説明

ワークフローシステムおよび滞留電子文書処理方法

【課題】ワークフロー上の正規の決裁担当者が不在であること等が判明した場合にも、起案者の決裁完了希望日を満足できるよう、配送経路上の最適な代行決裁者へ代行決裁委任を行うことができ、電子文書の円滑な処理が促進できるようにすること。
【解決手段】ワークフローサーバ200のCPUが、次の承認・決裁者による電子文書のワークフロー処理が所定の滞留期限を超過している滞留電子文書を検知し、該検知された滞留電子文書の配送経路上で次の承認・決裁者の上長にあたる承認・決裁者のスケジュールを参照し、該上長にあたる参照した承認・決裁者のスケジュールと、前記滞留期限とに基づいて決裁代行者として委任設定する上長を決定する構成を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークフローシステムにおいて、承認担当者不在等により滞留している未処理案件である滞留電子文書の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
電子文書の承認業務の効率を向上させるインフラの1つとして、ワークフローシステムがある。
【0003】
ワークフローシステムは、組織または役割、もしくはユーザという個人単位の配布者を設定し、配布者間の電子文書の配布ルート(配布順序)を予めワークフローサーバに登録しておき、この順序に従って自動的に電子文書を配布しようとするものである。
【0004】
多くのワークフローシステムでは、電子文書の配布先となった決裁担当者が不在となる場合、同等の役割をもつ担当者を事前に決裁代行者として設定し、決裁担当者に配布されるべき電子文書を該代行者が代わって受信し、業務処理を代行することで業務停滞を回避させている。
【0005】
しかし、現実の運用においては、ワークフロー上の正式な決裁担当者の突発的な所用、例えば病気や緊急出張等があったため、代行担当者を設定することなく不在にしてしまい、結果、長期間の電子文書の滞留を引き起こしていた。
【0006】
このような問題を解決するための提案としては、特開平11-219393がある。
【0007】
これは、ワークフロー上の決裁担当者に代わって、決裁担当者による代行担当者を予め設定しておき、ワークフロー上の決裁担当者に対して処理が依頼されている電子文書について、予め設定された処理期間内に処理が完了しているか否かを所定のタイミングで判定し、滞留と判断された場合に、決裁担当者に代わる代行担当者に対し、当該電子文書の処理を依頼するための電子メールを生成して送信するというものである。
【0008】
これにより、ワークフロー上の正規の担当者が不在の場合でも、システム側で代行担当者に電子文書処理を依頼することができる。
【特許文献1】特開平11-219393号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら上述のワークフローシステムは、ワークフロー上の正規の業務担当者が長期不在により電子文書が滞留したことが判明した段階で、予め定めた決裁代行担当者に電子文書の処理依頼メールを送信し、代行を促す手法であるため、決裁担当者と代行担当者が同時期に急遽、長期不在となった場合、やはり、長期間、業務案件を滞留させてしまうことになり、電子文書の円滑な処理を損なうことになる。
【0010】
また、同じ電子文書でも、たとえば社内稟議書や人事異動申請書といった重要な電子文書の場合、予め設定された決裁代行者に無条件に配送したのでは不都合が発生する場合もある。
【0011】
そもそも、決裁代行者への配送はワークフロー上の正規の決裁担当者が明示的に代行委任設定を行ったときに限り行うべきものであり、突発的な事由による電子文書の滞留の場合には、当該事案の代行決裁は上長に委ねた方がセキュリティの観点からも無難な場合が多い。
【0012】
決裁担当者不在時の代行決裁者を電子文書配送経路上の直属の上長とした場合、該上長の長期不在においては、やはり電子文書の決裁業務が滞るという問題が考えられる。
【0013】
また、配送経路上のすべての上長の中で長期不在でない上長を決裁代行者として委任した場合にも、代行決裁者のスケジュールによっては、該上長への代行決裁では、起案者の決裁完了希望日までに決裁が完了できないという問題が考えられる。
【0014】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、次の承認・決裁者による電子文書のワークフロー処理が所定の滞留期限を超過している滞留電子文書を検知し、該検知された滞留電子文書の配送経路上で次の承認・決裁者の上長にあたる承認・決裁者のスケジュールを参照し、該上長にあたる参照した承認・決裁者のスケジュールと、前記滞留期限とに基づいて決裁代行者として委任設定する上長を決定することにより、ワークフロー上の正規の決裁担当者が不在であること等が判明した場合にも、起案者の決裁完了希望日を満足できるよう、配送経路上の最適な代行決裁者へ代行決裁委任を行うことができ、電子文書の円滑な処理が促進できるようにする仕組を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、所定の配送経路に従って電子文書を回覧して承認・決裁のワークフロー処理を行うワークフローシステムにおいて、承認・決裁者の組織情報,承認・決裁者のスケジュールを記憶する記憶手段と、次の承認・決裁者による電子文書のワークフロー処理が所定の滞留期限を超過している滞留電子文書を検知する滞留検知手段と、前記滞留検知手段で検知された滞留電子文書の配送経路上で次の承認・決裁者の上長にあたる承認・決裁者のスケジュールを参照し、該上長にあたる参照した承認・決裁者のスケジュールと、前記滞留期限とに基づいて決裁代行者として委任設定する上長を決定制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ワークフローの滞留を防止でき、処理すべきワークフロー業務の効率化を促進することができる。
【0017】
従って、ワークフローシステムにおいて、承認担当者不在等により滞留している未処理案件を、その状態をシステム管理者に通達し、長期間滞留を回避させることができる等の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照して、本発明の詳細を説明する。
【0019】
図1は、本実施形態が適用されるワークフローシステムの概略構成を示す図である。
【0020】
本実施形態におけるワークフローシステムは、ワークフロー及び伝票設計用コンピュータ端末(ワークフロー及び伝票設計用端末)400、業務を遂行する処理者(担当者)に対応して設けられたワークフロー操作用コンピュータ端末(ワークフロー操作用端末)300、ワークフローを実行するための各種テーブル,各種プログラムを格納するワークフローサーバ200を備えている。
【0021】
これらワークフロー及び伝票設計用端末400,ワークフロー操作用端末300,ワークフローサーバ200は、それぞれネットワーク500に接続され運用されている。
【0022】
ワークフロー及び伝票設計用端末400は、伝票デザイナプログラム401及びシステム管理プログラム402を有し、ワークフローサーバ200上の図示しない管理プログラムと通信して、ワークフローシステムにて使用する伝票の定義体の作成及びワークフローシステムで利用する各種定義情報の作成を行う。例えば、ワークフロー及び伝票設計用端末400は、ワークフローサーバ200に組織テーブル,役割テーブル,ユーザテーブル,ユーザ役割テーブル,配送定義情報,各種伝票情報等を登録することができる。このワークフロー及び伝票設計用端末400は、これらの作業を行うために、自己の識別情報を入力することによりワークフローサーバ200に接続することが可能になる。
【0023】
ワークフロー操作用端末300は、ワークフロー操作用端末300上で実行されるWebブラウザ301を用いて、伝票に関するアクセス情報をワークフローサーバ200に対してHTTPで送信し、その結果を受信するものであり、その際に、発生する表示・計算処理は、Java(登録商標)アプレット302等を利用することにより実行する。なお、このワークフロー操作用端末300は、予め指定された所定の業務を行う担当者(例えば、起票者、課長、部長等)に配置されている。
【0024】
ワークフローサーバ200は、ワークフローシステムに関する情報(組織テーブル,役割テーブル,ユーザテーブル,ユーザ役割テーブル,配送定義情報,配送情報テーブル,決裁担当者のスケジュールデータ,システム管理者テーブル等)を格納するRDBMS(Relational DataBaSe Management System)205、ワークフロー操作用コンピュータ端末よりの要求を受け付けて要求を実行するためのHTTPサーバ201,サーブレットエンジン202,ワークフロープログラム204、ワークフロー通知機能を実現するSMTPサーバ203にて構成されている。
【0025】
なお、ワークフローサーバ200は、外部DBに格納された所定のスケジュール情報(一般的なスケジュール管理ソフトウェアを用いて入力された各ユーザのスケジュール情報)を取得可能である。
【0026】
以下、図2を参照して、図1に示したワークフローサーバ200,ワークフロー操作用端末300,ワークフロー及び伝票設計用端末400に適用可能なコンピュータのハードウェア構成について説明する。
【0027】
図2は、図1に示したワークフローサーバ200,ワークフロー操作用端末300,ワークフロー及び伝票設計用端末400に適用可能なコンピュータのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0028】
図2において、101はCPUで、ROM103又はハードディスク(HD)(その他の記憶装置、例えば、フレキシブルディスク,CD−ROM,DVD−ROM等どのような記憶装置であってもよい)104に格納されたプログラムをRAM102上にロードして実行することにより、コンピュータ全体を制御する。RAM102は、CPU101の作業領域として使用される。
【0029】
107は通信インタフェースで、ネットワーク500への接続を可能とする。105は入力装置で、キーボードやマウス等のポインティングデバイス等に相当する。106は表示装置で、CRT,LCD等で構成される。
【0030】
なお、図1に示したワークフローサーバ200のRDBMS205は、ワークフローサーバ200のHD104内に構築されている。また、ワークフローサーバ200のHTTPサーバ201,サーブレットエンジン202,ワークフロープログラム204,SMTPサーバ203は、ワークフローサーバ200のCPU101が、HD104に格納されるプログラムをRAM102上にロードして実行することにより、実現される。
【0031】
また、図1に示したワークフロー操作用端末300のWebブラウザ301は、ワークフロー操作用端末300のCPU101が、HD104に格納されるプログラムをRAM102上にロードして実行することにより、実現される。
【0032】
さらに、図1に示したワークフロー操作用端末300のJava(登録商標)アプレット302は、ワークフロー操作用端末300のCPU101が、ワークフローサーバ200よりダウンロードされたプログラムをWebブラウザ301上で実行することにより、実現される。
【0033】
また、図1に示したワークフロー及び伝票設計用端末400の伝票デザイナプログラム401,システム管理プログラム402は、ワークフロー及び伝票設計用端末400のCPU101が、HD104に格納されるプログラムをRAM102上にロードして実行することにより、実現される。
【0034】
図3は、図1に示したワークフローシステムにおける伝票の流れを示す模式図である。
【0035】
本実施形態のワークフローシステムでは、ワークフロー操作用端末300を用いて、図3に示すように、伝票の起票,伝票の承認/否認の手続きを、ノードと呼ばれる組織と役割で定義された担当者が行う。なお、伝票が配送されるノードをひとつに括ったものをビジネスプロセスと定義する。
【0036】
図4は、図1に示したワークフローサーバ200のRDBMS205に記憶される組織テーブルのデータ構造の一例を示すデータ構成図である。なお、この組織テーブルは、ワークフローを実現するための組織に関する情報を記憶するためのものである。
【0037】
図4に示す組織テーブルにおいて、組織IDは、任意の組織名をコードとして表記したものであり、常に上位組織IDを網羅している。また、組織名は、組織IDの表示上の名称を示したものである。さらに、親組織IDは、上位の組織IDを示したものである。
【0038】
図5は、図1に示したワークフローサーバ200のRDBMS205に記憶される役割テーブルのデータ構造の一例を示すデータ構成図である。なお、この役割テーブルは、ワークフローを実現するための役割に関する情報を記憶するためのものである。
【0039】
図5に示す役割テーブルにおいて、役割IDは、任意の役割名をコードとして表記したものである。また、役割名は、役割IDの表示上の名称を示したものである。
【0040】
図6は、図1に示したワークフローサーバ200のRDBMS205に記憶されるユーザテーブルのデータ構造の一例を示すデータ構成図である。なお、このユーザテーブルは、ワークフローを利用するためのユーザの情報を記憶するためのものである。
【0041】
図6に示すユーザテーブルにおいて、ユーザIDは、利用者を任意のコードとして表示したものである。また、パスワードは、ワークフローシステムにログインする際にユーザIDと共に認証に利用するためのものである。さらに、ユーザ名は、ユーザIDの表示上の名称を示したものである。
【0042】
図7は、図1に示したワークフローサーバ200のRDBMS205に記憶される役職テーブルのデータ構造の一例を示すデータ構成図である。なお、この役職テーブルは、ワークフローを利用するための役職の情報を記憶するためのものである。
【0043】
図7に示すように、役職テーブルの各レコードは、ユーザテーブル内で定義されている「ユーザID」,役割テーブル内で定義されている「役割ID」,組織テーブル内で定義されている「組織ID」で構成されている。
【0044】
図8は、図1に示したワークフローサーバ200のRDBMS205に記憶される配送定義情報のデータ構造の一例を示すデータ構成図である。なお、この配送定義情報は、伝票が配送される経路を定義した情報を記憶するためのものである。
【0045】
ここでは、一例として役割が「社員」→「部長」→「本部長」→「事業本部長」→「社長」の順に伝票配送をする例を示している。このように伝票の配送経路を定義した場合、この配送経路の配送定義情報は、図8に示すような5レコードの情報として作成される。
【0046】
以下、配送定義情報の作成方法について説明する。
【0047】
例えば、伝票名が「交際費」の場合、まず、ユーザがワークフロー及び伝票設計用端末400から、システム管理プログラムを用いて、伝票名に「交際費」と設定し、次に、各ノードを設定する。ノード1を例にすると、ノード1に役割IDに部長を示すコード「004」を設定し、対象となる組織を選択(ここでは組織ID「80」の「A会社」を選択)することにより、「伝票名」が「交際費」,「組織ID」が「80」,「ノード番号」が「1」,「経路役割ID」が「部長」を示す役割ID「004」、「経路組織ID」が役割を担う組織IDとして設定される。なお、ここでは、対象となる組織として、組織ID「80」の「A会社」が選択されており、役割ID「部長」を持つ配送対象者は決定されない。そのため、経路組織IDは「NULL」となっている(図中では空白で示している)。
【0048】
図9は、図1に示したワークフローサーバ200のRDBMS205に記憶される配送情報テーブルのデータ構造の一例を示すデータ構成図である。なお、この配送情報テーブルは、後述する図10に示すワークフローシステムにおける配送処理時に図8に示した配送定義情報に基づいて生成されるものであり、ワークフローの経路,状態等を記憶するためのものである。また、この配送情報テーブルは、特に、ユーザID「U0012」のユーザが起票した場合に対応する。この場合、伝票は、ユーザID「U0012」,「U0007」,「U0003」,「U0002」,「U0001」のように配送されることとなる。
【0049】
図9に示すように、配送情報テーブルは、「伝票名」項目501、「伝票番号」項目502、「ノード番号」項目503、「処理ユーザ」項目504、「状態」項目505、「最終処理日付け」項目506、「決済完了希望」項目507、「決済完了希望日」項目508、「代行済」項目509等の項目を含む。
【0050】
「伝票名」項目501には、"交際費"等の伝票名そのものが起票時に格納される。「伝票番号」項目502には、伝票を識別するための識別子が起票示に格納される。「処理ユーザ」項目504には、「ノード番号」項目503に対応する処理者のユーザIDが格納される。「状態」項目505には、"処理待ち"や"処理済"等の状態を示す情報が格納される。「最終処理日付け」項目505には、「ノード番号」項目503に対応するノードを処理した日時が格納される。
【0051】
なお、「決済完了希望」項目507、「決済完了希望日」項目508、「代行済」項目509については、後述する。
【0052】
以下、図10を参照して、本発明のワークフローシステムにおける配送処理手順の全体の流れについて説明する。
【0053】
図10は、本発明のワークフローシステムにおける第1の制御処理手順の一例を示すフローチャートであり、図1に示したワークフローサーバ200のワークフロープログラム204による配送処理に対応する。なお、図中、S5000〜S5013は各ステップを示す。
【0054】
まず、ワークフロープログラム204を実行するワークフローサーバ200のCPU(以下、ワークフローサーバ200のCPU)が、ワークフロー操作用端末300より伝票処理要求を受信すると(ステップS5000)、配送処理を開始する。
【0055】
ワークフローサーバ200のCPUは、ステップS5000で受信した伝票処理要求の要求区分である「起票」,「承認」,「否認」に基づいて、配送処理を切り替えていく(ステップS5001)。
【0056】
ステップS5001において、ワークフローサーバ200のCPUが、ステップS5000で受信した伝票処理要求の要求区分が「起票」であると判定した場合には、ステップS5002において、ワークフローサーバ200のCPUは、起票時の情報として、ノード番号「0」を配送情報テーブルに設定する。「処理ユーザ」には、起票したユーザのユーザIDを設定する。
【0057】
例えば、図8に示した配送定義情報に基づく伝票が起票された場合、図8に示したように、配送情報テーブルのノード番号「0」のレコードに、伝票名に「交際費」、伝票番号を起票時に発行される伝票番号(ここでは「00001」とする)、ノード番号に「0」、処理ユーザを起票ユーザのユーザID「U0012」、状態に「処理済」を設定する。
【0058】
次に、ステップS5003において、ワークフローサーバ200のCPUは、現在のノード番号を「1」とし、ステップS5000で受信した伝票処理要求の伝票名に対応する配送定義情報(図8)を参照し、ノード番号「1」の情報(経路役割ID,経路組織ID)を取得し、ステップS5008に進む。
【0059】
例えば、図8に示した配送定義情報に基づく伝票が起票された場合、経路役割ID「004」,経路組織ID「NULL」を取得する。
【0060】
一方、ステップS5001で、ワークフローサーバ200のCPUが、ステップS5000で受信した伝票処理要求の要求区分が「承認」又は「否認」であると判定した場合には、ステップS5004において、ワークフローサーバ200のCPUは、配送情報テーブル(図9)を参照して現在のノード番号を取得する。
【0061】
次に、ステップS5005において、ワークフローサーバ200のCPUは、ステップS5000で受信した伝票処理要求の要求区分が「承認」であるか「否認」であるかを判定し、「承認」であると判定した場合には、ステップS5006において、ステップS5004で取得した現在のノード番号をインクリメントした後、該インクリメントした現在のノード番号を持つ配送定義情報(図8)を参照し、該現在のノード番号の情報(経路役割ID,経路組織ID)を取得し、ステップS5008に進む。
【0062】
一方、ステップS5005で、ワークフローサーバ200のCPUが、ステップS5000で受信した伝票処理要求の要求区分が「否認」であると判定した場合には、ステップS5007において、ステップS5004で取得した現在のノード番号をデクリメントした後、該デクリメントした現在のノード番号を持つ配送定義情報(図8)を参照し、該現在のノード番号の情報(経路役割ID,経路組織ID)を取得し、ステップS5008に進む。
【0063】
そして、ステップS5008において、ワークフローサーバ200のCPUは、ステップS5003、S5006、又はS5007で取得した経路役割ID,経路組織IDを用いて、ユーザ役職情報(図7)を参照して次の配送対象ユーザIDを決定する(役職テーブル(図7)から役割IDが経路役割IDで、組織IDが経路組織IDのユーザIDを決定する)。なお、取得した経路組織IDが「NULL」の場合(図8の空白の場合)には、現在のノード番号より1つ小さいノード番号に対応するユーザIDの属する組織IDを「経路組織ID」として次の配送対象ユーザIDを決定するものとする。さらに、これでも次の配送対象ユーザIDを決定することができない場合(ユーザ役職情報(図7)に、役割IDが経路役割IDで、組織IDが経路組織IDのレコードが存在しない場合)には、該組織IDの親組織IDを「経路組織ID」として次の配送対象ユーザIDを決定するものとし、次の配送対象ユーザIDが決定するまでこの処理を繰り返すものとする。
【0064】
例えば、図8に示した配送定義情報に基づく伝票が起票された場合、図9に示したように、ステップS5003で、ノード番号「1」の経路役割ID「004」,経路組織ID「NULL」が取得され、該取得された経路役割ID「004」,経路組織ID「NULL」に基づいて配送対象となるユーザIDが決定される。ここで、取得した経路組織IDが「NULL」であるため、現在のノード番号「1」より1つ小さいノード番号「0」に対応するユーザID「U0012」の属する組織ID「8010101010」を「経路組織ID」として次の配送対象ユーザIDを決定する。このとき、ユーザ役職情報(図7)に、役割ID「004」で、組織ID「8010101010」のレコードが存在しないため、組織ID「8010101010」の親組織ID「80101010」を「経路組織ID」として次の配送対象ユーザIDを決定する。ここで、ユーザ役職情報(図7)を参照すると、役割ID「004」で、組織ID「8010101010」のユーザIDは「U0007」となり、このユーザID「U0007」が次の配送対象ユーザIDに決定される。
【0065】
次に、ステップS5009において、ワークフローサーバ200のCPUは、ステップS5000で受信した伝票処理要求が最終承認者からのものであるか否かを判定する。最終承認者は、図8のノード番号の最大値のレコードに該当する役割IDの承認者からの承認であるかを判定するものとし、元々の最終承認者が委任(代行)ありの場合は、更にその上長とする。
【0066】
ステップS5009で、ワークフローサーバ200のCPUが、ステップS5000で受信した伝票処理要求が最終承認者からのものでないと判定した場合には、ステップS5011において、ワークフローサーバ200のCPUは、ステップS5000で受信した伝票処理要求の要求区分が「承認」又は「起票」であるか「否認」であるかを判定し、「承認」又は「起票」であると判定した場合には、ステップS5012において、配送情報テーブル(図9)に次のノード番号の情報を設定する。この時、「ノード番号」項目503には現在のノード番号を設定し、「処理ユーザ」項目504にはステップS5009で決定された次の配送対象ユーザIDを設定し、「状態」項目505には"処理待ち"を設定し、「最終処理日付け」項目506には現在の日時を設定する。そして、ワークフローサーバ200のCPUは、SMTPサーバ203により配送対象者にワークフロー通知を行い、処理を終了する。
【0067】
一方、ステップS5011で、ワークフローサーバ200のCPUが、ステップS5000で受信した伝票処理要求の要求区分が「否認」であると判定した場合には、ステップS5013において、配送情報テーブル(図9)から上記現在ノード番号を削除するとともに、SMTPサーバ203により配送対象者に否認された旨のワークフロー通知を行い、処理を終了する。
【0068】
一方、ステップS5009で、ワークフローサーバ200のCPUが、ステップS5000で受信した伝票処理要求が最終承認者からのものであると判定した場合には、ステップS5010において、配送情報テーブル(図9)から当該配送情報を削除するとともに、SMTPサーバ203により起票者に全て承認された旨のワークフロー通知を行い、処理を終了する。
【0069】
以下、図11〜図19を用いて本実施形態における長期滞留時の処理について説明する。
【0070】
図11は、本実施形態における決裁完了希望期限付きの電子文書(伝票)の一例を示す図であり、起票時に、ワークフロー操作用端末300の表示装置に表示され、ワークフロー操作用端末300の入力装置により入力指示可能である。
【0071】
図11に示すように、決裁完了希望期限付きの電子文書は、通常の電子文書に決裁完了希望無のチェックボックス601,決裁完了希望有のチェックボックス602を配置する。この決裁完了希望無のチェックボックス601,決裁完了希望有のチェックボックス602は、排他的にチェック「ON」可能である。
【0072】
希望有チェックボックスが「ON」の場合は、決裁完了希望日を決裁完了希望日入力欄603に入力する。
【0073】
この伝票が起票されると、ワークフローサーバ200のCPUは、通常の電子文書に決裁完了希望無のチェックボックス601,決裁完了希望有のチェックボックス602の情報を、図9に示した配送情報テーブルの「決済完了希望の有無」項目507に格納する。また、ワークフローサーバ200のCPUは、決裁完了希望日入力欄603の情報を、図9に示した配送情報テーブルの「決裁完了希望日」項目508に格納する。なお、この処理は、図10のステップS5002で実行される。
【0074】
図12は、本実施形態における電子文書の配送経路上の決裁担当者のスケジュールデータを示した図である。
【0075】
なお、この決裁担当者のスケジュールデータは、一般的なスケジュール管理ソフトウェアを用いて入力された担当者のスケジュール情報を、本代行決裁業務向けに外部データとして取り込み、加工したものであり、ワークフローサーバ200のRDBMS205に記憶される。
【0076】
この決裁担当者のスケジュールデータは、決済完了希望のある伝票が起票されると、該伝票の配送情報テーブルに基づいて、該起票された伝票毎に、ワークフローサーバ200により作成されるものである。
【0077】
図12において、この決裁担当者のスケジュールデータは、担当者欄701,日程欄702等から構成される。
【0078】
担当者欄701には、配送経路上の承認担当者を特定する情報(ユーザ名やユーザID等)が格納される。また、日程欄702には、起案日(起票日)から決裁完了希望日までの日程が格納される。なお、決裁完了希望日がない場合は所定期間(例えば2週間)分の日程が格納される。
【0079】
ワークフローサーバ200のCPUは、起票された伝票の配送情報テーブルに基づいて、配送経路上の各承認担当者を決定し、該各承認担当者を特定する情報(ユーザ名やユーザID等)を取得し、担当者欄701に格納する。また、ワークフローサーバ200のCPUは、担当者欄701に格納した各承認担当者の日程を、一般的なスケジュール管理ソフトウェアから取得して、日程欄702に格納する。その際、終日外出の日、半日外出または半日以上連続した打ち合わせのある日、前記以外の日の3種類に分類して格納する。なお、スケジュールが未定の場合はNullを格納する。
【0080】
本実施形態は、終日外出の日は703のように「×」印で示す。また、半日外出または半日以上連続した打ち合わせのある日は704のように「△」印で示す。上記以外の日は705のように「○」印で示す。なお、スケジュールが未定の場合は706に示すように空白で示す。
【0081】
図13は、電子文書の承認・決裁処理が所定の滞留期限を超過し、上長への代行決裁の設定ができなかった場合に、そのことを通知するシステム管理者の宛先を一覧表示する画面である。この画面は、ワークフローサーバ200に管理者モードでログインして、システム管理者宛先一覧の表示を指示することにより、ワークフロー操作用端末300の表示画面上に表示される。
【0082】
このシステム管理者宛先一覧では、ワークフローサーバ200のRDBMS205に登録されているシステム管理者テーブル内の情報が表示される。
【0083】
このシステム管理者宛先一覧には、管理者の名称801、管理者のメールアドレス802、管理対象組織803、当該組織における滞留を容認する期間を示す滞留期間804が表示される。
【0084】
そして、このシステム管理者宛先一覧に登録されているシステム管理者テーブルの情報を変更する場合は、編集ボタン805、新規追加する場合は新規ボタン806、削除する場合は削除ボタン807、システム管理者登録機能を終了するときは、閉じるボタン808を押下する。これにより、ワークフローサーバ200のCPUは、対応する処理を行うように制御する。
【0085】
なお、編集ボタン805又は新規ボタン806を押下した場合は、ワークフローサーバ200のCPUは、図9のシステム管理者設定画面をワークフロー操作用端末300の表示装置に表示させる。
【0086】
システム管理者一覧画面の例として、図8のように、システム管理者毎に滞留期間804を設定する構成について示したが、滞留期間804は伝票の種別ごとに設定可能であってもよい。このシステム管理者一覧画面で編集されたシステム管理者テーブルは、ワークフローサーバ200のRDBMS205に登録される。
【0087】
図14は、本実施形態におけるシステム管理者設定画面の一例を示す図である。
【0088】
このシステム管理者設定画面は、管理者の名称901、管理者メールアドレス902、滞留期間903、対象組織904の各入力欄を有し、既登録の情報を編集する場合は各入力欄に既登録情報が表示され、新規登録する場合は各入力欄は空欄表示される。
【0089】
上記各入力欄901〜904に各情報が入力され、登録ボタン905が押下されると、ワークフローサーバ200のCPUは、該情報をRDBMS205内のシステム管理者テーブルに登録し、図13に示したシステム管理者宛先一覧に画面を戻す。なお、対象組織904は、リストボックスから該当組織を選択可能である。
【0090】
また、取消ボタン906が押下されると、ワークフローサーバ200のCPUは、各入力欄901〜904への入力情報をキャンセルし、図13に示したシステム管理者宛先一覧に画面を戻す。
【0091】
また、システム管理者は、全組織で1人を指定することも、1又は複数部門ごとに1人を指定して全組織で複数人数指定することも可能である。
【0092】
以下、図15,図16を参照して、本発明のワークフローシステムにおける決裁未処理電子文書の滞留を検知する処理の流れについて説明する。
【0093】
図15は、本発明のワークフローシステムにおける第2の制御処理手順の一例を示すフローチャートであり、図1に示したワークフローサーバ200のワークフロープログラム204による決裁未処理電子文書の滞留検知処理に対応する。なお、図中、S1001〜S1013は各ステップを示す。
【0094】
まず、ワークフロープログラム204を実行するワークフローサーバ200のCPU(以下、ワークフローサーバ200のCPU)は、所定の期間が経過すると(定期的に)、ステップS1001において、配送情報テーブルを検索(チェック)する。
【0095】
ワークフローサーバ200のCPUは、ステップS1002において、配送情報テーブルの「状態」項目505を確認し、状態が"処理済"ならば、処理を終了させる。また、フローチャートには示していないが「代行済」項目509"済"の場合も処理を終了させる。
【0096】
一方、ステップS1002で、配送情報テーブルの「状態」項目505が"処理待ち"と判断した場合には、ステップS1003に処理を進め、その伝票を「処理ユーザ」項目504内のユーザIDに基づいて役職テーブルを検索して組織コードを取得する。また、その伝票の「最終処理日付」項目506の情報も取得する。
【0097】
次に、ステップS1004において、ワークフローサーバ200のCPUは、当該伝票が決裁完了希望日付き電子文書であるか、配送情報テーブルの「決済完了希望」項目506内の情報から判断する。
【0098】
当該伝票が決裁完了希望日付き電子文書でないと判断した場合には、ステップS1005において、ワークフローサーバ200のCPUは、ステップS1003で取得した組織コードに基づいてシステム管理者テーブル内の滞留期間の情報を取得する。さらに、ワークフローサーバ200のCPUは、現在日時と処理待ち開始日時(最終処理日付)との差分を滞留猶予期間とし、ステップS1007に処理を進める。
【0099】
一方、ステップS1004で、当該伝票が決裁完了希望日付き電子文書であると判断した場合には、ステップS1006において、ワークフローサーバ200のCPUは、決裁完了希望日までの所要日数と全ノード通過日数の差分を滞留猶予期間とし、ステップS1007に処理を進める。以下、詳細に説明する。まず、決裁完了希望日までの所要日数は「決裁完了希望日−現在日時」となる。また、1つの決裁ノード通過に「1+α」日要すると仮定すると(αは補正値であり、組織の状態に応じて適宜定める)、全ノード通過日数は、「(全ノード数−現在ノード)×(1+α)」と算出される。よって、滞留猶予期間は「(決裁完了希望日−現在日時)−(全ノード数−現在ノード)×(1+α)」と算出される。
【0100】
次に、ステップS1007において、ワークフローサーバ200のCPUは、ステップS1005又はS1006で算出した滞留猶予期間と、管理者テーブル内の滞留期間とを比較して、滞留オーバであるか否かを判定する。
【0101】
ステップS1007で、滞留オーバでない(ステップS1005又はS1006で算出した滞留猶予期間が管理者テーブル内の滞留期間を超えていない)と判断した場合には、ワークフローサーバ200のCPUは、そのまま処理を終了させる。
【0102】
一方、ステップS1007で、滞留オーバ(ステップS1005又はS1006で算出した滞留猶予期間が管理者テーブル内の滞留期間を超えている)と判断した場合には、ワークフローサーバ200のCPUは、ステップS1008において、配送経路上の代行承認可能な上長を選択する(詳細は図16に示す)。
【0103】
次に、ステップS1009において、ワークフローサーバ200のCPUは、ステップS1008の処理で、配送経路上に代行承認可能な上長が存在したか否かを判定し、存在したと判断した場合には、ステップS1011に処理を進める。
【0104】
ステップS1011において、ワークフローサーバ200のCPUは、ユーザテーブルから当該上長のメールアドレスを取得する。
【0105】
次に、ステップS1012において、ワークフローサーバ200のCPUは、ステップS1011で取得したメールアドレスに対して承認代行依頼を通知する電子メールを生成し送信するとともに、ステップS1008で選択された上長を承認代行者としてセットする。即ち、ステップS1008で選択された上長のユーザIDを配送情報テーブル内の現在滞留しているノード番号の「処理ユーザ」項目504にセットし、さらに「代行済」項目509に"済"をセットする。そして、本フローチャートの処理を終了する。
【0106】
一方、ステップS1012において、ワークフローサーバ200のCPUは、ステップS1008の処理で配送経路上に代行承認可能な上長が存在しなかったと判断した場合には、ステップS1010において、ステップS1003で取得した組織コードに基づいてシステム管理者テーブルを検索し、システム管理者のメールアドレスを取得する。
【0107】
次に、ステップS1013において、ワークフローサーバ200のCPUは、ステップS1010で取得したシステム管理者のメールアドレスに対して、当該電子文書の承認・決済処理が滞留している旨を知らせる電子メールを生成して送信する。さらに、ワークフローサーバ200のCPUは、ワークフローサーバ200のRDBMS205内の承認・決裁滞留伝票一覧テーブル(図17)の「対象組織」項目1701,「伝票番号」項目1702,「ノード番号」項目1703,「滞留時間」項目1704に、ステップS1003で取得した組織コード,当該滞留伝票の伝票番号,当該滞留ノード番号,ステップS1005又はS1006で算出した滞留猶予期間をそれぞれ格納して、承認・決裁滞留伝票一覧テーブルを更新する。そして、本フローチャートの処理を終了する。
【0108】
図16は、本発明のワークフローシステムにおける第3の制御処理手順の一例を示すフローチャートであり、図15のステップS1008の配送経路上の代行承認可能な上長を選択する処理に対応する。なお、図中、S1101〜S1107は各ステップを示す。
【0109】
まず、ワークフローサーバ200のCPUは、ステップS1101において、当該承認者の直近の上長を当該伝票の配送経路上から選択する。
【0110】
次に、ステップS1102において、ワークフローサーバ200のCPUは、ステップS1101で選択した上長の承認スケジュールについて、終日外出の日(×印)はコストを「1日」とし、半日外出または半日以上連続した打ち合わせのある日(△印)はコストを「0.5日」とし、上記以外の日(○印)はコストを「0日」とし、さらに、組織の環境を加味した補正値を「α」とし、これを各コストに加算し、半日外出または半日以上連続した打ち合わせのある日(△印)または上記以外の日(○印)が出現するまで、上記コストを加算した総和を、当該承認代行者の決裁処理予定日(決裁予定コスト)とする。
【0111】
次に、ステップS1103において、ワークフローサーバ200のCPUは、ステップS1102で算出した決裁処理予定コストが図15のステップS1105又はS1006で算出さいた滞留猶予予定日以内であるか判断し、滞留猶予予定日以内であると判断した場合には、ステップS1107に処理を進める。
【0112】
そして、ステップS1107において、ワークフローサーバ200のCPUは、当該上長を決裁代行者(代行承認可能な上長)として選択し、処理を終了する。
【0113】
一方、ステップS1103で、ワークフローサーバ200のCPUは、ステップS1102で算出した決裁処理予定コストが図15のステップS1105又はS1006で算出さいた滞留猶予予定日以内でない(滞留猶予予定日を超過する)と判断した場合には、ステップS1104に処理を進める。
【0114】
次に、ステップS1104において、ワークフローサーバ200のCPUは、当該伝票の配送経路上の全ての上長を検査したか否かを判定し、まだ検査していない上長がいると判断した場合には、ステップS1105において、次の上長を選択し、ステップS1102に処理を戻す。
【0115】
一方、ステップS1104で、ワークフローサーバ200のCPUは、当該伝票の配送経路上の全ての上長を検査したと判断した場合には、ステップS1106において、該当伝票を代行承認可能な上長不在として、処理を終了する。
【0116】
なお、ステップS1102で用いた補正値「α」は、組織の環境や伝票の種別等により変更可能に構成してもよい。
【0117】
図17は、本実施形態における滞留伝票情報テーブルの一例を示す図である。
【0118】
なお、この滞留伝票情報テーブルは、ワークフローサーバ200のRDBMS205に記憶される。
【0119】
滞留伝票情報テーブルは、「対象組織」項目1701,「伝票番号」項目1702,「ノード番号」項目1703,「滞留時間」項目1704を含む。
【0120】
以下、図18,図19を参照して、本発明のワークフローシステムにおける処理が滞留している伝票にシステム管理者が代行者を設定する処理の流れについて説明する。
【0121】
図18は、本実施形態において承認・決裁滞留伝票一覧で表示した画面を示す図である。
【0122】
この画面は、システム管理者がワークフロー操作用端末300からワークフローサーバ200にログインすると、ワークフローサーバ200は、該システム管理者に対応する組織コードに基づいて、図17に示した滞留伝票情報テーブルを検索し、対応する滞留伝票情報を取得する。そして、ワークフローサーバ200は、取得した滞留伝票情報に基づいて、承認・決裁滞留伝票一覧画面を生成し、システム管理者のワークフロー操作用端末300に送信する。これにより、システム管理者のワークフロー操作用端末300は承認・決裁滞留伝票一覧画面を表示装置に表示する。
【0123】
この承認・決裁滞留伝票一覧画面には、承認もしくは決裁の処理が滞留している伝票の伝票番号1302、ノード番号1303、処理ユーザ1304、状態1305、滞留時間1306が表示される。なお、各伝票には、承認チェック欄1301,代行者設定欄1307が設けられている。
【0124】
システム管理者は、この承認・決裁滞留伝票一覧画面を用いて滞留している処理を代行するユーザを設定する。まず、代行者を設定する伝票の承認チェック欄1301にチェックを入れ、代行者設定欄1307に処理を代行するユーザのメールアドレスを入力する。
【0125】
なお、一度に複数の伝票に対して代行者の設定をすることが可能である。全ての設定が完了したら実行ボタン1308を押下する。また、この承認・決裁滞留伝票一覧画面を閉じる時には、閉じるボタン1309を押下する。
【0126】
実行ボタン1308が押下されると、当該ワークフロー操作用端末300から、この画面の情報がワークフローサーバ200に送信される。そして、これを受信したワークフローサーバ200は、図19に示す処理を開始する。
【0127】
図19は、本発明のワークフローシステムにおける第4の制御処理手順の一例を示すフローチャートであり、図1に示したワークフローサーバ200のワークフロープログラム204による処理が滞留している伝票にシステム管理者が代行者を設定する処理に対応する。なお、図中、S1401〜S1410は各ステップを示す。
【0128】
システム管理者によりワークフロー操作用端末300で図18に示した承認・決裁滞留伝票一覧画面で処理代行者が設定され、実行ボタン1308が押下されると、滞留案件の情報(図18の情報)がワークフローサーバ200に送信される。すると、ステップS1401において、ワークフロープログラム204を実行するワークフローサーバ200のCPU(以下、ワークフローサーバ200のCPU)は、ワークフロー操作用端末300より滞留案件の情報を取得する。
【0129】
次に、ステップS1402において、ワークフローサーバ200のCPUは、まず、滞留案件の情報に承認チェック欄1301に承認チェックが入力されている案件があるか否かを判定し、承認チェックが入力されている案件がないと判断した場合には、処理を終了する。
【0130】
一方、ワークフローサーバ200のCPUは、承認チェックが入力されている案件があると判断した場合には、ステップS14003に処理を進める。
【0131】
ステップS1403において、ワークフローサーバ200のCPUは、滞留案件の情報の承認チェック欄1301に承認チェックが入力されている案件の代行者設定欄1307に代行者のメールアドレスが入力されている案件があるか否かを判定する。
【0132】
そして、ステップS1403において、ワークフローサーバ200のCPUは、代行者設定欄1307に代行者のメールアドレスが入力されている案件がないと判断した場合には、ステップS1407に処理を進め、代行者アドレスを入力するようメッセージをワークフロー操作用端末300に送信して画面表示させ、処理を終了する。
【0133】
一方、ステップS1403で、ワークフローサーバ200のCPUは、滞留案件の情報の承認チェック欄1301に承認チェックが入力されている案件の代行者設定欄1307に代行者のメールアドレスが入力されている案件があると判断した場合には、ステップS1404に処理を進める。
【0134】
ステップS1404において、ワークフローサーバ200のCPUは、代行者に対して処理を依頼するメールを作成し、送信する。なお、送信するメールには、伝票番号、ノード番号、処理ユーザ、滞留時間などの代行処理の情報を含める。
【0135】
代行処理依頼のメールを送付後、ステップS1405において、ワークフローサーバ200のCPUは、代行者に対して伝票処理依頼を送信する。ワークフローサーバ200のCPUは、該代行者を当該滞留しているノード番号の「処理ユーザ」項目504にセットし、さらに「代行済」項目509に"済"をセットする。
【0136】
そして、ステップS1406において、ワークフローサーバ200のCPUは、承認・決裁滞留伝票情報テーブル(図17)から該当の伝票番号とノード番号の行を削除して更新した滞留伝票一覧画面をワークフロー操作用端末300に送信して画面更新させる。そして、本フローチャートを終了する。
【0137】
以上の処理により、ワークフロー上の正規の決裁担当者が不在であることが判明した場合にも、起案者の決裁完了希望日を満足できるよう、配送経路上の最適な代行決裁者へ代行決裁委任を行うことができ、電子文書の円滑な処理が促進できる。
【0138】
従って、ワークフローの滞留を防止でき、処理すべきワークフロー業務の効率化を促進することができる等の効果を奏する。
【0139】
なお、上述した各種データの構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されることは言うまでもない。
【0140】
以上、一実施形態について示したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記録媒体等としての実施態様をとることが可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0141】
以下、図20に示すメモリマップを参照して本発明に係るワークフローサーバ200で読み取り可能なデータ処理プログラムの構成について説明する。
【0142】
図20は、本発明に係るワークフローサーバ200で読み取り可能な各種データ処理プログラムを格納する記録媒体(記憶媒体)のメモリマップを説明する図である。
【0143】
なお、特に図示しないが、記録媒体に記憶されるプログラム群を管理する情報、例えばバージョン情報,作成者等も記憶され、かつ、プログラム読み出し側のOS等に依存する情報、例えばプログラムを識別表示するアイコン等も記憶される場合もある。
【0144】
さらに、各種プログラムに従属するデータも上記ディレクトリに管理されている。また、インストールするプログラムやデータが圧縮されている場合に、解凍するプログラム等も記憶される場合もある。
【0145】
本実施形態における図10,図15,図16,図19に示す機能が外部からインストールされるプログラムによって、ホストコンピュータにより遂行されていてもよい。そして、その場合、CD−ROMやフラッシュメモリやFD等の記録媒体により、あるいはネットワークを介して外部の記録媒体から、プログラムを含む情報群を出力装置に供給される場合でも本発明は適用されるものである。
【0146】
以上のように、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0147】
この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0148】
プログラムコードを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,DVD−ROM,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROM,EEPROM,シリコンディスク等を用いることができる。
【0149】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0150】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0151】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。また、本発明は、システムあるいは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適応できることは言うまでもない。この場合、本発明を達成するためのソフトウェアによって表されるプログラムを格納した記録媒体を該システムあるいは装置に読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
【0152】
さらに、本発明を達成するためのソフトウェアによって表されるプログラムをネットワーク上のサーバ,データベース等から通信プログラムによりダウンロードして読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
【0153】
なお、上記実施形態内で示した各変形例のいずれか又は全てを組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0154】
以上のように、ワークフローシステムにおいて、承認担当者不在等により滞留している未処理案件について、その状態をシステム管理者に通達し、前記未処理案件の長期間滞留を回避させることができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】本実施形態が適用されるワークフローシステムの概略構成を示す図である。
【図2】図1に示したワークフローサーバ,ワークフロー操作用端末,ワークフロー及び伝票設計用端末に適用可能なコンピュータのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図1に示したワークフローシステムにおける伝票の流れを示す模式図である。
【図4】図1に示したワークフローサーバのRDBMSに記憶される組織テーブルのデータ構造の一例を示すデータ構成図である。
【図5】図1に示したワークフローサーバのRDBMSに記憶される役割テーブルのデータ構造の一例を示すデータ構成図である。
【図6】図1に示したワークフローサーバのRDBMSに記憶されるユーザテーブルのデータ構造の一例を示すデータ構成図である。
【図7】図1に示したワークフローサーバのRDBMSに記憶される役職テーブルのデータ構造の一例を示すデータ構成図である。
【図8】図1に示したワークフローサーバのRDBMSに記憶される配送定義情報のデータ構造の一例を示すデータ構成図である。
【図9】図1に示したワークフローサーバのRDBMSに記憶される配送情報テーブルのデータ構造の一例を示すデータ構成図である。
【図10】本発明のワークフローシステムにおける第1の制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】本実施形態における決裁完了希望期限付きの電子文書(伝票)の一例を示す図である。
【図12】本実施形態における電子文書の配送経路上の決裁担当者のスケジュールデータを示した図である。
【図13】電子文書の承認・決裁処理が所定の滞留期限を超過し、上長への代行決裁の設定ができなかった場合に、そのことを通知するシステム管理者の宛先を一覧表示する画面である。
【図14】本実施形態におけるシステム管理者設定画面の一例を示す図である。
【図15】本発明のワークフローシステムにおける第2の制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図16】本発明のワークフローシステムにおける第3の制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図17】本実施形態における滞留伝票情報テーブルの一例を示す図である。
【図18】本実施形態において承認・決裁滞留伝票一覧で表示した画面を示す図である。
【図19】本発明のワークフローシステムにおける第4の制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図20】本発明に係るワークフローサーバ200で読み取り可能な各種データ処理プログラムを格納する記録媒体(記憶媒体)のメモリマップを説明する図である。
【符号の説明】
【0156】
200 ワークフローサーバ
204 ワークフロープログラム
205 RDBMS
300 ワークフロー操作用端末
101 CPU
102 RAM
103 ROM
104 HD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の配送経路に従って電子文書を回覧して承認・決裁のワークフロー処理を行うワークフローシステムにおいて、
承認・決裁者の組織情報,承認・決裁者のスケジュールを記憶する記憶手段と、
次の承認・決裁者による電子文書のワークフロー処理が所定の滞留期限を超過している滞留電子文書を検知する滞留検知手段と、
前記滞留検知手段で検知された滞留電子文書の配送経路上で次の承認・決裁者の上長にあたる承認・決裁者のスケジュールを参照し、該上長にあたる参照した承認・決裁者のスケジュールと、前記滞留期限とに基づいて決裁代行者として委任設定する上長を決定制御する制御手段と、
を有することを特徴とするワークフローシステム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記次の承認・決裁者の直近の上長のスケジュールが前記滞留期限を満足しない場合、前記配送経路上の全ての上長にあたる承認・決裁者についてスケジュールを参照して、前記滞留期限を満足するスケジュールを有する上長を決裁代行者として委任設定することを特徴とする請求項1記載のワークフローシステム。
【請求項3】
少なくとも一人のシステム管理者を設定するシステム管理者設定手段と、
前記制御手段は、前記滞留期限を満足するスケジュールを有する上長が配送経路上に存在しない場合、前記電子文書の承認・決裁処理が前記滞留期限を超過している旨を前記システム管理者に対し通知することを特徴とする請求項2記載のワークフローシステム。
【請求項4】
前記制御手段により電子文書の承認・決裁処理が前記滞留期限を超過している旨の通知をうけた電子文書に対して、前記システム管理者により決裁代行者を設定可能な設定手段を有することを特徴とする請求項3記載のワークフローシステム。
【請求項5】
電子文書に対して決裁完了希望期限を設定可能な決裁希望期限設定手段を有し、
前記検知手段は、前記決裁希望期限設定手段により設定された決裁完了希望期限に基づいて前記滞留期限を決定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のワークフローシステム。
【請求項6】
所定の配送経路に従って電子文書を回覧して承認・決裁のワークフロー処理を行うワークフローシステムの滞留電子文書処理方法において、
承認・決裁者の組織情報,承認・決裁者のスケジュールを記憶手段に登録する登録ステップと、
次の承認・決裁者による電子文書のワークフロー処理が所定の滞留期限を超過している滞留電子文書を検知する滞留検知ステップと、
該検知された滞留電子文書の配送経路上で次の承認・決裁者の上長にあたる承認・決裁者のスケジュールを参照し、該上長にあたる参照した承認・決裁者のスケジュールと、前記滞留期限とに基づいて決裁代行者として委任設定する上長を決定する決定ステップと、
を有することを特徴とする滞留電子文書処理方法。
【請求項7】
請求項6に記載された滞留電子文書処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項6に記載された滞留電子文書処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムをコンピュータが読み取り可能に記憶した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−156678(P2007−156678A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−348899(P2005−348899)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(301015956)キヤノンソフトウェア株式会社 (364)