説明

ロール紙セット機構を備える携帯型端末

【課題】ロール紙セット時の手間を軽減することを可能とした、ロール紙セット機構を備える携帯型端末を提供することである。
【解決手段】提案する携帯型端末は、ロール紙を挿入可能なロール紙ホルダと、前記ロール紙を、印字を行うヘッドに押し付けて、前記ロール紙の先端部分を用紙送りするプラテンローラと、前記プラテンローラと一体化した蓋を有し、前記ロール紙ホルダを収納可能なロール紙ホルダ収納部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙を記録紙として使用するプリンタを有し、ロール紙セット時の手間を軽減するロール紙セット機構を備える携帯型端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気・ガス・水道の検針や、電車の車内での精算用に、ロール紙を記録紙として使用するプリンタとを備える携帯型端末が用いられている。
【0003】
このような携帯型端末には、ロール紙の着脱時に、印字時にロール紙が通過するプラテン部が連動して移動せずに固定され、ロール紙をプラテン部まで送り出す紙送りダイアルを有する装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、一方で、プラテン部がロール紙収納部の蓋と一体化して、ロール紙の着脱時などに、その蓋の開閉に連動して、プラテン部のプラテンローラが位置移動し、そのプラテンローラの位置移動に伴って、ロール紙の先端部分や外周部分が位置決めされた状態と、そのプラテンローラが離れて挟むものがなくなりロール紙の先端部分や外周部分に遊びが生じている状態とが交互に現れる、いわゆるクラムシェル方式の装置もある。
【0005】
図7および図8は、携帯型端末を使い続けていて、ロール紙が減ったときなどに、クラムシェル方式の携帯型端末で発生する不具合を説明する図である。
【0006】
図7に示すように、携帯型端末50は、開閉する蓋51−1および固定蓋51−2を有するロール紙収納部、ヒンジ軸54、ヒンジ55、図では隠れている蓋51−1と一体に形成されたプラテンローラ53、ロール紙62、蓋51−1を開閉する開閉スイッチ58、ロール紙収納部の固定蓋51−2側の対向する位置に設けられた係止部(不図示)に係合するフック59を備える。
【0007】
蓋51−1はヒンジ55を介してヒンジ軸54に支持され、ヒンジ軸54を中心に回動することで開閉する。また、蓋51−1を開けた状態では、ロール紙62がロール紙収納部の固定蓋51−2上に載置されて、ロール紙収納部の空隙部分にセットされている。
【0008】
ロール紙収納部の蓋(カバー)51−1がオープンされたことに連動して、図7では隠れているが、符号53の位置に存在するプラテンローラとヘッド(不図示)との、ロール紙62の先端部分に対する押し付けが解除され、ロール紙62の外周に膨らみ部分65が生じる。
【0009】
図7の状況から蓋51−1を閉めたとき(カバークローズ時)は、この膨れた部分65が、図8に示すように押し潰されてしまい、盛り上がり部分68に折り目が付いてしまう。一旦付いた折れ目はジャムの原因となるので好ましくない。一方、折れ目を付けないためには、図7の膨れた部分65をカバークローズ時に巻き取る必要があるが、この巻き取り作業が、カバーのオープン・クローズ時における手間となり、ユーザの負担となっている。
【0010】
なお、特許文献1に示される携帯型装置では、ロール紙収納部がプリンタユニットとは別に設けられていて、例えば、蓋(カバー)にプラテンローラが一体化していない。このため、カバーオープン時にロール紙の外周部分に膨れた部分ができてしまい、巻き取る必要がある、という状況は生じない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−337932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ロール紙セット時の手間を軽減することを可能とした、ロール紙セット機構を備える携帯型端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
提案する携帯型端末は、ロール紙を挿入可能なロール紙ホルダと、前記ロール紙を、印字を行うヘッドに押し付けて、前記ロール紙の先端部分を用紙送りするプラテンローラと、前記プラテンローラと一体化した蓋を有し、前記ロール紙ホルダを収納可能なロール紙ホルダ収納部とを備える。そして、前記ロール紙ホルダは、前記蓋を開いたときに前記ロール紙ホルダ収納部から着脱自在である。
【発明の効果】
【0014】
提案する携帯型端末では、ロール紙はロール紙ホルダに収納され、ロール紙を収納したロール紙ホルダをロール紙収納部に収納している。したがって、携帯型端末が、ロール紙収納部の蓋にプラテンローラが一体に設けられた構成であり、ロール紙収納部の蓋を開いたときに、ロール紙の外周部の一部が膨らんだとしても、その膨らみ部分はロール紙ホルダの内壁にさえぎられるので、蓋を閉じたときに、その蓋によりその膨らみ部分が押し潰されることはなくなり、ロール紙収納部の蓋の開閉動作に伴う手間を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯型端末の外観斜視図である。
【図2】本実施形態のロール紙ホルダの外観斜視図である。
【図3】ロール紙ホルダの装置本体へのセット方法を示す斜視図である。
【図4】ロール紙が中に入っているロール紙ホルダを装置本体へセットし、まだ、カバーオープンしている時点での断面図である。
【図5】ロール紙が中に入っているロール紙ホルダを装置本体へセットし、カバークローズした時点での断面図である。
【図6】本実施形態の変型例のロール紙ホルダを示す図である。
【図7】従来技術における、ロール紙が中に入っているロール紙ホルダを装置本体へセットし、まだ、カバーオープンしている時点での断面図である。
【図8】従来技術における、ロール紙が中に入っているロール紙ホルダを装置本体へセットし、カバークローズした時点での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る携帯型端末の外観斜視図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の携帯型端末1は、後述するようにロール紙を中に入れたロール紙ホルダを収納するロール紙ホルダ収納部2、用紙(ロール紙の先端部分)を排出する排出口7を備えるプリンタ部5、表示部9、複数のキーの押下により必要な情報の入力を行う入力部11、を備える。
【0018】
ロール紙ホルダ収納部2は、開閉スイッチ4によりヒンジ軸22を中心に回転して開閉可能な蓋3−1と、固定された蓋3−2を有する。なお、本実施形態では、従来技術との差異を強調する意味で、従来、ロール紙収納部と呼んでいた部位を、ロール紙ホルダ収納部と呼ぶことにする。
【0019】
図2は、本実施形態のロール紙ホルダの外観斜視図である。
図2に示すように、ロール紙ホルダ12は、内部が空洞の円筒形状で、長尺状のロール紙16をその空洞部17に収納し、ロール紙先端18をロール紙ホルダ12から外部に出すための開口部13を備えている。また、ロール紙ホルダ12の開口部13の両端面には、空洞部から外側に向かって突起部15−1、15−2が設けられている。
【0020】
更に、空洞部17と突起部15−1、又は、空洞部17と突起部15−2とが接する面はR形状14となっている。
【0021】
ロール紙16を矢印Aで示す方向に側面から中に入れて(挿入して)、そのロール紙16を収納した状態のロール紙ホルダ12を、図3に示すように、蓋3−1が開いた状態のロール紙ホルダ収納部2内に矢印Bで示す方向にセット(収納)する。なお、図2には示されていないが、ロール紙ホルダ12の内壁にリブを一定間隔ごとに設けるようにしてもよい。このようにすれば、ロール紙16の外周とロール紙ホルダ12の内壁との接触面積を減らすことができ、用紙送りを一層スムーズにすることができる。
【0022】
なお、図3に示すように、ロール紙ホルダ収納部2は、ヒンジ23を介してヒンジ軸22に支持され、ヒンジ軸22を支点として回動する蓋3−1と、固定蓋3−2とを備える。フック24は、蓋3−1側の左右両側面に設けられ、ロール紙ホルダ収納部2の固定蓋3−2側の左右両側面で、対向する位置に設けられた係止部25に係合する。また、蓋3−1のヒンジ軸22とは対向側の端部の中央には、本来、プリンタ部5の一部であるプラテンローラ21が一体化して取り付けられている。また、ロール紙16の先端18がロール紙の外部に送り出されるときに通過する開口部13の両端面には、空洞部から外側に向かって突起部15−1、15−2が設けられている。
【0023】
更に、空洞部17と突起部15−1、又は、空洞部17と突起部15−2とが接する面にR14を設けたので、用紙の送り出しをスムーズに行うことができる。
【0024】
また、ロール紙ホルダ12の位置決めのために、例えば、ロール紙ホルダ12の底面に突起部を設け、ロール紙ホルダ収納部2の空洞部分の底面に、その突起部と係合する窪み部を設けるようにしてもよい。当然、凹凸を逆にしてもよい。このようにすれば、ロール紙ホルダ12がロール紙ホルダ2内で位置決めされるので、使用時の用紙送り出しの安定感が一層増す。
【0025】
このようにして、ロール紙をセットし、携帯型端末1を使い続けていき、中のロール紙も減っていくと、ユーザはロール紙の減り具合の確認などの理由で、携帯型端末1のロール紙ホルダ収納部2の蓋3−1を開けることになる。
【0026】
このとき、本実施形態の携帯型端末1では、図4の断面図に示すように、ロール紙16はロール紙ホルダ12に収納され、ロール紙16を収納したロール紙ホルダ12をロール紙ホルダ収納部2に収納している。したがって、携帯型端末1が、ロール紙ホルダ収納部2の蓋3−1にプラテンローラ21が一体に設けられた構成であり、ロール紙ホルダ収納部2の蓋3−1を開いたときに、プラテンローラ21とプリンタ部5のヘッド(不図示)との圧着が解除されて、ロール紙16の外周部の一部が膨らんだとしても、その膨らみ部分はロール紙ホルダ12の内壁にさえぎられるので、蓋3−1を閉じたときに、その蓋3−1によりその膨らみ部分が押し潰されることはなくなり、ロール紙ホルダ収納部2の蓋の開閉動作に伴う手間を軽減できる。
【0027】
図5は、ロール紙が中に入っているロール紙ホルダを装置本体へセットし、カバークローズした時点での断面図である。実際には、図5に示すように、ロール紙ホルダ12がセットされていて蓋3−1が開いている状態のときは、遊んでいて位置決めされていなかった、ロール紙16から送り出された部分が、蓋3−1を閉じたことに対応してプラテンローラ21とヘッド(不図示)に挟まれて位置決めされる。このとき、ロール紙16の先端18は排出口7からはみ出している。また、ロール紙ホルダ12の開口部13の両端面には、空洞部から外側に向かって突起部15−1、15−2を設けたことにより、ロール紙ホルダ収納部2内にロール紙ホルダ12を収納する際、固定蓋3−2側に近い下側の突起部15−2が、携帯型端末1本体の固定蓋3−2の端部に固定され、ロール紙ホルダ12の開口部13位置がロール紙排出口側に向けて固定された状態となる。これにより、ロール紙ホルダ12を設けても、従来通りロール紙のセットは容易に行える。また、ロール紙ホルダ12の空洞部17の開口部分の内側の面にはR14が設けられているため、排出されるロール紙16はR形状に沿って排出されるため、引っ掛かり等がなくなり、スムーズにロール紙16が排出されるようになる。
【0028】
なお、用途に応じて、ロール紙の大きさ(径)が異なる場合がある。これに対し、その都度、サイズが異なる携帯型端末を用意するのは不便である。
【0029】
そこで、図6に示すように、径の小さいロール紙38に対しては、ロール紙16を使用したのと同一の携帯型端末において、ロール紙ホルダ収納部2の内部の空洞部分に生じる隙間を埋めるように形状を変更したロール紙ホルダ31を使用する。
【0030】
図6に示すように、ロール紙ホルダ31は、本体円筒部34の軸方向に対し垂直な方向に、本体円筒部34の両端および中央に設けられたフランジ35を備え、これらフランジ35により、径の小さいロール紙38に対しては、ロール紙ホルダ収納部2の内部の空洞部分に生じる隙間を埋めるようにしている。
【0031】
また、ロール紙38の先端39がロール紙の外部に送り出されるときに通過する開口部40の両端にR32−1、及びロール紙ホルダ31の空洞部36と突起部33−1,33−2の交差する辺にR32−2を設けたので、用紙の送り出しをスムーズに行うことができる。尚、R32−1、32−2は、R形状としたがこれに限らず、ロール紙38がスムーズに排出される様な形状であれば、面取り(鈍角)等としてもよい。
【0032】
このように、径の小さいロール紙38に対しては、ロール紙ホルダ31の内径を変更して、ロール紙ホルダ収納部2の内部の空洞部分に生じる隙間を埋めるようにしているので、用途により異なる径のロール紙を使用する場合や、ロール紙の径が使用が進むにつれて小さくなっていった場合にも、携帯型端末を複数種類用意する必要はなく、ロール紙ホルダを切り替えて使用すればよいので、1台の携帯型端末の汎用性を高めることができる。
【符号の説明】
【0033】
1、50 携帯型端末
2 ロール紙ホルダ収納部
3−1、3−2、51−1、51−2 蓋
4、58 開閉スイッチ
5 プリンタ部
7、57 排出口
9 表示部
11 入力部
12、31 ロール紙ホルダ
13、40 開口部
14、32−1、32−2 R
15−1、15−2、33−1、33−2 突起部
16、38、62 ロール紙
17、36 空洞部(ロール紙収納部)
18、39、64 ロール紙先端
21、53 プラテンローラ
22、54 ヒンジ軸
23、55 ヒンジ
24、59 フック
25 係止部
34 本体円筒部
35 フランジ
65 ロール紙の膨らみ部分
68 盛り上がり部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙を挿入可能なロール紙ホルダと、
前記ロール紙を、印字を行うヘッドに押し付けて、前記ロール紙の先端部分を用紙送りするプラテンローラと、
前記プラテンローラと一体化した蓋を有し、前記ロール紙ホルダを収納可能なロール紙ホルダ収納部とを備え、
前記ロール紙ホルダは、前記蓋を開いたときに前記ロール紙ホルダ収納部から着脱自在である、
ことを特徴とする携帯型端末。
【請求項2】
前記ロール紙ホルダは、前記ロール紙ホルダ収納部に対し、着脱自在に係合可能であることを特徴とする請求項1記載の携帯型端末。
【請求項3】
前記ロール紙ホルダは、前記ロール紙を収納するロール紙収納部と、前記ロール紙が排出可能な開口部を有し、前記ロール紙収納部よりみて前記開口部から外側に向かって突起部を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の携帯型端末。
【請求項4】
前記ロール紙ホルダは、フランジ部と本体円筒部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の携帯型端末。
【請求項5】
前記ロール紙ホルダは、内壁に一定間隔毎に配置された複数のリブを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の携帯型端末。

【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−49221(P2013−49221A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189203(P2011−189203)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】