説明

上顎歯列模型調整器及び上顎歯列模型調整方法

【課題】各個体に適した上顎歯列模型の調整や診断が可能となる上顎歯列模型調整器を提供することである。
【解決手段】上顎歯列模型50の載置される面21aが球状凹面となる基準板20と、基準板20の球状凹面の最下点に対応した位置にて上顎歯列模型50の左右方向となるべき方向に延びる軸を中心にして基準板20を搖動自在に支持する基準板支持機構10、11、12、13と、前記軸を中心にして搖動されて傾いた状態で前記基準板支持機構により支持された基準板20の当該傾き状態を維持させる傾き維持機構14、15、15aとを有する構成となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科医療患者の上顎の補綴物や義歯を製作する際に咬合器と共に用いられる上顎歯列模型調整器及び上顎歯列模型を調整する歯列模型調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上顎と下顎との適正な咬合が得られるように歯科用補綴物や義歯の構築や調整がなされる。その際に、咬合器と共に上顎歯列模型調整器が用いられる。本件特許出願の発明者は、既に、上顎歯列模型調整器を提案している(特許文献1参照)。この上顎歯列模型調整器は、上顎歯列模型が載置される面が球状凹面となった基準板を備えた構造となっている。このような上顎歯列調整器を利用することにより、人の上顎の歯列と同様、ある種の彎曲面(例えば、Spee彎曲やWilson彎曲)に沿って配列されるべき上顎歯列模型における補綴物や義歯の構築や診断等を前記球状凹面を基準にして行なうことができるようになるので、下顎運動において前歯部及び臼歯部に有害な側方圧がかからないように、上顎歯列模型の補綴物や義歯に対応した部分を容易に構築することができ、また、その適正な判断等を容易に行なうことができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4468247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、個体(人)の上顎と下顎との咬合平面は、所定の基準平面、例えば、左右いずれかの眼窟下点(眼窟下孔)と外耳道上縁の3点を結んでできる平面であるフランクフルト平面を基準にして規定することができる。例えば、フェイスボウトランスファーの手法によって、頭の骨(フランクフルト平面)に対する上顎の相対的な位置関係(角度)を再現するように上顎歯列模型が咬合器の上弓に装着される。このようにして、上顎歯列模型を個体(人)の頭の骨(フランクフルト平面)に対する上顎の相対的な位置関係(角度)を再現するように咬合器に装着することができるものの、上述した従来の上顎歯列模型調整器では、前記上顎歯列模型の歯列の調整や診断の基準となる基準板の傾きを自由に調整することができないことから、各個体(人)に適した上顎歯列模型の調整や診断が難しい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、各個体に適した上顎歯列模型の調整や診断が可能となる上顎歯列模型調整器を提供するものである。
【0006】
また、本発明は、上記上顎歯列模型調整器を用いて、各個体に適した上顎歯列模型の調整が容易にできる上顎歯列模型調整方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る上顎歯列模型調整器は、上顎歯列模型の載置される面が球状凹面となる基準板と、前記基準板の球状凹面の最下点に対応した位置にて前記上顎歯列模型の左右方向となるべき方向に延びる軸を中心にして当該基準板を搖動自在に支持する基準板支持機構と、前記軸を中心にして搖動されて傾いた状態で前記基準板支持機構により支持された前記基準板の当該傾き状態を維持させる傾き維持機構とを有する構成となる。
【0008】
このような構成により、基準板の球状凹面の最下点に対応した位置にて上顎歯列模型の左右方向となるべき方向に延びる軸を中心にして当該基準板が搖動することができ、また、その搖動によって傾いた状態で基準板が維持されるので、所定の基準平面(例えば、咬合器の上弓に対応)に対して所望の角度に傾かせた状態の基準板における球状凹面を基準にして上顎歯列模型の調整及び診断を行うことができるようになる。
【0009】
特に、基準板の球状凹面の最下点に対応した位置にて上顎歯列模型の左右方向となるべき方向に延びる軸を中心にして当該基準板が搖動するので、その最下点を挟んだ当該球状凹面の前後方向の部分をバランスよく傾かせることができる。
【0010】
本発明に係る上顎歯列模型調整器において、前記基準板支持機構により支持される前記基準板の傾き角度を表示する角度表示器を有する構成とすることができる。
【0011】
このような構成により、搖動された基準板の傾き角度を明確に知ることができるので、当該基準板を所定の基準平面(例えば、咬合器の上弓に対応)に対して所望の角度に精度よく傾かせることができる。
【0012】
また、本発明に係る上顎歯列模型調整器において、前記基準板と一体となり、当該基準板の上方に位置するように前記上顎歯列模型を支持し、前記上顎歯列模型の支持の解除が可能な上顎歯列模型支持機構を有する構成とすることができる。
【0013】
このような構成により、上顎歯列模型が上顎歯列模型支持機構にて支持された状態で基準板を所定の基準平面(例えば、咬合器の上弓に対応)に対して所望の角度に傾かせると、上顎歯列模型も、前記所定の基準平面に対して所望の角度傾くようになる。
【0014】
更に、本発明に係る上顎歯列模型調整器において、前記上顎歯列模型支持機構は、前記上顎歯列模型の切歯乳頭に対応する位置を支持する支持ピンと、前記上顎歯列模型の左右のハミュラーノッチに対応する位置を支持する支持バーとを有する構成とすることができる。
【0015】
このような構成により、上顎歯列模型が、基準板の上方に位置するように、切歯乳頭に対応する位置で支持ピンにより、左右のハミュラーノッチに対応する位置で支持バーにてそれぞれ支持される。この状態で、基準板を所定の基準平面(例えば、咬合器の上弓に対応)に対して所望の角度に傾かせると、上顎歯列模型も、前記所定の基準平面に対して所望の角度傾くようになる。
【0016】
本発明に係る上顎歯列模型調整方法は、個体の上顎と下顎との咬合平面とフランクフルト平面とのなす角度を測定する角度測定ステップと、上顎歯列模型の載置される面を有する基準板と、前記基準板の所定位置にて前記上顎歯列模型の左右方向となるべき方向に延びる軸を中心にして当該基準板を搖動自在に支持する基準板支持機構と、前記軸を中心にして搖動されて傾いた状態で前記基準板支持機構により支持された前記基準板の当該傾き状態を維持させる傾き維持機構とを有する上顎歯列模型調整器を用い、咬合器の下弓に設置される前記上顎歯列模型調整器における前記基準板の傾きの角度が前記測定された角度となるように、前記軸を中心にして前記基準板を搖動させて傾かせた状態で維持させる基準板傾き設定ステップと、前記咬合器の上弓に対する上顎歯列模型の前後方向の傾きが、前記測定された角度となる状態にて、前記咬合器の上弓に前記上顎歯列模型を設置する上顎歯列模型設置ステップと、前記咬合器の前記上弓に設置された前記上顎歯列模型の歯列を前記基準板の前記面を基準にして調整する調整ステップとを有する構成となる。
【0017】
また、本発明に係る上顎歯列模型調整方法は、個体の上顎と下顎との咬合平面とフランクフルト平面とのなす角度を測定する角度測定ステップと、咬合器の下弓に設置される前述したいずれかの上顎歯列模型調整器における前記基準板の傾きの角度が前記測定された角度となるように、前記軸を中心にして前記基準板を搖動させて傾かせた状態で維持させる基準板傾き設定ステップと、前記咬合器の上弓に対する上顎歯列模型の前後方向の傾きが、前記測定された角度となる状態にて、前記咬合器の上弓に前記上顎歯列模型を設置する上顎歯列模型設置ステップと、前記咬合器の前記上弓に設置された前記上顎歯列模型を前記基準板の球状凹面を基準にして調整する調整ステップとを有する構成となる。
【0018】
これらのような構成により、個体の上顎と下顎との咬合平面とフランクフルト平面とのなす角度が測定され、その測定された角度となるように咬合器の下弓に設置される上顎歯列模型調整器の基準板が傾かせられるとともに、前記咬合器の上弓に対する上顎歯列模型の前後方向の傾きが上記測定された角度となる状態で上顎歯列模型が当該咬合器の上弓に設置され、そして、その状態で、上顎歯列模型が基準板の球状凹面を基準にして調整されるので、基準板の傾きと、上顎歯列模型の傾きとの双方が、個体の上顎と下顎との咬合平面とフランクフルト平面とのなす角度に調整された状態で、前記上顎歯列模型を基準板の面あるいは球状凹面を基準にして調整できるようになる。
【0019】
本発明に係る上顎歯列模型調整方法において、特に、前記基準板と一体となり、当該基準板の上方に位置するように前記上顎歯列模型を支持し、前記上顎歯列模型の支持の解除が可能な上顎歯列模型支持機構を有する上顎歯列模型調整器を用い、前記上顎歯列模型支持機構にて前記上顎歯列模型を支持した状態で、前記基準板の傾きの角度が前記測定された角度となるように、前記軸を中心にして前記基準板を搖動させて傾かせた状態で維持させ、その状態で、前記上顎歯列模型を前記咬合器の上弓に設置し、前記上顎歯列模型支持機構の前記上顎歯列模型の支持を解除させることにより、上記基準板傾き設定ステップと、前記上顎歯列模型設置ステップとを行う構成とすることができる。
【0020】
このような構成により、上顎歯列模型支持機構にて上顎歯列模型が支持された状態で、基準板を前記測定された角度に傾かせることにより、基準板自体とともに、上顎歯列模型を前記測定された角度に傾かせることができるので、基準板を傾かせた状態で維持させる基準板傾き設定ステップと、上顎歯列模型の咬合器の上弓に対する傾きを前記測定された角度となるように上顎歯列模型を当該咬合器の上弓に設置する上顎歯列模型設置ステップとをより効率的に行うことができる。
【0021】
また、本発明に係る上顎歯列模型調整方法において、前記角度測定ステップは、個体の頭部のX線規格写真画像から前記咬合平面と前記フランクフルト平面とのなす角度を測定する構成とすることができる。
【0022】
このような構成により、個体の頭部のX線規格写真画像(セファロX線写真画像)から咬合平面とフランクフルト平面とのなす角度が測定されるので、フェイスボウトランスファーのような面倒な作業を要せず、その角度(数値)を容易に精度よく測定することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る上顎歯列模型調整器によれば、所定の基準平面(例えば、咬合器の上弓に対応)に対して所望の角度に傾かせた状態の基準板における球状凹面を基準にして上顎歯列模型の調整及び診断を行うことができるようになるので、咬合器において個体(人)の頭の骨(フランクフルト平面)に対する上顎の相対的な位置関係(角度)をより忠実に再現して、各個体に適した上顎歯列模型の調整や診断が可能になる。
【0024】
また、本発明に係る上顎歯列調整方法によれば、咬合器に設置された上顎歯列模型調整器の基準板及び上顎歯列模型の双方の傾きが、測定された個体の上顎と下顎との咬合平面とフランクフルト平面とのなす角度に調整された状態で、前記上顎歯列模型を基準板の面を基準にして調整できるので、咬合器において個体(人)の頭の骨(フランクフルト平面)に対する上顎の相対的な位置関係(角度)をより忠実に再現して、各個体に適した上顎歯列模型の調整が容易にできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の一形態に係る上顎歯列模型調整器を示す斜視図である。
【図2】図1に示す上顎歯列模型調整器を後ろ斜め下方から見た状態を示す図である。
【図3】図1に示す上顎歯列模型調整器を上方から見た状態を示す図である。
【図4】図1に示す上顎歯列模型調整器を前方から見た状態を示す図である。
【図5】図1に示す上顎歯列模型調整器を後方から見た状態を示す図である。
【図6】図1に示す上顎歯列模型調整器を左側方から見た状態を示す図である。
【図7】図1に示す上顎歯列模型調整器を右側方から見た状態を示す図である。
【図8】上顎歯列模型調整器における基準板の球状凹面と搖動支持バーとの関係を示す図である。
【図9A】個体(人)の上顎と下顎との咬合状態(その1)を示す図である。
【図9B】個体(人)の上顎と下顎との咬合状態(その2)を示す図である。
【図10】上顎歯列模型調整器における基準板の搖動状態を示す図である。
【図11】上顎歯列模型調整器における基準板が傾斜した状態を示す図である。
【図12】個体(人)の上顎と下顎との咬合平面とフランクフルト平面との関係を示す図である。
【図13】咬合器の上弓にフランクフルト平面を合わせた場合の当該咬合器内での咬合平面の状態を示す図である。
【図14】咬合器の下弓に図1に示す上顎歯列模型調整器をセットした状態を示す図である。
【図15】上顎歯列模型調整器の支持ピンと支持バーにて上顎歯列模型をセットした状態の一例を示す図である。
【図16】上顎歯列を内側から見た状態を示す図である。
【図17】上顎歯列模型調整器及び上顎歯列模型の双方が装着された咬合器の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0027】
本発明の実施の一形態に係る上顎歯列模型調整器は、図1乃至図7に示すように構成されている。なお、図1は上顎歯列模型調整器を示す斜視図であり、図2は上顎歯列模型調整器を後ろ斜め下方から見た図であり、図3は上顎歯列模型調整器を上方から見た図であり、図4は上顎歯列模型調整器を前方から見た図であり、図5は上顎歯列模型調整器を後方から見た図であり、図6は上顎歯列模型調整器を左側方から見た図であり、そして、図7は上顎歯列模型調整器を右側方から見た図である。
【0028】
図1乃至図7において、上顎歯列模型調整器100は、支持台10の上に支持プレート11が固定され、その支持プレート11に対して基準板20が搖動自在に支持される構造となっている。具体的には、支持プレート11の前端部に断面コ字状のブラケット13が固定され(特に図2、図4、図6及び図7参照)、基準板20の裏面の所定位置に固定された搖動支持バー12(特に図3及び図4参照)が、ブラケット13によって搖動自在に支持されている。このようして、基準板20は、支持台10、支持プレート11、搖動支持バー12及びブラケット13にて構成される基準板支持機構によって搖動支持バー12の軸Lsを中心にして搖動自在となるように支持されている。
【0029】
支持台10には、調整ダイヤル16が設けられるとともに調整ダイヤル16に結合した昇降機構(図示略)が設けられている。調整ダイヤル16の回転操作に応じた昇降機構の動作により支持プレート11、ブラケット13及び搖動支持バー12とともに基準板20が昇降動するようになっている。支持プレート11の左側面には、図6に示すように、指示針17が垂下するように設けられており、支持台10の対応する面には高さを表す目盛が設けられている。支持プレート11と一体となって昇降動する指示針17の先端に対応する目盛値によって、基準板20の上下方向の位置を判断することができる。
【0030】
基準板20の裏面の右後方向所定位置に、角度指示プレート14(角度表示器)が垂下するように固定されている(特に図2及び図7参照)。角度指示プレート14には角度目盛が形成されている。ブラケット13に搖動自在に支持される搖動支持バー12の軸Lsを中心にして搖動する基準板20の搖動角度が、支持プレート11の右側面に形成された指示線が指し示す角度指示プレート14の目盛値として示される(図2及び図7参照)。
【0031】
角度指示プレート14には、基準板20の搖動中心である搖動支持バー12の軸Lsを中心として弧を描くように弧状長孔14aが形成されている。角度指示プレート14の弧状長孔14aを通って支持プレート11の右側面にねじ込まれる固定ネジ15が設けられている。固定ネジ15にはフランジ15aが形成されており、固定ネジ15を支持プレート11にねじ込むことによりフランジ15aが角度指示プレート14の弧状長孔14aの近傍部位を支持プレート11の右側面に押し付けて、角度支持プレート14の傾き状態、即ち、基準板20の傾き状態が維持される(傾き維持機構)。
【0032】
基準板20は、前側部分の調整部21と後側部分のスライド支持部22とに分かれている。調整部21は、上顎歯列の並びに対応したアーチ状の外形を有し(図3参照)、そのアーチ状の外形線の内側に上顎歯列模型を載置するための載置面21aが、後述するように球状凹面となって形成されている。スライド支持部22の表面は平面状に形成され、右側部分に右スライドプレート30aが、左側部分に左スライドプレート30bが、それぞれ前後方向に摺動自在に設けられている(図3参照)。右スライドプレート30aの前方外隅部には右支持ブロック32aが設けられるとともに、左スライドプレート30bの前方外隅部に左支持ブロック32bが設けられている。右支持ブロック32aには、基準板20の左右方向(載置される上顎歯列模型の左右方向となるべき方向)の中心近傍まで横方向に延びる右支持バー31aが固定され、左支持ブロック32bにも、基準板20の左右方向の中心近傍まで横方向に延びる左支持バー31bが固定されている。
【0033】
右スライドプレート30aには、前後方向に延びる長孔(右長孔)34aが形成され、左スライドプレート30bにも、前後方向に延びる長孔(左長孔)34bが形成されている。右スライドプレート30aの右長孔34aを通って右固定ネジ33aがスライド支持部22にねじ込まれており、左スライドプレート30aの左長孔34bを通って左固定ネジ33bがスライド支持部22にねじ込まれている。右固定ネジ33aを緩めることにより、右スライドプレート30aが前後方向に摺動可能になり、右スライドプレート30aの前後方向の位置を調整することにより、右支持バー31aの前後方向位置を調整することができる。そして、右固定ネジ33aを締め付けることにより、右スライドプレート30aが固定され、右支持バー31aの前後方向位置が固定される。また、同様に、左固定ネジ33bを緩めることにより、左スライドプレート30bが前後方向に摺動可能になり、左スライドプレート30bの前後方向の位置を調整することにより、左支持バー31bの前後方向位置を調整することができる。そして、左固定ネジ33bを締め付けることにより、左スライドプレート30bが固定され、左支持バー31bの前後方向位置が固定される。
【0034】
なお、スライド支持部22の表面には右スライドプレート30aに沿って位置を表す目盛が形成され、右スライドプレート30aに設けられた指示線が指し示す目盛値により右支持バー31aの前後方向の位置を判断することができる。また、同様に、スライド支持部22の表面には左スライドプレート30bに沿って位置を表す目盛が形成され、左スライドプレート30bに設けられた指示線が指し示す目盛値によって左支持バー31bの前後方向の位置を判断することができる。
【0035】
基準板20の調整部21の左右方向の中心線Lc(図3参照)上における前方所定位置に雌ネジの形成されたスリーブ24が基準板20(調整部21)を貫通するように埋め込まれている。スリーブ24に雄ネジの形成された支持ピン23が螺合している。支持ピン23を回転させることにより、その回転方向に応じて支持ピン23がスリーブ24内を進退動して、基準板20(調整部21)の載置面21aから突没するようになる。そして、その回転量に応じて、支持ピン23の基準板20の載置面21aからの突出量を調整することができる。なお、支持ピン23、右支持バー31a及び左支持バー31bによって後述するように上顎歯列模型を基準板20上で支持することができ、これら支持ピン23、右支持バー31a及び左支持バー31bによって上顎歯列模型を基準板20の上方に位置するように支持する上顎歯列模型支持機構が構成される。なお、支持ピン23(スリーブ24)の位置は、当該基準板20(調整部21)に載置される上顎歯列模型の切歯乳頭(後述する図16におけるIPの点参照)であるべき位置に対応するように決められる。
【0036】
また、基準板20の調整部21の中心線Lc上におけるスライド支持部22近傍の所定位置に正中基準ピン25が着脱自在に設けられている。正中基準ピン25は、調整部21における載置面21aから突出しており、その先端に正中基準プレート25aが固定されている。
【0037】
ところで、図9Aに示すように、人(個体)の上顎MXと下顎MNとは、前歯部から臼歯部がある種の彎曲面C1(例えば、Spee彎曲)に沿って配列されるものであり、また、左右方向についても、図9Bに示すようにある種の彎曲面C2(例えば、Wilson彎曲)に沿って歯配列されるものである。相互に咬合すべき上顎MXの歯列及び下顎MNの歯列において前述したような彎曲形状が維持されていないと、下顎MNの運動において前歯部及び臼歯部に有害な側方圧がかかるおそれがある。このことを前提に、下顎運動において前歯部及び臼歯部に有害な側方圧がかからないように上顎歯列模型の補綴物や義歯に対応した部分を調整したりその診断を可能にしたりするために、この上顎歯列模型調整器100では、基準板20の調整部21の載置面12aが、図8に示すように、球状凹面として形成されている。具体的には、基準板20(調整部21)の左右方向の中心線Lc(図3参照)の鉛直上方所定位置に設定された点Oを中心に所定の半径SR(想定される上顎の大きさに応じて例えば、124mm、100mm、80mm等に設定される)の球状の凹面となるように調整部21の載置面21aが形成されている。そして、その球状凹面の最下点PLWが、支持ピン23の位置から後方に所定距離(例えば、半径SR=124mmの場合約10mm、半径SR=100mmの場合約8.5mm、半径SR=80mmの場合約7mm)の位置になるように載置面21a(球状凹面)の形状が決められる。
【0038】
前述したように基準板20の搖動中心となる搖動支持バー12は、図8に示すように前記球状凹面(載置面21a)の最下点PLWに対応した位置に、図3に示すように基準板20の横方向(載置される上顎歯列模型の左右方向となるべき方向)に延びるように設けられている。そして、図10に示すように、基準板20は、搖動支持バー12の軸Lsを中心にして、基準板20(+)のように搖動して傾いた状態になり得る。このとき、上顎歯列模型調整器100では、図11に示すように、支持プレート11の右側面に形成された指示線が指し示す角度指示プレート14の目盛値によって基準板20の傾き角度を判断することができる。そして、固定ネジ15を締め付けることにより角度指示プレート14が支持プレート11に押え付けられて、基準板20が角度指示プレート14で指示された傾き角度の状態に維持される。
【0039】
上述したような構造の上顎歯列模型調整器100と咬合器とを用いて、例えば次のようにして上顎歯列模型の補綴物や義歯に対応した部分の調整や診断を行うことができる。
【0040】
まず、個体(歯科治療患者)Hの顎部分を含む頭部のX線規格写真撮影(セファロX線写真撮影)を行う。そして、このX線規格写真撮影にて得られた、例えば、図12に示すようなX線規格写真画像(セファロX線写真画像)において、個体Hの眼窩下点(眼窩下孔)と外耳道上縁を結んでできる平面であって、個体Hが直立した際に地表とほぼ平行になるとされるフランクフルト平面PLFFと、個体Hの上顎と下顎との咬合平面PLOCCとのなす角度αが測定される。
【0041】
咬合器200は、例えば、図13に示すように、支柱210と、支柱210の下端部に支柱210と直角に配置されるように形成された下弓220と、支柱210の上端部に軸211を中心に回動自在となるように設けられた上弓230とを有している。上弓230には上顎歯列模型を装着するためのマウント部(図示略)を固定するための上固定ネジ232が設けられている。上弓230の先端部には鉛直方向に延びるインサイザルピン233が固定され、インサイザルピン233の先端が下弓220の先端に設けられた受け部材221に当接するようになっている。また、下弓220の上面には、例えば、図14に示すように、上顎歯列模型調整器100を装着することができる。この上顎歯列模型調整器100は、下固定ネジ222により下弓220に固定される。そして、咬合器200において、上弓230は、下弓220と平行となるように調整されており、図13に破線で示されるように、上弓230が個体Hのフランクフルト平面PLFFに見立てられる。
【0042】
次に、上顎歯列模型調整器100において、固定ビス15が緩められ、基準板20の傾き角度(角度表示プレート14に示される)が上記のように測定された角度αになるように、基準板20を搖動支持バー12の軸Lsを中心に搖動させる(図10参照)。そして、固定ビス15を締め付けることにより、基準板20が前記角度αをもって傾いた状態に維持される(図11参照)。この状態で、図15に示すように、支持ピン23を基準板20(調整部21)の載置面21aから所定量だけ突出させて、図16に示す上顎歯列模型50の切歯乳頭に対応する部分IPを支持ピン23にて支持させ、更に、上顎歯列模型50の右ハミュラーノッチに対応した部分HNが右支持バー31aに支持されるとともに左ハミュラーノッチに対応した部分HNが左支持バー31bに支持されるように右スライドプレート30a及び左スライドプレート30bの前後方向の位置が調整される。このとき、上顎歯列模型50の左右方向の中心線Lm(図16参照)が正中基準ピン25及び正中基準プレート25aに合致するように上顎歯列模型50と右支持バー31a及び左支持バー31bとの位置合わせがなされる。
【0043】
このようにして、上顎歯列模型50が、切歯乳頭に対応した部分IP、両ハミュラーノッチに対応した部分HN、HNが支持ピン23、右支持バー31a及び左支持バー31bにて基準板20の上方に支持された状態になる(図15参照)。この状態で、上顎歯列模型50の前後方向の傾きが、基準板20の傾き(角度α)と同じになる。
【0044】
なお、図16に示す上顎歯列模型50は、右中切歯CI、右側切歯LI、右犬歯C、右第1小臼歯PMR1、右第2小臼歯PMR2、右第1大臼歯MR1、右第2大臼歯MR2、左中切歯CI、左側切歯LI、左犬歯C、左第1小臼歯PML1、左第2小臼歯PML2、左第1大臼歯ML1及び左第2大臼歯ML2の全ての歯部がアーチ状に配列されたものある。しかし、上顎歯列模型50は、個体H(歯科医療患者)の上顎に対応したものであって、一または複数の歯部が欠落したものであっても、更に、全ての歯部が欠落したものであってもよい。この場合であっても、切歯乳頭IPが支持ピン23に支持され、上顎歯列模型50の左右方向に延びる直線LHN上に並ぶ両ハミュラーノッチHN、HNが右支持バー31a、左支持バー31bに支持されるように上顎歯列模型50が上顎歯列模型調整器100にセットされ、当該上顎歯列模型50の前後方向の傾きが基準板20の傾き(角度α)と同じになる。
【0045】
次に、上顎歯列模型50のセットされた上顎歯列模型調整器100を咬合器200の下弓220に下固定ネジ222により固定する。そして、上顎歯列模型調整器100の調整ダイヤル16を回転させて基準板20の高さを調整し、上顎歯列模型50を上弓230の上固定ネジ232によって固定されるマウント部231(後述する図17参照)に石膏等によって装着する。この状態で、支持ピン23をスリーブ24から除去するとともに、右固定ネジ33a及び左固定ネジ33bを緩めて右スライドプレート30a及び左スライドプレート30bを後方にスライドさせる。これにより上顎歯列模型50の支持ピン23、右支持バー31a及び左支持バー31bによる支持が解除される。その結果、上顎歯列模型50と基準板20とが同じ傾き(測定された角度α)にて、上顎歯列模型50が咬合器200の上弓230に、基準板20(上顎歯列模型調整器100)が咬合器200の下弓220に設置された状態になる。
【0046】
そして、上顎歯列模型調整器100の調整ダイヤル16を回転させて基準板20を上昇させ、図17に示すように、上顎歯列模型50の歯列部の端面を基準板20(調整部21)の載置面21aに当接させる。なお、全ての歯部が欠落した上顎歯列模型50の場合、上顎歯列模型50と基準板20(調整部21)の載置面21aとの間に所定の隙間(補綴物や義歯等が形成されるべき隙間)が形成されるように基準板20の高さ調整がなされる。
【0047】
その後、咬合器200の上弓230に設置された上顎歯列模型50の歯列部分が、基準板20(調整部21)の球状凹面となる載置面21aを基準にして調整される。具体的には、上弓230に設置された上顎歯列模型50全体の前後方向や左右方向の位置合わせをはじめ、各歯部の高さ(長さ)や傾きの調整、また、上顎歯列の前から見たところの左右のバランスの調整等の各種調整がなされる。更に、その球状凹面となる載置面21aを基準にして上顎歯列模型50の歯列部分の診断を行うことができる。
【0048】
上述したような上顎歯列模型調整器100では、基準板20(調整部21)の球状凹面である載置面21aの最下点PLWに対応した位置にて上顎歯列模型50の左右方向となるべき方向に延びる搖動支持バー12の軸Lsを中心にして当該基準板20が搖動することができ、また、その搖動によって傾いた状態で基準板20が維持されるので、咬合器200の上弓230に対して所望の角度に傾かせた状態の基準板20における球状凹面を基準にして上顎歯列模型50の調整及び診断を行うことができるようになる。
【0049】
特に、基準板20の球状凹面となる載置面21aの最下点PLWに対応した位置にて搖動支持バー12の軸Lsを中心にして当該基準板20が搖動するので(図10参照)、その最下点PLWを挟んだ当該球状凹面の前後方向の部分をバランスよく傾かせることができる。
【0050】
そして、個体Hの上顎と下顎との咬合平面PLOCCとフランクフルト平面PLFFとのなす角度αが個体Hの顎部を含む頭部のX線規格写真画像(セファロX線写真画像)から測定され、その測定された角度αとなるように咬合器200の下弓220に設置される上顎歯列模型100の基準板20が傾かされるとともに、咬合器200の上弓230に対する上顎歯列模型50の前後方向の傾きが上記測定された角度αとなる状態で上顎歯列模型50が咬合器200の上弓230に設置され、そして、その状態で、上顎歯列模型50が基準板20の球状凹面(載置面21a)を基準にして調整される。従って、基準板20の傾きと、上顎歯列模型50の傾きとの双方が、個体Hの上顎と下顎との咬合平面PLOCCとフランクフルト平面PLFFとのなす角度αに調整された状態で、上顎歯列模型50を基準板20の球状凹面を基準にして調整できるようになる。その結果、咬合器200において個体H(人)の頭の骨(フランクフルト平面PLFF)に対する上顎の相対的な位置関係(角度α)をより忠実に再現して、各個体Hに適した上顎歯列模型50の調整が容易にできるようになる。
【0051】
なお、個体Hの咬合平面PLOCCとフランクフルト平面PLFFとのなす角度αは、X線写真規格画像から測定されるだけでなく、他の手法によって測定されるものでもよい。
【0052】
また、前述した上顎歯列模型の調整及び診断の例では、基準板20(調整部21)の載置面21aが球状凹面に形成され、その球状凹面の最下点PLWに対応する位置に配置される搖動支持バー12の軸Lsを中心に搖動して、基準板20が傾斜した状態を維持できるようにした上顎歯列模型調整器が用いられたが、前記基準板20が球状凹面ではなく、例えば、平面形状となり、その基準板の所定位置にて上顎歯列模型の左右方向となるべき方向に延びる軸を中心にして当該基準板が搖動自在となって、その基準板が傾斜した状態を維持できるような構造の上顎歯列模型調整器を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る上顎歯列模型調整器は、各個体に適した上顎歯列模型の調整や診断が可能となるという効果を有し、また、本発明に係る上顎歯列調整方法は、その上顎歯列模型調整器を用いて、各個体に適した上顎歯列模型の調整が容易にできるという効果を有し、それぞれ、上顎歯列模型を構築、調整、診断等に用いられる上顎歯列模型調整器及びその上顎歯列模型を作る際の歯列模型調整方法として有用である。
【符号の説明】
【0054】
10 支持台
11 支持プレート
12 搖動支持バー
13 ブラケット
14 角度指示プレート
14a 弧状長孔
15 固定ネジ
15a 押えフランジ
16 調整ダイヤル
17 指示針
20 基準板
21 調整部
21a 載置面
22 スライド支持部
23 支持ピン
24 スリーブ
25 正中基準ピン
25a 正中基準プレート
30a 右スライドプレート
30b 左スライドプレート
31a 右支持バー
31b 左支持バー
32a 右支持ブロック
32b 左支持ブロック
33a 右固定ネジ
33b 左固定ネジ
34a 右長孔
34b 左長孔
50 上顎歯列模型
100 上顎歯列模型調整器
200 咬合器
210 支柱
211 軸
220 下弓
221 受け部
222 下固定ネジ
230 上弓
231 上顎マウント部
232 上固定ネジ
233 インサイザルピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上顎歯列模型の載置される面が球状凹面となる基準板と、
前記基準板の球状凹面の最下点に対応した位置にて前記上顎歯列模型の左右方向となるべき方向に延びる軸を中心にして当該基準板を搖動自在に支持する基準板支持機構と、
前記軸を中心にして搖動されて傾いた状態で前記基準板支持機構により支持された前記基準板の当該傾き状態を維持させる傾き維持機構とを有する上顎歯列模型調整器。
【請求項2】
前記基準板支持機構により支持される前記基準板の傾き角度を表示する角度表示器を有する請求項1記載の上顎歯列模型調整器。
【請求項3】
前記基準板と一体となり、当該基準板の上方に位置するように前記上顎歯列模型を支持し、前記上顎歯列模型の支持の解除が可能な上顎歯列模型支持機構を有する請求項1または2記載の上顎歯列模型調整器。
【請求項4】
前記上顎歯列模型支持機構は、前記上顎歯列模型の切歯乳頭に対応する位置を支持する支持ピンと、
前記上顎歯列模型の左右のハミュラーノッチに対応する位置を支持する支持バーとを有する請求項3記載の上顎歯列模型調整器。
【請求項5】
個体の上顎と下顎との咬合平面とフランクフルト平面とのなす角度を測定する角度測定ステップと、
上顎歯列模型の載置される面を有する基準板と、前記基準板の所定位置にて前記上顎歯列模型の左右方向となるべき方向に延びる軸を中心にして当該基準板を搖動自在に支持する基準板支持機構と、前記軸を中心にして搖動されて傾いた状態で前記基準板支持機構により支持された前記基準板の当該傾き状態を維持させる傾き維持機構とを有する上顎歯列模型調整器を用い、咬合器の下弓に設置される前記上顎歯列模型調整器における前記基準板の傾きの角度が前記測定された角度となるように、前記軸を中心にして前記基準板を搖動させて傾かせた状態で維持させる基準板傾き設定ステップと、
前記咬合器の上弓に対する上顎歯列模型の前後方向の傾きが、前記測定された角度となる状態にて、前記咬合器の上弓に前記上顎歯列模型を設置する上顎歯列模型設置ステップと、
前記咬合器の前記上弓に設置された前記上顎歯列模型の歯列を前記基準板の前記面を基準にして調整する調整ステップとを有する上顎歯列模型調整方法。
【請求項6】
前記基準板と一体となり、当該基準板の上方に位置するように前記上顎歯列模型を支持し、前記上顎歯列模型の支持の解除が可能な上顎歯列模型支持機構を更に有する前記上顎歯列模型調整器を用い、
前記上顎歯列模型支持機構にて前記上顎歯列模型を支持した状態で、前記基準板の傾きの角度が前記測定された角度となるように、前記軸を中心にして前記基準板を搖動させて傾かせた状態で維持させ、その状態で、前記上顎歯列模型を前記咬合器の上弓に設置し、前記上顎歯列模型支持機構の前記上顎歯列模型の支持を解除させることにより、上記基準板傾き設定ステップと、前記上顎歯列模型設置ステップとを行う請求項5記載の上顎歯列模型調整方法。
【請求項7】
個体の上顎と下顎との咬合平面とフランクフルト平面とのなす角度を測定する角度測定ステップと、
咬合器の下弓に設置される請求項1乃至4のいずれかに記載の上顎歯列模型調整器における前記基準板の傾きの角度が前記測定された角度となるように、前記軸を中心にして前記基準板を搖動させて傾かせた状態で維持させる基準板傾き設定ステップと、
前記咬合器の上弓に対する上顎歯列模型の前後方向の傾きが、前記測定された角度となる状態にて、前記咬合器の上弓に前記上顎歯列模型を設置する上顎歯列模型設置ステップと、
前記咬合器の前記上弓に設置された前記上顎歯列模型の歯列を前記基準板の球状凹面を基準にして調整する調整ステップとを有する上顎歯列模型調整方法。
【請求項8】
請求項3または4記載の上顎歯列模型調整器を用い、
前記上顎歯列模型支持機構にて前記上顎歯列模型を支持した状態で、前記基準板の傾きの角度が前記測定された角度となるように、前記軸を中心にして前記基準板を搖動させて傾かせた状態で維持させ、その状態で、前記上顎歯列模型を前記咬合器の上弓に設置し、前記上顎歯列模型支持機構の前記上顎歯列模型の支持を解除させることにより、上記基準板傾き設定ステップと、前記上顎歯列模型設置ステップとを行う請求項7記載の上顎歯列模型調整方法。
【請求項9】
前記角度測定ステップは、個体の頭部のX線規格写真画像から前記咬合平面と前記フランクフルト平面とのなす角度を測定する請求項5乃至8のいずれかに記載の上顎歯列模型調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−52169(P2013−52169A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193807(P2011−193807)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(505226840)
【Fターム(参考)】