説明

上吊り引き戸の下ガイドの構造

【課題】ガイドに案内され、揺れることなく左右にスライド自在に移動する上吊り引き戸の点検、交換等を容易に行える上吊り引き戸の下ガイドの構造を提供する。
【解決手段】引き戸枠5の上枠51に内設された吊り戸用レール511に引き戸4の上端部を走行自在に吊り下げる引き戸の下ガイドの構造であって、該上吊り引き戸4の下端部42長手方向に内設されたガイド溝421がガイド部材Aによってスライド自在に案内されるとともに、該ガイド部材Aは引き戸枠5の下枠52に固定されたベース部2と該ベース部2に着脱自在に結合されるカバー部1とからなり、該カバー部1にはガイドピン11が突設された上吊り引き戸の下ガイドの構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上吊り引き戸に関する。さらに詳しくは、上吊り方式の引き戸の下ガイドの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上吊り引き戸は、例えば、浴室と脱衣室とを仕切る間仕切り等として用いられ、例えば下記特許文献1には、浴室引き戸の防水構造に関し、上吊り方式の浴室引き戸の閉位置において引き戸と下枠との隙間をパッキン材にて確実にシールできるとともに、引き戸の走行時に開閉操作力を安定させることができる浴室引き戸の防水構造が開示されている。
【0003】
上記以外にも、部屋と部屋との間仕切りや、部屋を区切るためのパーティション、その他種々の用途に用いられる。すなわち、本願図5に示す部分破断斜視図のように、公知の上吊り方式の引き戸4は、引き戸枠5の上枠51に内設された吊り戸用レール511に引き戸4の上端部に設けたローラ41が走行自在に吊り下げられ、引き戸枠5の下枠52には、係合ピン61を備えたガイド6が固定されるとともに、この係合ピン61は、引き戸4の下端部42に内設されたガイド溝421にスライド自在に遊嵌合する。
【0004】
このようにして、上記引き戸4は上記係合ピン61がガイド溝421を案内することによって揺れることなく左右にスライド自在に移動し、容易に部屋の間仕切り等を行うことができる。しかしながら、上記引き戸4を点検したり、交換するときは本願図6に示すように、引き戸4をまず、右側に寄せて固定用ビス73を抜き、ついで左側に寄せて固定用ビス74を抜いてガイド6を取り外す必要がある。その後、引き戸4を手前または向こう側に押して傾けた後、上記引き戸4の上端部に設けたローラ41を吊り戸用レール511から外さなければならず、手間のかかる作業を必要とする。
【特許文献1】特開2003−278433号公報(第1〜3頁、第1図、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題点を解決して、上吊り引き戸の下端部長手方向に内設されたガイド溝がガイド部材に案内され、上記引き戸が揺れることなく左右にスライド自在に移動できるとともに、上吊り引き戸の点検、交換等を容易に行うことを可能とする上吊り引き戸の下ガイドの構造を提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明においては、つぎのような技術的手段を講じている。すなわち、請求項1に記載の発明によれば、引き戸枠の上枠に内設された吊り戸用レールに引き戸の上端部を走行自在に吊り下げる引き戸の下ガイドの構造であって、該上吊り引き戸の下端部長手方向に内設されたガイド溝がガイド部材によってスライド自在に案内されるとともに、該ガイド部材は引き戸枠の下枠に固定されたベース部と該ベース部に着脱自在に結合されるカバー部とからなり、該カバー部にはガイドピンが突設された上吊り引き戸の下ガイドの構造が提供される。上記下枠は部屋と部屋とを仕切る敷居の部位に埋め込んで用いてもよく、あるいは下枠として床面そのものを用い、床面にベース部を直接固定してもよい。
【0007】
請求項2に記載の上吊り引き戸の下ガイドの構造は、請求項1に記載の発明に加えて、上記カバー部とベース部とがタッピングビスにより着脱自在に結合されることが好ましい。
【0008】
請求項3に記載の上吊り引き戸の下ガイドの構造は、請求項1に記載の発明に加えて、上記カバー部がベース部の長手方向にスライド自在に装着されることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明にかかる上吊り引き戸の下ガイドの構造は上記のとおりであり、上吊り引き戸の下端部長手方向に内設されたガイド溝がガイド部材によってスライド自在に案内されるため、上記引き戸が揺れることなく左右にスライド自在に移動して部屋の間仕切りや、パーティション等種々の用途に使用される。また、上記ガイド部材は引き戸枠の下枠に固定されたベース部と該ベース部に着脱自在に結合され、ガイドピンが突設されたカバー部とからなり、上記ベース部とカバー部とが一体的となり、普通の立ち位置からは上吊り引き戸の下に隠れて見えず意匠性の優れたものとすることができる。
【0010】
請求項2に記載の上吊り引き戸の下ガイドの構造は上記のとおりであり、請求項1の上吊り引き戸の下ガイドの構造の有する効果に加え、上記カバー部とベース部とがタッピングビスにより着脱自在に結合されるため、タッピングビスの螺合を解除して上記カバー部とベース部とを分離し、上吊り引き戸の下端を手前または向こう側に押して傾けることにより、容易に引き戸を外すことが可能となり、点検、交換等を容易に行うことができる。
【0011】
請求項3に記載の上吊り引き戸の下ガイドの構造は上記のとおりであり、請求項1の上吊り引き戸の下ガイドの構造の有する効果に加え、上記カバー部がベース部の長手方向にスライド自在に装着されるため、タッピングビスの螺合を解除すれば、カバー部はスライド可能となり、下枠の長手方向に移動してカバー部をベース部から簡単に分離することができる。そのため、上吊り引き戸の下端を手前または向こう側に押して傾けることにより、容易に引き戸を外すことが可能となり、点検、交換等を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1はカバー部1とベース部2とからなる本発明にかかるガイド部材Aを示す分解斜視図である。図1に示すように、上記カバー部1のカバーベース12にはガイドピン11が突設されるとともに、脚部13には挿通孔14が穿たれ、ベース部2には固定用ビス孔21が設けられている。また、ベース部2の長手方向側部には雌ネジ22が螺刻されている。
【0013】
図2は上記固定用ビス71、72によって引き戸枠5の下枠52にビス固定されたベース部2にカバー部1を装着する状態を示す説明図である。図2に示すようにカバー部1でベース部2を覆うように装着し、挿通孔14と連通する雌ネジ22にタッピングビス3を螺合することによってカバー部1はベース部2に着脱自在に結合される。図3は、本発明にかかるガイド部材Aと上記ガイド部材Aによってスライド自在に案内され、図5に記載したガイド溝421を内設する上吊り方式の引き戸4を示す部分斜視図である。図3に示されているように、上記ガイド部材Aはベース部2にカバー部1を装着して一体的に構成されているため、普通の立ち位置からは上吊り引き戸4の下に隠れて見えず意匠性の向上したものとすることができる。
【0014】
図4は、上記ガイド部材Aのカバー部1とベース部2とを分離し、本発明にかかる上吊り引き戸の下ガイドの構造を用いて引き戸4を点検したり、交換する状態を示す説明図である。図4に示すように、タッピングビス3の螺合を解除することにより、カバー部1はベース部2の長手方向に沿ってスライドし、カバー部1をベース部2から簡単に分離することができる。このようにしてカバー部1とベース部2とを分離した後、上吊り引き戸4の下端を手前または向こう側に押して傾け、カバー部1のガイドピン11を図5に記載したガイド溝421から外すことにより、引き戸4の下端部はフリーとなり、引き戸4の点検、交換等を容易に行うことができる。
【0015】
引き戸4を元の状態に戻すには上記と逆の操作を行えばよい。すなわち、カバー部1のガイドピン11を上記ガイド溝421に遊嵌合し、スライド移動させてベース部2に装着し、タッピングビス3を雌ネジ22に螺合する。このようにすることにより、カバー部1とベース部2とは再び一体化し、引き戸4はガイドピン11に案内され、揺れることなく左右にスライド自在に移動できる。また、上記上吊り引き戸4の点検、交換等を容易に行える。
【0016】
なお、上記実施形態では、ガイド部材Aを引き戸枠5の下枠52に装着するものであるが、該下枠52を採用せずガイド部材Aを床面に直接装着してもよい。従って、本明細書において、下枠52は床面を含む意味である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明にかかるガイド部材を示す分解斜視図である。
【図2】ビス固定された本発明にかかるガイド部材のベース部にカバー部を装着する状態を示す説明図である。
【図3】本発明にかかるガイド部材によってスライド自在に案内される上吊り方式の引き戸を示す部分斜視図である。
【図4】本発明にかかる上吊り引き戸の下ガイドの構造を用いて引き戸を点検、交換する状態を示す説明図である。
【図5】公知の上吊り方式の引き戸を示す部分破断斜視図である。
【図6】公知の上吊り方式の引き戸のガイドの取り外し方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0018】
A 本発明にかかるガイド部材
1 カバー部
11 ガイドピン
12 カバーベース
13 脚部
14 挿通孔
2 ベース部
21 固定用ビス孔
22 雌ネジ
3 タッピングビス
4 引き戸
41 ローラ
42 下端部
421 ガイド溝
5 引き戸枠
51 上枠
511 吊り戸用レール
52 下枠
6 公知のガイド
61 係合ピン
71、72 固定用ビス
73、74 固定用ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
引き戸枠の上枠に内設された吊り戸用レールに引き戸の上端部を走行自在に吊り下げる引き戸の下ガイドの構造であって、該上吊り引き戸の下端部長手方向に内設されたガイド溝がガイド部材によってスライド自在に案内されるとともに、該ガイド部材は引き戸枠の下枠に固定されたベース部と該ベース部に着脱自在に結合されるカバー部とからなり、該カバー部にはガイドピンが突設された上吊り引き戸の下ガイドの構造。
【請求項2】
上記カバー部とベース部とがタッピングビスにより着脱自在に結合される請求項1に記載の上吊り引き戸の下ガイドの構造。
【請求項3】
上記カバー部がベース部の長手方向にスライド自在に装着される請求項1に記載の上吊り引き戸の下ガイドの構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−308910(P2007−308910A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137386(P2006−137386)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)