ロール状物品のコアに挿入するハンドリング用シャフトの着脱補助装置
【課題】ロール状物品のコアにシャフトを挿入してハンドリングを行う従来の方法において,人手によるものでは,シャフトが長尺で重いため作業者に大きな負担が掛かると共に着脱に際してコアを破損したり,切り屑を生じて物品の品質に影響を与える等の課題があり,自動機械によるハンドリングでは高いイニシャル投資と広いスペースが必要であるという課題があった。
【解決手段】本発明では,台車5上に,側部の仕切7により区画された保管部8を構成し,保管部を区画する仕切の一部に内外の連通部11を形成すると共に,連通部の前方左右方向にハンドリング用シャフトの運動用空間部12を構成し,運動用空間部の一端側上部には,ハンドリング用シャフトの支持ローラー14を設けた構成のロール状物品のコアに挿入するハンドリング用シャフトの着脱補助装置を提案する。
【解決手段】本発明では,台車5上に,側部の仕切7により区画された保管部8を構成し,保管部を区画する仕切の一部に内外の連通部11を形成すると共に,連通部の前方左右方向にハンドリング用シャフトの運動用空間部12を構成し,運動用空間部の一端側上部には,ハンドリング用シャフトの支持ローラー14を設けた構成のロール状物品のコアに挿入するハンドリング用シャフトの着脱補助装置を提案する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,紙や樹脂フィルム等のように,コア(芯)に巻かれてロール状に形成されたロール状物品のコアに挿入するハンドリング用シャフトを着脱するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙や樹脂フィルム等のロール状物品は,搬送や保管において,その形状から,以下に示すようなハンドリング方法を用いるのが一般的である。
1.まず第1の方法として,コアの両端を支持する支持部を設けたパレットに積載してハンドリングする方法があり,この方法は,パレットにコストが掛かると共に,空パレットの搬送が必要である。
2.また第2の方法として,コアの両端を直接的にハンドリング手段により支持してハンドリングする方法があり,この方法では,コアの突出長が短い場合には安定に搬送ができず,採用が困難である。
3.また第3の方法として,コアの部分でなく,紙や樹脂フィルム等の物品自体を支持してハンドリングする方法があり,この方法では物品自体に荷重が加わるため,物品によっては品質に影響してしまうため採用できない。
4.また第4の方法として,コアにハンドリング用のシャフトを挿入し,コアの両端から突出したシャフトの両端を支持してハンドリングする方法があり,この方法は,コスト,搬送の安定性,製品の品質への影響等の観点から,上記3つの方法と比較して有利であるため,従来から多く採用されている。
【0003】
そして,この第4の方法では,ロール状物品のコアに対してのハンドリング用のシャフトの挿着と脱着を人手によって行う方法と,自動機械によって挿着と脱着を行う方法がある。
【0004】
従来の自動機械として,例えば特許文献1には,自動倉庫に隣接して設けられ、ロールを積載したパレットを搬送する搬送コンベヤと、該搬送コンベヤからパレットを送給され、搬送コンベヤにパレットを送出するように連結された装着位置コンベヤおよび脱着位置コンベヤと、該装着位置コンベヤと脱着位置コンベヤとに縦列配置され、シャフト保管パレットを待機させる待機用コンベヤと、前記装着位置コンベヤおよび脱着位置コンベヤと待機用コンベヤとに平行して配置され、その間を移動可能とし、待機用コンベヤ上のシャフト保管パレットからシャフトを引き抜き、該シャフトを装着位置コンベヤ上のパレットに積載されたロールに装着するシャフト自動装着機と、脱着位置コンベヤ上のパレットに積載されたロールよりシャフトを脱着し、該シャフトを待機用コンベヤ上のシャフト保管パレットに保管するシャフト自動脱着機と、装着位置に配置した待機用コンベヤと脱着位置に配置した待機用コンベヤとの間を横方向に移動し、シャフト保管パレットを受け渡し可能としたトラバーサとを設けたロールシャフト着脱装置が記載されている。
【特許文献1】特開2001−335113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロール状物品は,例えばその重量が1トン程度あり,このようなロール状物品のコアに挿入するハンドリング用シャフトは,長さが2m以上,重量が10kg以上となる。
【0006】
従来は,上述したとおり,芯に対してのハンドリング用シャフトの挿着及び脱着を人手により行うか,自動機械によって行っており,人手によるハンドリングでは,ハンドリング用シャフトが長尺で重いため,作業者に大きな負担が掛かると共に,ハンドリング用シャフトの挿着及び脱着に際して,コアを破損したり,切り屑を生じて物品の品質に影響を与える等の課題があった。一方,自動機械によるハンドリングでは,高いイニシャル投資と広いスペースが必要であるという課題があった。
本発明は,以上の課題を解消し,高いイニシャル投資と広いスペースを不要とすると共に,作業者に対しての負担を軽減し,しかも切り屑等による物品の品質への影響を排除することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために本発明では,台車上に,側部の仕切により区画された保管部を構成し,保管部を区画する仕切の一部に内外の連通部を形成すると共に,連通部の前方左右方向にハンドリング用シャフトの運動用空間部を構成し,運動用空間部の一端側上部には,ハンドリング用シャフトの支持ローラーを設けたロール状物品のコアに挿入するハンドリング用シャフトの着脱補助装置を提案する。
【0008】
また本発明では,台車上に,側部の仕切により区画された保管部を構成し,保管部を区画する仕切の一部に内外の連通部を形成すると共に,連通部の前方左右方向にハンドリング用シャフトの運動用空間部を構成し,運動用空間部の一端側上部には,ハンドリング用シャフトの支持ローラーを設けた着脱補助装置の本体と,ロール状物品のコア内を走行可能な台車部にハンドリング用シャフト固定用のクランプを設けた端部支持台車とから構成したロール状物品のコアに挿入するハンドリング用シャフトの着脱補助装置を提案する。
【0009】
そして本発明では,以上の構成において,支持ローラーの両側上方に案内部を突設することを提案する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の着脱補助装置は,台車上に構成した保管部に複数本のハンドリング用シャフトを立てた状態で保管することができ,そして保管されている複数本のハンドリング用シャフトを台車により,ロール状物品が支持されているハンドリング場所に移動することができる。
【0011】
所定のハンドリング場所において,作業員は着脱補助装置を操作して,運動用空間部の一端側上部に設けた支持ローラーによるハンドリング用シャフトの移動方向をロール状物品のコアの軸方向に合わせて停止する。
【0012】
次いで,作業員は保管部に保管されているハンドリング用シャフトを横方向に動かして連通部を経て運動用空間部に出した後,傾けて上側を支持ローラーに載せ,この状態で下側を持ち上げ,支持ローラーにより前方に送り出す。
【0013】
この作業により,ハンドリング用シャフトはロール状物品のコア内に挿入されて,コア内を移動し,先端側の所定長さがコアの外側に突出した状態とすることができる。
【0014】
この後,着脱補助装置をロール状物品側から後退させることにより,ロール状物品を,コア内にハンドリング用シャフトが挿入された所定のハンドリング可能状態とすることができる。
【0015】
上述したようにハンドリング用シャフトをロール状物品のコア内に挿入してコア内を移動する際,ハンドリング用シャフトの先端側を,コア内を走行可能な端部支持台車に固定して支持する構成とすれば,移動に際しての所要力を大幅に軽減すると共に,ハンドリング用シャフトの先端によるコアの内面の損傷を防止することができる。
【0016】
このような端部支持台車としては,例えば,台車部にハンドリング用シャフト固定用のクランプを設けた構成とし,コアに挿入する前にハンドリング用シャフトの先端側をクランプを以て固定し,所定の挿入後にクランプを操作して外せば良い。
【0017】
支持ローラーの両側上方に案内部を突設した構成では,上述した作業においてハンドリング用シャフトが支持ローラー上から落下するのを防止することができる。
【0018】
以上に説明した作業は,着脱補助装置の保管部に保管されているハンドリング用シャフトをロール状物品のコアに挿入する作業であるが,ロール状物品のコアに挿入されているハンドリング用シャフトを,コアから抜いて保管部に立てた状態に保管する作業は,後述するように,以上の作業と逆の流れで行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に,本発明に係る着脱補助装置の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
まず図1は本発明の着脱補助装置を適用するロール状物品のハンドリング方法を模式的に示すもので,(a)は一部を縦断面とした説明図,(b)は(a)のA−A線断面図である。符号1は紙や樹脂フィルム等のロール状物品で,2はコアである。このようなロール状物品1は,上述したとおり,コスト,搬送の安定性,製品の品質への影響等の観点から,コア2にハンドリング用シャフト3を挿入し,コア2の両端から突出したハンドリング用シャフト3の両端を,クレーンその他のハンドリング手段4により支持して搬送したり,保管することが従来から多く行われている。
【0020】
図2〜図5は本発明における着脱補助装置の本体を示すもので,図2は斜視図,図3は正面図,図4は右側面図,図5は平面図である。
符号5はキャスター等の車輪6を設けて移動可能とした台車であり,この台車5上に,側部の仕切7によって区画された保管部8を構成している。この実施の形態では,仕切7は,フレーム9と網10により構成しているが,板体で構成することもできる。尚,網10は,図において便宜的に一部のみを表示しているが,フレーム9の全面に構成されている。
【0021】
図に示すように保管部8を区画する仕切7の一部には,保管部8の内外を連通する連通部11を形成しており,この連通部11の前方左右方向にハンドリング用シャフト3の運動用空間部12を構成している。また運動用空間部12の一端側,この場合,図2,図3又は図5における図中左側の上部には,フレーム13により支持ローラー14を支持している。この実施の形態では,支持ローラー14は3連のフリーローラーとして構成している。そして支持ローラー14の両側上方には案内部15としての板体が突出している。また連通部11の前方側には,運動用空間部12を隔てて仕切16を立設しており,この仕切16も,他の仕切7と同様にフレーム9と網10とから構成している。
【0022】
以上の構成において,図6に示すようにハンドリング又は搬送手段17に,コア2を以て支持されているロール状物品1のコア2から,挿入されているハンドリング用シャフト3を抜き取って保管部8に保管する作業の流れの一例を以下に説明する。
【0023】
まず着脱補助装置の本体を台車5により走行させてロール状物品1が搬送手段等17に支持されている場所に移動する。そして支持ローラー14を設けている側をロール状物品1の方向に向け,支持ローラー14によるハンドリング用シャフト3の移動方向をロール状物品1のコア2の軸方向に合わせて停止する。車輪6にはストッパー機構(図示省略)を設けて,作業中に台車5が移動しないようにロックする。
【0024】
次いで図6に示すように,着脱補助装置から離れている側のハンドリング用シャフト3の端部側に端部支持台車19を固定し,また着脱補助装置側のハンドリング用シャフト3の端部側を支持ローラー14上に乗せる。
【0025】
ここで,端部支持台車19は,図7,図8に示すように台車部20にハンドリング用シャフト3を固定するためのクランプ21を設けた構成であり,台車部20は,等辺山形状の基体22の2辺の外方にボールキャスター23を取り付けた構成としている。一方,クランプ21は,図8の実線に示すように基体22の2辺と共にハンドリング用シャフト3を囲んで保持し,適宜の解除操作によりハンドリング用シャフト3の保持を解除する適宜の機構を採用することができる。
【0026】
こうしてハンドリング用シャフト3の一端側を支持ローラー14上に乗せ,他端側に端部支持台車19を固定した状態において,図9に示すように作業員はハンドリング用シャフト3を図中右方向に動かして次第にコア2から抜いて行く。この作業では,ハンドリング用シャフト3は一端側が支持ローラー14により支持されていると共に他端側が端部支持台車19に支持されているため,非常に軽い力で作業を行うことができる。
【0027】
ハンドリング用シャフト3を次第にコア2から抜いて行き,例えば図10の状態まで抜いた後,着脱補助装置の車輪6のストッパー機構のロックを解除して,台車5を移動可能として,着脱補助装置をロール状物品1から後退させることにより,ハンドリング用シャフト3を完全にコア2から抜くことができ,この状態において端部支持台車19を外して,図11の状態とすることができる。この図11の状態においては,ハンドリング用シャフト3は着脱補助装置の運動用空間部12に位置する。
【0028】
図11の状態において作業員は,次にハンドリング用シャフト3を支持しながら,運動用空間部12において支持ローラー14を支点として図中時計回りに回転させ,下端が台車5の上面に当接したら,今度は当接した端部を支点として回転することにより,図13に示すようにハンドリング用シャフト3を運動用空間部12内において立った状態とすることができる。
【0029】
次いで立った状態のハンドリング用シャフト3をずらして,連通部11を通って保管部8内に移動することにより,ハンドリング用シャフト3を保管部8内に立った状態で保管することができる。
【0030】
以上の作業を繰り返して行うことにより,保管部8内に複数本のハンドリング用シャフト3を立った状態で保管することができ,この際,複数本のハンドリング用シャフト3は,両端にフック部を設けたゴムバンド(図示省略)等で纏めてフレーム9に支持することにより,安全に保管を行うことができる。
【0031】
以上に説明した作業は,ロール状物品1のコア2に挿入されているハンドリング用シャフト3をコア2から抜いて,着脱補助装置の保管部8に立てた状態に保管する作業であるが,着脱補助装置の保管部8に保管されているハンドリング用シャフト3をロール状物品1のコア2に挿入する作業は,上述したとおり,以上の作業と逆の流れで行うことができる。
【0032】
以上の実施の形態においては,ハンドリング用シャフト3をロール状物品1のコア2内に移動する際に,その先端側を,コア2内を走行可能な端部支持台車19に固定して支持する構成としているので,この実施の形態においては,ハンドリング用シャフト3の移動に際しての所要力を大幅に軽減すると共に,ハンドリング用シャフト1の先端によるコア2の内面の損傷を防止することができる。
【0033】
しかしながら他の実施の形態として,ハンドリング用シャフト3の端部を低摩擦性の部材で覆うことにより,移動に際しての所要力を軽減するようにして,端部支持台車19を使用しないようにすることも可能である。
【0034】
また以上の実施の形態においては,支持ローラー14の両側上方に案内部15を突設した構成としているので,上述した作業においてハンドリング用シャフト3が支持ローラー14上から落下するのを防止することができ安全性が高い。
【0035】
また以上の実施の形態においては,連通部11の前方側に,運動用空間部12を隔てて仕切16を立設しているため,保管部8又は運動用空間部12内において立った状態のハンドリング用シャフト3が連通部11の前方側に倒れてしまうのを防止することができ,安全である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の着脱補助装置は以上のとおり,ロール状物品のコアに対してのハンドリング用シャフトの着脱を人手により行う際の補助機能によって,長尺で重いハンドリング用シャフトの着脱作業における労力的な負担を軽減することができると共に,ハンドリング用シャフトによるコアの損傷や切り屑の発生を防止することができ,ロール状物品の品質に悪影響を与えないという効果がある。
【0037】
しかも本発明では,このようにハンドリング用シャフトをロール状物品のコアに対して着脱する際の人手による作業を補助する着脱補助装置が,ハンドリング用シャフトの保管機能を有すると共に,ハンドリング用シャフトの移動手段としての機能を有するため,更に作業員に対しての労力的負担を軽減すると共に,ハンドリング用シャフトの保管や移動を,極めて合理的に行えるという効果があり,産業上の利用可能性が大である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の着脱補助装置を適用するロール状物品のハンドリング方法を模式的に示すもので,(a)は一部を縦断面とした説明図,(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図2】本発明に係る着脱補助装置の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る着脱補助装置の一例を示す正面図である。
【図4】本発明に係る着脱補助装置の一例を示す右側面図である。
【図5】本発明に係る着脱補助装置の一例を示す平面図である。
【図6】本発明に係る着脱補助装置の使用状態の一局面を示す正面図である。
【図7】図6の要部の拡大説明的断面図である。
【図8】図7のB−B線断面図である。
【図9】図6の局面の平面図である。
【図10】本発明に係る着脱補助装置の使用状態の他の局面を示す正面図である。
【図11】本発明に係る着脱補助装置の使用状態の更に他の局面を示す正面図である。
【図12】本発明に係る着脱補助装置の使用状態の更に他の局面を示す正面図である。
【図13】本発明に係る着脱補助装置の使用状態の更に他の局面を示す正面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 ロール状物品
2 コア
3 ハンドリング用シャフト
4 ハンドリング手段
5 台車
6 車輪(キャスター)
7,16 仕切
8 保管部
9 フレーム
10 網
11 連通部
12 運動用空間部
13 フレーム
14 支持ローラー
15 案内部
16 仕切
17 搬送手段等
18 端部
19 端部支持台車
20 台車部
21 クランプ
22 基体
23 ボールキャスター
24 作業員
【技術分野】
【0001】
本発明は,紙や樹脂フィルム等のように,コア(芯)に巻かれてロール状に形成されたロール状物品のコアに挿入するハンドリング用シャフトを着脱するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙や樹脂フィルム等のロール状物品は,搬送や保管において,その形状から,以下に示すようなハンドリング方法を用いるのが一般的である。
1.まず第1の方法として,コアの両端を支持する支持部を設けたパレットに積載してハンドリングする方法があり,この方法は,パレットにコストが掛かると共に,空パレットの搬送が必要である。
2.また第2の方法として,コアの両端を直接的にハンドリング手段により支持してハンドリングする方法があり,この方法では,コアの突出長が短い場合には安定に搬送ができず,採用が困難である。
3.また第3の方法として,コアの部分でなく,紙や樹脂フィルム等の物品自体を支持してハンドリングする方法があり,この方法では物品自体に荷重が加わるため,物品によっては品質に影響してしまうため採用できない。
4.また第4の方法として,コアにハンドリング用のシャフトを挿入し,コアの両端から突出したシャフトの両端を支持してハンドリングする方法があり,この方法は,コスト,搬送の安定性,製品の品質への影響等の観点から,上記3つの方法と比較して有利であるため,従来から多く採用されている。
【0003】
そして,この第4の方法では,ロール状物品のコアに対してのハンドリング用のシャフトの挿着と脱着を人手によって行う方法と,自動機械によって挿着と脱着を行う方法がある。
【0004】
従来の自動機械として,例えば特許文献1には,自動倉庫に隣接して設けられ、ロールを積載したパレットを搬送する搬送コンベヤと、該搬送コンベヤからパレットを送給され、搬送コンベヤにパレットを送出するように連結された装着位置コンベヤおよび脱着位置コンベヤと、該装着位置コンベヤと脱着位置コンベヤとに縦列配置され、シャフト保管パレットを待機させる待機用コンベヤと、前記装着位置コンベヤおよび脱着位置コンベヤと待機用コンベヤとに平行して配置され、その間を移動可能とし、待機用コンベヤ上のシャフト保管パレットからシャフトを引き抜き、該シャフトを装着位置コンベヤ上のパレットに積載されたロールに装着するシャフト自動装着機と、脱着位置コンベヤ上のパレットに積載されたロールよりシャフトを脱着し、該シャフトを待機用コンベヤ上のシャフト保管パレットに保管するシャフト自動脱着機と、装着位置に配置した待機用コンベヤと脱着位置に配置した待機用コンベヤとの間を横方向に移動し、シャフト保管パレットを受け渡し可能としたトラバーサとを設けたロールシャフト着脱装置が記載されている。
【特許文献1】特開2001−335113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロール状物品は,例えばその重量が1トン程度あり,このようなロール状物品のコアに挿入するハンドリング用シャフトは,長さが2m以上,重量が10kg以上となる。
【0006】
従来は,上述したとおり,芯に対してのハンドリング用シャフトの挿着及び脱着を人手により行うか,自動機械によって行っており,人手によるハンドリングでは,ハンドリング用シャフトが長尺で重いため,作業者に大きな負担が掛かると共に,ハンドリング用シャフトの挿着及び脱着に際して,コアを破損したり,切り屑を生じて物品の品質に影響を与える等の課題があった。一方,自動機械によるハンドリングでは,高いイニシャル投資と広いスペースが必要であるという課題があった。
本発明は,以上の課題を解消し,高いイニシャル投資と広いスペースを不要とすると共に,作業者に対しての負担を軽減し,しかも切り屑等による物品の品質への影響を排除することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために本発明では,台車上に,側部の仕切により区画された保管部を構成し,保管部を区画する仕切の一部に内外の連通部を形成すると共に,連通部の前方左右方向にハンドリング用シャフトの運動用空間部を構成し,運動用空間部の一端側上部には,ハンドリング用シャフトの支持ローラーを設けたロール状物品のコアに挿入するハンドリング用シャフトの着脱補助装置を提案する。
【0008】
また本発明では,台車上に,側部の仕切により区画された保管部を構成し,保管部を区画する仕切の一部に内外の連通部を形成すると共に,連通部の前方左右方向にハンドリング用シャフトの運動用空間部を構成し,運動用空間部の一端側上部には,ハンドリング用シャフトの支持ローラーを設けた着脱補助装置の本体と,ロール状物品のコア内を走行可能な台車部にハンドリング用シャフト固定用のクランプを設けた端部支持台車とから構成したロール状物品のコアに挿入するハンドリング用シャフトの着脱補助装置を提案する。
【0009】
そして本発明では,以上の構成において,支持ローラーの両側上方に案内部を突設することを提案する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の着脱補助装置は,台車上に構成した保管部に複数本のハンドリング用シャフトを立てた状態で保管することができ,そして保管されている複数本のハンドリング用シャフトを台車により,ロール状物品が支持されているハンドリング場所に移動することができる。
【0011】
所定のハンドリング場所において,作業員は着脱補助装置を操作して,運動用空間部の一端側上部に設けた支持ローラーによるハンドリング用シャフトの移動方向をロール状物品のコアの軸方向に合わせて停止する。
【0012】
次いで,作業員は保管部に保管されているハンドリング用シャフトを横方向に動かして連通部を経て運動用空間部に出した後,傾けて上側を支持ローラーに載せ,この状態で下側を持ち上げ,支持ローラーにより前方に送り出す。
【0013】
この作業により,ハンドリング用シャフトはロール状物品のコア内に挿入されて,コア内を移動し,先端側の所定長さがコアの外側に突出した状態とすることができる。
【0014】
この後,着脱補助装置をロール状物品側から後退させることにより,ロール状物品を,コア内にハンドリング用シャフトが挿入された所定のハンドリング可能状態とすることができる。
【0015】
上述したようにハンドリング用シャフトをロール状物品のコア内に挿入してコア内を移動する際,ハンドリング用シャフトの先端側を,コア内を走行可能な端部支持台車に固定して支持する構成とすれば,移動に際しての所要力を大幅に軽減すると共に,ハンドリング用シャフトの先端によるコアの内面の損傷を防止することができる。
【0016】
このような端部支持台車としては,例えば,台車部にハンドリング用シャフト固定用のクランプを設けた構成とし,コアに挿入する前にハンドリング用シャフトの先端側をクランプを以て固定し,所定の挿入後にクランプを操作して外せば良い。
【0017】
支持ローラーの両側上方に案内部を突設した構成では,上述した作業においてハンドリング用シャフトが支持ローラー上から落下するのを防止することができる。
【0018】
以上に説明した作業は,着脱補助装置の保管部に保管されているハンドリング用シャフトをロール状物品のコアに挿入する作業であるが,ロール状物品のコアに挿入されているハンドリング用シャフトを,コアから抜いて保管部に立てた状態に保管する作業は,後述するように,以上の作業と逆の流れで行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に,本発明に係る着脱補助装置の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
まず図1は本発明の着脱補助装置を適用するロール状物品のハンドリング方法を模式的に示すもので,(a)は一部を縦断面とした説明図,(b)は(a)のA−A線断面図である。符号1は紙や樹脂フィルム等のロール状物品で,2はコアである。このようなロール状物品1は,上述したとおり,コスト,搬送の安定性,製品の品質への影響等の観点から,コア2にハンドリング用シャフト3を挿入し,コア2の両端から突出したハンドリング用シャフト3の両端を,クレーンその他のハンドリング手段4により支持して搬送したり,保管することが従来から多く行われている。
【0020】
図2〜図5は本発明における着脱補助装置の本体を示すもので,図2は斜視図,図3は正面図,図4は右側面図,図5は平面図である。
符号5はキャスター等の車輪6を設けて移動可能とした台車であり,この台車5上に,側部の仕切7によって区画された保管部8を構成している。この実施の形態では,仕切7は,フレーム9と網10により構成しているが,板体で構成することもできる。尚,網10は,図において便宜的に一部のみを表示しているが,フレーム9の全面に構成されている。
【0021】
図に示すように保管部8を区画する仕切7の一部には,保管部8の内外を連通する連通部11を形成しており,この連通部11の前方左右方向にハンドリング用シャフト3の運動用空間部12を構成している。また運動用空間部12の一端側,この場合,図2,図3又は図5における図中左側の上部には,フレーム13により支持ローラー14を支持している。この実施の形態では,支持ローラー14は3連のフリーローラーとして構成している。そして支持ローラー14の両側上方には案内部15としての板体が突出している。また連通部11の前方側には,運動用空間部12を隔てて仕切16を立設しており,この仕切16も,他の仕切7と同様にフレーム9と網10とから構成している。
【0022】
以上の構成において,図6に示すようにハンドリング又は搬送手段17に,コア2を以て支持されているロール状物品1のコア2から,挿入されているハンドリング用シャフト3を抜き取って保管部8に保管する作業の流れの一例を以下に説明する。
【0023】
まず着脱補助装置の本体を台車5により走行させてロール状物品1が搬送手段等17に支持されている場所に移動する。そして支持ローラー14を設けている側をロール状物品1の方向に向け,支持ローラー14によるハンドリング用シャフト3の移動方向をロール状物品1のコア2の軸方向に合わせて停止する。車輪6にはストッパー機構(図示省略)を設けて,作業中に台車5が移動しないようにロックする。
【0024】
次いで図6に示すように,着脱補助装置から離れている側のハンドリング用シャフト3の端部側に端部支持台車19を固定し,また着脱補助装置側のハンドリング用シャフト3の端部側を支持ローラー14上に乗せる。
【0025】
ここで,端部支持台車19は,図7,図8に示すように台車部20にハンドリング用シャフト3を固定するためのクランプ21を設けた構成であり,台車部20は,等辺山形状の基体22の2辺の外方にボールキャスター23を取り付けた構成としている。一方,クランプ21は,図8の実線に示すように基体22の2辺と共にハンドリング用シャフト3を囲んで保持し,適宜の解除操作によりハンドリング用シャフト3の保持を解除する適宜の機構を採用することができる。
【0026】
こうしてハンドリング用シャフト3の一端側を支持ローラー14上に乗せ,他端側に端部支持台車19を固定した状態において,図9に示すように作業員はハンドリング用シャフト3を図中右方向に動かして次第にコア2から抜いて行く。この作業では,ハンドリング用シャフト3は一端側が支持ローラー14により支持されていると共に他端側が端部支持台車19に支持されているため,非常に軽い力で作業を行うことができる。
【0027】
ハンドリング用シャフト3を次第にコア2から抜いて行き,例えば図10の状態まで抜いた後,着脱補助装置の車輪6のストッパー機構のロックを解除して,台車5を移動可能として,着脱補助装置をロール状物品1から後退させることにより,ハンドリング用シャフト3を完全にコア2から抜くことができ,この状態において端部支持台車19を外して,図11の状態とすることができる。この図11の状態においては,ハンドリング用シャフト3は着脱補助装置の運動用空間部12に位置する。
【0028】
図11の状態において作業員は,次にハンドリング用シャフト3を支持しながら,運動用空間部12において支持ローラー14を支点として図中時計回りに回転させ,下端が台車5の上面に当接したら,今度は当接した端部を支点として回転することにより,図13に示すようにハンドリング用シャフト3を運動用空間部12内において立った状態とすることができる。
【0029】
次いで立った状態のハンドリング用シャフト3をずらして,連通部11を通って保管部8内に移動することにより,ハンドリング用シャフト3を保管部8内に立った状態で保管することができる。
【0030】
以上の作業を繰り返して行うことにより,保管部8内に複数本のハンドリング用シャフト3を立った状態で保管することができ,この際,複数本のハンドリング用シャフト3は,両端にフック部を設けたゴムバンド(図示省略)等で纏めてフレーム9に支持することにより,安全に保管を行うことができる。
【0031】
以上に説明した作業は,ロール状物品1のコア2に挿入されているハンドリング用シャフト3をコア2から抜いて,着脱補助装置の保管部8に立てた状態に保管する作業であるが,着脱補助装置の保管部8に保管されているハンドリング用シャフト3をロール状物品1のコア2に挿入する作業は,上述したとおり,以上の作業と逆の流れで行うことができる。
【0032】
以上の実施の形態においては,ハンドリング用シャフト3をロール状物品1のコア2内に移動する際に,その先端側を,コア2内を走行可能な端部支持台車19に固定して支持する構成としているので,この実施の形態においては,ハンドリング用シャフト3の移動に際しての所要力を大幅に軽減すると共に,ハンドリング用シャフト1の先端によるコア2の内面の損傷を防止することができる。
【0033】
しかしながら他の実施の形態として,ハンドリング用シャフト3の端部を低摩擦性の部材で覆うことにより,移動に際しての所要力を軽減するようにして,端部支持台車19を使用しないようにすることも可能である。
【0034】
また以上の実施の形態においては,支持ローラー14の両側上方に案内部15を突設した構成としているので,上述した作業においてハンドリング用シャフト3が支持ローラー14上から落下するのを防止することができ安全性が高い。
【0035】
また以上の実施の形態においては,連通部11の前方側に,運動用空間部12を隔てて仕切16を立設しているため,保管部8又は運動用空間部12内において立った状態のハンドリング用シャフト3が連通部11の前方側に倒れてしまうのを防止することができ,安全である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の着脱補助装置は以上のとおり,ロール状物品のコアに対してのハンドリング用シャフトの着脱を人手により行う際の補助機能によって,長尺で重いハンドリング用シャフトの着脱作業における労力的な負担を軽減することができると共に,ハンドリング用シャフトによるコアの損傷や切り屑の発生を防止することができ,ロール状物品の品質に悪影響を与えないという効果がある。
【0037】
しかも本発明では,このようにハンドリング用シャフトをロール状物品のコアに対して着脱する際の人手による作業を補助する着脱補助装置が,ハンドリング用シャフトの保管機能を有すると共に,ハンドリング用シャフトの移動手段としての機能を有するため,更に作業員に対しての労力的負担を軽減すると共に,ハンドリング用シャフトの保管や移動を,極めて合理的に行えるという効果があり,産業上の利用可能性が大である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の着脱補助装置を適用するロール状物品のハンドリング方法を模式的に示すもので,(a)は一部を縦断面とした説明図,(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図2】本発明に係る着脱補助装置の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る着脱補助装置の一例を示す正面図である。
【図4】本発明に係る着脱補助装置の一例を示す右側面図である。
【図5】本発明に係る着脱補助装置の一例を示す平面図である。
【図6】本発明に係る着脱補助装置の使用状態の一局面を示す正面図である。
【図7】図6の要部の拡大説明的断面図である。
【図8】図7のB−B線断面図である。
【図9】図6の局面の平面図である。
【図10】本発明に係る着脱補助装置の使用状態の他の局面を示す正面図である。
【図11】本発明に係る着脱補助装置の使用状態の更に他の局面を示す正面図である。
【図12】本発明に係る着脱補助装置の使用状態の更に他の局面を示す正面図である。
【図13】本発明に係る着脱補助装置の使用状態の更に他の局面を示す正面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 ロール状物品
2 コア
3 ハンドリング用シャフト
4 ハンドリング手段
5 台車
6 車輪(キャスター)
7,16 仕切
8 保管部
9 フレーム
10 網
11 連通部
12 運動用空間部
13 フレーム
14 支持ローラー
15 案内部
16 仕切
17 搬送手段等
18 端部
19 端部支持台車
20 台車部
21 クランプ
22 基体
23 ボールキャスター
24 作業員
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車上に,側部の仕切により区画された保管部を構成し,保管部を区画する仕切の一部に内外の連通部を形成すると共に,連通部の前方左右方向にハンドリング用シャフトの運動用空間部を構成し,運動用空間部の一端側上部には,ハンドリング用シャフトの支持ローラーを設けたことを特徴とするロール状物品のコアに挿入するハンドリング用シャフトの着脱補助装置。
【請求項2】
台車上に,側部の仕切により区画された保管部を構成し,保管部を区画する仕切の一部に内外の連通部を形成すると共に,連通部の前方左右方向にハンドリング用シャフトの運動用空間部を構成し,運動用空間部の一端側上部には,ハンドリング用シャフトの支持ローラーを設けた着脱補助装置の本体と,ロール状物品のコア内を走行可能な台車部にハンドリング用シャフト固定用のクランプを設けた端部支持台車とから構成したことを特徴とするロール状物品のコアに挿入するハンドリング用シャフトの着脱補助装置。
【請求項3】
支持ローラーの両側上方に案内部を突設したことを特徴とする請求項1又は2に記載のロール状物品のコアに挿入するハンドリング用シャフトの着脱補助装置。
【請求項1】
台車上に,側部の仕切により区画された保管部を構成し,保管部を区画する仕切の一部に内外の連通部を形成すると共に,連通部の前方左右方向にハンドリング用シャフトの運動用空間部を構成し,運動用空間部の一端側上部には,ハンドリング用シャフトの支持ローラーを設けたことを特徴とするロール状物品のコアに挿入するハンドリング用シャフトの着脱補助装置。
【請求項2】
台車上に,側部の仕切により区画された保管部を構成し,保管部を区画する仕切の一部に内外の連通部を形成すると共に,連通部の前方左右方向にハンドリング用シャフトの運動用空間部を構成し,運動用空間部の一端側上部には,ハンドリング用シャフトの支持ローラーを設けた着脱補助装置の本体と,ロール状物品のコア内を走行可能な台車部にハンドリング用シャフト固定用のクランプを設けた端部支持台車とから構成したことを特徴とするロール状物品のコアに挿入するハンドリング用シャフトの着脱補助装置。
【請求項3】
支持ローラーの両側上方に案内部を突設したことを特徴とする請求項1又は2に記載のロール状物品のコアに挿入するハンドリング用シャフトの着脱補助装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−284175(P2007−284175A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−111527(P2006−111527)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】
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