説明

三次元レリーフの製造方法および装置並びに三次元レリーフ

【課題】二次元の画像に基づいて製作される三次元レリーフにおいて、従来よりも大きな立体感を得られるようにすること。
【解決手段】板状の材料の表面を、画像に対応して彫刻することにより当該表面に凹凸を形成するとともに、画像上の物体画像BGについて、当該物体画像BGが画像の内容においてより遠い位置にある遠物体と境界部分KBにおいて隣接するときには、当該境界部分において遠物体よりも浅く彫刻を行うとともに、当該境界部分から遠ざかるにつれて深くなるように彫刻を行い、より近い位置にある近物体と境界部分において隣接するときには、当該境界部分において近物体よりも深く彫刻を行うとともに、当該境界部分から遠ざかるにつれて浅くなるように彫刻を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レリーフ材料に対して彫刻を行い必要に応じて印刷を行って三次元レリーフを製造する方法および装置並びに三次元レリーフに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、美術品である絵画、彫刻などを三次元レリーフとして複製したものがある。また、人物や風景、または山や谷などの自然の地形の2次元画像に基づいて三次元レリーフを復元したものも知られている。
【0003】
このような三次元レリーフを自動的に製造する方法が提案されている(特許文献1)。つまり、特許文献1によると、デジタルカメラなどによってレリーフのモチーフとなる画像を入力すると、各画素の色調データに基づいて算出された階調データに基づきレリーフの高さを表すZ座標データが設定され、各画素の二次元位置データD(x,y)に基づきレリーフの平面位置を表すX−Y座標データが設定される。そして、これらをXYZ座標とする三次元形状データに基づいて工具のカッターパスが算出され、算出されたカッターパスに基づいて、レリーフ材料である被加工物の表面がNC加工機により研削加工される。
【0004】
NC加工機で表面を研削された被加工物をプリンタに移動させた後、その被加工物に対し、画素情報の二次元位置データと対応する位置に、色調データで表された色または明るさのインクを噴霧して印刷を行う。
【特許文献1】特開平9−311707
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上に述べたような従来の三次元レリーフの製造方法では、十分な立体感が得られないという問題がある。
【0006】
すなわち、レリーフ材料として、通常、厚さが1〜数センチメートル程度の板状の材料が用いられるので、でき上がった三次元レリーフに現れる物体の奥行き方向の段差は最大でも1〜数センチメートル程度である。したがって、例えば、山々が連なる自然の風景を描いた画像に基づいて三次元レリーフを製作する場合を想定する。3つの山が連なった場合には、3つの山およびその背景の空のそれぞれの間に段差を設けることになるので、1つの山とその次の山との間の段差は、1〜数センチメートルのさらに4分の1程度となってしまう。
【0007】
そうすると、連なる山々の立体感を段差から得ることが余り期待できないばかりでなく、それぞれの1つの山についてもほぼ平面的にしか表現されないことになり、三次元レリーフの全体としての立体感は十分でない。
【0008】
このことは、多数のビルディングが立ち並ぶ都会風景や、多数の人々が集う生活風景などの画像の場合でも同様であり、彫刻によって得られる立体感は十分でない。
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、二次元の画像に基づいて製作される三次元レリーフにおいて、従来よりも大きな立体感を得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態の製造方法は、厚さ方向に所定の寸法を有する板状の材料の表面を、前記画像に対応して前記厚さ方向に深くまたは浅く彫刻することにより当該表面に凹凸を形成するとともに、前記画像上の物体画像について、当該物体画像が画像の内容においてより遠い位置にある遠物体と境界部分において隣接するときには、当該境界部分において前記遠物体よりも前記厚さ方向に浅く彫刻を行うとともに、当該境界部分から遠ざかるにつれて前記厚さ方向に深くなるように彫刻を行い、当該物体画像が画像の内容においてより近い位置にある近物体と境界部分において隣接するときには、当該境界部分において前記近物体よりも前記厚さ方向に深く彫刻を行うとともに、当該境界部分から遠ざかるにつれて前記厚さ方向に浅くなるように彫刻を行う。
【0011】
本発明の他の一実施形態の製造方法は、厚さ方向に所定の寸法を有する板状の材料の表面を、前記画像に対応して前記厚さ方向に深くまたは浅く彫刻することにより当該表面に凹凸を形成するとともに、前記画像上の境界部分において互いに隣接する2つの物体画像について、画像の内容においてより遠い位置にある物体画像である遠物体に対しては、より近い位置にある他の物体画像である近物体よりも境界部分において前記厚さ方向に深く彫刻を行うとともに、当該境界部分から遠ざかるにつれて前記厚さ方向に浅くなるように彫刻を行い、前記近物体に対しては、前記遠物体よりも境界部分において前記厚さ方向に浅く彫刻を行うとともに、当該境界部分から遠ざかるにつれて前記厚さ方向に深くなるように彫刻を行う。
【0012】
本発明の他の一実施形態の製造方法は、厚さ方向に所定の寸法を有する板状の材料の表面を、前記画像に対応して前記厚さ方向に深くまたは浅く彫刻することにより当該表面に凹凸を形成するとともに、前記画像上の1つの物体画像である注目物体、当該注目物体は、当該注目物体以外の他の2つの物体画像とそれぞれ境界部分において互いに隣接するものであってしかも前記他の2つの物体画像のうちの1つは当該注目物体よりも画像の内容においてより遠い位置にある遠物体でありかつ残りの1つは当該注目物体よりも画像の内容においてより近い位置にある近物体である、そのような注目物体に対して、前記近物体との境界部分においては、前記近物体よりも前記厚さ方向に深く彫刻を行うとともに、当該境界部分から遠ざかるにつれて前記厚さ方向に浅くなるように彫刻を行い、前記遠物体との境界部分においては、前記遠物体よりも前記厚さ方向に浅く彫刻を行うとともに、当該境界部分から遠ざかるにつれて前記厚さ方向に深くなるように彫刻を行う。
【0013】
好ましくは、前記遠物体との境界部分において、前記注目物体に含まれる部分に傾斜面を形成する。
【0014】
好ましくは、前記境界部分における前記遠物体に含まれる部分に、前記傾斜面に連続しかつ前記傾斜面よりも傾斜の緩い平面状または曲面状の第2の傾斜面を形成する。
【0015】
好ましくは、前記彫刻によって凹凸が形成された材料の表面に、前記画像をカラーで印刷する。
【0016】
好ましくは、前記印刷を行う前に、前記材料の表面に、紫外線硬化型インクを用いて下地塗布を行う。
【0017】
好ましくは、前記材料に彫刻を行う工程と前記材料に印刷を行う工程とを、前記材料を同じ位置に固定したままの状態で実行する。
【0018】
本発明の一実施形態の製造装置は、厚さ方向に所定の寸法を有する板状の材料の表面を、前記画像に対応して前記厚さ方向に深くまたは浅く彫刻することにより当該表面に凹凸を形成する彫刻手段と、前記画像上の物体画像について、当該物体画像が画像の内容においてより遠い位置にある遠物体と境界部分において隣接するときには、当該境界部分において前記遠物体よりも前記厚さ方向に浅く彫刻を行うとともに、当該境界部分から遠ざかるにつれて前記厚さ方向に深くなるように彫刻を行い、当該物体画像が画像の内容においてより近い位置にある近物体と境界部分において隣接するときには、当該境界部分において前記近物体よりも前記厚さ方向に深く彫刻を行うとともに、当該境界部分から遠ざかるにつれて前記厚さ方向に浅くなるように彫刻を行うよう、前記彫刻手段を制御する彫刻制御手段とを有する。
【0019】
本発明の一実施形態の三次元レリーフは、厚さ方向に所定の寸法を有する板状の材料の表面が、前記画像に対応して前記厚さ方向に深くまたは浅く彫刻することにより当該表面に凹凸が形成されており、前記画像上の物体画像について、当該物体画像が画像の内容においてより遠い位置にある遠物体と境界部分において隣接するときには、当該境界部分において前記遠物体よりも前記厚さ方向に浅く彫刻が行われているとともに、当該境界部分から遠ざかるにつれて前記厚さ方向に深くなるように彫刻が行われ、当該物体画像が画像の内容においてより近い位置にある近物体と境界部分において隣接するときには、当該境界部分において前記近物体よりも前記厚さ方向に深く彫刻が行われているとともに、当該境界部分から遠ざかるにつれて前記厚さ方向に浅くなるように彫刻が行われている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、二次元の画像に基づいて製作される三次元レリーフにおいて、従来よりも大きな立体感を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は二次元の画像GF1の例を示す図、図2は画像GF1上の物体画像BG1〜4についてその実際の配置関係の例を示す平面図、図3は画像GF1に基づいて製作された三次元レリーフSR1を示す正面図、図4は図3の三次元レリーフSR1の断面平面図、図5は従来の方法により製作した場合における図3の三次元レリーフSR1jの断面平面図、図6は図4の一部を拡大して示す図、図7はさらに図6の一部を拡大して示す図、図8は図3の三次元レリーフSR1のC−C線断面矢視図、図9は他の例の物体画像BG11〜13の実際の配置関係とその三次元レリーフSR2との関係を示す図である。なお、図4(A)および図5(A)は図3のA−A線断面矢視図、図4(B)および図5(B)は図3のB−B線断面矢視図である。
【0022】
図1において、画像GF1は、4つのビルディングBT1〜4が立ち並ぶ風景の画像である。画像GFに示された物体を本明細書においては「物体画像」と言うので、図1の画像GF1に示される各ビルディングBT1〜4は、物体画像BG1〜4ということになる。
【0023】
図2に示すように、ビルディングBT1〜4は、この順に手前から奥に向かって配置されている。したがって、図1において、物体画像BG1〜4の順に手前から奥に向かって配置されたように描かれている。
【0024】
図1において、物体画像BG1〜4の背景にあるのは背景画像KG1である。背景画像KG1は、例えば、空や雲であったり、海や山であったりする。
【0025】
図3において、三次元レリーフSRは、厚さ方向に所定の寸法を有する板状の材料(レリーフ材料)RZの表面を、画像GF1に対応して厚さ方向に深くまたは浅く彫刻することにより、当該表面に凹凸を形成したものである。なお、深く彫刻した場合には、その結果として得られる物体画像BGなどの高さは高くなり、これとは逆に浅く彫刻した場合には、その結果として得られる物体画像BGなどの高さは低くなる。
【0026】
また、レリーフ材料RZの凹凸を形成した表面に、インクジェット方式のプリンタによってカラーで印刷を行い、画像GF1と同じ画像を形成してもよい。これによって一層価値の高い三次元レリーフSRとなる。その場合に、印刷を行う前に、紫外線硬化型インクを用いて表面に下地塗布を行っておくことが望ましい。
【0027】
なお、レリーフ材料RZとして、アクリル、ポリカーボネート、ポリエステルなどの合成樹脂、人工大理石、大理石、石膏、ガラス、木材、金属などが用いられる。縦方向および横方向の寸法は数十センチメートル〜数メートル程度、厚さ方向の寸法は数ミリメートル〜数十ミリメートル程度である。
【0028】
次に、三次元レリーフSR1の製造方法、特にその凹凸の形成方法について説明する。
【0029】
図4(A)に示すように、三次元レリーフSR1において、物体画像BG1〜4の最大高さは、この順に僅かずつ低くなってはいるが、大雑把に言えばほぼ同じである。しかし、物体画像BG1〜4のそれぞれの境界部分KB1〜3における物体画像BG1〜4間の段差は大きくなっており、それぞれ彫刻の最大深さに相当する距離だけある。また、境界部分KB4における物体画像BG4と背景画像KG1との間の段差も大きくなっており、彫刻の最大深さに近い距離だけある。また、当然ではあるが、境界部分KB5における物体画像BG1と背景画像KG1との間の段差は大きく、彫刻の最大深さに相当する距離だけある。
【0030】
すなわち、三次元レリーフSR1においては、物体画像BG1〜4の各間および背景画像KG1との間の奥行き方向の段差が大きく、彫刻の最大深さに相当する距離またはそれに近い距離だけある。
【0031】
例えば、レリーフ材料RZの厚さ方向の寸法が3センチメートルであるとし、彫刻の最大深さが2.5センチメートルであるとすると、物体画像BG1と背景画像KG1、物体画像BG1とBG2、物体画像BG2とBG3、物体画像BG3とBG4、物体画像BG4と背景画像KG1との、それぞれの側壁における段差はほぼ2.5センチメートルかまたはそれに近い距離である。
【0032】
このように、相対的に近くに位置する物体画像BGと遠くに位置する物体画像BGとの間において、その境界部分KBで大きな段差が設けられることとなり、鑑賞者に対して大きな立体感を与えることができる。
【0033】
因みに、従来の方法により製作した場合には、図5に示す三次元レリーフSR1jのように、物体画像BG1j〜4jの間の段差は極めて小さく、また、物体画像BG4jと背景画像KG1との間の段差も極めて小さい。したがって、少ししかない段差からは立体感を余り得ることができず、三次元レリーフSR1jの全体としての立体感は十分でない。
【0034】
これに対して、上に述べた実施形態の三次元レリーフSR1では、段差が大きく、大きな立体感を得ることができる。
【0035】
三次元レリーフSR1の段差についてさらに詳しく説明する。
【0036】
図6において、物体画像BG3に注目する。つまり、物体画像BG3を「注目物体TB」とする。
【0037】
注目物体TBは、他の2つの物体画像BG2,4と、それぞれ境界部分KB2,3において互いに隣接する。しかも、2つの物体画像BG2,4のうちの1つである物体画像BG4は、注目物体TBよりも画像の内容においてより遠い位置にある遠物体BEであり、かつ残りの1つである物体画像BG2は、注目物体TBよりも画像の内容においてより近い位置にある近物体BKである。
【0038】
このような注目物体TBに対して、近物体BKとの境界部分KB2においては、近物体BKよりも厚さ方向に深く彫刻を行うとともに、当該境界部分KB2から遠ざかるにつれて浅くなるように彫刻が行われている。また、遠物体BEとの境界部分KB3においては、遠物体BEよりも厚さ方向に浅く彫刻を行うとともに、当該境界部分KB3から遠ざかるにつれて深くなるように彫刻が行われている。
【0039】
そして、図7によく示されるように、遠物体BEとの境界部分KB3において、注目物体TBに含まれる部分に傾斜面SF2Aが形成されている。さらに、境界部分KB3における遠物体BEに含まれる部分に、傾斜面SF2Aに連続しかつ傾斜面SF2Aよりも傾斜の緩い平面状または曲面状の傾斜面SF2Bが形成されている。
【0040】
つまり、図7において、三次元レリーフSR1の表面において、物体画像BG3の表面SF1および傾斜面SF2A、物体画像BG3から物体画像BG4に渡る傾斜面SF2B、および物体画像BG4の表面SF3によって、凹凸が構成されている。
【0041】
傾斜面SF2Aは、彫刻前のレリーフ材料RZの表面または裏面、これは背景画像KG1の表面と平行であるが、その表面とのなす角度αが87度以下とされている。つまり、傾斜面SF2Aはオーバーハングすることがなく、角度αが90度になることもない。
【0042】
そして、このような傾斜面SF2A,SF2Bは、境界部分KB3のみでなく、他の境界部分KB1,2,4,5…においても、同様に形成されている。
【0043】
このように、三次元レリーフSRにおいては、インクジェットによるインクの付着精度を上げるために、全ての表面SFについて、角度αが87度以下となっている。
【0044】
さて、傾斜面SF2Aは、物体画像BG3の本来の側面SFj2である境界部分KB3に対して、物体画像BG3の側へ入り込むように形成されている。そして、傾斜面SF2Bは、境界部分KB3を横切るように形成されている。傾斜面SF2Bは、レリーフ材料RZの裏面に向かって凸となる円弧状の曲面である。しかし、傾斜面SF2Bを、曲面ではなく、裏面と10〜40度程度の角度を有する平面としてもよい。
【0045】
このように傾斜面SF2A,SF2Bを形成することによって、彫刻の形状と画像の内容とが一致し易くなる。つまり、凹凸の表面に画像GF1を印刷したときに、傾斜面SF2Aには物体画像BG3の一部が印刷されることとなり、彫刻による凹凸と画像GF1との間に違和感が生じない。また、物体画像BG3とBG4とが、傾斜面SF2Bの部分において分離されることとなり、それら2つの物体画像BG3,4の色ずれなどが分かり難くなる。これによって、立体感が溢れる自然な三次元レリーフSR1が得られる。
【0046】
なお、傾斜面SF2Aの角度αを87度とするか、またはそれ以下、例えば87〜30度程度の範囲のどの角度とするかは、画像GF1の内容やそのグレースケールの濃淡の変化の状態などに応じて決定することが可能である。
【0047】
図8において、物体画像BG2と背景画像KG1との境界部分KB8において、それらの間の段差は大きくなっており、それぞれ彫刻の最大深さに近い距離だけある。したがって、物体画像BG2においては、境界部分KB1において深く彫刻され、また境界部分KB6においても深く彫刻されているので、それら境界部分KB1,6から境界部分KB8に至るまでの間において、その表面SF11が徐々に高くなるように傾斜している。
【0048】
したがって、画像GF1上において左右に配置された物体画像BG1〜4の側面だけでなく、それらの上面または下面についても、凹凸の表面の大きな段差によって大きな立体感を得ることができる。
【0049】
なお、上に述べたように、三次元レリーフSR1では、注目物体TBにおける遠物体BEとの境界部分KBに大きな段差を形成し、近物体BKとの境界部分KBに至るまでの表面を傾斜させるが、これによって注目物体TBそれ自体が不自然となることは少ない。これは、三次元レリーフSR1の表面には、その正面視において、画像GF1が凹凸による歪みを受けることなく印刷されているので、三次元レリーフSR1を正面から見た場合に、物体画像BG1〜4および背景画像KG1には何らの歪みも生じない。また、三次元レリーフSR1を斜め前方から見た場合には、その角度に応じて段差の部分が拡がって見えるが、これら物体画像BG1〜4の立体感を高める効果となって現れ、画像の歪みとしては余り目立たない。
【0050】
以上、三次元レリーフSR1について説明したが、三次元レリーフSR1は次のように説明することもできる。
【0051】
すなわち、三次元レリーフSR1は、画像GF1上の物体画像BGについて、当該物体画像BGが画像GF1の内容においてより遠い位置にある遠物体BEと境界部分KBにおいて隣接するときには、当該境界部分KBにおいて遠物体BEよりも厚さ方向に浅く彫刻が行われているとともに、当該境界部分KBから遠ざかるにつれて厚さ方向に深くなるように彫刻が行われており、当該物体画像BGが画像GF1の内容においてより近い位置にある近物体BKと境界部分KBにおいて隣接するときには、当該境界部分KBにおいて近物体BKよりも厚さ方向に深く彫刻が行われているとともに、当該境界部分KBから遠ざかるにつれて厚さ方向に浅くなるように彫刻が行われている。
【0052】
また、三次元レリーフSR1は、画像GF1上の境界部分KBにおいて互いに隣接する2つの物体画像BGについて、画像GF1の内容においてより遠い位置にある物体画像BGである遠物体BEに対しては、より近い位置にある他の物体画像BGである近物体BKよりも境界部分KBにおいて厚さ方向に深く彫刻を行うとともに、当該境界部分KBから遠ざかるにつれて厚さ方向に浅くなるように彫刻が行われ、近物体BKに対しては、遠物体BEよりも境界部分KBにおいて厚さ方向に浅く彫刻が行われるとともに、当該境界部分KBから遠ざかるにつれて厚さ方向に深くなるように彫刻が行われている。
【0053】
なお、上に述べた実施形態では、物体画像BG1〜4がビルディングBT1〜4である例について説明したが、物体画像BGとしてあらゆるものを適用することができる。つまり、その表面の形状、色、寸法、材質などに係わらず、あらゆる物体の画像を物体画像BGとして適用に、上に述べたと同様な手法によって三次元レリーフSR1を製作することが可能である。
【0054】
その場合に、物体の表面の形状に応じて、物体画像BGの凹凸の表面形状、傾斜面SF2A,SF2Bの形状などを決定すればよい。次に、そのような一例として、物体画像BGが「岩」である例を、図9を参照して説明する。
【0055】
図9の上半分に、3つの岩BT11〜13の配置関係が平面視によって示されている。つまり、岩BT11が最も手前にあり、その奥に岩BT12があり、さらにその奥に岩BT13がある。図9の下半分に、これら岩BT11〜13の物体画像BG11〜13が彫刻された三次元レリーフSR2の断面平面図として示されている。
【0056】
三次元レリーフSR2において、物体画像BG11は、物体画像BG12との境界部分KB11および物体画像BG13との境界部分KB12において大きな段差が設けられるように彫刻されている。岩BT11の表面の形状に沿っって、物体画像BG11の表面の形状が形成されており、岩BT11の表面に存在する凹部HT11に対応して、物体画像BG11の表面にも同様な凹部HG11が形成されている。
【0057】
物体画像BG12,13については、低くなった境界部分KB11,12から遠ざかるにつれてそれぞれ徐々に高くなり、境界部分KB13,14において、背景画像KG11に対して大きな段差が形成されている。
【0058】
このように、三次元レリーフSR2においても、物体画像BG間および背景画像KGとの間の境界部分KBにおいて、大きな段差が形成されており、大きな立体感を得ることができる。
【0059】
なお、上に説明したような三次元レリーフSR1,2を製作するために、切削により彫刻を行う装置またはレーザカットにより彫刻を行う装置などを用いればよい。また、画像GFの印刷を行うためには、上に述べたようなインクジェット方式のプリンタを用いればよい。次に、これらの装置の例について簡単に説明する。
【0060】
図10は三次元レリーフ作成装置1の平面図、図11は三次元レリーフ作成装置1の正面図、図12は三次元レリーフ作成装置1の側面図、図13は制御装置18の機能を示すブロック図である。
【0061】
図10〜図12において、三次元レリーフ作成装置1は、基台11、材料載置台12、走行ガイド13、彫刻走行フレーム14、プリンタ走行フレーム15、彫刻ヘッド16、プリンタヘッド17、および制御装置18などからなっている。
【0062】
基台11は、4本の脚部および補強ビームなどからなり、三次元レリーフ作成装置1を床面上に安定して設置するとともに、他の部材を十分な剛性で支持するためのものである。また、適当な高さを有することにより、操作者によるレリーフ材料RZの着脱が容易に行える。
【0063】
材料載置台12は、その上面の載置面にレリーフ材料RZを載置し、負圧でレリーフ材料RZを吸着することによりレリーフ材料RZを固定するためのものである。レリーフ材料RZの載置面は、平面視で矩形であり、水平に設けられている。載置面には多数の穴が設けられており、図示しない真空ポンプによってそれらの穴から空気が吸引され、レリーフ材料RZが載置された場合にはその裏面に負圧が作用してレリーフ材料RZが材料載置台12に吸着して固定されるようになっている。
【0064】
なお、レリーフ材料RZは、材料載置台12により吸着される面とは反対側の表面が彫刻ヘッド16によって彫刻される。彫刻によって表面に凹凸が形成されるが、凹凸が形成された後の表面に、プリンタヘッド17によって印刷が行われ、これによって彫刻に応じた画像が形成される。
【0065】
走行ガイド13は、材料載置台12の両辺の外側に設けられ、彫刻走行フレーム14およびプリンタ走行フレーム15がそれぞれX方向に直線状に走行するためのガイドである。
【0066】
彫刻走行フレーム14は、それ自身が走行ガイド13に沿ってX方向に走行するが、彫刻ヘッド16は彫刻走行フレーム14に沿ってY方向に走行する。これによって、彫刻ヘッド16はX方向およびY方向に走行可能であり、材料載置台12に載置されたレリーフ材料RZの表面をスキャン可能となっている。
【0067】
プリンタ走行フレーム15は、それ自身が走行ガイド13に沿ってX方向に走行するが、プリンタヘッド17はプリンタ走行フレーム15に沿ってY方向に走行する。これによって、プリンタヘッド17はX方向およびY方向に走行可能であり、材料載置台12に載置されたレリーフ材料RZの表面をスキャン可能となっている。
【0068】
このように、彫刻ヘッド16およびプリンタヘッド17は、レリーフ材料RZの表面を互いに独立してスキャン可能である。なお、それらの一方がレリーフ材料RZの表面をスキャンしている間は、他方は走行フレームとともに待機スペースTP1,2において待機するよう制御される。
【0069】
なお、彫刻走行フレーム14、プリンタ走行フレーム15、彫刻ヘッド16、およびプリンタヘッド17の走行のために、図示しないステップモータまたはサーボモータなどを含んだ公知の駆動装置が用いられ、その走行速度、加速度、停止位置などが制御装置18によって制御される。
【0070】
彫刻ヘッド16は、回転ドリルなどの刃物を備えており、刃物は、Z方向つまりレリーフ材料RZの表面に対して垂直方向に移動することが可能である。刃物のZ方向の位置は、彫刻の内容に対応した距離データ(高さデータ)に基づき、制御装置18によって制御される。
【0071】
例えば、彫刻ヘッド16によって形成される凹凸の面は、全て、レリーフ材料RZの表面の接線方向、つまり材料載置台12の表面の方向に対してなす角度が、87度以下とされている。つまり、彫刻が行われた凹凸の面は、材料載置台12の表面に対して垂直になることはなく、また垂直以上の角度でハングオ−バーすることのないようになっている。したがって、後の工程でコーティングまたは印刷を行う際に、彫刻が行われた凹凸の面に対して、プリントヘッドから噴射されたインクを適切に付着できるように制御することが可能である。
【0072】
距離データは、図1〜図9において説明したように凹凸が形成されるようなデータである。そのような距離データは、画像GFの元になった実物に対応した距離データを修正することによって生成することができる。また、画像GFに基づいて、種々の方法を用い、図1〜図9において説明した段差が得られるように、距離データを生成することができる。
【0073】
プリンタヘッド17は、YMCKの各色のインク、および、透明または白色の下地塗布用の紫外線硬化型インクに対応する複数のノズルを備え、ノズルからそれぞれの種類および色のインクを噴射してレリーフ材料RZの表面(印刷表面)に画像形成する。
【0074】
つまり、プリンタヘッド17によって、レリーフ材料RZの印刷表面に対し、レリーフ材料RZの素材による表面の質感を低減するために透明または白色の下地塗布を行う下地塗布工程、および、下地塗布が行われたレリーフ材料(三次元レリーフ原形)RZの表面に画像の印刷を行うことによって彫刻に応じた画像を形成する画像形成工程が行われる。
【0075】
このように、プリンタヘッド17は、カラー印刷を行うために複数の原色のインクをそれぞれ噴射するためのノズル(噴射口)を有している。
【0076】
このように、三次元レリーフ作成装置1は、1つの材料載置台12に載置されるレリーフ材料RZの表面に対して、彫刻走行フレーム14および彫刻ヘッド16からなる彫刻装置TSと、プリンタ走行フレーム15およびプリンタヘッド17からなる印刷装置(プリンタ)PSとが、それぞれ独立してスキャンし、彫刻しまたは印刷することが可能である。したがって、材料載置台12上に板状のレリーフ材料RZをセットすることによって、その表面に彫刻を施し、彫刻された三次元レリーフ原形RGの表面にコーティングや印刷を行って画像を形成することができ、レリーフ材料RZを移動することなく三次元レリーフSRを作成することができる。
【0077】
したがって、レリーフ材料RZの位置決めを最初に1回すればよいので、位置合わせが容易であり作業が簡単であるとともに、彫刻と印刷との間で位置ずれが生じることがなく、高精度の三次元レリーフSRを作成することができる。また、彫刻装置TSの刃物の制御に用いた距離データ(彫刻データ)を、そのまま印刷装置PSにおけるプリンタヘッド17と印刷表面との距離に応じた制御に用いることができ、制御データの生成が容易でありかつ高精度のものとすることができる。
【0078】
図13に示すように、制御装置18は、スキャン機構SK、スキャン制御部21、画像制御部22、および印刷条件制御部23などを備える。
【0079】
スキャン機構SKは、プリンタヘッド17を、印刷表面PHに接触しない状態で、印刷表面PHに対して相対的に直線的に移動させて印刷表面PHの全体をスキャンさせる。スキャン機構SKは、上に述べた彫刻走行フレーム14、プリンタ走行フレーム15、および、彫刻ヘッド16とプリンタヘッド17を移動駆動する部分などによって構成される。
【0080】
次に、他の形態の三次元レリーフ作成装置1Bについて説明する。
【0081】
図14は他の形態の三次元レリーフ作成装置1Bの構成を示す図である。
【0082】
図14において、三次元レリーフ作成装置1Bは、画像処理のためのコンピュータ110、制御データ生成部121、数値制御方式の彫刻装置TS、およびインクジェット方式の印刷装置PSなどからなる。
【0083】
コンピュータ110は、CPUやDSPなどによる処理装置、半導体メモリや磁気ディスクなどの記憶装置、キーボードやマウスなどの入力装置、表示装置、および種々のインタフェース回路などを含んで構成されている。それらによって、ソフトウエア的にまたはハードウエア的に、コンピュータ110内に、画像格納部111、高さ画像生成部112、高さ画像格納部113、高さ変化データ生成部114、高さ変化データ格納部115、およびデータ出力部116が、機能的に形成される。
【0084】
画像格納部111は、画像GFを格納する。画像GFは、X方向およびY方向にマトリックス状に配列された多数の画素GSからなる2次元画像である。各画素GSは、色情報CDを持つ。色情報CDは濃度情報を含む。例えば、各画素GSが、RGBまたはCMYKなどで表現されている場合は、各原色の濃度情報によって各画素GSの色、つまり、色相、彩度、および明度が決定される。画素GSは他の表色系のデータによって表現されていてもよい。
【0085】
このような画像GFを得るために、それらの実物をデジタルカメラやビデオカメラなどによって撮影してもよい。また、既に撮影された写真や印刷物などをスキャナなどで読み取ってデジタル化してもよい。また、既にデジタル化されて画像データとなった画像GFを、CD−ROMやメモリチップなどの記憶媒体を介して、またはネットワークからダウンロードして取得することも可能である。また、コンピュータ110の内部において、種々のアプリケーションを用いて画像GFを生成してもよい。画像GFは、通常、フルカラー画像であるが、モノクロ画像でもよい。
【0086】
高さ画像生成部112は、画像GFに基づいて、画像GF内の各部の高さを示す高さ画像TFを生成する。生成された高さ画像TFは、高さ画像格納部113に格納される。
【0087】
高さ画像TFは、各画素GSについてZ方向のデータである高さデータTDを記録したものである。高さ画像TFの画素GSのピッチまたは個数は、画像GFの画素GSのピッチまたは個数と同じであってもよく、また画像GFの画素GSを間引いたものであってもよい。
【0088】
高さデータTDとして、例えば、256階調(8ビット)、64階調(6ビット)などのデータが用いられる。高さデータTDは、例えば、最も低い位置(例えば背景位置)から最も高い位置までの間における位置を示す。また、高さデータTDが、最も低い位置からの距離を直接的に示すようにしてもよい。高さデータTDを、プリンタヘッド17からの距離で示してもよい。高さデータTDは、画像GFにおいては高さを示すものであるが、プリンタヘッド17や切削工具からから見れば奥行きまたは深さを示すものとも言えるので、奥行きデータまたは深さデータと言うこともできる。
【0089】
このような高さ画像TFを得るために、種々の方法を用いることが可能である。例えば、画像GFを複数の領域に区画し、区画された各領域に対して高さレベルを付与する。高さレベルの付与は、ユーザが手動で行ってもよく、または画像内における領域の状態をコンピュータ110で認識させることにより自動で行ってもよい。
【0090】
各領域において付与された高さレベルに応じて、各領域内における各部(各画素GS)の高さを決定する。高さ画像TFは、例えば、各部の高さをグレースケールを用いて示す濃淡画像である。
【0091】
高さ変化データ生成部14は、高さ画像TFに基づいて、各部についての画像GFの単位長さLX当たりの高さの変化分LZを示す高さ変化データHFを生成する生成された高さ変化データHFは、高さ変化データ格納部115に格納される。高さ変化データHFは、X方向およびY方向にマトリックス状に配列された多数の各画素GSについて、X方向およびY方向に直交するZ方向のデータの変化量である傾斜データKDを記録したものである。
【0092】
データ出力部16は、三次元レリーフ原形において高さ画像TFで示される高さに応じた凹凸を形成するために、高さ画像TFを数値制御加工装置22の制御のために出力する。データ出力部16は、データの入出力のための適当なインタフェースであってもよい。また、適当な記録媒体に対してデータの書き込みを行うための媒体ドライブ装置であってもよい。
【0093】
制御データ生成部121は、データ出力部116から出力された高さ画像TFに基づいて、彫刻装置TSを制御するための制御データを生成する。なお、そのような制御データを生成するに際して、画像GFのデータを用いてもよい。また、制御データの生成をコンピュータ110の内部で行い、制御データを適当なインタフェースを介して彫刻装置TSに出力するようにしてもよい。
【0094】
彫刻装置(ルーター)TSは、制御データに基づいて、レリーフ材料RZに対して加工を施し、画像GFについての三次元レリーフ原形RGを作成する。彫刻装置TSとして、種々のNC旋盤、マシニングセンター、レーザ加工機、サンドブラスト、ルーターなどと同様の機構を用いることが可能である。
【0095】
次に、三次元レリーフSRの製造方法について、フローチャートを参照して説明する。
【0096】
図15は三次元レリーフSRの製造工程の全体の動作の流れを示すフローチャートである。
【0097】
図15において、画像GFを取得し(#1)、画像GFに基づいて高さ画像TFを生成する(#2)。高さ画像TFに基づく制御データを用いて彫刻装置を制御し、レリーフ材料RZを加工して三次元レリーフ原形RGを作成する(#3)。三次元レリーフ原形RGに対して、その表面にコーティングを行ってコーティング層RCを形成する(#4)。画像GF1に基づいて印刷装置PSを制御し、三次元レリーフ原形RGのコーティング層RCの上から印刷を行って着色する(#5)。
【0098】
上に説明した種々の実施形態において、彫刻走行フレーム14、プリンタ走行フレーム15、彫刻ヘッド16、およびプリンタヘッド17の走行のための装置または機構として、上に述べた以外の種々の公知のものを採用することが可能である。
【0099】
また、三次元レリーフSR1,2の各部または全体の形状、寸法、角度などについても、上に述べた以外の種々のものとすることができる。
【0100】
その他、印刷装置PS、彫刻装置TS、制御装置18、コンピュータ110、または三次元レリーフ作成装置1,1Bの全体または各部の構成、形状、寸法、個数、材質、画像の内容、制御装置18およびコンピュータ110における処理内容、処理順序などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】二次元の画像の例を示す図である。
【図2】画像上の物体画像についてその実際の配置関係の例を示す平面図である。
【図3】画像に基づいて製作された三次元レリーフを示す正面図である。
【図4】図3の三次元レリーフの断面平面図である。
【図5】従来の方法により製作した場合における図3の三次元レリーフの断面平面図である。
【図6】図4の一部を拡大して示す図である。
【図7】図6の一部を拡大して示す図である。
【図8】図3の三次元レリーフのC−C線断面矢視図である。
【図9】他の例の物体画像の実際の配置関係とその三次元レリーフとの関係を示す図である。
【図10】三次元レリーフ作成装置の例を示す平面図である。
【図11】三次元レリーフ作成装置の正面図である。
【図12】三次元レリーフ作成装置の側面図である。
【図13】制御装置の機能を示すブロック図である。
【図14】他の形態の三次元レリーフ作成装置の全体の構成を示す図である。
【図15】三次元レリーフの製造工程の全体の動作の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0102】
1,1B 三次元レリーフ作成装置(三次元レリーフを製造する装置)
17 プリンタヘッド
18 制御装置(彫刻制御手段)
PS 印刷装置
TS 彫刻装置(彫刻手段)
SK スキャン機構
GF1 画像
SR1,2 三次元レリーフ
RZ レリーフ材料(材料)
BG 物体画像
TB 注目物体
BE 遠物体
BK 近物体
KB 境界部分
SF2A 傾斜面
SF2B 傾斜面(第2の傾斜面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次元の画像に基づいて三次元レリーフを製造する方法であって、
厚さ方向に所定の寸法を有する板状の材料の表面を、前記画像に対応して前記厚さ方向に深くまたは浅く彫刻することにより当該表面に凹凸を形成するとともに、
前記画像上の物体画像について、
当該物体画像が画像の内容においてより遠い位置にある遠物体と境界部分において隣接するときには、当該境界部分において前記遠物体よりも前記厚さ方向に浅く彫刻を行うとともに、当該境界部分から遠ざかるにつれて前記厚さ方向に深くなるように彫刻を行い、
当該物体画像が画像の内容においてより近い位置にある近物体と境界部分において隣接するときには、当該境界部分において前記近物体よりも前記厚さ方向に深く彫刻を行うとともに、当該境界部分から遠ざかるにつれて前記厚さ方向に浅くなるように彫刻を行う、
ことを特徴とする三次元レリーフを製造する方法。
【請求項2】
二次元の画像に基づいて三次元レリーフを製造する方法であって、
厚さ方向に所定の寸法を有する板状の材料の表面を、前記画像に対応して前記厚さ方向に深くまたは浅く彫刻することにより当該表面に凹凸を形成するとともに、
前記画像上の境界部分において互いに隣接する2つの物体画像について、
画像の内容においてより遠い位置にある物体画像である遠物体に対しては、より近い位置にある他の物体画像である近物体よりも境界部分において前記厚さ方向に深く彫刻を行うとともに、当該境界部分から遠ざかるにつれて前記厚さ方向に浅くなるように彫刻を行い、
前記近物体に対しては、前記遠物体よりも境界部分において前記厚さ方向に浅く彫刻を行うとともに、当該境界部分から遠ざかるにつれて前記厚さ方向に深くなるように彫刻を行う、
ことを特徴とする三次元レリーフを製造する方法。
【請求項3】
二次元の画像に基づいて三次元レリーフを製造する方法であって、
厚さ方向に所定の寸法を有する板状の材料の表面を、前記画像に対応して前記厚さ方向に深くまたは浅く彫刻することにより当該表面に凹凸を形成するとともに、
前記画像上の1つの物体画像である注目物体、当該注目物体は、当該注目物体以外の他の2つの物体画像とそれぞれ境界部分において互いに隣接するものであってしかも前記他の2つの物体画像のうちの1つは当該注目物体よりも画像の内容においてより遠い位置にある遠物体でありかつ残りの1つは当該注目物体よりも画像の内容においてより近い位置にある近物体である、そのような注目物体に対して、
前記近物体との境界部分においては、前記近物体よりも前記厚さ方向に深く彫刻を行うとともに、当該境界部分から遠ざかるにつれて前記厚さ方向に浅くなるように彫刻を行い、
前記遠物体との境界部分においては、前記遠物体よりも前記厚さ方向に浅く彫刻を行うとともに、当該境界部分から遠ざかるにつれて前記厚さ方向に深くなるように彫刻を行う、
ことを特徴とする三次元レリーフを製造する方法。
【請求項4】
前記遠物体との境界部分において、前記注目物体に含まれる部分に傾斜面を形成する、
請求項3記載の三次元レリーフを製造する方法。
【請求項5】
前記境界部分における前記遠物体に含まれる部分に、前記傾斜面に連続しかつ前記傾斜面よりも傾斜の緩い平面状または曲面状の第2の傾斜面を形成する、
請求項4記載の三次元レリーフを製造する方法。
【請求項6】
前記彫刻によって凹凸が形成された材料の表面に、前記画像をカラーで印刷する、
請求項3ないし5のいずれかに記載の三次元レリーフを製造する方法。
【請求項7】
前記印刷を行う前に、前記材料の表面に、紫外線硬化型インクを用いて下地塗布を行う、
請求項6記載の三次元レリーフを製造する方法。
【請求項8】
前記材料に彫刻を行う工程と前記材料に印刷を行う工程とを、前記材料を同じ位置に固定したままの状態で実行する、
請求項6または7記載の三次元レリーフを製造する方法。
【請求項9】
二次元の画像に基づいて三次元レリーフを製造する装置であって、
厚さ方向に所定の寸法を有する板状の材料の表面を、前記画像に対応して前記厚さ方向に深くまたは浅く彫刻することにより当該表面に凹凸を形成する彫刻手段と、
前記画像上の物体画像について、当該物体画像が画像の内容においてより遠い位置にある遠物体と境界部分において隣接するときには、当該境界部分において前記遠物体よりも前記厚さ方向に浅く彫刻を行うとともに、当該境界部分から遠ざかるにつれて前記厚さ方向に深くなるように彫刻を行い、当該物体画像が画像の内容においてより近い位置にある近物体と境界部分において隣接するときには、当該境界部分において前記近物体よりも前記厚さ方向に深く彫刻を行うとともに、当該境界部分から遠ざかるにつれて前記厚さ方向に浅くなるように彫刻を行うよう、前記彫刻手段を制御する彫刻制御手段と、
を有することを特徴とする三次元レリーフを製造する装置。
【請求項10】
二次元の画像に基づいて製造される三次元レリーフであって、
厚さ方向に所定の寸法を有する板状の材料の表面が、前記画像に対応して前記厚さ方向に深くまたは浅く彫刻することにより当該表面に凹凸が形成されており、
前記画像上の物体画像について、
当該物体画像が画像の内容においてより遠い位置にある遠物体と境界部分において隣接するときには、当該境界部分において前記遠物体よりも前記厚さ方向に浅く彫刻が行われているとともに、当該境界部分から遠ざかるにつれて前記厚さ方向に深くなるように彫刻が行われ、
当該物体画像が画像の内容においてより近い位置にある近物体と境界部分において隣接するときには、当該境界部分において前記近物体よりも前記厚さ方向に深く彫刻が行われているとともに、当該境界部分から遠ざかるにつれて前記厚さ方向に浅くなるように彫刻が行われている、
ことを特徴とする三次元レリーフ。
【請求項11】
二次元の画像に基づいて製造される三次元レリーフであって、
厚さ方向に所定の寸法を有する板状の材料の表面が、前記画像に対応して前記厚さ方向に深くまたは浅く彫刻することにより当該表面に凹凸が形成されており、
前記画像上の1つの物体画像である注目物体、当該注目物体は、当該注目物体以外の他の2つの物体画像とそれぞれ境界部分において互いに隣接するものであってしかも前記他の2つの物体画像のうちの1つは当該注目物体よりも画像の内容においてより遠い位置にある遠物体でありかつ残りの1つは当該注目物体よりも画像の内容においてより近い位置にある近物体である、そのような注目物体に対して、
前記近物体との境界部分においては、前記近物体よりも前記厚さ方向に深く彫刻が行われているとともに、当該境界部分から遠ざかるにつれて前記厚さ方向に浅くなるように彫刻が行われ、
前記遠物体との境界部分においては、前記遠物体よりも前記厚さ方向に浅く彫刻が行われているとともに、当該境界部分から遠ざかるにつれて前記厚さ方向に深くなるように彫刻が行われている、
ことを特徴とする三次元レリーフ。
【請求項12】
前記遠物体との境界部分において、前記注目物体に含まれる部分に傾斜面が形成されている、
請求項11記載の三次元レリーフ。
【請求項13】
前記境界部分における前記遠物体に含まれる部分に、前記傾斜面に連続しかつ前記傾斜面よりも傾斜の緩い平面状または曲面状の第2の傾斜面が形成されている、
請求項12記載の三次元レリーフ。
【請求項14】
前記彫刻によって凹凸が形成された材料の表面に、前記画像がカラーで印刷されている、
請求項11ないし13のいずれかに記載の三次元レリーフ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−213320(P2008−213320A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−54412(P2007−54412)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(591243893)株式会社フオトクラフト社 (26)