた状態では、上方に載置した他のロール支持台100の重量は、図2(b)の矢印b1で示すように、受け部19を介して四隅に設けられた支柱11の上端に負荷される。この際、支柱11の上部と、側部フレーム14の中央部とを連結するようにして設けられた側面筋交フレーム15により、矢印b2,b3で示すように、上方に積み重ねられた他のロール支持台100の重量を、支柱11と側面筋交フレーム15とによって受けることができる。これら支柱11及び側面筋交フレーム15は基台10に間隔をあけて接合されていることから、積み重ねられたロール支持台100の重量は基台10に平均的に分散して負荷されるようになっており、変形を防止することができる。そして、この基台10をフォーク爪部31で支持することにより、変形を防止して、安定して移動させることができる。
また、このように複数のロール支持台を積み重ねた状態でも、側面筋交フレーム15によって、積み重ねられたロール支持台100の荷重がフォーク爪部31の近辺に直接伝えられるようになっていることから(矢印b4〜b6)、搬送時の変形を防止することができる。
【0025】
さらに、ロール支持台100には、側部フレーム14と平行に設けられ、支柱11の上端どうしを連結する上側部フレーム16が設けられるとともに、支柱11に平行に設けられ、上側部フレーム16の中央部と側部フレーム14の中央部とを連結する中央フレーム17とが設けられており、全体が補強されている。したがって、変形をより確実に防止することができる。
【0026】
なお、本発明は上記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0027】
10 基台
11 支柱
12 前後フレーム
13 筋交フレーム
14 側部フレーム
15 側面筋交フレーム
16 上側部フレーム
17 中央フレーム
18 保持部
19 受け部
20 ロール体
21 シート材
22 芯材
31 フォーク爪部
100 ロール支持台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を芯材に巻回してなるロール体を、前記芯材の両端部を支持することにより、前記シート材を非接触状態に保持するロール支持台であって、複数のフレーム材を連結して形成された四角形状の基台と、該基台の四隅に立設された支柱と、前記基台の両端に配置される2本ずつの支柱の中央部どうしを連結する前後フレームと、前記前後フレームの中央部と該前後フレームが連結状態としている両支柱の下部とをそれぞれ連結する筋交フレームとを備えており、前記前後フレームの中央部には、前記芯材の端部を支持する保持部が設けられ、前記支柱の上端には、他のロール支持台の支柱の下端を支持する受け部が設けられていることを特徴とするロール支持台。
【請求項2】
前記支柱は、前記基台の下方に突出して設けられており、前記基台の両側部に配置される側部フレームの中央部と、該側部フレームの両端に配置される両支柱の上部とを連結する側面筋交フレームを有することを特徴とする請求項1記載のロール支持台。
【請求項3】
前記側部フレームと平行に設けられ、前記支柱の上端どうしを連結する上側部フレームと、前記支柱に平行に設けられ、前記上側部フレームの中央部と前記側部フレームの中央部とを連結する中央フレームとを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のロール支持台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−112351(P2013−112351A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258339(P2011−258339)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000176707)三菱アルミニウム株式会社 (446)
【Fターム(参考)】