説明

下半身に補整機能を有する衣料

【課題】 極めてシンプルな構成でありながら補整機能を充分に発揮する下半身に補整機能を有する衣料を提供すること。
【解決手段】 太股内側から臀部を経て下腹部を覆うようにほぼスパイラル状に延びる左右一対の補整パーツ2,2が他のパーツ間に設けられており、また、前記補整パーツ2,2が、その長手方向に伸縮性を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、ガードルやスポーツ用ボトム等として用いるのに適した下半身に補整機能を有する衣料に関する。
【背景技術】
【0002】
下半身にボディーラインを補整する補整機能(例えばヒップアップ機能等)を有する従来の衣料として、弾力性のある当て布等を例えばガードルの適宜の位置に縫合し、これによって、前記補整機能を発揮させるように構成されたものがある。
【特許文献1】特開2004−169255号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来の衣料では、前記当て布等を用いるので、それだけ生地が余分に必要となって製造コストが上昇する他、前記当て布等を縫合した部位が多重構造となることにより、多重構造部分を構成する生地どうしが相互の摩擦により短期間で磨耗する、着用感が悪くなる、洗濯後の乾燥に時間がかかる等の問題が生じるおそれがあった。
【0004】
この発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、極めてシンプルな構成でありながら補整機能を充分に発揮する下半身に補整機能を有する衣料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の下半身に補整機能を有する衣料は、太股内側から臀部を経て下腹部を覆うようにほぼスパイラル状に延びる左右一対の補整パーツが他のパーツ間に設けられており、また、前記補整パーツが、その長手方向に伸縮性を有していることを特徴としている(請求項1)。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に係る発明では、他のパーツ間に設けられる補整パーツを備えたことにより、極めてシンプルな構成でありながら補整機能を充分に発揮する下半身に補整機能を有する衣料が得られる。すなわち、この発明で用いる補整パーツは、衣料の外側または内側に縫合されて取り付けられるものではなく、衣料を構成する他のパーツ間に設けられるものである。換言すれば、前記補整パーツは、衣料を構成するパーツでありながら補整機能を担うパーツに兼用されるものである。そのため、この発明によれば、従来の衣料のように衣料を構成するパーツとは別に補整機能を発揮させるための当て布等のパーツを用意する必要がなく、衣料を構成するパーツのみを用いることができるので、多重構造部分等が形成されない極めてシンプルな構造の衣料を提供することができる。しかも、この発明の衣料では、多重構造部分が形成されないので、生地が余分に必要となって製造コストが上昇する、多重構造部分を構成する生地どうしが相互の摩擦により短期間で磨耗する、着用感が悪くなる、洗濯後の乾燥に時間がかかる等の種々の不具合が生じるのを確実に防止することができ、これらの点でも優れた衣料が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1(A)および(B)は、本発明の一実施の形態に係る下半身に補整機能を有する衣料(以下、衣料という)1の構成を概略的に示す正面図および背面図、図2は、前記衣料1を構成する各部の構成を概略的に示すパターン図である。図1(A)および(B)に示すように、この実施の形態に係る衣料1はガードルであり、衣料1は、太股内側から臀部を経て下腹部を覆うようにほぼスパイラル状に延びる左右一対の補整パーツ2,2を備え、各補整パーツ2は特殊なカットラインに基づく縫製により他のパーツ間に組み込まれた状態で設けられる。
【0008】
詳しく説明すると、図2に示すように、補整パーツ2は、一本のほぼテープ状に形成され、上縁2a、下縁2b、第一縁2cおよび第二縁2dを有しており、第二縁2dは、バックピース6(後述する)が縫着される上側部分2eと、内股用パーツ5(後述する)が縫着される下側部分2fとから構成されている。
【0009】
また、図1(A)および図2において、3は腹部中央を覆うほぼ菱形状のセンターパーツであり、上縁3a、左右の斜上縁3b,3bおよび左右の下縁3c,3cを有している。そして、センターパーツ3の左右の斜上縁3b,3bは、センターパーツ3の左右に配置される前記補整パーツ2,2の各第一縁2cの上部に縫着される。
【0010】
一方、図1(A)および図2において、4,4は前記補整パーツ2,2の各第一縁2cに沿って設けられた一対の螺旋パーツである(図2では、図1(A)における右側の螺旋パーツ4の図示を省略してある)。そして、各螺旋パーツ4は一本のほぼテープ状で、太股をほぼスパイラル状に覆うように構成されており、斜上縁4a、下縁4b、第一縁4cおよび第二縁4dを有している。なお、螺旋パーツ4,4の各斜上縁4aは前記センターパーツ3の左右の下縁3bに縫着され、各第二縁4dは補整パーツ2,2の各第一縁2cに縫着される。
【0011】
また、図1(A)および図2において、5,5は前記螺旋パーツ4,4の各第一縁4cに沿って設けられた一対の内股用パーツである(図2では、図1(A)における右側の内股用パーツ5の図示を省略してある)。そして、各内股用パーツ5は内股(太股の内側部)を覆うように構成されており、上縁5a、下縁5b、第一縁5c、第二縁5dおよび第三縁5eを有している。なお、内股用パーツ5,5の各上縁5aは互いに縫着され、各第一縁5cは補整パーツ2,2の各第二縁2dの下側部分2fに縫着され、各第二縁5dは螺旋パーツ4,4の各第一縁4cに縫着される。
【0012】
他方、図1(B)および図2において、6,6は前記補整パーツ2,2の各第二縁2cの上側部分2eに沿って設けられた一対のバックパーツである(図2では、図1(B)における左側のバックパーツ6の図示を省略してある)。そして、各バックパーツ6は臀部を覆うように構成されており、上縁6a、下縁6b、第一縁6cおよび第二縁6dを有している。なお、バックパーツ6,6の各第二縁6dは互いに縫着され、各第一縁6cは前記補整パーツ2,2の各第二縁2dの上側部分2eに縫着される。
【0013】
また、図1(A)および(B)並びに図2において、7は股布部であり、湾曲状の前縁7aと、ほぼ直線状の後縁7bとを有している。そして、股布部7の前縁7aは内股用パーツ5,5の各第三縁5eに縫着され、後縁7bの中央部はバックパーツ6,6の各下縁6bに、サイド部は補整パーツ2,2の各第二縁2dの下側部分2fの上部に縫着される。
【0014】
なお、図1(A)および(B)において、8はフリルである。
【0015】
そして、図2に示すように、前記補整パーツ2,2はその長手方向(符号Pで示す方向)に伸縮性を有し、螺旋パーツ4、内股用パーツ5およびバックパーツ6はそれぞれ左右方向(符号Qで示す方向)に伸縮性を有している。そのため、衣料1を着用したときに、前記補整パーツ2,2に前記長手方向の緊張力が付与され、これにより、臀部が適宜に持ち上げられてヒップアップ機能が発揮されるとともに、太股内側の肉が後側に引っ張られて太股をすっきり見せるという機能も発揮されることになる。
【0016】
なお、この発明は上記の実施の形態に限られず、種々に変形して実施することができる。例えば、衣料1は、ガードルに限られず、例えばスキー等のスポーツ用のボトムであってもよい。
【0017】
また、前記補整パーツ2,2以外の衣料1を構成するパーツどうしを適宜に一体化してあってもよい。例えば、上記実施の形態では、螺旋パーツ4と内股用パーツ5とを別体としてあるが、これら4,5を最初から一体としてあってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(A)および(B)は、本発明の一実施の形態に係る下半身に補整機能を有する衣料の構成を概略的に示す正面図および背面図である。
【図2】前記衣料を構成する各部の構成を概略的に示すパターン図である。
【符号の説明】
【0019】
1 下半身に補整機能を有する衣料
2 補整パーツ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太股内側から臀部を経て下腹部を覆うようにほぼスパイラル状に延びる左右一対の補整パーツが他のパーツ間に設けられており、また、前記補整パーツが、その長手方向に伸縮性を有していることを特徴とする下半身に補整機能を有する衣料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−214040(P2006−214040A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−28429(P2005−28429)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(594152929)株式会社タカギ (3)
【Fターム(参考)】