説明

ワーク搬送装置

【課題】 一対のレール間隔の不良を速やかに検知して、ワーク搬送の作業能率を向上させる。
【解決手段】 固定レール2と移動レール3でワーク1を搬送する装置で、移動レール3をレール間隔切替ユニット10で移動させてレール間隔をワーク幅に対応させて変更する際に、レール間隔切替ユニット10に添設されたレール間隔検知ユニット20でレール間隔を検知する。検知したレール間隔が適正範囲内にあるか否かを判定して、ワーク搬送作業を継続させるか、レール間隔を修正するかを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置などに使用されるワーク搬送装置で、詳しくは、幅の異なる複数品種のワークを、ワーク幅に対応させて間隔調整された一対の水平レールに沿わせて搬送するワーク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リードフレームに半導体チップをマウントする半導体製造工程には、リードフレームをレールに沿わせて搬送するワーク搬送装置が使用される。このワーク搬送装置におけるレールは、平行に対向する水平な一対である。レールで搬送されるリードフレームは、幅の異なる複数品種がある。レールで搬送されるリードフレームの品種が切り替えられると、一対のレールの間隔を品種切り替えされたリードフレームの幅に合わせ変更してから、リードフレームを搬送するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一対のレールは、リードフレームの幅方向両端部を保持する。リードフレームは、レール上を摺動してリードフレームの幅方向と直交する長手方向に間欠的に水平送りされる。レール上でリードフレームが停止したときに、リードフレーム上に接着剤塗布やチップマウントなどの各種の作業が行われる。この作業を安定して行うため、レール上で停止したリードフレームの幅方向両端部を除く中央部下面を、平坦な作業用プレート(アダプタープレート)で保持している。このような作業用プレートを装備したワーク搬送装置の概要を図5に示す。
【0004】
図5の平面図で示すワーク搬送装置は、図5で左右のX方向に平行な一対のレール2、3を備える。各レール2、3は水平レールで、一方は定位置に固定された固定レール2であり、他方は固定レール2に対して平行に接近離反移動する移動レール3である。各レール2、3の断面が、図6に示される。各レール2、3の上面内側部分に凹段部2a、3aが形成され、この凹段部2a、3aにリードフレーム1の幅方向両端部が載せられる。リードフレーム1は、X方向に長尺な平板状で、図5で左方向から各レール2、3の間に送り込まれると、幅方向両端部が各レール2、3上を摺動して図5で右方向に搬送される。固定レール2は、レール支持台4に固定される。移動レール3は、例えば水平な移動板5と一体である。移動板5の両端部は、水平なレール状のガイド6に支持される。ガイド6は、X方向と直交する水平なY方向に延びる一対で構成される。移動板5の下面両端部に、一対のガイド6にY方向に摺動可能なブロック7が設置される。
【0005】
移動板5の移動レール3と反対の端部に、カップリング8が設置される。カップリング8にドライブシャフト9の先端部が連結される。ドライブシャフト9はY方向に延在する送りねじ棒で、その基端部がパルスモーター13にベルト(図示せず)で連結される。パルスモーター13でベルトを介しドライブシャフト9を正逆回転させると、移動板5と移動レール3がY方向に前後移動し、移動レール3と固定レール2の間隔がリードフレーム1の幅に合わせて変更される。パルスモーター13とドライブシャフト9、カップリング8で、レール間隔を適宜に切り替えるレール間隔切替ユニット10が構成される。
【0006】
リードフレーム1は幅の異なる複数品種があり、いずれかの品種が一対のレール2、3の間に送り込まれる。図6の鎖線で示すリードフレーム1の幅をWbとすると、一対のレール2、3の間隔は、それぞれの凹段部2a、3aの垂直面2b、3b間の距離であり、この距離がWbとなるようレール間隔がリードフレーム1の品種切替毎に変更される。また、一対のレール間には適宜に、例えば2枚の作業用プレート11、12が配備される。各作業用プレート11、12は水平な矩形の平板で、一対のレール間に凹段面2a、3aの水平面と面一にして配置される。リードフレーム1の幅方向両端部を一対のレール2,3の凹段面2a、3aに載せて搬送すると、リードフレーム1の下面が作業用プレート11,12の上面を摺動する。リードフレーム1が搬送される一対のレール間は、リードフレーム上に接着剤を塗布するプリフォーム領域や、リードフレーム上に半導体チップをマウントするマウント領域などの各種作業領域が一連に並ぶ。このレール間のプリフォーム領域に一方の作業用プレート11が設置され、マウント領域に他方の作業用プレート12が設置される。各作業用プレート11、12は、幅の異なる複数品種のリードフレーム1に対応した複数品種が用意される。
【0007】
以上のワーク搬送装置によるワーク品種切替毎のレール間隔変更と、間隔変更後のワーク搬送は、次の要領で行われる。
【0008】
一対のレール間にリードフレーム1が搬入される事前において、レール間に既にある作業用プレート11、12が作業員の手で外され、パルスモーター13の駆動制御回路(図示せず)に新しいリードフレーム1の幅に相当する数値データを入力する。この入力で、まずパルスモーター13が原点復帰動作して、移動板5と移動レール3を図5の鎖線で示す原点位置まで後退させる。原点位置の移動レール3と、定位置の固定レール2のレール間隔Waは、複数品種のリードフレームの最大幅より少し大き目に設定される。移動レール3を原点復帰させた後、パルスモーター13はワーク幅の数値データに基づいて移動板5と移動レール3をY方向に前進させ、レール間隔を品種切替されたリードフレーム1の幅に合うように自動で切替える。この間隔変更された一対のレール間に、新しく搬送されるリードフレーム1の幅に対応させた品種の作業用プレート11、12が作業員の手で落とし込み式に設置される。
【0009】
以上のようにワーク品種の切替作業が終了してから、レール間に新しい品種のリードフレーム1が搬入され、レール上を間欠的に搬送される。リードフレーム1の一部がプリフォーム領域の作業用プレート11上に移動して停止すると、図示しないプリフォームユニットを使ってリードフレーム1上に接着剤が塗布(プリフォーム)される。さらにリードフレーム1が前進して接着剤塗布された一部がマウント領域の作業用プレート12上に移動すると、図示しないチップマウントユニットを使って半導体チップがマウントされる。
【0010】
なお、上記のプリフォームユニットは、水平なXY方向や上下のZ方向に可動なXYZテーブルまたは水平方向の回転機能を加えたXYZθテーブルであるプリフォームヘッドに接着剤塗布ノズルなどを装備させたもので、所定の原点位置から駆動してリードフレーム上に定量のチップマウント用接着剤を塗布すると、原点位置に復帰して次の接着剤塗布に待機する。
【特許文献1】特開平7−206163号公報(第0030段)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図5のワーク搬送装置のように、ワーク品種の切替作業が終了してから、一対のレール間に新しい品種のワーク(リードフレーム)を搬入する場合、一対のレール間の間隔が品種切替されたワークの幅に適正に対応していないことがある。例えば、図5装置においては、作業員の品種切替操作ミスの外に、レール間隔変更に使用しているパルスモーター13の脱調などの特性不良、パルスモーター13の回転力をドライブシャフト9に伝達するベルトの経時変化による破断や緩み、カップリング8の緩みなどが要因となって、ワーク品種切替直後のレール間隔が適正な範囲から外れている場合がある。また、パルスモーター13においては、電源オフではモーターが励磁されていないために、変更後のレール間隔がずれる虞があり、さらに、電源立上げ時にモーターに電流が印加されると、励磁相に引き寄せられてレール間隔にずれが生じることがある。
【0012】
このように新しい品種のワークを搬送する際に、変更されたレール間隔にずれが生じて適正な範囲に無い場合は、品種切替したワークの正常な搬送ができず、正常でないワーク搬送をしてワークや搬送装置に損傷を与え、ワークに対する接着剤塗布などの作業工程に悪影響を及ぼすことがある。また、レール間隔が適正な範囲に無い場合、品種切替したワークを搬送する作業時に正常な搬送ができないことから、レール間隔の不良発生が検知できて、レール間隔を修正するようにしているが、ワーク品種切替開始からレール間隔の不良検知までの時間が長く、この時間が無駄となってワーク搬送の作業能率を低下させることがある。
【0013】
本発明の目的とするところは、レール間隔の不良を速やかに検知してワーク搬送の作業能率を改善したワーク搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、ワークの幅方向両端部を保持してワークを幅方向と直交方向に搬送する略水平な一対のレールと、幅の異なる複数品種のワークの幅に対応させて一対のレールの間隔を変更するレール間隔切替ユニットと、ワークの品種に対応した幅を有し、一対のレール間に着脱自在に配備されてレール上のワークの下面を適宜に保持する作業用プレートを具備したワーク搬送装置において、一対のレールでワークを搬送する事前に、一対のレールの間隔を検知するレール間隔検知ユニットを配備したことにより、上記目的を達成するものである。
【0015】
ここで、ワークは半導体装置の製造に使用されるリードフレームや帯板状の基板などであり、幅の異なる複数品種のワークが共通の一対のレール上を摺動して搬送される。一対のレールは平行に対向する水平レールで、レール間隔がワーク幅に対応させて変更される。レール間隔の変更は、一対のレールの双方を互いに移動させて行う、或いは、一方を固定して他方を移動させて行うことができる。レール間隔切替ユニットは、モーターやシリンダを駆動源にしたアクチュエータが適用できる。一対のレール間に配備される作業用プレートは、ワークに対して特定の作業をするときにワークを保持するアダプタープレートで、ワークの幅に対応した幅を有する。作業用プレートは複数品種のワークに対応して幅の異なる複数品種があり、ワークの品種切替時に作業用プレートも品種切替が行われる。レール間隔検知ユニットは、一対のレールの離隔距離であるレール間隔を直接的または間接的に計測する計測機器で、既存の計測機器を応用したものが適用できる。ワークの品種切替毎にレール間隔検知ユニットでレール間隔を検知することで、レール間隔が適正範囲にあるか否かが速やかに判断できるようになる。この判断で、正常でないワーク搬送動作が回避できて作業時間の無駄がなくなり、ワーク搬送の作業能率を上げることができる。
【0016】
本発明においては、レール間隔検知ユニットに、この検知ユニットのレール間隔検知データがワーク幅により決められた適正範囲外の場合に作動する警報手段を付設することができる。ここでの警報手段は、ブザーを含む音声発生装置や、点滅ランプなどの点灯表示装置、音声発生と点灯表示を兼備する装置が適用できる。この警報手段の警報がワーク品種切替の作業をした作業員に認知されて、作業員によるレール間隔の点検、修正などの作業が速やかに行われる。
【0017】
また、本発明においては、一対のレールがワーク搬送方向に平行な固定レールと、この固定レールに対して相対移動する移動レールを具備し、かつ、レール間隔検知ユニットが、所定の原点位置からワーク幅方向に移動可能な可動ヘッド部と、この可動ヘッド部と移動レールそれぞれに設置され、可動ヘッド部と移動レールのワーク幅方向での相対移動時に可動ヘッド部と移動レールが所定の位置関係になる時点を検出するセンサー部と、前記時点における可動ヘッド部の前記原点位置との距離データに基づいて固定レールと移動レールの間隔を算出する距離データ演算処理部を具備する構成にすることができる。
【0018】
ここでのレール間隔検知ユニットの可動ヘッド部は、半導体製造装置のリードフレーム上に接着剤を塗布するプリフォームユニットにおけるXYZテーブル式プリフォームヘッドや、リードフレーム上に半導体チップをマウントするボンディングユニットのXYZテーブル式ヘッドのような既存設備が適用できる。この可動ヘッド部と移動レールそれぞれに互いの相対位置関係を検出するためのセンサー部品を設置して、センサー部を構成する。例えば、移動レール側に投光素子と受光素子を組み合わせた光学センサー部品を設置し、可動ヘッド部側に遮光板を設置してセンサー部を構成する。可動ヘッド部と移動レールがワーク幅方向に相対移動するときに、可動ヘッド部の遮光板を移動レール側の光学センサー部品に接近させ、光学センサー部品の投光素子と受光素子間の光路を遮光板が遮光した時点を検出する。この検出で、可動ヘッド部と移動レールのワーク幅方向における相対位置関係が分かり、可動ヘッド部の原点位置からの距離データを求めれば、固定レールと移動レールの間隔が算出できる。
【0019】
また、本発明においては、レール間隔検知ユニットが、一対のレールを上方から撮像するカメラ部と、このカメラ部で撮像された画像データから一対のレールの間隔を算出する画像データ演算処理部を具備する構造にすることができる。
【0020】
ここでのカメラ部は、一対のレールを真上から撮像するCCDカメラ、CMOSカメラが適用できる。一対のレールの一方または両方の上面にターゲットマークを形成して、このターゲットマークを含むレール上をカメラ部で撮像すれば、レール画像のターゲットマークを利用してレール間隔を容易かつ正確に演算することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のワーク搬送装置によれば、ワーク品種切替の作業終了の時点でレール間隔が自動で検知できるので、ワーク品種切替作業終了から品種切替されたワークの正常な状況下での搬送作業に、または、レール間隔が不良な場合にレール間隔の修正作業に、いずれも時間無駄少なくして速やかに移行できて、ワーク搬送の作業能率を上げることができる。また、レール間隔が不良な状況下でワーク搬送してワークと搬送装置の双方に損傷を与えるといったトラブル発生が確実性よく回避できて、ワーク搬送装置の信頼性改善が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図4を参照して説明する。なお、図1〜図4の実施の形態は、図5のワーク搬送装置に適用したもので、図5と同一または相当部分には同一符号を付して、詳細説明を省略する。
【0023】
図1および図2に示されるワーク搬送装置は、一対のレール2、3を備える。一方は固定レール2であり、他方は固定レール2に対して平行に接近離反動する移動レール3である。各レール2、3の上面内側部分に形成した凹段部2a、3aに、リードフレーム1(以下、ワーク1と称する)の幅方向両端部が保持される。移動レール3と一体の移動板5がガイド6にブロック7を介して保持され、ガイド6に沿ってY方向に前後移動する。移動板5にレール間隔切替ユニット10が連結される。移動板5のカップリング8にドライブシャフト9の先端部が連結され、ドライブシャフト9がパルスモーター13で正逆回転して、移動板5と移動レール3をY方向に前後動させる。移動レール3と固定レール2の間に作業用プレート11、12が適宜に配備される。ワーク1と各プレート11、12は幅の異なる複数品種があり、搬送するワーク1の品種切替でプレート11、12も品種切替される。
【0024】
以上のワーク搬送装置において、本発明は、一対のレール2、3でワーク1を搬送する事前に、一対のレール2、3の間隔を検知するレール間隔検知ユニット20を配備する。レール間隔検知ユニット20は、少なくともY方向に前後移動可能な可動ヘッド部21と、可動ヘッド部21と移動レール3のワーク幅方向(Y方向)での相対移動時に可動ヘッド部21と移動レール3が所定の位置関係になる時点を検出するセンサー部22と、センサー部22からの位置データ信号に基づいてレール間隔を演算する距離データ演算処理部23を備える。距離データ演算処理部23はコンピュータのCPUで、出力側に警報手段24が連接される。
【0025】
可動ヘッド部21は、所定の原点位置から少なくともY方向に往復移動する可動テーブルで、例えばリードフレーム上に接着剤を塗布する既設のXYZテーブル式プリフォームヘッドが適用される。図1と図2に示される符号26は、XYZテーブル式可動ヘッド部21をY方向に移動させるサーボモーターで、X方向と上下のZ方向に移動させるモーターは省略してある。このように可動ヘッド部21に既設の設備を使用することで、レール間隔検知ユニット20の特別な設置スペースが不要となり、特別な可動ヘッド部材の省略で設備費の節約が図れる。
【0026】
センサー部22は、例えば移動レール3と一体の移動板5に固定した光学センサー部品22aと、可動ヘッド部21に固定した遮光板22bを備える。光学センサー部品22aは、投光素子31と受光素子32を所定の間隔で対向させて、両者間にX方向に平行な物体検知用光路を形成する。遮光板22bは、可動ヘッド部21から移動板5の上方まで延在するアーム33の先端部に固定されたY方向に平行な平板で、先端からの延長線が光学センサー部品22aの光路と直交する。なお、図1に示すセンサー部22は、移動板5の上面側に配備した構成となっているが、移動板5の下面側に配備することもできる。
【0027】
図1のワーク搬送装置は、従来同様にしてワーク搬送を行い、ワークの品種が切り替えられると、次のようにレール間隔変更を行う。
【0028】
一対のレール間にワーク1が搬入される事前に、レール間に既にある作業用プレート11、12が作業員の手で外され、パルスモーター13側に新しいワーク1の幅に相当する数値データが入力される。この入力で、まずパルスモーター13が原点復帰動作して、移動板5と移動レール3を図1の鎖線で示す原点位置まで後退させる。次に、パルスモーター13はワーク幅の数値データに基づいて移動板5と移動レール3をY方向に前進させ、レール間隔を品種切替されたワーク1の幅に合うように自動で変更する。この間隔変更の動作に併行して、レール間隔検知ユニット20によるレール間隔検知の動作が行われ、レール間隔が正常に変更されたか否かが自動判定される。レール間隔が正常に変更された場合、新しく搬送されるワーク1の幅に対応させた品種の作業用プレート11、12が作業員の手で設置される。
【0029】
レール間隔検知ユニット20は、図2(A)〜(C)に示すようにしてレール間隔を検知する。移動レール3が原点復帰する動作に合わせて、レール間隔検知ユニット20の可動ヘッド部21側も原点復帰動作が行われる。可動ヘッド部21のY方向での原点復帰は、サーボモーター26で行われて、図2(A)に示すように可動ヘッド部21が定位置のサーボモーター26に最も接近する。図2(A)の移動レール3、移動板5が原点位置にあるとすると、遮光板22bと光学センサー部品22aが最も離れた距離にある。
【0030】
図2(A)の状態で移動板5と移動レール3をY方向に前進させてレール間隔の変更を行い、仮にこの変更が正常に行われた場合の状態を図2(B)とする。図2(B)のレール間隔変更の動作に併行して、サーボモーター26で可動ヘッド部21を前進させて、遮光板22bを光学センサー部品22aの光路に向けて前進させる。図2(C)に示すように、遮光板22bの先端部が光学センサー部品22aの光路に侵入して光路を遮断すると、投光素子31からの光が遮光板22bで遮光されて受光素子32に入射しない。この受光素子32の出力変化を距離データ演算処理部23で検知し、このときの可動ヘッド部21の原点位置からの前進移動距離Lを演算する。レール間隔と比例関係にある移動距離Lから、変更されたレール間隔が算出される。距離データ演算処理部23は、変更されたレール間隔が適正範囲内にあるか否かを判定する。
【0031】
距離データ演算処理部23が、変更されたレール間隔を正常と判定すると、警報手段24を停止状態に保留し、正常を示すランプ表示などをする。この場合、作業員は、新しい品種の作業用プレート設置と、新しい品種のワーク搬送を行う。距離データ演算処理部23が、変更されたレール間隔が適正範囲外にあると判定すると、警報手段24を作動させる。この警報で作業員はレール間隔が正常でないことを速やかに認知して、新しい品種の作業用プレート設置を止め、レール間隔の修正作業に移行する。
【0032】
図3および図4に示す実施の形態のワーク搬送装置は、レール間隔検知ユニット20を、一対のレール2、3を上方から撮像するカメラ部40と、このカメラ部40で撮像された画像データから一対のレール2、3の間隔を算出する画像データ演算処理部41で構成している。画像データ演算処理部41は、その出力側に警報手段24を連接する。
【0033】
カメラ部40は、一対のレール2、3を真上から撮像する例えばCCDカメラである。一対のレール2,3は、上面の定位置にターゲットマーク42、43を有する。カメラ部40は、2つのターゲットマーク42、43を含むレール上を撮像し、撮像した画像データを画像データ演算処理部41に出力する。画像データ演算処理部41は、カメラ部40からの画像データを演算処理して、画像における2つのターゲットマーク42、43の距離Wxから変更されたレール間隔を算出して、レール間隔が正常に変更されたか否かを自動判定する。画像データ演算処理部41がレール間隔適正と判定した場合に、新しく搬送されるワーク1の幅に対応させた品種の作業用プレート11、12が作業員の手で設置される。また、画像データ演算処理部41がレール間隔不適正と判定すると、警報手段24を作動させる。
【0034】
以上のようなカメラ画像からレール間隔を算出するレール間隔検知ユニット20は、既存のワーク搬送装置に手を加えることなく適用できる。
【0035】
なお、本発明のワーク搬送装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態を示す要部の平面図である。
【図2】(A)〜(C)は図1ワーク搬送装置におけるレール間隔検知ユニットの各動作時での平面図である。
【図3】他の実施の形態を示す要部の平面図である。
【図4】図3ワーク搬送装置の要部の側面図である。
【図5】従来のワーク搬送装置の要部の平面図である。
【図6】図5ワーク搬送装置の部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 ワーク、リードフレーム
2 レール、固定レール
3 レール、移動レール
10 レール間隔切替ユニット
11、12 作業用プレート
13 パルスモーター
20 レール間隔検知ユニット
21 可動ヘッド部
22 センサー部
22a 光学センサー部品
22b 遮光板
23 距離データ演算処理部
24 警報手段
26 サーボモーター
40 カメラ部
41 画像データ演算処理部
42、43 ターゲットマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの幅方向両端部を保持してワークを幅方向と直交方向に搬送する略水平な一対のレールと、幅の異なる複数品種のワークの幅に対応させて前記一対のレールの間隔を変更するレール間隔切替ユニットと、前記ワークの品種に対応した幅を有し、前記一対のレール間に着脱自在に配備されてレール上のワークの下面を適宜に保持する作業用プレートを具備したワーク搬送装置において、
前記一対のレールでワークを搬送する事前に、前記一対のレールの間隔を検知するレール間隔検知ユニットを配備したことを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
前記レール間隔検知ユニットに、当該レール間隔検知ユニットで検知したレール間隔が適正範囲外であると作動する警報手段を付設したことを特徴とする請求項1に記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
前記一対のレールは、ワーク搬送方向に平行な固定レールと、この固定レールに対して相対移動する移動レールを具備し、
前記レール間隔検知ユニットは、所定の原点位置からワーク幅方向に移動可能な可動ヘッド部と、この可動ヘッド部と前記移動レールそれぞれに設置され、可動ヘッド部と移動レールのワーク幅方向での相対移動時に可動ヘッド部と移動レールが所定の位置関係になる時点を検出するセンサー部と、前記時点における可動ヘッド部の前記原点位置との距離データに基づいて前記固定レールと移動レールの間隔を算出する距離データ演算処理部を具備することを特徴とする請求項1または2に記載のワーク搬送装置。
【請求項4】
前記レール間隔検知ユニットは、前記一対のレールを上方から撮像するカメラ部と、このカメラ部で撮像された画像データから一対のレールの間隔を算出する画像データ演算処理部を具備することを特徴とする請求項1または2に記載のワーク搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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