説明

ワーク保持装置

【課題】 カウンタウェイトの可動エリアを広くすることなく、ワークとカウンタウェイトとの重量バランスをとることができるワーク保持装置を提供する。
【解決手段】 ワーク保持装置1は支持体3を備え、支持体3には昇降体8が上下動自在に支持され、昇降体8には、ワーク2を保持するワーク保持部13が支持されている。支持体3には、回動体18が支持体3に対して傾斜して回動自在に支持されている。回動体18上には、ワーク保持部13に保持されたワーク2の重量に対して重量バランスをとるためのカウンタウェイト23が載置されている。昇降体8とカウンタウェイト23とは、スプロケット17に巻き掛けられたチェーン25により連結されている。ワーク保持装置1は、重量バランス調整用シリンダ22により支持体3に対する回動体18の傾斜角度を変えることで、ワーク2とカウンタウェイト23との重量バランスを調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばワークを持ち上げる昇降装置等に適用されるワーク保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昇降装置等に適用されるワーク保持装置としては、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。この特許文献1に記載のワーク保持装置は、架台に揺動自在に支持された昇降アームと、この昇降アームの一端に取り付けられたワーク保持部と、昇降アームの他端に取り付けられた他のアームと、このアーム上に移動自在に取り付けられたバランス調整用のカウンタウェイトと、このカウンタウェイトを移動させるモータとを備えている。そして、カウンタウェイトの重量によるモーメントを、ワーク保持部に保持された昇降対象物の重量によるモーメントに対してバランスさせるように、カウンタウェイトの位置を調整する。
【特許文献1】特開平5−24800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術においては、重量の大きい昇降対象物とカウンタウェイトとの重量バランスをとるためには、昇降アームに対してワーク保持部の反対側に、アーム長手方向に沿った広範囲のカウンタウェイトの可動エリアが必要となるので、カウンタウェイトが載っているアームを長くせざるを得ない。この場合には、装置自体のサイズが水平方向に大きくなるため、設置スペースが狭いと、作業者による作業が行いにくくなったり、ワーク保持装置が他の装置に干渉してしまう可能性がある。
【0004】
本発明の目的は、カウンタウェイトの可動エリアを広くすることなく、ワークとカウンタウェイトとの重量バランスをとることができるワーク保持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のワーク保持装置は、高さ方向に延在する支持体と、支持体に支持され、ワークを保持するワーク保持部と、支持体に対して傾斜して回動自在に支持された回動体と、回動体に取り付けられ、ワークの重量に対して重量バランスをとるためのカウンタウェイトと、回動体を支持体に対して回動させる重量バランス調整用アクチュエータと、重量バランス調整用アクチュエータを作動させる第1駆動手段とを備え、重量バランス調整用アクチュエータにより回動体を支持体に対して回動させて、支持体に対する回動体の傾斜角度を変更することにより、ワークとカウンタウェイトとの重量バランスを調整するように構成されていることを特徴とするものである。
【0006】
このような本発明のワーク保持装置においては、ワーク保持部にワークを保持させると、ワークの重量によりワーク保持部側にかかる荷重とカウンタウェイトの重量によりワーク保持部の反対側(回動体側)にかかる荷重とが不釣り合いになることがある。この場合には、重量バランス調整用アクチュエータにより回動体を支持体に対して回動させて、支持体に対する回動体の傾斜角度を変更することにより、カウンタウェイトの位置及び姿勢を変更し、ワーク保持部側にかかる荷重と回動体側にかかる荷重とが釣り合う、つまりワークとカウンタウェイトとの重量バランスをとるようにする。このように本発明では、支持体に対する回動体の傾斜角度を変えるだけで、ワークとカウンタウェイトとの重量バランスを任意に調整することが可能となる。これにより、カウンタウェイトをアーム上で移動させてカウンタウェイトの位置調整を行う上記従来技術に比べて、カウンタウェイトの可動エリアを狭くしながらも、ワークとカウンタウェイトとの重量バランスをとることができる。
【0007】
好ましくは、支持体に上下動自在に支持された昇降体を更に備え、ワーク保持部は、昇降体に取り付けられている。これにより、ワークを上下動させる昇降装置にワーク保持装置を適用することができる。このとき、ワークとカウンタウェイトとの重量バランスがとれていれば、昇降体を支持体に対して容易に上下動させることができる。
【0008】
このとき、昇降体とカウンタウェイトとを連結する連結部材と、支持体及び回動体の少なくとも一方に取り付けられ、連結部材を巻き掛ける巻き掛け部材とを備え、連結部材は、昇降体の上方に引き回された状態で巻き掛け部材に巻き掛けられていることが好ましい。この場合には、昇降体が上昇すると、カウンタウェイトが下方に移動するようになる。このため、ワーク保持部にワークが保持された状態で、昇降体を上昇させるときに、昇降体をスムーズに動かすことができる。
【0009】
また、昇降体を支持体に対して上下動させる昇降用アクチュエータと、昇降用アクチュエータを作動させる第2駆動手段とを更に備えることが好ましい。ワークとカウンタウェイトとの重量バランスがとれていても、支持体と昇降体との間の摺動抵抗や昇降体の慣性力によっては、人の力だけでは昇降体を動かすのが困難になることがある。この場合には、昇降用アクチュエータにより昇降体の上下動をアシストすることにより、作業者の負担を軽減することができる。
【0010】
また、好ましくは、回動体は、その中央側部分を回動支点として支持体に回動自在に支持されている。この場合には、回動体の端部を回動支点とする場合に比べて、カウンタウェイトの重量によるモーメントが小さくなる。従って、重量バランス調整用シリンダにより回動体を支持体に対して回動させるときに、重量バランス調整用シリンダにかかる負荷を低減することができる。
【0011】
さらに、好ましくは、第1駆動手段は、ワークの重量を検出する検出手段と、検出手段の検出値に基づいて、ワークの重量とカウンタウェイトの重量とが釣り合うように重量バランス調整用シリンダを制御する制御手段とを有する。この場合には、ワーク保持部にワークを保持させたときに、ワークとカウンタウェイトとの重量バランスをとるように、支持体に対する回動体の傾斜角度が自動的に変化するようになる。これにより、作業者の負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、支持体に対する回動体の傾斜角度を変えて、ワークとカウンタウェイトとの重量バランスを調整する構成としたので、カウンタウェイトの可動エリアを広くすることなく、ワークとカウンタウェイトとの重量バランスをとることができる。これにより、ワーク保持装置を水平方向に対して小型化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係わるワーク保持装置の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明に係わるワーク保持装置の第1実施形態を示す斜視図であり、図2は、図1に示すワーク保持装置の平面図であり、図3は、図1に示すワーク保持装置の側面図である。
【0015】
各図において、本実施形態のワーク保持装置1は、重量の異なる多様な部品や組立体等のワーク2を持ち上げて移載するためのカウンタバランス式の昇降装置である。昇降装置1は、高さ方向(上下方向)に延在する支持体3を備えている。支持体3は、基台4に立設されたベースフレーム5と、このベースフレーム5の両側面に固定された1対の支持フレーム6とからなっている。ベースフレーム5には、高さ方向に延びるガイドレール7が設けられている。そして、ベースフレーム5には、昇降体8がガイドレール7に沿って上下動自在に支持されている。
【0016】
支持体3の後面側には、昇降体8をベースフレーム5に対して上下動させる昇降用シリンダ9が配設されている。昇降用シリンダ9のピストンロッド9aは、昇降体8に連結されている。なお、昇降体8を上下動させる手段としては、例えばボールネジ及びモータ等であっても良い。
【0017】
昇降体8の前面には、支持体3の延在方向に対して垂直な方向(左右方向)に延在する横フレーム10が取り付けられている。横フレーム10には、左右方向に延びる2本のガイドレール11が上下に設けられている。そして、横フレーム10には、摺動体12がガイドレール11に沿って移動自在に支持されている。また、横フレーム10には、摺動体12を昇降体8に対して左右方向に移動させるシリンダ(図示せず)が取り付けられている。
【0018】
摺動体12には、ワーク2を保持するワーク保持部13が支持されている。摺動体12は左右方向に移動自在であるため、ワーク保持部13によるワーク2の保持位置を左右方向に対して調整することが可能である。また、ワーク保持部13は、摺動体12にベアリング14を介して回転自在に支持されている。これにより、ワーク保持部13に保持されたワーク2を反転させることが可能となる。
【0019】
ワーク保持部13には、作業者が昇降体8の作動を手動操作するための昇降レバー15が取り付けられている。また、ワーク保持部13には、当該ワーク保持部13に保持されたワーク2の重量を検出する重量センサ(図4参照)16が設けられている。重量センサ16としては、ロードセル等が使用される。
【0020】
各支持フレーム6の上端部には、スプロケット17が取り付けられている。そして、支持体3には、各スプロケット17を介して回動体18が回動自在に支持されている。具体的には、回動体18は、その一端部を回動支点として、支持体3の後面側(ワーク保持部13の反対側)において支持体3に対して傾斜して回動自在に支持されている。
【0021】
回動体18は、各スプロケット17に固定された1対の回動フレーム19と、各回動フレーム19と結合された複数のクロスフレーム20と、2つのクロスフレーム20を跨ぐようにクロスフレーム20に取り付けられた1対の連結プレート部21とを有している。
【0022】
支持体3のベースフレーム5と回動体18との間には、回動体18を支持体3に対して回動させる重量バランス調整用シリンダ22が配設されている。重量バランス調整用シリンダ22のピストンロッド22aは、回動体18の連結プレート部21に連結されている。重量バランス調整用アクチュエータ22により回動体18を支持体3に対して回動させると、支持体3に対する回動体18の傾斜角度θ(図3参照)が変化する。なお、回動体18を回動させるアクチュエータとしては、モータであっても良い。
【0023】
回動体18の各回動フレーム19上には、ワーク保持部13に保持されたワーク2の重量に対して重量バランスをとるためのカウンタウェイト23がそれぞれ載置されている。回動フレーム19上には、当該支持フレーム19の長手方向に延びるガイドレール24が設けられている。そして、カウンタウェイト23は、ガイドレール24に沿って回動フレーム19上を移動可能となっている。
【0024】
昇降体8と各カウンタウェイト23とは、各スプロケット17に巻き掛けられた2本のチェーン25により連結されている。各チェーン25は、昇降体8の上方に引き回された状態でスプロケット17に巻き掛けられている。このような構成により、各カウンタウェイト23は、昇降体8の上下動に連動して回動体18上を移動する。つまり、昇降体8が上昇すると、各カウンタウェイト23が下方(スプロケット17の反対側)に移動し、昇降体8が下降すると、各カウンタウェイト23が上方(スプロケット17側)に移動する。従って、昇降用シリンダ9により昇降体8を上昇させて、ワーク保持部13に保持されたワーク2を持ち上げる際に、昇降体8にかかる抵抗が低減されるため、昇降体8をスムーズに動かすことができる。
【0025】
図4は、上記の昇降用シリンダ9及び重量バランス調整用シリンダ22の駆動制御系を示す概略構成図である。
【0026】
同図において、昇降用シリンダ9は、エアーバルブ26を介して空気圧源27と接続されている。エアーバルブ26は、例えば電磁式の方向切換弁である。空気圧源27は、例えば圧縮空気を作り出すコンプレッサである。重量バランス調整用シリンダ22は、エアーバルブ28を介して空気圧源27と接続されている。エアーバルブ28は、例えば電磁式の方向切換弁である。エアーバルブ26,28は、コントローラ29によって制御される。コントローラ29は、昇降制御部30と、重量バランス制御部31とを有している。
【0027】
昇降制御部30は、上記の昇降レバー15の操作信号に応じてエアーバルブ26を制御する。具体的には、昇降レバー15により昇降体8の上昇指令が出されると、昇降制御部30は、空気圧源27からの圧縮空気が昇降用シリンダ9の基部側のシリンダ室9bに供給されるようにエアーバルブ26を制御する。この場合には、昇降用シリンダ9のピストンロッド9aが前進し、これに伴って昇降体8が上昇する。一方、昇降レバー15により昇降体8の下降指令が出されると、空気圧源27からの圧縮空気が昇降用シリンダ9の先端側のシリンダ室9cに供給されるようにエアーバルブ26を制御する。この場合には、昇降用シリンダ9のピストンロッド9aが後退し、これに伴って昇降体8が下降する。
【0028】
重量バランス制御部31は、上記の重量センサ16の検出値に基づいて、ワーク2の重量と2つのカウンタウェイト23の重量とが釣り合うようにエアーバルブ28を制御し、重量バランス調整用シリンダ22を駆動制御する。
【0029】
具体的には、重量バランス制御部31のメモリには、ワーク保持部13に保持されたワーク2の重量と支持体3に対する回動体18の傾斜角度θ(重量バランス調整用シリンダ22のピストンロッド22aの先端位置)との関係を示したデータマップが予め記憶されている。このデータマップは、ワーク2の重量により支持体3の前面側にかかる荷重と2つのカウンタウェイト23の重量により支持体3の後面側にかかる荷重とが釣り合うように設定されたものであり、ワーク2の重量が増えるに従って、支持体3に対する回動体18の傾斜角度θが小さくなる、つまり回動体18が寝た状態から立った状態になる方向(図3の矢印方向)に回動する様になっている。なお、支持体3に対する回動体18の傾斜角度θは、傾斜角度センサ(図示せず)によって検出可能である。
【0030】
重量バランス制御部31は、図5に示すように、まず重量センサ16の検出値を入力し(手順101)、この検出値に対応する回動体18の傾斜角度θの設定値を、メモリに記憶されたデータマップから取得する(手順102)。そして、実際の回動体18の傾斜角度θを当該設定値にするためのバルブ制御信号をエアーバルブ28に送出する(手順103)。また、この手順103の後に、支持体3に対する回動体18の傾斜角度θを傾斜角度センサで確認する手順を加えても良い。
【0031】
ここで、ワーク保持部13にワーク2が保持されていない状態では、回動体18は初期位置(図3の2点鎖線参照)にあり、支持体3の前面側にかかる荷重と支持体3の後面側にかかる荷重とが釣り合い、重量バランス(荷重バランス)がとれた状態となっている。
【0032】
この状態から、ワーク保持部13にワーク2を保持させると、支持体3の前面側にかかる荷重が支持体3の後面側にかかる荷重よりも大きくなるため、重量バランスがとれなくなる。このように重量バランスがとれていない状態では、ワーク2を持ち上げるべく、昇降レバー15により昇降体8の上昇指令が出されているにも拘わらず、昇降体8が上昇しないことがある。
【0033】
このとき、重量センサ16によりワーク2の重量が検出され、この検出値に応じた制御信号が重量バランス制御部31からエアーバルブ28に送られることで、空気圧源27からの圧縮空気が重量バランス調整用シリンダ22の先端側のシリンダ室22cに供給されるようにエアーバルブ28が制御される。この場合には、重量バランス調整用シリンダ22のピストンロッド22aが後退し、これに伴って支持体3に対する回動体18の傾斜角度θが小さくなるように回動体18が回動する。
【0034】
これにより、ワーク保持部13にワーク2が保持されているにも拘わらず、ワーク2と2つのカウンタウェイト23との重量バランスがとれた状態となる。従って、昇降レバー15により昇降体8の上昇指令が出されていれば、昇降体8が確実に上昇するようになる。
【0035】
また、ワーク保持部13によるワーク2の保持を解除すると、空気圧源27からの圧縮空気が重量バランス調整用シリンダ22の基端側のシリンダ室22bに供給されるようにエアーバルブ28が制御される。この場合には、重量バランス調整用シリンダ22のピストンロッド22aが前進し、これに伴って支持体3に対する回動体18の傾斜角度θが大きくなるように回動体18が回動し、回動体18は初期位置(図3の2点鎖線参照)に戻る。
【0036】
ここで、重量センサ16、空気圧源27、エアーバルブ28及びコントローラ29の重量バランス制御部31は、重量バランス調整用アクチュエータ22を作動させる第1駆動手段を構成している。昇降レバー15、エアーバルブ26、空気圧源27及びコントローラ29の昇降制御部30は、昇降用アクチュエータ9を作動させる第2駆動手段を構成している。
【0037】
以上のように本実施形態にあっては、カウンタウェイト23が載置された回動体18を支持体3の上端部に回動自在に支持し、支持体3に対する回動体18の傾斜角度(回動角度)θを変えることで、カウンタウェイト23の位置及び姿勢を変更し、ワーク2とカウンタウェイト23との重量バランスを自動的に調整する。これにより、例えばやじろべい式のカウンタバランス構造と異なり、カウンタウェイト23の可動エリアを広くすることなく、ワーク2とカウンタウェイト23との重量バランスをとることができる。従って、昇降装置1の前後方向のサイズを小さくでき、スペース効率を高めることが可能となる。
【0038】
また、昇降体3をベースフレーム5に対して上下動させる昇降用シリンダ9を設けたので、昇降体3とベースフレーム5との間に生じる摺動抵抗が多少大きくても、ワーク2とカウンタウェイト23との重量バランスさえとれていれば、昇降体8を確実に且つ容易に動かすことができる。従って、作業者の作業負担を大幅に軽減することが可能となる。
【0039】
図6は、本発明に係わるワーク保持装置の第2実施形態を示す斜視図であり、図7は、図6に示すワーク保持装置の側面図である。図中、第1実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0040】
各図において、本実施形態のワーク保持装置40は、上述した第1実施形態と同様に、カウンタバランス式の昇降装置である。昇降装置40は、高さ方向に延在する支持体41を備え、この支持体41には、高さ方向に延びるガイドレール42が設けられている。そして、支持体41には、昇降体43がガイドレール42に沿って移動自在に支持されている。支持体41の後面側には、上記の昇降用シリンダ9(図示せず)が配設されている。
【0041】
昇降体43の前面には、左右方向に延在する横フレーム44が取り付けられている。横フレーム44には、左右方向に延びる2本のガイドレール45が上下に設けられている。そして、横フレーム44には、摺動体46がガイドレール45に沿って移動自在に支持されている。摺動体46には、ワーク2を保持するワーク保持部47が支持されている。ワーク保持部47には、上記の昇降レバー15及び重量センサ16(図示せず)が設けられている。
【0042】
支持体41の上端には支持板48が固定され、この支持板48上には軸部49が取り付けられている。軸部49には、回動体50が回動自在に支持されている。具体的には、回動体50は、その中央部を回動支点として、支持体41に対して傾斜して回動自在に支持されている。支持体41と回動体50との間には、上記の重量バランス調整用シリンダ22(図示せず)が配設されている。
【0043】
回動体50上には、ワーク保持部47に保持されたワーク2の重量に対して重量バランスをとるためのカウンタウェイト51が載置されている。カウンタウェイト51は、回動体50上に設けられた1対のガイドレール52に沿って回動体50の長手方向に移動可能である。
【0044】
支持板48の上部には、2つのスプロケット53が取り付けられ、回動体50の一端部には、2つのスプロケット54が取り付けられている。そして、昇降体43とカウンタウェイト51とは、各スプロケット53,54に巻き掛けられた2本のチェーン55により連結されている。これにより、カウンタウェイト51は、昇降体43の上下動に連動して回動体50上を移動することとなる。
【0045】
以上のような本実施形態においては、支持体41に対する回動体50の傾斜角度を変えることで、ワーク2とカウンタウェイト51との重量バランスを任意に調整する構成としたので、第1実施形態と同様に、カウンタウェイト51の可動エリアを広くすることなく、ワーク2とカウンタウェイト51との重量バランスをとることができる。
【0046】
また、支持体41に対する回動体50の回動支点を回動体50の中央部としたので、カウンタウェイト51の重量によるモーメントを小さくしつつ、ワーク2とカウンタウェイト51との重量バランスをとることができる。これにより、重量バランス調整用シリンダ22により回動体50を支持体41に対して回動させるときに、重量バランス調整用シリンダ22にかかる負荷が低減される。従って、重量バランス調整用シリンダ22は、低い駆動力で回動体50を動かすことが可能となる。
【0047】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、ワーク2の重量を検出し、その検出値に基づいて支持体に対する回動体の傾斜角度を自動制御し、ワークとカウンタウェイトとの重量バランスを制御するようにしたが、特にこれに限られず、重量バランス調整用シリンダ22を作動させるための手動操作レバーを設け、作業者が手動操作レバーを操作して、支持体に対する回動体の傾斜角度を調整するようにしても良い。
【0048】
また、上記実施形態のワーク保持装置は、カウンタバランス式の昇降装置に適用したものであるが、本発明のワーク保持装置は、重量の異なる多様なワークを保持するために重量バランスをとる必要があるものであれば、昇降装置以外の装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係わるワーク保持装置の第1実施形態としてカウンタバランス式の昇降装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示す昇降装置の平面図である。
【図3】図1に示す昇降装置の側面図である。
【図4】図1〜図3に示す昇降用シリンダ及び重量バランス調整用シリンダの駆動制御系を示す概略構成図である。
【図5】図4に示す重量バランス制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係わるワーク保持装置の第2実施形態として他のカウンタバランス式の昇降装置を示す斜視図である。
【図7】図6に示す昇降装置の側面図である。
【符号の説明】
【0050】
1…昇降装置(ワーク保持装置)、2…ワーク、3…支持体、8…昇降体、9…昇降用シリンダ(昇降用アクチュエータ)、13…ワーク保持部、15…昇降レバー(第2駆動手段)、16…重量センサ(検出手段、第1駆動手段)、17…スプロケット(巻き掛け部材)、18…回動体、22…重量バランス調整用シリンダ(重量バランス調整用アクチュエータ)、23…カウンタウェイト、25…チェーン(連結部材)、26…エアーバルブ(第2駆動手段)、27…空気圧源(第1駆動手段、第2駆動手段)、28…エアーバルブ(第1駆動手段)、29…コントローラ、30…昇降制御部(第2駆動手段)、31…重量バランス制御部(制御手段、第1駆動手段)、40…昇降装置(ワーク保持装置)、41…支持体、43…昇降体、47…ワーク保持部、50…回動体、51…カウンタウェイト、53,54…スプロケット(巻き掛け部材)、55…チェーン(連結部材)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ方向に延在する支持体と、
前記支持体に支持され、ワークを保持するワーク保持部と、
前記支持体に対して傾斜して回動自在に支持された回動体と、
前記回動体に取り付けられ、前記ワークの重量に対して重量バランスをとるためのカウンタウェイトと、
前記回動体を前記支持体に対して回動させる重量バランス調整用アクチュエータと、
前記重量バランス調整用アクチュエータを作動させる第1駆動手段とを備え、
前記重量バランス調整用アクチュエータにより前記回動体を前記支持体に対して回動させて、前記支持体に対する前記回動体の傾斜角度を変更することにより、前記ワークと前記カウンタウェイトとの重量バランスを調整するように構成されていることを特徴とするワーク保持装置。
【請求項2】
前記支持体に上下動自在に支持された昇降体を更に備え、
前記ワーク保持部は、前記昇降体に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のワーク保持装置。
【請求項3】
前記昇降体と前記カウンタウェイトとを連結する連結部材と、
前記支持体及び前記回動体の少なくとも一方に取り付けられ、前記連結部材を巻き掛ける巻き掛け部材とを備え、
前記連結部材は、前記昇降体の上方に引き回された状態で前記巻き掛け部材に巻き掛けられていることを特徴とする請求項2記載のワーク保持装置。
【請求項4】
前記昇降体を前記支持体に対して上下動させる昇降用アクチュエータと、
前記昇降用アクチュエータを作動させる第2駆動手段とを更に備えることを特徴とする請求項2または3記載のワーク保持装置。
【請求項5】
前記回動体は、その中央側部分を回動支点として前記支持体に回動自在に支持されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載のワーク保持装置。
【請求項6】
前記第1駆動手段は、前記ワークの重量を検出する検出手段と、前記検出手段の検出値に基づいて、前記ワークの重量と前記カウンタウェイトの重量とが釣り合うように前記重量バランス調整用シリンダを制御する制御手段とを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載のワーク保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−261730(P2007−261730A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−87938(P2006−87938)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)