説明

ワンタッチダイヤル通報装置

【目的】 1つのボタンのワンタッチで電話がかけられ、かつ、緊急時にも確実に通報できる通報装置を提供する。
【構成】 緊急ボタン2を押すことにより予め録音してあるメッセージを設定してある連絡先に自動的に通報する手段と、通報ボタン3を押すことによりスピーカ4とマイク5を使用してハンズフリーで連絡先と通話する手段と、センサーとタイマーを組み合わせた通報手段により、異常の発生の有無を常時監視通報する手段と、によって構成した。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ワンタッチで特定の相手と電話することができ、また緊急時にもワンタッチで特定の相手に予め録音してあるメッセージを通報することのできる通報装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在の発達した情報化社会の中で、電話機を含む各種通信装置の機能は著しく向上しており、多くの使用目的に対応できる機能を備えた装置が開発されている。簡単に電話をかける方法として短縮ダイヤルなどがあるが、ボタンを複数個押さなければならないので老人や子供にとっては取扱いにくい点もあり、また、留守番電話等では相手のメッセージを録音しておく機能は備えているが、自動的に自分のメッセージを相手に通報する機能は備えていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、通報装置が多機能化するに伴って操作スイッチや機能ボタン等が数多く取付けられており、このため取扱い操作が繁雑になって誤動作が発生し易くなっている。特にハイテク機器の操作に不慣れな老人や子供にとって、上述した高機能通報装置を正確に、かつ、迅速に操作することは困難である。最近、長寿化や核家族化に伴って一人暮しの老人が増えており、これに伴って急病を連絡できないままで死後に発見されるような不幸なケースも増加しているが、緊急時にも簡単に操作できる通報装置が設置されていないことが主因と考えられる。この発明は、上述した状況にあっても簡単なボタン操作等によって、所望の連絡先に直接通報できる装置を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明によるワンタッチダイヤル通報装置は、予めメッセージを録音しておくと共にこのメッセージの通報先を設定しておき、緊急ボタンを押すことにより前記メッセージを連絡先に自動ダイヤルして通報する手段および通報ボタンを押すことにより予め設けた通報先を自動ダイヤルで呼び出し、ハンズフリーで通話する手段と、さらに、外部センサーとタイマーを組み合わせた通報手段であって、異常がないときは所定の時間間隔ごとに通報先にその旨を通報すると共に、異常発生時には作動センサーに対応したメッセージを所定の通報先に通報する手段を具備したものであって、ポケベルへの転送機能や通報先を自動変更する機能およびパターン音声メモリーに記憶されたメッセージを通報する機能等も備えている。
【0005】
【作用】緊急ボタンを押すだけで録音してあるメッセージを希望する連絡先(病院,警察,家族等)に通報でき、通報ボタンを押すだけで自動ダイヤルで呼び出された通報先(病院,家族等)とハンズフリーで通話できる。また、センサーとタイマーを組み合わせた通報手段を設けておくことにより健康状態,防犯状態等を常時監視しておき、異常発生時には所要の通報先に自動ダイヤルして緊急事態の発生を知らせることができる。
【0006】
【実施例】この発明によるワンタッチダイヤル通報装置の実施例を図面を参照して説明する。図1はこの発明によるワンタッチダイヤル通報装置(以下、本装置という)の構造を示す外形図であり、本装置の外函1には緊急ボタン2,通報ボタン3,スピーカ4およびマイク5が取り付けてある。この外函1の右側面にはNTT回線と一般電話が接続されており、また左側面には外部センサー入力DI1〜DI8および外部機器への出力であるDO1〜DO8が接続されている。
【0007】図2は、本装置の構成要素を示すブロック図である。図2において、CPU1は本装置の全機能を統轄制御する処理部、SYS RAM2は通報先の電話番号等を記憶する各種情報記憶部、SYS ROM3は本装置の全プログラムを格納するプログラム記憶部である。本装置はデータセット機能を備えているので、一般電話14のダイヤル機能を使用し、回線制御部(NCU)12を介して前記SYS RAM2に通報先電話番号等を設定することができる。
【0008】使用者が予めメッセージを録音する場合には、マイク22からのメッセージは音声入力増幅アンプ(AMP)21、音声信号切替部(MPX)18、アナログディジタル変換部(A/D)17を介して音声情報記憶部(音声RAM)4に記憶される。通報ボタン9または緊急ボタン10を押下すると、スイッチコントロール部11を介してSYS RAM2に設定されている通報先を自動ダイヤルにて呼び出す。通報ボタン9を押したときに自動ダイヤルで呼び出された通報先とはスピーカ20とマイク22を使用し音声入出力ゲインコントロール部(ハンズフリーCTL)23を介してハンズフリーで通話する。緊急ボタン10を押したときに自動ダイヤルで呼び出された通報先に対しては、音声RAM4に記憶されているメッセージをディジタルアナログ変換部(D/A)15、音声信号切替部(MPX)16、回線制御部(NCU)12、NTT回線13を介して通報する。
【0009】外部センサー入力7と時計部(RTC)8を組み合わせた通報手段を設けておき、外部センサー入力7が入力しないときもRTC8によって設定した時間ごとにSYS RAM2に記憶されている通報先を自動ダイヤル機能によって呼び出し、セットした時間内に外部センサー入力7から信号入力がない旨を通報する。外部センサー入力7から信号が入力したときは異常事態の発生であり、SYSRAM2に記憶されている通報先に自動ダイヤルして呼び出し、外部センサー入力7の信号種別に対応して予め設定してあるメッセージを通報する。
【0010】使用者はマイク22を使用してメッセージを音声RAM4に録音しておく必要があるが、パターン音声記憶部(音声ROM)5に留守番電話等において使用されている通常パターンのメッセージを記憶させておくと、使用者がこれらのメッセージを音声RAM4に録音しておかなくともよい。この音声ROM5のメッセージはD/A15、MPX16、NCU12、NTT回線13を介して通報される。また、通報先にポケベルが含まれている場合には、NCU12内部のダイヤラを使用し、NTT回線13を介してポケベルを呼び出し、データを転送する。
【0011】なお、本装置には通報先自動変更機能が設けられており、通報先の相手が留守または話中のときは、設定された転送順序に従って通報先を変更する。外部機器出力6は、例えばドアロックを忘れて外出した場合に外出先から電話して本装置を呼び出し、ドアロックを指令する信号を出力させるものである。
【0012】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によるワンタッチダイヤル通報装置は、録音機能、自動ダイヤル機能、メッセージ通報機能、データセット機能、ハンズフリー機能、ポケベル転送機能、通報先自動変更機能、外部接点入力機能および外部出力機能を備えており、緊急ボタンを押すことにより予め録音してあるメッセージを設定してある通報先に通報する手段、通報ボタンを押すことにより前記通報先とハンズフリーで通話する手段、センサーとタイマーを組み合わせた通報手段により異常がないときは所定時間ごとに異常がない旨のメッセージを通報し、異常が発生した場合にはセンサーの作動に対応して設定してあるメッセージを予め設定してある通報先に通報するものである。従って、ワンタッチで1つのボタンを押すことによってハンズフリーで電話がかけられ、緊急連絡することも可能となる。また、通報先が留守の場合や話中の場合には、自動的に次の通報先に通報する機能を備えているので、確実にメッセージを伝達することができ一人暮しの老人等には好適な通報装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるワンタッチダイヤル通報装置の外形図。
【図2】この発明によるワンタッチダイヤル通報装置の構成要素を示すブロック図。
【符号の説明】
1 外函
2 緊急ボタン
3 通報ボタン
4 スピーカ
5 マイク

【特許請求の範囲】
【請求項1】 使用者のメッセージをマイクを介して音声情報記憶部に録音しておくと共に一般電話のダイヤル機能を使用して各種情報記憶部に前記メッセージを通報する通報先を設定しておき、緊急ボタンを押すことにより前記録音されたメッセージを前記通報先に自動ダイヤルして通報する通報手段と、通報ボタンを押すことにより前記通報先を自動ダイヤルにて呼び出し、スピーカとマイクを使用してハンズフリーで通話する手段と、タイマーと外部センサーを組み合わせた通報手段であって、異常がないときもセットした時間内に前記外部センサーからの信号入力がない旨のメッセージを前記通報先に通報すると共に、異常が前記外部センサーから検知されたときは前記通報先に自動ダイヤルして検知された外部センサーの種類に対応して予め設定してあるメッセージを通報する手段とによって構成しさらに、前記通報先は予め設定した順序により順次変更できる機能と、前記通報先にポケベルが含まれている場合にはNTT回線を介して前記ポケベルを自動ダイヤルにて呼び出しメッセージを連絡する機能と、前記音声情報記憶部に録音する使用者のメッセージに代えてパターン音声記憶部に記憶されたメッセージを前記通報先に通報する機能と、を具備してなることを特徴とするワンタッチダイヤル通報装置。
【請求項2】 NTT回線等を介して自動ダイヤルにて自局を呼び出し、自局から外部機器へ指令信号を送出する外部信号出力部を具備していることを特徴とする請求項1に記載のワンタッチダイヤル通報装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開平7−7559
【公開日】平成7年(1995)1月10日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−167533
【出願日】平成5年(1993)6月14日
【出願人】(000210964)中央電子株式会社 (81)