説明

三環式化合物の調製において有用な中間体の合成

【課題】抗ヒスタミン剤およびファルネシルプロテイントランスフェラーゼ(FTP)の阻害剤として公知の三環式化合物の調製において有用な中間体を調製するための、改良されたプロセスを提供すること。
【解決手段】本明細書中で定義される式(I)を有する化合物を調製するためのプロセスであって、該プロセスは:本明細書中で定義される式(II)を有する化合物と脱水剤が反応して、イミンを生成する工程;および(B)工程(A)において生成したイミンを加水分解して、式(I)を有する化合物を生成する工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、抗ヒスタミン剤およびファルネシルプロテイントランスフェラーゼ(FTP)の阻害剤として公知の三環式化合物の調製において有用な中間体を調製するための、改良されたプロセスを提供する。特に、本発明における化合物は米国特許第4,282,233号および同第5,151,423号で開示されたような抗ヒスタミン剤、および1997年7月3日に公開された、PCT公開第WO97/23478号で開示されたFPT阻害剤の調製において有用である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1) 以下の式:
【化1】


を有する化合物を調製するためのプロセスであって、ここで、R、R1、R2、R3、およびR4は、H、Br、Cl、F、アルキル、またはアルコキシからなる群から独立して選択され、該プロセスは:
(A)以下の式
【化2】


を有する化合物(ここで、RA、RB、RC、RD、およびREは、H、ハロ、アルキル、またはアルコキシからなる群から独立して選択され、R5はアリールまたはヘテロアリールである)と脱水剤が反応して、以下の式:
【化3】


を有するイミンを生成する工程;および
(B)工程(A)において生成した該イミンを加水分解して、式(I)を有する化合物を生成する工程、
を包含する、プロセス。
(項目2) 項目1に記載のプロセスであって、ここでRA、RB、RC、RD、およびREが、独立して、Hまたはハロであり、R、R1、R2、R3、およびR4が、独立して、H、Br、F、またはClである、
プロセス。
(項目3) 項目2に記載のプロセスであって、ここでR5が、フェニル、4−メトキシフェニル、4−クロロフェニル、または3−クロロフェニルである、
プロセス。
(項目4) 項目3に記載のプロセスであって、ここでR、R1、R3、およびR4がHであり、R2がClである、
プロセス。
(項目5) 項目4に記載のプロセスであって、ここで工程(A)が、式(II)の化合物と上記脱水剤の上記反応混合物が、ルイス酸またはスーパーアシッドからなる群から選択される追加試薬と接触することにより、行われる、
プロセス。
(項目6) 項目5に記載のプロセスであって、ここで上記脱水剤が、P25、P23、P23Cl4、POCl3、PCl3、PCl5、C66P(O)Cl2、PBr3、PBr5、SOCl2、SOBr2、COCl2、H2SO4、スーパーアシッド、およびスーパーアシッドの無水物からなる群から選択され、そして上記追加試薬が、AlCl3、FeCl3、ZnCl2、AlBr3、ZnBr2、TiCl4、SnCl4、CF3SO3H、
【化4】


FSO3H、およびHF/BF3からなる群から選択される、
プロセス。
(項目7) 項目6に記載のプロセスであって、ここで上記脱水剤が、P25、P23Cl4、PBr3、PCl5、POCl3、C66P(O)Cl2、(CF3SO22O、および(CF3CF2SO22Oからなる群から選択され、そして上記追加試薬が、AlCl3、ZnCl2、FeCl3、SnCl4、ZnBr2、およびCF3SO3Hからなる群から選択される、
プロセス。
(項目8) 項目3に記載のプロセスであって、ここでR1、R3、およびR4がHであり、RがBrであり、そしてR2がClである、
プロセス。
(項目9) 項目8に記載のプロセスであって、ここで工程(A)が式(II)の化合物と上記脱水剤の上記反応混合物が、ルイス酸またはスーパーアシッドからなる群から選択される追加試薬と接触することにより、行われる、
プロセス。
(項目10) 項目9に記載のプロセスであって、ここで上記脱水剤が、P25、P23、P23Cl4、POCl3、PCl3、PCl5、C66P(O)Cl2、PBr3、PBr5、SOCl2、SOBr2、COCl2、H2SO4、スーパーアシッド、およびスーパーアシッドの無水物からなる群から選択され、そして上記追加試薬が、AlCl3、FeCl3、ZnCl2、AlBr3、ZnBr2、TiCl4、SnCl4、CF3SO3H、
【化5】


FSO3H、およびHF/BF3からなる群から選択される、
プロセス。
(項目11) 項目10に記載のプロセスであって、ここで上記脱水剤が、P25、P23Cl4、PBr3、PCl5、POCl3、C66P(O)Cl2、(CF3SO22O、および(CF3CF2SO22Oからなる群から選択され、そして上記追加試薬が、AlCl3、ZnCl2、FeCl3、SnCl4、ZnBr2、およびCF3SO3Hからなる群から選択される、
プロセス。
(項目12) 項目3に記載のプロセスであって、ここでR1およびR3がHであり、RおよびR4がBrであり、そしてR2がClである、
プロセス。
(項目13) 項目12に記載のプロセスであって、ここで工程(A)が、式(II)の化合物と上記脱水剤の上記反応混合物が、ルイス酸またはスーパーアシッドからなる群から選択される追加試薬と接触することにより、行われる、
プロセス。
(項目14) 項目13に記載のプロセスであって、ここで上記脱水剤が、P25、P23、P23Cl4、POCl3、PCl3、PCl5、C66P(O)Cl2、PBr3、PBr5、SOCl2、SOBr2、COCl2、H2SO4、スーパーアシッド、およびスーパーアシッドの無水物からなる群から選択され、そして上記追加試薬が、AlCl3、FeCl3、ZnCl2、AlBr3、ZnBr2、TiCl4、SnCl4、CF3SO3H、
【化6】


FSO3H、およびHF/BF3からなる群から選択される、
プロセス。
(項目15) 項目14に記載のプロセスであって、ここで上記脱水剤が、P25、P23Cl4、PBr3、PCl5、POCl3、C66P(O)Cl2、(CF3SO22O、および(CF3CF2SO22Oからなる群から選択され、そして上記追加試薬が、AlCl3、ZnCl2、FeCl3、SnCl4、ZnBr2、およびCF3SO3Hからなる群から選択される、
プロセス。
(項目16) 以下の式:
【化7】


を有する化合物であって、ここでRA、RB、RC、RD、およびREが、H、ハロ、アルキル、またはアルコキシからなる群から独立して選択され、そしてR5がアリールまたはヘテロアリールである、
化合物。
(項目17) 項目16に記載の化合物であって、ここでR5が、フェニル、4−メトキシフェニル、4−クロロフェニル、または3−クロロフェニルであり、そしてここでRA、RB、RC、RD、およびREが、Hおよびハロからなる群から独立して選択される、
化合物。
(項目18) 項目17に記載の化合物であって、ここでRA、RB、RD、およびREがそれぞれHであり、そしてRCがClである、
化合物。
(項目19) 項目17に記載の化合物であって、ここでRB、RD、およびREがHであり、RAがBrであり、そしてRCがClである、
化合物。
(項目20) 項目17に記載の化合物であって、ここでRAおよびREがそれぞれBrであり、RBおよびRDがそれぞれHであり、そしてRCがClである、
化合物。
(項目21) 以下の式:
【化8】


を有する化合物を調製するプロセスであって、該プロセスは、以下の式:
【化9】


を有する化合物とNH25が、パラジウム触媒、一酸化炭素、塩基、ならびにCH3OCH2CH2OCH3;CH3OCH2CH2OCH2CH2OCH3;およびCH3OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH3からなる群から選択されるエーテルの存在下で反応する工程を包含し、ここでXは、H、Br、Cl、またはFであり、そしてR5がアリールまたはヘテロアリールである、
プロセス。
(発明の要旨)
本発明は以下の式を有する化合物の調製のためのプロセスを提供する:
【0003】
【化10】

【0004】
ここで、R、R1、R2、R3、およびR4は、H、Br、Cl、F、アルキル、またはアルコキシからなる群から独立して選択され、上記のプロセスは以下の工程を包含する:
(A)次の式:
【0005】
【化11】

【0006】
を有する化合物(ここで、RA、RB、RC、RDおよびREは、H、ハロ、アルキル、またはアルコキシからなる群から独立して選択され、R5はアリールまたはヘテロアリールである)が脱水剤と反応して以下の式を有するイミン:
【0007】
【化12】

【0008】
を生成する工程;および
(B)工程(A)において生成したイミンを加水分解し、式(I)を有する化合物を生成する工程。
【0009】
また、本発明は、以下の式を有する新規の中間体を提供する:
【0010】
【化13】

【0011】
ここで、RA、RB、RC、RDおよびREは、H、ハロ、アルキル、またはアルコキシからなる群から独立して選択され、R5はアリールまたはヘテロアリールである。
【0012】
本発明は以下の式:
【0013】
【化14】

【0014】
を有する化合物を調製するためのプロセスをさらに提供し、そのプロセスは、以下の式:
【0015】
【化15】

【0016】
を有する化合物とNH25が、パラジウム触媒、一酸化炭素、塩基、ならびにエチレングリコールジメチルエーテル(すなわち、CH3OCH2CH2OCH3);2−メトキシエチルエーテル(すなわち、CH3OCH2CH2OCH2CH2OCH3);およびトリエチレングリコールジメチルエーテル(すなわち、CH3OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH3)からなる群から選択されるエーテルの存在下で反応する工程を包含し、ここで、Xは、H、Br、Cl、またはFであり、R5はアリールまたはヘテロアリールである。式IIIの化合物を、以下の式:
【0017】
【化16】

【0018】
を有する化合物(ここで、UはBrまたはClであり、RB、RC、RD、およびREは上記の規定と同様である)と強塩基存在下で反応させて、式IIを有する化合物(ここで、RAはBr、ClまたはFである)を提供し得る。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(詳細な説明)
本明細書にいて使用される用語「アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状の炭化水素鎖である。
【0020】
「ハロ」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素ラジカルを言う。
【0021】
「アリール」は、フェニル;ベンジル;または芳香族多環(例えば、ナフチル)、前述の各々がC1〜C6のアルキル、C1〜C6のアルコキシ、およびハロからなる群から独立して選択される1〜3つの置換基によって必要に応じて置換される。
【0022】
「ヘテロアリール」は、1つまたは2つの窒素原子を有する、5員または6員の芳香族環(例えば、ピリジル、ピリミジル、イミダゾリル、またはピロリル)を意味する。
【0023】
「Ac」はアセチルを言う。
【0024】
「Et」は−C25を言う。
【0025】
「Ph」はフェニルを言う。
【0026】
本プロセスは、式(I)を有する三環式ケトンの調製のための、先行技術のプロセスを超える有意な改良である。例えば、米国特許第4,731,447号は以下のプロセスを開示する:
【0027】
【化17】

【0028】
本プロセスとは対照的に、この加水分解の工程による生成物は、次の工程(Friedel−Crafts環化)に先立って単離および精製される必要があり、式(I)の化合物を調製するための本プロセスは、ワンポットで行われ得るより簡易化した合成を提供する。
【0029】
1996年10月10日に公開されたPCT公開第WO96/31478号は、以下のプロセスを開示する:
【0030】
【化18】

【0031】
このプロセスにおいて、tert−ブチル置換された化合物は、トルエン中での還流によってPOCl3と反応してニトリルを形成し、そのニトリルはCF3SO3Hと反応してイミンを形成し、そのイミンが加水分解されてケトンを形成する。また、このプロセスとは対照的に、CF3SO3Hとの反応に先立ってニトリルが単離および精製される必要があるためにツーポットプロセスであり、本プロセスはワンポットで行われ得る。
【0032】
本プロセスによって調製された化合物は、PCT公開第WO97/23478号および米国特許第5,151,423号に記載の、ピペリジニル環がN置換された所望の化合物を得るための手順における中間体として有用である。これらの手順を使うことで、本発明の化合物は、以下の式を有する置換されたピペリジン
【0033】
【化19】

【0034】
と反応し、ここで、L1は、ClおよびBrからなる群から選択される脱離基であり、以下の式の化合物を得る。
【0035】
【化20】

【0036】
この化合物は、対応するピペリジリデン(piperidylidene)に変換され、窒素が脱保護され、この化合物はピペリジルの形態に還元される。次いで、ピペリジニル窒素は種々の化合物(例えば、エステルのようなアシル化合物または塩化アシル)と反応され得、所望のアミンを形成する。
【0037】
あるいは、PCT公開第WO97/23478号に記載されているようなキラルなFPT阻害剤が必要な場合、本プロセスによって製造された化合物は、Znおよび2当量のトリフルオロ酢酸を用いて無水酢酸中で処理することで還元され得、カルボニル酸素が取り除かれる。還元された化合物は、次いで約3.5当量のリチウムジイソプロピルアミド、約1.3当量のキノンまたは以下の式の化合物、
【0038】
【化21】

【0039】
約1.2当量の4−メシル−N−Boc−ピペリジン、および約1.1当量の水とトルエン中で反応され得、以下のキラルな化合物:
【0040】
【化22】

【0041】
を形成する。次いでこのキラルな化合物は、酸(例えば、H2SO4)を用いて処理することで脱保護され得、適切な酸(例えば、N−アセチル−L−フェニルアラニン)と反応して安定な塩を形成し得、その安定な塩は次いで所望のアシル基でアシル化され得る。
【0042】
式(I)の化合物は、当該分野で公知の方法によって式(I)の他の化合物に変換され得る。すなわち、R、R1、R2、R3またはR4が水素である化合物は、R、R1、R2、R3またはR4がハロゲンである対応した化合物に変換され得る。そのような手順はWO97/23478に示され、そこで、例えば、R2がClであり、R1、R3およびR4が水素であり、ピペリジニル窒素が−COOCH2CH3基によって保護されている化合物がKNO3と反応し、得られたニトロ置換された化合物がアミンに還元される。得られた化合物がBr2と反応されてアミノ基が取り除かれ、R2がClであり、R4がBrであり、R1およびR3が水素である化合物が得られる。
【0043】
式(I)の好ましい化合物は、R2がCl、BrまたはF、より好ましくはClまたはBr、最も好ましくはClである化合物である。他のグループの好ましい化合物は、R、R1、R3およびR4がそれぞれ水素であり、R2がCl、BrまたはF、より好ましくはClまたはBr、最も好ましくはClである化合物である。さらに他のグループの好ましい化合物は、R1、R3およびR4がそれぞれ水素であり、RおよびR2がCl、BrおよびF、より好ましくはClおよびBrから独立して選択される化合物であり、最も好ましくはRがBrであり、R2がClである化合物である。さらに他のグループの好ましい化合物は、R1およびR3がそれぞれ水素であり、R、R2ならびにR4がCl、BrおよびF、より好ましくはClおよびBrから独立して選択される化合物であり、最も好ましくはRがBrであり、R2がClであり、そしてR4がBrである化合物である。これらの好ましい化合物は、相応に位置したハロ置換基を有する式(II)の化合物から作られ得る。式(II)の化合物がヨウ素置換基を有するとき、それらのヨウ素置換基は本プロセスの実施時に水素によって置換されることが当業者によって理解される。
【0044】
5は好ましくはアリール、最も好ましくはフェニル、4−メトキシフェニル、4−クロロフェニル、または3−クロロフェニルである。
【0045】
脱水剤は、好ましくはP25、P23、P23Cl4、POCl3、PCl3、PCl5、C66P(O)Cl2(フェニルホスフォニックジクロリド(phenyl phosphonic dichloride))、PBr3、PBr5、SOCl2、SOBr2、COCl2、H2SO4、スーパーアシッド、およびスーパーアシッドの無水物からなる群から選択される。より好ましくは、脱水剤は、P25、P23Cl4、PBr3、PCl5、POCl3、C66(O)Cl2、(CF3SO22O、および(CF3CF2SO22Oから選択される。
【0046】
好ましくは、本発明者らのプロセスの工程(A)は、式(II)の化合物と脱水剤の反応混合物を、ルイス酸またはスーパーアシッドからなる群から選択される追加試薬と接触することで行われる。非限定的なルイス酸の例には、AlCl3、FeCl3、ZnCl2、AlBr3、ZnBr2、TiCl4、およびSnCl4が挙げられる。前述の、AlCl3、ZnCl2、FeCl3、SnCl4、およびZnBr2は特に好ましい。非限定的なスーパーアシッドの例には、CF3SO3H、
【0047】
【化23】

【0048】
およびHF/BF3が挙げられる。前述のスーパーアシッドでは、CF3SO3Hが特に好ましい。ルイス酸またはスーパーアシッドによる接触は、それを、脱水剤が式(II)の化合物と接触される前、同時、または後に添加されることによって達成され得る。脱水剤およびルイス酸またはスーパーアシッドの特に好ましい組み合わせとしては、P25/CF3SO3H、PCl5/AlCl3、POCl3/ZnCl2、PCl5/FeCl3、PCl5/SnCl4、およびPOCl3/ZnBr2が挙げられる。
【0049】
工程(A)において無水物以外の脱水剤が使用される場合、好ましくは1〜20当量、より好ましくは1〜10当量、最も好ましくは1.0〜8.0当量の範囲の量の脱水剤が使用される。脱水剤がスーパーアシッドの無水物である場合、好ましくは0.5〜10当量、より好ましくは1.0〜5.0当量、最も好ましくは1.2〜2.0当量の範囲の量が使用される。脱水剤に加えてルイス酸が使用される場合、ルイス酸は、好ましくは1〜20当量、より好ましくは1.5〜10当量、最も好ましくは2〜5当量の範囲の量が使用される。脱水剤に加えてスーパーアシッドが使用される場合、スーパーアシッドは、好ましくは0.5〜10当量、より好ましくは1〜5当量、最も好ましくは2〜4当量の範囲の量が使用される。
【0050】
工程(A)は、好ましくは10〜120℃、より好ましくは15〜90℃、最も好ましくは20〜90℃の温度で行われる。反応時間は1〜60時間、好ましくは2〜40時間、最も好ましくは5〜35時間の範囲である。
【0051】
工程(A)において形成したイミンは、好ましくは、水の添加によって加水分解され、好ましくは式(II)のアミドが1〜10容量、より好ましくは1.5〜7容量、最も好ましくは2〜5容量の範囲の量である。加水分解は、好ましくは20〜120℃、より好ましくは30〜100℃、最も好ましくは40〜80℃の温度で行われる。
【0052】
好ましくは、工程(A)および(B)は、非プロトン性有機溶媒中で行われる。非プロトン性有機溶媒は、好ましくは、ジクロロエタン、塩化メチレン、ベンゼン、およびハロゲン化された芳香族溶媒(例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、およびトリフルオロメチルベンゼン)から選択される。
【0053】
式(II)の出発化合物を、次のスキームに示されるように、調製し得る。
【0054】
【化24】

【0055】
上記のスキームに示されるように(ここで、RA、RB,RC,RD,RE,およびR5は上記で定義されている)、ピリジン化合物1を、パラジウム触媒(例えば、Pd(OAc)2/ジピリジルまたは(Ph3P)2PdCl2)、一酸化炭素および塩基の存在下、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン(「THF」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、アセトニトリル(CH3CN)およびトルエン、またはそれらの組み合わせ、最も好適にはCH3CN)中で、約35℃〜100℃の温度で、好適には約55℃で、そして約5psiから500psiの圧力で、好適には約50〜150psiで、NH25と反応し、アミド化合物2を形成する。上記の反応に関して適切な塩基の制限されない例としては、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミンおよび1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]ウンデク−7−エン(「DBU」)のようなC1〜C10のアルキルアミン、およびK2CO3、Na2CO3、Na2HPO4およびNaOHのような無機塩基が挙げられる。好適に、この塩基は、K2CO3、DBU、およびトリエチルアミンから選択され、DBUはPd(OAc)2/ジピリジルを伴う使用に関して好ましく、そしてトリエチルアミンは、(Ph3P)2PdCl2を伴う使用に対して好ましい。アミド化合物2を、適切な溶媒中、例えばTHF中で、約−50℃〜−20℃の温度で、好適には約−30℃〜−20℃で、強塩基(例えば、リチウムジイソプロピルアミド(「LDA」)、n−ブチルリチウム、リチウムヘキサメチルジシリルアミド、またはナトリウムアミド、好ましくはLDAまたはn−ブチルリチウム)の存在下、化合物3と反応し、式(II)の化合物を形成する。
【0056】
あるいは、このアミド化合物2を下のスキームに示されるように調製し得る。
【0057】
【化25】

【0058】
ピコリン酸化合物4をジクロロメタンのような適切な溶媒中で、約−30℃〜0℃の温度で、有機塩基、例えばトリエチルアミンと反応し、続いて、酸クロリド、例えばピバロイルクロリド、またはクロロホルメート、例えばC25OCOClと反応し、混合無水物を得る。−30℃〜0℃の温度で、ニートまたは適切な溶媒中の溶液としてかのいずれかで、この混合物にNH25を加え、アミド化合物2を形成する。
【0059】
式(IV)の化合物から式(III)の化合物を調製するためのプロセスを、パラジウム触媒、一酸化炭素、塩基、およびエチレングリコールジメチルエーテル(すなわち、CH3OCH2CH2OCH3);2−メトキシエチルエーテル(すなわち、CH3OCH2CH2OCH2CH2OCH3);およびトリエチレングリコールジメチルエーテル(すなわち、CH3OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH3)からなる群から選択されるエーテルの存在下、式(V)の化合物をNH25と反応させることにより、実行する。Xは好適にBr、Cl、またはFであり、最も好適にはBrであり、そしてR5は好適には、フェニル、4−メトキシフェニル、4−クロロフェニル、または3−クロロフェニルである。このプロセスで使用され得るパラジウム触媒の制限されない例としては、Pd(OAc)2、PdCl2、(PPh32PdCl2、PdBr2および(PPh34Pdが挙げられる。Pd(OAc)2およびPdCl2は特に好しい。このプロセスを、約35℃〜120℃の温度で、好適には約40℃〜100℃の温度で、最も好適には約45℃〜90℃の温度で、そして約5psi〜500psi、好適には約30psi〜150psiの圧力で、最も好適には約40psi〜100psiの圧力で好適に実行する。このプロセスのための適切な塩基の限定されない例としては、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルベンジルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリエチルアミン、t−ブチルアミン、および1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]ウンデク−7−エン(「DBU」)のようなC1〜C10のアルキルアミン、およびK2CO3、KHCO3、Na2CO3、NaHCO3、Na3PO3、Na2HPO4およびNaOHのような無機塩基が挙げられる。好ましくは、この塩基はK2CO3、DBU、トリエチルアミンおよびジイソプロピルエチルアミンから選択され、そして最も好適には、DBU、およびジイソプロピルエチルアミンから選択される。好適に、このプロセスをエチレングリコールジメチルエーテル、または2−メトキシエチルエーテル、またはトリエチレングリコールジメチルエーテルを加えた溶媒で実行する。適切な溶媒の限定されない例としては、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アセトニトリル、トリフルオロメチルベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、およびキシレンが挙げられ、トルエンおよびクロロベンゼンが特に好ましい。エチレングリコールジメチルエーテル、または2−メトキシエチルエーテル、またはトリエチレングリコールジメチルエーテルはパラジウム触媒に対する配位子として機能するので、このプロセスは、配位子としてジピリジルを用いる必要なく、実行され得る。好適に使用されるNH25の量は、0.9〜5当量、さらに好適には1.0〜3当量、最も好適には1.1〜1.5当量の範囲である。塩基の量は、好適には、0.8〜10当量、さらに好適には1.0〜5当量、最も好適には1.2〜2.0当量の範囲である。エチレングリコールジメチルエーテル、または2−メトキシエチルエーテル、またはトリエチレングリコールジメチルエーテルの量は、好適には、使用される2,5−ジブロモ−3−メチルピリジンの0.2〜5.0の容量であり、さらに好適には0.4〜2.0の容量であり、最も好適には、0.5〜1.5の容量である。付加的な溶媒(例えば、トルエンまたはクロロベンゼン)の量は、好適には、使用される2,5−ジブロモ−3−メチルピリジンの1.0〜20の容量であり、さらに好適には1.5〜10容量、最も好適には2〜5容量の範囲である。
【0060】
上記のプロセスで使用される出発物質、すなわち化合物1、NH25、化合物3および化合物4は、当該分野に公知であり、または当業者に容易に調製され得る。
【0061】
次の実施例は上記の発明を図示するが、そのような実施例は、発明の範囲を限定するとして解釈されない。発明の範囲中の代替の試薬および類似のプロセスは、当業者に明らかである。
【実施例】
【0062】
(実施例A)
【0063】
【化26】

【0064】
4Lのオートクレーブへ、250g(949mmol)の2,5−ジブロモ−3−メチルピリジン、4.5g(20mmol)のPd(OAc)2、127mL(1.1mol)のアニリン、210mL(1.4mol)の1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク−7−エン、500mLのトルエン、および250mLのエチレングリコールジメチルエーテルを連続して加えた。このオートクレーブをシールし、排気し、窒素でパージし、そして一酸化炭素で80psiへ充填させた。この反応混合物を、必要なら定期的に詰め替えて、約2日間65℃で熱し、次いで室温へ冷やした。オートクレーブの内容物を、真空下で取り出し、窒素でフラッシュし、そして水およびトルエンで補助して10Lのフラスコへ移した。この混合物へ25gのDarcoおよび25gのSupercelを加えた。この内容物をセライトのパッドを通して濾過し、そしてトルエンで洗った。この濾液を1Lのトルエンで二回抽出した。この組み合わせた抽出物を、ブラインで洗い、750mLまで濃縮した。この残りのトルエンをイソプロパノール(i−PrOH)に替えた。この残留物を温めたi−PrOHから再結晶し、そしてこの沈殿物を濾過し、i−PrOHで洗い、そして50℃で乾燥し、220g(76%)のアミドを白色の固体として得た。
【0065】
(調製1)
【0066】
【化27】

【0067】
4Lのオートクレーブに、400g(2.21mol)の2−ブロモ−3−メチルピリジン、8.2g(12mmol)の(Ph3P)2PdCl2、1.0Lのアセトニトリル、295g(3.16mol)のアニリン、および515g(3.38mmol)のDBUを連続して加えた。このオートクレーブをシールし、排気し、窒素でパージし、そして一酸化炭素を用いて80psiにチャージした。この反応混合物は必要ならば一酸化炭素の定期的な詰め替えで9時間65℃で熱し、次いで室温に冷却した。このオートクレーブの内容物を真空下で取り出し、窒素でフラッシュし、そして水とアセトニトリルの補助を用いて分液ロートへ移した。この混合物に40gのDarcoおよび40gのSupercelを加えた。この内容物を30分撹拌し、濾過し、そしてアセトニトリルで洗った。この濾液は最後の容量の1.6Lへ濃縮した。3.0Lの水の添加によって生成物を黄色の固体として沈殿させる。この固体を濾過し、そして乾燥し427gアミド(90%)を得た。
【0068】
【数1】

【0069】
(調製2)
【0070】
【化28】

【0071】
THF(400mL)およびジイソピルアミン(7.05mL、0.050mol)中のアミド1(50g、0.168mol)の−25℃の溶液へ、リチウムジイソピルアミンモノ(テトラヒドロフラン)(225mL、0.336mol)の1.5Mの溶液を滴下して加えた。生じたジアニオン溶液を−20℃と−25℃との間の温度で1時間寝かし、3−クロロベンジルクロリド(22.0mL、0.176mol)でクエンチした。この混合物を0℃に温め、そして1時間後、NH4Clの飽和水溶液へクエンチした。この相を分離し、そして水相をt−ブチルメチルエーテル(350mL)で抽出した。合わせた有機溶液をブライン溶液で洗浄し、そして油状物まで濃縮した。この生成物を次いでイソプロピルアルコール(200mL)中で結晶化し、62.7g(89.8%)のカップリング生成物を得た。
【0072】
【数2】

【0073】
(調製3)
【0074】
【化29】

【0075】
THF(500mL)中のアミド2(50g、0.231mol)の−25℃の溶液へ、ヘキサン(185mL、0.462mol)中のブチルリチウムの2.5Mの溶液を滴下して加えた。生じたジアニオン溶液を−20℃と−25℃との間の温度で1時間寝かし、3−クロロベンジルクロリド(31.0mL、0.248mol)でクエンチした。この混合物を0℃に温め、そして1時間後、NH4Clの飽和水溶液へクエンチした。この相を分離し、そして水相をt−ブチルメチルエーテル(350mL)で抽出した。合わせた有機溶液をブライン溶液で洗い、そして油状物まで濃縮した。この生成物を次いでイソプロピルアルコール(200mL)中で結晶化し、71.6g(91.5%)のカップリング生成物を得た。
【0076】
【数3】

【0077】
(実施例1)
【0078】
【化30】

【0079】
メカニカルスターラー、温度計および添加ロートを備えた、乾燥機で乾燥した3Lの3つ口フラスコに、100g(241mmol)のアミド3、137g(963mmol)の五酸化リン、および700mLのクロロベンゼンを加えた。上記のスラリーへ64.2mL(722mmol)のトリフルオロメタンスルホン酸を、温度を35℃未満で保持して、滴下した。生じた混合物を80℃と85℃との間で加熱し、約20時間その温度で撹拌した。この混合液を45℃に冷却し、そして300mLのクロロベンゼン中の102g(722mmol)の五酸化リンを加えた。この混合液をさらに20時間80℃〜85℃へ熱した。10℃の生じた混合液へ、500mLの水を加えた。2時間70℃へ混合液を熱することにより、加水分解を達成した。この反応混合物は室温へ冷却され、そして200mLのn−ブタノール(n−BuOH)を加えた。この相を分離し、そして有機相をブライン、希水酸化ナトリウム溶液、および希HCl溶液で洗った。有機相を300mLへ濃縮した。500mLのTHFおよび2.4当量の濃HClの添加は生成物を沈殿させた。この固体を濾過し、冷n−BuOHで洗い、そして乾燥しHCl塩として61.7g(71%)の環状ケトンを得た。分析を遊離塩基で実行した。
【0080】
【数4】

【0081】
(実施例2)
【0082】
【化31】

【0083】
メカニカルスターラーを備えた、乾燥機で乾燥した250mLの3つ口フラスコへ、68.35g(481mmol)のP25、170mLのジクロロメタン、および10g(24mmol)のアミド3を加える。この混合物を16時間55〜60℃へ熱し、約70%のイミン生成物を得る(標準に対してHPLCで決定した)。実施例1に記載の手順を用いて、このイミンを加水分解し、所望の三環式ケトンを得る。
【0084】
(実施例3)
【0085】
【化32】

【0086】
メカニカルスターラー、温度計および添加ロートを備えた、乾燥機で乾かした250mLの3つ口フラスコへ、250mLのジクロロエタン、4.2gのP25(15mmol)、2.0mL(12mmol)のトリフルオロメタンスルホン酸無水物、および2.0mL(30mmol)のトリフルオロメタンスルホン酸を加えた。この混合液へ、5.0g(14.9mmol)のアミド4を加えた。この混合物を18時間80℃へ熱した。この混合物を10℃へ冷却し、そして70mLの水を加えた。加水分解を1時間70℃で完結した。この反応混合物を室温へ冷却し、そしてこの反応混合物のpHを水酸化ナトリウムで5〜6へ調整した。この相を分離し、そして水相をt−ブチルメチルエーテル(t−BuOMe)で抽出した。合わせた有機相をNH4ClおよびNaHCO3溶液で連続して洗い、残渣まで濃縮した。t−BuOMeの添加は生成物を沈殿させた。この固体を濾過し、冷t−BuOMeで洗い、そして乾燥して2.4g(68.5%)の黄色の固体を得た。生成物のNMRスペクトルは所望の三環式ケトンに関する参照のそれと一致する。
【0087】
(実施例4)
(8−クロロ−5,6−ジヒドロ−11H−ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2−b]ピリド−11−オン)
【0088】
【化33】

【0089】
クロロベンゼン(400ml)中のトリフルオロメタンスルホン酸(63.2ml;0.71mol)およびオキシ塩化リン(66.4ml;0.71mol)の混合物を室温で1/2時間撹拌した。クロロベンゼン(240ml)中のN−フェニル−3−[2−(3−クロロフェニル)エチル]−2−ピリジンカルボキサミド4(120g;0.36mol)の溶液を加えた。この混合物を18時間110℃で熱し、次に50℃へ冷却した。水(400ml)を加え、この2相の混合物を1/2時間80℃で熱した。この混合物を室温へ冷却し、10分間激しく撹拌し、次いで10分間放置した。生成物を濾別し、そして水(300ml)とトルエン(500ml)との間で分配した。水相のpHを10MのNaOH溶液で10へ調整した。100mlの有機相を減圧下で蒸留により除去した。活性炭(5.5g)を加え、この混合物をセライトのパッドを通して濾過した。この溶液を真空下で300mlへ濃縮し、そして150mlのヘキサンを加えた。この混合物を、撹拌しながら1時間0〜10℃へ冷却し、その後濾過した。生成物を100mlの冷えたトルエンで洗い、次いで数時間空気で乾燥した。収量=44.1g(50.8%)。
【0090】
(実施例5)
(8−クロロ−5,6−ジヒドロ−11H−ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2−b]ピリド−11−オン)
【0091】
【化34】

【0092】
五塩化リン(95%、97.5g;0.45mol)をジクロロメタン(500ml)中のN−フェニル−3−[2−(3−クロロフェニル)エチル]−2−ピリジンカルボキサミド4(100g;0.30mol)の溶液を加えた。生じた混合物を1時間室温で撹拌した。次いで、塩化アルミニウム(158.5g;1.19mol)をこの混合物へ加え、次に1時間室温で撹拌した。次いで、この溶液を氷(500g)へ注ぎ、生じた混合物を室温へ冷却する前に1時間加熱還流した。水相のpHを10Mの水酸化ナトリウム(700ml)で14へ調整し、そして生じた懸濁液を燒結ガラス漏斗を通して濾過した。集めた固体をジクロロメタン(2×100ml)で洗った。濾液の有機相を分離し、そして1MのHCl(1×200+1×100ml)で洗った。有機相を真空下で油状物まで濃縮し、トルエン(100ml)を加え、そしてこの混合物を再び真空下で濃縮した。この油状物をトルエン(150ml)に溶解し、活性炭(3.5g)を加えた。この混合物をセライトのパッドを通して濾過し、次にこの濾液にヘキサン(100ml)を加えた。この混合物を濾過するより先に、1時間0℃へ冷却した。集めた生成物を終夜60℃で真空乾燥機で乾燥した。収量=44.2g(61%)。
【0093】
(実施例6)
【0094】
【化35】

【0095】
5℃のジクロロメタン(60ml)中の五塩化リン(95%、26.6g;0.121mol)の溶液にジクロロメタン(60ml)中のN−(4−クロロフェニル)−3−[2−(3−クロロフェニル)エチル]−2−ピリジンカルボキサミド(30g;0.081mol)の溶液を20分かけて、滴下して加えた。生じた混合物を1時間5℃〜10℃で撹拌し、次いで30分をかけて、室温へ温めた。塩化アルミニウム(43.1g;0.323mol)を45分をかけて、4つの部分で加え、この間30℃より低い反応温度を維持した。この混合物を1時間撹拌し、次いで氷(300g)へ注いだ。ジクロロメタンを蒸留によりこの混合物から除去し、次いで残存した水溶液を1時間80℃へ熱した。クエン酸トリナトリウム塩二水化物(70g;0.24mol)を加え、次に水酸化ナトリウム水溶液(10M、140ml)を加えpHを7へ調整した。トルエン(150ml)を加え、次にトルエン(50ml)中の無水マレイン酸(12.0g、0.122mol)溶液を加えた。生じた混合物を30分撹拌し、水相のpHを水酸化ナトリウム水溶液(10M、60ml)で12へ調整した。この混合物を70℃へ熱し、相を分離した。水相をさらにトルエン(2×90ml)で抽出し、合わせた有機相を水(90ml)で洗った。HPLCアッセイは、95%のケトン生成物の溶液収率を示した。生成物の混合物をトルエン/ヘキサンから再結晶し、所望の三環式ケトン(13.96g、71%)をオフホワイトの固体として得た。
【0096】
(実施例7)
【0097】
【化36】

【0098】
マグネチックスターラー、温度計および還流コンデンサーを備えた250mLの3つ口フラスコへ、5g(85.5mmol)の塩化ナトリウム、20g(45.7mmol)のアミド3、および100mLのクロロベンゼンを充填した。この混合物を15分間窒素下、室温で撹拌した。生じた溶液へ16g(76.8mmol)のPCl5を加え、この間40℃未満の温度を保った。反応混合物を次いで2時間30℃〜35℃へ撹拌した。15.6g(96.2mmol)のFeCl3の添加の後、この反応混合物を3時間30℃と35℃との間へ熱し、次いで約18時間80℃と85℃との間へ熱し、次いでHPLCを行った。この反応混合物を10℃と20℃との間に冷却し、50mLのアセトンを加えた。この混合物を15分間撹拌し、そして30g(224mmol)のD,L−リンゴ酸の200mLの水溶液へゆっくりと注いだ。1時間室温で撹拌した後、生成物を200mL、次いで100mlのEtOAcで連続して抽出した。合わせた有機相を20g(149mmol)のD,L−リンゴ酸の200mLの水溶液で洗った。合わせた有機相に、50mLのアセトン、20mLのMeOH、および10mLの48%HBr(88mmol)溶液を加えた。この混合物を2時間45℃で撹拌し、加水分解を完成し、次いでアイスバスを用いて5℃と10℃との間へ冷却した。沈殿物を濾過し、50mLのアセトンで洗い、そして真空乾燥機中で25℃で乾燥し、16.1g(82%)の環状生成物を得た。
【0099】
本発明は上記の特定の実施形態と伴に記載されるが、それの多くの代替、改変および変更は当業者には明らかである。すべてのそのような代替、改変および変更は本発明の意図および範囲内に含まれることを意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載される発明。

【公開番号】特開2010−132701(P2010−132701A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44749(P2010−44749)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【分割の表示】特願2000−583474(P2000−583474)の分割
【原出願日】平成11年11月18日(1999.11.18)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】