説明

ロール状巻きオシボリ、この巻きオシボリの製造方法、及びロール状巻きオシボリのロール巻き装置

【課題】 オシボリシートの巻き付けに対して安定した保持力を有するしっかりとした巻きコア部をもつロール状巻きオシボリを提供する。また、この巻きオシボリの製造方法、この巻きオシボリの製造に用いるロール巻き装置を提供する。
【解決手段】 オシボリシートの巻き始端部側に第一次折り返し折り目2で折り返した第一次折り返し重合部を形成し、この第一次折り返し重合部に第二次折り返し折り目4で折り返した第二次折り返し重合部を形成し、この第二次折り返し重合部を前記第一次折り返し折り目2に対して前記第二次折り返し折り目4をほぼ重ね合わせた状態に巻き込み、巻きコア部6を形成し、この巻きコア部6をコアにして後続オシボリシート部分S2を巻いてロール状巻きオシボリ1を成形した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食店やホテル等で提供される、紙や不織布等の素材から成る使い捨て可能なロール状巻きオシボリに係り、特に、シートの巻き付けに対して安定した保持力を有する独創的な巻きコア部をもつロール状巻きオシボリ、この巻きオシボリの製造方法、及び、この巻きオシボリの製造に用いる、丸めローターと静止バットで転動巻き供給通路を構成したタイプのロール巻き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロール状巻きオシボリとしては、実公昭63−37914号公報記載の使い捨ておしぼりが公知である。このオシボリは、シート素材の折曲状の巻込み初端縁部をコアにして中心部分に空間を残して柔らかく巻いて、フンワリとして柔らかく太径状の巻きオシボリを形成したことを特徴としている。この巻きオシボリの径は、太くするには初端縁部の折り曲げ位置を初端からの寸法を大きく採り、逆に細くするときはその初端からの寸法を小さく採って調整している。しかし、単に折曲状の巻込み初端縁部をコアにした公知の巻きオシボリでは、シート素材として反発性を有する硬めの紙や不織布を用いた場合は、巻き付けに対するコア機能を果たし易いが、シート素材として柔らかな腰の弱いソフトな紙や不織布を用いた場合は、シートの巻き付けに対してコアの保持力が構造的に弱いため、巻き付けに対するコア機能を果たし難く、中心部分に空間を残して柔らかく巻くことが難しく、結果として、フンワリとして柔らかく太径状の巻きオシボリを得ることが難しいものであった。
【0003】
また、巻きオシボリのロール巻き装置としては、回転ドラムと、この回転ドラムの周面から離間して固定配置された静止バットから構成され、前記回転ドラムと静止バットの対向面の間に形成された転動巻き供給通路に供給されたオシボリシートを該シートの供給始端部からロール状に丸めながら転動させてロール状巻きオシボリを製造する装置が公知である(例えば、実公昭45−17212号公報、実開昭55−18392号公報。)。
【0004】
公知の装置には、回転ドラムの周面全体に幅方向に沿って凹部と突部を設け、又、回転ドラムの周面に送り用エッジを、静止バットの対向面に巻込み用エッジを設けた技術が示されている。しかし、これら公知の装置では、転動巻き供給通路に供給されるオシボリシートの供給始端部に丸め転動の核となる丸めコア部を一定の位置(転動巻き供給通路の供給スタート位置)で確実に形成することが困難であった。このため、丸めコア部が確実に形成されてないオシボリシートが転動巻き供給通路に供給された場合、動と静の対向面間で形成された転動巻き供給通路では、丸め転動のスタート位置が一定せず、しかも左右均等な丸め転動も行われないものであった。このため、転動巻き供給通路から排出されるオシボリは、巻き残しのある未完成な巻きオシボリ、斜めに巻かれたいわゆる筍状の不良な巻きオシボリとして、排出されるおそれがあった。また、前記転動巻き供給通路での丸め転動のスタート位置が一定せず、しかも左右均等な丸め転動も行われないと、この転動巻き供給通路から巻きオシボリを一本ずつ一定の送り間隔で排出することも困難となる。
【0005】
特に、ロール巻き装置から排出供給されたロール巻きオシボリを一本ずつプラスチックフイルムで包装する包装装置をロール巻き工程の後に付設したオシボリ自動機とした場合、前記したロール巻き装置における弊害は更に甚大なものとなる。ロール巻き装置の転動巻き供給通路から排出されたロール巻きオシボリは、一般的に、供給路に案内落下され、この供給路を一定の送り間隔で連続走行する送りフィンガー(送り爪)で押送され包装工程へ供給される。ところが、前記した弊害のように、転動巻き供給通路からロール巻きオシボリを順次一定の送りタイミングで排出できないと、送りフィンガー(送り爪)との送りタイミングが合わず、包装工程へ供給できないトラブルや、所定の送りタイミングで包装工程へ供給できないトラブル(例えば、送りフィンガーの上にロール巻きオシボリが乗ってしまう。)が発生する。所定の送りタイミングでロール巻きオシボリを包装工程へ供給できないと、供給されたロール巻きオシボリを包む包装フィルムのエンドシール・エンドカット工程でオシボリ部分をシール・カットしてしまう包装トラブルが発生し、最悪ケースではオシボリ自動機の運転がストップしてしまう問題があった。また、前記した弊害のように、巻き残しのある未完成なロール巻きオシボリが包装工程へ供給されると、供給されたロール巻きオシボリを包装フィルムで筒状に包みサイドシールする際に巻き残しシート部分をシールしてしまう包装トラブルが発生し、これも最悪ケースではオシボリ自動機の運転がストップしてしまう問題があった。したがって、ロール巻き工程の後に包装工程を付設したオシボリ自動機の場合、このロール巻き工程(ロール巻き装置)で、適切に丸められてロール巻きオシボリとされたオシボリを一本ずつ一定の送り間隔で排出し、次の包装工程へ一定の送り間隔で供給できるようにすること、が重要である。
【0006】
【特許文献1】実公昭63−37914号公報
【特許文献2】実公昭45−17212号公報
【特許文献3】実開昭55−18392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする第一の課題は、例えば、オシボリのシート素材として柔らかな腰の弱いソフトな紙や不織布を用いた場合においても、中心部分の空間を少なくしたコア密度の高い、左右均等な、しっかりとした巻きコア部を形成し、この巻きコア部をコアにしてロール状に巻き付けられるシートの巻き付けに対して左右均等な安定した保持力を有する巻きコア部をもつロール状巻きオシボリを提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明が解決しようとする第二の課題は、中心部分の空間を少なくしたコア密度の高い、左右均等な、しっかりとした巻きコア部を形成し、この巻きコア部をコアにしてロール状に巻き付けられるシートの巻き付けに対して左右均等な安定した保持力を有する巻きコア部の形成方法を含む、ロール状巻きオシボリの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明が解決しようとする第三の課題は、丸めローターと静止バットの対向面間で転動巻き供給通路を形成したロール状巻きオシボリのロール巻き装置において、前記転動巻き供給通路への供給スタート位置すなわち該通路の入り口の所定位置で、該転動巻き供給通路での転動巻きの巻き付け中心部となる巻きコア部をオシボリシートの供給始端部に確実に形成できるようにするロール状巻きオシボリのロール巻き装置を提供することである。よって、転動巻き供給通路に供給されたオシボリシートを前記巻きコア部をコアとして、巻き残しのない、左右均等なきれいなロール形状に巻かれた巻きオシボリに成形できるようにすることを目的とする。
【0010】
また、本発明が解決しようとする第四の課題は、巻きコア部を前記転動巻き供給通路への一定の供給スタート位置で確実に形成できるようにする、とした前記課題を解決すると共に、中心部分の空間を少なくしたコア密度の高い、左右均等な、しっかりとした巻きコア部をもち、この巻きコア部をコアにしてロール状に巻き付けられるシートの巻き付けに対して保持力の安定した巻きコア部を形成できるようにする、ロール状巻きオシボリのロール巻き装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第一の課題を解決するため、本発明では、水等の液体による湿り気を付与された紙又は不織布等のオシボリシートをロール状に巻いたロール状巻きオシボリであり、このロール状巻きオシボリは、略矩形のオシボリシートの巻き始端部側を当該オシボリシートの巻き方向と直交するシート全横幅に亘る第一次折り返し折り目で折り返し、この巻き始端部側に第一次折り返し重合部を形成し、この第一次折り返し重合部の第一次折り返し片側を内側にして当該第一次折り返し重合部を当該オシボリシートの巻き方向と直交するシート全横幅に亘る第二次折り返し折り目でさらに折り返し、よって前記第一次折り返し重合部に該第一次折り返し重合部よりシート層を二倍にした第二次折り返し重合部を形成し、この第二次折り返し重合部の第二次折り返し片側を内側にして当該第二次折り返し重合部を前記第一次折り返し折り目に対して前記第二次折り返し折り目をほぼ重ね合わせた状態に巻き込み、もって、前記オシボリシートの巻き始端部側に複数層の折り返し重合部を巻いた巻きコア部を形成し、この巻きコア部をコアにして一体の後続オシボリシート部分をロール状に巻いて成形したロール状巻きオシボリを提供する。
【0012】
本発明のロール状巻きオシボリによれば、中心部分の空間を少なくしたコア密度の高い、左右均等な、しっかりとした比較的太目の巻きコア部を形成でき、この巻きコア部をコアにしてロール状に巻き付けられるシートの巻き付けに対して左右均等な安定した保持力を有する巻きコア部を形成できる。よって、この巻きコア部をコアにして後続オシボリシート部分を左右均等な安定した巻き付け状態に巻き付けたロール状巻きオシボリを得ることができる。特に、本発明は、軟らかくソフトな比較的腰の弱い素材のオシボリシートを用いた場合でも、巻き付けに対して安定した保持力を有する巻きコア部を採用したため、この巻きコア部をコアにして適度な太さに柔らかくソフトに巻き付けることができ、巻きオシボリとしてソフト感の有る安定した巻き付け状態のロール状巻きオシボリを得ることができる。
【0013】
前記オシボリシートには、前記第一次折り返し折り目での折り返し前に巻き方向に沿った折り目(前記第一次折り返し折り目と直交する折り目。)で折り畳み、オシボリシート全体を複数シート層としたオシボリシートを含む。この折り畳みは、二つ折り、三つ折り、いわゆるC字折り等、適宜な折り畳み形態を採用できる。この折り畳みによって、従来の巻きオシボリと同様に巻きオシボリの横幅をコンパクト化できる。また、この折り畳みによって、前記第一次及び第二次折り返し重合部のシート層を更に多層化でき、中心部分の空間を少なくした更にコア密度の高い、しっかりとした巻きコア部を形成でき、この巻きコア部をコアにしてロール状に巻き付けられるシートの巻き付けに対して更に安定した保持力を有する巻きコア部を形成できる。
【0014】
本発明で提供された前記ロール状巻きオシボリは一本ずつ破断可能な樹脂フィルム製の包装体で包装され、需要者に提供される。
【0015】
また、第二の課題を解決するため、本発明では、水等の液体による湿り気を付与された紙又は不織布等の略矩形のオシボリシートの供給始端部側を当該オシボリシートの供給方向と直交するシート全横幅に亘る第一次折り返し折り目で折り返して、この供給始端部側に第一次折り返し重合部を形成する第一次折り返し重合部形成工程と、この第一次折り返し重合部の第一次折り返し片側を内側にして当該第一次折り返し重合部を当該オシボリシートの供給方向と直交するシート全横幅に亘る第二次折り返し折り目でさらに折り返し、よって前記第一次折り返し重合部に該第一次折り返し重合部よりシート層を二倍にした第二次折り返し重合部を形成する第二次折り返し重合部形成工程と、この第二次折り返し重合部の第二次折り返し片側を内側にして当該第二次折り返し重合部を前記第一次折り返し折り目に対して前記第二次折り返し折り目をほぼ重ね合わせた状態に巻き込み、もって、前記オシボリシートの供給始端部側に複数層の折り返し重合部を巻いた巻きコア部を形成する巻きコア部形成工程と、この巻きコア部をコアにして一体の後続オシボリシート部分をロール状に巻いてロール状巻きオシボリとする巻き工程と、を含むロール状巻きオシボリの製造方法を提供する。
【0016】
本発明のロール状巻きオシボリの製造方法によれば、第一の課題を解決するために提供した前記のロール状巻きオシボリを容易に製造できる。
【0017】
前記したロール状巻きオシボリの製造方法には、前記第一次折り返し重合部形成工程の前工程として、長尺な連続オシボリシートをシート送り方向に直交する切断線で切断してオシボリ単位となるオシボリシートとする切断工程と、この切断工程の前又は後のオシボリシートの供給過程で当該オシボリシートに水等の液体による湿り気を付与する水分付与工程と、を含めることができる。
【0018】
さらに、前記したロール状巻きオシボリの製造方法には、前記切断工程及び前記水分付与工程の前に、前記連続オシボリシートをシート送り方向に沿った折り目で連続的に折り畳み、該連続オシボリシートを複数シート層とする横幅折り畳み工程を含めることができる。
【0019】
また、第三の課題を解決するため、本発明では、円周面をもつ、一方向に回転される丸めローターと、この丸めローターの周面から離間して固定配置された静止バットから構成され、前記丸めローターと静止バットの対向面の間に形成された転動巻き供給通路に供給された紙又は不織布等のオシボリシートを該シートの供給始端部側からロール状に丸めながら転動させてロール状巻きオシボリを成形するロール巻き機構部を設けたロール状巻きオシボリのロール巻き装置において、
前記転動巻き供給通路の入り口の近くに、先端部を前記前記丸めローターの対向周面に向けて突出させ、突出された前記先端部を前記丸めローターの周面から離間させて固定配置した係止体を設け、この係止体の前記先端部と前記丸めローターの対向周面との離間空間を折り返し規制通路として構成し、前記丸めローターの回転方向における前記係止体の手前側の隣接位置(シート供給方向の上流側の隣接位置)に凹み側を前記丸めローターの周面に対向させた係止凹部を、前記丸めローターの回転方向における前記係止体の背後側の隣接位置(シート供給方向の下流側の隣接位置)に凹み側を前記丸めローターの周面に対向させた係合凹部をそれぞれ設け、前記丸めローターの対向周面に対する前記係止凹部及び係合凹部の各凹み頂部位置を前記係止体の前記先端部位置より後退させて構成し、前記係合凹部と前記丸めローターの対向周面との間で巻きコア形成空間部を形成し、
前記丸めローターの回転方向における前記係止凹部の手前側の隣位置に前記丸めローターの周面から僅かな間隙をおいて離間された供出ロールを配設し、この供出ロールと前記丸めローターの協働した回転により、シート送り方向の上流側から供給されて前記丸めローターと前記供出ロールとの間の繰り出し供出部を通過されたオシボリシートの供給始端部側を前記丸めローターの周面から離間された前記係止凹部内へ向けて供出するように構成し、
前記繰り出し供出部から供出された前記オシボリシートの供給始端部側を前記係止凹部内で係止し、前記係止凹部内で係止されている前記オシボリシートの供給始端部側を前記丸めローターの周面に沿って供給される当該オシボリシートの後続部分で丸めローター回転方向へ牽引し、牽引される供給始端部側を前記折り返し規制通路での通過過程でシート全横幅に亘って折り返し、折り返し折り目を供給始端縁とした折り返し重合部を形成すると共に、この折り返し重合部を前記係止体の静止抵抗と前記丸めローターの回転送りによって前記係止体との接触シート面側となる折り返し片側を内側にした半折り返し状に反らし、半折り返し状に反らされた前記折り返し重合部を前記巻きコア形成空間部で巻き込み、該巻きコア形成空間部で前記オシボリシートの供給始端部に巻きコア部を形成するように構成し、
前記巻きコア形成空間部で形成された前記巻きコア部を先頭にして前記転動巻き供給通路へ供給し、該転動巻き供給通路で前記巻きコア部をコアにして転動させながら一体の後続オシボリシート部分をロール状に巻いてロール状巻きオシボリを成形するようにしたロール状巻きオシボリのロール巻き装置を提供する。
【0020】
本発明のロール状巻きオシボリのロール巻き装置によれば、従来装置のような折り目を付ける折り矢を備えたホルダー装置を用いずに、前記転動巻き供給通路への供給スタート位置すなわち該供給通路の入り口の一定位置において、上流側から供給されたオシボリシートの供給始端部側に折り返し重合部と該折り返し重合部を巻き込み丸めた巻きコア部を確実に形成できる。よって、前記転動巻き供給通路へ供給されるオシボリシートは、該オシボリシートの供給始端部に形成された巻きコア部をコアとして該転動巻き供給通路の供給過程で後続オシボリシート部分が確実に巻き付けられる。したがって、従来装置のように、転動巻き供給通路の途中で巻き始められ、巻き付けを完了しない状態で該転動巻き供給通路から供出される弊害を解消できる。
【0021】
また、第四の課題を解決するため、本発明では、第三の課題を解決するために提供した前記のロール状巻きオシボリのロール巻き装置において、前記繰り出し供出部のシート送り方向の上流側に、前記オシボリシートの供給始端部側をシート送り方向に直交するシート全横幅に亘る第一次折り返し折り目に沿って折り返し、このオシボリシートの供給始端部側に第一次折り返し重合部を予め形成するホルダー装置を配設し、このホルダー装置で形成された第一次折り返し重合部を供給始端部として第一次折り返し折り目を先頭にして前記繰り出し供出部を通過させ、通過されたオシボリシートの前記第一次折り返し重合部を前記丸めローターの周面から離間された前記係止凹部内へ向けて供出するように構成し、前記繰り出し供出部から供出された前記オシボリシートの前記第一次折り返し重合部を前記係止凹部内で係止し、前記係止凹部内で係止されている前記オシボリシートの前記第一次折り返し重合部を前記丸めローターの周面に沿って供給される当該オシボリシートの後続部分で丸めローター回転方向へ牽引し、牽引される前記第一次折り返し重合部を前記折り返し規制通路での通過過程でさらに折り返し、シート全横幅に亘る第二次折り返し折り目を供給始端縁とした第二次折り返し重合部を形成すると共に、この第二次折り返し重合部を前記係止体の静止抵抗と前記丸めローターの回転送りによって前記係止体との接触シート面側となる第二次折り返し片側を内側にした半折り返し状に反らし、半折り返し状に反らされた前記第二次折り返し重合部を前記巻きコア形成空間部で前記第一次折り返し折り目に対して前記第二次折り返し折り目をほぼ重ね合わせた状態に巻き込み、該巻きコア形成空間部で前記オシボリシートの供給始端部に巻きコア部を形成するように構成したロール状巻きオシボリのロール巻き装置を提供する。
【0022】
本発明のロール状巻きオシボリのロール巻き装置によれば、第三の課題を解決するために提供された前記のロール巻き装置の利点を有すると共に、第一の課題を解決するために提供されたコア密度の高い安定した巻きコア部をもつロール状巻きオシボリを製造できる。
【0023】
そして、前記ホルダー装置としては、一方のホルダーロールに折り矢を、他方のホルダーロールに咥え凹部を設けた対のホルダーロールとし、両ロールの回転中に折り矢が咥え凹部に入れられるホルダーロールで構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
第一の課題を解決するために提供された本発明によれば、中心部分の空間を少なくしたコア密度の高い、左右均等な、しっかりとした巻きコア部を形成し、この巻きコア部をコアにしてロール状に巻き付けられるシートの巻き付けに対して左右均等な安定した保持力を有する巻きコア部をもつロール状巻きオシボリを提供することができる。本発明の巻きオシボリは、特に、シート素材として柔らかな腰の弱いソフトな紙や不織布を用いた場合に効果的である。
【0025】
また、第二の課題を解決するために提供された本発明によれば、中心部分の空間を少なくしたコア密度の高い、左右均等な、しっかりとした巻きコア部を形成し、この巻きコア部をコアにしてロール状に巻き付けられるシートの巻き付けに対して左右均等な安定した保持力を有する巻きコア部の形成方法を含む、ロール状巻きオシボリの製造方法を提供することができる。
【0026】
また、第三の課題を解決するために提供された本発明によれば、丸めローターと静止バットの対向面間で転動巻き供給通路を形成したロール巻き機構部を設けたロール状巻きオシボリのロール巻き装置において、前記転動巻き供給通路への供給スタート位置すなわち該通路の入り口の所定位置で、該転動巻き供給通路での転動巻きの巻き付け中心部となる巻きコア部をオシボリシートの供給始端部に確実に形成できる。よって、転動巻き供給通路に供給されたオシボリシートを前記巻きコア部をコアとして、巻き残しのない、左右均等なきれいなロール形状に巻かれた巻きオシボリに成形できる。前記転動巻き供給通路への供給スタート位置すなわち該通路の入り口の所定位置でその供給端部に巻きコア部を形成されたオシボリシートは、常に転動巻き供給通路の入り口を巻きスタート位置としてオシボリシートの全横幅方向に亘って左右同時に巻き始められる。このことによって、転動巻き供給通路の途中で巻き始められることに因る巻き残しの弊害や、横幅方向の左右巻き始めの不揃いに因る左右不均等な巻き形状となる弊害を解消でき、巻き残しのない、左右均等なきれいなロール形状に巻かれた巻きオシボリを成形できる。
【0027】
また、第四の課題を解決するために提供された本発明によれば、第三の課題を解決するために提供された前記発明による効果を有すると共に、中心部分の空間を少なくしたコア密度の高い、左右均等な、しっかりとした巻きコア部をもち、この巻きコア部をコアにしてロール状に巻き付けられるシートの巻き付けに対して保持力の安定した巻きコア部を形成できる、ロール状巻きオシボリのロール巻き装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
【0029】
先ず、本発明のロール状巻きオシボリについて、図1、図2、図3及び図4に基づき説明する。図1は本発明のロール状巻きオシボリの斜視図、図2は図1の巻きオシボリを樹脂フィルム製の包装体で密閉包装した斜視図、図3は図1のロール状巻きオシボリの形成過程を示す各側面図、図4はオシボリシートの切断端面図である。
【0030】
本発明のロール状巻きオシボリは、水等の適宜な液体で湿り気を付与された紙又は不織布等のシート素材から成るオシボリシートをロール状に巻いたロール状巻きオシボリであり、このロール状巻きオシボリ1は、略矩形(この実施例では長方形状)のオシボリシートS(後述するように、このオシボリシートSには、予め巻かれる方向に沿った折り目で横幅方向に折り畳んだものを含む。)の長手方向の一端側の巻き始端部S1側を当該オシボリシートSの巻き方向(この実施例では長方形状シートの長手方向)と直交するシート全横幅に亘る第一次折り返し折り目2で折り返し、この巻き始端部側に第一次折り返し重合部3を形成し(図3(イ)参照)、この第一次折り返し重合部3の第一次折り返し片3a側を内側にして当該第一次折り返し重合部3を当該オシボリシートの巻き方向と直交するシート全横幅に亘る第二次折り返し折り目4でさらに折り返し、よって前記第一次折り返し重合部3に該第一次折り返し重合部3よりシート層を二倍にした第二次折り返し重合部5を形成し(図3(ロ)参照)、この第二次折り返し重合部5の第二次折り返し片5a側を内側にして当該第二次折り返し重合部5を前記第一次折り返し折り目2に対して前記第二次折り返し折り目4をほぼ重ね合わせた状態に巻き込み、もって、前記オシボリシートの巻き始端部側に複数層の折り返し重合部を巻いた略円形状の外周をもつ巻きコア部6を形成し(図3(ハ)参照)、この略円形状の外周をもつ巻きコア部6をコアにして一体の後続オシボリシート部分S2をロール状に巻いて成形される(図3(ニ)参照)。図1,図2に示した巻きオシボリは、レーヨン繊維製不織布等の柔らかな腰の弱いソフトな素材を用いたが、シート素材をこれに限定しないことは勿論である。
【0031】
前記巻きコア部6は略円形状の外周をもつ形状に形成することが好ましい。この巻きコア部6の形状は、前記第一次折り返し折り目2と前記第二次折り返し折り目4との間隔長さ、すなわち前記第二次折り返し重合部5の巻き方向の長さ、及び前記第二次折り返し重合部5の厚さ、等に影響される。係る観点から、前記第二次折り返し重合部5の厚さが、比較的厚い場合は、前記第二次折り返し重合部5の巻き方向の長さを比較的長く、比較的薄い場合は、前記第二次折り返し重合部5の巻き方向の長さを比較的短く形成するのが好ましい。
【0032】
前記オシボリシートSは、前記第一次折り返し折り目2での折り返し前に予め巻かれる方向に沿った折り目で横幅方向に折り畳まれている。その折り畳み形状としては、図4に示した三つ折り形状(三層のシート層)の他に、二つ折り形状(二層のシート層)、いわゆるC字折り形状(二層のシート層)等の適宜な折り畳み形状を採用でき、折り畳まれたオシボリシートS全体を例えば巻き方向に長い長方形に形成したものを採用できる。
【0033】
また、図2に示したように、図1に示したロール状巻きオシボリ1は破断可能な樹脂フィルム製の包装体8で一本ずつ包装され、飲食店やホテル等に提供され、包装体を破いて取り出した巻きオシボリ1は展開して使用に供される。
【0034】
次に、本発明のロール状巻きオシボリの製造方法について、主に図3及び図5に基づき説明する。図3は図1のロール状巻きオシボリの形成過程を示す各側面図、図5はロール巻き装置を含むオシボリ製造装置の概略を示す側面図である。
本発明のロール状巻きオシボリは、紙又は不織布等のシート素材から成る長尺な連続オシボリシートSLをシート送り方向(シートは大略図5の右側から左側へ送られる。)に直交する切断線で切断してオシボリ単位となるオシボリシートSとする切断工程(A)と、このオシボリシートSの供給過程で当該オシボリシートSに水等の液体を噴射して湿り気を付与する水分付与工程(B)と、湿り気を付与されたオシボリシートSの供給始端部S1(前記した巻き始端部S1に相当する。)側を当該オシボリシートSの供給方向と直交するシート全横幅に亘る第一次折り返し折り目2で折り返して、この供給始端部側に第一次折り返し重合部3を形成する第一次折り返し重合部形成工程(C)と、この第一次折り返し重合部3の第一次折り返し片3a側を内側にして当該第一次折り返し重合部3を当該オシボリシートの供給方向と直交するシート全横幅に亘る第二次折り返し折り目4でさらに折り返し、よって前記第一次折り返し重合部3に該第一次折り返し重合部3よりシート層を二倍にした第二次折り返し重合部5を形成する第二次折り返し重合部形成工程(D)と、この第二次折り返し重合部5の第二次折り返し片5a側を内側にして当該第二次折り返し重合部5を前記第一次折り返し折り目2に対して前記第二次折り返し折り目4をほぼ重ね合わせた状態に巻き込み、もって、前記オシボリシートの供給始端部側に複数層の折り返し重合部を巻いた巻きコア部6を形成する巻きコア部形成工程(E)と、この巻きコア部6をコアにして一体の後続オシボリシート部分S2をロール状に巻いてロール状巻きオシボリとする巻き工程(F)を経て、ロール状巻きオシボリ1が成形される。図3において、図3(イ)は第一次折り返し重合部形成工程(C)を、図3(ロ)は第二次折り返し重合部形成工程(D)を、図3(ハ)は巻きコア部形成工程(E)を、図3(ニ)は巻き工程(F)を、それぞれ示している。そして、前記巻き工程(F)でロール状に巻かれた巻きオシボリ1は、次工程の包装工程(図示してない)へ供給され、この包装工程において1本ずつ包装体8で包装される。
【0035】
図示を省略したが、図5の前記切断工程(A)の前に、前記連続オシボリシートSLをシート送り方向に沿った折り目で連続的に折り畳み(例えば、図4の三つ折り形状)、該連続オシボリシートを複数シート層とする横幅折り畳み工程を加え、この横幅折り畳み工程で連続的に折り畳まれて複数層とされた長尺な連続オシボリシートSLを前記切断工程(A)へ供給するようにしている。この横幅折り畳み工程を加えることによって、シートの多層化、ロール状巻きオシボリの軸方向の長さを短くできる利点があるが、この横幅折り畳み工程は必須な工程ではない。
【0036】
図5の実施形態では前記水分付与工程(B)を前記切断工程(A)と前記第一次折り返し重合部形成工程(C)との間に設けたが、特にこれに限定するものではなく、前記切断工程(A)の前工程として、又は前記第一次折り返し重合部形成工程(C)の後工程として、前記水分付与工程を設けても良いものである。
【0037】
次に、本発明のロール状巻きオシボリのロール巻き装置について、図5に図6及び図7を加えて説明する。図5はロール巻き装置を含むオシボリ製造装置の概略を示す側面図、図6は図5に示したロール巻き装置の要部を拡大して示す側面図、図7は巻きコア部の形成動作を順に示す側面図である。
【0038】
先ず、図5に基づきロール巻き装置を含むオシボリ製造装置の概略を説明する。
【0039】
原反ロール(図示せず)から供給された紙や不織布等の長尺な連続オシボリシートSLは、下流側に設けた公知の折り舟(図示せず)を通過し、この通過過程で、シート送り方向の折り目に沿った三つ折り、二つ折り、いわゆるC字折り等の適宜な折り形状に連続的に折り畳まれ、コンパクトなシート幅に折り畳まれ、この折り畳み状態で次工程へ送られる。なお、シート送り方向の折り目に沿って連続的に折り畳まれた連続オシボリシートSLを、前記折り舟(図示せず)の下流側に設けた公知の対のエンボスロール間(図示せず)を通過させても良く、この通過過程で、連続オシボリシートに無数の凹凸エンボスを型付け形成し、連続オシボリシートにボリューム感やソフト感を付与しても良い。なお、この凹凸エンボスの型付け工程は、前記した三つ折り等の折り畳み工程の前工程として行っても良い。
【0040】
次に、シート送り方向の折り目に沿って連続的に折り畳まれた連続オシボリシートSLは、前記折り舟(図示せず)の下流側(前記エンボスロールを設けた場合はこのエンボスロールの下流側)に設けた公知の対のカッターロール10a,10aから成る切断装置10へ図5の右端に示した矢印方向から送られ、この切断装置10の対のカッターロール10a,10a間を通過し、この通過過程で、シート送り方向に直交する切断線でオシボリ単位としての一定長さのオシボリシートSに順次切断され、次工程へ送られる。
【0041】
前記切断装置10でオシボリ単位に切断されたオシボリシートSは、送りロールに複数本の樹脂製の索状送りベルトを無端状に掛け渡した上下対の第1コンベア20で挟持されながら水平に搬送され、この搬送途中に設けられた液体噴射ノズル装置30によって、搬送されるオシボリシートSの一面側又は両面側に向けて複数の索状ベルト間から水等の液体を噴射され、該オシボリシートSに湿り気が付与される。
【0042】
湿り気を付与されたオシボリシートSは、前記第1コンベア20で水平に搬送され、該第1コンベア20の搬出先に設けたホルダー装置40へ送られ、このホルダー装置40で、前記オシボリシートSの供給始端部S1(前記した巻き始端部S1に相当する)側をシート送り方向に直交するシート全横幅に亘る折り返し折り目(第一次折り返し折り目2)に沿って折り返し、オシボリシートの供給始端部S1側に折り返された折り返し片(第一次折り返し片3a)側を上側にした折り返し重合部(第一次折り返し重合部3)を形成する(図3(イ)を参照。)。図示した実施形態では、このホルダー装置40を、上方のホルダーロール40aに該ロールの周面上に軸方向に延ばして突出させた折り矢41を、下方のホルダーロール40bに前記折り矢41を緩く嵌合しうる咥え凹部42を該ロールの周面上に設けた対のホルダーロールとし、両ロール40a,40bの回転中にオシボリシートSを介して折り矢41が咥え凹部42に入れられ、咥え凹部42に咥えられた折り返し折り目(第一次折り返し折り目2)を先頭にしてシート先端側(供給始端部S1側)を折り返しながら下方のホルダーロール40bで矢印回転方向へ送られる。シート送り方向に直交する折り目に沿ってシートを折り畳む図示したホルダー装置40は公知の技術であるが、本発明の折り返し重合部を形成するホルダー手段として用いた技術は新規なものである。
【0043】
前記ホルダー装置40で折り返し重合部(第一次折り返し重合部3)を形成されたオシボリシートSは、該前記ホルダー装置40と後述するロール巻き装置60の間に配設された第2コンベア50によって、折り返し折り目(第一次折り返し折り目2)を先頭にして後述するロール巻き装置60へ搬送される。この第2コンベア50は、オシボリシートSを両面から部分的に挟持して連続搬送する一対の傾斜送りコンベア部51と一対の水平送りコンベア部52で構成し、傾斜送りコンベア部51で挟持されながら搬送方向の斜め下方に搬送された後、連続して水平送りコンベア部52で挟持されながら水平に搬送され、後述するロール巻き装置60へ供給される。一対の傾斜送りコンベア部51と一対の水平送りコンベア部52は、各送りロールに複数本の樹脂製の索状送りベルトを無端状に掛け渡して構成されている。前記した下方のホルダーロール40b(咥え凹部42を設けたホルダーロール)を下側に配設した前記傾斜送りコンベア部51の受け入れ側の送りロールとして機能させている。
【0044】
折り返し重合部(第一次折り返し重合部3)を形成されたオシボリシートSは、折り返し折り目(第一次折り返し折り目2)を先頭にして図5の左端に示したロール巻き機構部70を含むロール巻き装置60へ搬送される。このロール巻き機構部70を含む本発明装置の要部であるロール巻き装置60について、図6及び図7を主にして説明する。
ロール巻き機構部70は、円周面をもつ、一方向に回転(図面では反時計方向に回転)される丸めローター71と、この丸めローター71の周面から離間して固定配置された静止バット72から構成され、前記丸めローター71と静止バット72の対向面の間に形成された転動巻き供給通路73に供給されたオシボリシートSを該シートの供給始端部側からロール状に丸めながら転動させてロール状巻きオシボリを成形するもので、基本的な機構は公知のものである。
【0045】
前記丸めローター71と静止バット72の横幅長さは丸められるオシボリシートSの横幅長さより広く形成される。また、静止バット72の送り方向の長さ、すなわち前記転動巻き供給通路73の長さは、通常、丸められるオシボリシートの送り方向の長さ、すなわち巻き回数等の条件に応じて決定され、通常、丸め回数が多い場合は長く、逆の場合は短く形成される。本発明の巻きオシボリの実施形態では、後で述べるように太目の巻きコア部をコアにして前記転動巻き供給通路73で巻かれる巻き回数を少なめにしても適度な太さの巻きオシボリを得ることができるため、前記転動巻き供給通路73の長さを比較的短めに形成した。この転動巻き供給通路73の長さを比較的短めに形成したことによって、丸め転動のトラブルを減少でき、メンテナンスの容易化を図れ、丸めローターの直径を小型化できる利点がある。
【0046】
前記静止バット72の対向面には、丸めローター71の回転方向と直交する方向に筋を延ばした凹凸抵抗部74を形成し、転動される巻きオシボリに対する摩擦抵抗を高めている。また、前記丸めローター71の全周面には、丸めローター71の回転方向と交わる方向に向けた多数の凹状溝部(図示せず)を形成し、湿り気を付与されたオシボリシートの丸めローター71の周面への過度な接着を減少させている。なお、前記丸めローター71と静止バット72の対向面間のスペースは、従来装置と同様に巻きオシボリの移動方向に従い徐々に拡げて形成し、巻きオシボリの巻き径の拡大に対応できるようにしている。
【0047】
前記転動巻き供給通路73の入り口73aの近くに、先端部61aを前記前記丸めローター71の対向周面に向けて突出させ、突出された前記先端部61aを前記丸めローター71の周面から離間させて固定配置した係止体61を設け、この係止体61の前記先端部61aと前記丸めローター71の対向周面との離間空間を折り返し規制通路62として構成している。前記係止体61は、供給されるオシボリシートの横幅に対応できる横幅長さを有し、その先端部61aは図6に示したように、略半円形状に丸く突出形成されている。前記丸めローター71の回転方向における前記係止体61の手前側の隣接位置(シート供給方向の上流側の隣接位置)に凹み側を前記丸めローター71の周面に対向させた係止凹部63を、前記丸めローター71の回転方向における前記係止体61の背後側の隣接位置(シート供給方向の下流側の隣接位置)に凹み側を前記丸めローター71の周面に対向させた係合凹部64をそれぞれ設けている。前記丸めローター71の対向周面に対する前記係止凹部63及び係合凹部64の各凹み頂部位置は前記係止体61の前記先端部61a位置より後退させた位置に構成し、この係止凹部63及び係合凹部64は供給されるオシボリシートSの横幅に対応できる横幅長さを有している。図示した実施例では、前記係止凹部63を、前記係止体61の手前側の壁面と、該係止体61の基部体61b側にその上端部を近接させ下端部を後述する供出ロール67の周面に近接させた案内板65とで形成している。また、図示した実施例では、前記係合凹部64を、前記係止体61の背後側の壁面と、前記凹凸抵抗部74における該壁面から離間された最手前の凸部と、凹み頂部をなす係止体61の基部体61b等の適宜なカバー板とで形成している。そして、前記係合凹部64と前記丸めローター71の対向周面との間で形成された空間を巻きコア形成空間部66として構成している。
【0048】
前記丸めローター71の回転方向における前記係止凹部63の手前側の隣位置に前記丸めローター71の周面から僅かな間隙をおいて離間された供出ロール67(上側に配設した前記水平送りコンベア部52の搬出側の送りロールをこの供出ロールとして機能させている。)を配設している。この供出ロール67は、前記丸めローター71の直径に比べて相対的に小さな直径の小ロールとしてある。この供出ロール67と前記丸めローター71の協働した回転により、折り返し折り目(第一次折り返し折り目2)を先頭にしてシート送り方向の上流側から供給されて前記丸めローター71と前記供出ロール67との間の繰り出し供出部68を通過されたオシボリシートの供給始端部を前記丸めローター71の周面から離間された前記係止凹部63内へ向けて供出するように構成している。前記繰り出し供出部68は、前記丸めローター71の上部円周面範囲で上昇回転する円周面範囲に対応する位置としてある。
【0049】
図6に示したように、前記繰り出し供出部68を通過されたオシボリシートSの供給始端部を前記丸めローター71の周面から離間された前記係止凹部63内へ向けて供出するのを助勢する案内バネ部材69を設けても良い。この案内バネ部材69は、丸めローター71の周面に前記繰り出し供出部68を含む前記丸めローター71の周面の前後範囲に配設され、前記丸めローター71の回転方向における先端側の作用端部69aを丸めローター71の周面から離間される方向に曲げ且つ前記係止凹部63内方向へ向けて比較的弱いバネ圧を付勢させ、この作用端部69aを除く部分を丸めローター71の周面に沿って密接するように設けた。この案内バネ部材69の作用端部69aは、繰り出し供出部68を通過されたオシボリシートSの供給始端部S1を前記係止凹部63内へ向け案内し、前記オシボリシートが前記折り返し規制通路62を通過する際には通過シートの圧力によって作用端部69aをバネ圧に抗して丸めローター71の周面側に密接させ(一点鎖線で示したように)、シート通過後は実線で示した付勢位置に復帰するように構成されている。この案内バネ部材69の配設は、オシボリシートとして腰の弱い柔らかな素材を採用した場合やオシボリシートに水分を比較的多く含ませた場合に特に効果的である。
【0050】
図7(イ)に示すように、前記繰り出し供出部68から供出された前記オシボリシートSの供給始端部S1(第一次折り返し重合部3)側は、前記係止凹部63内で前記折り返し折り目(第一次折り返し折り目2)を先頭にして係止され、前記係止凹部63内で係止されている前記オシボリシートの供給始端部S1(第一次折り返し重合部3)側を前記丸めローター71の周面に沿って供給される当該オシボリシートの後続部分で丸めローターの回転方向へ牽引され、図7(ロ)に示すように、牽引される供給始端部S1(第一次折り返し重合部3)側は前記折り返し規制通路62での通過過程で折り返され、このシート全横幅に亘る折り返し折り目(第二次折り返し折り目4)を供給始端縁とした折り返し重合部(第二次折り返し重合部5)が形成される(図3(ロ)を参照。)。更に、図7(ハ)に示すように、この折り返し重合部(第二次折り返し重合部5)は前記係止体61の静止抵抗と前記丸めローター71の回転送りによって略半円形状に丸く突出形成された前記係止体61の先端部61aとの接触シート面側となる折り返し片(第二次折り返し片5a)側を内側にした半折り返し状に反らされ、図7(ニ)に示すように、半折り返し状に反らされた前記折り返し重合部(第二次折り返し重合部5)は前記巻きコア形成空間部66で前記第一次折り返し折り目2に対して前記第二次折り返し折り目4をほぼ重ね合わせた状態に巻き込まれ、該巻きコア形成空間部66で前記オシボリシートの供給始端部側に略円形の外周をもつ巻きコア部6が形成される(図3(ハ)を参照。)。
【0051】
前記第一次折り返し折り目2と前記第二次折り返し折り目4との間隔長さ、すなわち前記第二次折り返し重合部5の長さは、前記係止凹部63内に進入される前記オシボリシートの供給始端部S1側の進入深さで調節できる。進入深さを深く設定した場合は、前記第二次折り返し重合部5の長さは長く形成され、進入深さを浅く設定した場合は、前記第二次折り返し重合部5の長さは短く形成される。
【0052】
前記巻きコア部6を形成されたオシボリシートSは、この巻きコア部6を先頭にして前記転動巻き供給通路73へその入り口73aから供給され、図7(ホ)に示すように、該転動巻き供給通路73で前記巻きコア部6をコアにして転動させながら一体の後続オシボリシート部分S2がロール状に巻かれ、ロール状巻きオシボリ1が成形される(図3(ニ)を参照。)。
【0053】
前記転動巻き供給通路73の排出口73bから一本ずつ供出されたロール状巻きオシボリ1(図5に円形の一点鎖線で示した)は、対の案内コンベア75,76間で軽く挟持されながら下方へ案内され、次工程の包装工程(図示せず)へ向かう搬送通路80へ一本ずつ落下される。搬送通路80へ落下された巻きオシボリ1(図5に円形の一点鎖線で示した)は端部側を先頭にして図5の図面と直交する方向へ送りフィンガー(送り爪)81で送られ、包装工程で一本ずつ包装される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明のロール状巻きオシボリの斜視図である。
【図2】本発明の包装したロール状巻きオシボリの斜視図である。
【図3】ロール状巻きオシボリの形成過程を示す各側面図である。
【図4】図3のA−A切断部端面図である。
【図5】ロール巻き装置を含むオシボリ装置の概略を示す側面図である。
【図6】ロール巻き装置の要部を拡大して示す側面図である。
【図7】巻きコア部の形成動作を順に示す側面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 ロール状巻きオシボリ
S オシボリシート
S1 巻き始端部(供給始端部)
S2 後続オシボリシート部分
2 第一次折り返し折り目
3 第一次折り返し重合部
3a 第一次折り返し片
4 第二次折り返し折り目
5 第二次折り返し重合部
5a 第二次折り返し片
6 巻きコア部
8 包装体
SL 連続オシボリシート
A 切断工程
B 水分付与工程
C 第一次折り返し重合部形成工程
D 第二次折り返し重合部形成工程
E 巻きコア部形成工程
F 巻き工程
10 切断装置
20 第1コンベア
30 液体噴射ノズル装置
40 ホルダー装置
40a,40b ホルダーロール
41 折り矢
42 咥え凹部
50 第2コンベア
51 傾斜送りコンベア部
52 水平送りコンベア部
60 ロール巻き装置
61 係止体
62 折り返し規制通路
63 係止凹部
64 係合凹部
65 案内板
66 巻きコア形成空間部
67 供出ロール
68 繰り出し供出部
69 案内バネ部材
69a 作用端部
70 ロール巻き機構部
71 丸めローター
72 静止バット
73 転動巻き供給通路
73a 入り口
73b 排出口
74 凹凸抵抗部
75,76 案内コンベア
80 包装工程への搬送通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水等の液体による湿り気を付与された紙又は不織布等のオシボリシートをロール状に巻いたロール状巻きオシボリであり、このロール状巻きオシボリは、略矩形のオシボリシートの巻き始端部側を当該オシボリシートの巻き方向と直交するシート全横幅に亘る第一次折り返し折り目で折り返し、この巻き始端部側に第一次折り返し重合部を形成し、この第一次折り返し重合部の第一次折り返し片側を内側にして当該第一次折り返し重合部を当該オシボリシートの巻き方向と直交するシート全横幅に亘る第二次折り返し折り目でさらに折り返し、よって前記第一次折り返し重合部に該第一次折り返し重合部よりシート層を二倍にした第二次折り返し重合部を形成し、この第二次折り返し重合部の第二次折り返し片側を内側にして当該第二次折り返し重合部を前記第一次折り返し折り目に対して前記第二次折り返し折り目をほぼ重ね合わせた状態に巻き込み、もって、前記オシボリシートの巻き始端部側に複数層の折り返し重合部を巻いた巻きコア部を形成し、この巻きコア部をコアにして一体の後続オシボリシート部分をロール状に巻いて成形したロール状巻きオシボリ。
【請求項2】
前記オシボリシートには、前記第一次折り返し折り目での折り返し前に巻き方向に沿った折り目で折り畳み、オシボリシート全体を複数シート層としたオシボリシートを含む請求項1記載のロール状巻きオシボリ。
【請求項3】
請求項1又は2のロール状巻きオシボリを破断可能な樹脂フィルム製の包装体で包装したロール状巻きオシボリ。
【請求項4】
水等の液体による湿り気を付与された紙又は不織布等の略矩形のオシボリシートの供給始端部側を当該オシボリシートの供給方向と直交するシート全横幅に亘る第一次折り返し折り目で折り返して、この供給始端部側に第一次折り返し重合部を形成する第一次折り返し重合部形成工程と、この第一次折り返し重合部の第一次折り返し片側を内側にして当該第一次折り返し重合部を当該オシボリシートの供給方向と直交するシート全横幅に亘る第二次折り返し折り目でさらに折り返し、よって前記第一次折り返し重合部に該第一次折り返し重合部よりシート層を二倍にした第二次折り返し重合部を形成する第二次折り返し重合部形成工程と、この第二次折り返し重合部の第二次折り返し片側を内側にして当該第二次折り返し重合部を前記第一次折り返し折り目に対して前記第二次折り返し折り目をほぼ重ね合わせた状態に巻き込み、もって、前記オシボリシートの供給始端部側に複数層の折り返し重合部を巻いた巻きコア部を形成する巻きコア部形成工程と、この巻きコア部をコアにして一体の後続オシボリシート部分をロール状に巻いてロール状巻きオシボリとする巻き工程と、を含むロール状巻きオシボリの製造方法。
【請求項5】
請求項4のロール状巻きオシボリの製造方法において、前記第一次折り返し重合部形成工程の前工程として、長尺な連続オシボリシートをシート送り方向に直交する切断線で切断してオシボリ単位となるオシボリシートとする切断工程と、この切断工程の前又は後のオシボリシートの供給過程で当該オシボリシートに水等の液体による湿り気を付与する水分付与工程と、を含むロール状巻きオシボリの製造方法。
【請求項6】
請求項5のロール状巻きオシボリの製造方法には、前記切断工程及び前記水分付与工程の前に、前記連続オシボリシートをシート送り方向に沿った折り目で連続的に折り畳み、該連続オシボリシートを複数シート層とする横幅折り畳み工程を含むロール状巻きオシボリの製造方法。
【請求項7】
円周面をもつ、一方向に回転される丸めローターと、この丸めローターの周面から離間して固定配置された静止バットから構成され、前記丸めローターと静止バットの対向面の間に形成された転動巻き供給通路に供給された紙又は不織布等のオシボリシートを該シートの供給始端部側からロール状に丸めながら転動させてロール状巻きオシボリを成形するロール巻き機構部を設けたロール状巻きオシボリのロール巻き装置において、
前記転動巻き供給通路の入り口の近くに、先端部を前記前記丸めローターの対向周面に向けて突出させ、突出された前記先端部を前記丸めローターの周面から離間させて固定配置した係止体を設け、この係止体の前記先端部と前記丸めローターの対向周面との離間空間を折り返し規制通路として構成し、前記丸めローターの回転方向における前記係止体の手前側の隣接位置に凹み側を前記丸めローターの周面に対向させた係止凹部を、前記丸めローターの回転方向における前記係止体の背後側の隣接位置に凹み側を前記丸めローターの周面に対向させた係合凹部をそれぞれ設け、前記丸めローターの対向周面に対する前記係止凹部及び係合凹部の各凹み頂部位置を前記係止体の前記先端部位置より後退させて構成し、前記係合凹部と前記丸めローターの対向周面との間で巻きコア形成空間部を形成し、
前記丸めローターの回転方向における前記係止凹部の手前側の隣位置に前記丸めローターの周面から僅かな間隙をおいて離間された供出ロールを配設し、この供出ロールと前記丸めローターの協働した回転により、シート送り方向の上流側から供給されて前記丸めローターと前記供出ロールとの間の繰り出し供出部を通過されたオシボリシートの供給始端部側を前記丸めローターの周面から離間された前記係止凹部内へ向けて供出するように構成し、
前記繰り出し供出部から供出された前記オシボリシートの供給始端部側を前記係止凹部内で係止し、前記係止凹部内で係止されている前記オシボリシートの供給始端部側を前記丸めローターの周面に沿って供給される当該オシボリシートの後続部分で丸めローター回転方向へ牽引し、牽引される供給始端部側を前記折り返し規制通路での通過過程でシート全横幅に亘って折り返し、折り返し折り目を供給始端縁とした折り返し重合部を形成すると共に、この折り返し重合部を前記係止体の静止抵抗と前記丸めローターの回転送りによって前記係止体との接触シート面側となる折り返し片側を内側にした半折り返し状に反らし、半折り返し状に反らされた前記折り返し重合部を前記巻きコア形成空間部で巻き込み、該巻きコア形成空間部で前記オシボリシートの供給始端部に巻きコア部を形成するように構成し、
前記巻きコア形成空間部で形成された前記巻きコア部を先頭にして前記転動巻き供給通路へ供給し、該転動巻き供給通路で前記巻きコア部をコアにして転動させながら一体の後続オシボリシート部分をロール状に巻いてロール状巻きオシボリを成形するようにしたロール状巻きオシボリのロール巻き装置。
【請求項8】
請求項7のロール状巻きオシボリのロール巻き装置において、前記繰り出し供出部のシート送り方向の上流側に、前記オシボリシートの供給始端部側をシート送り方向に直交するシート全横幅に亘る第一次折り返し折り目に沿って折り返し、このオシボリシートの供給始端部側に第一次折り返し重合部を予め形成するホルダー装置を配設し、このホルダー装置で形成された第一次折り返し重合部を供給始端部として第一次折り返し折り目を先頭にして前記繰り出し供出部を通過させ、通過されたオシボリシートの前記第一次折り返し重合部を前記丸めローターの周面から離間された前記係止凹部内へ向けて供出するように構成し、前記繰り出し供出部から供出された前記オシボリシートの前記第一次折り返し重合部を前記係止凹部内で係止し、前記係止凹部内で係止されている前記オシボリシートの前記第一次折り返し重合部を前記丸めローターの周面に沿って供給される当該オシボリシートの後続部分で丸めローター回転方向へ牽引し、牽引される前記第一次折り返し重合部を前記折り返し規制通路での通過過程でさらに折り返し、シート全横幅に亘る第二次折り返し折り目を供給始端縁とした第二次折り返し重合部を形成すると共に、この第二次折り返し重合部を前記係止体の静止抵抗と前記丸めローターの回転送りによって前記係止体との接触シート面側となる第二次折り返し片側を内側にした半折り返し状に反らし、半折り返し状に反らされた前記第二次折り返し重合部を前記巻きコア形成空間部で前記第一次折り返し折り目に対して前記第二次折り返し折り目をほぼ重ね合わせた状態に巻き込み、該巻きコア形成空間部で前記オシボリシートの供給始端部に巻きコア部を形成するように構成したロール状巻きオシボリのロール巻き装置。
【請求項9】
前記ホルダー装置を、一方のホルダーロールに折り矢を、他方のホルダーロールに咥え凹部を設けた対のホルダーロールとし、両ロールの回転中に折り矢が咥え凹部に入れられるホルダーロールとした請求項8に記載のロール状巻きオシボリのロール巻き装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−61696(P2008−61696A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−240121(P2006−240121)
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【特許番号】特許第3920911号(P3920911)
【特許公報発行日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(000147110)株式会社杉山 (14)
【Fターム(参考)】