一組の歯を構成かつ設計する方法
患者のための幾つかの歯の修復物を設計する、コンピュータで実行される方法が開示され、該方法は、幾つかの歯を含む構成された一組の歯(501)を選択することであって、該幾つかの歯は、互いに対して間隔を空けて配列され、高い審美性の構成を形成する、ことと、該構成された一組の歯(501)を患者の現在の口腔状況(502)のバーチャル三次元表示に適用して、最初の一組の歯(503)を獲得することと、該最初の一組の歯(503)における1つ以上の歯の1つ以上のパラメータを随意的に変更して、最終的な一組の歯を獲得することとを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は概して、患者のための幾つかの歯を設計する、コンピュータで実行される方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
患者が、例えば歯冠、ブリッジ、橋脚歯、またはインプラントのような歯の修復物を必要とするとき、歯科医は、例えば、損傷した歯を研磨して歯冠が接着される場所を調整するなどして、歯を調整する。代替の処置は、例えばチタンネジのようなインプラントを患者の顎の中に挿入して、インプラントに歯冠またはブリッジを取り付けることである。歯を調整した後、またはインプラントを挿入した後、歯科医は、上顎、下顎および咬合レジストレーション(registration)の陥凹または(トリプルトレイ(triple tray)としても知られている)両面トレイに単一の陥凹を作製することができる。
【0003】
陥凹は、歯科技術者に送られ、歯科技術者は、例えばブリッジのような修復物を製造する。修復物を製造する第1のステップは従来、上顎および下顎それぞれの陥凹から上顎および下顎の模型を鋳造することである。模型は通常石膏から作製され、大抵は、バイトレジストレーションを使用して咬合器で整列させられる。咬合器は、実際の咬合および咀嚼動作をシミュレートする。歯科技術者は、咬合器内で歯の修復物を構成して、視覚的に立派な外見およびバイト機能を確実なものにする。咬合器内での鋳造物の正しい整列は、最終的な修復物に対して極めて重要である。
【0004】
歯の修復物を製造するためのCAD技術が急速に広がり、品質を向上させ、コストを低減させ、そして利用できなかった魅力的な材料で製造できる可能性を容易にしている。CAD製造プロセスでの第1のステップは、患者の歯の三次元模型を作成することである。これは従来、歯科石膏模型のうちの1つまたは両方を3Dスキャニングすることによってなされている。歯の三次元複製品は、CADプログラムの中に移入され、CADプログラムにおいて、例えばブリッジの下部構造のような全体的歯の修復物が設計される。最終的な修復物の三次元設計が次に、例えば、ミリングマシン、3Dプリンタ、ラピッドプロトタイピング製造装置、または他の製造装置を使用して製造される。歯の修復物に対する精度要件は非常に高い。そうでない場合、歯の修復物は、視覚的に醜く、歯と適合せず、痛みを引き起こすか、または感染を引き起こし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
患者のための幾つかの歯の修復物を設計する、コンピュータで実行される方法が開示され、該方法は、幾つかの歯を含む構成された一組の歯を選択することであって、該幾つかの歯は、互いに対して間隔を空けて配列され、高い審美性の構成を形成する、ことと、該構成された一組の歯を患者の現在の口腔状況のバーチャル三次元表示に適用して、最初の一組の歯を獲得することと、該最初の一組の歯における1つ以上の歯の1つ以上のパラメータを随意的に変更して、最終的な一組の歯を獲得することとを含む。
【0006】
歯の修復物(複数可)は、設計された最終的な一組の歯の物理的な実現であり得る。従って、最終的な一組の歯を患者に物理的に提供するために、幾つかの歯の修復が実行され得る。従って、本方法が、例えば部分的義歯または総義歯のようなより大きな歯の修復物がCAD技術を使用してもまた容易かつ効果的に作成されることができるようにすることは有利である。従来、幾つかの歯における、例えば、歯冠およびブリッジのような主としてより小さな歯の修復物は、CAD技術を使用して作製されている。しかし、本方法によって、より大きな歯の修復物が、都合よく作製されることができる。なぜならば、設計された歯の修復物または歯は、相互に関係する構成された一組の歯から作られるので、新しい歯を設計することが容易かつ迅速であるからである。なぜならば、出発点が一組の歯であり、この一組の歯において、歯は、互いに対して間隔を空けて配列され、高い審美性の構成を形成するからである。従来、ユーザは、すべての単一の歯を別個に配列しなくてはならず、幾つもの歯が設計されるべき場合は、これは非常に時間がかかる。従って、従来、歯はCADプログラムに別個に格納されてきたが、これは、わずか1つまたは少数の設計された歯が使用される、例えば歯冠およびブリッジのようなより小さな歯の修復物を作製するときは都合が良い。しかし、本方法に従って、設計された歯は、相互に関連する歯の完全な一組として格納されるか、または構成されることができ、多数の歯を含むより大きな歯の修復物が設計されることができることを容易にする。審美的に気持ちが良く、視覚的に気持ちの良い、立派な、見た目の良い、例えば左右対称である微笑を提供するような高い審美性の構成が画定される。
【0007】
ユーザが患者のための一組の歯を作成することができ、この一組の歯を作成する過程における出発点が、幾つかの歯を含む構成された一組の歯であることは有利である。このように、構成された一組の歯は、口の上側アーチ(upper arch)および/または下側アーチ(lower arch)における幾つかの歯、すなわち、1つより多くの歯であり、例えば2つの歯、4つの歯、7つの歯またはすべての歯である。構成された一組の歯における歯は、互いに対して間隔を空けて配列され、相互に関係し合う。間隔を空けた配列または相互関係には、互いに対する歯の位置、方向、回転、高さなどが含まれ得る。このように、構成された一組の歯は、先行技術から公知である並んで配列されることのできる幾つかの単一、個々の歯である代わりに、相互に関連する歯全体である。このように、ユーザが、出発点として構成された一組の歯を使用することによって、患者のための立派な歯の修復物または立派な一組の歯を作成することができることが本発明の利点である。構成された一組の歯は、設計された歯のより良い品質および例えば対称性を提供する。
【0008】
構成された一組の歯が相互に関係していることは有利である。なぜならば、これによって、ユーザが所望の一組の歯を非常に迅速に設計することが容易になるからである。先行技術における、歯を設計する、コンピュータで実行される方法によると、1つより多くの歯に対する歯科作業のための別個の歯は、1つずつ選択された。すなわち、3つの歯に及ぶブリッジを作製するとき、3つの別個の歯が選択され、そしてブリッジが存在するべき線上に並べて配列された。先行技術においては、この場合、歯は一度に1つ個別に変更されなければならず、ユーザが1つの歯に対してなしている変更は、別の歯の変更と整合しないか、または他のすべての歯の変更と整合しない可能性が非常に高い。従って、1つの歯に対する1つの小さな変更が、全体的美観を破壊することがあり得、ユーザは、繰り返し新しい変更を実行してすべての歯の美観を回復しなければならない。しかし、幾つかの歯を設計する出発点が、幾つかの構成された相互に関係する歯であり、単一の歯ではないとき、ユーザが短時間に立派な一組の歯を設計することがより容易かつより迅速となる。
【0009】
患者は、歯の修復物を作製してもらいたい幾つかの異なる理由を有し得る。例えば、患者がより立派な歯を有することを望む場合の美容上の理由、患者が不良な、または貧弱な歯を有する場合や、患者が事故に遭って彼/彼女の歯の幾つか、またはすべてが折れた場合の健康上の理由などである。従って、患者の元の一組の歯とできるだけうまく似ている構成された一組の歯を選択して、次に、患者の元の一組の歯と対応する歯に対する1つ以上のパラメータを変更することによって、最終的な一組の歯が患者の元の一組の歯の特別な外観と完全に似ているか、またはほぼ完全に似ているようにすること、すなわち、患者の元の折れていない一組の歯と非常に良く似ているか、または正確に似ているように、一組の歯が設計されることができることが利点である。
【0010】
ユーザは、歯科技術者、歯科医などであることができる。
【0011】
患者の歯すべてが本方法に従って設計された歯と取り替えられるか、または患者の歯のうちの幾つかが取り替えられることができることが利点である。「一組の歯」という表現は、幾つかの歯、例えば6つの歯、または例えば患者の有することのできる完全な一組の歯を意味する。
【0012】
患者の口腔状況とは、以下の場合、すなわち、
残った歯がない、
1つ以上の歯が残っている、
1つ以上の調整品がある、
1つ以上のインプラントがある、のうち1つ以上を指すことができる。
【0013】
本方法は、幾つかの歯の修復物を設計する方法であり、従って、本方法は、修復歯科学または、歯科補綴学(dental prosthetics)もしくは歯科補綴学(prosthetic dentistry)としても知られている歯科補綴学(prosthodontics)の分野に関連し、歯科補綴学は、欠損している歯、または不完全な歯に関連する。従って、修復歯科学および歯科補綴学は、歯科矯正学とは異なる技術分野である。歯科矯正学は、不正咬合による歯の変位と関連し、歯科矯正学においては、歯はワイヤおよびブラケットまたは締め金もしくはシェル(shell)によって所望の位置に移動させられ、患者はワイヤおよびブラケットまたは締め金もしくはシェルを長い期間にわたって装着しなければならない。従って、歯科矯正学においては、歯は変位させられるが、一方、修復歯科学においては、歯は、例えば、歯冠、ブリッジ、橋脚歯、インプラント、義歯などが作製され、そして患者の口の中に配列されるなどして、修復される。従って、歯科矯正学においては、歯は、互いに対して動かされるが、一方、修復歯科学においては、1つ以上の歯が、歯冠、インプラント、義歯などの形で、少なくとも部分的に修復物と取り替えられる。あるいは、歯が欠損している所では、修復物が作製され、それによって、欠損した歯は、修復物と取り替えられ、この例としては、ブリッジの架工歯、インプラントなどがある。従って、歯の修復物とは、欠損している歯の構造体の取り替えを指す。
【0014】
歯の修復物には、歯冠、ブリッジ、架工歯、橋脚歯、インプラント、義歯、インレー、アンレー、ポストおよびコアまたはインレーコア、取り外しできる物などが含まれ得る。
【0015】
一部の実施形態において、本方法は、最初の一組の歯における1つ以上のパラメータを随意的に変更するとき、最初の一組の歯全体を随意的に総体的に変更することをさらに含む。
【0016】
ユーザが、最初の一組の歯全体に対する1つ以上のパラメータを非常に迅速に変更することができることは有利である。なぜならば、これによって、最初の一組の歯は、迅速かつ確実に設計されることができるからである。ユーザが、最初の一組の歯に対する様々な変更を視覚的に観察することができ、従って、それら変更を試験し、評価することができ、それによって、どの一組の歯が特定の患者に対して最良であるかを評価することができることは有利である。従って、最初の一組の歯全体の総体的な変更は、様々な歯のデザインおよび外観の容易かつ迅速な試験を可能にし、この最初の一組の歯の相互作用的な変更は、患者とユーザ双方にとって有利である。なぜならば、患者とユーザ双方は、歯がどのように見えるか、その様々な見え方を実際に見ることができるからである。
【0017】
一組の歯全体を総体的に一回で変更することは、全体的変更または共通的変更もしくは総体的変更を意味することがあり得る。一度に1つの歯を変更することは、局所変更または個別変更もしくは別個変更もしくは単一変更を意味することがあり得る。従って、本方法は、歯が共通的にも個別的にも変更されることができるようにする。これは有利である。なぜならば、例えば、すべての歯が0.2mm長くあるべきであれば、すべての歯が総体的に変更されて迅速かつ同一の変更が確実に行われるような変更が適用され、一方、例えば、ただ1つの歯が他の歯に対して少々ゆがんでいれば、単一の歯に適用される変更が個別に適用されることができるからである。
【0018】
本方法が、一組の歯全体を総体的に一度にまたは一回で変更するという選択肢を含むことは有利である。なぜならば、これによって、患者のための一組の歯を設計しているユーザにとって大きな時間の節約になるからである。従来、ユーザは、一度に1つの歯を変更することができるのみであった。なぜならば、歯の設計または歯の修復に対するソフトウェアアプリケーションは、一度に1つの歯を変更することをサポートするのみであったからである。従来、患者のための一組の歯全体を設計することは、これまでは、手作りで実行されてきた。なぜならば、デジタル的に一度に1つの歯を変更することもまた、時間がかかるからである。従って、幾つかの歯または一組の歯全体が総体的に変更され得ることは有利である。なぜならば、それによって、より良い結果が提供され、多くの時間が節約されるからである。
【0019】
本方法に従い、歯の相互関係により、歯が総体的に変更されることができることは有利である。なぜならば、これによって、ユーザが立派な一組の歯を非常に迅速に設計することが非常に容易となるからである。先行技術の方法によると、一度に1つの歯のみが変更されることができ、各歯が別個に変更された場合は、ユーザが1つの歯に対してなしている変更は、別の歯の変更と整合しないか、または他のすべての歯の変更と整合しない可能性が非常に高い。従って、1つの歯に対する1つの小さな変更が、全体的美観を破壊することがあり得、ユーザは、繰り返し新しい変更を実行して以前の変更を補正することがあり得る。しかし、本方法により、一組の歯全体が全体として変更されることができるとき、ユーザが短時間に立派な一組の歯を設計することがはるかに容易かつ迅速となる。
【0020】
全体または一組の歯全体に対する座標系が規定され得、各個別の歯に対する座標系が規定され得、そして、顔に対する座標系が規定され得る。プログラムの方式に依存して、様々な座標系が画面上に示され得る。一組の歯における各個別の歯は、個別に保存または格納されることができ、他の歯とのその相互関係もまた保存される。
【0021】
例えば、患者が元々かなり短い歯を持っており、患者はその歯を折り、元の一組の歯に似ている新しい一組の歯を持ちたいと望む場合、そして、患者の元の短い歯に似ている構成された一組の歯は入手できない場合は、最初の一組の歯が総体的に一回で短くなることができることにより、最終的な一組の歯が、患者の特定の望みと実際に似ることはさらなる利点である。
【0022】
一部の実施形態において、本方法は、最初の一組の歯における1つ以上のパラメータを随意的に変更するとき、最初の一組の歯における幾つかの歯を随意的に総体的に変更することをさらに含む。従って、一組の歯全体を一回で変更するか、または一度に1つの歯を変更する他に、幾つかの歯が総体的に変更されることができる。すなわち、より大きな一組の歯における、例えば5つの歯のようなサブセットが、総体的に変更されることができる。これは、群変更またはサブセット変更を意味し得る。
【0023】
一部の実施形態において、本方法は、製造のために少なくとも幾つかの設計された歯の修復物または歯を選択することをさらに含む。最終的な一組の歯は、新しい一組の歯のバーチャル設計である。患者に新しい歯を提供するために、幾つかの歯の修復物が要求され得る。従って、これらの新しい歯を製造するために、要求される歯の修復物が決定され得る。歯の修復物は、存在する歯と最終的な一組の歯における設計された歯との間の相違に基づき得る。患者が、例えば、歯全体を欠損するか、または歯全体が患者の口から引き抜かれる必要がある場合は、例えば、橋脚歯および/または歯冠もしくはベニアリング(veneering)を有するインプラントが製造され得、そして欠損した歯の場所に組み込まれ得るか、または欠損した歯の場所に架工歯が配列される場合は、ブリッジが製造され得る。ブリッジは隣接する歯に取り付けられ得、従って、2つの隣接する歯は、研磨されることによって調整され得、それによって、歯冠が各隣接する歯に取り付けられることができる。従って、最終的な一組の歯に基づいて、1つ以上の歯の修復物が必要とされることが決定されて、最終的な一組の歯を獲得する。このようにして、これらの歯の修復物が設計され得る。例えば、最終的な一組の歯が、ブリッジが作製されることを要求すると決定されると、例えば、それらの間に架工歯を有する2つの歯冠が作製されなくてはならず、これら2つの歯は、歯冠の取り付けに対して調整されなくてはならず、そして、インプラント橋脚歯上に歯冠を有するインプラントと共に、ブリッジに含まれない1つの通常の歯冠もまた要求され得る。
【0024】
一部の実施形態において、本方法は、患者の現在の口腔状況の表示を適用する前に構成された一組の歯における1つ以上の歯の1つ以上のパラメータを随意的に変更して、変更された構成された一組の歯を獲得することをさらに含む。変更が、構成された一組の歯に対してなされることができることは有利である。なぜならば、それによって、例えば絶対になされなくてはならない変更が、設計プロセスの前にすでになされることができるからである。例えば、患者が、彼の中央の歯がある点で傷つけられることを望む場合は、ユーザは、中央の歯に対するこの変更を構成された一組の歯においてなすことができ、それによって、傷つけられた中央の歯に対する設計が、さらになされる可能性のある変更のための出発点となる。これによって、設計プロセスがより迅速かつよりユーザフレンドリとなる。なぜならば、変更が異なるステップにおいて実行されることができるからである。このようにして、一組の歯上での変更が、患者の現在の口腔状況または現在の一組の歯が、構成された一組の歯に適用される前と、患者の現在の口腔状況または現在の一組の歯が、構成された一組の歯に適用された後との両方でなされることができる。従って、構成された一組の歯は、正規のもしくは型板の構成された一組の歯であるか、または変更された構成された一組の歯であり得る。
【0025】
一部の実施形態において、本方法は、口腔内スキャナを使用して現在の口腔状況をスキャニングすることによっておよび/または患者の現在の口腔状況のネガティブ陥凹の表面をスキャニングすることによっておよび/または患者の現在の口腔状況のポジティブ模型の表面をスキャニングすることによって、患者の現在の口腔状況の三次元バーチャル表示を獲得することをさらに含む。患者の現在の口腔状況または現在の一組の歯の三次元表示を獲得することは有利である。なぜならば、構成された一組の歯は、2組の歯を整合させるように、および/または2組の歯が比較されるように、現在の1組の歯の上に重ねられ、口腔状況のバーチャル表示がスキャンイングの何らかの手段によって獲得されるとき、その表示は、高い品質のものであることができ、それによって、最終的な設計または最終的な一組の歯は、非常に高い品質のものとなり、および残りの歯とうまく整合するからである。
【0026】
一部の実施形態において、本方法は、口腔内スキャナを使用して元の一組の歯をスキャニングすることによっておよび/または患者の元の歯のネガティブ陥凹の表面をスキャニングすることによっておよび/または患者の元の歯のポジティブ模型の表面をスキャニングすることによって、患者の元の一組の歯の三次元バーチャル表示を獲得することをさらに含み、この元の一組の歯の表示は、患者の歯が調整される前に提供される。一組の歯が調整される前に、いわゆる事前調整スキャニングがなされることができ、それによって、患者の元の一組の歯も視覚化されることができ、それによって、ユーザは、患者の元の一組の歯の完全な複製品または模倣品(これが患者の所望するものである場合)である最終的な一組の歯を提供するために新しい歯を設計するとき、患者の元の歯を考慮に入れることができるのは有利である。
【0027】
一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、歯の相対的な位置によって画定された歯の湾曲を含む。
【0028】
一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、歯のスケーリングを含む。歯のスケーリングは、歯の長さ、幅などを含む。
【0029】
一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、顔の中線に対する歯の回転を含む。
【0030】
一部の実施形態において、顔の中線に対する歯の回転は、
基本的な審美的構成、
強い審美的構成、または
弱い審美的構成
から選択される構成または構成の組み合わせを作成する。
【0031】
顔の中線に対する歯の回転が変更されることができることは有利である。なぜならば、この角度は、歯の審美的外観にとって重要であるからである。歯の回転については、以下の3つの通常の、または伝統的な審美的構成があり得る。すなわち、基本的な審美的構成、この構成においては、歯の回転は、中線に対して中立、または垂直である。強い審美的構成、この構成においては、回転は、歯の遠心点が中線に対して外向きとなるような回転である。弱い審美的構成、この構成においては、歯の遠心点は、中線に対して内向きとなる。このように、歯の回転が、3つの伝統的な構成のうちの1つまたはそれらの組み合わせを提供することは有利である。
【0032】
一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、中央の歯の幾何学的形状を含む。
【0033】
一部の実施形態において、中央の歯の幾何学的形状は、
卵形、
三角形、もしくは
長方形/正方形
であるか、またはこれらから選択される組み合わせである。歯の幾何学的形状が変更されることができることは有利である。なぜならば、歯の形状は、歯の審美的外観にとって重要であるからである。中央の歯の形状には、以下の3つの異なる通常の、または伝統的なタイプがあり得る。卵形、この形状においては、歯の唇側の表面から反射される光は、丸形または卵形に似ている。三角形、この形状においては、歯の唇側の表面から反射される光は、三角形に似ている。長方形/正方形、この形状においては、歯の唇側の表面から反射される光は、長方形/正方形に似ている。
【0034】
一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、小臼歯および/または大臼歯の幾何学的形状を含む。小臼歯および大臼歯に対して、幾何学的形状は、例えば、N,T,Kと表記され得る。
【0035】
一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、歯の長さを含む。歯の長さが変更されることができることは有利である。なぜならば、歯の長さは、歯の審美的外観にとって重要であるからである。歯の長さは、ミリメートルまたは他の測定システムで測定されることができる。
【0036】
一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、他の歯に対する歯の長さを含む。歯の相対的長さが変更されることができることは有利である。なぜならば、歯の相対的長さは、歯の審美的外観にとって重要であるからである。
【0037】
一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、他の特定の歯に対する特定の歯の大きさを含む。
【0038】
一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、中央の歯に対する側歯の大きさを含む。例えば、中央の歯に対する側歯の大きさが変更されることができることは有利である。なぜならば、歯の相対的な大きさ、または他の歯に対する歯の大きさは、歯の審美的外観にとって重要であるからである。例えば、側歯の大きさは、中央の歯の大きさの約61.8%であり得、これは、人間の脳が視覚的に気持ち良い、または魅力的であると感じる黄金比に対応する。別の例では、側歯が中央の歯の大きさの77%であり得るが、しかしこれは、一部の患者にとっては、大きすぎるように見えることがあり得る。さらに別の例では、側歯は、中央の歯の大きさの2/3であり得る。しかしながら、中央の歯に対する側歯の大きさは、ユーザおよび/または患者によって決定される任意の他の関係であり得る。
【0039】
一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、側歯に対する犬歯の大きさを含む。
【0040】
例えば、側歯に対する犬歯(cuspid teeth)または犬歯(canine teeth)の大きさが変更されることができることは有利である。なぜならば、歯の相対的な大きさ、または他の歯に対する歯の大きさは、歯の審美的外観にとって重要であるからである。例えば、犬歯(cuspid teeth)または犬歯(canine teeth)の大きさは、側歯の大きさの約61.8%であり得、これは、人間の脳が視覚的に気持ち良い、または魅力的であると感じる黄金比に対応する。別の例では、犬歯は、側歯の大きさの2/3であり得るが、しかしこれは、一部の患者にとっては、大きすぎるように見えることがあり得る。しかしながら、側歯に対する犬歯の大きさは、ユーザおよび/または患者によって決定される任意の他の関係であり得る。
【0041】
一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、歯間の間隙の大きさを含む。歯間の間隙の大きさが変更されることができることは有利である。なぜならば、歯間の間隙の大きさは、歯の審美的外観にとって重要であるからである。上側アーチおよび/または下側アーチにおける中央の歯間の間隙は変更され得、この間隙は最も眼に入る間隙である。しかしながら、すべてのまたは一部の間隙は変更され得る。
【0042】
一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、歯の形状を含む。歯の形状またはモルフが変更されることができることは有利である。なぜならば、歯の概略の形状は、歯の審美的外観にとって重要であるからである。シェーピングまたはモーフィングには、材料の平滑化、変形、再配置、削除または付加が含まれ得る。例えば、材料を再配置するとき、歯の最も厚い部分からの材料は、歯のより狭い部分へ移動させられることができる。
【0043】
一部の実施形態において、本方法は、歯のミラーリングをさらに含む。ミラーリングが実行されることができることは有利である。なぜならば、このとき、ユーザは、設計されるべき歯すべてに対して働きかけたり、これらを変更したりする必要がなく、ユーザは、例えば、アーチの左側における歯を設計するのみで、設計された歯を次にアーチの右側にミラーリングするだけでよいからである。1つ以上の歯がミラーリングされることができる。患者が、例えば、彼/彼女のアーチの左側における1つ以上の歯を設計してもらう必要があり、このとき、患者のアーチの右側における本物の折れていない歯が、模倣またはスキャンおよびコピーされ、ミラーリングによってアーチの左側に移されることができる場合は、ミラーリングが実行されることができることは有利である。
【0044】
一部の実施形態において、本方法は、歯のクローニングをさらに含む。クローニングには、歯のコピーまたは他の歯と似ている新しい歯の作成が含まれる。クローニングは、1つ以上の既存の歯からのクローニング、1つ以上の調整前の歯、すなわち調整される前の歯からのクローニング、ワックスアップスキャンなどでの1つ以上の歯のクローニングであり得る。
【0045】
一部の実施形態において、本方法は、対咬歯に対する衝突マッピングを提供することをさらに含む。対咬歯との衝突マッピングが提供されることができることは有利である。なぜならば、それによって、ユーザが、設計された歯に対して十分なスペースが患者の口の中に実際に存在するかどうかをチェックすることが容易かつ迅速になるからである。
【0046】
一部の実施形態において、本方法は、最終的な一組の歯をバーチャル保持手段にバーチャル的に適合させることをさらに含む。バーチャル保持手段は、実際の保持手段と対応する。保持手段は、歯の修復物、すなわち新しい歯を保持するように適合される。歯の修復物は、新しい歯、最終的な一組の歯の物理的な実現、補綴物または補綴部品を意味し得る。従って、保持手段は、歯冠またはブリッジに対する調整歯またはダイであり得、インプラントに対する顎骨であり得、橋脚歯に対するインプラントであり得、歯冠に対する橋脚歯であり得、義歯の人工的歯肉部分であり得る。従って、最終的な一組の歯における歯の修復物または1つ以上の人工歯は、例えば1つ以上の保持手段のような保持手段に取り付けられ得る。最終的な一組の歯がブリッジである場合は、保持手段は、2つの調整された歯またはダイであり得る。最終的な一組の歯が、総義歯または部分的な義歯に対する幾つかの歯である場合は、保持手段は、義歯の歯肉部分であり得る。適合はまた、接続を意味することもあり得る。一組の歯は、保持手段に取り付けられ得る。従って、幾つかの歯の修復物を設計することには、保持手段への歯の修復物の取り付けを決定して最終的な一組の歯を実現することが含まれ得る。
【0047】
一部の実施形態において、本方法は、最終的な一組の歯を保持手段に合わせてカットすることをさらに含む。カッティングとはまた、バーチャルカッティングまたはデジタルカッティングを意味することがあり得る。一組の歯が、一組の歯の設計が完了する前に、保持手段にバーチャル的に適合されたり、これと整列させられたり、またはこれに固定されたりしないことは有利である。なぜならば、歯が保持手段に適合されないときに歯を設計する方がより容易であり、バーチャル的により良好であるからである。さらに、一組の歯が例えば解剖学的位置のような正しい位置に適合されず、固定もされないときに一組の歯を座標系において変更しかつ/または動かす方が、処理ユニットから必要とされる処理パワーが少なくて済む。正しい位置は、例えば調整品のような保持手段の位置に基づき得、および/または、患者の歯の実際の模型またはバーチャル模型からのマージンライン(margin line)に基づき得る。例えば既存の調整歯のような保持手段と最終的な一組の歯との間の移行部または境界面は、ジョイントスプライン(joint spline)によって決定され得、従って、保持手段および最終的な一組の歯は各々、スプラインを有し、これらの2つのスプラインは、移行部または境界面において共に適合されるか、または接合される。保持手段と最終的な一組の歯との間の移行部または境界面は、例えば形状、大きさ、内部形式、外部形式、厚さなどについて、歯の修復物を決定するために決定され得る。
【0048】
一組の歯または歯の修復物の内部表面は、保持手段の外部表面と適合し、これに合わせてカッティングされ、またはこれと接続されなくてはならない。歯の修復物の内部表面は、保持手段の外部表面の形状と対応し得る。歯の修復物と保持手段との間にはセメント間隙があり得、このセメント間隙は、表面全体に沿って同じ厚さを有し得るか、または厚さは、例えばドリル補正などによって変化し得る。従って、一組の歯は、歯の修復物であって、該歯の修復物は、歯冠を含み得るか、または歯冠であり得、該歯冠は、調整された歯に接着され得る、歯の修復物と、1つ以上の調整された歯に接着され得るブリッジと、歯冠であって、該歯冠は、インプラント橋脚歯に接着され得、該インプラントは、顎骨にねじ込まれた、歯冠とを備えており、該一組の歯は義歯に対するものであり、該一組の歯は、患者の口の中に取り外し可能または固定のいずれかで配列される該義歯の歯肉部分に挿入され得る。
【0049】
一部の実施形態において、本方法は、最終的な一組の歯を歯肉に合わせてバーチャル的にカットすることをさらに含む。バーチャル的カッティングは、自動的に実行され得る。新しい歯を設計した後、この新しい歯は、バーチャル模型の歯肉に合わせてカットされなくてはならず、それによって、設計された最終的な一組の歯に基づいて生成された、たとえば、人工歯のような歯の修復物が、歯肉と近接しているか、またはこれと接触している場合には、患者の口の中の実際の歯肉と適合するようにする。義歯の場合には、最終的な一組の歯が歯肉にバーチャル的にカットされ得、それによって義歯中の人工歯は、それらが義歯の人工歯肉と適合するように生成される。義歯の中にあって眼に見える人工歯の部分は、歯肉と適合するように設計され得る。義歯の中にあって眼に見えない人工歯の部分が存在し得る。なぜならば、それらは、義歯の歯肉部分の内側に配列されるからである。人工歯肉は通常、アクリル材料から作製される。ブリッジの架工歯は自動的にカットされ得るか、または歯肉の調整ラインまたはマージンラインと適合され得る。調整ラインまたはマージンラインは架工歯に対するものであり得る。架工歯と歯肉との間の間隙またはスペースが画定され得る。架工歯と歯肉との間には間隙がないことがあり得、これは、ゼロミリメートルの間隙に対応し得る。歯冠は、自動的にカットされ得るか、または歯肉における調整ラインまたはマージンラインと適合され得る。歯冠と歯肉との間に間隙またはスペースが画定され得、間隙は、ゼロミリメートルであり得る。
【0050】
一部の実施形態において、本方法は、最終的な一組の歯を歯肉におけるその解剖学的に正しい位置に適合させることをさらに含む。一組の歯が、一組の歯の設計が完了する前に、歯肉に適合されたり、これと整列させられたり、またはこれに固定されたりしないことは有利である。なぜならば、歯が歯肉に適合されないときに歯を設計する方がより容易であり、バーチャル的により良好であるからである。さらに、一組の歯が正しい解剖学的位置に適合されず、固定もされないときに一組の歯を座標系において変更しかつ/または動かす方が、処理ユニットから必要とされる処理パワーが少なくて済む。正しい解剖学的位置は、例えば調整品のような保持手段の位置に基づき得、および、患者の歯の実際の模型またはバーチャル模型からのマージンラインに基づき得る。既存の調整歯と新しい設計された歯との間の移行部は、ジョイントスプラインによって決定され得、従って、調整歯と設計された歯とは各々、スプラインを有し、これらの2つのスプラインは、移行部において共に適合されるか、または接合される。
【0051】
一部の実施形態においては、一組の歯は、この一組の歯が最終的な一組の歯になる前に、保持手段におよび/または歯肉に適合され/これにカットされ得る。これによって処理時間が増加し得る。なぜならば、一組の歯と保持手段および/または歯肉との間の境界面が、一組の歯に変更が加えられるたびに計算されなくてはならないからである。しかし、一部の場合においては、一組の歯が歯肉に対して正しく視覚化されることがユーザによって好まれ得る。
【0052】
一部の実施形態において、本方法は、保持手段をバーチャル的に設計することをさらに含む。たとえば歯のような保持手段が、患者の口腔状況のバーチャル三次元表示が獲得される前に、歯の修復物の取り付けに対して調整されない場合は、保持手段はバーチャル的に設計され得る。保持手段は、最終的な一組の歯および歯の修復物に基づいて設計され得る。保持手段はまた、患者の口腔状況のバーチャル三次元表示が獲得される前にすでに調整されているにもかかわらず、バーチャル的に設計されることもあり得る。なぜならば、設計された最終的な一組の歯または歯の修復物が、保持手段が異なるように調整されることを要求するか、または保持手段が異なるように調整されることから利益を得ることがあり得るからである。
【0053】
一部の実施形態において、本方法は、歯の上に重ねられるバーチャル案内ラインを付加することをさらに含む。案内ラインを付加することにより、ユーザが、例えば互いに対する歯の回転または角度の変更を制御するか、または例えば歯の長さを変更することが容易になることは有利である。なぜならば、歯の長さは、案内ラインによって測定されることができるからである。
【0054】
一部の実施形態において、本方法は、下側アーチおよび/または上側アーチにおける歯の修復物または歯を設計することと、下側アーチと上側アーチとを適合させることとを含む。
【0055】
一部の実施形態において、構成された一組の歯は、構成された一組の前歯と構成された一組の大臼歯とを含み、構成された一組の歯の各々は別個に選択される。構成された一組の歯の様々な部分が別個に選択されることができることは有利である。なぜならば、これによって、所望の最終的な一組の歯を設計および獲得するためのさらなる選択肢が提供されるからである。
【0056】
一部の実施形態において、構成された一組の歯は、幾つかの異なる構成された一組の歯を含む電子図書館から選択され、この構成された一組の歯は、標準的な一組の歯であることができ、および/またはユーザによって電子図書館に付加されることができる。構成された一組の歯が、一組の歯を決定するパラメータの通常の組み合わせを含むことができることは有利である。例えば、構成された一組の歯は、長方形の歯との強力な構成、長方形の歯との弱い構成、卵形の歯との弱い構成などを含むことができる。
【0057】
一部の実施形態において、本方法は、ユーザが、構成された一組の歯の1つ以上のパラメータを規定することによって構成された一組の歯を生成するという選択肢を有することをさらに含む。構成された一組の歯がこのように動的に生成されることができることは有利である。パラメータは、構成された一組の歯を変更するときに使用される同じ一組のパラメータから選択され得る。ユーザは、構成された一組の歯に対する幾つかのパラメータを規定するが、それらは、曲線またはスマイル曲線(smile curve)、すなわち歯の相対的な位置および歯の高さ、審美的構成、すなわち、たとえば基本的な構成、強い構成、または弱い構成のような歯の回転、例えば卵形、三角形、または長方形のような中央の歯または前歯の形状、および小臼歯および大臼歯の形状であり得、構成された一組の歯がそれに基づいて生成される。
【0058】
一部の実施形態において、本方法は、永続的または一時的な補綴物を設計することを含む。
【0059】
一部の実施形態において、本方法は、部分的な義歯の補綴物または総義歯の補綴物を設計することを含む。義歯は、取り外し可能であるか、または固定された義歯であることができる。
【0060】
一部の実施形態において、本方法は、患者の顔を考慮して歯の修復物または一組の歯を設計するために、フェーススキャナによって患者の顔の輪郭をスキャンすることをさらに含む。患者の顔を考慮して一組の歯を設計することは有利である。なぜならば、例えば、卵形の歯は卵形の顔の形に適し得、長い歯は長円形の顔の形に適し、またはその逆もあり得るように、歯が顔と整合するように調節されることができるからである。フェーススキャンを実行するとき、正中線が見出されるが、正中線は、歯を設計するときに使用するのが有利または有用であることができる。あるいはおよび/またはさらに、X線スキャニングが使用されることができ、それによって、患者の顔または骨構造に関する情報を獲得し、この情報は、歯の修復物または新しい歯を設計するために使用されることができる。
【0061】
一部の実施形態において、本方法は、デジタル的な歯の修復作業のための既存の電子プログラムにおいて実行されるように構成される。
【0062】
本発明は、以上記載された方法および以下に記載される方法、ならびに対応する方法、デバイス、システム、用途および/またはプロダクトミーンズ(product means)を含む様々な局面に関し、各々は、最初に述べられた局面と関連して記載された利益および利点のうちの1つ以上を生み出し、および、各々は、最初に述べられた局面と関連して記載された実施形態および/または添付の請求項に開示された実施形態と対応する1つ以上の実施形態を有する。
【0063】
特に、本明細書には、プログラムコード手段を備えているコンピュータプログラムプロダクトが開示され、該プログラムコード手段は、該プログラムコード手段がデータ処理システム上で実行されるとき、該データ処理システムに本方法を実行させるためのものである。
【0064】
また、コンピュータ読み取り可能媒体を備えているコンピュータプログラムプロダクトも開示され、該コンピュータ読み取り可能媒体は、該コンピュータ読み取り可能媒体に格納されたプログラムコード手段を有する。
【0065】
特に、本明細書には、患者のための幾つかの歯の修復物を設計するためのシステムが開示されており、該システムは、
幾つかの歯を含む構成された一組の歯を選択するための手段であって、該幾つかの歯は、互いに対して間隔を空けて配列され、高い審美性の構成を形成する、手段と、
該構成された一組の歯を患者の現在の口腔状況のバーチャル三次元表示に適用して、最初の一組の歯を獲得するための手段と、
該最初の一組の歯における1つ以上の歯の1つ以上のパラメータを随意的に変更して、最終的な一組の歯を獲得するための手段と
を備えている。
【0066】
該システムは、コンピュータで実行される設計のためのシステムであり得る。該システムは、コンピュータで実行されるシステムであり得る。
【0067】
幾つかの歯の修復物を設計することは、一組の歯を設計することを意味することがあり得、そのように、患者のための一組の歯を設計する、コンピュータで実行される方法が開示されており、該方法は、
幾つかの歯を含む構成された一組の歯を選択することであって、該幾つかの歯は、互いに対して間隔を空けて配列され、高い審美性の構成を形成する、ことと、
該構成された一組の歯を患者の現在の口腔状況のバーチャル三次元表示に適用して、最初の一組の歯を獲得することと、
該最初の一組の歯における1つ以上の歯の1つ以上のパラメータを随意的に変更して、最終的な一組の歯を獲得することと
を含む。
【0068】
また、該方法によって設計される患者のための歯の修復物も開示される。
【0069】
添付の図面を参照して、上記の本発明の目的、特徴及び利点ならびに/またはさらなる目的、特徴及び利点が、以下の例示的かつ非限定的な本発明の実施形態の詳細な説明によってさらに解明される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、本方法の流れ図の例を示す。
【図2】図2は、構成された一組の歯の例を示す。
【図3】図3は、構成された一組の歯の変更の例を示す。
【図4】図4は、患者の現在の口腔状況の例を示す。
【図5】図5は、最初の一組の歯の例を示し、この最初の一組の歯において、構成された一組の歯が、患者の現在の口腔状況に適用されている。
【図6】図6は、最初の一組の歯の様々なパラメータの総体的な変更の例を示す。
【図7】図7は、最初の一組の歯の様々な局所パラメータの個別の変更の例を示す。
【図8】図8は、最終的な一組の歯の例を示す。
【図9】図9は、設計された一組の歯のための保持手段の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
(詳細な説明)
以下の説明において、参照が添付の図面に対してなされ、添付の図面は、本発明がどのように実行されるかを例示している。
【0072】
本方法は、本方法を実行するために適切なコンピュータプログラムで実行される。コンピュータに接続された画面が提供され得、ユーザは、この画面上で、このプログラムのユーザインターフェースを見ることができ、そして、例えばコンピュータキーボード、コンピュータマウス、タッチスクリーン、スペースボール(space ball)、タッチパッドなどによって、ユーザは、例えば画面上に見られる特徴を選択、変更するなどデマンドを実行することができる。プログラムは、計算を実行するか、またはユーザがなしたデマンドに対応する変化を画面ビュー上で見せる。本方法がその中で実行されることができるプログラムは、より大きなプログラムの一部であることができ、別個のプログラムであることができ、他のプログラム、他のハードウエア、ソフトウエアまたはファームウエアなどと通信するための手段を有することができる。
【0073】
図1は、本方法の流れ図の例を示す。ステップ101において、構成された一組の歯が選択され、この構成された一組の歯は、幾つかの歯を含み、これら幾つかの歯は、互いに対して間隔を空けて配列される。ステップ102において、患者の現在の口腔状況のバーチャル三次元表示が提供される。ステップ103において、構成された一組の歯は、患者の現在の口腔状況のバーチャル三次元表示に適用されて、最初の一組の歯を獲得する。ステップ104において、この最初の一組の歯における1つ以上の歯の1つ以上のパラメータが変更されて、最終的な一組の歯を獲得する。
【0074】
図2は、構成された一組の歯の例を示す。構成された一組の歯201は、この例においては、下から見られ、上側アーチの歯である。図は、歯の相対的な位置によって画定された歯の湾曲の例を示す。構成された一組の歯は、幾つかの異なる構成された一組の歯を含む電子図書館から選択されることができるか、またはユーザは、歯に対する1つ以上のパラメータを規定することによって自分で構成された一組の歯を設計することができる。構成された一組の歯201における歯は、互いに対して配列され、間隔を空けて相互に関係している。構成された一組の歯201における歯は、例えば大きさ、形状など幾つかのパラメータに基づいて選択されることができる。中線206が示され、この中線に垂直である線212が示されている。線212の機能は、ユーザのためにビジュアル方向を改良することである。このようにして、完全な構成された一組の歯に対する全体座標系が規定され、それによって回転、位置決めなどが、完全な構成された一組の歯に対して制御されることができる。第一大臼歯の周りのボックス213は、座標系が各歯に対して規定されることができ、それによって回転、位置決めなどが、各個の歯に対して制御されることができることを示す。
【0075】
図3は、構成された一組の歯の変更の例を示す。構成された一組の歯301における歯305は個別に変更される。この例において、歯305は、中線306に対して回転させられる。歯305に対して特定の座標系307が、歯305上に示され、プログラムは、歯が、例えば回転、並進など位置決めに対して変更されることができるモードにあることをユーザに示す。歯はまた、例えば長さ、厚さ、質量の分布など形状に関しても変更されることができる。
【0076】
図3以下の図は、本方法が実行されることのできるプログラムからのスクリーンショットを示す。
【0077】
図4は、患者の現在の口腔状況の例を示す。現在の口腔状況402は、この例においては、何らかの歯科表記法ではno.9と表記され得る右中央の歯408が歯冠に対して調整され、左中央の歯no.8、409は欠損しており、側歯no.7、410も歯冠に対して調整され、犬歯(canine)または犬歯(cuspid)no.6、411は、変更されず、歯の修復に対して調整されない。現在の口腔状況402は、患者の現在の一組の歯または欠損している一組の歯の三次元バーチャル表示であることができる。三次元バーチャル表示は、口腔内スキャナを使用して患者の現在の口腔状況または一組の歯をスキャニングすることによっておよび/または患者の現在の歯のネガティブ陥凹の表面をスキャニングすることによっておよび/または患者の現在の歯のポジティブ模型の表面をスキャニングすることによって獲得されることができる。
【0078】
図5は、最初の一組の歯の例を示し、この最初の一組の歯において、構成された一組の歯が、患者の現在の口腔状況に適用されている。最初の一組の歯503は、構成された一組の歯501と患者の現在の口腔状況502との組み合わせである。この場合、構成された一組の歯501からの4つの歯508、509、510および511は、現在の口腔状況502に適用される。しかしながら、他の場合においては、構成された一組の歯からの歯すべてが現在の口腔状況に適用され得、その結果、現在の歯または元の歯は残らない。他の場合においては、患者がいくつの歯を交換してもらうことを所望するかに依存して、構成された一組の歯からの4つより多くのまたは4つより少ない歯が、現在の口腔状況に適用される。
【0079】
図6は、最初の一組の歯の様々なパラメータの総体的な変更の例を示す。
【0080】
図6aは、最初の一組の歯の総体的な回転の例を示す。相対的に変更されるパラメータは、この例では回転であり、変更は、中線に関して、最初の一組の歯603における組み立てられた4つの歯608、609、610、611に対して実行される。4つの組み立てられた歯608、609、610、611は4つともすべて、総体的に回転させられ、その結果、それらはいずれも、現在の口腔状況における残りの歯に対して斜めになっている。全体的または共通的回転は、印の付いた円614で示され、例えば、歯611の長さを対応する図5の歯511の長さと比較した場合に、組み立てられた歯が、同時かつ一様にまたは同一に回転させられたことが明確に見られる。これは、全体的回転の例であり、この全体的回転においては、幾つかの歯が総体的に、すなわち同時かつ、例えば同一に回転させられる。
【0081】
図6b)は、最初の一組の歯の総体的なシェーピングの例を示す。総体的に変更されるパラメータは、この例ではシェーピングまたはモーフィングであり、変更は、最初の一組の歯603における組み立てられた4つの歯608、609、610、611に対して実行される。組み立てられた歯608、609、610、611は4つともすべて、総体的にシェーピングし直されまたはモーフィングされ、その結果、それらの形状または幾何学的形状が同時かつ一様にまたは同一に変化させられる。全体的もしくは共通的シェーピングまたはモーフィングは、総体的に変更させられた歯上のドット615によって、および総体的に変更させられた歯のバイティングエッジ(biting edge)に沿った線を形成するドット616によって示される。歯608、609、610、611は、総体的にシェーピングまたはモーフィングされ、元の点が、歯609のバイティングエッジの近心点にあり、そしてシェーピングまたはモーフィングは、その元の点における小さな圧縮に向けられ、それによって2つの中央の歯609、608は、傾斜のついたバイティングエッジ有し、これら傾斜の付いたバイティングエッジは逆の方向であることが見られる。他の組み立てられた歯610、611は、総体的シェーピングまたはモーフィングの結果としてわずかにシェーピングし直されまたはモーフィングされるのみであり、元の点は歯609にある。
【0082】
図7は、最初の一組の歯の様々な局所パラメータの個別の変更の例を示す。
【0083】
図7a)は、最初の一組の歯における単一の歯の個別のスケーリングの例を示す。個別に変更されるパラメータは、この例ではスケーリングであり、最初の一組の歯703における組み立てられた歯708が変更される。他の組み立てられた歯709、710、711は、この例では変更されない。座標系717は、歯708のスケーリングを示す。スケーリングによって、歯708は、より大きくまたはより小さく、より長くまたはより短く、より広くまたはより狭くなることができる。この場合は、歯708は、以前よりも長くなるように変更される。すなわち、歯708は、構成された一組の歯の中にあったときよりも長くされる。
【0084】
例えばコンピュータマウスによってポインタアロウ(pointer arrow)を単一の歯の上で動かすと、その歯に対する座標系717は、プログラムが個別のスケーリングモードであるときに見られる。
【0085】
図7b)は、最初の一組の歯における単一の歯の個別の回転の例を示す。個別に変更されるパラメータは、この例では回転であり、変更されるのは最初の一組の歯703における組み立てられた歯708である。他の組み立てられた歯709、710、711は、この例では変更されない。最初の一組の歯703はこの図では、他の図のように前から見られる代わりに下から見られる。なぜならば、個別の回転は、このビューでの方がより良く示されるからである。回転系718は、歯708の回転を示す。歯708は、中線に対して回転させられ、それによって、歯708の近心部分はより外側を指す。
【0086】
図8は、最終的な一組の歯の例を示す。最終的な一組の歯804は、最初の一組の歯の変更が終了し、変更がそれ以上は実行されないときに獲得される。最終的な一組の歯804は、製造され患者の口の中に挿入される一組の歯である。最終的な一組の歯は、幾つかの歯の修復物として製造され得る。
【0087】
図9は、設計された一組の歯のための保持手段の例を示す。
【0088】
図9a)は、保持手段が、患者の現在の口腔状況902である例を示し、患者の現在の口腔状況902は、この例においては、何らかの歯科表記法ではno.9と表記され得る右中央の歯908が歯冠に対して調整され、左中央の歯no.8、909は欠損しており、側歯no.7、910も歯冠に対して調整され、犬歯(canine)または犬歯(cuspid)no.6、911は、変更されず、歯の修復に対して調整されない。現在の口腔状況902は、患者の現在の一組の歯または欠損している一組の歯の三次元バーチャル表示であることができる。三次元バーチャル表示は、口腔内スキャナを使用して患者の現在の口腔状況または一組の歯をスキャニングすることによっておよび/または患者の現在の歯のネガティブ陥凹の表面をスキャニングすることによっておよび/または患者の現在の歯のポジティブ模型の表面をスキャニングすることによって獲得されることができる。
【0089】
図9b)は、保持手段が、インプラントブリッジ919である例を示し、総義歯が、インプラントブリッジ919の上に配列されるように適合される。義歯が取り付けられる側の反対側において、インプラントブリッジ919は、インプラント(図示されず)を受け入れるための穴からの突起920を備えている。インプラントブリッジは、標準的なブリッジであり得る。あるいは、インプラントブリッジは、患者のためにカスタマイズされ得、患者の歯列弓の形状に基づいて自動的に成形され得る。患者の歯列弓は、口腔内スキャナを使用して患者の口をスキャニングすることによっておよび/または患者の口のネガティブ陥凹の表面をスキャニングすることによっておよび/または患者の口のポジティブ模型の表面をスキャニングすることによって決定され得る。
【0090】
図9c)は、保持手段が、インプラントブリッジ919である例を示し、インプラントブリッジ919はピン921を備え、各ピンは、ピンを覆い嵌合するようにその中に穴を有する義歯を受けるように適合されるか、またはピンは、歯に似せるために、例えばセラミックスまたは複合材料の形でのベニアリングによって覆われるように適合される。ピン921とは反対側に、インプラントブリッジ919は、インプラント(図示されず)を受け入れるための穴からの突起920を備えている。図9c)に示されるインプラントブリッジは、自動的に成形することは難しいことがあり得る。なぜならば、そのようなインプラントブリッジの最終的な形状は、歯列弓および義歯に対してカスタマイズされ、そして、図から見られるように、インプラントブリッジは元来、標準的な幾何学的形状には基づいていないからである。従って、図9c)におけるインプラントブリッジには、義歯の予備的模型のカットバック(cut−back)が提供され得る。図面から、カットバックは、歯の位置に依存して歯ごとに変化することが見られ得る。カットバックはまた、歯のタイプおよび歯のどちら側からカットバックが提供されるかに依存して変化する。
【0091】
幾つかの実施形態が詳細に説明され、示されたが、本発明はそれらに限定されず、以下の請求項に定義された主題の範囲内における他の方法でも実施され得る。特に、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用され得るし、また、構造的、機能的変更がなされ得ることが理解されるべきである。
【0092】
幾つかの手段を列挙するデバイスの請求項において、これらの手段のうちの幾つかがハードウエアの1つの品目および同じ品目によって実施されることができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているか、または異なる実施形態で説明されているという事実からだけでは、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことにはならない。
【0093】
用語「備える(comprises)/備えている(comprising)」が本明細書で使用されるとき、この用語は、述べられた特徴、整数、ステップ、またはコンポーネントの存在を特定すると受け取られるが、しかし、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、コンポーネントまたはそれらの群の存在または付加を排除しないことが強調されるべきである。
【0094】
以上に説明され、以下に説明される方法の特徴は、ソフトウエアで実装され得るし、またデータ処理システムで、またはコンピュータ実行可能な命令の実行によって生じる他の処理手段で実行され得る。命令は、記憶媒体からの、またはコンピュータネットワークを介する別のコンピュータからの、例えばRAMのようなメモリにロードされたプログラムコード手段であり得る。あるいは、説明された特徴は、ソフトウエアまたはソフトウエアとの組み合わせで実装される代わりに、ハードワイヤード回路によって実装され得る。
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は概して、患者のための幾つかの歯を設計する、コンピュータで実行される方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
患者が、例えば歯冠、ブリッジ、橋脚歯、またはインプラントのような歯の修復物を必要とするとき、歯科医は、例えば、損傷した歯を研磨して歯冠が接着される場所を調整するなどして、歯を調整する。代替の処置は、例えばチタンネジのようなインプラントを患者の顎の中に挿入して、インプラントに歯冠またはブリッジを取り付けることである。歯を調整した後、またはインプラントを挿入した後、歯科医は、上顎、下顎および咬合レジストレーション(registration)の陥凹または(トリプルトレイ(triple tray)としても知られている)両面トレイに単一の陥凹を作製することができる。
【0003】
陥凹は、歯科技術者に送られ、歯科技術者は、例えばブリッジのような修復物を製造する。修復物を製造する第1のステップは従来、上顎および下顎それぞれの陥凹から上顎および下顎の模型を鋳造することである。模型は通常石膏から作製され、大抵は、バイトレジストレーションを使用して咬合器で整列させられる。咬合器は、実際の咬合および咀嚼動作をシミュレートする。歯科技術者は、咬合器内で歯の修復物を構成して、視覚的に立派な外見およびバイト機能を確実なものにする。咬合器内での鋳造物の正しい整列は、最終的な修復物に対して極めて重要である。
【0004】
歯の修復物を製造するためのCAD技術が急速に広がり、品質を向上させ、コストを低減させ、そして利用できなかった魅力的な材料で製造できる可能性を容易にしている。CAD製造プロセスでの第1のステップは、患者の歯の三次元模型を作成することである。これは従来、歯科石膏模型のうちの1つまたは両方を3Dスキャニングすることによってなされている。歯の三次元複製品は、CADプログラムの中に移入され、CADプログラムにおいて、例えばブリッジの下部構造のような全体的歯の修復物が設計される。最終的な修復物の三次元設計が次に、例えば、ミリングマシン、3Dプリンタ、ラピッドプロトタイピング製造装置、または他の製造装置を使用して製造される。歯の修復物に対する精度要件は非常に高い。そうでない場合、歯の修復物は、視覚的に醜く、歯と適合せず、痛みを引き起こすか、または感染を引き起こし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
患者のための幾つかの歯の修復物を設計する、コンピュータで実行される方法が開示され、該方法は、幾つかの歯を含む構成された一組の歯を選択することであって、該幾つかの歯は、互いに対して間隔を空けて配列され、高い審美性の構成を形成する、ことと、該構成された一組の歯を患者の現在の口腔状況のバーチャル三次元表示に適用して、最初の一組の歯を獲得することと、該最初の一組の歯における1つ以上の歯の1つ以上のパラメータを随意的に変更して、最終的な一組の歯を獲得することとを含む。
【0006】
歯の修復物(複数可)は、設計された最終的な一組の歯の物理的な実現であり得る。従って、最終的な一組の歯を患者に物理的に提供するために、幾つかの歯の修復が実行され得る。従って、本方法が、例えば部分的義歯または総義歯のようなより大きな歯の修復物がCAD技術を使用してもまた容易かつ効果的に作成されることができるようにすることは有利である。従来、幾つかの歯における、例えば、歯冠およびブリッジのような主としてより小さな歯の修復物は、CAD技術を使用して作製されている。しかし、本方法によって、より大きな歯の修復物が、都合よく作製されることができる。なぜならば、設計された歯の修復物または歯は、相互に関係する構成された一組の歯から作られるので、新しい歯を設計することが容易かつ迅速であるからである。なぜならば、出発点が一組の歯であり、この一組の歯において、歯は、互いに対して間隔を空けて配列され、高い審美性の構成を形成するからである。従来、ユーザは、すべての単一の歯を別個に配列しなくてはならず、幾つもの歯が設計されるべき場合は、これは非常に時間がかかる。従って、従来、歯はCADプログラムに別個に格納されてきたが、これは、わずか1つまたは少数の設計された歯が使用される、例えば歯冠およびブリッジのようなより小さな歯の修復物を作製するときは都合が良い。しかし、本方法に従って、設計された歯は、相互に関連する歯の完全な一組として格納されるか、または構成されることができ、多数の歯を含むより大きな歯の修復物が設計されることができることを容易にする。審美的に気持ちが良く、視覚的に気持ちの良い、立派な、見た目の良い、例えば左右対称である微笑を提供するような高い審美性の構成が画定される。
【0007】
ユーザが患者のための一組の歯を作成することができ、この一組の歯を作成する過程における出発点が、幾つかの歯を含む構成された一組の歯であることは有利である。このように、構成された一組の歯は、口の上側アーチ(upper arch)および/または下側アーチ(lower arch)における幾つかの歯、すなわち、1つより多くの歯であり、例えば2つの歯、4つの歯、7つの歯またはすべての歯である。構成された一組の歯における歯は、互いに対して間隔を空けて配列され、相互に関係し合う。間隔を空けた配列または相互関係には、互いに対する歯の位置、方向、回転、高さなどが含まれ得る。このように、構成された一組の歯は、先行技術から公知である並んで配列されることのできる幾つかの単一、個々の歯である代わりに、相互に関連する歯全体である。このように、ユーザが、出発点として構成された一組の歯を使用することによって、患者のための立派な歯の修復物または立派な一組の歯を作成することができることが本発明の利点である。構成された一組の歯は、設計された歯のより良い品質および例えば対称性を提供する。
【0008】
構成された一組の歯が相互に関係していることは有利である。なぜならば、これによって、ユーザが所望の一組の歯を非常に迅速に設計することが容易になるからである。先行技術における、歯を設計する、コンピュータで実行される方法によると、1つより多くの歯に対する歯科作業のための別個の歯は、1つずつ選択された。すなわち、3つの歯に及ぶブリッジを作製するとき、3つの別個の歯が選択され、そしてブリッジが存在するべき線上に並べて配列された。先行技術においては、この場合、歯は一度に1つ個別に変更されなければならず、ユーザが1つの歯に対してなしている変更は、別の歯の変更と整合しないか、または他のすべての歯の変更と整合しない可能性が非常に高い。従って、1つの歯に対する1つの小さな変更が、全体的美観を破壊することがあり得、ユーザは、繰り返し新しい変更を実行してすべての歯の美観を回復しなければならない。しかし、幾つかの歯を設計する出発点が、幾つかの構成された相互に関係する歯であり、単一の歯ではないとき、ユーザが短時間に立派な一組の歯を設計することがより容易かつより迅速となる。
【0009】
患者は、歯の修復物を作製してもらいたい幾つかの異なる理由を有し得る。例えば、患者がより立派な歯を有することを望む場合の美容上の理由、患者が不良な、または貧弱な歯を有する場合や、患者が事故に遭って彼/彼女の歯の幾つか、またはすべてが折れた場合の健康上の理由などである。従って、患者の元の一組の歯とできるだけうまく似ている構成された一組の歯を選択して、次に、患者の元の一組の歯と対応する歯に対する1つ以上のパラメータを変更することによって、最終的な一組の歯が患者の元の一組の歯の特別な外観と完全に似ているか、またはほぼ完全に似ているようにすること、すなわち、患者の元の折れていない一組の歯と非常に良く似ているか、または正確に似ているように、一組の歯が設計されることができることが利点である。
【0010】
ユーザは、歯科技術者、歯科医などであることができる。
【0011】
患者の歯すべてが本方法に従って設計された歯と取り替えられるか、または患者の歯のうちの幾つかが取り替えられることができることが利点である。「一組の歯」という表現は、幾つかの歯、例えば6つの歯、または例えば患者の有することのできる完全な一組の歯を意味する。
【0012】
患者の口腔状況とは、以下の場合、すなわち、
残った歯がない、
1つ以上の歯が残っている、
1つ以上の調整品がある、
1つ以上のインプラントがある、のうち1つ以上を指すことができる。
【0013】
本方法は、幾つかの歯の修復物を設計する方法であり、従って、本方法は、修復歯科学または、歯科補綴学(dental prosthetics)もしくは歯科補綴学(prosthetic dentistry)としても知られている歯科補綴学(prosthodontics)の分野に関連し、歯科補綴学は、欠損している歯、または不完全な歯に関連する。従って、修復歯科学および歯科補綴学は、歯科矯正学とは異なる技術分野である。歯科矯正学は、不正咬合による歯の変位と関連し、歯科矯正学においては、歯はワイヤおよびブラケットまたは締め金もしくはシェル(shell)によって所望の位置に移動させられ、患者はワイヤおよびブラケットまたは締め金もしくはシェルを長い期間にわたって装着しなければならない。従って、歯科矯正学においては、歯は変位させられるが、一方、修復歯科学においては、歯は、例えば、歯冠、ブリッジ、橋脚歯、インプラント、義歯などが作製され、そして患者の口の中に配列されるなどして、修復される。従って、歯科矯正学においては、歯は、互いに対して動かされるが、一方、修復歯科学においては、1つ以上の歯が、歯冠、インプラント、義歯などの形で、少なくとも部分的に修復物と取り替えられる。あるいは、歯が欠損している所では、修復物が作製され、それによって、欠損した歯は、修復物と取り替えられ、この例としては、ブリッジの架工歯、インプラントなどがある。従って、歯の修復物とは、欠損している歯の構造体の取り替えを指す。
【0014】
歯の修復物には、歯冠、ブリッジ、架工歯、橋脚歯、インプラント、義歯、インレー、アンレー、ポストおよびコアまたはインレーコア、取り外しできる物などが含まれ得る。
【0015】
一部の実施形態において、本方法は、最初の一組の歯における1つ以上のパラメータを随意的に変更するとき、最初の一組の歯全体を随意的に総体的に変更することをさらに含む。
【0016】
ユーザが、最初の一組の歯全体に対する1つ以上のパラメータを非常に迅速に変更することができることは有利である。なぜならば、これによって、最初の一組の歯は、迅速かつ確実に設計されることができるからである。ユーザが、最初の一組の歯に対する様々な変更を視覚的に観察することができ、従って、それら変更を試験し、評価することができ、それによって、どの一組の歯が特定の患者に対して最良であるかを評価することができることは有利である。従って、最初の一組の歯全体の総体的な変更は、様々な歯のデザインおよび外観の容易かつ迅速な試験を可能にし、この最初の一組の歯の相互作用的な変更は、患者とユーザ双方にとって有利である。なぜならば、患者とユーザ双方は、歯がどのように見えるか、その様々な見え方を実際に見ることができるからである。
【0017】
一組の歯全体を総体的に一回で変更することは、全体的変更または共通的変更もしくは総体的変更を意味することがあり得る。一度に1つの歯を変更することは、局所変更または個別変更もしくは別個変更もしくは単一変更を意味することがあり得る。従って、本方法は、歯が共通的にも個別的にも変更されることができるようにする。これは有利である。なぜならば、例えば、すべての歯が0.2mm長くあるべきであれば、すべての歯が総体的に変更されて迅速かつ同一の変更が確実に行われるような変更が適用され、一方、例えば、ただ1つの歯が他の歯に対して少々ゆがんでいれば、単一の歯に適用される変更が個別に適用されることができるからである。
【0018】
本方法が、一組の歯全体を総体的に一度にまたは一回で変更するという選択肢を含むことは有利である。なぜならば、これによって、患者のための一組の歯を設計しているユーザにとって大きな時間の節約になるからである。従来、ユーザは、一度に1つの歯を変更することができるのみであった。なぜならば、歯の設計または歯の修復に対するソフトウェアアプリケーションは、一度に1つの歯を変更することをサポートするのみであったからである。従来、患者のための一組の歯全体を設計することは、これまでは、手作りで実行されてきた。なぜならば、デジタル的に一度に1つの歯を変更することもまた、時間がかかるからである。従って、幾つかの歯または一組の歯全体が総体的に変更され得ることは有利である。なぜならば、それによって、より良い結果が提供され、多くの時間が節約されるからである。
【0019】
本方法に従い、歯の相互関係により、歯が総体的に変更されることができることは有利である。なぜならば、これによって、ユーザが立派な一組の歯を非常に迅速に設計することが非常に容易となるからである。先行技術の方法によると、一度に1つの歯のみが変更されることができ、各歯が別個に変更された場合は、ユーザが1つの歯に対してなしている変更は、別の歯の変更と整合しないか、または他のすべての歯の変更と整合しない可能性が非常に高い。従って、1つの歯に対する1つの小さな変更が、全体的美観を破壊することがあり得、ユーザは、繰り返し新しい変更を実行して以前の変更を補正することがあり得る。しかし、本方法により、一組の歯全体が全体として変更されることができるとき、ユーザが短時間に立派な一組の歯を設計することがはるかに容易かつ迅速となる。
【0020】
全体または一組の歯全体に対する座標系が規定され得、各個別の歯に対する座標系が規定され得、そして、顔に対する座標系が規定され得る。プログラムの方式に依存して、様々な座標系が画面上に示され得る。一組の歯における各個別の歯は、個別に保存または格納されることができ、他の歯とのその相互関係もまた保存される。
【0021】
例えば、患者が元々かなり短い歯を持っており、患者はその歯を折り、元の一組の歯に似ている新しい一組の歯を持ちたいと望む場合、そして、患者の元の短い歯に似ている構成された一組の歯は入手できない場合は、最初の一組の歯が総体的に一回で短くなることができることにより、最終的な一組の歯が、患者の特定の望みと実際に似ることはさらなる利点である。
【0022】
一部の実施形態において、本方法は、最初の一組の歯における1つ以上のパラメータを随意的に変更するとき、最初の一組の歯における幾つかの歯を随意的に総体的に変更することをさらに含む。従って、一組の歯全体を一回で変更するか、または一度に1つの歯を変更する他に、幾つかの歯が総体的に変更されることができる。すなわち、より大きな一組の歯における、例えば5つの歯のようなサブセットが、総体的に変更されることができる。これは、群変更またはサブセット変更を意味し得る。
【0023】
一部の実施形態において、本方法は、製造のために少なくとも幾つかの設計された歯の修復物または歯を選択することをさらに含む。最終的な一組の歯は、新しい一組の歯のバーチャル設計である。患者に新しい歯を提供するために、幾つかの歯の修復物が要求され得る。従って、これらの新しい歯を製造するために、要求される歯の修復物が決定され得る。歯の修復物は、存在する歯と最終的な一組の歯における設計された歯との間の相違に基づき得る。患者が、例えば、歯全体を欠損するか、または歯全体が患者の口から引き抜かれる必要がある場合は、例えば、橋脚歯および/または歯冠もしくはベニアリング(veneering)を有するインプラントが製造され得、そして欠損した歯の場所に組み込まれ得るか、または欠損した歯の場所に架工歯が配列される場合は、ブリッジが製造され得る。ブリッジは隣接する歯に取り付けられ得、従って、2つの隣接する歯は、研磨されることによって調整され得、それによって、歯冠が各隣接する歯に取り付けられることができる。従って、最終的な一組の歯に基づいて、1つ以上の歯の修復物が必要とされることが決定されて、最終的な一組の歯を獲得する。このようにして、これらの歯の修復物が設計され得る。例えば、最終的な一組の歯が、ブリッジが作製されることを要求すると決定されると、例えば、それらの間に架工歯を有する2つの歯冠が作製されなくてはならず、これら2つの歯は、歯冠の取り付けに対して調整されなくてはならず、そして、インプラント橋脚歯上に歯冠を有するインプラントと共に、ブリッジに含まれない1つの通常の歯冠もまた要求され得る。
【0024】
一部の実施形態において、本方法は、患者の現在の口腔状況の表示を適用する前に構成された一組の歯における1つ以上の歯の1つ以上のパラメータを随意的に変更して、変更された構成された一組の歯を獲得することをさらに含む。変更が、構成された一組の歯に対してなされることができることは有利である。なぜならば、それによって、例えば絶対になされなくてはならない変更が、設計プロセスの前にすでになされることができるからである。例えば、患者が、彼の中央の歯がある点で傷つけられることを望む場合は、ユーザは、中央の歯に対するこの変更を構成された一組の歯においてなすことができ、それによって、傷つけられた中央の歯に対する設計が、さらになされる可能性のある変更のための出発点となる。これによって、設計プロセスがより迅速かつよりユーザフレンドリとなる。なぜならば、変更が異なるステップにおいて実行されることができるからである。このようにして、一組の歯上での変更が、患者の現在の口腔状況または現在の一組の歯が、構成された一組の歯に適用される前と、患者の現在の口腔状況または現在の一組の歯が、構成された一組の歯に適用された後との両方でなされることができる。従って、構成された一組の歯は、正規のもしくは型板の構成された一組の歯であるか、または変更された構成された一組の歯であり得る。
【0025】
一部の実施形態において、本方法は、口腔内スキャナを使用して現在の口腔状況をスキャニングすることによっておよび/または患者の現在の口腔状況のネガティブ陥凹の表面をスキャニングすることによっておよび/または患者の現在の口腔状況のポジティブ模型の表面をスキャニングすることによって、患者の現在の口腔状況の三次元バーチャル表示を獲得することをさらに含む。患者の現在の口腔状況または現在の一組の歯の三次元表示を獲得することは有利である。なぜならば、構成された一組の歯は、2組の歯を整合させるように、および/または2組の歯が比較されるように、現在の1組の歯の上に重ねられ、口腔状況のバーチャル表示がスキャンイングの何らかの手段によって獲得されるとき、その表示は、高い品質のものであることができ、それによって、最終的な設計または最終的な一組の歯は、非常に高い品質のものとなり、および残りの歯とうまく整合するからである。
【0026】
一部の実施形態において、本方法は、口腔内スキャナを使用して元の一組の歯をスキャニングすることによっておよび/または患者の元の歯のネガティブ陥凹の表面をスキャニングすることによっておよび/または患者の元の歯のポジティブ模型の表面をスキャニングすることによって、患者の元の一組の歯の三次元バーチャル表示を獲得することをさらに含み、この元の一組の歯の表示は、患者の歯が調整される前に提供される。一組の歯が調整される前に、いわゆる事前調整スキャニングがなされることができ、それによって、患者の元の一組の歯も視覚化されることができ、それによって、ユーザは、患者の元の一組の歯の完全な複製品または模倣品(これが患者の所望するものである場合)である最終的な一組の歯を提供するために新しい歯を設計するとき、患者の元の歯を考慮に入れることができるのは有利である。
【0027】
一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、歯の相対的な位置によって画定された歯の湾曲を含む。
【0028】
一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、歯のスケーリングを含む。歯のスケーリングは、歯の長さ、幅などを含む。
【0029】
一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、顔の中線に対する歯の回転を含む。
【0030】
一部の実施形態において、顔の中線に対する歯の回転は、
基本的な審美的構成、
強い審美的構成、または
弱い審美的構成
から選択される構成または構成の組み合わせを作成する。
【0031】
顔の中線に対する歯の回転が変更されることができることは有利である。なぜならば、この角度は、歯の審美的外観にとって重要であるからである。歯の回転については、以下の3つの通常の、または伝統的な審美的構成があり得る。すなわち、基本的な審美的構成、この構成においては、歯の回転は、中線に対して中立、または垂直である。強い審美的構成、この構成においては、回転は、歯の遠心点が中線に対して外向きとなるような回転である。弱い審美的構成、この構成においては、歯の遠心点は、中線に対して内向きとなる。このように、歯の回転が、3つの伝統的な構成のうちの1つまたはそれらの組み合わせを提供することは有利である。
【0032】
一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、中央の歯の幾何学的形状を含む。
【0033】
一部の実施形態において、中央の歯の幾何学的形状は、
卵形、
三角形、もしくは
長方形/正方形
であるか、またはこれらから選択される組み合わせである。歯の幾何学的形状が変更されることができることは有利である。なぜならば、歯の形状は、歯の審美的外観にとって重要であるからである。中央の歯の形状には、以下の3つの異なる通常の、または伝統的なタイプがあり得る。卵形、この形状においては、歯の唇側の表面から反射される光は、丸形または卵形に似ている。三角形、この形状においては、歯の唇側の表面から反射される光は、三角形に似ている。長方形/正方形、この形状においては、歯の唇側の表面から反射される光は、長方形/正方形に似ている。
【0034】
一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、小臼歯および/または大臼歯の幾何学的形状を含む。小臼歯および大臼歯に対して、幾何学的形状は、例えば、N,T,Kと表記され得る。
【0035】
一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、歯の長さを含む。歯の長さが変更されることができることは有利である。なぜならば、歯の長さは、歯の審美的外観にとって重要であるからである。歯の長さは、ミリメートルまたは他の測定システムで測定されることができる。
【0036】
一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、他の歯に対する歯の長さを含む。歯の相対的長さが変更されることができることは有利である。なぜならば、歯の相対的長さは、歯の審美的外観にとって重要であるからである。
【0037】
一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、他の特定の歯に対する特定の歯の大きさを含む。
【0038】
一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、中央の歯に対する側歯の大きさを含む。例えば、中央の歯に対する側歯の大きさが変更されることができることは有利である。なぜならば、歯の相対的な大きさ、または他の歯に対する歯の大きさは、歯の審美的外観にとって重要であるからである。例えば、側歯の大きさは、中央の歯の大きさの約61.8%であり得、これは、人間の脳が視覚的に気持ち良い、または魅力的であると感じる黄金比に対応する。別の例では、側歯が中央の歯の大きさの77%であり得るが、しかしこれは、一部の患者にとっては、大きすぎるように見えることがあり得る。さらに別の例では、側歯は、中央の歯の大きさの2/3であり得る。しかしながら、中央の歯に対する側歯の大きさは、ユーザおよび/または患者によって決定される任意の他の関係であり得る。
【0039】
一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、側歯に対する犬歯の大きさを含む。
【0040】
例えば、側歯に対する犬歯(cuspid teeth)または犬歯(canine teeth)の大きさが変更されることができることは有利である。なぜならば、歯の相対的な大きさ、または他の歯に対する歯の大きさは、歯の審美的外観にとって重要であるからである。例えば、犬歯(cuspid teeth)または犬歯(canine teeth)の大きさは、側歯の大きさの約61.8%であり得、これは、人間の脳が視覚的に気持ち良い、または魅力的であると感じる黄金比に対応する。別の例では、犬歯は、側歯の大きさの2/3であり得るが、しかしこれは、一部の患者にとっては、大きすぎるように見えることがあり得る。しかしながら、側歯に対する犬歯の大きさは、ユーザおよび/または患者によって決定される任意の他の関係であり得る。
【0041】
一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、歯間の間隙の大きさを含む。歯間の間隙の大きさが変更されることができることは有利である。なぜならば、歯間の間隙の大きさは、歯の審美的外観にとって重要であるからである。上側アーチおよび/または下側アーチにおける中央の歯間の間隙は変更され得、この間隙は最も眼に入る間隙である。しかしながら、すべてのまたは一部の間隙は変更され得る。
【0042】
一部の実施形態において、1つ以上のパラメータは、歯の形状を含む。歯の形状またはモルフが変更されることができることは有利である。なぜならば、歯の概略の形状は、歯の審美的外観にとって重要であるからである。シェーピングまたはモーフィングには、材料の平滑化、変形、再配置、削除または付加が含まれ得る。例えば、材料を再配置するとき、歯の最も厚い部分からの材料は、歯のより狭い部分へ移動させられることができる。
【0043】
一部の実施形態において、本方法は、歯のミラーリングをさらに含む。ミラーリングが実行されることができることは有利である。なぜならば、このとき、ユーザは、設計されるべき歯すべてに対して働きかけたり、これらを変更したりする必要がなく、ユーザは、例えば、アーチの左側における歯を設計するのみで、設計された歯を次にアーチの右側にミラーリングするだけでよいからである。1つ以上の歯がミラーリングされることができる。患者が、例えば、彼/彼女のアーチの左側における1つ以上の歯を設計してもらう必要があり、このとき、患者のアーチの右側における本物の折れていない歯が、模倣またはスキャンおよびコピーされ、ミラーリングによってアーチの左側に移されることができる場合は、ミラーリングが実行されることができることは有利である。
【0044】
一部の実施形態において、本方法は、歯のクローニングをさらに含む。クローニングには、歯のコピーまたは他の歯と似ている新しい歯の作成が含まれる。クローニングは、1つ以上の既存の歯からのクローニング、1つ以上の調整前の歯、すなわち調整される前の歯からのクローニング、ワックスアップスキャンなどでの1つ以上の歯のクローニングであり得る。
【0045】
一部の実施形態において、本方法は、対咬歯に対する衝突マッピングを提供することをさらに含む。対咬歯との衝突マッピングが提供されることができることは有利である。なぜならば、それによって、ユーザが、設計された歯に対して十分なスペースが患者の口の中に実際に存在するかどうかをチェックすることが容易かつ迅速になるからである。
【0046】
一部の実施形態において、本方法は、最終的な一組の歯をバーチャル保持手段にバーチャル的に適合させることをさらに含む。バーチャル保持手段は、実際の保持手段と対応する。保持手段は、歯の修復物、すなわち新しい歯を保持するように適合される。歯の修復物は、新しい歯、最終的な一組の歯の物理的な実現、補綴物または補綴部品を意味し得る。従って、保持手段は、歯冠またはブリッジに対する調整歯またはダイであり得、インプラントに対する顎骨であり得、橋脚歯に対するインプラントであり得、歯冠に対する橋脚歯であり得、義歯の人工的歯肉部分であり得る。従って、最終的な一組の歯における歯の修復物または1つ以上の人工歯は、例えば1つ以上の保持手段のような保持手段に取り付けられ得る。最終的な一組の歯がブリッジである場合は、保持手段は、2つの調整された歯またはダイであり得る。最終的な一組の歯が、総義歯または部分的な義歯に対する幾つかの歯である場合は、保持手段は、義歯の歯肉部分であり得る。適合はまた、接続を意味することもあり得る。一組の歯は、保持手段に取り付けられ得る。従って、幾つかの歯の修復物を設計することには、保持手段への歯の修復物の取り付けを決定して最終的な一組の歯を実現することが含まれ得る。
【0047】
一部の実施形態において、本方法は、最終的な一組の歯を保持手段に合わせてカットすることをさらに含む。カッティングとはまた、バーチャルカッティングまたはデジタルカッティングを意味することがあり得る。一組の歯が、一組の歯の設計が完了する前に、保持手段にバーチャル的に適合されたり、これと整列させられたり、またはこれに固定されたりしないことは有利である。なぜならば、歯が保持手段に適合されないときに歯を設計する方がより容易であり、バーチャル的により良好であるからである。さらに、一組の歯が例えば解剖学的位置のような正しい位置に適合されず、固定もされないときに一組の歯を座標系において変更しかつ/または動かす方が、処理ユニットから必要とされる処理パワーが少なくて済む。正しい位置は、例えば調整品のような保持手段の位置に基づき得、および/または、患者の歯の実際の模型またはバーチャル模型からのマージンライン(margin line)に基づき得る。例えば既存の調整歯のような保持手段と最終的な一組の歯との間の移行部または境界面は、ジョイントスプライン(joint spline)によって決定され得、従って、保持手段および最終的な一組の歯は各々、スプラインを有し、これらの2つのスプラインは、移行部または境界面において共に適合されるか、または接合される。保持手段と最終的な一組の歯との間の移行部または境界面は、例えば形状、大きさ、内部形式、外部形式、厚さなどについて、歯の修復物を決定するために決定され得る。
【0048】
一組の歯または歯の修復物の内部表面は、保持手段の外部表面と適合し、これに合わせてカッティングされ、またはこれと接続されなくてはならない。歯の修復物の内部表面は、保持手段の外部表面の形状と対応し得る。歯の修復物と保持手段との間にはセメント間隙があり得、このセメント間隙は、表面全体に沿って同じ厚さを有し得るか、または厚さは、例えばドリル補正などによって変化し得る。従って、一組の歯は、歯の修復物であって、該歯の修復物は、歯冠を含み得るか、または歯冠であり得、該歯冠は、調整された歯に接着され得る、歯の修復物と、1つ以上の調整された歯に接着され得るブリッジと、歯冠であって、該歯冠は、インプラント橋脚歯に接着され得、該インプラントは、顎骨にねじ込まれた、歯冠とを備えており、該一組の歯は義歯に対するものであり、該一組の歯は、患者の口の中に取り外し可能または固定のいずれかで配列される該義歯の歯肉部分に挿入され得る。
【0049】
一部の実施形態において、本方法は、最終的な一組の歯を歯肉に合わせてバーチャル的にカットすることをさらに含む。バーチャル的カッティングは、自動的に実行され得る。新しい歯を設計した後、この新しい歯は、バーチャル模型の歯肉に合わせてカットされなくてはならず、それによって、設計された最終的な一組の歯に基づいて生成された、たとえば、人工歯のような歯の修復物が、歯肉と近接しているか、またはこれと接触している場合には、患者の口の中の実際の歯肉と適合するようにする。義歯の場合には、最終的な一組の歯が歯肉にバーチャル的にカットされ得、それによって義歯中の人工歯は、それらが義歯の人工歯肉と適合するように生成される。義歯の中にあって眼に見える人工歯の部分は、歯肉と適合するように設計され得る。義歯の中にあって眼に見えない人工歯の部分が存在し得る。なぜならば、それらは、義歯の歯肉部分の内側に配列されるからである。人工歯肉は通常、アクリル材料から作製される。ブリッジの架工歯は自動的にカットされ得るか、または歯肉の調整ラインまたはマージンラインと適合され得る。調整ラインまたはマージンラインは架工歯に対するものであり得る。架工歯と歯肉との間の間隙またはスペースが画定され得る。架工歯と歯肉との間には間隙がないことがあり得、これは、ゼロミリメートルの間隙に対応し得る。歯冠は、自動的にカットされ得るか、または歯肉における調整ラインまたはマージンラインと適合され得る。歯冠と歯肉との間に間隙またはスペースが画定され得、間隙は、ゼロミリメートルであり得る。
【0050】
一部の実施形態において、本方法は、最終的な一組の歯を歯肉におけるその解剖学的に正しい位置に適合させることをさらに含む。一組の歯が、一組の歯の設計が完了する前に、歯肉に適合されたり、これと整列させられたり、またはこれに固定されたりしないことは有利である。なぜならば、歯が歯肉に適合されないときに歯を設計する方がより容易であり、バーチャル的により良好であるからである。さらに、一組の歯が正しい解剖学的位置に適合されず、固定もされないときに一組の歯を座標系において変更しかつ/または動かす方が、処理ユニットから必要とされる処理パワーが少なくて済む。正しい解剖学的位置は、例えば調整品のような保持手段の位置に基づき得、および、患者の歯の実際の模型またはバーチャル模型からのマージンラインに基づき得る。既存の調整歯と新しい設計された歯との間の移行部は、ジョイントスプラインによって決定され得、従って、調整歯と設計された歯とは各々、スプラインを有し、これらの2つのスプラインは、移行部において共に適合されるか、または接合される。
【0051】
一部の実施形態においては、一組の歯は、この一組の歯が最終的な一組の歯になる前に、保持手段におよび/または歯肉に適合され/これにカットされ得る。これによって処理時間が増加し得る。なぜならば、一組の歯と保持手段および/または歯肉との間の境界面が、一組の歯に変更が加えられるたびに計算されなくてはならないからである。しかし、一部の場合においては、一組の歯が歯肉に対して正しく視覚化されることがユーザによって好まれ得る。
【0052】
一部の実施形態において、本方法は、保持手段をバーチャル的に設計することをさらに含む。たとえば歯のような保持手段が、患者の口腔状況のバーチャル三次元表示が獲得される前に、歯の修復物の取り付けに対して調整されない場合は、保持手段はバーチャル的に設計され得る。保持手段は、最終的な一組の歯および歯の修復物に基づいて設計され得る。保持手段はまた、患者の口腔状況のバーチャル三次元表示が獲得される前にすでに調整されているにもかかわらず、バーチャル的に設計されることもあり得る。なぜならば、設計された最終的な一組の歯または歯の修復物が、保持手段が異なるように調整されることを要求するか、または保持手段が異なるように調整されることから利益を得ることがあり得るからである。
【0053】
一部の実施形態において、本方法は、歯の上に重ねられるバーチャル案内ラインを付加することをさらに含む。案内ラインを付加することにより、ユーザが、例えば互いに対する歯の回転または角度の変更を制御するか、または例えば歯の長さを変更することが容易になることは有利である。なぜならば、歯の長さは、案内ラインによって測定されることができるからである。
【0054】
一部の実施形態において、本方法は、下側アーチおよび/または上側アーチにおける歯の修復物または歯を設計することと、下側アーチと上側アーチとを適合させることとを含む。
【0055】
一部の実施形態において、構成された一組の歯は、構成された一組の前歯と構成された一組の大臼歯とを含み、構成された一組の歯の各々は別個に選択される。構成された一組の歯の様々な部分が別個に選択されることができることは有利である。なぜならば、これによって、所望の最終的な一組の歯を設計および獲得するためのさらなる選択肢が提供されるからである。
【0056】
一部の実施形態において、構成された一組の歯は、幾つかの異なる構成された一組の歯を含む電子図書館から選択され、この構成された一組の歯は、標準的な一組の歯であることができ、および/またはユーザによって電子図書館に付加されることができる。構成された一組の歯が、一組の歯を決定するパラメータの通常の組み合わせを含むことができることは有利である。例えば、構成された一組の歯は、長方形の歯との強力な構成、長方形の歯との弱い構成、卵形の歯との弱い構成などを含むことができる。
【0057】
一部の実施形態において、本方法は、ユーザが、構成された一組の歯の1つ以上のパラメータを規定することによって構成された一組の歯を生成するという選択肢を有することをさらに含む。構成された一組の歯がこのように動的に生成されることができることは有利である。パラメータは、構成された一組の歯を変更するときに使用される同じ一組のパラメータから選択され得る。ユーザは、構成された一組の歯に対する幾つかのパラメータを規定するが、それらは、曲線またはスマイル曲線(smile curve)、すなわち歯の相対的な位置および歯の高さ、審美的構成、すなわち、たとえば基本的な構成、強い構成、または弱い構成のような歯の回転、例えば卵形、三角形、または長方形のような中央の歯または前歯の形状、および小臼歯および大臼歯の形状であり得、構成された一組の歯がそれに基づいて生成される。
【0058】
一部の実施形態において、本方法は、永続的または一時的な補綴物を設計することを含む。
【0059】
一部の実施形態において、本方法は、部分的な義歯の補綴物または総義歯の補綴物を設計することを含む。義歯は、取り外し可能であるか、または固定された義歯であることができる。
【0060】
一部の実施形態において、本方法は、患者の顔を考慮して歯の修復物または一組の歯を設計するために、フェーススキャナによって患者の顔の輪郭をスキャンすることをさらに含む。患者の顔を考慮して一組の歯を設計することは有利である。なぜならば、例えば、卵形の歯は卵形の顔の形に適し得、長い歯は長円形の顔の形に適し、またはその逆もあり得るように、歯が顔と整合するように調節されることができるからである。フェーススキャンを実行するとき、正中線が見出されるが、正中線は、歯を設計するときに使用するのが有利または有用であることができる。あるいはおよび/またはさらに、X線スキャニングが使用されることができ、それによって、患者の顔または骨構造に関する情報を獲得し、この情報は、歯の修復物または新しい歯を設計するために使用されることができる。
【0061】
一部の実施形態において、本方法は、デジタル的な歯の修復作業のための既存の電子プログラムにおいて実行されるように構成される。
【0062】
本発明は、以上記載された方法および以下に記載される方法、ならびに対応する方法、デバイス、システム、用途および/またはプロダクトミーンズ(product means)を含む様々な局面に関し、各々は、最初に述べられた局面と関連して記載された利益および利点のうちの1つ以上を生み出し、および、各々は、最初に述べられた局面と関連して記載された実施形態および/または添付の請求項に開示された実施形態と対応する1つ以上の実施形態を有する。
【0063】
特に、本明細書には、プログラムコード手段を備えているコンピュータプログラムプロダクトが開示され、該プログラムコード手段は、該プログラムコード手段がデータ処理システム上で実行されるとき、該データ処理システムに本方法を実行させるためのものである。
【0064】
また、コンピュータ読み取り可能媒体を備えているコンピュータプログラムプロダクトも開示され、該コンピュータ読み取り可能媒体は、該コンピュータ読み取り可能媒体に格納されたプログラムコード手段を有する。
【0065】
特に、本明細書には、患者のための幾つかの歯の修復物を設計するためのシステムが開示されており、該システムは、
幾つかの歯を含む構成された一組の歯を選択するための手段であって、該幾つかの歯は、互いに対して間隔を空けて配列され、高い審美性の構成を形成する、手段と、
該構成された一組の歯を患者の現在の口腔状況のバーチャル三次元表示に適用して、最初の一組の歯を獲得するための手段と、
該最初の一組の歯における1つ以上の歯の1つ以上のパラメータを随意的に変更して、最終的な一組の歯を獲得するための手段と
を備えている。
【0066】
該システムは、コンピュータで実行される設計のためのシステムであり得る。該システムは、コンピュータで実行されるシステムであり得る。
【0067】
幾つかの歯の修復物を設計することは、一組の歯を設計することを意味することがあり得、そのように、患者のための一組の歯を設計する、コンピュータで実行される方法が開示されており、該方法は、
幾つかの歯を含む構成された一組の歯を選択することであって、該幾つかの歯は、互いに対して間隔を空けて配列され、高い審美性の構成を形成する、ことと、
該構成された一組の歯を患者の現在の口腔状況のバーチャル三次元表示に適用して、最初の一組の歯を獲得することと、
該最初の一組の歯における1つ以上の歯の1つ以上のパラメータを随意的に変更して、最終的な一組の歯を獲得することと
を含む。
【0068】
また、該方法によって設計される患者のための歯の修復物も開示される。
【0069】
添付の図面を参照して、上記の本発明の目的、特徴及び利点ならびに/またはさらなる目的、特徴及び利点が、以下の例示的かつ非限定的な本発明の実施形態の詳細な説明によってさらに解明される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、本方法の流れ図の例を示す。
【図2】図2は、構成された一組の歯の例を示す。
【図3】図3は、構成された一組の歯の変更の例を示す。
【図4】図4は、患者の現在の口腔状況の例を示す。
【図5】図5は、最初の一組の歯の例を示し、この最初の一組の歯において、構成された一組の歯が、患者の現在の口腔状況に適用されている。
【図6】図6は、最初の一組の歯の様々なパラメータの総体的な変更の例を示す。
【図7】図7は、最初の一組の歯の様々な局所パラメータの個別の変更の例を示す。
【図8】図8は、最終的な一組の歯の例を示す。
【図9】図9は、設計された一組の歯のための保持手段の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
(詳細な説明)
以下の説明において、参照が添付の図面に対してなされ、添付の図面は、本発明がどのように実行されるかを例示している。
【0072】
本方法は、本方法を実行するために適切なコンピュータプログラムで実行される。コンピュータに接続された画面が提供され得、ユーザは、この画面上で、このプログラムのユーザインターフェースを見ることができ、そして、例えばコンピュータキーボード、コンピュータマウス、タッチスクリーン、スペースボール(space ball)、タッチパッドなどによって、ユーザは、例えば画面上に見られる特徴を選択、変更するなどデマンドを実行することができる。プログラムは、計算を実行するか、またはユーザがなしたデマンドに対応する変化を画面ビュー上で見せる。本方法がその中で実行されることができるプログラムは、より大きなプログラムの一部であることができ、別個のプログラムであることができ、他のプログラム、他のハードウエア、ソフトウエアまたはファームウエアなどと通信するための手段を有することができる。
【0073】
図1は、本方法の流れ図の例を示す。ステップ101において、構成された一組の歯が選択され、この構成された一組の歯は、幾つかの歯を含み、これら幾つかの歯は、互いに対して間隔を空けて配列される。ステップ102において、患者の現在の口腔状況のバーチャル三次元表示が提供される。ステップ103において、構成された一組の歯は、患者の現在の口腔状況のバーチャル三次元表示に適用されて、最初の一組の歯を獲得する。ステップ104において、この最初の一組の歯における1つ以上の歯の1つ以上のパラメータが変更されて、最終的な一組の歯を獲得する。
【0074】
図2は、構成された一組の歯の例を示す。構成された一組の歯201は、この例においては、下から見られ、上側アーチの歯である。図は、歯の相対的な位置によって画定された歯の湾曲の例を示す。構成された一組の歯は、幾つかの異なる構成された一組の歯を含む電子図書館から選択されることができるか、またはユーザは、歯に対する1つ以上のパラメータを規定することによって自分で構成された一組の歯を設計することができる。構成された一組の歯201における歯は、互いに対して配列され、間隔を空けて相互に関係している。構成された一組の歯201における歯は、例えば大きさ、形状など幾つかのパラメータに基づいて選択されることができる。中線206が示され、この中線に垂直である線212が示されている。線212の機能は、ユーザのためにビジュアル方向を改良することである。このようにして、完全な構成された一組の歯に対する全体座標系が規定され、それによって回転、位置決めなどが、完全な構成された一組の歯に対して制御されることができる。第一大臼歯の周りのボックス213は、座標系が各歯に対して規定されることができ、それによって回転、位置決めなどが、各個の歯に対して制御されることができることを示す。
【0075】
図3は、構成された一組の歯の変更の例を示す。構成された一組の歯301における歯305は個別に変更される。この例において、歯305は、中線306に対して回転させられる。歯305に対して特定の座標系307が、歯305上に示され、プログラムは、歯が、例えば回転、並進など位置決めに対して変更されることができるモードにあることをユーザに示す。歯はまた、例えば長さ、厚さ、質量の分布など形状に関しても変更されることができる。
【0076】
図3以下の図は、本方法が実行されることのできるプログラムからのスクリーンショットを示す。
【0077】
図4は、患者の現在の口腔状況の例を示す。現在の口腔状況402は、この例においては、何らかの歯科表記法ではno.9と表記され得る右中央の歯408が歯冠に対して調整され、左中央の歯no.8、409は欠損しており、側歯no.7、410も歯冠に対して調整され、犬歯(canine)または犬歯(cuspid)no.6、411は、変更されず、歯の修復に対して調整されない。現在の口腔状況402は、患者の現在の一組の歯または欠損している一組の歯の三次元バーチャル表示であることができる。三次元バーチャル表示は、口腔内スキャナを使用して患者の現在の口腔状況または一組の歯をスキャニングすることによっておよび/または患者の現在の歯のネガティブ陥凹の表面をスキャニングすることによっておよび/または患者の現在の歯のポジティブ模型の表面をスキャニングすることによって獲得されることができる。
【0078】
図5は、最初の一組の歯の例を示し、この最初の一組の歯において、構成された一組の歯が、患者の現在の口腔状況に適用されている。最初の一組の歯503は、構成された一組の歯501と患者の現在の口腔状況502との組み合わせである。この場合、構成された一組の歯501からの4つの歯508、509、510および511は、現在の口腔状況502に適用される。しかしながら、他の場合においては、構成された一組の歯からの歯すべてが現在の口腔状況に適用され得、その結果、現在の歯または元の歯は残らない。他の場合においては、患者がいくつの歯を交換してもらうことを所望するかに依存して、構成された一組の歯からの4つより多くのまたは4つより少ない歯が、現在の口腔状況に適用される。
【0079】
図6は、最初の一組の歯の様々なパラメータの総体的な変更の例を示す。
【0080】
図6aは、最初の一組の歯の総体的な回転の例を示す。相対的に変更されるパラメータは、この例では回転であり、変更は、中線に関して、最初の一組の歯603における組み立てられた4つの歯608、609、610、611に対して実行される。4つの組み立てられた歯608、609、610、611は4つともすべて、総体的に回転させられ、その結果、それらはいずれも、現在の口腔状況における残りの歯に対して斜めになっている。全体的または共通的回転は、印の付いた円614で示され、例えば、歯611の長さを対応する図5の歯511の長さと比較した場合に、組み立てられた歯が、同時かつ一様にまたは同一に回転させられたことが明確に見られる。これは、全体的回転の例であり、この全体的回転においては、幾つかの歯が総体的に、すなわち同時かつ、例えば同一に回転させられる。
【0081】
図6b)は、最初の一組の歯の総体的なシェーピングの例を示す。総体的に変更されるパラメータは、この例ではシェーピングまたはモーフィングであり、変更は、最初の一組の歯603における組み立てられた4つの歯608、609、610、611に対して実行される。組み立てられた歯608、609、610、611は4つともすべて、総体的にシェーピングし直されまたはモーフィングされ、その結果、それらの形状または幾何学的形状が同時かつ一様にまたは同一に変化させられる。全体的もしくは共通的シェーピングまたはモーフィングは、総体的に変更させられた歯上のドット615によって、および総体的に変更させられた歯のバイティングエッジ(biting edge)に沿った線を形成するドット616によって示される。歯608、609、610、611は、総体的にシェーピングまたはモーフィングされ、元の点が、歯609のバイティングエッジの近心点にあり、そしてシェーピングまたはモーフィングは、その元の点における小さな圧縮に向けられ、それによって2つの中央の歯609、608は、傾斜のついたバイティングエッジ有し、これら傾斜の付いたバイティングエッジは逆の方向であることが見られる。他の組み立てられた歯610、611は、総体的シェーピングまたはモーフィングの結果としてわずかにシェーピングし直されまたはモーフィングされるのみであり、元の点は歯609にある。
【0082】
図7は、最初の一組の歯の様々な局所パラメータの個別の変更の例を示す。
【0083】
図7a)は、最初の一組の歯における単一の歯の個別のスケーリングの例を示す。個別に変更されるパラメータは、この例ではスケーリングであり、最初の一組の歯703における組み立てられた歯708が変更される。他の組み立てられた歯709、710、711は、この例では変更されない。座標系717は、歯708のスケーリングを示す。スケーリングによって、歯708は、より大きくまたはより小さく、より長くまたはより短く、より広くまたはより狭くなることができる。この場合は、歯708は、以前よりも長くなるように変更される。すなわち、歯708は、構成された一組の歯の中にあったときよりも長くされる。
【0084】
例えばコンピュータマウスによってポインタアロウ(pointer arrow)を単一の歯の上で動かすと、その歯に対する座標系717は、プログラムが個別のスケーリングモードであるときに見られる。
【0085】
図7b)は、最初の一組の歯における単一の歯の個別の回転の例を示す。個別に変更されるパラメータは、この例では回転であり、変更されるのは最初の一組の歯703における組み立てられた歯708である。他の組み立てられた歯709、710、711は、この例では変更されない。最初の一組の歯703はこの図では、他の図のように前から見られる代わりに下から見られる。なぜならば、個別の回転は、このビューでの方がより良く示されるからである。回転系718は、歯708の回転を示す。歯708は、中線に対して回転させられ、それによって、歯708の近心部分はより外側を指す。
【0086】
図8は、最終的な一組の歯の例を示す。最終的な一組の歯804は、最初の一組の歯の変更が終了し、変更がそれ以上は実行されないときに獲得される。最終的な一組の歯804は、製造され患者の口の中に挿入される一組の歯である。最終的な一組の歯は、幾つかの歯の修復物として製造され得る。
【0087】
図9は、設計された一組の歯のための保持手段の例を示す。
【0088】
図9a)は、保持手段が、患者の現在の口腔状況902である例を示し、患者の現在の口腔状況902は、この例においては、何らかの歯科表記法ではno.9と表記され得る右中央の歯908が歯冠に対して調整され、左中央の歯no.8、909は欠損しており、側歯no.7、910も歯冠に対して調整され、犬歯(canine)または犬歯(cuspid)no.6、911は、変更されず、歯の修復に対して調整されない。現在の口腔状況902は、患者の現在の一組の歯または欠損している一組の歯の三次元バーチャル表示であることができる。三次元バーチャル表示は、口腔内スキャナを使用して患者の現在の口腔状況または一組の歯をスキャニングすることによっておよび/または患者の現在の歯のネガティブ陥凹の表面をスキャニングすることによっておよび/または患者の現在の歯のポジティブ模型の表面をスキャニングすることによって獲得されることができる。
【0089】
図9b)は、保持手段が、インプラントブリッジ919である例を示し、総義歯が、インプラントブリッジ919の上に配列されるように適合される。義歯が取り付けられる側の反対側において、インプラントブリッジ919は、インプラント(図示されず)を受け入れるための穴からの突起920を備えている。インプラントブリッジは、標準的なブリッジであり得る。あるいは、インプラントブリッジは、患者のためにカスタマイズされ得、患者の歯列弓の形状に基づいて自動的に成形され得る。患者の歯列弓は、口腔内スキャナを使用して患者の口をスキャニングすることによっておよび/または患者の口のネガティブ陥凹の表面をスキャニングすることによっておよび/または患者の口のポジティブ模型の表面をスキャニングすることによって決定され得る。
【0090】
図9c)は、保持手段が、インプラントブリッジ919である例を示し、インプラントブリッジ919はピン921を備え、各ピンは、ピンを覆い嵌合するようにその中に穴を有する義歯を受けるように適合されるか、またはピンは、歯に似せるために、例えばセラミックスまたは複合材料の形でのベニアリングによって覆われるように適合される。ピン921とは反対側に、インプラントブリッジ919は、インプラント(図示されず)を受け入れるための穴からの突起920を備えている。図9c)に示されるインプラントブリッジは、自動的に成形することは難しいことがあり得る。なぜならば、そのようなインプラントブリッジの最終的な形状は、歯列弓および義歯に対してカスタマイズされ、そして、図から見られるように、インプラントブリッジは元来、標準的な幾何学的形状には基づいていないからである。従って、図9c)におけるインプラントブリッジには、義歯の予備的模型のカットバック(cut−back)が提供され得る。図面から、カットバックは、歯の位置に依存して歯ごとに変化することが見られ得る。カットバックはまた、歯のタイプおよび歯のどちら側からカットバックが提供されるかに依存して変化する。
【0091】
幾つかの実施形態が詳細に説明され、示されたが、本発明はそれらに限定されず、以下の請求項に定義された主題の範囲内における他の方法でも実施され得る。特に、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用され得るし、また、構造的、機能的変更がなされ得ることが理解されるべきである。
【0092】
幾つかの手段を列挙するデバイスの請求項において、これらの手段のうちの幾つかがハードウエアの1つの品目および同じ品目によって実施されることができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているか、または異なる実施形態で説明されているという事実からだけでは、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことにはならない。
【0093】
用語「備える(comprises)/備えている(comprising)」が本明細書で使用されるとき、この用語は、述べられた特徴、整数、ステップ、またはコンポーネントの存在を特定すると受け取られるが、しかし、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、コンポーネントまたはそれらの群の存在または付加を排除しないことが強調されるべきである。
【0094】
以上に説明され、以下に説明される方法の特徴は、ソフトウエアで実装され得るし、またデータ処理システムで、またはコンピュータ実行可能な命令の実行によって生じる他の処理手段で実行され得る。命令は、記憶媒体からの、またはコンピュータネットワークを介する別のコンピュータからの、例えばRAMのようなメモリにロードされたプログラムコード手段であり得る。あるいは、説明された特徴は、ソフトウエアまたはソフトウエアとの組み合わせで実装される代わりに、ハードワイヤード回路によって実装され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者のための幾つかの歯の修復物を設計する、コンピュータで実行される方法であって、該方法は、
幾つかの歯を含む構成された一組の歯を選択することであって、該幾つかの歯は、互いに対して間隔を空けて配列され、高い審美性の構成を形成する、ことと、
該構成された一組の歯を患者の現在の口腔状況のバーチャル三次元表示に適用して、最初の一組の歯を獲得することと、
該最初の一組の歯における1つ以上の歯の1つ以上のパラメータを随意的に変更して、最終的な一組の歯を獲得することと
を含む、コンピュータで実行される方法。
【請求項2】
前記方法は、
前記最初の一組の歯における1つ以上のパラメータを随意的に変更するとき、該最初の一組の歯全体を随意的に総体的に変更することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項3】
前記方法は、
前記最初の一組の歯における1つ以上のパラメータを随意的に変更するとき、該最初の一組の歯における幾つかの歯を随意的に総体的に変更することをさらに含む、請求項1〜2のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項4】
前記方法は、製造のために少なくとも幾つかの前記設計された歯の修復物を選択することをさらに含む、請求項1〜3のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項5】
前記方法は、
前記患者の現在の口腔状況の表示を適用する前に前記構成された一組の歯における1つ以上の歯の1つ以上のパラメータを随意的に変更して、変更された構成された一組の歯を獲得することをさらに含む、請求項1〜4のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項6】
前記方法は、口腔内スキャナを使用して現在の口腔状況をスキャニングすることによっておよび/または前記患者の現在の口腔状況のネガティブ陥凹の表面をスキャニングすることによっておよび/または該患者の現在の口腔状況のポジティブ模型の表面をスキャニングすることによって、該患者の現在の口腔状況の前記三次元バーチャル表示を獲得することをさらに含む、請求項1〜5のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項7】
前記方法は、口腔内スキャナを使用して元の一組の歯をスキャニングすることによっておよび/または該患者の元の歯のネガティブ陥凹の表面をスキャニングすることによっておよび/または該患者の元の歯のポジティブ模型の表面をスキャニングすることによって、該患者の元の一組の歯の三次元バーチャル表示を獲得することをさらに含み、該元の一組の歯の表示は、患者の歯が調整される前に提供される、請求項1〜6のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項8】
前記1つ以上のパラメータは、歯の相対的な位置によって画定された歯の湾曲を含む、請求項1〜7のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項9】
前記1つ以上のパラメータは、顔の中線に対する歯の回転を含む、請求項1〜8のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項10】
前記顔の中線に対する歯の回転は、
基本的な審美的構成、
強い審美的構成、または
弱い審美的構成
から選択される構成または構成の組み合わせを作成する、請求項1〜9のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項11】
前記1つ以上のパラメータは、中央の歯の幾何学的形状を含む、請求項1〜10のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項12】
前記中央の歯の前記幾何学的形状は、
卵形、
三角形、もしくは
長方形/正方形
であるか、またはこれらから選択される組み合わせである、請求項1〜11のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項13】
前記1つ以上のパラメータは、小臼歯および/または大臼歯の幾何学的形状を含む、請求項1〜12のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項14】
前記1つ以上のパラメータは、歯の長さを含む、請求項1〜13のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項15】
前記1つ以上のパラメータは、他の歯に対する歯の長さを含む、請求項1〜14のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項16】
前記1つ以上のパラメータは、他の特定の歯に対する特定の歯の大きさを含む、請求項1〜15のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項17】
前記1つ以上のパラメータは、前記中央の歯に対する側歯の大きさを含む、請求項1〜16のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項18】
前記1つ以上のパラメータは、前記側歯に対する犬歯の大きさを含む、請求項1〜17のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項19】
前記1つ以上のパラメータは、歯間の間隙の大きさを含む、請求項1〜18のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項20】
前記1つ以上のパラメータは、歯の形状を含む、請求項1〜19のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項21】
前記方法は、歯のミラーリングをさらに含む、請求項1〜20のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項22】
前記方法は、歯のクローニングをさらに含む、請求項1〜21のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項23】
前記方法は、対咬歯に対する衝突マッピングを提供することをさらに含む、請求項1〜22のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項24】
前記方法は、前記最終的な一組の歯をバーチャル保持手段にバーチャル的に適合させることをさらに含む、請求項1〜23のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項25】
前記方法は、前記最終的な一組の歯を前記保持手段に合わせてカットすることをさらに含む、請求項1〜24のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項26】
前記方法は、前記最終的な一組の歯を歯肉に合わせてバーチャル的にカットすることをさらに含む、請求項1〜25のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項27】
前記方法は、前記最終的な一組の歯を前記歯肉におけるその解剖学的に正しい位置に適合させることをさらに含む、請求項1〜26のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項28】
前記一組の歯は、該一組の歯が、前記最終的な一組の歯になる前に、前記保持手段および/または前記歯肉に適合され/これにカットされ得る、請求項1〜27のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項29】
前記方法は、前記保持手段をバーチャル的に設計することをさらに含む、請求項1〜28のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項30】
前記方法は、歯の上に重ねられるバーチャル案内ラインを付加することをさらに含む、請求項1〜29のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項31】
前記方法は、下側アーチおよび/または上側アーチにおける歯の修復物を設計することと、下側アーチと上側アーチとを適合させることとを含む、請求項1〜30のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項32】
前記構成された一組の歯は、構成された一組の前歯と構成された一組の大臼歯とを含み、構成された一組の歯の各々は別個に選択される、請求項1〜31のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項33】
前記構成された一組の歯は、幾つかの異なる構成された一組の歯を含む電子図書館から選択され、該構成された一組の歯は、標準的な一組の歯であることができ、および/またはユーザによって該電子図書館に付加されることができる、請求項1〜32のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項34】
前記方法は、ユーザが、構成された一組の歯の1つ以上のパラメータを規定することによって構成された一組の歯を生成するという選択肢を有することをさらに含む、請求項1〜33のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項35】
前記方法は、永続的または一時的な補綴物を設計することを含む、請求項1〜34のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項36】
前記方法は、部分的な義歯の補綴物または総義歯の補綴物を設計することを含む、請求項1〜35のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項37】
前記方法は、患者の顔を考慮して歯の修復物を設計するために、フェーススキャナによって患者の顔の輪郭をスキャンすることをさらに含む、請求項1〜36のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項38】
前記方法は、デジタル的な歯の修復作業のための既存の電子プログラムにおいて実行されるように構成される、請求項1〜37のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項39】
プログラムコード手段を備えているコンピュータプログラムプロダクトであって、該プログラムコード手段は、該プログラムコード手段がデータ処理システム上で実行されるとき、該データ処理システムに請求項1〜38のうちのいずれか一項以上に記載の方法を実行させるためのものである、コンピュータプログラムプロダクト。
【請求項40】
請求項39に記載のコンピュータプログラムプロダクトであって、該プロダクトは、コンピュータ読み取り可能媒体を備え、該コンピュータ読み取り可能媒体は、該コンピュータ読み取り可能媒体に格納されたプログラムコード手段を有する、プロダクト。
【請求項41】
患者のための幾つかの歯の修復物を設計するためのシステムであって、該システムは、
幾つかの歯を含む構成された一組の歯を選択するための手段であって、該幾つかの歯は、互いに対して間隔を空けて配列され、高い審美性の構成を形成する、手段と、
該構成された一組の歯を患者の現在の口腔状況のバーチャル三次元表示に適用して、最初の一組の歯を獲得するための手段と、
該最初の一組の歯における1つ以上の歯の1つ以上のパラメータを随意的に変更して、最終的な一組の歯を獲得するための手段と
を備えている、システム。
【請求項42】
請求項1〜38のうちのいずれか一項以上に記載の方法によって設計される患者のための歯の修復物。
【請求項1】
患者のための幾つかの歯の修復物を設計する、コンピュータで実行される方法であって、該方法は、
幾つかの歯を含む構成された一組の歯を選択することであって、該幾つかの歯は、互いに対して間隔を空けて配列され、高い審美性の構成を形成する、ことと、
該構成された一組の歯を患者の現在の口腔状況のバーチャル三次元表示に適用して、最初の一組の歯を獲得することと、
該最初の一組の歯における1つ以上の歯の1つ以上のパラメータを随意的に変更して、最終的な一組の歯を獲得することと
を含む、コンピュータで実行される方法。
【請求項2】
前記方法は、
前記最初の一組の歯における1つ以上のパラメータを随意的に変更するとき、該最初の一組の歯全体を随意的に総体的に変更することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項3】
前記方法は、
前記最初の一組の歯における1つ以上のパラメータを随意的に変更するとき、該最初の一組の歯における幾つかの歯を随意的に総体的に変更することをさらに含む、請求項1〜2のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項4】
前記方法は、製造のために少なくとも幾つかの前記設計された歯の修復物を選択することをさらに含む、請求項1〜3のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項5】
前記方法は、
前記患者の現在の口腔状況の表示を適用する前に前記構成された一組の歯における1つ以上の歯の1つ以上のパラメータを随意的に変更して、変更された構成された一組の歯を獲得することをさらに含む、請求項1〜4のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項6】
前記方法は、口腔内スキャナを使用して現在の口腔状況をスキャニングすることによっておよび/または前記患者の現在の口腔状況のネガティブ陥凹の表面をスキャニングすることによっておよび/または該患者の現在の口腔状況のポジティブ模型の表面をスキャニングすることによって、該患者の現在の口腔状況の前記三次元バーチャル表示を獲得することをさらに含む、請求項1〜5のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項7】
前記方法は、口腔内スキャナを使用して元の一組の歯をスキャニングすることによっておよび/または該患者の元の歯のネガティブ陥凹の表面をスキャニングすることによっておよび/または該患者の元の歯のポジティブ模型の表面をスキャニングすることによって、該患者の元の一組の歯の三次元バーチャル表示を獲得することをさらに含み、該元の一組の歯の表示は、患者の歯が調整される前に提供される、請求項1〜6のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項8】
前記1つ以上のパラメータは、歯の相対的な位置によって画定された歯の湾曲を含む、請求項1〜7のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項9】
前記1つ以上のパラメータは、顔の中線に対する歯の回転を含む、請求項1〜8のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項10】
前記顔の中線に対する歯の回転は、
基本的な審美的構成、
強い審美的構成、または
弱い審美的構成
から選択される構成または構成の組み合わせを作成する、請求項1〜9のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項11】
前記1つ以上のパラメータは、中央の歯の幾何学的形状を含む、請求項1〜10のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項12】
前記中央の歯の前記幾何学的形状は、
卵形、
三角形、もしくは
長方形/正方形
であるか、またはこれらから選択される組み合わせである、請求項1〜11のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項13】
前記1つ以上のパラメータは、小臼歯および/または大臼歯の幾何学的形状を含む、請求項1〜12のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項14】
前記1つ以上のパラメータは、歯の長さを含む、請求項1〜13のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項15】
前記1つ以上のパラメータは、他の歯に対する歯の長さを含む、請求項1〜14のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項16】
前記1つ以上のパラメータは、他の特定の歯に対する特定の歯の大きさを含む、請求項1〜15のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項17】
前記1つ以上のパラメータは、前記中央の歯に対する側歯の大きさを含む、請求項1〜16のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項18】
前記1つ以上のパラメータは、前記側歯に対する犬歯の大きさを含む、請求項1〜17のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項19】
前記1つ以上のパラメータは、歯間の間隙の大きさを含む、請求項1〜18のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項20】
前記1つ以上のパラメータは、歯の形状を含む、請求項1〜19のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項21】
前記方法は、歯のミラーリングをさらに含む、請求項1〜20のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項22】
前記方法は、歯のクローニングをさらに含む、請求項1〜21のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項23】
前記方法は、対咬歯に対する衝突マッピングを提供することをさらに含む、請求項1〜22のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項24】
前記方法は、前記最終的な一組の歯をバーチャル保持手段にバーチャル的に適合させることをさらに含む、請求項1〜23のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項25】
前記方法は、前記最終的な一組の歯を前記保持手段に合わせてカットすることをさらに含む、請求項1〜24のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項26】
前記方法は、前記最終的な一組の歯を歯肉に合わせてバーチャル的にカットすることをさらに含む、請求項1〜25のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項27】
前記方法は、前記最終的な一組の歯を前記歯肉におけるその解剖学的に正しい位置に適合させることをさらに含む、請求項1〜26のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項28】
前記一組の歯は、該一組の歯が、前記最終的な一組の歯になる前に、前記保持手段および/または前記歯肉に適合され/これにカットされ得る、請求項1〜27のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項29】
前記方法は、前記保持手段をバーチャル的に設計することをさらに含む、請求項1〜28のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項30】
前記方法は、歯の上に重ねられるバーチャル案内ラインを付加することをさらに含む、請求項1〜29のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項31】
前記方法は、下側アーチおよび/または上側アーチにおける歯の修復物を設計することと、下側アーチと上側アーチとを適合させることとを含む、請求項1〜30のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項32】
前記構成された一組の歯は、構成された一組の前歯と構成された一組の大臼歯とを含み、構成された一組の歯の各々は別個に選択される、請求項1〜31のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項33】
前記構成された一組の歯は、幾つかの異なる構成された一組の歯を含む電子図書館から選択され、該構成された一組の歯は、標準的な一組の歯であることができ、および/またはユーザによって該電子図書館に付加されることができる、請求項1〜32のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項34】
前記方法は、ユーザが、構成された一組の歯の1つ以上のパラメータを規定することによって構成された一組の歯を生成するという選択肢を有することをさらに含む、請求項1〜33のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項35】
前記方法は、永続的または一時的な補綴物を設計することを含む、請求項1〜34のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項36】
前記方法は、部分的な義歯の補綴物または総義歯の補綴物を設計することを含む、請求項1〜35のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項37】
前記方法は、患者の顔を考慮して歯の修復物を設計するために、フェーススキャナによって患者の顔の輪郭をスキャンすることをさらに含む、請求項1〜36のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項38】
前記方法は、デジタル的な歯の修復作業のための既存の電子プログラムにおいて実行されるように構成される、請求項1〜37のうちのいずれか一項以上に記載のコンピュータで実行される方法。
【請求項39】
プログラムコード手段を備えているコンピュータプログラムプロダクトであって、該プログラムコード手段は、該プログラムコード手段がデータ処理システム上で実行されるとき、該データ処理システムに請求項1〜38のうちのいずれか一項以上に記載の方法を実行させるためのものである、コンピュータプログラムプロダクト。
【請求項40】
請求項39に記載のコンピュータプログラムプロダクトであって、該プロダクトは、コンピュータ読み取り可能媒体を備え、該コンピュータ読み取り可能媒体は、該コンピュータ読み取り可能媒体に格納されたプログラムコード手段を有する、プロダクト。
【請求項41】
患者のための幾つかの歯の修復物を設計するためのシステムであって、該システムは、
幾つかの歯を含む構成された一組の歯を選択するための手段であって、該幾つかの歯は、互いに対して間隔を空けて配列され、高い審美性の構成を形成する、手段と、
該構成された一組の歯を患者の現在の口腔状況のバーチャル三次元表示に適用して、最初の一組の歯を獲得するための手段と、
該最初の一組の歯における1つ以上の歯の1つ以上のパラメータを随意的に変更して、最終的な一組の歯を獲得するための手段と
を備えている、システム。
【請求項42】
請求項1〜38のうちのいずれか一項以上に記載の方法によって設計される患者のための歯の修復物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a)】
【図6b)】
【図7a)】
【図7b)】
【図8】
【図9a)】
【図9b)】
【図9c)】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a)】
【図6b)】
【図7a)】
【図7b)】
【図8】
【図9a)】
【図9b)】
【図9c)】
【公表番号】特表2013−519461(P2013−519461A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553181(P2012−553181)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際出願番号】PCT/DK2011/050048
【国際公開番号】WO2011/100976
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(508158023)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際出願番号】PCT/DK2011/050048
【国際公開番号】WO2011/100976
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(508158023)
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