丁合装置
【課題】乱丁が発生した丁合束の後処理を容易にすることができる丁合装置。
【解決手段】複数枚の折丁20を収納する折丁収納手段11と、折丁を1枚ずつ抜き出す折丁給紙手段100と、抜き出された折丁を検査する乱丁検査手段28とを有する複数の丁合駒装置10と、それぞれの丁合駒装置から供給される折丁を順に重ねて折丁束として搬送する折丁束搬送装置22とを有する丁合装置において、乱丁検査手段からの乱丁を検知した乱丁検知信号に基づき、当該乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束への以降の折丁の供給停止を行うように、順次、丁合駒装置における折丁給紙手段を制御するとともに、折丁給紙手段における折丁の供給停止に対応させて、乱丁検査手段における折丁の検査を中断する。
【解決手段】複数枚の折丁20を収納する折丁収納手段11と、折丁を1枚ずつ抜き出す折丁給紙手段100と、抜き出された折丁を検査する乱丁検査手段28とを有する複数の丁合駒装置10と、それぞれの丁合駒装置から供給される折丁を順に重ねて折丁束として搬送する折丁束搬送装置22とを有する丁合装置において、乱丁検査手段からの乱丁を検知した乱丁検知信号に基づき、当該乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束への以降の折丁の供給停止を行うように、順次、丁合駒装置における折丁給紙手段を制御するとともに、折丁給紙手段における折丁の供給停止に対応させて、乱丁検査手段における折丁の検査を中断する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は,製本の際に帳票等の折丁を丁合する丁合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製本の際に帳票等の折丁を丁合する丁合装置において、乱丁、落丁等(本明細書においては乱丁と総称する)を検査する乱丁検査装置を配置することは、よく知られている。
例えば、中綴じ製本の場合は、丁合駒ごとにストックされた折丁は、各丁合駒の折丁取出機構によって1枚ずつ取り出され、搬送装置(ギャザリングチェーン)に配置された鞍上に順に載置され、丁合束として形成されて下流の中綴じ機に搬送され製本される。ここで、各丁合駒ごとに乱丁検査装置を配置して、どの丁合駒で乱丁が発生したかを検知し、乱丁が発生した丁合束を特定することが行われる。
【0003】
このような乱丁が発生した丁合束は、中綴じ機へ搬送することなく、途中の排除装置によって排除される。(特許文献1参照)
そして、このように排除された丁合束は、廃棄されることなく、作業員によってバラされて点検され、乱丁の無かった折丁は、元の丁合駒に1枚、1枚、手作業によって戻されて再利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭58−6874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このように手作業によって戻す作業は、ページ数が多い折丁束では、戻さなければならない折丁の枚数が多かったり、乱丁の原因となった折丁の特定に手間が掛かったりして、作業員の負担となっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、本発明は、複数枚の折丁を収納する折丁収納手段と、前記折丁収納手段から前記折丁を1枚ずつ抜き出す折丁給紙手段と、前記折丁給紙手段により抜き出された折丁を検査する乱丁検査手段とを有する複数の丁合駒装置と、それぞれの前記丁合駒装置から供給される折丁を順に重ねて折丁束として搬送する折丁束搬送装置とを有する丁合装置において、
前記丁合装置を制御する丁合制御手段を備え、
前記丁合制御手段は、前記乱丁検査手段からの乱丁を検知した乱丁検知信号に基づき、当該乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束への以降の折丁の供給停止を行うように、順次、前記丁合駒装置における前記折丁給紙手段を制御するとともに、前記折丁給紙手段における折丁の前記供給停止に対応させて、前記乱丁検査手段における折丁の検査を中断することを特徴とする丁合装置とした。
【0007】
このように構成したことにより、丁合駒装置から抜き出された折丁が乱丁として検知されると、その乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束には、以降の丁合駒装置からの折丁の供給が停止されることにより、折丁がそれ以上積み重ねられることがない。
その結果、乱丁が発生した丁合束は、その上部に、乱丁が発生した折丁が重ねられている状態となっている。
したがって、作業員がこのような乱丁が発生した丁合束をバラして元の丁合駒装置に戻す作業では、折丁束上部の乱丁が発生した折丁のみを点検、必要に応じて廃棄した後、残りの折丁は正常なものとして元の丁合駒装置に戻すだけで良く、折丁の戻し作業が非常に簡便になるだけでなく、戻す折丁の枚数も少なくて済むのでその戻し作業量も少なくて済むこととなる。
【0008】
また、乱丁が発生した丁合束への以降の折丁の供給を停止するとともに、その供給停止に対応させて、乱丁検査手段による乱丁検査を中断させるので、折丁が供給されなかったことに伴う乱丁検知信号が出力されることがない。このように、乱丁検査手段からの誤信号が出力されることがないので、丁合制御手段による丁合装置の制御を正確に行うことができる。また、丁合駒装置毎に乱丁検知信号の出力履歴を記憶させ、その記憶情報を丁合装置の管理に用いる場合に、誤信号の発生を記憶させることが無いので、丁合装置の正確な管理を行うことができる。
【0009】
また、本発明は、前記折丁給紙手段は、前記折丁収納手段に収納された折丁を一部ずつ抜き出すための吸着ヘッドと、前記吸着ヘッドに吸着力を付与するための負圧回路と、前記負圧回路を遮断する電磁弁手段とを有し、
前記丁合制御手段は、前記折丁束搬送装置の搬送駆動に同期して前記電磁弁手段を制御する電磁弁制御手段を有し、前記乱丁検知信号を出力した丁合駒装置より下流に配置された丁合駒装置の電磁弁手段を、前記電磁弁制御手段を用いて順次遮断することにより、前記乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束に対する前記丁合駒装置からの折丁の供給を停止することを特徴とする丁合装置とした。
【0010】
このように構成することにより、吸着ヘッドの負圧回路を制御することによって折丁の供給と供給停止を容易に切り替えることができるので、折丁の供給・停止を確実かつ、簡便に行うことができる。
【0011】
また本発明は、前記折丁束搬送装置によって搬送された折丁束を綴じる綴じ装置と、前記乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束を前記折丁束搬送装置から排出する乱丁束排出装置と、を有し、前記綴じ装置は、前記乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束を綴じないように前記丁合制御手段により制御することを特徴とする丁合装置とした。
【0012】
このように構成したことにより、乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束(乱丁束)は、綴じられることなく製本ラインから排出されるので、該乱丁束の特定を確実に行うことができ、作業員による折丁の戻し作業を確実に実行することができる。
【0013】
また本発明は、丁合装置の丁合状態を表示する表示装置を備え、前記表示装置は、前記各丁合駒装置における丁合状態を表示する複数の点灯表示部からなる第1表示部と、前記乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束の位置を表示する複数の点灯表示部からなる第2表示部とを有し、
前記第2表示部は、前記乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束が、隣接する丁合駒装置へ順次移動することに同期して、前記乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束の位置を示すように移動表示することを特徴とする丁合装置とした。
【0014】
このように構成したことにより、各丁合駒装置毎の丁合状態の表示とともに、乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束(乱丁束)が、順次隣の丁合駒装置へと移動していく様が表示されるので、作業員による折丁束、乱丁束の管理が容易になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、このように構成したことにより、乱丁が発生した場合の折丁を元の丁合駒装置にそれぞれ戻す作業を容易にすることで、作業員の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の丁合装置の全体構成図。
【図2】本発明の丁合装置における丁合駒装置の構成図。
【図3】本発明の丁合駒装置における折丁給紙手段の説明図。
【図4】本発明の丁合装置における負圧回路の説明図。
【図5】本発明の丁合装置における電磁弁等の作動タイミングの説明図(通常時)。
【図6】本発明の丁合装置における電磁弁等の作動タイミングの説明図(乱丁発生時)。
【図7】本発明の丁合装置における表示装置の正面図。
【図8】本発明の丁合装置における制御手段の構成図。
【図9】本発明の丁合装置の第2の実施の形態例に係る全体構成図。
【図10】本発明の丁合装置の第3の実施の形態例に係る電磁弁等の作動タイミングの説明図(乱丁発生時)。
【図11】本発明の丁合装置の実施の形態例に係る電磁弁等の作動タイミングの説明図(乱丁発生時)。
【図12】本発明の丁合装置の第4の実施の形態例に係る制御フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の実施形態例において、丁合装置は、図1、図2に示すように、n個の丁合駒装置10(10−1〜10−n)と、各丁合駒装置10から供給される折丁20を順に重ねて折丁束として搬送する折丁束搬送装置(ギャザリングチェーン)22と、折丁束搬送装置22の折丁搬送方向下流に設けられた、綴じ機107および乱丁束排出装置101と、を有している。
そして、各丁合駒装置は、図2および図8に示すように、折丁収納手段11に収納されている折丁を1部ずつ引き出して折丁束搬送装置22上に供給する折丁給紙手段100、折丁給紙手段100によって引き出された折丁の乱丁を検査する乱丁検査装置28、および折丁給紙手段100における給紙を制御する電磁弁SVを有している。
【0018】
各折丁収納手段11は、共通するフレーム18の上にそれぞれ設けられており、印刷された枚葉紙や折りたたまれた折丁20(20−1〜20−n)(これらを、まとめて「折丁」という。)がそれぞれ収納されている。
また、この折丁収納手段11の下方には、収納されている折丁20を1枚ずつ抜き出す吸着ヘッド100a等からなる折丁給紙手段100がそれぞれ配置されている。
この折丁給紙手段100は、図3に示すように、折丁の端部を吸着する吸着ヘッド機構と、吸着された折丁の端部を捌いてそれを回転ドラム14に押圧する押し付けローラ機構と、および押し付けられた折丁の端部を咬えて回転ドラム14の周面に保持しながら折丁を引き出す回転ドラム機構と、を有している。
【0019】
このうち吸着ヘッド機構は、次のように構成されている。
印刷物等の折丁が重ねられて載置される折丁載置台100kの底部には、架台ブラケット100cが立設されている。該架台ブラケット100cにはピン部材100dが設けられており、このピン部材100dを回動支点として、吸着ヘッド用リンク部材100bが先端部を上下回動可能に枢支されている。該吸着ヘッド用リンク部材100bは、その先端部に吸着ヘッド100aが固設され、図示しない駆動手段によって、ピン部材100dを回動中心として上下回動するように構成されている。
これにより、吸着ヘッド100aは、折丁20の端部を吸着する上方位置と、吸着した折丁端部を下方の押し付け機構へ引き出す下方位置との間で揺動される。
そして、この吸着ヘッド100aには、真空ポンプPに接続されており、途中に電磁弁SVが設けられている。
【0020】
図4に示すように、各吸着ヘッド100a(100a−1〜100a−n)には、負圧回路102が接続されており、該負圧回路102によって、真空ポンプPから供給される負圧が、負圧分岐回路103を経て各吸着ヘッド100aに供給されている。
そして、この供給される負圧は、負圧分岐回路103の途中に設けられた各電磁弁SV(SV1〜SVn)によって遮断されることにより、吸着ヘッド100aにおける吸着力が制御される。
また、これら各電磁弁SVを制御するための電磁弁制御手段30fが、ネットワークI/Oを介して丁合装置全体を集中的に管理するライン制御ユニット30に設けられており、該ライン制御ユニット30から出力される電磁弁制御信号に基づいて各電磁弁SVが制御される。
【0021】
また、押し付けローラ機構は次のように構成されている。
各丁合駒装置10のブラケット部材100gには、枢止ピン100hで枢支された押し付けローラ用リンク部材100fが設けられており、該リンク部材100fの先端には、押し付けローラ100eが回動可能に設けられている。押し付けローラ用リンク部材100fは、図示しない押圧手段によって、押し付けローラ100eを回転ドラム14へ圧接する方向へ常時付勢されている。
【0022】
回転ドラム機構は次のように構成されている。
各吸着ヘッド100aによって抜き出された折丁20を受け取って、それを折丁束搬送装置22に受け渡するため、それぞれの吸着ヘッド100aおよび押し付けローラ100eに対向するように、回転ドラム14(14−1〜14−n)が配置されている。
各回転ドラム14は、図2および図3に示すように、フレーム18に沿って水平方向に延びた共通の回転軸12を有し、この回転軸12の一端には、駆動部16が接続されている。
また、各回転ドラム14の周面には、折丁20の端部を把持する把持爪14aが設けられている。この把持爪14aは、所定のタイミングで、折丁20の端部を咬えたり、或いは開放したりすることができるように構成されている。
【0023】
このように構成された折丁給紙手段100によれば、折丁収納手段11収納された折丁20は、次のように、折丁束搬送装置22上に供給される。
先ず、図3に示すように、吸着ヘッド100aによって押し付けローラ100eの下方の引き出し位置まで引き出された折丁20の端部は、次いで、押し付けローラ100eにより回転ドラム14の表面に押し付けられる。
このように回転ドラム14の表面に押し付けられた折丁20の端部は、所定のタイミングで、回転ドラム14の周面に設けられている把持爪14aに咬えられるので、端部が咬えられた折丁20は、回転ドラム14の回転に伴って、回転ドラム14の外周面に巻きつけられながら折丁収納手段11から抜き出されることとなる。
【0024】
各回転ドラム14の下方には、各回転ドラム14に共通の折丁束搬送装置(ギャザリングチェーン)22が設けられている。該折丁束搬送装置22は、各回転ドラム14の回転軸12と平行な搬送ラインを形成しており、その搬送ラインに沿うように複数の鞍(図示せず)が設けられている。この各鞍は、各回転ドラム14間の間隔と同一の所定間隔を保ちながら、搬送方向の下流に移動するように構成されている。
各回転ドラム14に巻き付けられて引き出された折丁20は、把持爪14aが所定位置で開放されることにより折丁束搬送装置22上に落下し、各丁合駒装置10−1〜10−nの配置順に重ねられる。つまり、1枚目折丁20−1の上に次の2枚目折丁20−2が重ねられ、更にその折丁束の上に次の3枚目折丁20−3が重ねられながら、最終的に、全ての折丁20−1〜20−nが順に上方へ重ねられた折丁束が折丁束搬送装置22上に形成される。この折丁束は、各鞍によって搬送方向(流下方向)に位置決めされながら、搬送ライン下流へと搬送される。
【0025】
折丁束搬送装置22の下流には、図1に示すように、綴じ装置107および乱丁束排出装置101が配置されており、正しく丁合された折丁束は、該綴じ装置107によって綴じられ、下流の裁断装置(図示せず)等が配置された製本ラインへ搬出される。一方、乱丁が発生した折丁束は、綴じ装置107によって綴じられることなく、乱丁束排出装置101によって搬送ラインから排除されて、乱丁束排出装置101の下流に設けられた乱丁束収納装置(図示せず)に収納される。これについては、後に詳述する。
【0026】
各丁合駒装置10(10−1〜10−n)には、それぞれ乱丁検査手段28(28−1〜28−n)が配置されている。
例えば、第1の丁合駒装置10−1における第1の乱丁検査手段28−1は、図8に示すように、第1の丁合駒装置10−1に収納された折丁画像を撮像する撮像手段26と、当該丁合駒装置10−1に設定すべき乱丁許容レベル(例えば、基準画像として許容される平均濃度およびコントラストの範囲や、基準画像と検査画像との許容される一致率や、あるいは、乱丁が連続して発生した場合に丁合駒装置10−1を停止する条件等)や、当該丁合駒装置10−1を識別する識別情報等の設定情報を入力するための入力設定手段27aと、折丁20−1に対して予め設定された基準画像情報や折丁の合否判定結果情報等を記憶する検査情報記憶手段27bと、撮像手段26で撮像している撮像画像、検査情報、あるいは入力設定手段27aによって入力される前記設定情報を表示したりする駒表示手段27cと、を有している。
他の丁合駒装置10−2〜10−nに配置されている乱丁検査手段28−2〜28−nについても、この第1の乱丁検査手段28−1と同様に、構成されている。
この乱丁検査手段28−1〜28−nは、撮像手段26を除きそれぞれの筐体29に収納され、該筐体は、オペレーターによって操作され易いように、各丁合駒装置10−1〜10−nの近傍にそれぞれ配置されている。
【0027】
ここで、撮像手段26は、図2に示すように、該回転ドラム14の外周面に対向するように配置され、回転ドラム14上に引き出された折丁を撮像するものである。
乱丁検査手段28は、撮像手段26によって撮像された各折丁20(20−1〜20−n)の合否を判定し、合否判定結果情報を出力する。合否の判定は従来公知の方式を用いることができる。例えば、撮像された折丁20の画像を予め保存してある基準画像と比較して当該折丁20の合否を判定する。
【0028】
下流に配置された綴じ機107、乱丁束排出装置101および各丁合駒装置およびそれらを管理する駒管理装置29は、図8に示すように、丁合装置全体を管理するライン制御ユニット30と、ネットワーク(I/O)を介して接続されている。
該ライン制御ユニット30は、各丁合駒装置10に共通する標準時刻を供給する標準時刻供給手段30tと、各乱丁検査手段28から出力された合否判定結果情報等の検査情報を集計分析し記憶するエラー集計分析手段30cと、各種操作情報(例えば、エラー集計分析手段30cの分析結果から、一致率の許容レベルを上げることが可能と判断されることに基づいて、それぞれの丁合駒装置10に設定された許容レベルを丁合装置全体として一律に変更するなど、各丁合駒装置10に設定された各種設定情報を、丁合装置全体を勘案しながら再設定する操作情報や、丁合装置全体の処理速度を設定する操作情報など)を入力する入力操作手段30bと、該入力操作手段30bによる入力操作や各丁合駒装置10の稼働状態、エラー集計分析手段30cからの情報等を表示するライン表示手段30aと、各丁合駒装置10の電磁弁SVに対し駒管理装置29を介して電磁弁制御信号を出力する電磁弁制御手段30fと、各丁合駒装置10の折丁給紙手段100に対し駒管理装置29を介して給紙制御信号を出力する折丁給紙制御手段30gと、折丁束搬送装置22の駆動を制御する折丁束搬送装置制御手段30hと、乱丁束排出装置101に対し駒管理装置29を介して乱丁束排出信号を出力する乱丁束排出装置制御手段30jと、綴じ機に対し駒管理装置29を介して綴じ信号を出力する綴じ機制御手段30kと、各丁合駒装置10からの検査情報や各種設定情報、入力操作手段30bからの各種操作情報等を受けて駒管理装置29を制御する駒管理装置制御手段30eと、を有している。
【0029】
このうち、折丁給紙制御手段30gは、駒管理装置29に対し折丁給紙手段100への給紙制御信号を出力し、各丁合駒装置10における給紙を制御するものである。
回転ドラム14の回転軸12には、図1に示すように、スタータ32が取り付けられている。このスタータ32は、各丁合駒装置間におけるタイミングセンサーとして機能するものであり、回転軸12が1回転する毎に1つのスタート信号を出力する。このスタート信号は、各丁合駒装置10の乱丁検査手段28および、またはライン制御ユニット30に出力されて、乱丁検査手段28における検査タイミング、折丁給紙手段100における給紙タイミング、あるいは電磁弁SVにおける電磁弁作動タイミング等が設定される。
【0030】
また、この回転軸12には、その回転駆動に同期してパルスを発生させるエンコーダ34が取り付けられている。このエンコーダ34は、回転軸12の回転量(回転角)に応じて常に一定周波数のパルス信号34aを出力するように構成されている。
スタータ32からスタート信号32aが出力されたあと、エンコーダ34から出力されるパルス信号がカウントされる。該パルス信号の数は、例えばスタータ32のスタート信号を受けた時(信号の立上り時)からカウントされる。該パルス信号の数は、スタート信号1つにつき、所定の総数T(たとえば100パルス)だけカウントされる。つまり、回転ドラム14が1回転する間に、総数Tのパルス信号がカウントされる。
また、この実施の形態例では、パルス信号のカウントが所定数Tに達するまでの間に乱丁検査が終了するように、各乱丁検査手段28が設定されている。
【0031】
ライン制御ユニット30を内蔵するライン制御ユニット筐体40は、図7に示すように、その前面側にライン表示手段30a(30a―1〜30a―3)および入力操作手段30bが設けられており、さらにその上部には、検査異常等を報知するための赤色回転ランプ40aが設けられている。
ライン表示手段30aは、主に3つの表示手段(第1表示手段30a−1〜第3表示手段30a―3)によって構成されている。いずれも、発光ダイオードなどを用いた点灯表示手段を複数個直線状に並べて構成されており、丁合装置を構成する丁合駒装置10などの構成要素の作動状況を点滅表示、或いは点灯表示により表示するように構成されている。
【0032】
この内、第1表示手段30a―1は、各丁合駒装置の状況を表示するためのもので、後述する第2表示手段30a−2の下方に設けられている。
図7に示す例では、丁合駒装置10−1から丁合駒装置10−12までの駒番号順に対応するように、点灯表示部が右から左へ順に12個の点灯表示部が直線上に並列して配置されている。
ここで、上流から5番目の丁合駒装置10−5に乱丁発生が生じた場合には、右から5番目の駒番号の点灯表示部が点滅表示するように構成されている。これにより、その番号の丁合駒装置10−5に乱丁が発生したことが表示される。
この点滅表示は、丁合装置のオペレーターによって当該丁合駒装置10―5における乱丁要因が解決され、当該丁合駒装置10における点滅表示の解除操作がされることによって、消灯する。
このように、この第1表示手段30a−1は、後述する第2表示手段30a−2が、乱丁束が発生し流下していく状況を動的に表示するのに対し、乱丁が検出された丁合駒装置10を特定すべく静的に表示するものとなっている。
【0033】
また、第2表示手段30a―2は、図7に示す実施例では全部で24個の点灯表示部からなり、最左端に乱丁束排出装置101の作動状況を表示する点灯表示部(「排出」と表示されている表示部)を有し、その右の番号1から番号8までの点灯表示部は、丁合装置を構成する他の構成要素(例えば、厚さ検出器や中綴じ機など)のために設けられている。更にその右の番号9から番号23〜は、丁合駒装置10−nから順に上流に遡って丁合駒装置10−1のために設けられている。つまり、この例の場合、丁合駒装置10に割り当てられている点灯数は番号9から番号23までの15個となっており、下流から順に、丁合駒装置10−15から丁合駒装置10−1までに対応している。但し、丁合駒装置が16個以上の場合、オーバーフローする部分は、番号23〜に纏めて表示される。例えば、丁合駒装置10が20個の場合、オーバーフローする丁合駒装置20−1〜20−5は、番号23〜に纏めて表示される。
【0034】
この第2表示手段30a−2は、丁合駒装置10における折丁給紙手段100の動作が順に中止されることを表示することにより、乱丁束が発生し流下していく状況を動的に表示するように構成されている。
例えば、15個の丁合駒装置10−1 〜10−15を有する丁合装置が、ある時点で上流から5番目(つまり、下流から11番目)の丁合駒装置10−5に乱丁が発生した場合、番号19の点灯表示部を点灯表示することにより、上流から5番目の丁合駒装置10−5に乱丁が発生したことが表示される。そして、その乱丁束が下流の丁合駒装置10へ移動するに同期して、その移動先ではその場所の丁合駒装置10の折丁給紙手段100の動作が順に中止されるので(これについては、後に詳述する)、その丁合駒装置における給紙が中止されたことの表示が行われる。つまり、点灯表示は、番号18、番号17、番号16・・・へと、順に移動する。
そして、番号9の点灯表示部が点灯表示されることにより、最下流の丁合駒装置10−15において折丁給紙手段100の動作が中止されたことが表示され、次に、乱丁束排出装置101の作動状況を表示する「排出」表示部が点灯表示することにより、当該乱丁束が乱丁束排出装置101によって搬送ライン上から排出されたことが表示される。
【0035】
第3表示手段30a−3は、第1表示手段30a−1の下方に、その点灯表示部が第1表示手段30a−1と平行となるように設けられている。
この第3表示手段30a−3は、各丁合駒装置10の乱丁発生を表示するものであり、図9に示す例では、左から順に12個の駒番号が付与された点灯表示部により構成されており、それぞれ丁合駒装置10−1〜丁合駒装置10−12に対応させて設けられている。
【0036】
駒管理装置29は、図8に示すように、各丁合駒装置10、乱丁束排出装置101および綴じ機107を、ネットワーク(I/O)を介してライン制御ユニット30に接続するものである。また、スタータ32およびエンコーダ34からのタイミング情報(タイミング信号およびパルス信号)と、駒管理装置制御手段30eからの駒管理制御信号とに基づいて、ライン制御ユニット30からの電磁弁制御信号、給紙制御信号を、それぞれ各丁合駒装置10における電磁弁SVおよび折丁給紙手段100に適切なタイミングで出力するものである。
綴じ機107および乱丁束排出装置101についても、この駒管理装置29によって、適切なタイミングでライン制御ユニットからの制御信号が出力される。
【0037】
次に、このように構成されている第1の実施の形態例において、乱丁が発生した折丁束を排出する手順について、説明する。
本発明においては、丁合駒装置10−(a)において乱丁検査手段28が乱丁を検出すると、次の丁合駒10−(a+1)以降の丁合駒装置においては、その乱丁が重ねられた折丁束(いわゆる乱丁束)の上には折丁20を供給することがないように折丁給紙手段100の給紙動作が中止される。そして、その給紙動作の中止に伴って、正規の折丁が給紙されたとした場合のタイミングで、乱丁検査手段28の動作も一時的に中断される。この給紙動作の中止は、電磁弁制御手段30fによる電磁弁SVの制御によって行われる。
【0038】
例えば、丁合装置が全部で6台の丁合駒装置10−1〜10−6を有しており、その内、丁合駒装置10−2に乱丁が発生したとする。このような例を、図5および図6により説明する(以下、丁合駒装置10−1を単に「駒1」と表示する。駒2以下についても同じ。)。
先ず、オペレーターによりスタータ32がON操作されると、ライン制御ユニット30によりそれぞれの丁合駒装置10における折丁給紙手段100が起動する。同時に、真空ポンプPも、そのON操作信号を受けて起動し、負圧回路102に負圧空気を発生させる。
ここで、乱丁が発生しない通常状態では、図5に示すように、駒1〜6における電磁弁SV1〜SV6は、回転ドラム14の1回転毎に同期して発生するタイミング信号32aを受けて、順次ONしてゆく。電磁弁SVがON作動すると、真空ポンプPからの負圧が折丁給紙手段100の吸着ヘッド100aに作用するので、吸着ヘッド100aは、それぞれの折丁収納手段11から折丁を引き出して、それを折丁束搬送装置22上に供給してゆく。
ここで、折丁束が6部と設定されている場合(実際は、このような丁合機では、作成される製本部数がもっと大量であるので、その部数に応じた折丁束数が設定される。しかし、ここでは便宜的に、図5および図6に示すように、6部に設定した場合を想定する。)は、電磁弁SV1〜SV6は、各丁合駒装置10が6部の折丁(つまり、1枚目の折丁〜6枚目の折丁)の引き出しを終了したタイミングで、順次OFFとなり、丁合作業が終了する。この通常状態においては、各丁合駒装置における乱丁検査手段28からは乱丁発生情報が出力されないので、電磁弁SV1〜SV6に対して乱丁発生に伴う電磁弁制御信号は出力されない。
【0039】
ところが、図6に示すように、上流から2番目の駒2において、2枚目に引き出した折丁に乱丁が発生すると、当該駒2内に配置された乱丁検査手段28−2は、その折丁が乱丁であることを検知する。
乱丁検査装置28−2は検知した2枚目の折丁の合否判定結果情報(乱丁発生情報)と、当該駒2に固有の丁合駒識別情報とを、駒管理装置29およびネットワーク(I/O)を介して、ライン制御ユニット30に出力する。合わせて、この合否判定結果情報は、当該駒2の検査情報記憶手段27bに記憶される。
そして、乱丁が発生した2枚目の折丁は、駒1からの正規の2枚目の折丁の上に重ねられるように、折丁束搬送装置22上に供給される。
【0040】
ライン制御ユニット30における電磁弁制御手段30fは、この乱丁発生情報が入力されると、すぐさま、駒管理装置29に対して、乱丁を発生させた丁合駒装置10−2の次の丁合駒装置10−3での2枚目の折丁の引き出しを中止すべく、電磁弁SV3を2枚目の折丁の引き出しタイミングに合わせて一時的にOFFとする電磁弁制御信号を出力する。
駒管理装置29は、この電磁弁制御信号に基づき、先ず、丁合駒装置10−3に対し、2枚目の折丁の引き出しを中止するための電位弁制御信号を、タイミング信号32aに同期させて出力する。これにより、電磁弁SV3は、2枚目の折丁の引き出しを停止すべく、一時的にOFF動作される。(図6 SV3参照)
これにより、上流から流下してきた乱丁束(乱丁が上部に存在する折丁束)の上には、駒3からの折丁の供給が停止される。駒3の回転ドラム14は回転しているものの、折丁は供給されない。
続いて、駒管理装置29は、駒4〜6に対しても、それぞれ2枚目の折丁の引き出しを中止すべく、その電磁弁SV4〜SV6に対し、タイミング信号32aに同期させて、順次、電磁弁制御信号を出力する。これにより、電磁弁SV4〜SV6は、2枚目の折丁の引き出しを停止すべく、一時的にOFF動作される。(図6 SV4〜SV6参照)
これにより、上流の駒3において折丁が重ねられなかった乱丁束には、以降の駒4〜6においても折丁が重ねられることが無く、乱丁が最上部に載置されたまま下流へと搬送される。
【0041】
さらに、ライン制御ユニット30は、丁合駒装置10−3に対する電磁弁制御信号の出力とともに、その乱丁検査手段28−3に対しても、検査処理スキップ信号を出力する。この検査処理スキップ信号は、乱丁検査手段28を、1枚の折丁の丁合検査期間中、不感応にするものである。したがって、乱丁検査手段28−3は、この検査処理スキップ信号が入力されることにより、2枚目の折丁の供給がなかったとしても、それを乱丁の発生と判断することがない。したがって、当該丁合駒装置10−3における誤った合否判定結果情報(乱丁発生情報)を検査情報記憶手段27bに蓄積することもない。このことは、検査情報記憶手段27bの情報に基づいて、ライン制御ユニット30のエラー集計分析手段における分析作業が精確に行われることを担保するのに重要である。
駒管理装置29は、この乱丁検査手段28−3に対する検査処理スキップ信号の入力に伴い、該当する乱丁検査手段28−4〜28−6に対しても、同様に、タイミング信号32aに同期させて検査処理スキップ信号を出力し、順に不感応とする。
【0042】
このように、乱丁が最上部に載置された乱丁束(但し、第1の丁合駒装置で乱丁が発生した場合は、その乱丁が発生した1枚の折丁のみによって乱丁束が構成される。)は、その上に折丁が重ねられることなく丁合装置下流に送られて、綴じ処理されることなく乱丁束排出装置101によって折丁束搬送装置22の外に排出される。
その際、ライン表示手段30aにおける第2表示手段30a−2は、このような乱丁束の下流への移動に伴って、電磁弁のOFF信号と同期して点灯表示を移動させることで、乱丁束の移動位置を動態表示することができる。
【0043】
次に、本発明の第2の実施の形態例を、図9を用いて説明する。
前記第1の実施の形態例では、丁合駒装置10側に設けた該駒管理装置29により、順次、下流側の丁合駒装置10の管理を行っているが、この第2の実施の形態例では、駒管理装置29を設けずに(したがって、第1の実施の形態例のようなライン制御ユニットにおける駒管理制御手段はない。)、ライン制御ユニット30側の制御手段によって、個々の丁合駒装置10の制御を行う。
【0044】
先ず、オペレーターによりスタータ32がON操作されると、ライン制御ユニット30によりそれぞれの丁合駒装置10における折丁給紙手段100が起動する。
乱丁検査手段28により、引き出された折丁の乱丁検査が行われ、乱丁が検出されると、乱丁が供給された駒a(つまり丁合駒装置10−a)の識別情報および乱丁発生情報がライン制御ユニット30に出力される。
ライン制御ユニット30は、それらの情報が入力されると、当該乱丁を発生させた駒aより下流の駒(a+1)〜nに対し、電磁弁SVをOFFする制御信号を、スタート信号32aに同期させて、順次、出力する。該下流の駒(a+1)〜nは、この電磁弁SVをOFFする制御信号により、上流から搬送されてくる乱丁束の上には折丁を供給しない。そして、該駒(a+1)〜nは、次のスタート信号32aに基づいて電磁弁をONにされる。これにより、該駒(a+1)〜nは、乱丁束の後に搬送されてくる折丁束には、通常通り、折丁を供給する。
乱丁検査手段28、綴じ機107、および乱丁束排出装置101については、前記第1の実施の形態例と同様な制御を行う。
【0045】
次に、本発明の第3の実施の形態例を、図10を用いて説明する。
図11は、前記第1又は第2の実施の形態例に係るタイミングチャートであり、この第3の実施の形態例を理解しやすいように、図10と対比して作成されている。
図10および図11に記載の実施の形態例は、いずれも、スタータ32は、t1から順次、t2、t3、t4・・・とスタート信号32aを順次、出力しており、スタート信号間(例えば、t1とt2との間隔)のパルス信号34a数は100パルスとされている。そして、駒1において、t1:81〜100パルス間で給紙動作が行われた折丁は、次のt2:21〜70パルス間で乱丁検査が行われる。駒2および駒3も、乱丁が発生しない通常状態では、同じタイミングで、給紙および乱丁検査が行われる。
ここで、駒1のt1:81〜100パルス間で給紙動作が行われた折丁に、乱丁が発生した場合を想定する。
前記第1又は第2の実施の形態例では、図11に示すように、この乱丁に対する乱丁検査処理はt2:21〜70パルス間で行われ、すぐさま、t2:71パルス目で乱丁発生情報が出力される(エラー出力 K1)。この時点では、次の給紙動作(t2:81〜100パルス間)が開始される前であるので、電磁弁SV2へのOFF操作により、給紙動作を不能にすることが可能となる。したがって、駒2におけるt2:81〜100パルス間、および駒3におけるt3:81〜100パルス間等、順次、下流側の丁合駒装置の給紙動作を中止させ、乱丁束上への折丁の給紙を中止することができる。
【0046】
しかしながら、図10に示すように、駒1の乱丁検査手段28が、その乱丁検査処理に手間がかかってしまい、給紙動作が開始されるt2:81パルス目以降に乱丁発生情報を出力してしまうことがある。合否判定精度を上げるために基準画像領域を広く設定した場合などに、このような状態が発生する。このように乱丁発生情報がt2:91パルス目で出力されると、駒2における給紙動作t2:81〜100パルス間は既に開始されているので、その給紙動作を中止することはできない。
そこで、本実施の形態例においては、乱丁発生情報に基づき、駒1では、後倒ししたt2:91〜100パルス間でエラー出力(KD1)を出力することとし、続いて、駒2では駒1の該エラー出力KD1に基づき、t2:1〜100パルス間でのエラー出力(KD2)を出力し、駒3では該駒2でのエラー出力KD2に基づき、t3:1〜100パルス間のエラー出力(KD3)を出力する、と言うように、順次、下流に隣接する丁合駒装置にエラー出力を申し送りする。
このようの申し送りすると、駒2におけるt3:1パルス目のエラー出力KD2に基づいて、駒3のt3:1〜100パルス間での電磁弁SV3のOFF動作を行うことができる。これにより、駒3でのt3:81〜100パルス間での給紙動作が中止される。以降、駒3の下流の駒4〜nにおいても、順次、同様に給紙動作が中止される。
【0047】
これにより、乱丁束には、直近の隣接する丁合駒装置からの折丁が供給されるものの、それ以降の丁合駒装置からの折丁の供給は中止される。
したがって、乱丁検査手段28での検査時間が多くなった場合でも、乱丁束には、多くとも直近の隣接する丁合駒装置からしか折丁は供給されないので、乱丁束を元の丁合駒装置にそれぞれ戻す作業を容易にすることができる。
【0048】
次に、本発明の第4の実施の形態例を、図12を用いて説明する。
この実施の形態例は、乱丁検査手段28における要合否判定時間の長短に関連して、前記第1ないし第2の実施の形態例のように、下流に隣接する丁合駒装置10以降の給紙を中止するか、或いは前記第3の実施の形態例のように、下流に隣接する丁合駒装置10よりも更に1つ下流の丁合駒装置10以降の給紙を中止するかの、選択を行うことができる構成とされている。
このため、この実施の形態例においては、乱丁検査が所定の時間内に行われたものか否かを判定するための検査時間判定手段が設けられている(乱丁発生情報の出力時が、給紙動作の開始前か、開始後かを判定するものとしても良い。)。この検査時間判定手段は、前記実施の形態例における駒管理装置29またはライン制御ユニット30に設けられる。
【0049】
図12に示すように、当該丁合駒装置10は、オペレーターによりスタータ32がON操作されると(S1 Y)、上流の丁合駒装置10において乱丁が発生し検査スキップ信号が出力される場合は、検査保留フラッグがセットされ(S2 Y)、該フラッグに基づいて、隣接駒の給紙が停止され(S7)、乱丁検査もスキップされる(S8)。
検査保留フラッグがセットされない場合は(S2 N)、検査処理のために時間計測が開始される(S3)。検査処理のための折丁画像取得や、基準画像との一致率算出処理などが行われ(S4)、その結果、合否判定が行われる(S5)。乱丁と判定されない場合には(S5 N)、次のスタータ信号が入力されることにより、エラー出力の解除処理が行われるが(S11)、乱丁と判定された場合には乱丁発生情報が出力されるので(S5 Y)、その乱丁発生情報の出力タイミングが、所定の検査処理時間内か或いは時間外かを判定する(その出力タイミングが、給紙動作の開始前か、開始後かを判定しても良い)(S6)。
所定の検査処理時間内始前)であれば(或いは、給紙動作開始前であれば)(S6 Y)、隣駒の給紙停止(S7)および乱丁検査のスキップ(S8)が行われる。所定の検査処理時間内で無ければ(或いは、給紙動作開始後であれば)(S6 N)、隣駒の更に隣駒における給紙停止(S9)および乱丁検査のスキップ(S10)が行われる。
【0050】
なお、本発明は上述した実施の形態例1〜4に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術思想の範囲で様々な変形が可能である。変形例としては、例えば以下のものがある。
(1)上記実施の形態では、乱丁の発生状況を表示する表示装置を、ライン制御ユニット30を収納する筐体上に設けたが、これに限ることなく、駒管理装置29を収納する筐体上に設けることもできる。
【0051】
(2)上記実施の形態では、折丁給紙手段の折丁を引き出す手段として、負圧回路を利用した吸着ヘッド100aを用いたが、このような負圧吸着手段を利用することなく、給紙ローラなどの機械的に引き出す手段を用いることもできる。この場合は、上記実施の形態における電磁弁SVの制御に換えて、該機械的な引き出し手段の停止制御とすることができる。
【0052】
(3)上記実施の形態では、綴じ機107の下流に乱丁束排出装置101が配置されているが、乱丁束排出装置101の下流に綴じ機107を配置しても良い。
また、乱丁束排出装置101の下流に乱丁束収納装置を配置することもできる。
【符号の説明】
【0053】
10−1〜n 丁合駒装置
14 回転ドラム
20 折丁
22 丁合束搬送装置
26 撮像手段
28 乱丁検査手段
29 駒管理装置
30 ライン制御ユニット
30a−1 第1表示手段
30a−2 第2表示手段
30a−3 第3表示手段
32 スタータ
34 エンコーダ
40 筐体
100 折丁給紙手段
100a 吸着ヘッド
101 乱丁束排出装置
102 負圧回路
107 綴じ機
SV1〜n 電磁弁
P 真空ポンプ
【技術分野】
【0001】
本願発明は,製本の際に帳票等の折丁を丁合する丁合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製本の際に帳票等の折丁を丁合する丁合装置において、乱丁、落丁等(本明細書においては乱丁と総称する)を検査する乱丁検査装置を配置することは、よく知られている。
例えば、中綴じ製本の場合は、丁合駒ごとにストックされた折丁は、各丁合駒の折丁取出機構によって1枚ずつ取り出され、搬送装置(ギャザリングチェーン)に配置された鞍上に順に載置され、丁合束として形成されて下流の中綴じ機に搬送され製本される。ここで、各丁合駒ごとに乱丁検査装置を配置して、どの丁合駒で乱丁が発生したかを検知し、乱丁が発生した丁合束を特定することが行われる。
【0003】
このような乱丁が発生した丁合束は、中綴じ機へ搬送することなく、途中の排除装置によって排除される。(特許文献1参照)
そして、このように排除された丁合束は、廃棄されることなく、作業員によってバラされて点検され、乱丁の無かった折丁は、元の丁合駒に1枚、1枚、手作業によって戻されて再利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭58−6874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このように手作業によって戻す作業は、ページ数が多い折丁束では、戻さなければならない折丁の枚数が多かったり、乱丁の原因となった折丁の特定に手間が掛かったりして、作業員の負担となっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、本発明は、複数枚の折丁を収納する折丁収納手段と、前記折丁収納手段から前記折丁を1枚ずつ抜き出す折丁給紙手段と、前記折丁給紙手段により抜き出された折丁を検査する乱丁検査手段とを有する複数の丁合駒装置と、それぞれの前記丁合駒装置から供給される折丁を順に重ねて折丁束として搬送する折丁束搬送装置とを有する丁合装置において、
前記丁合装置を制御する丁合制御手段を備え、
前記丁合制御手段は、前記乱丁検査手段からの乱丁を検知した乱丁検知信号に基づき、当該乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束への以降の折丁の供給停止を行うように、順次、前記丁合駒装置における前記折丁給紙手段を制御するとともに、前記折丁給紙手段における折丁の前記供給停止に対応させて、前記乱丁検査手段における折丁の検査を中断することを特徴とする丁合装置とした。
【0007】
このように構成したことにより、丁合駒装置から抜き出された折丁が乱丁として検知されると、その乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束には、以降の丁合駒装置からの折丁の供給が停止されることにより、折丁がそれ以上積み重ねられることがない。
その結果、乱丁が発生した丁合束は、その上部に、乱丁が発生した折丁が重ねられている状態となっている。
したがって、作業員がこのような乱丁が発生した丁合束をバラして元の丁合駒装置に戻す作業では、折丁束上部の乱丁が発生した折丁のみを点検、必要に応じて廃棄した後、残りの折丁は正常なものとして元の丁合駒装置に戻すだけで良く、折丁の戻し作業が非常に簡便になるだけでなく、戻す折丁の枚数も少なくて済むのでその戻し作業量も少なくて済むこととなる。
【0008】
また、乱丁が発生した丁合束への以降の折丁の供給を停止するとともに、その供給停止に対応させて、乱丁検査手段による乱丁検査を中断させるので、折丁が供給されなかったことに伴う乱丁検知信号が出力されることがない。このように、乱丁検査手段からの誤信号が出力されることがないので、丁合制御手段による丁合装置の制御を正確に行うことができる。また、丁合駒装置毎に乱丁検知信号の出力履歴を記憶させ、その記憶情報を丁合装置の管理に用いる場合に、誤信号の発生を記憶させることが無いので、丁合装置の正確な管理を行うことができる。
【0009】
また、本発明は、前記折丁給紙手段は、前記折丁収納手段に収納された折丁を一部ずつ抜き出すための吸着ヘッドと、前記吸着ヘッドに吸着力を付与するための負圧回路と、前記負圧回路を遮断する電磁弁手段とを有し、
前記丁合制御手段は、前記折丁束搬送装置の搬送駆動に同期して前記電磁弁手段を制御する電磁弁制御手段を有し、前記乱丁検知信号を出力した丁合駒装置より下流に配置された丁合駒装置の電磁弁手段を、前記電磁弁制御手段を用いて順次遮断することにより、前記乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束に対する前記丁合駒装置からの折丁の供給を停止することを特徴とする丁合装置とした。
【0010】
このように構成することにより、吸着ヘッドの負圧回路を制御することによって折丁の供給と供給停止を容易に切り替えることができるので、折丁の供給・停止を確実かつ、簡便に行うことができる。
【0011】
また本発明は、前記折丁束搬送装置によって搬送された折丁束を綴じる綴じ装置と、前記乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束を前記折丁束搬送装置から排出する乱丁束排出装置と、を有し、前記綴じ装置は、前記乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束を綴じないように前記丁合制御手段により制御することを特徴とする丁合装置とした。
【0012】
このように構成したことにより、乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束(乱丁束)は、綴じられることなく製本ラインから排出されるので、該乱丁束の特定を確実に行うことができ、作業員による折丁の戻し作業を確実に実行することができる。
【0013】
また本発明は、丁合装置の丁合状態を表示する表示装置を備え、前記表示装置は、前記各丁合駒装置における丁合状態を表示する複数の点灯表示部からなる第1表示部と、前記乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束の位置を表示する複数の点灯表示部からなる第2表示部とを有し、
前記第2表示部は、前記乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束が、隣接する丁合駒装置へ順次移動することに同期して、前記乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束の位置を示すように移動表示することを特徴とする丁合装置とした。
【0014】
このように構成したことにより、各丁合駒装置毎の丁合状態の表示とともに、乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束(乱丁束)が、順次隣の丁合駒装置へと移動していく様が表示されるので、作業員による折丁束、乱丁束の管理が容易になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、このように構成したことにより、乱丁が発生した場合の折丁を元の丁合駒装置にそれぞれ戻す作業を容易にすることで、作業員の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の丁合装置の全体構成図。
【図2】本発明の丁合装置における丁合駒装置の構成図。
【図3】本発明の丁合駒装置における折丁給紙手段の説明図。
【図4】本発明の丁合装置における負圧回路の説明図。
【図5】本発明の丁合装置における電磁弁等の作動タイミングの説明図(通常時)。
【図6】本発明の丁合装置における電磁弁等の作動タイミングの説明図(乱丁発生時)。
【図7】本発明の丁合装置における表示装置の正面図。
【図8】本発明の丁合装置における制御手段の構成図。
【図9】本発明の丁合装置の第2の実施の形態例に係る全体構成図。
【図10】本発明の丁合装置の第3の実施の形態例に係る電磁弁等の作動タイミングの説明図(乱丁発生時)。
【図11】本発明の丁合装置の実施の形態例に係る電磁弁等の作動タイミングの説明図(乱丁発生時)。
【図12】本発明の丁合装置の第4の実施の形態例に係る制御フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の実施形態例において、丁合装置は、図1、図2に示すように、n個の丁合駒装置10(10−1〜10−n)と、各丁合駒装置10から供給される折丁20を順に重ねて折丁束として搬送する折丁束搬送装置(ギャザリングチェーン)22と、折丁束搬送装置22の折丁搬送方向下流に設けられた、綴じ機107および乱丁束排出装置101と、を有している。
そして、各丁合駒装置は、図2および図8に示すように、折丁収納手段11に収納されている折丁を1部ずつ引き出して折丁束搬送装置22上に供給する折丁給紙手段100、折丁給紙手段100によって引き出された折丁の乱丁を検査する乱丁検査装置28、および折丁給紙手段100における給紙を制御する電磁弁SVを有している。
【0018】
各折丁収納手段11は、共通するフレーム18の上にそれぞれ設けられており、印刷された枚葉紙や折りたたまれた折丁20(20−1〜20−n)(これらを、まとめて「折丁」という。)がそれぞれ収納されている。
また、この折丁収納手段11の下方には、収納されている折丁20を1枚ずつ抜き出す吸着ヘッド100a等からなる折丁給紙手段100がそれぞれ配置されている。
この折丁給紙手段100は、図3に示すように、折丁の端部を吸着する吸着ヘッド機構と、吸着された折丁の端部を捌いてそれを回転ドラム14に押圧する押し付けローラ機構と、および押し付けられた折丁の端部を咬えて回転ドラム14の周面に保持しながら折丁を引き出す回転ドラム機構と、を有している。
【0019】
このうち吸着ヘッド機構は、次のように構成されている。
印刷物等の折丁が重ねられて載置される折丁載置台100kの底部には、架台ブラケット100cが立設されている。該架台ブラケット100cにはピン部材100dが設けられており、このピン部材100dを回動支点として、吸着ヘッド用リンク部材100bが先端部を上下回動可能に枢支されている。該吸着ヘッド用リンク部材100bは、その先端部に吸着ヘッド100aが固設され、図示しない駆動手段によって、ピン部材100dを回動中心として上下回動するように構成されている。
これにより、吸着ヘッド100aは、折丁20の端部を吸着する上方位置と、吸着した折丁端部を下方の押し付け機構へ引き出す下方位置との間で揺動される。
そして、この吸着ヘッド100aには、真空ポンプPに接続されており、途中に電磁弁SVが設けられている。
【0020】
図4に示すように、各吸着ヘッド100a(100a−1〜100a−n)には、負圧回路102が接続されており、該負圧回路102によって、真空ポンプPから供給される負圧が、負圧分岐回路103を経て各吸着ヘッド100aに供給されている。
そして、この供給される負圧は、負圧分岐回路103の途中に設けられた各電磁弁SV(SV1〜SVn)によって遮断されることにより、吸着ヘッド100aにおける吸着力が制御される。
また、これら各電磁弁SVを制御するための電磁弁制御手段30fが、ネットワークI/Oを介して丁合装置全体を集中的に管理するライン制御ユニット30に設けられており、該ライン制御ユニット30から出力される電磁弁制御信号に基づいて各電磁弁SVが制御される。
【0021】
また、押し付けローラ機構は次のように構成されている。
各丁合駒装置10のブラケット部材100gには、枢止ピン100hで枢支された押し付けローラ用リンク部材100fが設けられており、該リンク部材100fの先端には、押し付けローラ100eが回動可能に設けられている。押し付けローラ用リンク部材100fは、図示しない押圧手段によって、押し付けローラ100eを回転ドラム14へ圧接する方向へ常時付勢されている。
【0022】
回転ドラム機構は次のように構成されている。
各吸着ヘッド100aによって抜き出された折丁20を受け取って、それを折丁束搬送装置22に受け渡するため、それぞれの吸着ヘッド100aおよび押し付けローラ100eに対向するように、回転ドラム14(14−1〜14−n)が配置されている。
各回転ドラム14は、図2および図3に示すように、フレーム18に沿って水平方向に延びた共通の回転軸12を有し、この回転軸12の一端には、駆動部16が接続されている。
また、各回転ドラム14の周面には、折丁20の端部を把持する把持爪14aが設けられている。この把持爪14aは、所定のタイミングで、折丁20の端部を咬えたり、或いは開放したりすることができるように構成されている。
【0023】
このように構成された折丁給紙手段100によれば、折丁収納手段11収納された折丁20は、次のように、折丁束搬送装置22上に供給される。
先ず、図3に示すように、吸着ヘッド100aによって押し付けローラ100eの下方の引き出し位置まで引き出された折丁20の端部は、次いで、押し付けローラ100eにより回転ドラム14の表面に押し付けられる。
このように回転ドラム14の表面に押し付けられた折丁20の端部は、所定のタイミングで、回転ドラム14の周面に設けられている把持爪14aに咬えられるので、端部が咬えられた折丁20は、回転ドラム14の回転に伴って、回転ドラム14の外周面に巻きつけられながら折丁収納手段11から抜き出されることとなる。
【0024】
各回転ドラム14の下方には、各回転ドラム14に共通の折丁束搬送装置(ギャザリングチェーン)22が設けられている。該折丁束搬送装置22は、各回転ドラム14の回転軸12と平行な搬送ラインを形成しており、その搬送ラインに沿うように複数の鞍(図示せず)が設けられている。この各鞍は、各回転ドラム14間の間隔と同一の所定間隔を保ちながら、搬送方向の下流に移動するように構成されている。
各回転ドラム14に巻き付けられて引き出された折丁20は、把持爪14aが所定位置で開放されることにより折丁束搬送装置22上に落下し、各丁合駒装置10−1〜10−nの配置順に重ねられる。つまり、1枚目折丁20−1の上に次の2枚目折丁20−2が重ねられ、更にその折丁束の上に次の3枚目折丁20−3が重ねられながら、最終的に、全ての折丁20−1〜20−nが順に上方へ重ねられた折丁束が折丁束搬送装置22上に形成される。この折丁束は、各鞍によって搬送方向(流下方向)に位置決めされながら、搬送ライン下流へと搬送される。
【0025】
折丁束搬送装置22の下流には、図1に示すように、綴じ装置107および乱丁束排出装置101が配置されており、正しく丁合された折丁束は、該綴じ装置107によって綴じられ、下流の裁断装置(図示せず)等が配置された製本ラインへ搬出される。一方、乱丁が発生した折丁束は、綴じ装置107によって綴じられることなく、乱丁束排出装置101によって搬送ラインから排除されて、乱丁束排出装置101の下流に設けられた乱丁束収納装置(図示せず)に収納される。これについては、後に詳述する。
【0026】
各丁合駒装置10(10−1〜10−n)には、それぞれ乱丁検査手段28(28−1〜28−n)が配置されている。
例えば、第1の丁合駒装置10−1における第1の乱丁検査手段28−1は、図8に示すように、第1の丁合駒装置10−1に収納された折丁画像を撮像する撮像手段26と、当該丁合駒装置10−1に設定すべき乱丁許容レベル(例えば、基準画像として許容される平均濃度およびコントラストの範囲や、基準画像と検査画像との許容される一致率や、あるいは、乱丁が連続して発生した場合に丁合駒装置10−1を停止する条件等)や、当該丁合駒装置10−1を識別する識別情報等の設定情報を入力するための入力設定手段27aと、折丁20−1に対して予め設定された基準画像情報や折丁の合否判定結果情報等を記憶する検査情報記憶手段27bと、撮像手段26で撮像している撮像画像、検査情報、あるいは入力設定手段27aによって入力される前記設定情報を表示したりする駒表示手段27cと、を有している。
他の丁合駒装置10−2〜10−nに配置されている乱丁検査手段28−2〜28−nについても、この第1の乱丁検査手段28−1と同様に、構成されている。
この乱丁検査手段28−1〜28−nは、撮像手段26を除きそれぞれの筐体29に収納され、該筐体は、オペレーターによって操作され易いように、各丁合駒装置10−1〜10−nの近傍にそれぞれ配置されている。
【0027】
ここで、撮像手段26は、図2に示すように、該回転ドラム14の外周面に対向するように配置され、回転ドラム14上に引き出された折丁を撮像するものである。
乱丁検査手段28は、撮像手段26によって撮像された各折丁20(20−1〜20−n)の合否を判定し、合否判定結果情報を出力する。合否の判定は従来公知の方式を用いることができる。例えば、撮像された折丁20の画像を予め保存してある基準画像と比較して当該折丁20の合否を判定する。
【0028】
下流に配置された綴じ機107、乱丁束排出装置101および各丁合駒装置およびそれらを管理する駒管理装置29は、図8に示すように、丁合装置全体を管理するライン制御ユニット30と、ネットワーク(I/O)を介して接続されている。
該ライン制御ユニット30は、各丁合駒装置10に共通する標準時刻を供給する標準時刻供給手段30tと、各乱丁検査手段28から出力された合否判定結果情報等の検査情報を集計分析し記憶するエラー集計分析手段30cと、各種操作情報(例えば、エラー集計分析手段30cの分析結果から、一致率の許容レベルを上げることが可能と判断されることに基づいて、それぞれの丁合駒装置10に設定された許容レベルを丁合装置全体として一律に変更するなど、各丁合駒装置10に設定された各種設定情報を、丁合装置全体を勘案しながら再設定する操作情報や、丁合装置全体の処理速度を設定する操作情報など)を入力する入力操作手段30bと、該入力操作手段30bによる入力操作や各丁合駒装置10の稼働状態、エラー集計分析手段30cからの情報等を表示するライン表示手段30aと、各丁合駒装置10の電磁弁SVに対し駒管理装置29を介して電磁弁制御信号を出力する電磁弁制御手段30fと、各丁合駒装置10の折丁給紙手段100に対し駒管理装置29を介して給紙制御信号を出力する折丁給紙制御手段30gと、折丁束搬送装置22の駆動を制御する折丁束搬送装置制御手段30hと、乱丁束排出装置101に対し駒管理装置29を介して乱丁束排出信号を出力する乱丁束排出装置制御手段30jと、綴じ機に対し駒管理装置29を介して綴じ信号を出力する綴じ機制御手段30kと、各丁合駒装置10からの検査情報や各種設定情報、入力操作手段30bからの各種操作情報等を受けて駒管理装置29を制御する駒管理装置制御手段30eと、を有している。
【0029】
このうち、折丁給紙制御手段30gは、駒管理装置29に対し折丁給紙手段100への給紙制御信号を出力し、各丁合駒装置10における給紙を制御するものである。
回転ドラム14の回転軸12には、図1に示すように、スタータ32が取り付けられている。このスタータ32は、各丁合駒装置間におけるタイミングセンサーとして機能するものであり、回転軸12が1回転する毎に1つのスタート信号を出力する。このスタート信号は、各丁合駒装置10の乱丁検査手段28および、またはライン制御ユニット30に出力されて、乱丁検査手段28における検査タイミング、折丁給紙手段100における給紙タイミング、あるいは電磁弁SVにおける電磁弁作動タイミング等が設定される。
【0030】
また、この回転軸12には、その回転駆動に同期してパルスを発生させるエンコーダ34が取り付けられている。このエンコーダ34は、回転軸12の回転量(回転角)に応じて常に一定周波数のパルス信号34aを出力するように構成されている。
スタータ32からスタート信号32aが出力されたあと、エンコーダ34から出力されるパルス信号がカウントされる。該パルス信号の数は、例えばスタータ32のスタート信号を受けた時(信号の立上り時)からカウントされる。該パルス信号の数は、スタート信号1つにつき、所定の総数T(たとえば100パルス)だけカウントされる。つまり、回転ドラム14が1回転する間に、総数Tのパルス信号がカウントされる。
また、この実施の形態例では、パルス信号のカウントが所定数Tに達するまでの間に乱丁検査が終了するように、各乱丁検査手段28が設定されている。
【0031】
ライン制御ユニット30を内蔵するライン制御ユニット筐体40は、図7に示すように、その前面側にライン表示手段30a(30a―1〜30a―3)および入力操作手段30bが設けられており、さらにその上部には、検査異常等を報知するための赤色回転ランプ40aが設けられている。
ライン表示手段30aは、主に3つの表示手段(第1表示手段30a−1〜第3表示手段30a―3)によって構成されている。いずれも、発光ダイオードなどを用いた点灯表示手段を複数個直線状に並べて構成されており、丁合装置を構成する丁合駒装置10などの構成要素の作動状況を点滅表示、或いは点灯表示により表示するように構成されている。
【0032】
この内、第1表示手段30a―1は、各丁合駒装置の状況を表示するためのもので、後述する第2表示手段30a−2の下方に設けられている。
図7に示す例では、丁合駒装置10−1から丁合駒装置10−12までの駒番号順に対応するように、点灯表示部が右から左へ順に12個の点灯表示部が直線上に並列して配置されている。
ここで、上流から5番目の丁合駒装置10−5に乱丁発生が生じた場合には、右から5番目の駒番号の点灯表示部が点滅表示するように構成されている。これにより、その番号の丁合駒装置10−5に乱丁が発生したことが表示される。
この点滅表示は、丁合装置のオペレーターによって当該丁合駒装置10―5における乱丁要因が解決され、当該丁合駒装置10における点滅表示の解除操作がされることによって、消灯する。
このように、この第1表示手段30a−1は、後述する第2表示手段30a−2が、乱丁束が発生し流下していく状況を動的に表示するのに対し、乱丁が検出された丁合駒装置10を特定すべく静的に表示するものとなっている。
【0033】
また、第2表示手段30a―2は、図7に示す実施例では全部で24個の点灯表示部からなり、最左端に乱丁束排出装置101の作動状況を表示する点灯表示部(「排出」と表示されている表示部)を有し、その右の番号1から番号8までの点灯表示部は、丁合装置を構成する他の構成要素(例えば、厚さ検出器や中綴じ機など)のために設けられている。更にその右の番号9から番号23〜は、丁合駒装置10−nから順に上流に遡って丁合駒装置10−1のために設けられている。つまり、この例の場合、丁合駒装置10に割り当てられている点灯数は番号9から番号23までの15個となっており、下流から順に、丁合駒装置10−15から丁合駒装置10−1までに対応している。但し、丁合駒装置が16個以上の場合、オーバーフローする部分は、番号23〜に纏めて表示される。例えば、丁合駒装置10が20個の場合、オーバーフローする丁合駒装置20−1〜20−5は、番号23〜に纏めて表示される。
【0034】
この第2表示手段30a−2は、丁合駒装置10における折丁給紙手段100の動作が順に中止されることを表示することにより、乱丁束が発生し流下していく状況を動的に表示するように構成されている。
例えば、15個の丁合駒装置10−1 〜10−15を有する丁合装置が、ある時点で上流から5番目(つまり、下流から11番目)の丁合駒装置10−5に乱丁が発生した場合、番号19の点灯表示部を点灯表示することにより、上流から5番目の丁合駒装置10−5に乱丁が発生したことが表示される。そして、その乱丁束が下流の丁合駒装置10へ移動するに同期して、その移動先ではその場所の丁合駒装置10の折丁給紙手段100の動作が順に中止されるので(これについては、後に詳述する)、その丁合駒装置における給紙が中止されたことの表示が行われる。つまり、点灯表示は、番号18、番号17、番号16・・・へと、順に移動する。
そして、番号9の点灯表示部が点灯表示されることにより、最下流の丁合駒装置10−15において折丁給紙手段100の動作が中止されたことが表示され、次に、乱丁束排出装置101の作動状況を表示する「排出」表示部が点灯表示することにより、当該乱丁束が乱丁束排出装置101によって搬送ライン上から排出されたことが表示される。
【0035】
第3表示手段30a−3は、第1表示手段30a−1の下方に、その点灯表示部が第1表示手段30a−1と平行となるように設けられている。
この第3表示手段30a−3は、各丁合駒装置10の乱丁発生を表示するものであり、図9に示す例では、左から順に12個の駒番号が付与された点灯表示部により構成されており、それぞれ丁合駒装置10−1〜丁合駒装置10−12に対応させて設けられている。
【0036】
駒管理装置29は、図8に示すように、各丁合駒装置10、乱丁束排出装置101および綴じ機107を、ネットワーク(I/O)を介してライン制御ユニット30に接続するものである。また、スタータ32およびエンコーダ34からのタイミング情報(タイミング信号およびパルス信号)と、駒管理装置制御手段30eからの駒管理制御信号とに基づいて、ライン制御ユニット30からの電磁弁制御信号、給紙制御信号を、それぞれ各丁合駒装置10における電磁弁SVおよび折丁給紙手段100に適切なタイミングで出力するものである。
綴じ機107および乱丁束排出装置101についても、この駒管理装置29によって、適切なタイミングでライン制御ユニットからの制御信号が出力される。
【0037】
次に、このように構成されている第1の実施の形態例において、乱丁が発生した折丁束を排出する手順について、説明する。
本発明においては、丁合駒装置10−(a)において乱丁検査手段28が乱丁を検出すると、次の丁合駒10−(a+1)以降の丁合駒装置においては、その乱丁が重ねられた折丁束(いわゆる乱丁束)の上には折丁20を供給することがないように折丁給紙手段100の給紙動作が中止される。そして、その給紙動作の中止に伴って、正規の折丁が給紙されたとした場合のタイミングで、乱丁検査手段28の動作も一時的に中断される。この給紙動作の中止は、電磁弁制御手段30fによる電磁弁SVの制御によって行われる。
【0038】
例えば、丁合装置が全部で6台の丁合駒装置10−1〜10−6を有しており、その内、丁合駒装置10−2に乱丁が発生したとする。このような例を、図5および図6により説明する(以下、丁合駒装置10−1を単に「駒1」と表示する。駒2以下についても同じ。)。
先ず、オペレーターによりスタータ32がON操作されると、ライン制御ユニット30によりそれぞれの丁合駒装置10における折丁給紙手段100が起動する。同時に、真空ポンプPも、そのON操作信号を受けて起動し、負圧回路102に負圧空気を発生させる。
ここで、乱丁が発生しない通常状態では、図5に示すように、駒1〜6における電磁弁SV1〜SV6は、回転ドラム14の1回転毎に同期して発生するタイミング信号32aを受けて、順次ONしてゆく。電磁弁SVがON作動すると、真空ポンプPからの負圧が折丁給紙手段100の吸着ヘッド100aに作用するので、吸着ヘッド100aは、それぞれの折丁収納手段11から折丁を引き出して、それを折丁束搬送装置22上に供給してゆく。
ここで、折丁束が6部と設定されている場合(実際は、このような丁合機では、作成される製本部数がもっと大量であるので、その部数に応じた折丁束数が設定される。しかし、ここでは便宜的に、図5および図6に示すように、6部に設定した場合を想定する。)は、電磁弁SV1〜SV6は、各丁合駒装置10が6部の折丁(つまり、1枚目の折丁〜6枚目の折丁)の引き出しを終了したタイミングで、順次OFFとなり、丁合作業が終了する。この通常状態においては、各丁合駒装置における乱丁検査手段28からは乱丁発生情報が出力されないので、電磁弁SV1〜SV6に対して乱丁発生に伴う電磁弁制御信号は出力されない。
【0039】
ところが、図6に示すように、上流から2番目の駒2において、2枚目に引き出した折丁に乱丁が発生すると、当該駒2内に配置された乱丁検査手段28−2は、その折丁が乱丁であることを検知する。
乱丁検査装置28−2は検知した2枚目の折丁の合否判定結果情報(乱丁発生情報)と、当該駒2に固有の丁合駒識別情報とを、駒管理装置29およびネットワーク(I/O)を介して、ライン制御ユニット30に出力する。合わせて、この合否判定結果情報は、当該駒2の検査情報記憶手段27bに記憶される。
そして、乱丁が発生した2枚目の折丁は、駒1からの正規の2枚目の折丁の上に重ねられるように、折丁束搬送装置22上に供給される。
【0040】
ライン制御ユニット30における電磁弁制御手段30fは、この乱丁発生情報が入力されると、すぐさま、駒管理装置29に対して、乱丁を発生させた丁合駒装置10−2の次の丁合駒装置10−3での2枚目の折丁の引き出しを中止すべく、電磁弁SV3を2枚目の折丁の引き出しタイミングに合わせて一時的にOFFとする電磁弁制御信号を出力する。
駒管理装置29は、この電磁弁制御信号に基づき、先ず、丁合駒装置10−3に対し、2枚目の折丁の引き出しを中止するための電位弁制御信号を、タイミング信号32aに同期させて出力する。これにより、電磁弁SV3は、2枚目の折丁の引き出しを停止すべく、一時的にOFF動作される。(図6 SV3参照)
これにより、上流から流下してきた乱丁束(乱丁が上部に存在する折丁束)の上には、駒3からの折丁の供給が停止される。駒3の回転ドラム14は回転しているものの、折丁は供給されない。
続いて、駒管理装置29は、駒4〜6に対しても、それぞれ2枚目の折丁の引き出しを中止すべく、その電磁弁SV4〜SV6に対し、タイミング信号32aに同期させて、順次、電磁弁制御信号を出力する。これにより、電磁弁SV4〜SV6は、2枚目の折丁の引き出しを停止すべく、一時的にOFF動作される。(図6 SV4〜SV6参照)
これにより、上流の駒3において折丁が重ねられなかった乱丁束には、以降の駒4〜6においても折丁が重ねられることが無く、乱丁が最上部に載置されたまま下流へと搬送される。
【0041】
さらに、ライン制御ユニット30は、丁合駒装置10−3に対する電磁弁制御信号の出力とともに、その乱丁検査手段28−3に対しても、検査処理スキップ信号を出力する。この検査処理スキップ信号は、乱丁検査手段28を、1枚の折丁の丁合検査期間中、不感応にするものである。したがって、乱丁検査手段28−3は、この検査処理スキップ信号が入力されることにより、2枚目の折丁の供給がなかったとしても、それを乱丁の発生と判断することがない。したがって、当該丁合駒装置10−3における誤った合否判定結果情報(乱丁発生情報)を検査情報記憶手段27bに蓄積することもない。このことは、検査情報記憶手段27bの情報に基づいて、ライン制御ユニット30のエラー集計分析手段における分析作業が精確に行われることを担保するのに重要である。
駒管理装置29は、この乱丁検査手段28−3に対する検査処理スキップ信号の入力に伴い、該当する乱丁検査手段28−4〜28−6に対しても、同様に、タイミング信号32aに同期させて検査処理スキップ信号を出力し、順に不感応とする。
【0042】
このように、乱丁が最上部に載置された乱丁束(但し、第1の丁合駒装置で乱丁が発生した場合は、その乱丁が発生した1枚の折丁のみによって乱丁束が構成される。)は、その上に折丁が重ねられることなく丁合装置下流に送られて、綴じ処理されることなく乱丁束排出装置101によって折丁束搬送装置22の外に排出される。
その際、ライン表示手段30aにおける第2表示手段30a−2は、このような乱丁束の下流への移動に伴って、電磁弁のOFF信号と同期して点灯表示を移動させることで、乱丁束の移動位置を動態表示することができる。
【0043】
次に、本発明の第2の実施の形態例を、図9を用いて説明する。
前記第1の実施の形態例では、丁合駒装置10側に設けた該駒管理装置29により、順次、下流側の丁合駒装置10の管理を行っているが、この第2の実施の形態例では、駒管理装置29を設けずに(したがって、第1の実施の形態例のようなライン制御ユニットにおける駒管理制御手段はない。)、ライン制御ユニット30側の制御手段によって、個々の丁合駒装置10の制御を行う。
【0044】
先ず、オペレーターによりスタータ32がON操作されると、ライン制御ユニット30によりそれぞれの丁合駒装置10における折丁給紙手段100が起動する。
乱丁検査手段28により、引き出された折丁の乱丁検査が行われ、乱丁が検出されると、乱丁が供給された駒a(つまり丁合駒装置10−a)の識別情報および乱丁発生情報がライン制御ユニット30に出力される。
ライン制御ユニット30は、それらの情報が入力されると、当該乱丁を発生させた駒aより下流の駒(a+1)〜nに対し、電磁弁SVをOFFする制御信号を、スタート信号32aに同期させて、順次、出力する。該下流の駒(a+1)〜nは、この電磁弁SVをOFFする制御信号により、上流から搬送されてくる乱丁束の上には折丁を供給しない。そして、該駒(a+1)〜nは、次のスタート信号32aに基づいて電磁弁をONにされる。これにより、該駒(a+1)〜nは、乱丁束の後に搬送されてくる折丁束には、通常通り、折丁を供給する。
乱丁検査手段28、綴じ機107、および乱丁束排出装置101については、前記第1の実施の形態例と同様な制御を行う。
【0045】
次に、本発明の第3の実施の形態例を、図10を用いて説明する。
図11は、前記第1又は第2の実施の形態例に係るタイミングチャートであり、この第3の実施の形態例を理解しやすいように、図10と対比して作成されている。
図10および図11に記載の実施の形態例は、いずれも、スタータ32は、t1から順次、t2、t3、t4・・・とスタート信号32aを順次、出力しており、スタート信号間(例えば、t1とt2との間隔)のパルス信号34a数は100パルスとされている。そして、駒1において、t1:81〜100パルス間で給紙動作が行われた折丁は、次のt2:21〜70パルス間で乱丁検査が行われる。駒2および駒3も、乱丁が発生しない通常状態では、同じタイミングで、給紙および乱丁検査が行われる。
ここで、駒1のt1:81〜100パルス間で給紙動作が行われた折丁に、乱丁が発生した場合を想定する。
前記第1又は第2の実施の形態例では、図11に示すように、この乱丁に対する乱丁検査処理はt2:21〜70パルス間で行われ、すぐさま、t2:71パルス目で乱丁発生情報が出力される(エラー出力 K1)。この時点では、次の給紙動作(t2:81〜100パルス間)が開始される前であるので、電磁弁SV2へのOFF操作により、給紙動作を不能にすることが可能となる。したがって、駒2におけるt2:81〜100パルス間、および駒3におけるt3:81〜100パルス間等、順次、下流側の丁合駒装置の給紙動作を中止させ、乱丁束上への折丁の給紙を中止することができる。
【0046】
しかしながら、図10に示すように、駒1の乱丁検査手段28が、その乱丁検査処理に手間がかかってしまい、給紙動作が開始されるt2:81パルス目以降に乱丁発生情報を出力してしまうことがある。合否判定精度を上げるために基準画像領域を広く設定した場合などに、このような状態が発生する。このように乱丁発生情報がt2:91パルス目で出力されると、駒2における給紙動作t2:81〜100パルス間は既に開始されているので、その給紙動作を中止することはできない。
そこで、本実施の形態例においては、乱丁発生情報に基づき、駒1では、後倒ししたt2:91〜100パルス間でエラー出力(KD1)を出力することとし、続いて、駒2では駒1の該エラー出力KD1に基づき、t2:1〜100パルス間でのエラー出力(KD2)を出力し、駒3では該駒2でのエラー出力KD2に基づき、t3:1〜100パルス間のエラー出力(KD3)を出力する、と言うように、順次、下流に隣接する丁合駒装置にエラー出力を申し送りする。
このようの申し送りすると、駒2におけるt3:1パルス目のエラー出力KD2に基づいて、駒3のt3:1〜100パルス間での電磁弁SV3のOFF動作を行うことができる。これにより、駒3でのt3:81〜100パルス間での給紙動作が中止される。以降、駒3の下流の駒4〜nにおいても、順次、同様に給紙動作が中止される。
【0047】
これにより、乱丁束には、直近の隣接する丁合駒装置からの折丁が供給されるものの、それ以降の丁合駒装置からの折丁の供給は中止される。
したがって、乱丁検査手段28での検査時間が多くなった場合でも、乱丁束には、多くとも直近の隣接する丁合駒装置からしか折丁は供給されないので、乱丁束を元の丁合駒装置にそれぞれ戻す作業を容易にすることができる。
【0048】
次に、本発明の第4の実施の形態例を、図12を用いて説明する。
この実施の形態例は、乱丁検査手段28における要合否判定時間の長短に関連して、前記第1ないし第2の実施の形態例のように、下流に隣接する丁合駒装置10以降の給紙を中止するか、或いは前記第3の実施の形態例のように、下流に隣接する丁合駒装置10よりも更に1つ下流の丁合駒装置10以降の給紙を中止するかの、選択を行うことができる構成とされている。
このため、この実施の形態例においては、乱丁検査が所定の時間内に行われたものか否かを判定するための検査時間判定手段が設けられている(乱丁発生情報の出力時が、給紙動作の開始前か、開始後かを判定するものとしても良い。)。この検査時間判定手段は、前記実施の形態例における駒管理装置29またはライン制御ユニット30に設けられる。
【0049】
図12に示すように、当該丁合駒装置10は、オペレーターによりスタータ32がON操作されると(S1 Y)、上流の丁合駒装置10において乱丁が発生し検査スキップ信号が出力される場合は、検査保留フラッグがセットされ(S2 Y)、該フラッグに基づいて、隣接駒の給紙が停止され(S7)、乱丁検査もスキップされる(S8)。
検査保留フラッグがセットされない場合は(S2 N)、検査処理のために時間計測が開始される(S3)。検査処理のための折丁画像取得や、基準画像との一致率算出処理などが行われ(S4)、その結果、合否判定が行われる(S5)。乱丁と判定されない場合には(S5 N)、次のスタータ信号が入力されることにより、エラー出力の解除処理が行われるが(S11)、乱丁と判定された場合には乱丁発生情報が出力されるので(S5 Y)、その乱丁発生情報の出力タイミングが、所定の検査処理時間内か或いは時間外かを判定する(その出力タイミングが、給紙動作の開始前か、開始後かを判定しても良い)(S6)。
所定の検査処理時間内始前)であれば(或いは、給紙動作開始前であれば)(S6 Y)、隣駒の給紙停止(S7)および乱丁検査のスキップ(S8)が行われる。所定の検査処理時間内で無ければ(或いは、給紙動作開始後であれば)(S6 N)、隣駒の更に隣駒における給紙停止(S9)および乱丁検査のスキップ(S10)が行われる。
【0050】
なお、本発明は上述した実施の形態例1〜4に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術思想の範囲で様々な変形が可能である。変形例としては、例えば以下のものがある。
(1)上記実施の形態では、乱丁の発生状況を表示する表示装置を、ライン制御ユニット30を収納する筐体上に設けたが、これに限ることなく、駒管理装置29を収納する筐体上に設けることもできる。
【0051】
(2)上記実施の形態では、折丁給紙手段の折丁を引き出す手段として、負圧回路を利用した吸着ヘッド100aを用いたが、このような負圧吸着手段を利用することなく、給紙ローラなどの機械的に引き出す手段を用いることもできる。この場合は、上記実施の形態における電磁弁SVの制御に換えて、該機械的な引き出し手段の停止制御とすることができる。
【0052】
(3)上記実施の形態では、綴じ機107の下流に乱丁束排出装置101が配置されているが、乱丁束排出装置101の下流に綴じ機107を配置しても良い。
また、乱丁束排出装置101の下流に乱丁束収納装置を配置することもできる。
【符号の説明】
【0053】
10−1〜n 丁合駒装置
14 回転ドラム
20 折丁
22 丁合束搬送装置
26 撮像手段
28 乱丁検査手段
29 駒管理装置
30 ライン制御ユニット
30a−1 第1表示手段
30a−2 第2表示手段
30a−3 第3表示手段
32 スタータ
34 エンコーダ
40 筐体
100 折丁給紙手段
100a 吸着ヘッド
101 乱丁束排出装置
102 負圧回路
107 綴じ機
SV1〜n 電磁弁
P 真空ポンプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の折丁を収納する折丁収納手段と、前記折丁収納手段から前記折丁を1枚ずつ抜き出す折丁給紙手段と、前記折丁給紙手段により抜き出された折丁を検査する乱丁検査手段とを有する複数の丁合駒装置と、それぞれの前記丁合駒装置から供給される折丁を順に重ねて折丁束として搬送する折丁束搬送装置とを有する丁合装置において、
前記丁合装置を制御する丁合制御手段を備え、
前記丁合制御手段は、前記乱丁検査手段からの乱丁を検知した乱丁検知信号に基づき、当該乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束への以降の折丁の供給停止を行うように、順次、前記丁合駒装置における前記折丁給紙手段を制御するとともに、前記折丁給紙手段における折丁の前記供給停止に対応させて、前記乱丁検査手段における折丁の検査を中断することを特徴とする丁合装置。
【請求項2】
請求項1において、前記折丁給紙手段は、前記折丁収納手段に収納された折丁を一部ずつ抜き出すための吸着ヘッドと、前記吸着ヘッドに吸着力を付与するための負圧回路と、前記負圧回路を遮断する電磁弁手段とを有し、
前記丁合制御手段は、前記折丁束搬送装置の搬送駆動に同期して前記電磁弁手段を制御する電磁弁制御手段を有し、前記乱丁検知信号を出力した丁合駒装置より下流に配置された丁合駒装置の電磁弁手段を、前記電磁弁制御手段を用いて順次遮断することにより、前記乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束に対する前記丁合駒装置からの折丁の供給を停止することを特徴とする丁合装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記折丁束搬送装置によって搬送された折丁束を綴じる綴じ装置と、前記乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束を前記折丁束搬送装置から排出する乱丁束排出装置と、を有し、前記綴じ装置は、前記乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束を綴じないように前記丁合制御手段により制御することを特徴とする丁合装置。
【請求項4】
請求項1〜3において、丁合装置の丁合状態を表示する表示装置を備え、前記表示装置は、前記各丁合駒装置における丁合状態を表示する複数の点灯表示部からなる第1表示手段と、前記乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束の位置を表示する複数の点灯表示部からなる第2表示手段とを有し、
前記第2表示手段は、前記乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束が、隣接する丁合駒装置へ順次移動することに同期して、前記乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束の位置を示すように移動表示することを特徴とする丁合装置。
【請求項1】
複数枚の折丁を収納する折丁収納手段と、前記折丁収納手段から前記折丁を1枚ずつ抜き出す折丁給紙手段と、前記折丁給紙手段により抜き出された折丁を検査する乱丁検査手段とを有する複数の丁合駒装置と、それぞれの前記丁合駒装置から供給される折丁を順に重ねて折丁束として搬送する折丁束搬送装置とを有する丁合装置において、
前記丁合装置を制御する丁合制御手段を備え、
前記丁合制御手段は、前記乱丁検査手段からの乱丁を検知した乱丁検知信号に基づき、当該乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束への以降の折丁の供給停止を行うように、順次、前記丁合駒装置における前記折丁給紙手段を制御するとともに、前記折丁給紙手段における折丁の前記供給停止に対応させて、前記乱丁検査手段における折丁の検査を中断することを特徴とする丁合装置。
【請求項2】
請求項1において、前記折丁給紙手段は、前記折丁収納手段に収納された折丁を一部ずつ抜き出すための吸着ヘッドと、前記吸着ヘッドに吸着力を付与するための負圧回路と、前記負圧回路を遮断する電磁弁手段とを有し、
前記丁合制御手段は、前記折丁束搬送装置の搬送駆動に同期して前記電磁弁手段を制御する電磁弁制御手段を有し、前記乱丁検知信号を出力した丁合駒装置より下流に配置された丁合駒装置の電磁弁手段を、前記電磁弁制御手段を用いて順次遮断することにより、前記乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束に対する前記丁合駒装置からの折丁の供給を停止することを特徴とする丁合装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記折丁束搬送装置によって搬送された折丁束を綴じる綴じ装置と、前記乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束を前記折丁束搬送装置から排出する乱丁束排出装置と、を有し、前記綴じ装置は、前記乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束を綴じないように前記丁合制御手段により制御することを特徴とする丁合装置。
【請求項4】
請求項1〜3において、丁合装置の丁合状態を表示する表示装置を備え、前記表示装置は、前記各丁合駒装置における丁合状態を表示する複数の点灯表示部からなる第1表示手段と、前記乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束の位置を表示する複数の点灯表示部からなる第2表示手段とを有し、
前記第2表示手段は、前記乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束が、隣接する丁合駒装置へ順次移動することに同期して、前記乱丁として検知された折丁が上部に供給された折丁束の位置を示すように移動表示することを特徴とする丁合装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図12】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図12】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−49149(P2013−49149A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187240(P2011−187240)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(591142507)株式会社北電子 (348)
[ Back to top ]