説明

三次元印刷された物品

【課題】吸収性物品のための外側カバーとして使用することができ、良好な画質、制限された退色、及び制限された毛羽立ちの割合を呈する、印刷された物品を提供する。
【解決手段】その上に印刷された合成画像110を有する三次元印刷された物品が開示される。合成画像は、印刷された物品基材100の上面及び下面上に印刷された上図柄部分及び下図柄部分を含む。両方の図柄部分は、半透明、又は透明の基材を通して可視であり、これによって可視の合成画像を形成する。基材は、不織布ウェブであることができる。基材の両面上に印刷することにより、三次元印刷された物品は、良好な画質、審美的に心地よい三次元画像を提供し、これは、物品の通常の使用中の退色及び毛羽立ち現れを制限する。三次元印刷された物品は、おむつなどの、吸収性物品に結合されることができる。三次元印刷された物品を印刷し、吸収性物品を形成する方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、吸収性物品などの消費者製品での使用のための印刷された物品、より具体的には、その上に印刷された三次元の合成画像を有する三次元印刷された物品に関し、合成画像は、印刷された物品の両面上に印刷される画像部分を含む。
【背景技術】
【0002】
おむつ及び女性用衛生製品などの吸収性物品は、一般的に、身体に面する液体透過性のトップシート及び衣類に面する液体不透過性のバックシートとの間に配置される吸収性コアを含む。多くの場合、材料の追加の層が、外側カバーとして、バックシートの衣類に面する側に適用される。吸収性物品への外側カバーは、吸収性物品に柔軟な質感をもたらすために、不織布材料から形成されることができる。外側カバーはまた、機械的締結具のためにランディングゾーンを形成することができ、したがって、ループなどの機械的締結要素を含むことができる。
【0003】
外側カバーはまた、印刷された画像を含み、吸収性物品の審美的魅力を向上させることができる。このような審美的魅力をもたらす従来の手法は、外側カバーの外側(衣類に面する)表面上への画像印刷を含む。この方法は、良好な画像解像度をもたらすが、退色及び毛羽立ちの可視性の問題を引き起こす。外側カバーの衣類に面する表面上の色は、これらが手、服、補完的な機械的締結要素(例えば、フック)などの、他の表面と摩擦接触することによって褪せる。これは、印刷された画像の劣化及び印刷された画像の接触する表面への望ましくない色移りの、両方の結果を生じる。外側カバーの衣類に面する表面上の色はまた、不織布ウェブなどの繊維基材上の、毛羽立ちの目に見える度合いも増す。
【0004】
退色及び毛羽立ちの可視性を制限することを意図する代替的な従来の手法は、外側カバーの内側(身体に面する)表面上に画像を印刷することを含む。この方法で印刷されると、画像は、外側カバーを通じて見た場合にのみ可視であり、画像解像度が小さくなった、抑えた色に見える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、吸収性物品のための外側カバーとして使用することができ、利点を維持して、従来の印刷方法の不利点を低減する、印刷された物品を提供することが望ましい。特に、このような印刷された物品は、有利なことに、良好な画質、制限された退色、及び制限された毛羽立ちの割合を呈するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書において開示されるのは、一般的に半透明又は透明な基材を含む、印刷された物品である。合成画像の一部は基材の上面に印刷され、合成画像の一部は下面に印刷される。得られる印刷された物品は、良好な画質を呈し、退色を抑え、はっきり見える毛羽立ちを低く呈し、並びに意外な利益として、はっきり見える三次元のキャラクターを備えた画像を提供する。この印刷スキームは、広範な種類の基材−インクの組み合わせに使用されてもよく、従来の印刷方法に結合されてもよい。
【0007】
本開示の一態様は、約60マイクロメートル(μm)以上の厚さ及び合成画像を有する基材を含む印刷された物品を提供する。別の実施形態では、基材は、約12マイクロメートル(μm)以上の厚さ及び合成画像を有してもよい。基材は、第1表面及び第2表面を含む。合成画像は合成表面区域を有し、並びに、第1表面上に印刷される第1表面区域を有する第1図柄部分及び第2表面上に印刷される第2表面区域を有する第2図柄部分を含む。第1図柄部分及び第2図柄部分は、第1表面の上の視点から見た場合に可視である。一実施形態では、基材は不織布材料である。別の実施形態では、基材は約30μm以上の厚さを有する、ポリマーフィルムであってもよい。
【0008】
本開示の別の態様は、身体に面する表面及びコアに面する表面を有するトップシート、衣類に面する表面及びコアに面する表面を有するバックシート、並びにトップシートのコアに面する表面及びバックシートのコアに面する表面の間に配置される吸収性コアを含む、吸収性物品を提供する。吸収性物品はまた、第1表面及び第2表面を有する印刷された物品基材も含み、印刷された物品基材の第2表面は、バックシートの衣類に面する表面上に配置される。更に、吸収性物品は、合成表面区域を有する合成画像を含み、合成画像は、第1表面上に印刷された第1表面区域を有する第1図柄部分、及び、第2表面又はバックシートの衣類に面する表面のいずれかの上に印刷される第2表面区域を有する第2図柄部分を含む。第1図柄部分及び第2図柄部分は、第1表面の上の視点から見た場合に可視である。
【0009】
本開示の更に別の態様は、吸収性物品を形成するための方法を提供し、方法は、(a)第1表面、及び第2表面を含み、約60μm以上の厚さを有する連続的なシート基材を提供する工程と、(b)第1印刷ステーション及び第2印刷ステーションを含む印刷機器に基材を供給する工程と、(c)第1表面上に第1表面区域を有する第1図柄部分を印刷する工程と、(d)第2表面上に第2表面区域を有する第2図柄部分を印刷する工程と、(e)工程(a)〜(d)によって形成される連続的なシート基材を、複数の印刷された物品に切断する工程と、(f)複数の印刷された物品をそれぞれ、吸収性組立体に接合する工程を含む。吸収性組立体は、身体に面する表面及びコアに面する表面を有するトップシートと、衣類に面する表面及びコアに面する表面を有するバックシートと、トップシートのコアに面する表面とバックシートのコアに面する表面との間に配置された吸収性コアと、を含む。第1図柄部分及び第2図柄部分は、合成表面区域を有する合成画像を形成する。更に、第1図柄部分、及び第2図柄部分は、第1表面の上の視点から見た場合に可視である。印刷された物品は、バックシートの衣類に面する表面上で吸収性組立体に接合される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】三次元印刷された物品の断面図。
【図1B】図1Aの三次元印刷された物品の平面図。
【図2A】図1Aの三次元印刷された物品上の、合成画像の平面図。
【図2B】図1Aの三次元印刷された物品上の第1図柄部分の平面図。
【図2C】図1Aの三次元印刷された物品上の第2図柄部分の平面図。
【図3】図1Aの三次元印刷された物品を含む、吸収性組立体の側面図。
【0011】
本明細書は、本発明と見なされる主題を特定して指摘し明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、添付の図面と関連させた次の説明から更によく理解されると考えられる。一部の図は、他の要素をより明らかに示すため、選択された要素を省略することで簡略化されている場合がある。一部の図中のこうした要素の省略は、対応する書面による明細書の中で明確に叙述されている場合を除き、いずれの代表的な実施形態の中の特定要素の有無を必ずしも示すものではない。図面は、必ずしも縮尺に従っていない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
用語「吸収性物品」とは、液体を吸収及び収容する装置を指し、より具体的には、着用者の身体に接触して又は近接して配置され、身体から排泄された様々な排出物を吸収して収容する装置を指す。吸収性物品としては、おむつ、プルオンおむつ又はパンツ型衣類、トレーニングパンツ、失禁用ブリーフ、失禁用下着、吸収性挿入物、おむつホルダ及びライナー、並びに女性用衛生衣類などが挙げられる。
【0013】
用語「身体に面する」とは、物品が着用されたときに、着用者の身体に接触する、又は面する、物品の表面を説明するために使用される。用語「衣類に面する」とは、物品そのものが着用されたときに、衣類に接触する、又は面する、物品の表面を説明するために使用される。
【0014】
用語「配置される」とは、ある要素が特定の場所又は位置で他の要素と共に単一構造体として、又は他の要素に接合した別個の要素として形成(接合及び配置)されることを意味するために使用される。
【0015】
用語「接合された」とは、要素を他の要素に直接固着することにより、要素を別の要素に直接固定する構成、及び要素を中間部材に固着し、これが次に他の要素に固着されることにより、要素が別の要素に間接的に固定される構成を包含する。
【0016】
「機械的締結具」とは、締結具の部分の物理的拘束、磁場、又は係合に頼って作用する締結装置若しくは機構を指す。機械的締結具の例は、フック・ループ、フック・フック、ボタン、スナップ、タブ・アンド・スロット(tab and slots)、ジッパー、磁石、及び目違い継ぎ式(tongue-in-groove)締結具である。
【0017】
用語「典型的接着剤」及び「伝統的接着剤」は互換的であり、一般的に別の材料(即ち、もう一方の材料は特別には選択されない)に塗布された場合に接着を示す接着剤を指す。伝統的接着剤材料は、他の材料に無差別に接続し、様々な材料に粘着してよい。
【0018】
用語「伸縮性」又は「弾性」とは、延伸性があり、また、外部の引張り力が取り除かれると実質的に元の寸法に戻る材料を指す。用語「延伸性」とは、外部の引張り力を受けたときに、少なくとも一方向に伸長又は増加する材料を指す。
【0019】
「カラーコンセントレーション(Color concentration)」とは、実際にインクで印刷された、印刷された領域の分別表面区域を指す。より明るい、はっきり見える領域の色を提供するために、1.0未満のカラーコンセントレーションが使用され得る(例えば、下部の基材が白、又は透明の場合)。2つの重なる色の視覚的混合(又は「形成」)の結果として第3の、異なる、はっきりと見える合成色を生じるのもまた可能であり、これは最上の重なる色のカラーコンセントレーションが1.0未満の場合である。合成色を形成する際に有用な、典型的なカラーコンセントレーションには、例えば、約0.75未満、約0.5未満、及び約0.25未満、約0.10未満、及び約0.05未満が挙げられる。
【0020】
「色濃度」は、表面から反射する入射光線の割合を指す。印刷された表面の色濃度には単位が無く、log10(1/R)で決定され、式中、Rは、表面からの入射光線の分別反射率(fractional reflectance)である。例えば、入射光線の10%を反射する印刷された表面は、分別反射率(fractional reflectance)R=0.1、及び1.0(即ち、log10(1/0.1))の色濃度を有する。色濃度及び/又は反射率は、色度計で測定することができる(例えば、グレタグマクベス社(GretagMacbeth, LLC)(ニューヨーク州ニューウィンザー(New Windsor))から入手可能)。
「可視」とは、特定の視点から見た場合に見える画像又は色を指し、2つの重なる画像又は色の重ね合わせから生じる画像又は色であってよい。特に指定されない限り、印刷された物品基材が見える視点は、基材の第1(又は衣類に面する)表面の上に位置する点であり、その結果、視点から基材の第1表面への垂直距離は、視点から基材の第2(又は身体に面する)表面への垂直距離よりも小さい。
【0021】
用語「スポット色」は、印刷機器により、単一のインク色で基材に直接塗布される色を指す。スポット色は、原色である必要はない。これは、多数のインク色の単一のブレンドを示すことができ、このブレンドは、単一の塗布工程で、単一の色として基材に塗布される。対照的に、「プロセス色」は、2色以上のインクを、基材の同じ領域に塗布してはっきり見える第3の色(例えば、イエローと赤色を塗布してオレンジ色を形成する)を形成することによって形成される色である。プロセス色は、2色(又はそれ以上)のインクを基材の同じ表面上に層状に塗布することによって形成されることができる。本開示の文脈においては、プロセス色はまた、2つの対向する、垂直に位置合わせされた基材の各表面上に、少なくとも1つの色のインクを塗布することによっても形成することができる。
【0022】
三次元印刷された物品
図1A及び1Bは、本開示による、三次元印刷(3DP)された物品に使用される基材を例示している。
【0023】
図1A及び1Bは、3DP物品10の基材100を示している。図1Aは、図1Bに示される、線a−a’に沿って撮られた3DP物品10の断面図である。基材100は、ほぼ平面であり、第1表面200、及び第1表面200と表裏を成す第2表面300を有する。吸収性物品(例えば、おむつ)に結合される場合、第1表面200は、一般的に、吸収性物品の衣類に面する側上にあり、第2表面300は、一般的に吸収性物品の身体に面する側上にある。したがって、3DP物品10上のいかなる画像も、第1表面200の上から、例えば図1Aに示される視点Vから見た場合に可視であるべきである。
【0024】
図1Aでは、第2表面300は、ほぼ平面であり、平滑な表面として例示される一方、第1表面200は、一般的に非平面で凹凸のある表面として例示される。第1表面200は、その上に配置される一連の隆起部202を含み、これは隆起部202の間の一連の窪み204を画定する。第1表面200の非平面輪郭は、いかなる任意の基材材料のための意図的な設計選択であってよく、この設計選択は、3DP物品10上に印刷された画像の三次元外観を高めること又は基材100上の審美的な模様(例えば、キルトの表面)を、印刷された画像なしに提供することを意図している。不織布基材100の場合、窪み204は不織布材料のための接着部位を表すことができる。第2表面300は、一般的に、3DP物品10を、合成物品の別の構造体、例えば吸収性物品のバックシートに取り付けるのを容易にするために、平滑であるように選択される。より一般的な実施形態(図示されない)では、第1表面200と第2表面300のいずれか又はどちらもほぼ平滑であるか又は凹凸を有することができ、あるいはどちらもほぼ平滑でないか又は凹凸を有することができない。
【0025】
図1Aに示されるように、基材100は、一般的に第1表面200及び第2表面300の間の垂直距離である厚さ102を有する。厚さ102は、基材100の任意の非平面要素の寄与を含み、その結果、厚さ102は、第1表面200及び第2表面300上の2点間の最大垂直距離を表す。例えば、図1Aに示されるように、厚さ102は、隆起部202からの寄与、並びに基材100の嵩部分からの寄与を含む。
【0026】
基材100は、一般的に、半透明の材料であるが、また透明であることもできる。1つの実施形態では、基材100それ自体は着色されておらず、唯一の色は、基材100上に印刷される画像によりもたらされる。したがって、基材100は、半透明の材料から作られる場合に一般的に白色となり、透明の材料から作られる場合は、一般的に無色及び透明となる。しかしながら、別の実施形態では、基材100はそれ自体着色剤で薄く色をつけられてもよいが、基材100がその半透明、又は透明特性を維持する程度のみである。
【0027】
図2A〜2Cは、三次元合成画像が、基材100の異なる場所の上に配置される多数の図柄部分を使用して形成される、方法を例示している。
【0028】
図2Aは、第1図柄部分210(図2Bに示される)及び第2図柄部分310(図2Cに示される)の可視の重ね合わせである合成画像110を示している。基材100の半透明/透明特性のために、第1図柄部分210及び第2図柄部分310の両方(及び、したがって、合成画像110)は、第1表面200の上から見た場合に可視である。図2Aに例示される合成画像110は漫画のキャラクターである;しかしながら、合成画像110は、一般的に、例えば漫画でない画像、色鮮やかな形状の模様、及び又は言葉/ロゴなどの、あらゆる種類の画像を含むことができる。
【0029】
合成画像110は、いくつかの画像要素を含む。合成輪郭要素114は、合成画像110の外側の境界線を画定し、合成画像110の異なる内側領域の対照をもたらすために使用される、一般的に厚みが薄く、色が濃い要素である。形成色領域(build color region)116は、可視の色が、第1表面200及び第2表面300に適用される、2つの異なる色の混合に基づいている、着色された領域である。オーバーカラー領域(overcolor region)118は、その可視の色が、第1表面200に塗布される色に基づく、着色された領域である。同様に、アンダーカラー領域(undercolor region)120は、その可視の色が、第2表面300に塗布される色に基づく、着色された領域である。色の無い領域122は、色の塗布されない領域であり、下部の基材100の色のみを有する(薄い色を含んでもよい)合成輪郭要素114は黒色であってよく、形成色領域116は灰色がかった赤であってよく、オーバーカラー領域118は赤であってよく、アンダーカラー領域120は灰色であってよい。しかしながら、これらの色は実例を示すためのものであり、あらゆる色の選択が可能である。
【0030】
図2Bは、合成画像110の第1図柄部分210を示している。第1図柄部分210は、基材100の第1表面200上に印刷される。一般的に、第1図柄部分210の要素は、鮮明度及び/又は鮮やかな色を、得られる合成画像110にもたらすのが望ましいこれらの区域、又は領域を含むが、これは、これらの要素の可視性が、第1表面200の上から見た場合に、介在する基材100によって不鮮明にされないため、及び/又は部分的に隠されないためである。図2Bに例示される実施形態では、第1の輪郭要素214は、一般的に合成画像110の外側の境界線及び内側の機構を画定するために用いられる、厚みが薄く、色が濃い要素(例えば、黒い線)である。第1形成色領域216は、1未満のカラーコンセントレーションで着色された領域(例えば、着色された赤)である。第1のオーバーカラー領域218もまた、一般的に約1のカラーコンセントレーションで着色された領域(例えば、着色された赤)であるが、より明るい画像色のために、より低いカラーコンセントレーションが使用可能である。第1のアンダーカラー領域220、及び第1の色の無い領域222は、色を塗布されない。
【0031】
図2Cは、合成画像110の第2図柄部分310を示す。第2の図柄部分310は、基材100の第2表面300上に印刷される。一般的に、第2図柄部分310の着色された要素は、画像の劣化を最小化するのが望ましいこれらの区域又は領域を含むが、これは、第2表面300が典型的に身体に面する表面であり、合成吸収性物品構造体に結合されたときに、画像を破壊する事象の影響を受けにくいからである。図2Cに例示される実施形態では、第2の形成色領域316及び第2のアンダーカラー領域320は、一般的に約1のカラーコンセントレーションで着色されているが(例えば、着色された灰色)、より明るい画像色のためにより低いカラーコンセントレーションが使用されることができる。これは結果として、それぞれ第1形成色領域216及び第2形成色領域316の混合である形成色領域116の可視の色(例えば、灰色がかった赤)を生じ(これは例えば、部分的な赤色が、下部の灰色の上に重ねられるためである)、アンダーカラー領域120のための混合されてない可視の色を生じる(これは、第2アンダーカラー領域320上の第1アンダーカラー領域220に、他の色が存在しないためである)。第2オーバーカラー領域318、及び第2の色の無い領域322は、色を塗布されない。
【0032】
第1図柄部分210及び第2図柄部分310は、少なくとも部分的に、垂直に位置合わせされていてよく、一般的に、表面上の着色された領域が、対向する表面上の輪郭要素によって画定される、補完的な領域と一致するように、垂直的に位置合わせされる。図2Cの破線314は、第1図柄部分210、及び第2図柄部分310の、これらが重ねられたときの位置合わせを示し、破線314は、実際には第2表面300上には印刷されていない。
【0033】
しかしながら、いくつかの実施形態においては、図2Cの破線は、第2表面300上に印刷される、第2輪郭要素314の位置を示す。3DP物品10の通常の使用中に、第1表面200上の画像の劣化が予想される場合に、第1輪郭要素214、及び第2輪郭要素314の両方の複製印刷は、望ましくありうる;このような場合、第2輪郭要素314は、第1輪郭要素214が劣化することがある領域の合成画像110の画定をもたらす。
【0034】
合成画像110は、合成表面区域112を有する。合成表面区域112は、第1表面200上、第2表面300上、又はその両方のいずれに印刷されるかに関わらず、合成画像110の可視の印刷された画像区域を含む。例えば、図2Aに示される合成表面区域112は、輪郭要素114、及び着色された領域116、118、及び120を含むが、色の無い領域122の表面区域は除く。同様に、第1図柄部分210は、第1表面区域212を含み、第2図柄部分310は、第2表面区域312を有する。これらの表面区域は、第1及び第2表面200及び300上それぞれの、実際に印刷された区域を表す。例えば、図2Bに示される第1表面区域212は、第1輪郭要素214の印刷された表面区域、第1形成色領域216、及び第1オーバーカラー領域218を含む。同様に、図2Cに示される第2表面区域312は、第2形成色領域316、及び第2アンダーカラー領域320の印刷された表面区域を含む。
【0035】
印刷された区域の大部分が第2表面300上にあるように、様々な印刷された区域を選択するのが、多くの場合望ましい。これは例えば、基材100からのインクの流出又は基材100の一部の物理的破壊により、合成画像110のなんらかの劣化が予想される場合に妥当する。第1表面200、及び、例えば、衣類(即ち、吸収性物品着用者の)又は床(例えば、吸収性物品が、乳児によって着用されるおむつである場合)の間の磨耗が、印刷インクの喪失を生じうる場合、このような画像の劣化は、第1表面200上(これは、典型的には吸収性物品の衣類に面する表面である)において、最も起こりやすい。同様に、第1表面200の一部は、機械的締着要素又は接着剤ストリップのためのランディング領域であってよく、第1表面200のこの部分は、後のランディング領域における締結及び解除の事象から生じる実質的な破壊を受けることがあるこのような劣化の影響を制限するため、合成表面区域112に対する第1表面区域212の面積比率は、一般的に約0.5以下、約0.2以下、又は約0.1以下例えば約0.05以下である。これらの面積比率により、合成画像110のより多くが、3DP物品10(又はこれが一部を成す吸収性物品)の耐用年数中に原型を保つ。
【0036】
画像の劣化の効果を和らげる別の方法は、合成画像110のいくつかの領域をオーバープリントすることである。このような実施形態においては、オーバーカラー領域118、アンダーカラー領域120、及び/又はこれらの部分は、第1表面200、及び第2表面300の両方に塗布される色を有することができる。しかしながら、両面上で塗布される色は同じである。第1表面200上の画像の喪失が、第2表面300上の、下部に位置する同一の画像を露呈するため、この同じ色のオーバープリントは、一定の画像劣化が予想される合成画像110の領域において、有益である。合成画像110の一部が、複製の重ねた画像によってオーバープリントされるとき、第1表面区域212及び第2表面区域312の合計の、合成表面区域112に対する面積比率は、1.0より高く、2.0以下である。オーバープリントされた場合、この面積比率は一般的に、約1.2〜2.0、例えば約1.5〜2.0、の範囲内であり、同一の画像が第1表面200及び第2表面300上に印刷された場合、2.0でありうる。
【0037】
しかしながら、第1表面200上の印刷された面積の割合を増やすこともまた望ましいことがある。基材100の厚さ102のために、第1表面200上に印刷された画像、及び第2表面300上に印刷された画像の対照が、審美的に心地よい三次元レリーフ効果を生じることができる。例えば、別の実施形態(図示されない)では、合成画像110によって例示される、全体の漫画キャラクターが、第1表面200上に印刷され、背景色/模様(図示されない)が第2表面300上に印刷される。これは、漫画のキャラクターが背景から離れ、したがって画像の最前面に見える、可視の三次元効果をもたらす。
【0038】
3DP物品10はまた、印刷工程において、2つの異なる色をブレンドする便利な方法(ただし、利用可能な印刷色の数は制限されることがある)を提供し、2つの印刷された色とは異なる可視の合成色を形成する。図2A〜2Cに示されるように、形成色領域116は、第2表面300上に配置される第2形成色領域316と少なくとも部分的に垂直に位置合わせされる(又は更に完全に垂直に位置合わせされる)、第1表面200上に配置される形成色領域216を含む。第1形成色領域216は、第1の色で印刷され、第2形成色領域316は、第2の色で印刷される。第1の色は、1.0未満のカラーコンセントレーションで印刷され、その結果第1及び第2の色は可視であり、したがって、ブレンドして第1表面200の上から見た場合に合成色を形成した。
【0039】
一般に、上部及び下部の色は、それぞれ、スポット色であるか又はそれら自体で色を形成するかのいずれかであることができる。例えば、例示される実施形態では、第1の形成色領域216は赤であってよく、第2形成色領域316は灰色であることができ、これらの色は、赤色のスポット色を第1の色として印刷することによって及び灰色のスポット色を第2の色として印刷することによって得られる。あるいは、第1の色は、赤色のスポット色及び青色のスポット色によって形成される、紫色の形成色であることができる。したがって、形成色領域116内の最終的な可視合成色は灰色がかった紫色になる。
【0040】
この合成画像110の形成色を形成する方法は、着用するのにより高い弾力性を有する画像を生じるので、有利である。典型的な印刷インクは、これらが互いに接着するよりも、基材100に対してより強力に接着する。第1及び第2の色が、第1形成色領域216及び第2形成色領域316内の基材100上にそれぞれ印刷されるとき、インクは、3DP物品10の通常使用の過程において、より落ちにくい。例えば、第1の色が、基材100上に直接印刷され、第2の色が、第1の色の上に印刷された場合、第2の色は、3DP物品10の通常の使用中に、より容易に失われることがあり、潜在的に望ましくない変色を生じる。
【0041】
第1形成色領域216及び第2形成色領域316上に印刷することによって、合成画像110内に形成色を形成することで3DP物品10の印刷濃度(print vibrancy)を改善することもできる。具体的に、形成色領域116は、一般的に、第1表面200の上から測定した場合、少なくとも約0.1の色濃度の増加を有する。色濃度の増加は、形成色領域116の色濃度の、第1及び第2形成色領域の第1及び第2の色が、第1表面に印刷された印刷された物品の色濃度に対する、色濃度の増加である。色濃度の増加は、また、少なくとも約0.2、例えば少なくとも約0.3であることができる。
【0042】
上記から、様々な実施形態が、望ましい審美的画質と、使用中の通常の着用にさらされたときの画像の耐久性を結合する方法で、3DP物品を様々な用途に調製する汎用的な手段を提供することが明らかである。
【0043】
三次元印刷された物品の製造
インク組成物で印刷される基材としては一般的に、不織布ウェブ、織布、ポリマーフィルム、これらの組み合わせ、及びこれらの積層体などが挙げられる。不織布ウェブは、衣類様の感触及び審美的に魅力的な外観を提供するために、吸収性物品での使用を意図された3DP物品に好適である。基材の厚さは、一般的に約60μm以上、及び約400μm以下である。あるいは、基材の厚さは、約12μm以上、約15μm以上、約18μm以上である。基材が繊維性材料である場合(例えば、不織布ウェブ、織布)、厚さは、約80μm〜約200μmの範囲内、例えば約100μm〜約200μmでありうる。あるいは、基材が繊維性材料である場合、厚さは、約12μm以上、約15μm以上、約18μm以上でありうる。基材がポリマーフィルム材料である場合、厚さは、少なくとも約30μm以上、例えば、約50μm〜約200μmの範囲内でありえ、しかし一般的に約80μm〜約200μmの範囲内、例えば約100μm〜200μmである。
【0044】
不織布ウェブ及び織布には、天然繊維、合成繊維、又は天然繊維及び/又は合成繊維の組み合わせが挙げられる。好適な天然繊維としては、木材、綿、羊毛、絹、毛髪、黄麻布、亜麻布、セルロース繊維、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適な合成繊維としては、ポリオレフィン(例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリアミド、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。織布では、これらのポリマーは、連続的な繊維に作製することができ、次に繊維に織り込まれる。不織布ウェブでは、合成繊維は、スパンボンド、及びメルトブロー繊維などの、長い、ほぼ連続的な繊維であるか、又はこれらは通常カードウェブに使用されるような、より短いステープル長繊維であってよい。繊維は、円形の横断面形状、又は非円形の横断面形状など、どのような形状を有してもよい。得られる不織布ウェブ、又は織布は、多層、伸縮性であることができ、及び/又は機械的締結要素を含むことができる。不織布ウェブ又は織布の坪量は、一般的に、約10グラム/平方メートル(g/m)〜約100g/m、例えば約30g/m〜約70g/mである。
【0045】
多くの実施形態において、ポリオレフィン不織布ウェブは、費用、繊維形態への加工性、及び/又は繊維形態での柔軟性などの理由のために使用される。3DP物品での使用のための好適な不織布ウェブは、三井化学(Mitsui Chemicals)(日本)から、製品コードNWLZ−060111−2で入手可能である。この不織布ウェブは、その表面上に配置される雌型機械的締結要素を備えるポリプロピレンスパンボンドであり、約45g/mの坪量を有し、約100μmの厚さを有する(基底部から機械的締結要素の最も遠い範囲まで測定した場合)。
【0046】
ポリマーフィルムは、液体不透過性、液体透過性、蒸気透過性、蒸気不透過性、伸縮性、多層、又は積層体(例えば、不織布ウェブと)であることができる。フィルムのための好適なポリマーとしては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、及びこれらの組み合わせなどのポリオレフィンが挙げられる。このようなポリオレフィン系のポリマーは、本発明による次の使用のために、押し出し、キャスト、又はブローされて、フィルムとなってよい。ポリマーフィルムの坪量は、一般的に約10g/m〜約50g/mの範囲内である。
【0047】
3DP物品の印刷の際に、広範な種類のインクの配合が使用されうる。水系及び溶媒系のインクの両方が、不織布ウェブ、織布、及びポリマーフィルムと共に使用できる。顔料並びに染料のいずれか一方又は両方が、着色剤として使用できる。水に対する増加した耐性を有し、3DP物品が、例えば、吸収性物品に結合されたときに退色の可能性を低減するため、顔料が一般的に着色料として使用される。インク着色剤の、基材(特にポリオレフィン基材)への移転及び接着を改善するため、基材上にコロナ放電処理が行われることができる。基材への接着はまた、紫外線硬化インク、電子ビーム硬化インク、及び/又はポリビニルアルコール若しくはエチレンビニルアセテートのような接着添加剤を使用して、改善することもできる。消去可能なインクなどの新しいインク、並びに、洗剤、フォーム、界面活性剤、及び研磨剤などの添加剤もまた使用されることができる。印刷インクの好適な供給源としては、エンバイロメンタル・インクス・アンド・コーティングス(Environmental Inks and Coatings)(ノースカロライナ州モーガトン(Morgaton))及びインクス・インターナショナル・インク社(Inx International Ink Co.)(イリノイ州シャウムブルク(Schaumburg, Illinois))が挙げられる。
【0048】
輪転グラビア、フレキソ、スクリーン印刷、及びインクジェット印刷などの従来の印刷方法及び装置が3DP物品の印刷のために好適である。インクは、基材に直接塗布されることができ(例えば、インクジェット印刷)、又はインクは最初に印刷ロールなどの移転表面に、次に移転表面から基材へと塗布されることができる(例えば、輪転グラビア、フレキソ、又はスクリーン印刷)。輪転グラビア印刷は、凹版印刷ロールを使用し、高質、高速、単一色の印刷を提供する。スクリーン印刷は、水系及びホットメルトインクに好適であるが、これは一般的に、例えばフレキソ印刷ほど速くない。インクジェット印刷は、低粘度インクに好適であり、高速で実行することができる。
【0049】
多くの実施形態において、柔軟な基材に印刷する方法における適合性、製造速度、及びコストの要因のために、フレキソ印刷が使用される。フレキソ印刷方法は、可撓性材料で作製された隆起した印刷面を使用してインク画像を基材に転写する。可撓性の表面は、良好な画像を、粗い基材表面にさえも転写することができる。印刷は、多数の色に対応することができる。フレキソ印刷装置は、印刷図形を比較的変更しやすく、印刷プレートが他のいくつかの装置の種類に比べて高価でないので、汎用的である。好適な液体インクは、溶媒系又は水系であることができ、これらは主に蒸発によって乾燥する。広範な種類のアニロックスロールの密度及び容積が使用されることができ、好適な印刷装置は、例えば142行/センチメートル(360行/インチ(lpi))、189行/センチメートル(480lpi)、又は236行/センチメートル(600lpi)のアニロックスロールである。好適な印刷機は、ニルピーター(Nilpeter)USA(オハイオ州シンシナティ(Cincinnati))からモデル番号FB2500として入手可能な12−ステーションUV−フレキソ印刷機である。
【0050】
3DP物品を印刷するために方法において、基材は、一般的に、連続シートの形で提供される。基材は、上記のいずれかの特性を有することができる(例えば、材料組成物、厚さ、坪量)。1つの実施形態では、基材は、第1印刷ステーション及び第2印刷ステーションを有する印刷機器に連続的に供給される。第1及び第2印刷ステーションは、基材の第1及び第2表面上の第1及び第2図柄部分(上述のように)それぞれを印刷するために使用された。上述のように、第1及び第2図柄部分は、合成画像を形成し、いずれも基材の第1表面の上から見た場合に可視である。連続シート基材が、一度第1及び第2図柄部分を印刷されると、これは典型的に、個別の吸収性物品に結合されることができる、複数の個別の3DP物品に切断される。
【0051】
第1及び第2ステーションは、基材の両側上に印刷することを可能にする、印刷機器の部分を指す。典型的な印刷機器は、一度に基材の一方の側のみを印刷することが可能である。この場合、第1及び第2印刷ステーションは、物理的に印刷機器の別個の部分内に(例えば、印刷機器の長さに沿った異なる直線距離で)位置している。連続シート基材は、最初に第1プリントステーションに入り、ここで第1基材表面にインクが塗布される。印刷機器の内側で連続シート基材が回転されると同時に(即ち、回転バー(turn bar)により)、これによって、第2基材表面が印刷機器の印刷機構に面する。次に、連続シート基材が、第2印刷ステーションに入り、ここでインクが第2基材表面に塗布される。あるいは、第1及び第2印刷ステーションは、物理的に、印刷機器の同一部分(即ち、印刷機器の長さに沿って同一の直線距離)に位置することができる。この場合、インクは、基材の両側に同時に塗布される。
【0052】
別の実施形態では、第1及び第2印刷ステーションは、単一の印刷機器内の同一の物理的印刷ステーションであることができる。この場合、連続シート基材は、見当合わせされて、印刷機器に送り込まれ、第1図柄部分を基材の第1表面上に印刷された。次に、基材は反転されて印刷機器に再送され、第1及び第2図柄部分が適切に揃えられていることを確認するために見当マークを使用して、第2図柄部分を第2表面上に印刷された。
【0053】
基材の第1及び第2表面上の重なる領域で異なる色を塗布し、上述のような形成色領域を形成するために、第1及び第2印刷ステーションが使用されうる。この方法で形成色領域を形成する利点は、色の数を減らすことができ、これにより方法の効率を向上させることである。第1及び第2印刷ステーション(及び、したがって、第1及び第2図柄部分)は、それぞれ少なくとも1つのスポット色を含む。第1及び第2印刷ステーション(又は、同等に、第1及び第2図柄部分)で分配されるスポット色の数の合計は、一般的に約8以下であり、約6以下であり、例えば約4以下である。
【0054】
用途−吸収性物品
図3は、吸収性物品などの消費者製品の構成要素として結合される3DP物品の使用を例示している。好適な吸収性物品としては、おむつ(例えば、パンツタイプ、テープ付き)、成人用失禁製品、女性用衛生製品などが挙げられる。図3に示される吸収性物品は、合成吸収性物品構造を形成するために加えられる他の機構と共に、吸収性物品の主要構造を形成してもよい、吸収性組立体12を含む。例えば、パンツタイプおむつは、ウエストバンドを形成するために追加の構造を含み、テープ付きおむつは、その上に配置される締結手段(例えば、機械的締結具、従来の接着剤など)を備える耳部を含む。
【0055】
吸収性組立体12は、液体透過性トップシート109、バックシート107、及び吸収性コア108を含み、その中に組み込まれる3DP物品10を有する。あるいは、3DPは、バックシート107上に直接、及び/又は、トップシート109上に直接、印刷されてよい。トップシート109、バックシート107、及び吸収性コア108は、当該技術分野において周知の、様々な構成に組み立てられ得る。典型的な吸収性組立体構造は、米国特許第5,899,895号、及び同第6,120,487号に記載されている。
【0056】
バックシート107は一般的に、吸収性コア108に隣接して配置され、ここに収容される排泄物及び/又は滲出物が、衣類又はベッドシート若しくは衣料品のような吸収性物品に接触する可能性がある他の物品を汚すのを防ぐ、吸収性組立体12の部分である。バックシート107は、衣類に面する表面207及びコアに面する表面307を有する。多くの実施形態において、バックシート107は、液体に対して実質的に不透過性であってよく、通気性のフィルムを含む、当該技術分野において既知のいかなる好適な薄いプラスチックフィルムを含んでよい。好適なバックシートフィルムとしては、トレデガー・インダストリーズ社(Tredegar Industries Inc.)(インディアナ州テレホート(Terre Haute))により製造され、X15306、X10962、及びX10964の商品名で販売されるものが挙げられる。
【0057】
例示される実施形態において、トップシート109は、吸収性コア108に隣接して配置され、例えば上述の特許第’895号及び第’497号に述べられるような、当該分野において既知のいずれかの取り付け手段によって、吸収性コア108に、及び/又はバックシート107に接合されてよい。トップシート109は、身体に面する表面209及びコアに面する表面309を有する。トップシート109は、一般的に、着用者の肌に対して適合し、柔軟な感触であり、刺激がない。トップシート109の少なくとも一部は、液体透過性であり、液体がその厚さを容易に浸透できる。好適なトップシートは、多孔質発泡体、網状発泡体、孔あきプラスチックフィルム、あるいは、木材繊維若しくは木綿繊維などの天然繊維、又はポリエステル繊維若しくはポリプロピレン繊維などの合成繊維、又は天然繊維及び合成繊維の組み合わせの織布若しくは不織布材料など、当該技術分野において既知の広範囲にわたる材料から製造されてもよい。トップシート109が繊維を含む場合、繊維は、スパンボンド、カード、湿式、メルトブロー、水流交絡、又は当該技術分野において既知の別の方法で処理されてよい。1つの好適なトップシート材料は、供給元コード番号P−8としてファイバーウェブ・ノース・アメリカ(Fiberweb North America, Inc.)(サウスカロライナ州シンプソンビル(Simpsonville))から入手可能な、熱結合されたカードウェブである。
【0058】
吸収性コア108はトップシート109及びバックシート107の間に配置され、コアに面する表面307及び309に隣接する。吸収性コア108は、一般に圧縮可能で、順応性があり、着用者の皮膚を刺激せず、尿及び他の排泄物などの液体を吸収し保持することができる、いずれかの吸収性材料を含んでもよい。吸収性コア108は、多種多様なサイズ及び形状(例えば、方形、砂時計形、「T」字形、非対称など)で製造されてもよい。吸収性コア108は、一般にエアフェルトと称される粉砕木材パルプ、セルロース詰め物、メルトブローポリマー、化学的に剛化、変性、若しくは架橋されたセルロースファイバー、ティッシュ、高内相エマルションの重合によって作製されたものが包含される吸収性フォーム、超吸収性ポリマー、吸収性ゲル材料、又は他のいずれかの既知の吸収性材料、あるいは材料の組み合わせなど、使い捨ておむつ及び他の吸収性物品に一般的に使用される多種多様な液体吸収性材料のいずれかを包含してもよい。好適な吸収性コア構造は、米国特許第4,610,678号、及び同第5,260,345号に記載されている。
【0059】
3DP物品10は、基材100の第2表面300を、バックシート107の衣類に面する表面207に取り付けることにより、吸収性組立体12に結合される。3DP物品10は、吸収性組立体12に含まれる場合、上述の機構のいずれかの組み合わせを有することができる。別の実施形態(図示されない)では、図3に示される、同一の合成構造を有することができるが、違いとして第2図柄部分310(及び、それに付随する構成要素の全て)が、基材100の第2表面300の代わりに、バックシート107の衣類に面する表面207上に印刷される。この場合、生じる合成画像110は、上述と同じである。この別の実施形態は、3DP物品10が吸収性組立体12に結合されるかどうかに拘わらず、一般的にバックシート107に印刷方法の工程が実施され、したがって、第2図柄部分310をバックシート107上に印刷することが、基材100のための印刷工程の複雑性を低減するという利点を有する。あるいは、3DPは、バックシート107の上に直接印刷されてよく、及び/又は、トップシート109上に直接印刷されてよい。
【0060】
3DP物品10、バックシート107、吸収性コア108、トップシート109が、当該技術分野において既知の取り付け手段によって互いに、又は吸収性物品の他のいずれかの要素に接合されることができる。例えば、取り付け手段としては、接着剤の均一な連続層、接着剤のパターン付き層、又は接着剤の分離した線、らせん、若しくは点の配列を挙げてよい。好適な接着剤としては、H.B.フラー社(H.B. Fuller Company)(ミネソタ州セントポール(St. Paul))製で、HL−1620及びHL−1358−XZPとして販売されているものが挙げられる。あるいは、取り付け手段は、熱ボンド、圧力接着、超音波接着、動的機械的結合、又は他のいずれかの取り付け手段、又は当該技術分野において既知の取り付け手段の組み合わせを含んでよい。
【実施例】
【0061】
実施例1〜3では、合成画像は、連続的なポリオレフィン不織布ウェブ基材上に印刷される。不織布ウェブ基材は、白みがかった半透明の材料である、ポリプロピレンスパンボンド(45g/m坪量、約100μm厚さ、三井化学(Mitsui Chemicals)(日本)から入手可能)である。基材の上部(又は第1)表面は凹凸があり、柔軟な布地の質感を有し、その上に機械的締結具のループ要素を含む。基材の下部(又は第2)表面は平滑である。
【0062】
基材上に印刷される合成画像は、図2A〜2Cに示されるものと同様の漫画のキャラクター、及び背景を含む。漫画のキャラクターは、赤色の体、オレンジ色の鼻、及び濃い青色の輪郭要素を有する。背景は一般的に、特徴として、色鮮やかな模様、及び言葉のロゴを含み、これらの特徴は、イエロー、マゼンタ、シアン、及びグリーンを含む。合成画像は、(漫画のキャラクター及び背景を含め)およそ50cm(約11.4cm×4.4cm)の表面区域を有し、漫画のキャラクター単独では、およそ8cm(約2.5cm×3.2cm)の表面区域を有する。
【0063】
合成画像は、ニルピーター(Nilpeter)USA(オハイオ州シンシナティ(Cincinnati))から入手可能なニルピーター(Nilpeter)FB−2500印刷機(282行/センチメートル(189行/センチメートル)(480lpi))アニロックスロールで印刷され、約1m/sの速度で作動する。シアン、マゼンタ、イエロー、PMS032赤、PMS2745青、及びPMS3272緑(エンバイロメンタル・インクス・アンド・コーティングス(Environmental Inks and Coatings)(ノースカロライナ州モーガトン(Morgaton)から入手可能)の6つのカラーインクが使用された。オレンジ形成色は、赤色及びイエローの組み合わせで形成される。
【0064】
印刷後、合成画像は、一般的に印刷品質を点検される。加えて、機械締結具のフック要素を含むタブが、基材の上面に固着され、次に取り除かれる。この解除の事象は、基材の部分を損傷し、比較的毛羽立ちの多い(即ち、最初の状態の基材と比較し)上面部分を作る。解除の事象の後、基材は、画像の喪失及び基材の劣化について点検される。合成画像及び基材は、点検されるとき、機材の上面の上から見られる。
【0065】
印刷工程及び点検評価の具体的詳細は、各実施例について以下で説明される。
【0066】
実施例1では、合成画像の全ての特徴は、基材の上面上に印刷することによって形成される。色は鮮やかであり、異なる機構間の境界は明瞭であり、言葉のロゴは、判読可能である。漫画のキャラクター及び背景の両方を上面上に有する合成画像は、2次元の外観を有する。解除の事象の後、合成画像は、退色が多大である位置を示す。解除の事象の後に、基材上に残った色は、これによって生じた表面の損傷を強調し、生じた毛羽立ちを、より明らかにする。
【0067】
実施例2では、合成画像のすべての機構は、基材の下面上に印刷することによって形成される。色及び機構は半透明の基材の後ろでは、抑えて見え、言葉のロゴは近くで点検した際にのみ判読可能である。漫画のキャラクター及び背景の両方を下面上に有する合成画像は、2次元の外観を有する。解除の事象の後、合成画像は、退色を呈さず、毛羽立ちの発生は、近くで点検した際にのみ明らかである。
【0068】
実施例3では、漫画のキャラクターの体及び輪郭要素は、基材の上面上に印刷される。背景模様及びロゴは、基材の下面上に印刷される。漫画のキャラクターのオレンジ色の鼻は、基材の上面上に赤色の鼻を印刷し、基材の下面にイエローの鼻を印刷することによって形成される。合成画像は、1つの印刷事象で(即ち、単一の印刷機で)基材上に印刷され、ここで、(1)2つのスポット色(赤色及び青色)は、第1印刷ステーションの基材の表面上に印刷され、(2)印刷ラインに挿入された、テフロン(登録商標)コーティングされた回転バーが、連続的な基材を、これが第1印刷ステーションから第2印刷ステーションに移動する際に180°回転し、及び(3)4つの色(シアン、マゼンタ、イエロー、及びグリーン)が、第2印刷ステーションで基材の下面上に印刷される。得られた3DP物品では、漫画のキャラクターの表面区域(即ち、上面上のこの部分)の、合成画像表面区域に対する面積比率は、約0.16である。
【0069】
実施例3の得られた3DP物品では、漫画キャラクターの色は鮮やかであり、輪郭要素は、その機構の明確な境界を提供する。背景の色は、半透明の基材の後ろでは抑えられており、漫画キャラクター及び背景の間に生じる対照は、漫画キャラクターが画像の最前面に見える、三次元効果を作り出す。背景の言葉のロゴは、近くで点検した際にのみ判読可能である。解除の事象は、基材の上面上にいくつかの輪郭要素のある合成画像の局所領域に適用されるが、領域の表面区域の大部分は、下面上に印刷される背景の機構を含む。輪郭要素からの、いくらかの退色が明らかであると同時に、輪郭要素の低い相対表面区域は、最小の画像の喪失及び最小の明らかな毛羽立ちを生じる。
【0070】
実施例3のオレンジ形成色の作製は、基材の表裏を成す面上に印刷することで、3DP物品内に形成色領域を形成する、方法能率性の利益を例示する。実施例1〜3はそれぞれ6色を使用している。漫画のキャラクターのオレンジ色の鼻が、基材の上面及び下面上に印刷されることによって形成される場合、実施例3では合計7色が必要とされる。例えば、オレンジ色の鼻は、第1ステーションでオレンジ色のスポット色を加えて印刷されることができ、印刷機の第1部分で合計3色(即ち、赤色、青色、及びオレンジ色)、印刷完成工程において、合計7色である(即ち、第2印刷ステーションでシアン、マゼンタ、イエロー、及びグリーンを加える)。あるいは、オレンジ色の鼻は、印刷機の第1部分の基材の上面に適用される赤色及びイエローのスポット色で形成することができる。しかしながら、これは更に、追加のプロセス色を必要とする(即ち、印刷機の第1部分で赤色、青色、イエロー、並びに印刷機の第2部分でシアン、マゼンタ、イエロー、及びグリーン)。
【0071】
実施例3のオレンジ形成色の作製はまた、3DP物品の増加した印刷濃度も例示する。グレタグマクベス(GretagMacbeth)の色度計(ニューヨーク州ニューウィンザー(New Windsor))で、基材の上面の上から測定されるとき、実施例1の漫画のキャラクターのオレンジ色の鼻は、0.1の色濃度を有する。測定される実施例3の漫画のキャラクターのオレンジ色の鼻は、同様に0.41の色濃度を有し、したがって、0.31の色濃度の増加を呈する。
【0072】
これらの実施例は、3DP物品の、心地よい審美的特徴と増加した画像弾力性を提供する一方で、プロセス効率性を維持する。
【0073】
本明細書で開示する寸法及び値は、厳密に正確な数値に限られるとして理解されるべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図している。例えば、「40mm」と開示されている寸法は「約40mm」を意味することを意図している。
【0074】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連した部分を参照として本明細書に組み込む、全ての文献の引用は、それが本発明に関する先行技術であることを承認すると解釈すべきではない。
【0075】
本発明の特定の実施形態を例示し説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるかようなすべての変更及び修正を、付加された特許請求の範囲でカバーするものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷された物品であって、
(a)約12μm以上、約18μm以上、約60μm以上、約80μm以上、の厚さを有する基材であって、前記基材は、第1表面及び前記第1表面と表裏を成す第2表面を有する、基材と、
(b)合成表面区域を有する合成画像であって、前記合成画像は、前記第1表面上に印刷される第1表面区域を有する第1図柄部分、及び前記第2表面上に印刷される第2表面区域を有する第2図柄部分を有する合成画像とを備え、
前記第1図柄部分及び前記第2図柄部分は、前記第1表面の上から見た場合に可視であることを特徴とする、印刷された物品。
【請求項2】
前記第1図柄部分が第1輪郭要素を含むことを特徴とする、請求項1に記載の印刷された物品。
【請求項3】
前記第2図柄部分が第2輪郭要素を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の印刷された物品。
【請求項4】
前記第1図柄部分及び前記第2図柄部分が、少なくとも部分的に垂直に位置合わせされていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の印刷された物品。
【請求項5】
前記第1表面区域の前記合成表面区域に対する面積比率が、0.2以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の印刷された物品。
【請求項6】
前記第1表面区域及び第2表面区域の合計の、前記合成表面区域に対する面積比率が、1.0より高く2.0までの範囲であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の印刷された物品。
【請求項7】
前記合成画像は、前記第1表面の上から見た場合に可視の合成色を有する、形成色領域を含み、前記形成色領域は、
(a)前記第1表面上に印刷される第1色を有する第1形成色領域と、
(b)前記第2表面上に印刷された第2色を有する第2形成色領域とを含み、
(i)前記第1形成色領域及び前記第2形成色領域は、少なくとも部分的に垂直に位置合わせされ、
(ii)前記可視の合成色は、前記第1色及び前記第2色の双方と異なる、ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の印刷された物品。
【請求項8】
吸収性物品であって、
(a)身体に面する表面及びコアに面する表面を有するトップシートと、
(b)衣類に面する表面及びコアに面する表面を有するバックシートと、
(c)前記トップシートの前記コアに面する表面と前記バックシートの前記コアに面する表面との間に配置された吸収性コアと、
(d)請求項1〜7のいずれか一項に記載の印刷された物品基材であって、前記印刷された物品基材の前記第2表面が、前記バックシートの前記衣類に面する表面上に配置される、印刷された物品基材と、
(e)合成表面区域を有する合成画像であって、前記合成画像は前記第1表面上に印刷された第1表面区域を有する第1図柄部分、及び前記第2表面又は前記バックシートの前記衣類に面する表面のいずれかの上に印刷される第2表面区域を有する第2図柄部分を有する合成画像とを備え、
前記第1図柄部分及び前記第2図柄部分は、前記第1表面の上から見た場合に可視であることを特徴とする、吸収性物品。
【請求項9】
吸収性物品を形成する方法であって、
(a)約12μm以上、約18μm以上、約60μm以上、約80μm以上、の厚さを有し、第1表面及び前記第1表面と表裏を成す第2表面を含む、連続的なシート基材を提供する工程と、
(b)前記基材を、第1印刷ステーション及び第2印刷ステーションを含む印刷機器に供給する工程と、
(c)前記第1印刷ステーションで、前記第1表面上に第1表面区域を有する第1図柄部分を印刷する工程と、
(d)前記第2印刷ステーションで、前記第2表面上に第2表面区域を有する第2図柄部分を印刷する工程と、
(e)工程(a)〜(d)によって形成される前記連続的なシート基材を、複数の印刷された物品に切断する工程と、
(f)前記複数の印刷された物品をそれぞれ、身体に面する表面及びコアに面する表面を有するトップシートと、衣類に面する表面及びコアに面する表面を有するバックシートと、前記トップシートの前記コアに面する表面と前記バックシートの前記コアに面する表面との間に配置される吸収性コアと、を含む吸収性組立体に接合する工程とを備え、
(i)前記第1図柄部分及び前記第2図柄部分が、合成表面区域を有する合成画像を形成し、
(ii)前記第1表面の上から見た場合に、前記第1図柄部分及び前記第2図柄部分が可視であり、
(iii)前記印刷された物品が、前記バックシートの前記衣類に面する表面上で前記吸収性組立体に接合されることを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記第1表面は、第1形成色領域を更に含み、前記第2表面は、第2形成色領域を更に含み、
(i)前記第1形成色領域及び前記第2形成色領域は、少なくとも部分的に垂直に位置合わせされ、並びに、
(ii)前記第1図柄部分を印刷する工程が、前記第1形成色領域に第1色を印刷する工程を更に含み、前記第2図柄部分を印刷する工程が、前記第2形成色領域上に第2色を印刷する工程を更に含み、これによって、前記第1色及び前記第2色の双方と異なる可視の色を、前記第1形成色領域中に形成することを特徴とする、請求項9に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−161677(P2012−161677A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−105142(P2012−105142)
【出願日】平成24年5月2日(2012.5.2)
【分割の表示】特願2009−531975(P2009−531975)の分割
【原出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】