説明

ロール紙搬送装置、ロール紙搬送方法及び画像記録装置

【課題】ユニット全体としてその厚みを薄くする。
【解決手段】本発明に係るロール紙搬送装置は、搬送方向に沿って並ぶ第一ローラー及び第二ローラーと、第一ローラー及び第二ローラーを各々の中心軸周りに回転可能に支持するベース部材と、第一ローラー及び第二ローラーの各々の中心軸を含む仮想平面の法線方向に沿い、ベース部材を回動可能に支持する回動軸と、ベース部材に設けられ、法線方向に突出するカムフォロアと、法線方向に沿う中心軸周りに回動する偏心カムであって、カムフォロアに係合することにより回動軸を中心としてベース部材を回動させる偏心カムと、偏心カムと一体となって同軸上で回動するウォームホイールと、ウォームホイールに噛み合い、法線方向と直交する直交方向に沿うウォームと、直交方向に沿う駆動軸を有し、駆動軸の回転に伴ってウォームを回転させてウォームホイールに駆動力を伝達することにより、偏心カムを駆動するモーターと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙搬送装置、ロール紙搬送方法及び画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロール紙の搬送方向に並ぶ一対のローラーを備えたフレームを、モーターの駆動により回動軸を中心にして回動させるガイド装置(ユニット)を備えた印刷装置が知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−73590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような印刷装置にあっては、ユニットを内部に配置する際、その厚みが増すほどコンパクトに収納することができなくなる場合がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ユニット全体としてその厚みを薄くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための主たる発明は、
ロール紙を搬送方向に沿って搬送し、該搬送方向に沿って並ぶ第一ローラー及び第二ローラーと、
前記第一ローラー及び前記第二ローラーを各々の中心軸周りに回転可能に支持するベース部材と、
前記第一ローラー及び前記第二ローラーの各々の前記中心軸を含む仮想平面の法線方向に沿い、前記ベース部材を回動可能に支持する回動軸と、
前記ベース部材に設けられ、前記法線方向に突出するカムフォロアと、
前記法線方向に沿う中心軸周りに回動動作を行う偏心カムであって、前記カムフォロアに係合することにより前記回動軸を中心として前記ベース部材を回動させる偏心カムと、
前記偏心カムと一体となって同軸上で回動動作を行うウォームホイールと、
前記ウォームホイールに噛み合い、前記法線方向と直交する直交方向に沿うウォームと、
前記直交方向に沿う駆動軸を有し、当該駆動軸の回転に伴って前記ウォームを回転させて前記ウォームホイールに駆動力を伝達することにより、前記偏心カムを駆動するモーターと、
を備えたことを特徴とするロール紙搬送装置である。
【0007】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】画像記録装置1の構成を示す概略図である。
【図2】画像記録装置1の構成を示すブロック図である。
【図3】ガイドユニット20aの斜視図である。
【図4】ガイドユニット20aの平面図である。
【図5】ガイドユニット20aの背面図である。
【図6】ガイドユニット20aの側面図である。
【図7】ガイドユニット20aの動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
即ち、ロール紙を搬送方向に沿って搬送し、該搬送方向に沿って並ぶ第一ローラー及び第二ローラーと、
前記第一ローラー及び前記第二ローラーを各々の中心軸周りに回転可能に支持するベース部材と、
前記第一ローラー及び前記第二ローラーの各々の前記中心軸を含む仮想平面の法線方向に沿い、前記ベース部材を回動可能に支持する回動軸と、
前記ベース部材に設けられ、前記法線方向に突出するカムフォロアと、
前記法線方向に沿う中心軸周りに回動動作を行う偏心カムであって、前記カムフォロアに係合することにより前記回動軸を中心として前記ベース部材を回動させる偏心カムと、
前記偏心カムと一体となって同軸上で回動動作を行うウォームホイールと、
前記ウォームホイールに噛み合い、前記法線方向と直交する直交方向に沿うウォームと、
前記直交方向に沿う駆動軸を有し、当該駆動軸の回転に伴って前記ウォームを回転させて前記ウォームホイールに駆動力を伝達することにより、前記偏心カムを駆動するモーターと、
を備えたことを特徴とするロール紙搬送装置である。
このようなロール紙搬送装置によれば、偏心カム、カムフォロア、及びウォームホイールの各軸方向が法線方向に沿って配置され、かつ、モーター及びウォームの各軸方向が直交方向に沿って配置されることになるため、全体として厚みを薄くすることができる。
【0010】
また、かかるロール紙搬送装置であって、
前記第一ローラーは、前記搬送方向において前記第二ローラーよりも前記回動軸の近くに位置し、
前記ウォームは、前記搬送方向において前記ウォームホイールよりも前記第一ローラーの近くに位置するとしてもよい。
このようなロール紙搬送装置によれば、ウォームとウォームホイールとの噛み合う位置が第一ローラーの近くに位置することになるため、全体として搬送方向の長さを短くすることができる。
【0011】
また、かかるロール紙搬送装置であって、
前記モーターの駆動軸は、前記第一ローラー及び前記第二ローラー各々の中心軸に沿っていることとしてもよい。
このようなロール紙搬送装置によれば、モーターが第一ローラー及び第二ローラー各々の中心軸に沿って配置されることになるので、全体として搬送方向の長さを短くすることができる。
【0012】
また、かかるロール紙搬送装置であって、
前記モーターと前記ウォームは、前記直交方向において並んでおり、
前記カムフォロアと前記偏心カムは、前記直交方向において並んでおり、
前記偏心カムと前記ウォームは、前記搬送方向において並んでおり、
前記ウォームから前記モーターへ向う前記直交方向を第一方向としたときに、前記カムフォロアは前記偏心カムよりも前記第一方向において下流側に位置することとしてもよい。
このようなロール紙搬送装置によれば、全体として直交方向の長さを短くすることができる。
【0013】
また、ロール紙を搬送方向に沿って搬送し、該搬送方向に沿って並ぶ第一ローラー及び第二ローラーと、
前記第一ローラー及び前記第二ローラーを各々の中心軸周りに回転可能に支持するベース部材と、
前記第一ローラー及び前記第二ローラーの各々の前記中心軸を含む仮想平面の法線方向に沿い、前記ベース部材を回動可能に支持する回動軸と、
前記ベース部材に設けられ、前記法線方向に突出するカムフォロアと、
前記法線方向に沿う中心軸周りに回動動作を行う偏心カムであって、前記カムフォロアに係合することにより前記回動軸を中心として前記ベース部材を回動させる偏心カムと、
前記偏心カムと一体となって同軸上で回動動作を行うウォームホイールと、
前記ウォームホイールに噛み合い、前記法線方向と直交する直交方向に沿うウォームと、
前記直交方向に沿う駆動軸を有し、当該駆動軸の回転に伴って前記ウォームを回転させて前記ウォームホイールに駆動力を伝達することにより、前記偏心カムを駆動するモーターと、
を備えたロール紙搬送装置を用いて前記ロール紙を搬送することを特徴とするロール紙搬送方法である。
このようなロール紙搬送方法によれば、偏心カム、カムフォロア、及びウォームホイールの各軸方向が法線方向に沿って配置され、かつ、モーター及びウォームの各軸方向が直交方向に沿って配置されることになるため、全体として厚みを薄くすることができる。
【0014】
また、ロール紙を搬送方向に沿って搬送し、該搬送方向に沿って並ぶ第一ローラー及び第二ローラーと、前記第一ローラー及び前記第二ローラーを各々の中心軸周りに回転可能に支持するベース部材と、前記第一ローラー及び前記第二ローラーの各々の前記中心軸を含む仮想平面の法線方向に沿い、前記ベース部材を回動可能に支持する回動軸と、前記ベース部材に設けられ、前記法線方向に突出するカムフォロアと、前記法線方向に沿う中心軸周りに回動動作を行う偏心カムであって、前記カムフォロアに係合することにより前記回動軸を中心として前記ベース部材を回動させる偏心カムと、前記偏心カムと一体となって同軸上で回動動作を行うウォームホイールと、前記ウォームホイールに噛み合い、前記法線方向と直交する直交方向に沿うウォームと、前記直交方向に沿う駆動軸を有し、当該駆動軸の回転に伴って前記ウォームを回転させて前記ウォームホイールに駆動力を伝達することにより、前記偏心カムを駆動するモーターと、を備えたロール紙搬送装置と、
液体を吐出するノズルを有し、前記ロール紙搬送装置により画像記録領域上に搬送された前記ロール紙の部位に前記ノズルから液体を吐出するヘッドと、
を備えたことを特徴とする画像記録装置である。
このような画像記録装置によれば、偏心カム、カムフォロア、及びウォームホイールの各軸方向が法線方向に沿って配置され、かつ、モーター及びウォームの各軸方向が直交方向に沿って配置されることになるため、全体として厚みを薄くすることができる。
【0015】
===実施の形態===
以下、本発明の実施形態に係る画像記録装置1について説明する。
【0016】
<<<画像記録装置1の構成例について>>>
画像記録装置1の構成例について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、画像記録装置1の概略断面図である。図2は、画像記録装置1のブロック図である。
なお、以下の説明において、「上下方向」、「左右方向」をいう場合は、図1に矢印で示した方向を基準として示すものとする。また、「前後方向」をいう場合は、図1において紙面に直交する方向を示すものとする。
また、本実施の形態においては、画像記録装置1が画像を記録する記録媒体として、ロール状に巻かれた用紙やフィルム(以下、ロール紙(連続紙)という)を用いて説明する。
【0017】
本実施の形態に係る画像記録装置1は、図1及び図2に示すように、ロール紙搬送装置の一例としての搬送ユニット20と、及び、該搬送ユニット20がロール紙2を搬送する搬送経路に沿って、給送ユニット10と、媒体支持部の一例としてのプラテン29と、巻き取りユニット90と、を有し、さらに、搬送経路上の画像記録領域Rにおいて画像記録を行うためのヘッドユニット30と、ヘッド移動部の一例としてのキャリッジユニット40と、熱供給部の一例としてのヒーターユニット70と、プラテン29上のロール紙2に風を送る送風ユニット80と、これらのユニット等を制御し画像記録装置1としての動作を司るコントローラー60と、検出器群50と、を有している。
【0018】
給送ユニット10は、ロール紙2を搬送ユニット20に給送するものである。この給送ユニット10は、ロール紙2が巻かれ回転可能に支持される巻軸18と、巻軸18から繰り出されたロール紙2を巻き掛けて搬送ユニット20に導くための中継ローラー19と、を有している。
【0019】
搬送ユニット20は、給送ユニット10により送られたロール紙2を、予め設定された搬送経路に沿って搬送するものである。この搬送ユニット20は、図1に示すように、中継ローラー19に対して水平右方に位置する中継ローラー21と、中継ローラー21から見て右斜め下方に位置する中継ローラー22と、中継ローラー22から見て右斜め上方(プラテン29から見て搬送方向上流側)に位置する第一搬送ローラー23と、中継ローラー22と第一搬送ローラー23との間に位置するガイドユニット20aと、第一搬送ローラー23から見て右方(プラテン29から見て搬送方向下流側)に位置する第二搬送ローラー24と、第二搬送ローラー24から見て鉛直下方に位置する反転ローラー25と、反転ローラー25から見て右方に位置する中継ローラー26と、中継ローラー26から見て上方に位置する送り出しローラー27と、を有している。なお、ガイドユニット20aについては、後に詳述する。
【0020】
中継ローラー21は、中継ローラー19から送られたロール紙2を、左方から巻き掛けて下方に向かって弛ませるローラーである。
【0021】
中継ローラー22は、中継ローラー21から送られたロール紙2を、左方から巻き掛けて右斜め上方に向かって搬送するローラーである。
【0022】
第一搬送ローラー23は、不図示のモーターにより駆動される第一駆動ローラー23aと、該第一駆動ローラー23aに対してロール紙2を挟んで対向するように配置された第一従動ローラー23bとを有している。この第一搬送ローラー23は、下方に弛ませたロール紙2を上方に引き上げ、プラテン29に対向する画像記録領域Rへ搬送するローラーである。第一搬送ローラー23は、画像記録領域R上のロール紙2の部位に対して画像印刷がなされている期間、一時的に搬送を停止させるようになっている。なお、コントローラー60の駆動制御により、第一駆動ローラー23aの回転駆動に伴って第一従動ローラー23bが回転することによって、プラテン29上に位置させるロール紙2の搬送量(ロール紙の部位の長さ)が調整される。
【0023】
搬送ユニット20は、上述したとおり、中継ローラー21、22と第一搬送ローラー23との間に巻き掛けたロール紙2の部位を下方に弛ませて搬送する機構を有している。このロール紙2の弛みは、コントローラー60により、不図示の弛み検出用センサーからの検出信号に基づき監視される。具体的には、中継ローラー21、22と第一搬送ローラー23との間において弛ませたロール紙2の部位を、弛み検出用センサーが検出した場合には、該部位に適切な大きさの張力が与えられていることになるため、搬送ユニット20はロール紙2を弛ませた状態で搬送することが可能となる。一方、弛み検出用センサーが弛ませたロール紙2の部位検出しない場合は、該部位に過剰な大きさの張力が与えられていることになるため、搬送ユニット20によるロール紙2の搬送が一時的に停止され、張力が適切な大きさに調整される。
【0024】
第二搬送ローラー24は、不図示のモーターにより駆動される第二駆動ローラー24aと、該第二駆動ローラー24aに対してロール紙2を挟んで対向するように配置された第二従動ローラー24bとを有している。この第二搬送ローラー24は、ヘッドユニット30により画像が記録された後のロール紙2の部位を、プラテン29の支持面に沿って水平右方向に搬送した後に鉛直下方に搬送するローラーである。これにより、ロール紙2の搬送方向が転換されることになる。なお、コントローラー60の駆動制御により、第二駆動ローラー24aの回転駆動に伴って第二従動ローラー24bが回転することによって、プラテン29上に位置するロール紙2の部位に対して付与される所定の張力が調整される。
【0025】
反転ローラー25は、第二搬送ローラー24から送られたロール紙2を、左側上方から巻き掛けて右斜め上方に向かって搬送するローラーである。
【0026】
中継ローラー26は、反転ローラー25から送られたロール紙2を、左側下方から巻き掛けて上方に向かって搬送するローラーである。
【0027】
送り出しローラー27は、中継ローラー26から送られたロール紙2を、左側下方から巻き掛けて巻き取りユニット90に送り出すようになっている。
【0028】
このように、ロール紙2が各ローラーを順次経由して移動することにより、ロール紙2を搬送するための搬送経路が形成されることになる。なお、ロール紙2は、搬送ユニット20により、画像記録領域Rと対応した領域単位で間欠的にその搬送経路に沿って搬送される。
【0029】
ヘッドユニット30は、搬送ユニット20により搬送経路上の画像記録領域Rに(プラテン29上に)送り込まれたロール紙2の部位に、インクを吐出するためのものである。このヘッドユニット30は、ヘッド31とバルブユニット34とを有している。
【0030】
ヘッド31は、その下面に、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)等の色ごとにそれぞれ複数のノズル♯1〜♯180からなるノズル列を有している。このヘッド31は、フラッシング時、ノズル列毎にフラッシングを行う。
【0031】
各ノズル列の各ノズル♯1〜♯180は、ロール紙2の搬送方向に交差する方向に沿って直線状に配列されている。各ノズル列は、ヘッド31の移動方向(走査方向)に沿って相互に間隔をあけて平行に配置されている。各ノズル♯1〜♯180には、インク滴を吐出するための駆動素子としてピエゾ素子(不図示)が設けられている。ピエゾ素子は、その両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加すると、電圧の印加時間に応じて伸張し、インクの流路の側壁を変形させる。これによって、インクの流路の体積がピエゾ素子の伸縮に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴となって各色の各ノズル♯1〜♯180から吐出される。
【0032】
バルブユニット34は、インクを一時貯留するためのものであり、不図示のインク供給チューブを介してヘッド31に接続されている。このため、ヘッド31は、バルブユニット34から供給されたインクをノズルからプラテン29上に搬送されて停止された状態のロール紙2の部位に向けて吐出することにより、画像印刷を行うことができる。
【0033】
キャリッジユニット40は、ヘッド31を移動させるためのものである。このキャリッジユニット40は、左右方向に延びるガイドレール41と(図1に二点鎖線で示す)、ガイドレール41に沿って左右方向(移動方向)へ往復移動可能に支持されたキャリッジ42と、不図示のモーターとを有する。
【0034】
キャリッジ42は、不図示のモーターの駆動により、ヘッド31と一体となって移動するよう構成されている。キャリッジ42(ヘッド31又は各ノズル列)のガイドレール41における位置(左右方向の位置)は、コントローラー60が不図示のモーターに設けられたエンコーダーから出力されるパルス信号における立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジを検出してこのエッジをカウントすることにより、求めることができる。
【0035】
そして、キャリッジ42は、画像印刷後にヘッド31のクリーニングを行う際、ヘッド31と一体となってガイドレール41に沿って搬送方向の上流側(プラテン29から見て搬送方向上流側)へ移動し、クリーニングを行うホームポジションHPで停止する(図1参照)。
【0036】
ホームポジションHPには、不図示のクリーニングユニットが設けられている。このクリーニングユニットは、キャップと、吸引ポンプ等とを有している。キャリッジ42がホームポジションHPに位置すると、ヘッド31の下面(ノズル面)に不図示のキャップが密着するようになっている。このようにキャップが密着した状態で吸引ポンプ(不図示)が作動すると、ヘッド31内のインクが、増粘したインクや紙粉と共に吸引される。このようにして、目詰まりしたノズルが不吐出状態から回復することによってヘッドのクリーニングが完了する。
【0037】
また、キャリッジ42は、画像印刷後にヘッド31のフラッシングを行う際には、ヘッド31と一体となって、プラテン29側からホームポジションHP側へ向かって移動する。この際、ヘッド31は、キャリッジ42と共に移動しながら、プラテン29とホームポジションHPとの間に配置されるフラッシングユニット35においてフラッシング動作を行う。
【0038】
プラテン29は、搬送経路上の画像記録領域Rに位置するロール紙2の部位を支持するとともに、該部位を加熱するものである。このプラテン29は、図1に示すように、搬送経路上の画像記録領域Rに対応させて設けられ、かつ、第一搬送ローラー23と第二搬送ローラー24との間の搬送経路に沿った領域に配置されている。そして、プラテン29は、ヒーターユニット70が発生させた熱の供給を受けることにより、ロール紙2の該部位を加熱することができる。
【0039】
ヒーターユニット70は、ロール紙2を加熱するためのものであり、不図示のヒーターを有している。このヒーターは、ニクロム線を有しており、当該ニクロム線をプラテン29内部に、プラテン29の支持面から一定距離となるように配置させて構成されている。このため、ヒーターは、通電されることによってニクロム線自体が発熱し、プラテン29の支持面上に位置するロール紙2の部位に熱を伝導させることができる。このヒーターは、プラテン29の全域にニクロム線を内蔵させて構成されているため、プラテン29上のロール紙2の部位に対して熱を均一に伝導することができる。本実施の形態において、プラテン上のロール紙2の部位の温度が45℃となるように、該ロール紙2の部位を均一に加熱する。これにより、該ロール紙2の部位に着弾されたインクを乾燥させることができる。
【0040】
送風ユニット80は、送風機の一例としてのファン81と、ファン81を回転させるモーター(不図示)とを備えている。ファン81は、回転することにより、プラテン29上のロール紙2に風を送り、ロール紙2に着弾されたインクを乾燥させるためのものである。このファン81は、図1に示すように、本体部に設けられた開閉可能なカバー(不図示)に複数設けられている。そして、この各々のファン81は、カバーが閉じた際に、プラテン29の上方に位置して、当該プラテン29の支持面(当該プラテン29上のロール紙2)と対向するようになっている。
【0041】
巻き取りユニット90は、搬送ユニット20により送られたロール紙2(画像印刷済みのロール紙)を巻き取るためのものである。この巻き取りユニット90は、送り出しローラー27から送られたロール紙2を、左側上方から巻き掛けて右斜め下方へ搬送するための中継ローラー91と、回転可能に支持され中継ローラー91から送られたロール紙2を巻き取る巻き取り駆動軸92と、を有している。
【0042】
コントローラー60は、画像記録装置1の制御を行うための制御ユニットである。このコントローラー60は、図2に示すように、インターフェース部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64と、を有している。インターフェース部61は、外部装置であるホストコンピューター110と画像記録装置1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU62は、画像記録装置1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従ったユニット制御回路64により各ユニットを制御する。
【0043】
検出器群50は、画像記録装置1内の状況を監視するものであり、例えば、搬送ローラーに取り付けられてロール紙2の搬送などの制御に利用されるロータリー式エンコーダー、搬送されるロール紙2の有無を検出する用紙検出センサー、キャリッジ42(又はヘッド31)の移動方向(左右方向)の位置を検出するためのリニア式エンコーダー、ロール紙2のエッジを検出するエッジ検出センサーなどがある。
【0044】
<<<ガイドユニット20aについて>>>
<ロール紙の幅方向における位置調整について>
ガイドユニット20aは、ロール紙2の幅方向における位置を調整する機能(位置決め機能)を有している。
【0045】
ロール紙2を搬送経路に沿って搬送する際、中継ローラー等の軸ずれや組み付け誤差等によりロール紙に作用する張力が変動することに起因して、ロール紙の幅方向における位置が変位する場合がある。また、その他にも、繰出し機(給送ユニット)にロール紙を取り付けた時の幅方向位置ずれ、ロール紙自体の幅方向寸法の変化、ロール紙の端面が斜めになってしまうテレスコープ現象によっても、ロール紙の幅方向における位置が変化する場合がある。
【0046】
このように、ロール紙の幅方向における位置が大きくずれると、ロール紙上の印字位置も大きくずれて印刷不良を生じさせることになる。また、紙切れや紙詰まりを生じさせることにもなる。
【0047】
ガイドユニット20aは、かかる場合に、ロール紙2を搬送経路に沿って案内しながらロール紙2の幅方向における位置を調整することができるため、印刷不良等の発生を抑えることが可能になる。
【0048】
<画像記録装置内の配置について>
本実施の形態に係る画像記録装置1は、既に述べたように、搬送ユニット20等の各種ユニットを有しており、それらユニットのうちのいくつかは装置内部に配置される。
【0049】
装置内部のスペースは有限であるため、その限られた空間内にそれらユニットを効率良くレイアウトする必要がある。
【0050】
ここで、装置内のスペースに配置されるユニットの1つとして、搬送ユニット20が有するガイドユニット20aがある(図1参照)。
【0051】
ガイドユニット20aは、ロール紙2の幅方向における位置を調整する機能を発揮すべく、モーター等を含む複数の部材により構成されている(詳細は後述する)。このガイドユニット20aは、これら部材の組合せや配置(構造)によっては、ユニットの厚さが増す場合がある(ユニット自体の高さが高くなる場合がある)。
【0052】
特に、ガイドユニット20aを画像記録装置1内に配置する際には、ガイドユニット20aの厚さが増すほど、ガイドユニット20aが装置内で大きなスペースを占めることになるため、ガイドユニット20aを装置内にコンパクトに収納することができなくなる場合がある。
【0053】
また、ガイドユニット20aは、その厚さが増すほど、他のユニットと接触する可能性が大きくなるため、その接触を回避しつつレイアウトする必要がある。そして、接触回避の結果として、ロール紙を搬送する搬送経路が複雑になる虞もある。
【0054】
したがって、画像記録装置1内に配置されるガイドユニット20aについては、その高さをできるだけ低くすることが望ましい。
【0055】
これに対し、本実施形態に係る画像記録装置1におけるロール紙搬送装置では、後述する具体的構成を採用することにより、ガイドユニット20aの厚さをできるだけ薄くするようにした。これにより、ガイドユニット20aを小型化することができるため、画像記録装置内にコンパクトに収納することが可能になる。
【0056】
以下、本実施形態に係る画像記録装置1のロール紙搬送装置が有するガイドユニット20aについて、具体的に説明する。
【0057】
<構成例について>
ここでは、ガイドユニット20aの構成例について、図3乃至図6を用いて説明する。図3は、ガイドユニット20aの斜視図である。図4は、ガイドユニット20aの平面図である。図5は、ガイドユニット20aの背面図である。図6は、ガイドユニット20aの側面図である。なお、本実施形態におけるコイルバネ209は、所定の線径を有する金属線を所定の巻き数分だけ螺旋状に巻いて形成されるものであるが、図3乃至図6では、便宜上、このコイルバネ209の外観形状を簡略化して図示する。
【0058】
ガイドユニット20aは、図1に示すように、傾斜した状態で搬送経路上に位置し、ロール紙2の幅方向(図1に示す前後方向)における位置を調整するものである。
【0059】
このガイドユニット20aは、図3乃至図6に示すように、ロール紙2を搬送方向に搬送するための第一ローラー201及び第二ローラー202と、第一ローラー201及び第二ローラー202を各々の中心軸201a、202a周りに回転可能に支持するベース部材203と、ベース部材203を回動軸203a周りに回動させるための偏心カム204、及び、駆動部の一例としてのモーター205と、を有している。
【0060】
第一ローラー201及び第二ローラー202は、各々の中心軸201a、202a周り回転可能に構成され、図4に示すように、搬送方向に並設されている。
【0061】
第一ローラー201は、図1に示すように、第二ローラー202よりも搬送方向上流側に位置し、中継ローラー22から送られたロール紙2を、上方から巻き掛けて第二ローラー202の下方へ向かって搬送するローラーである。
【0062】
第二ローラー202は、図1に示すように、第一ローラー201よりも搬送方向下流側に位置し、第一ローラー201から送られたロール紙2を、下方から巻き掛けて右斜め上方の第一搬送ローラー23に向かって搬送するローラーである。
【0063】
ベース部材203は、図5及び図6に示すように、回動軸203a及び2つの可動支持部210により、画像記録装置1に固定された基台200の上方において、回動軸203aを中心にして回動可能に支持されている。
【0064】
回動軸203aは、ベース部材203を基台200に対して回動可能に支持するものである。この回動軸203aは、図4及び図6に示すように、搬送方向において第二ローラー202よりも第一ローラー201に近い位置に位置し、第一ローラー201の中心軸201aと第二ローラー202の中心軸202aとを含む仮想平面の法線方向に沿って基台200に固定されている。
【0065】
可動支持部210は、図4及び図6に示すように、前記ベース部材203の下面に取り付けられており、回動軸203aを中心としたベース部材203の回動に伴って移動しながら、ベース部材203を支持するものである。したがって、可動支持部210は、回動軸203aを中心とする円軌道上を移動する。また、この可動支持部210は、図5及び図6に示すように、ベース部材203の下面に固定されたL字ブラケット210aと、L字ブラケット210aの先端に回転可能に設けられた車輪210bとを有している。
【0066】
なお、車輪210bの個数はこれに限定される必要はなく、少なくとも2つの車輪210bが存在すれば良い。すなわち、ベース部材203には、少なくとも2つの可動支持部210が設けられていれば良い。
【0067】
また、車輪210bは、図5に示すように、規制部材211により移動面(基台200)から離れる方向への移動が制限されている。このため、組立て誤差等により車輪210bが移動面から離れた場合であっても、車輪210bは、ベース部材203の回動に伴って、その上部分を規制部材211に接触させながら移動することも可能である。なお、本実施形態においては、図5及び図6に示すように、規制部材211の一例として、逆L字の状態に配置したL字ブラケットを採用している。
【0068】
モーター205は、ブラケットを介して基台200上に固定され、コントローラー60からの制御信号に基づき駆動してベース部材203を回動させるものである。このモーター205は、回転角度及び回転速度を検出するためのロータリーエンコーダー(不図示)を有している。
【0069】
また、モーター205の駆動軸205aは、図4に示すように、カップリング205bを介して伝達軸205cに接続されており、伝達軸205cにはウォーム(ねじ歯車)206が嵌着されている。伝達軸205cは、その両端を基台200に固定された軸受205dにより支持されている。
【0070】
本実施形態におけるモーターの駆動軸205aは、図4に示すように、上述した仮想平面の法線方向に直交する直交方向に沿っている。すなわち、モーターの駆動軸205aは、搬送方向に並んでいる第一ローラー201及び第二ローラー202各々の中心軸201a、202aに沿うことになる。その結果、モーター205は、ベース部材203の長手方向に寝かせた状態で配置されることになるため、ベース部材203下方の狭い空間内(高さAを持つ空間。図5参照)に収まることができることなる。このため、ガイドユニット20a全体として搬送方向の長さを短くすることができるようになる。
【0071】
ウォーム206は、図4に示すように、上述した直交方向に沿う方向に配置されており(モーターの駆動軸205aと同軸上に配置されており)、後述するウォームホイール(はすば歯車)207に噛み合っている。このウォーム206は、駆動軸205a及びカップリング205bを介して伝達されたモーター205の駆動力を受け、伝達軸205c周りに回転する。したがって、ウォーム206が回転すると、それに噛み合うウォームホイール207も回動動作を開始することになる。
【0072】
本実施形態におけるウォーム206は、搬送方向においてウォームホイール207よりも第一ローラー201の近くに位置している。つまり、ウォーム206とウォームホイール207との噛み合う位置が、第一ローラー201の近くに位置することになる。この構成にした理由は以下のとおりである。
【0073】
例えば、ガイドユニット20aの位置決め精度を高めるために、ベース部材203に対して回動力が作用する位置(ベース部材203に対するカムフォロア208の位置)をキープすることを前提とした場合、仮に、ウォーム206が搬送方向においてウォームホイール207よりも第一ローラー201から遠くに位置しているとすれば、ウォーム206やモーター205等が第二ローラー202よりも下流側に位置することになるため、ガイドユニット20a全体として搬送方向の長さが長くなってしまうからである。したがって、本実施形態におけるガイドユニット20aにおいて、上述した構成にすることは、全体としてコンパクト化を図る上で有効となる。
【0074】
ウォームホイール207は、図4に示すように、ウォーム206を介して伝達されたモーター205の駆動力が作用することにより、偏心カム204と一体となって同軸上で回動動作を行う。
【0075】
このように、本実施形態におけるガイドユニット20aでは、ウォーム206及びウォームホイール207を用いて減速することにより、モーター205が小型であっても大きなトルクを伝達することができるようになる。
【0076】
偏心カム204は、法線方向に沿う中心軸204a周りに回動動作を行うことにより、ベース部材203を回動軸203a周りに回動させるためのものである。この偏心カム204は、図4及び図5に示すように、ベース部材203の下面に設けられたカムフォロア208にその外周面を接触させている。そして、カムフォロア208は、コイルバネ209により偏心カム204に押し当てる方向に常に付勢されている。このため、偏心カム204は、モーター205の駆動力が伝達されることによりウォームホイール207と一体となって同軸上で回動動作を行うと、この回動動作に伴ってカムフォロア208に係合することによりベース部材203を回動軸203a周りに回動させることができる。また、偏心カム204は、回動動作の際に、ロール紙2の搬送方向において第二ローラー202を挟んで第一ローラー201と反対側に位置することなく、かつ、偏心カム204の少なくとも一部が仮想平面(第1ローラー201及び第二ローラー202各々の中心軸201a、202aを含む仮想平面)の法線方向において第二ローラー202と対向している。すなわち、偏心カム204は、図4に示すように、搬送方向において第二ローラー202よりも下流側にはみ出すことがなく、かつ、ベース部材203を挟んで第二ローラー202と対向するように(紙面上で第二ローラー202とオーバーラップするように)位置している。これにより、偏心カム204とロール紙2との接触を回避しつつ、回動軸203aの位置から遠い第二ローラー202の位置にて駆動力が作用するため、ロール紙2の幅方向における位置決め精度を高めることができる。
【0077】
カムフォロア208は、図4及び図6に示すように、法線方向に突出して設けられており(ベース部材203の下面に突出して設けられており)、偏心カム204に係合することにより、ベース部材203の回動に伴って回動軸203a周りに回動するものである。
【0078】
本実施形態では、図4に示すように、モーター205とウォーム206が直交方向において並んでおり、カムフォロア208と偏心カム204が直交方向において並んでおり、さらに、偏心カム204とウォーム206が搬送方向において並んでいる状態において、ウォーム206からモーター205へ向う直交方向を第一方向としたときに、カムフォロア208が偏心カム204よりも当該第一方向において下流側に位置するようになっている。この構成にした理由は以下のとおりである。
【0079】
例えば、ガイドユニット20aの位置決め精度を高めるために、ベース部材203に対して回動力が作用する位置(ベース部材203に対するカムフォロア208の位置)をキープすることを前提とした場合、仮に、カムフォロア208が偏心カム204よりも当該第一方向において上流側に位置しているとすれば、モーター205がベース部材203の下方の空間内に収まりきれずにはみ出ることになるため、ガイドユニット全体として直交方向の長さが長くなってしまうからである。したがって、本実施形態におけるガイドユニット20aにおいては、上述した構成にすることは、全体としてコンパクト化を図る上で有効となる。
【0080】
弾性部材の一例としてのコイルバネ209は、図5に示すように、一方の端部をL字ブラケット209aを介してベース部材203に固定し、他方の端部をL字ブラケット209bを介して基台200に固定した、引張りバネである。これにより、コイルバネ209は、カムフォロア208を偏心カム204に押し当てる方向に付勢することができる。また、コイルバネ209は、図4に示すように、回動軸203aを中心とする円の接線方向に沿って配置されているため、回動軸203aを中心にして円運動を行うベース部材203に対してバネ力を最も効率良く伝達することができる。
【0081】
以上のように、本実施形態に係る画像記録装置1のロール紙搬送装置においては、偏心カム204、ウォームホイール207、カムフォロア208の各軸方向を、回動軸203aに一致する法線方向に沿わせ、かつ、モーター205、ウォーム206の各軸方向を、法線方向と直交する直交方向に沿わせることにより、ガイドユニット全体としてその厚みを薄くすることができるようになる。
【0082】
また、このガイドユニット20aは、ベース部材203下方の空間(高さAを持つ空間。図5参照)内に、偏心カム204、モーター205、ウォーム206、ウォームホイール207、カムフォロア208、コイルバネ209、可動支持部210等を収容した状態で、ベース部材203上方にて第一ローラー201及び第二ローラー202を支持する構成となっているため、全体としてコンパクト化を図ることが可能となる。
【0083】
<動作例について>
次に、ガイドユニット20aの動作例について、図7を用いて説明する。図7は、ガイドユニット20aの動作例を説明する図である。
なお、画像記録装置1の各種動作は、主としてコントローラー60により実現される。特に、本実施の形態においては、メモリー63に格納されたプログラムをCPU62等が処理することにより実現される。そして、このプログラムは、以下に説明する各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0084】
ホストコンピューター110からの制御信号がインターフェース部61を介してコントローラー60に入力されると、コントローラー60は、ロール紙2の搬送中に、ロール紙2のエッジを検出するエッジ検出センサー50aからの検出信号に基づいて、ロール紙2の幅方向における位置のずれが生じているか否かを判定する。
【0085】
次いで、コントローラー60は、ロール紙2が幅方向上側(図7参照)にずれていると判定した場合、偏心カム204が時計回りに回動するようにモーター205の駆動制御を行う。
【0086】
偏心カム204が時計回りに回動すると、コイルバネ209の付勢力により偏心カム204に押し当てられたカムフォロア208が、偏心カム204との中心間距離を縮めながら、回動軸203aを中心とする円軌道に沿って時計回りに移動する(図4参照)。
【0087】
そうすると、カムフォロア208はベース部材203に取り付けられているため、ベース部材203も回動軸203aを中心として時計回りに回動することになり、ロール紙2は幅方向下側(図7参照)に位置しようとする。これにより、ロール紙2の幅方向における位置が修正されることになる。
【0088】
一方で、コントローラー60は、ロール紙2が幅方向下側(図7参照)にずれていると判定した場合には、偏心カム204が反時計回りに回動するようにモーター205の駆動制御を行う。
【0089】
偏心カム204が反時計回りに回動すると、コイルバネ209の付勢力により偏心カム204に押し当てられたカムフォロア208が、この付勢力に逆らって、偏心カム204との中心間距離を広げながら、回動軸203aを中心とする円軌道に沿って反時計回りに移動する(図4参照)。
【0090】
そうすると、ベース部材203も回動軸203aを中心として反時計回りに回動することになるため、ロール紙2は幅方向上側(図7参照)に位置しようとする。これにより、ロール紙の幅方向における位置が修正されることになる。
【0091】
なお、コントローラー60は、ベース部材203の回動中に、リミットセンサー212からの検出信号を受けたときは、モーター205の駆動を停止させる制御を行い、ベース部材203がそれ以上回動しないようにする。
【0092】
このように、本実施形態に係る画像記録装置1のガイドユニット20aについて、かかる動作制御を行うことにより、ロール紙2の幅方向における位置を調整することが可能となる。
【0093】
===その他の実施の形態===
本実施形態は、主として画像記録装置について記載されているが、液体吐出方法等の開示も含まれる。また、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0094】
<画像記録装置>
上記の実施形態においては、画像記録装置としてインクジェット式プリンターを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、インク以外の他の液体を吐出する画像記録装置であってもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の画像記録装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記画像記録装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、画像記録装置が吐出させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。画像記録装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を吐出する画像記録装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する画像記録装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する画像記録装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する画像記録装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する画像記録装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する画像記録装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の画像記録装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0095】
1 画像記録装置、2 ロール紙、
10 給送ユニット、18 巻軸、19 中継ローラー、
20 搬送ユニット、20a ガイドユニット、
21 中継ローラー、22 中継ローラー、
23 第一搬送ローラー、24 第二搬送ローラー、
25 反転ローラー、26 中継ローラー、27 送り出しローラー、
29 プラテン、30 ヘッドユニット、31 ヘッド、
34 バルブユニット、35 フラッシングユニット、
40 キャリッジユニット、41 ガイドレール、42 キャリッジ、
50 検出器群、60 コントローラー、70 ヒーターユニット、
80 送風ユニット、81 ファン、90 巻き取りユニット、
91 中継ローラー、92 巻き取り駆動軸、
110 ホストコンピューター、200 基台、
201 第一ローラー、201a 中心軸、
202 第二ローラー、202a 中心軸、
203 ベース部材、203a 回動軸、
204 偏心カム、204a 中心軸、
205 モーター、205a 駆動軸、205b カップリング、
205c 伝達軸、205d 軸受、
206 ウォーム、207 ウォームホイール、
207a 中心軸、 208 カムフォロア、
209 コイルバネ、209a L字ブラケット、
209b L字ブラケット、 210 可動支持部、
210a L字ブラケット、210b 車輪、
211 規制部材、212 リミットセンサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙を搬送方向に沿って搬送し、該搬送方向に沿って並ぶ第一ローラー及び第二ローラーと、
前記第一ローラー及び前記第二ローラーを各々の中心軸周りに回転可能に支持するベース部材と、
前記第一ローラー及び前記第二ローラーの各々の前記中心軸を含む仮想平面の法線方向に沿い、前記ベース部材を回動可能に支持する回動軸と、
前記ベース部材に設けられ、前記法線方向に突出するカムフォロアと、
前記法線方向に沿う中心軸周りに回動動作を行う偏心カムであって、前記カムフォロアに係合することにより前記回動軸を中心として前記ベース部材を回動させる偏心カムと、
前記偏心カムと一体となって同軸上で回動動作を行うウォームホイールと、
前記ウォームホイールに噛み合い、前記法線方向と直交する直交方向に沿うウォームと、
前記直交方向に沿う駆動軸を有し、当該駆動軸の回転に伴って前記ウォームを回転させて前記ウォームホイールに駆動力を伝達することにより、前記偏心カムを駆動するモーターと、
を備えたことを特徴とするロール紙搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のロール紙搬送装置であって、
前記第一ローラーは、前記搬送方向において前記第二ローラーよりも前記回動軸の近くに位置し、
前記ウォームは、前記搬送方向において前記ウォームホイールよりも前記第一ローラーの近くに位置することを特徴とするロール搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のロール紙搬送装置であって、
前記モーターの駆動軸は、前記第一ローラー及び前記第二ローラー各々の中心軸に沿っていることを特徴とするロール搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載のロール紙搬送装置であって、
前記モーターと前記ウォームは、前記直交方向において並んでおり、
前記カムフォロアと前記偏心カムは、前記直交方向において並んでおり、
前記偏心カムと前記ウォームは、前記搬送方向において並んでおり、
前記ウォームから前記モーターへ向う前記直交方向を第一方向としたときに、前記カムフォロアは前記偏心カムよりも前記第一方向において下流側に位置することを特徴とするロール紙搬送装置。
【請求項5】
ロール紙を搬送方向に沿って搬送し、該搬送方向に沿って並ぶ第一ローラー及び第二ローラーと、
前記第一ローラー及び前記第二ローラーを各々の中心軸周りに回転可能に支持するベース部材と、
前記第一ローラー及び前記第二ローラーの各々の前記中心軸を含む仮想平面の法線方向に沿い、前記ベース部材を回動可能に支持する回動軸と、
前記ベース部材に設けられ、前記法線方向に突出するカムフォロアと、
前記法線方向に沿う中心軸周りに回動動作を行う偏心カムであって、前記カムフォロアに係合することにより前記回動軸を中心として前記ベース部材を回動させる偏心カムと、
前記偏心カムと一体となって同軸上で回動動作を行うウォームホイールと、
前記ウォームホイールに噛み合い、前記法線方向と直交する直交方向に沿うウォームと、
前記直交方向に沿う駆動軸を有し、当該駆動軸の回転に伴って前記ウォームを回転させて前記ウォームホイールに駆動力を伝達することにより、前記偏心カムを駆動するモーターと、
を備えたロール紙搬送装置を用いて前記ロール紙を搬送することを特徴とするロール紙搬送方法。
【請求項6】
ロール紙を搬送方向に沿って搬送し、該搬送方向に沿って並ぶ第一ローラー及び第二ローラーと、前記第一ローラー及び前記第二ローラーを各々の中心軸周りに回転可能に支持するベース部材と、前記第一ローラー及び前記第二ローラーの各々の前記中心軸を含む仮想平面の法線方向に沿い、前記ベース部材を回動可能に支持する回動軸と、前記ベース部材に設けられ、前記法線方向に突出するカムフォロアと、前記法線方向に沿う中心軸周りに回動動作を行う偏心カムであって、前記カムフォロアに係合することにより前記回動軸を中心として前記ベース部材を回動させる偏心カムと、前記偏心カムと一体となって同軸上で回動動作を行うウォームホイールと、前記ウォームホイールに噛み合い、前記法線方向と直交する直交方向に沿うウォームと、前記直交方向に沿う駆動軸を有し、当該駆動軸の回転に伴って前記ウォームを回転させて前記ウォームホイールに駆動力を伝達することにより、前記偏心カムを駆動するモーターと、を備えたロール紙搬送装置と、
液体を吐出するノズルを有し、前記ロール紙搬送装置により画像記録領域上に搬送された前記ロール紙の部位に前記ノズルから液体を吐出するヘッドと、
を備えたことを特徴とする画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−86916(P2012−86916A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232968(P2010−232968)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】