不快グレア評価方法及び不快グレア評価プログラム
【課題】適切に不快グレアを評価できる不快グレア評価方法及び不快グレア評価プログラムを提供する。
【解決手段】実施形態によれば、情報入手工程と、算出工程と、を含む不快グレア評価方法が提供される。前記算出工程は、照明器具の発光部の平均輝度Laに関する平均輝度情報と、前記発光部の輝度均斉度Uに関する輝度均斉度情報と、前記発光部の大きさωに関する発光部大きさ情報と、前記照明器具の背景輝度Lbに関する背景輝度情報と、を入手する。前記算出工程は、前記情報入手工程で入手した前記平均輝度Laと、前記輝度均斉度Uと、前記発光部大きさωと、前記背景輝度Lbに基づいて、前記Laに基づく値と、前記Uに基づく値と、前記ωに基づく値との積を、前記Lbに基づく値で除した評価パラメータ値を算出する。
【解決手段】実施形態によれば、情報入手工程と、算出工程と、を含む不快グレア評価方法が提供される。前記算出工程は、照明器具の発光部の平均輝度Laに関する平均輝度情報と、前記発光部の輝度均斉度Uに関する輝度均斉度情報と、前記発光部の大きさωに関する発光部大きさ情報と、前記照明器具の背景輝度Lbに関する背景輝度情報と、を入手する。前記算出工程は、前記情報入手工程で入手した前記平均輝度Laと、前記輝度均斉度Uと、前記発光部大きさωと、前記背景輝度Lbに基づいて、前記Laに基づく値と、前記Uに基づく値と、前記ωに基づく値との積を、前記Lbに基づく値で除した評価パラメータ値を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、不快グレア評価方法及び不快グレア評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具や照明環境の照明設計を行う際には、不快グレア(Discomfort glare)を適切に評価し、良好なグレア特性を得ることが重要である。不快グレアの評価方法について種々の方法が提案されている。
【0003】
LED(Light Emitting Diode)などの半導体発光素子を用いた照明器具が開発されている。このような新しい照明器具に関しても適切に不快グレアを評価する手法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3800303号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Publication CIE No.117: Discomfort glare in interior lighting , Commission Internationale de l'Eclairage,1995
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、適切に不快グレアを評価できる不快グレア評価方法及び不快グレア評価プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によれば、情報入手工程と、算出工程と、を含む不快グレア評価方法が提供される。前記情報入手工程は、照明器具の発光部の平均輝度Laに関する平均輝度情報と、前記発光部の輝度均斉度Uに関する輝度均斉度情報と、前記発光部の大きさωに関する発光部大きさ情報と、前記照明器具の背景輝度Lbに関する背景輝度情報と、を入手する。前記算出工程は、前記情報入手工程で入手した前記平均輝度Laと、前記輝度均斉度Uと、前記発光部大きさωと、前記背景輝度Lbに基づいて、前記Laに基づく値と、前記Uに基づく値と、前記ωに基づく値との積を、前記Lbに基づく値で除した評価パラメータ値を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る不快グレア評価方法が適用される照明環境を示す模式図である。
【図2】第1の実施形態に係る不快グレア評価方法が適用される照明環境を示す模式図である。
【図3】図3(a)〜図3(d)は、第1の実施形態に係る不快グレア評価方法が適用される照明器具を示す模式図である。
【図4】第1の実施形態に係る不快グレア評価方法で用いられる位置指数を示す表である。
【図5】不快グレアに関する実験で用いた評価環境を示す模式図である。
【図6】図6(a)〜図6(l)は、不快グレアに関する実験で用いた照明器具を示す模式図である。
【図7】図7(a)〜図7(l)は、不快グレアに関する実験で用いた照明器具を示す模式図である。
【図8】不快グレアに関する実験で用いた照明器具の特性を示す模式図である。
【図9】図9(a)及び図9(b)は、不快グレアの評価実験の状態を示す模式図である。
【図10】不快グレアの評価実験の主観評価値を示す図である。
【図11】図11(a)及び図11(b)は、評価値UGRとUGR判定値との関係を示す図である。
【図12】不快グレアに関する実験結果を示すグラフ図である。
【図13】不快グレアに関する実験結果を示すグラフ図である。
【図14】第1の実施形態に係る不快グレア評価方法による評価結果を示すグラフ図である。
【図15】第1の実施形態に係る不快グレア評価方法を示すフローチャート図である。
【図16】第1の実施形態に係る不快グレア評価方法を実施可能な不快グレア評価装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る不快グレア評価方法が適用される照明環境を例示する模式図である。
図1に表したように、本実施形態に係る不快グレア評価方法が適用される照明環境250(luminous environment)は、例えば、室内である。室内(照明環境250)の天井251に、照明器具210が設けられている。室内の床253に、観測者101が居る。観測者101の視線104(line of sight)は、観測者101の視点102と、観測者101の注視点103と、を結ぶ。
【0011】
視点102と照明器具210との間の、視線104の方向に沿った距離を視線上距離Rとする。視線104と照明器具210との間の、水平方向に沿った距離を水平距離Tとする。視線104と照明器具210との間の、垂直方向に沿った距離を垂直距離Hとする。
【0012】
例えば、照明器具210の発光部220(発光面)の輝度が、輝度L(cd/m2:カンデラ/平方メートル)とされる。照明器具210の周囲の背景の輝度が、背景輝度Lb(cd/m2)とされる。照明器具210の大きさは、例えば立体角で表される。すなわち、発光部220の大きさ(立体角)が、大きさω(sr:ステラジアン:steradian)とされる。
【0013】
図2は、第1の実施形態に係る不快グレア評価方法が適用される照明環境を例示する模式図である。
図2に表したように、例えば、視点102と注視点103とを結ぶ視線104は、水平面253a(Horizontal plane)に対して平行である。
【0014】
例えば、観測者101から見たときの、水平方向に対して平行な軸をX軸とする。観測者101から見たときの、上下方向に対して平行な軸をY軸とする。X軸とY軸とに対して垂直な軸をZ軸方向とする。
【0015】
視点102から見て、照明器具210の発光部220の中心(照明器具中心221:centre of luminaire)の位置は、視線上距離Rと、水平距離Tと、垂直距離Hと、で表される。例えば、視線104と照明器具中心221との間の、X軸に沿った距離が、水平距離Tに相当する。視線104と照明器具中心221との間の、Y軸に沿った距離が、垂直距離Hに相当する。視線104と照明器具中心221との間の、視線104の方向に沿った距離(例えばZ軸に沿った距離)が、視線上距離Rに相当する。
【0016】
本実施形態に係る不快グレア評価方法においては、照明器具210の発光部220の平均輝度Laと、輝度均斉度Uと、が用いられる。以下、これらのパラメータの例について説明する。
【0017】
図3(a)〜図3(d)は、第1の実施形態に係る不快グレア評価方法が適用される照明器具を例示する模式図である。
図3(a)は、第1例210aの照明器具210の平面図である。図3(b)は、第1例210aの照明器具210の特性を例示するグラフ図である。図3(c)は、第2例210bの照明器具210の平面図である。図3(d)は、第2例210bの照明器具210の特性を例示するグラフ図である。
【0018】
ここで、照明器具210の発光部220(発光面)に対して垂直な軸をZd軸とする。Zd軸に対して垂直な1つの軸をXd軸とする。Zd軸とXd軸とに対して垂直な軸をYd軸とする。
【0019】
図3(b)及び図3(d)は、それぞれ、第1例210a及び第2例210bの照明器具210におけるXd軸に沿った輝度を例示している。これらの図の横軸は、Xd軸に沿った位置である。縦軸は、輝度B1(任意単位)である。
【0020】
図3(a)に表したように、第1例210aの照明器具210は、複数の光源230を有する。複数の光源230は、例えばLEDである。複数の光源230はXd軸に沿って並ぶ。複数の光源230のそれぞれの輝度は、比較的高い。
【0021】
図3(b)に表したように、複数の光源230を有する第1例210aにおいては、Xd軸に沿って、輝度B1が大きく変化する。すなわち、複数の光源230の位置に応じた位置で、輝度B1は、最大輝度B1xとなる。すなわち、第1例210aにおいては、輝度B1の均斉度が低い。
【0022】
一方、図3(c)に表したように、第2例210bの照明器具210は、1つの光源230を有する。その光源230は、例えば蛍光管FLである。光源230がXd軸に沿って延在している。
【0023】
図3(d)に表したように、1つの光源230を有する第2例210bにおいては、Xd軸に沿った輝度B1の変化は小さい。すなわち、輝度B1は、Xd軸に沿って実質的に一定である。すなわち、第2例210bにおいては、輝度B1の均斉度が高い。
【0024】
このように、照明器具210の構成によって、輝度B1の状態(例えば均斉度)は大きく変化する。
後述するように、本願発明者は、照明器具210の輝度の均斉度によって、ヒトが感じる不快グレア(例えば、まぶしさ)の程度が変化することを初めて見出した。この現象に基づいて、本実施形態に係る不快グレア評価方法では、輝度均斉度Uを用いて不快グレアを評価する。
【0025】
本実施形態において、照明器具210の発光部220の輝度均斉度U(無次元の値)は、例えば、U=B1a/B1xで表される。ここで、図3(b)及び図3(d)に表したように、平均輝度B1aは、照明器具210の発光部220における輝度B1の平均値である。最大輝度B1xは、発光部220の輝度B1の最大値である。
【0026】
なお、評価対象の照明器具210によっては、輝度B1の最大値が定義し難い場合がある。この場合には、図3(b)及び図3(d)に表したように、輝度B1のピーク値と最小値B1mとの差に所定の値を乗じた幅ΔB1を用いて最大輝度B1xを定めても良い。例えば、幅ΔB1は、輝度B1のピーク値と最小値B1mとの差の10%である。このとき、最大輝度B1xは、ピーク値と最小値B1mとの差の90%の値と、最小値B1mと、の和である。または、例えば、幅ΔB1は、輝度B1のピーク値と最小値B1mとの差の20%である。このとき、最大輝度B1xは、ピーク値と最小値B1mとの差の80%の値と、最小値B1mと、の和である。
【0027】
このように定められた最大輝度B1xと、平均輝度B1aと、を用いて、輝度均斉度Uが、例えば、U=B1a/B1xと定められる。照明器具210の発光部220の輝度の均斉度が高いときに、輝度均斉度Uの値は大きい。輝度の均斉度が低いときに、輝度均斉度Uの値は小さい。
【0028】
本実施形態に係る不快グレア評価方法においては、発光部220の輝度Lとして、平均輝度La(上記の平均輝度B1aと同じ)と、輝度均斉度Uと、が用いられる。これらの値と、背景輝度Lbと、発光部220の大きさωと、に基づいて、不快グレアに関する評価パラメータ値が算出される。
【0029】
すなわち、本実施形態においては、この評価パラメータ値は、平均輝度La、輝度均斉度U、発光部大きさω、及び、背景輝度Lbに基づいて、算出される。具体的には、評価パラメータ値は、Laに基づく値と、Uに基づく値と、ωに基づく値との積を、Lbに基づく値で除した値である。そして、本不快グレア評価方法では、例えば、この評価パラメータ値に基づく値を出力する。
【0030】
これにより、LEDを用いた新しい照明器具210などにおいても適切に不快グレアを評価できる。
【0031】
本実施形態に係る不快グレア評価方法においては、照明器具210が設けられる照明環境250に関する環境情報と、照明環境250における視点102に関する視点情報と、をさらに用いることができる。そして、環境情報と視点情報とに基づいて、i番目(iは1以上の整数)の照明器具210に関する予め定められた位置指数pi(position index)に関する情報をさらに用いることができる。
【0032】
位置指数piは、視線上距離Rと、水平距離Tと、垂直距離Hと、によって予め定められる。
【0033】
図4は、第1の実施形態に係る不快グレア評価方法で用いられる位置指数を例示する表である。
図4に表したように、照明器具210の位置(照明器具中心221の位置)に対応する、T/Rの値と、H/Rの値と、に応じて、位置指数pが定められる。すなわち、i番目の照明器具210のT/Rの値及びH/Rの値に応じて、位置指数piが定められる。図4に記載されたT/R値どうしの間の値、及び、図4に記載されたH/R値どうしの間の値、に関する位置指数piに関しては、図4に記載された値を補間した値を用いる。この補間には、例えば、線形補間及びラグランジェ補間のいずれかを用いる。
【0034】
そして、i番目(iは1以上の整数)の照明器具210に関しての、発光部220の平均輝度Li(cd/m2)、発光部220の輝度均斉度Ui(無次元の値)、発光部220の大きさωi(sr)、位置指数pi(無次元の値)、及び、i番目の照明器具210の周囲の背景背景輝度Lb(cd/m2)を用いて、以下の第1式により、評価パラメータ値Yが算出される。
【0035】
【数1】
第1式において、A、B、a、b、c、d、k、n、const1及びconst2は、定数であり、a、b、c、d、k及びnは、0以上10以下である。「・」は乗算を表す。
これにより、LEDを用いた新しい照明器具210などにおいても適切に不快グレアを評価できる。
【0036】
以下、本実施形態に係る不快グレア評価方法の構成を創出する基となった実験について説明する。
【0037】
図5は、不快グレアに関する実験で用いた評価環境を例示する模式図である。
図5に表したように、本実験では、評価環境(照明環境250)として、奥行き(Z軸に沿った長さ)が5.0メートル(m)で、幅(X軸に沿った長さ)が2.4mで、高さ(Y軸に沿った長さ)が2.4mの室内が用いられた。
【0038】
照明環境250の天井251の反射率は82%であり、床253の反射率は20%である。壁252の状態として、高反射状態(反射率が82%)と、低反射状態(反射率が51%)と、の2種類が用いられた。
【0039】
照明器具210として、後述するように、12種類の照明器具が用いられた。12種類の照明器具210のそれぞれについて、照明環境250の天井251の3箇所に照明器具210が設置された。
【0040】
観測者101の位置は、第1位置Pseと、第2位置Pscと、の2種類が用いられた。第1位置Pseは、照明環境250のうちで出入り口254に近い位置である。第2位置Pscは、照明環境250の床253の中央部の位置である。観測者101の視線104は、水平(X−Y平面に対して平行)とし、視線104の高さは、1.2mとした。
【0041】
観測者101となる被験者は、18人(日本人)であり、女性9名であり、男性9名である。
【0042】
図6(a)〜図6(l)及び図7(a)〜図7(l)は、不快グレアに関する実験で用いた照明器具を例示する模式図である。
図6(a)、図6(c)、図6(e)、図6(g)、図6(i)、図6(k)、図7(a)、図7(c)、図7(e)、図7(g)、図7(i)及び図7(k)は平面図である。図6(b)、図6(d)、図6(f)、図6(h)、図6(j)、図6(l)、図7(b)、図7(d)、図7(f)、図7(h)、図7(j)及び図7(l)は断面図である。
【0043】
図6(a)及び図6(b)に表したように、第1サンプルS01の照明器具210は、蛍光管FLの光源230を有し、下面開放型で、天井251への埋め込み器具(recessed luminaire)である。発光の色は昼白色(neutral white)である。
【0044】
図6(c)及び図6(d)に表したように、第2サンプルS02の照明器具210は、蛍光管FLの光源230を有し、下面開放型で、埋め込み器具である。発光の色は電球色(warm white)である。
【0045】
図6(e)及び図6(f)に表したように、第3サンプルS03の照明器具210は、蛍光管FLの光源230を有し、OAルーバ型で、埋め込み器具である。
【0046】
図6(g)及び図6(h)に表したように、第4サンプルS04の照明器具210は、光源230が蛍光管FLであり、乳白(diffused shade)パネル型で、埋め込み器具である。
【0047】
図6(i)及び図6(j)に表したように、第5サンプルS05の照明器具210は、蛍光管FLの光源を有し、逆富士型(wide angle luminaire type)で、天井251への直付け器具(surface mounted luminare)である。
【0048】
図6(k)及び図6(l)に表したように、第6サンプルS06の照明器具210は、複数のLEDの光源230を有し、透明アクリルパネル型で、直付け器具である。
【0049】
図7(a)及び図7(b)に表したように、第7サンプルS07の照明器具210は、複数のLEDの光源230を有し、透明アクリルパネル型で、埋め込み器具である。第7サンプルS07における光源230の配設ピッチは、第6サンプルS06よりも短い。第7サンプルS07における光源230の密度は、第6サンプルS06よりも高い。
【0050】
図7(c)及び図7(d)に表したように、第8サンプルS08の照明器具210は、複数のLEDの光源230を有し、乳白パネル型で、直付け器具である。
【0051】
図7(e)及び図7(f)に表したように、第9サンプルS09の照明器具210は、複数のLEDの光源230を有し、透明アクリルパネル型で、埋め込み器具である。
【0052】
図7(g)及び図7(h)に表したように、第10サンプルS10の照明器具210は、複数のLEDの光源230を有し、白色ルーバ型で、埋め込み器具である。
【0053】
図7(i)及び図7(j)に表したように、第11サンプルS11の照明器具210は、複数のLEDの光源230を有し、鏡面ルーバ型で、埋め込み器具である。
【0054】
図7(k)及び図7(l)に表したように、第12サンプルS12の照明器具210は、複数のLEDの光源230を有し、ライン型で、埋め込み器具である。
【0055】
以上のような12種類の照明器具210のそれぞれが、照明環境250の天井251の3箇所に設置された。
【0056】
図8は、不快グレアに関する実験で用いた照明器具の特性を示す模式図である。
図8は、第1〜第12サンプルS01〜S12の照明器具210の平均照度Eave(lx:ルクス)を示している。既に説明したように、この実験では、壁252の反射率Rfwが82%の条件と、反射率Rfwが51%の条件と、の2種類の条件において評価が行われた。図8には、この2つの条件における、第1〜第12サンプルS01〜S12の照明器具210の平均照度Eaveが示されている。
【0057】
図9(a)及び図9(b)は、不快グレアの評価実験の状態を例示する模式図である。 図9(a)は、観測者101の位置が第1位置Pse(出入り口254に近い位置)である場合の状態を示している。図9(b)は、観測者101の位置が第2位置Psc(床253の中央部の位置)である場合の状態を示している。そして、上記の12種類の照明器具210が配置され、その時の不快グレアに関して主観評価を行った。
【0058】
図10は、不快グレアの評価実験の主観評価値を例示する図である。
図10に表したように、主観評価においては、不快グレアの程度に関する主観評価値Esub(7〜31)を用いた。すなわち、主観評価値Esubは、不快グレアを感じない場合は7、感じ始める場合は10、感じられる場合は13、気になり始める場合は16、気になる場合は19、不快に感じ始める場合は22、不快である場合は25、ひどすぎると感じ始める場合は28、ひどすぎる場合は31である。
【0059】
12種類の照明器具210(第1〜第12サンプルS01〜S12)に関して、2種類の評価位置(第1位置Pseと第2位置Psc)と、2種類の内装条件(壁252の反射率Rfwが82%または51%)と、の条件の計48の条件について、観測者101(被験者)のそれぞれが主観評価を行った。被験者のそれぞれが、主観評価値Esub(個人主観評価値Esubp)を回答した。そして、被験者のそれぞれの個人主観評価値Esubpを平均した値を、48の条件のそれぞれの、主観評価値Esubaとした。
【0060】
一方、参考例の不快グレア評価方法として、以下の第2式で表される評価値UGR(Unified Glare Rating)を求めた。
【0061】
【数2】
ここで、Lは、照明器具210の発光部220(発光面)の輝度であり、ここでは、平均輝度Laを用いた。Lbは、背景輝度である。ωは、照明器具210の発光部220の立体角(大きさ)である。pは、照明器具210の位置指数であり、図4に例示した値を用いた。
【0062】
そして、求められた評価値UGRが、主観評価値Esubと対応するように、変換後評価値UGRgを用いた。UGRg=UGR−3である。すなわち、上記の評価値UGRは、日本人以外の被験者による実験式に基づいて定められた値である。そのため、被験者が日本人である場合には、主観結果と評価値UGRとの値とが必ずしも一致しないことが知られている。これを補正するために、変換が行われた。
【0063】
図11(a)及び図11(b)は、評価値UGRとUGR判定値との関係を例示する図である。
これらの図は、日本人に関しての評価値UGRとUGR判定値(UGRj)との関係を例示しており、屋内作業場の照明基準設計ガイド(JCIE、2009)に記載されている評価値UGRとUGR判定値との関係に対応している。これらの図から分かるように、日本人においては、(UGR−3)をUGR判定値(UGRj)として用いることが適切である。
【0064】
このことから、本実験においては、主観評価結果(主観評価値Esuba)と、変換後評価値UGRg(=UGR−3)と、の関係について評価を行った。以下、簡単のために、「変換後評価値UGRg」を単に「UGRg値」と言うことにする。
【0065】
図12は、不快グレアに関する実験結果を例示するグラフ図である。
図12の横軸は、UGRg値(=UGR−3)であり、縦軸は、主観評価値Esubaである。
図12中の斜め線301は、Esuba=UGRgの関係の直線である。例えば、斜め線301よりも上に位置する点は、UGRg値から予測されるよりも実験結果(主観評価値Esuba)の方が、まぶしいと評価されていることに対応する。
【0066】
図12から分かるように、UGRg値が高くなると主観評価値Esubaが高くなり、UGRg値は、主観評価値Esubaと一定の相関関係を有する。しかしながら、UGRg値と主観評価値Esubaとの間の相関係数(R)は、0.54であり、ばらつきが大きい。このように、上記の評価値UGR(及びUGRg値)は、主観評価結果との一致の程度において、不十分である。
【0067】
本願発明者は、この実験結果をさらに解析した。
図13は、不快グレアに関する実験結果を例示するグラフ図である。
図13は、図12に例示した実験結果において、一部の条件に関するデータに印を付与したものである。図13に表したように、斜め線301よりも上側に位置する第6サンプルS06は、LED型の照明器具210であり、輝度の均斉度が低いサンプルである。一方、斜め線301よりも下側に位置する第4サンプルS04は、FL型の照明器具210であり、輝度の均斉度が高いサンプルである。具体的には、第6サンプルS06における輝度均斉度Uは、0.01であり、第4サンプルS04における輝度均斉度Uは、0.77である。
【0068】
このように、評価結果が、斜め線301から上側に大きくずれているサンプルと、下側に大きくずれているサンプルにおいては、輝度均斉度Uに大きな差があることが分かった。UGRg値が実質的に同じ値でも、輝度均斉度Uの違いによって、主観評価結果の差が大きくなる傾向が見られた。
【0069】
このような実験結果は、本願発明者が独自に実施した本実験により初めて得られたものである。特に、実用化が進みつつある例えばLED型の照明器具においては、輝度均斉度Uが低いことが多い。このような新しい照明器具においては、主観評価結果と評価値UGR(及びUGRg値)との差が大きくなり易い。この差異を小さくするという課題が新たに見出された。本実施形態は、主観評価結果と評価値との差が小さく、適切に不快グレアを評価できる構成を提供している。
【0070】
本願発明者は、図13に関して説明したように、UGRg値が実質的に同じでも、輝度均斉度Uの違いによって、主観評価結果の差が大きくなる現象に着目した。そして、この実験事実に基づいて、本実施形態に係る不快グレア評価方法の構成を構築した。
【0071】
すなわち、本実施形態に係る不快グレア評価方法においては、評価パラメータ値が、照明器具210の発光部220の輝度(平均輝度La)だけではなく、輝度均斉度Uに基づいて算出される。
【0072】
具体的には、上記の実験結果の主観評価値Esubに対応する評価値として、以下の第3式(第1式と同じ)で表される評価パラメータ値Yを導入した。
【0073】
【数3】
この実験では、3つの照明器具210が用いられ、i=1〜3となる。そして、第1〜第3の照明器具210に関して、図4から位置指数piが求められる。そしてi番目の照明器具210に関しての、発光部220の平均輝度Li、発光部220の輝度均斉度Ui、発光部220の大きさωi、及び、位置指数piを用いて上記の評価パラメータ値Yを算出した。
【0074】
具体的には、以下の第4式及び第5式を用いた。
【0075】
【数4】
【数5】
そして、主観評価結果(主観評価値Esuba)との差が小さくなるように、上記の定数Aを求めた。その結果、以下の第6式が得られた。
【0076】
【数6】
第6式で表される評価パラメータ値Yと、主観評価値Esubaと、の関係について以下説明する。
【0077】
図14は、第1の実施形態に係る不快グレア評価方法による評価結果を例示するグラフ図である。
図14の横軸は第6式で表される評価パラメータ値Yであり、縦軸は、主観評価値Esubaである。
図14から分かるように、評価パラメータ値Yの主観評価値Esubaとの一致の程度は高い。評価パラメータ値Yと主観評価値Esubaとの相関係数(R)は0.77であった。
【0078】
このように、本実施形態に係る不快グレア評価方法によれば、評価値UGR(及びUGRg)よりも主観評価結果と一致の程度が高い評価を行うことができる。すなわち、輝度均斉度Uが低い新しい照明器具に関しても、適切に不快グレアを評価できる。
【0079】
第5式及び第6式における定数は、本実験結果と一致するように定めたものであり、不快グレアを評価する際の所望の条件に応じて、定数は適切に変更することができる。
【0080】
本願発明者の検討によれば、例えば、第1式(第3式と同じ)において、a及びcは、0以上1以下が望ましい。また、b及びdは、2が望ましい。このとき、評価パラメータYと主観評価値Esubaとの相関係数が高くなり易い。また、kには、例えば自然対数の底(例えば約2.718)を用いることができる。また、nは、例えば2.3以上3.5以下とすることができる。具体的には、nとして3が用いられる。これにより、相関関数が高くなり易い。
【0081】
図15は、第1の実施形態に係る不快グレア評価方法を例示するフローチャート図である。
図15に表したように、本実施形態に係る不快グレア評価方法は、情報入手工程(ステップS110)と、算出工程(ステップS120)と、を備える。
【0082】
情報入手工程(ステップS110)は、照明器具210の発光部220の平均輝度Laに関する平均輝度情報と、発光部220の輝度均斉度Uに関する輝度均斉度情報と、発光部220の大きさωに関する発光部大きさ情報と、照明器具210の背景輝度Lbに関する背景輝度情報と、を入手すること(ステップS111)を含む。
【0083】
算出工程(ステップS120)では、情報入手工程で入手した平均輝度Laと、輝度均斉度Uと、発光部大きさωと、背景輝度Lbと、に基づいて、Laに基づく値と、Uに基づく値と、ωに基づく値との積を、Lbに基づく値で除した評価パラメータ値を算出する。
【0084】
算出工程(ステップS120)では、算出された評価パラメータ値に基づく値を出力することができる。
【0085】
また、情報入手工程(ステップS110)は、照明器具210が設けられる照明環境250に関する環境情報を入手すること(ステップS101)と、照明環境250における視点102に関する視点情報を入手すること(ステップS102)と、をさらに含んでも良い。
【0086】
情報入手工程(ステップS110)は、環境情報と視点情報とに基づいて、i番目(iは1以上の整数)の照明器具210に関する予め定められた位置指数piをさらに入手すること(ステップS112)をさらに含んでも良い。
【0087】
平均輝度情報は、i番目の照明器具210の発光部220の平均輝度Liを含む。輝度均斉度情報は、i番目の照明器具210の発光部220の輝度均斉度Uiを含む。発光部大きさ情報は、i番目の照明器具210の発光部220の大きさωiを含む。そして、算出工程(ステップS120)は、評価パラメータ値として、上記の第1式で表される評価パラメータ値Yを算出することを含む。さらに、算出工程(ステップS120)は、評価パラメータ値に基づく値を出力することを含んでも良い。
【0088】
例えば、照明環境250に関する環境情報の入手(ステップS101)では、照明環境250に関する情報として、照明環境250の大きさ、照明環境250の内装の反射率、照明器具210の情報、及び、照明器具210の数などに関する情報を入手する。照明器具210の情報は、照明器具210の配光特性(distribution of luminous intensity)、発光面(例えば発光部220)の最大輝度、発光面の大きさ(例えば、平方メートルの単位の面積値)、保守率及び調光率などを含む。照明環境250に関する情報は、不快グレア評価方法を用いる使用者によって設定されても良く、また、情報提供源から入手されても良い。
【0089】
例えば、照明環境250における視点102に関する視点情報の入手(ステップS102)では、照明環境250内における視点102の位置に関する情報を入手する。視点情報は、不快グレア評価方法を用いる使用者によって設定されても良く、また、情報提供源から入手されても良い。
【0090】
ステップS101及びステップS102の実施の後に、ステップS103において、入手の完了(設定の完了)が判断され、入手が完了したらステップS111に進む。
【0091】
ステップS111では、平均輝度La、輝度均斉度U、発光部220の大きさω、背景輝度Lb、を入手する。これらの値は、例えば、不快グレア評価方法を用いる使用者によって設定されても良く、また、情報提供源から入手されても良い。また、これらの値は、上記の環境情報及び視点情報に基づいて算出されも良い。
【0092】
位置指数piの入手(ステップS112)では、例えば、上記の環境情報及び視点情報に基づいて位置指数piを算出する。また、位置指数piは、不快グレア評価方法を用いる使用者によって設定されも良く、また、情報提供源から入手されても良い。
【0093】
すなわち、ステップS111における平均輝度La、輝度均斉度U、発光部220の大きさω、背景輝度Lb、及び、ステップS112における位置指数piは、例えば、カラーセンサ、フォトダイオード及び画像センサ等の各種のセンサなどを用いた装置や、入力出力が可能な情報端末装置から供給されても良い。
【0094】
ステップS111及びステップS112の実施の後に、ステップS113において、入手の完了(設定の完了)が判断され、入手が完了したらステップS120に進む。
このような手順により、任意の照明環境250における不快グレアが評価できる。
【0095】
図16は、第1の実施形態に係る不快グレア評価方法を実施可能な不快グレア評価装置の構成を例示するブロック図である。
図16に表したように、本実施形態に係る不快グレア評価装置400は、例えば、設定部401、パラメータ算出部402、計算部403、出力部404及び電源部405を含む。不快グレア評価装置400は、さらに記憶部406をさらに含んでも良い。
【0096】
設定部401、パラメータ算出部402及び計算部403は、機能ブロックであり、一体的でも良い。不快グレア評価装置400には、例えば、コンピュータなどの情報機器が用いられる。
【0097】
設定部401は、例えば、照明環境250に関する上記の環境情報を設定する。設定部401は、例えば、設定した環境情報をパラメータ算出部402に供給する。
【0098】
パラメータ算出部402は、例えば、設定部401から入手した情報に基づいて、照明器具210の発光部220の平均輝度La(またはLi)、発光部220の輝度均斉度U(またはUi)、発光部220の大きさω(またはωi)、背景輝度Lb、及び、位置指数piを算出する。これらの値は、計算部403に供給される。
【0099】
計算部403は、パラメータ算出部402から供給された上記の値を用いて評価パラメータ値Yを算出する。例えば、計算部403は、照明環境250に対して人が感じる不快グレアの程度に対応する値を算出する。この値は、出力部404に供給される。
【0100】
出力部404は、計算部403で算出された値を、不快グレア評価装置400を使用するユーザに提示する。出力部404には、例えば、種々のディスプレイ、プリンタや音発生器などを用いることができる。出力部404は、他の電子機器にデータを供給しても良い。
【0101】
電源部405は、上記の各部に電力を供給する。記憶部406は、必要なデータを格納し、必要に応じて、各部にデータを供給する。
【0102】
計算部403は、上記のステップS120の動作を実施することができる。計算部403は、例えば、ステップS120で算出した評価パラメータ値Yが、予め定められた範囲を超えた場合に、警告となる信号を出力部404に供給しても良い。警告となる信号を入手した出力部404は、警告音及び警告表示などの警告信号をユーザに提示しても良い。出力部404は、警告信号の提示と共に、得られた評価パラメータ値Yを提示しても良い。
【0103】
本実施形態に係る不快グレア評価方法を用いて不快グレアを評価することで、不快グレアに配慮した照明器具及び照明空間の設計が可能である。例えば、第1式または第6式を用いることで、不快グレアが小さい照明器具及び照明空間の設計が可能である。
【0104】
例えば、照明器具210の発光部220の平均輝度Laが20000cd/m2であり、発光部220の輝度均斉度Uが0.01であり、照明器具210の大きさω(立体角)が0.02srであり、照明器具210の周辺の輝度(背景輝度Lb)が20cd/m2であり、照明器具210の位置指数piが10である、照明器具210を用いた照明環境250においては、第6式から、照明環境250の不快グレアに関する評価パラメータ値Yは、22.0となる。既に説明したように、この値は、主観評価値Esubとの一致性が高い。
【0105】
図10に関して説明した主観評価特性を利用すると、22.0の評価パラメータ値Yは、“不快に感じ始める”に対応する。例えば、執務室の推奨UGRである19を基準値とする。評価パラメータ値を22.0から19以下にするための1つの方法が、例えば、照明器具210の発光部220の輝度均斉度Uを0.06以上にすることであることが、本実施形態を用いることで分かる。
【0106】
このように、本実施形態に係る不快グレア評価方法を用いることで、不快グレアを低減する照明空間の設計仕様を決めることができる。
【0107】
なお、例えば、第1式に含まれる種々の定数は必要に応じて変更できる。例えば、各パラメータ値を対数化して計算した場合、照明器具210の発光部220の輝度均斉度Uの計算方法を変更した場合、照明器具210及び照明空間(照明環境250)の条件を変更した場合、及び、照明器具210を直接観察した場合などにおいて、例えば第6式における定数とは異なる定数を用いることで、適切に不快グレアを評価することができる。
【0108】
上記では、不快グレアの評価パラメータ値Yが、図10に関して説明した主観評価値Esubと一致するように定められる場合について説明したが、主観評価値Esubの特性が図10で例示した特性とは異なる特性でも良い。このとき、第1式中の定数は適切に設定される。すなわち、第6式中の定数は、適切に変更される。
【0109】
このように、本実施形態に係る不快グレア評価方法によれば、発光部220(発光面)の輝度均斉度Uが低い照明器具210(例えば、LED照明器具)を用いた照明環境250における不快グレアを、簡単な計算により、適切に評価できる。また、本実施形態に係る不快グレア評価方法によれば、発光部220の輝度均斉度Uが低い部分を含む照明器具210の不快グレアを、簡単な計算によって求めることができる。さらに、不快グレアを適切に評価することで、不快グレアの程度を所望に制御した照明環境250(照明器具210を含む)を得るための照明パラメータを提示することができる。
【0110】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、不快グレアを評価するためのコンピュータプログラムに係る。
本実施形態に係る不快グレア評価プログラムは、例えば、図15に関して説明した動作をコンピュータに実施させる。
【0111】
本プログラムは、コンピュータに、照明器具210の発光部220の平均輝度Laに関する平均輝度情報と、発光部220の輝度均斉度Uに関する輝度均斉度情報と、発光部220の大きさωに関する発光部大きさ情報と、照明器具210の背景輝度Lbに関する背景輝度情報と、を含む情報を入手させる(ステップS111を含むステップS110)。
【0112】
本プログラムは、コンピュータに、上記の情報の入手で入手した平均輝度Laと、輝度均斉度Uと、発光部大きさωと、背景輝度Lbに基づいて、Laに基づく値と、Uに基づく値と、ωに基づく値との積を、Lbに基づく値で除した評価パラメータ値を算出させる(ステップS120)。例えば、本プログラムは、コンピュータに、算出された評価パラメータ値に基づく値を出力させても良い。
【0113】
上記のステップS110は、コンピュータに、照明器具210が設けられる照明環境250に関する環境情報を入手すること(ステップS101)と、照明環境250における視点102に関する視点情報を入手すること(ステップS102)と、をさらに実施させても良い。
【0114】
ステップS110は、コンピュータに、環境情報と視点情報とに基づいて、i番目(iは1以上の整数)の照明器具210に関する予め定められた位置指数piをさらに入手すること(ステップS112)をさらに実施させても良い。
【0115】
平均輝度情報は、i番目の照明器具210の発光部220の平均輝度Liを含む。輝度均斉度情報は、i番目の照明器具210の発光部220の輝度均斉度Uiを含む。発光部大きさ情報は、i番目の照明器具210の発光部220の大きさωiを含む。そして、ステップS120は、第1式で表される評価パラメータ値Yを、コンピュータに算出させることを含む。さらに、ステップS120では、コンピュータに、評価パラメータ値Yに基づく値を出力させても良い。
【0116】
例えば、ステップS101では、照明環境250に関する情報として、照明環境250の大きさ、照明環境250の内装の反射率、照明器具210の情報、及び、照明器具210の数などに関する情報を、コンピュータに入手させる。照明器具210の情報は、照明器具210の配光特性、発光面(例えば発光部220)の最大輝度、発光面の大きさ(例えば、平方メートルの単位の面積値)、保守率及び調光率などを含む。本プログラムは、コンピュータに、不快グレア評価方法を用いる使用者によって照明環境250に関する情報を設定させるように促させても良い。また、本プログラムは、コンピュータに、情報提供源から照明環境250に関する情報を入手させても良い。
【0117】
例えば、ステップS102では、コンピュータに、照明環境250内における視点102の位置に関する情報を入手させる。本プログラムは、コンピュータに、不快グレア評価方法を用いる使用者によって視点情報を設定させるように促させても良い。また、本プログラムは、コンピュータに、情報提供源から視点情報を入手させても良い。
【0118】
ステップS101及びステップS102の実施の後に、ステップS103において、入手の完了(設定の完了)が判断され、入手が完了したらステップS111に進む。
【0119】
ステップS111では、本プログラムは、コンピュータに、平均輝度La、輝度均斉度U、発光部220の大きさω、背景輝度Lb、を入手させる。例えば、本プログラムは、コンピュータに、不快グレア評価方法を用いる使用者によってこれらの値を設定させるように促させても良い。また、本プログラムは、コンピュータに、情報提供源からこれらの値を入手させても良い。また、本プログラムは、コンピュータに、上記の環境情報及び視点情報に基づいてこれらの値を算出させても良い。
【0120】
ステップS112では、本プログラムは、コンピュータに、上記の環境情報及び視点情報に基づいて位置指数piを算出させる。また、本プログラムは、コンピュータに、不快グレア評価方法を用いる使用者に位置指数piを設定させるように促させても良い。また、本プログラムは、コンピュータに、情報提供源から位置指数piを入手させても良い。
【0121】
すなわち、本プログラムは、コンピュータに、種々の装置から、ステップS111における平均輝度La、輝度均斉度U、発光部220の大きさω、背景輝度Lb、及び、ステップS112における位置指数piを入手させても良い。この装置として、例えば、カラーセンサ、フォトダイオード及び画像センサ等の各種のセンサなどを用いた装置や、入力出力が可能な情報端末装置などを用いることができる。
【0122】
ステップS111及びステップS112の実施の後に、ステップS113において、入手の完了(設定の完了)が判断され、入手が完了したらステップS120に進む。
このような手順により、任意の照明環境250における不快グレアが評価できる。
【0123】
本実施形態に係る不快グレア評価プログラムによれば、輝度均斉度Uが低い照明器具210(例えば、LED照明器具)などの種々の照明器具においても、コンピュータに適切に不快グレアを評価させることができる。さらに、不快グレアを適切に抑制した照明設計を提示することができる。
【0124】
実施形態によれば、適切に不快グレアを評価できる不快グレア評価方法及び不快グレア評価プログラムが提供できる。
【0125】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、不快グレアの評価方法において用いられる照明器具、発光部及び照明環境等の各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0126】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0127】
その他、本発明の実施の形態として上述した適切に不快グレアを評価できる不快グレア評価方法及び不快グレア評価プログラムを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての適切に不快グレアを評価できる不快グレア評価方法及び不快グレア評価プログラムも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0128】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0129】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0130】
101…観測者、 102…視点、 103…注視点、 104…視線、 210…照明器具、 210a…第1例、 210b…第2例、 220…発光部、 221…照明器具中心、 230…光源、 250…照明環境、 251…天井、 252…壁、 253…床、 253a…水平面、 254…出入り口、 301…斜め線、 400…不快グレア評価装置、 401…設定部、 402…パラメータ算出部、 403…計算部、 404…出力部、 405…電源部、 406…記憶部、 ΔB1…幅、 B1…輝度、 B1a…平均輝度、 B1m…最小値、 B1x…最大輝度、 Eave…平均照度、 Esub、Esuba…主観評価値、 H…垂直距離、 Psc…第2位置、 Pse…第1位置、 R…視線上距離、 Rfw…反射率、 S01〜S12…第1〜第12サンプル、 T…水平距離、 p、pi…位置指数
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、不快グレア評価方法及び不快グレア評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具や照明環境の照明設計を行う際には、不快グレア(Discomfort glare)を適切に評価し、良好なグレア特性を得ることが重要である。不快グレアの評価方法について種々の方法が提案されている。
【0003】
LED(Light Emitting Diode)などの半導体発光素子を用いた照明器具が開発されている。このような新しい照明器具に関しても適切に不快グレアを評価する手法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3800303号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Publication CIE No.117: Discomfort glare in interior lighting , Commission Internationale de l'Eclairage,1995
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、適切に不快グレアを評価できる不快グレア評価方法及び不快グレア評価プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によれば、情報入手工程と、算出工程と、を含む不快グレア評価方法が提供される。前記情報入手工程は、照明器具の発光部の平均輝度Laに関する平均輝度情報と、前記発光部の輝度均斉度Uに関する輝度均斉度情報と、前記発光部の大きさωに関する発光部大きさ情報と、前記照明器具の背景輝度Lbに関する背景輝度情報と、を入手する。前記算出工程は、前記情報入手工程で入手した前記平均輝度Laと、前記輝度均斉度Uと、前記発光部大きさωと、前記背景輝度Lbに基づいて、前記Laに基づく値と、前記Uに基づく値と、前記ωに基づく値との積を、前記Lbに基づく値で除した評価パラメータ値を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る不快グレア評価方法が適用される照明環境を示す模式図である。
【図2】第1の実施形態に係る不快グレア評価方法が適用される照明環境を示す模式図である。
【図3】図3(a)〜図3(d)は、第1の実施形態に係る不快グレア評価方法が適用される照明器具を示す模式図である。
【図4】第1の実施形態に係る不快グレア評価方法で用いられる位置指数を示す表である。
【図5】不快グレアに関する実験で用いた評価環境を示す模式図である。
【図6】図6(a)〜図6(l)は、不快グレアに関する実験で用いた照明器具を示す模式図である。
【図7】図7(a)〜図7(l)は、不快グレアに関する実験で用いた照明器具を示す模式図である。
【図8】不快グレアに関する実験で用いた照明器具の特性を示す模式図である。
【図9】図9(a)及び図9(b)は、不快グレアの評価実験の状態を示す模式図である。
【図10】不快グレアの評価実験の主観評価値を示す図である。
【図11】図11(a)及び図11(b)は、評価値UGRとUGR判定値との関係を示す図である。
【図12】不快グレアに関する実験結果を示すグラフ図である。
【図13】不快グレアに関する実験結果を示すグラフ図である。
【図14】第1の実施形態に係る不快グレア評価方法による評価結果を示すグラフ図である。
【図15】第1の実施形態に係る不快グレア評価方法を示すフローチャート図である。
【図16】第1の実施形態に係る不快グレア評価方法を実施可能な不快グレア評価装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る不快グレア評価方法が適用される照明環境を例示する模式図である。
図1に表したように、本実施形態に係る不快グレア評価方法が適用される照明環境250(luminous environment)は、例えば、室内である。室内(照明環境250)の天井251に、照明器具210が設けられている。室内の床253に、観測者101が居る。観測者101の視線104(line of sight)は、観測者101の視点102と、観測者101の注視点103と、を結ぶ。
【0011】
視点102と照明器具210との間の、視線104の方向に沿った距離を視線上距離Rとする。視線104と照明器具210との間の、水平方向に沿った距離を水平距離Tとする。視線104と照明器具210との間の、垂直方向に沿った距離を垂直距離Hとする。
【0012】
例えば、照明器具210の発光部220(発光面)の輝度が、輝度L(cd/m2:カンデラ/平方メートル)とされる。照明器具210の周囲の背景の輝度が、背景輝度Lb(cd/m2)とされる。照明器具210の大きさは、例えば立体角で表される。すなわち、発光部220の大きさ(立体角)が、大きさω(sr:ステラジアン:steradian)とされる。
【0013】
図2は、第1の実施形態に係る不快グレア評価方法が適用される照明環境を例示する模式図である。
図2に表したように、例えば、視点102と注視点103とを結ぶ視線104は、水平面253a(Horizontal plane)に対して平行である。
【0014】
例えば、観測者101から見たときの、水平方向に対して平行な軸をX軸とする。観測者101から見たときの、上下方向に対して平行な軸をY軸とする。X軸とY軸とに対して垂直な軸をZ軸方向とする。
【0015】
視点102から見て、照明器具210の発光部220の中心(照明器具中心221:centre of luminaire)の位置は、視線上距離Rと、水平距離Tと、垂直距離Hと、で表される。例えば、視線104と照明器具中心221との間の、X軸に沿った距離が、水平距離Tに相当する。視線104と照明器具中心221との間の、Y軸に沿った距離が、垂直距離Hに相当する。視線104と照明器具中心221との間の、視線104の方向に沿った距離(例えばZ軸に沿った距離)が、視線上距離Rに相当する。
【0016】
本実施形態に係る不快グレア評価方法においては、照明器具210の発光部220の平均輝度Laと、輝度均斉度Uと、が用いられる。以下、これらのパラメータの例について説明する。
【0017】
図3(a)〜図3(d)は、第1の実施形態に係る不快グレア評価方法が適用される照明器具を例示する模式図である。
図3(a)は、第1例210aの照明器具210の平面図である。図3(b)は、第1例210aの照明器具210の特性を例示するグラフ図である。図3(c)は、第2例210bの照明器具210の平面図である。図3(d)は、第2例210bの照明器具210の特性を例示するグラフ図である。
【0018】
ここで、照明器具210の発光部220(発光面)に対して垂直な軸をZd軸とする。Zd軸に対して垂直な1つの軸をXd軸とする。Zd軸とXd軸とに対して垂直な軸をYd軸とする。
【0019】
図3(b)及び図3(d)は、それぞれ、第1例210a及び第2例210bの照明器具210におけるXd軸に沿った輝度を例示している。これらの図の横軸は、Xd軸に沿った位置である。縦軸は、輝度B1(任意単位)である。
【0020】
図3(a)に表したように、第1例210aの照明器具210は、複数の光源230を有する。複数の光源230は、例えばLEDである。複数の光源230はXd軸に沿って並ぶ。複数の光源230のそれぞれの輝度は、比較的高い。
【0021】
図3(b)に表したように、複数の光源230を有する第1例210aにおいては、Xd軸に沿って、輝度B1が大きく変化する。すなわち、複数の光源230の位置に応じた位置で、輝度B1は、最大輝度B1xとなる。すなわち、第1例210aにおいては、輝度B1の均斉度が低い。
【0022】
一方、図3(c)に表したように、第2例210bの照明器具210は、1つの光源230を有する。その光源230は、例えば蛍光管FLである。光源230がXd軸に沿って延在している。
【0023】
図3(d)に表したように、1つの光源230を有する第2例210bにおいては、Xd軸に沿った輝度B1の変化は小さい。すなわち、輝度B1は、Xd軸に沿って実質的に一定である。すなわち、第2例210bにおいては、輝度B1の均斉度が高い。
【0024】
このように、照明器具210の構成によって、輝度B1の状態(例えば均斉度)は大きく変化する。
後述するように、本願発明者は、照明器具210の輝度の均斉度によって、ヒトが感じる不快グレア(例えば、まぶしさ)の程度が変化することを初めて見出した。この現象に基づいて、本実施形態に係る不快グレア評価方法では、輝度均斉度Uを用いて不快グレアを評価する。
【0025】
本実施形態において、照明器具210の発光部220の輝度均斉度U(無次元の値)は、例えば、U=B1a/B1xで表される。ここで、図3(b)及び図3(d)に表したように、平均輝度B1aは、照明器具210の発光部220における輝度B1の平均値である。最大輝度B1xは、発光部220の輝度B1の最大値である。
【0026】
なお、評価対象の照明器具210によっては、輝度B1の最大値が定義し難い場合がある。この場合には、図3(b)及び図3(d)に表したように、輝度B1のピーク値と最小値B1mとの差に所定の値を乗じた幅ΔB1を用いて最大輝度B1xを定めても良い。例えば、幅ΔB1は、輝度B1のピーク値と最小値B1mとの差の10%である。このとき、最大輝度B1xは、ピーク値と最小値B1mとの差の90%の値と、最小値B1mと、の和である。または、例えば、幅ΔB1は、輝度B1のピーク値と最小値B1mとの差の20%である。このとき、最大輝度B1xは、ピーク値と最小値B1mとの差の80%の値と、最小値B1mと、の和である。
【0027】
このように定められた最大輝度B1xと、平均輝度B1aと、を用いて、輝度均斉度Uが、例えば、U=B1a/B1xと定められる。照明器具210の発光部220の輝度の均斉度が高いときに、輝度均斉度Uの値は大きい。輝度の均斉度が低いときに、輝度均斉度Uの値は小さい。
【0028】
本実施形態に係る不快グレア評価方法においては、発光部220の輝度Lとして、平均輝度La(上記の平均輝度B1aと同じ)と、輝度均斉度Uと、が用いられる。これらの値と、背景輝度Lbと、発光部220の大きさωと、に基づいて、不快グレアに関する評価パラメータ値が算出される。
【0029】
すなわち、本実施形態においては、この評価パラメータ値は、平均輝度La、輝度均斉度U、発光部大きさω、及び、背景輝度Lbに基づいて、算出される。具体的には、評価パラメータ値は、Laに基づく値と、Uに基づく値と、ωに基づく値との積を、Lbに基づく値で除した値である。そして、本不快グレア評価方法では、例えば、この評価パラメータ値に基づく値を出力する。
【0030】
これにより、LEDを用いた新しい照明器具210などにおいても適切に不快グレアを評価できる。
【0031】
本実施形態に係る不快グレア評価方法においては、照明器具210が設けられる照明環境250に関する環境情報と、照明環境250における視点102に関する視点情報と、をさらに用いることができる。そして、環境情報と視点情報とに基づいて、i番目(iは1以上の整数)の照明器具210に関する予め定められた位置指数pi(position index)に関する情報をさらに用いることができる。
【0032】
位置指数piは、視線上距離Rと、水平距離Tと、垂直距離Hと、によって予め定められる。
【0033】
図4は、第1の実施形態に係る不快グレア評価方法で用いられる位置指数を例示する表である。
図4に表したように、照明器具210の位置(照明器具中心221の位置)に対応する、T/Rの値と、H/Rの値と、に応じて、位置指数pが定められる。すなわち、i番目の照明器具210のT/Rの値及びH/Rの値に応じて、位置指数piが定められる。図4に記載されたT/R値どうしの間の値、及び、図4に記載されたH/R値どうしの間の値、に関する位置指数piに関しては、図4に記載された値を補間した値を用いる。この補間には、例えば、線形補間及びラグランジェ補間のいずれかを用いる。
【0034】
そして、i番目(iは1以上の整数)の照明器具210に関しての、発光部220の平均輝度Li(cd/m2)、発光部220の輝度均斉度Ui(無次元の値)、発光部220の大きさωi(sr)、位置指数pi(無次元の値)、及び、i番目の照明器具210の周囲の背景背景輝度Lb(cd/m2)を用いて、以下の第1式により、評価パラメータ値Yが算出される。
【0035】
【数1】
第1式において、A、B、a、b、c、d、k、n、const1及びconst2は、定数であり、a、b、c、d、k及びnは、0以上10以下である。「・」は乗算を表す。
これにより、LEDを用いた新しい照明器具210などにおいても適切に不快グレアを評価できる。
【0036】
以下、本実施形態に係る不快グレア評価方法の構成を創出する基となった実験について説明する。
【0037】
図5は、不快グレアに関する実験で用いた評価環境を例示する模式図である。
図5に表したように、本実験では、評価環境(照明環境250)として、奥行き(Z軸に沿った長さ)が5.0メートル(m)で、幅(X軸に沿った長さ)が2.4mで、高さ(Y軸に沿った長さ)が2.4mの室内が用いられた。
【0038】
照明環境250の天井251の反射率は82%であり、床253の反射率は20%である。壁252の状態として、高反射状態(反射率が82%)と、低反射状態(反射率が51%)と、の2種類が用いられた。
【0039】
照明器具210として、後述するように、12種類の照明器具が用いられた。12種類の照明器具210のそれぞれについて、照明環境250の天井251の3箇所に照明器具210が設置された。
【0040】
観測者101の位置は、第1位置Pseと、第2位置Pscと、の2種類が用いられた。第1位置Pseは、照明環境250のうちで出入り口254に近い位置である。第2位置Pscは、照明環境250の床253の中央部の位置である。観測者101の視線104は、水平(X−Y平面に対して平行)とし、視線104の高さは、1.2mとした。
【0041】
観測者101となる被験者は、18人(日本人)であり、女性9名であり、男性9名である。
【0042】
図6(a)〜図6(l)及び図7(a)〜図7(l)は、不快グレアに関する実験で用いた照明器具を例示する模式図である。
図6(a)、図6(c)、図6(e)、図6(g)、図6(i)、図6(k)、図7(a)、図7(c)、図7(e)、図7(g)、図7(i)及び図7(k)は平面図である。図6(b)、図6(d)、図6(f)、図6(h)、図6(j)、図6(l)、図7(b)、図7(d)、図7(f)、図7(h)、図7(j)及び図7(l)は断面図である。
【0043】
図6(a)及び図6(b)に表したように、第1サンプルS01の照明器具210は、蛍光管FLの光源230を有し、下面開放型で、天井251への埋め込み器具(recessed luminaire)である。発光の色は昼白色(neutral white)である。
【0044】
図6(c)及び図6(d)に表したように、第2サンプルS02の照明器具210は、蛍光管FLの光源230を有し、下面開放型で、埋め込み器具である。発光の色は電球色(warm white)である。
【0045】
図6(e)及び図6(f)に表したように、第3サンプルS03の照明器具210は、蛍光管FLの光源230を有し、OAルーバ型で、埋め込み器具である。
【0046】
図6(g)及び図6(h)に表したように、第4サンプルS04の照明器具210は、光源230が蛍光管FLであり、乳白(diffused shade)パネル型で、埋め込み器具である。
【0047】
図6(i)及び図6(j)に表したように、第5サンプルS05の照明器具210は、蛍光管FLの光源を有し、逆富士型(wide angle luminaire type)で、天井251への直付け器具(surface mounted luminare)である。
【0048】
図6(k)及び図6(l)に表したように、第6サンプルS06の照明器具210は、複数のLEDの光源230を有し、透明アクリルパネル型で、直付け器具である。
【0049】
図7(a)及び図7(b)に表したように、第7サンプルS07の照明器具210は、複数のLEDの光源230を有し、透明アクリルパネル型で、埋め込み器具である。第7サンプルS07における光源230の配設ピッチは、第6サンプルS06よりも短い。第7サンプルS07における光源230の密度は、第6サンプルS06よりも高い。
【0050】
図7(c)及び図7(d)に表したように、第8サンプルS08の照明器具210は、複数のLEDの光源230を有し、乳白パネル型で、直付け器具である。
【0051】
図7(e)及び図7(f)に表したように、第9サンプルS09の照明器具210は、複数のLEDの光源230を有し、透明アクリルパネル型で、埋め込み器具である。
【0052】
図7(g)及び図7(h)に表したように、第10サンプルS10の照明器具210は、複数のLEDの光源230を有し、白色ルーバ型で、埋め込み器具である。
【0053】
図7(i)及び図7(j)に表したように、第11サンプルS11の照明器具210は、複数のLEDの光源230を有し、鏡面ルーバ型で、埋め込み器具である。
【0054】
図7(k)及び図7(l)に表したように、第12サンプルS12の照明器具210は、複数のLEDの光源230を有し、ライン型で、埋め込み器具である。
【0055】
以上のような12種類の照明器具210のそれぞれが、照明環境250の天井251の3箇所に設置された。
【0056】
図8は、不快グレアに関する実験で用いた照明器具の特性を示す模式図である。
図8は、第1〜第12サンプルS01〜S12の照明器具210の平均照度Eave(lx:ルクス)を示している。既に説明したように、この実験では、壁252の反射率Rfwが82%の条件と、反射率Rfwが51%の条件と、の2種類の条件において評価が行われた。図8には、この2つの条件における、第1〜第12サンプルS01〜S12の照明器具210の平均照度Eaveが示されている。
【0057】
図9(a)及び図9(b)は、不快グレアの評価実験の状態を例示する模式図である。 図9(a)は、観測者101の位置が第1位置Pse(出入り口254に近い位置)である場合の状態を示している。図9(b)は、観測者101の位置が第2位置Psc(床253の中央部の位置)である場合の状態を示している。そして、上記の12種類の照明器具210が配置され、その時の不快グレアに関して主観評価を行った。
【0058】
図10は、不快グレアの評価実験の主観評価値を例示する図である。
図10に表したように、主観評価においては、不快グレアの程度に関する主観評価値Esub(7〜31)を用いた。すなわち、主観評価値Esubは、不快グレアを感じない場合は7、感じ始める場合は10、感じられる場合は13、気になり始める場合は16、気になる場合は19、不快に感じ始める場合は22、不快である場合は25、ひどすぎると感じ始める場合は28、ひどすぎる場合は31である。
【0059】
12種類の照明器具210(第1〜第12サンプルS01〜S12)に関して、2種類の評価位置(第1位置Pseと第2位置Psc)と、2種類の内装条件(壁252の反射率Rfwが82%または51%)と、の条件の計48の条件について、観測者101(被験者)のそれぞれが主観評価を行った。被験者のそれぞれが、主観評価値Esub(個人主観評価値Esubp)を回答した。そして、被験者のそれぞれの個人主観評価値Esubpを平均した値を、48の条件のそれぞれの、主観評価値Esubaとした。
【0060】
一方、参考例の不快グレア評価方法として、以下の第2式で表される評価値UGR(Unified Glare Rating)を求めた。
【0061】
【数2】
ここで、Lは、照明器具210の発光部220(発光面)の輝度であり、ここでは、平均輝度Laを用いた。Lbは、背景輝度である。ωは、照明器具210の発光部220の立体角(大きさ)である。pは、照明器具210の位置指数であり、図4に例示した値を用いた。
【0062】
そして、求められた評価値UGRが、主観評価値Esubと対応するように、変換後評価値UGRgを用いた。UGRg=UGR−3である。すなわち、上記の評価値UGRは、日本人以外の被験者による実験式に基づいて定められた値である。そのため、被験者が日本人である場合には、主観結果と評価値UGRとの値とが必ずしも一致しないことが知られている。これを補正するために、変換が行われた。
【0063】
図11(a)及び図11(b)は、評価値UGRとUGR判定値との関係を例示する図である。
これらの図は、日本人に関しての評価値UGRとUGR判定値(UGRj)との関係を例示しており、屋内作業場の照明基準設計ガイド(JCIE、2009)に記載されている評価値UGRとUGR判定値との関係に対応している。これらの図から分かるように、日本人においては、(UGR−3)をUGR判定値(UGRj)として用いることが適切である。
【0064】
このことから、本実験においては、主観評価結果(主観評価値Esuba)と、変換後評価値UGRg(=UGR−3)と、の関係について評価を行った。以下、簡単のために、「変換後評価値UGRg」を単に「UGRg値」と言うことにする。
【0065】
図12は、不快グレアに関する実験結果を例示するグラフ図である。
図12の横軸は、UGRg値(=UGR−3)であり、縦軸は、主観評価値Esubaである。
図12中の斜め線301は、Esuba=UGRgの関係の直線である。例えば、斜め線301よりも上に位置する点は、UGRg値から予測されるよりも実験結果(主観評価値Esuba)の方が、まぶしいと評価されていることに対応する。
【0066】
図12から分かるように、UGRg値が高くなると主観評価値Esubaが高くなり、UGRg値は、主観評価値Esubaと一定の相関関係を有する。しかしながら、UGRg値と主観評価値Esubaとの間の相関係数(R)は、0.54であり、ばらつきが大きい。このように、上記の評価値UGR(及びUGRg値)は、主観評価結果との一致の程度において、不十分である。
【0067】
本願発明者は、この実験結果をさらに解析した。
図13は、不快グレアに関する実験結果を例示するグラフ図である。
図13は、図12に例示した実験結果において、一部の条件に関するデータに印を付与したものである。図13に表したように、斜め線301よりも上側に位置する第6サンプルS06は、LED型の照明器具210であり、輝度の均斉度が低いサンプルである。一方、斜め線301よりも下側に位置する第4サンプルS04は、FL型の照明器具210であり、輝度の均斉度が高いサンプルである。具体的には、第6サンプルS06における輝度均斉度Uは、0.01であり、第4サンプルS04における輝度均斉度Uは、0.77である。
【0068】
このように、評価結果が、斜め線301から上側に大きくずれているサンプルと、下側に大きくずれているサンプルにおいては、輝度均斉度Uに大きな差があることが分かった。UGRg値が実質的に同じ値でも、輝度均斉度Uの違いによって、主観評価結果の差が大きくなる傾向が見られた。
【0069】
このような実験結果は、本願発明者が独自に実施した本実験により初めて得られたものである。特に、実用化が進みつつある例えばLED型の照明器具においては、輝度均斉度Uが低いことが多い。このような新しい照明器具においては、主観評価結果と評価値UGR(及びUGRg値)との差が大きくなり易い。この差異を小さくするという課題が新たに見出された。本実施形態は、主観評価結果と評価値との差が小さく、適切に不快グレアを評価できる構成を提供している。
【0070】
本願発明者は、図13に関して説明したように、UGRg値が実質的に同じでも、輝度均斉度Uの違いによって、主観評価結果の差が大きくなる現象に着目した。そして、この実験事実に基づいて、本実施形態に係る不快グレア評価方法の構成を構築した。
【0071】
すなわち、本実施形態に係る不快グレア評価方法においては、評価パラメータ値が、照明器具210の発光部220の輝度(平均輝度La)だけではなく、輝度均斉度Uに基づいて算出される。
【0072】
具体的には、上記の実験結果の主観評価値Esubに対応する評価値として、以下の第3式(第1式と同じ)で表される評価パラメータ値Yを導入した。
【0073】
【数3】
この実験では、3つの照明器具210が用いられ、i=1〜3となる。そして、第1〜第3の照明器具210に関して、図4から位置指数piが求められる。そしてi番目の照明器具210に関しての、発光部220の平均輝度Li、発光部220の輝度均斉度Ui、発光部220の大きさωi、及び、位置指数piを用いて上記の評価パラメータ値Yを算出した。
【0074】
具体的には、以下の第4式及び第5式を用いた。
【0075】
【数4】
【数5】
そして、主観評価結果(主観評価値Esuba)との差が小さくなるように、上記の定数Aを求めた。その結果、以下の第6式が得られた。
【0076】
【数6】
第6式で表される評価パラメータ値Yと、主観評価値Esubaと、の関係について以下説明する。
【0077】
図14は、第1の実施形態に係る不快グレア評価方法による評価結果を例示するグラフ図である。
図14の横軸は第6式で表される評価パラメータ値Yであり、縦軸は、主観評価値Esubaである。
図14から分かるように、評価パラメータ値Yの主観評価値Esubaとの一致の程度は高い。評価パラメータ値Yと主観評価値Esubaとの相関係数(R)は0.77であった。
【0078】
このように、本実施形態に係る不快グレア評価方法によれば、評価値UGR(及びUGRg)よりも主観評価結果と一致の程度が高い評価を行うことができる。すなわち、輝度均斉度Uが低い新しい照明器具に関しても、適切に不快グレアを評価できる。
【0079】
第5式及び第6式における定数は、本実験結果と一致するように定めたものであり、不快グレアを評価する際の所望の条件に応じて、定数は適切に変更することができる。
【0080】
本願発明者の検討によれば、例えば、第1式(第3式と同じ)において、a及びcは、0以上1以下が望ましい。また、b及びdは、2が望ましい。このとき、評価パラメータYと主観評価値Esubaとの相関係数が高くなり易い。また、kには、例えば自然対数の底(例えば約2.718)を用いることができる。また、nは、例えば2.3以上3.5以下とすることができる。具体的には、nとして3が用いられる。これにより、相関関数が高くなり易い。
【0081】
図15は、第1の実施形態に係る不快グレア評価方法を例示するフローチャート図である。
図15に表したように、本実施形態に係る不快グレア評価方法は、情報入手工程(ステップS110)と、算出工程(ステップS120)と、を備える。
【0082】
情報入手工程(ステップS110)は、照明器具210の発光部220の平均輝度Laに関する平均輝度情報と、発光部220の輝度均斉度Uに関する輝度均斉度情報と、発光部220の大きさωに関する発光部大きさ情報と、照明器具210の背景輝度Lbに関する背景輝度情報と、を入手すること(ステップS111)を含む。
【0083】
算出工程(ステップS120)では、情報入手工程で入手した平均輝度Laと、輝度均斉度Uと、発光部大きさωと、背景輝度Lbと、に基づいて、Laに基づく値と、Uに基づく値と、ωに基づく値との積を、Lbに基づく値で除した評価パラメータ値を算出する。
【0084】
算出工程(ステップS120)では、算出された評価パラメータ値に基づく値を出力することができる。
【0085】
また、情報入手工程(ステップS110)は、照明器具210が設けられる照明環境250に関する環境情報を入手すること(ステップS101)と、照明環境250における視点102に関する視点情報を入手すること(ステップS102)と、をさらに含んでも良い。
【0086】
情報入手工程(ステップS110)は、環境情報と視点情報とに基づいて、i番目(iは1以上の整数)の照明器具210に関する予め定められた位置指数piをさらに入手すること(ステップS112)をさらに含んでも良い。
【0087】
平均輝度情報は、i番目の照明器具210の発光部220の平均輝度Liを含む。輝度均斉度情報は、i番目の照明器具210の発光部220の輝度均斉度Uiを含む。発光部大きさ情報は、i番目の照明器具210の発光部220の大きさωiを含む。そして、算出工程(ステップS120)は、評価パラメータ値として、上記の第1式で表される評価パラメータ値Yを算出することを含む。さらに、算出工程(ステップS120)は、評価パラメータ値に基づく値を出力することを含んでも良い。
【0088】
例えば、照明環境250に関する環境情報の入手(ステップS101)では、照明環境250に関する情報として、照明環境250の大きさ、照明環境250の内装の反射率、照明器具210の情報、及び、照明器具210の数などに関する情報を入手する。照明器具210の情報は、照明器具210の配光特性(distribution of luminous intensity)、発光面(例えば発光部220)の最大輝度、発光面の大きさ(例えば、平方メートルの単位の面積値)、保守率及び調光率などを含む。照明環境250に関する情報は、不快グレア評価方法を用いる使用者によって設定されても良く、また、情報提供源から入手されても良い。
【0089】
例えば、照明環境250における視点102に関する視点情報の入手(ステップS102)では、照明環境250内における視点102の位置に関する情報を入手する。視点情報は、不快グレア評価方法を用いる使用者によって設定されても良く、また、情報提供源から入手されても良い。
【0090】
ステップS101及びステップS102の実施の後に、ステップS103において、入手の完了(設定の完了)が判断され、入手が完了したらステップS111に進む。
【0091】
ステップS111では、平均輝度La、輝度均斉度U、発光部220の大きさω、背景輝度Lb、を入手する。これらの値は、例えば、不快グレア評価方法を用いる使用者によって設定されても良く、また、情報提供源から入手されても良い。また、これらの値は、上記の環境情報及び視点情報に基づいて算出されも良い。
【0092】
位置指数piの入手(ステップS112)では、例えば、上記の環境情報及び視点情報に基づいて位置指数piを算出する。また、位置指数piは、不快グレア評価方法を用いる使用者によって設定されも良く、また、情報提供源から入手されても良い。
【0093】
すなわち、ステップS111における平均輝度La、輝度均斉度U、発光部220の大きさω、背景輝度Lb、及び、ステップS112における位置指数piは、例えば、カラーセンサ、フォトダイオード及び画像センサ等の各種のセンサなどを用いた装置や、入力出力が可能な情報端末装置から供給されても良い。
【0094】
ステップS111及びステップS112の実施の後に、ステップS113において、入手の完了(設定の完了)が判断され、入手が完了したらステップS120に進む。
このような手順により、任意の照明環境250における不快グレアが評価できる。
【0095】
図16は、第1の実施形態に係る不快グレア評価方法を実施可能な不快グレア評価装置の構成を例示するブロック図である。
図16に表したように、本実施形態に係る不快グレア評価装置400は、例えば、設定部401、パラメータ算出部402、計算部403、出力部404及び電源部405を含む。不快グレア評価装置400は、さらに記憶部406をさらに含んでも良い。
【0096】
設定部401、パラメータ算出部402及び計算部403は、機能ブロックであり、一体的でも良い。不快グレア評価装置400には、例えば、コンピュータなどの情報機器が用いられる。
【0097】
設定部401は、例えば、照明環境250に関する上記の環境情報を設定する。設定部401は、例えば、設定した環境情報をパラメータ算出部402に供給する。
【0098】
パラメータ算出部402は、例えば、設定部401から入手した情報に基づいて、照明器具210の発光部220の平均輝度La(またはLi)、発光部220の輝度均斉度U(またはUi)、発光部220の大きさω(またはωi)、背景輝度Lb、及び、位置指数piを算出する。これらの値は、計算部403に供給される。
【0099】
計算部403は、パラメータ算出部402から供給された上記の値を用いて評価パラメータ値Yを算出する。例えば、計算部403は、照明環境250に対して人が感じる不快グレアの程度に対応する値を算出する。この値は、出力部404に供給される。
【0100】
出力部404は、計算部403で算出された値を、不快グレア評価装置400を使用するユーザに提示する。出力部404には、例えば、種々のディスプレイ、プリンタや音発生器などを用いることができる。出力部404は、他の電子機器にデータを供給しても良い。
【0101】
電源部405は、上記の各部に電力を供給する。記憶部406は、必要なデータを格納し、必要に応じて、各部にデータを供給する。
【0102】
計算部403は、上記のステップS120の動作を実施することができる。計算部403は、例えば、ステップS120で算出した評価パラメータ値Yが、予め定められた範囲を超えた場合に、警告となる信号を出力部404に供給しても良い。警告となる信号を入手した出力部404は、警告音及び警告表示などの警告信号をユーザに提示しても良い。出力部404は、警告信号の提示と共に、得られた評価パラメータ値Yを提示しても良い。
【0103】
本実施形態に係る不快グレア評価方法を用いて不快グレアを評価することで、不快グレアに配慮した照明器具及び照明空間の設計が可能である。例えば、第1式または第6式を用いることで、不快グレアが小さい照明器具及び照明空間の設計が可能である。
【0104】
例えば、照明器具210の発光部220の平均輝度Laが20000cd/m2であり、発光部220の輝度均斉度Uが0.01であり、照明器具210の大きさω(立体角)が0.02srであり、照明器具210の周辺の輝度(背景輝度Lb)が20cd/m2であり、照明器具210の位置指数piが10である、照明器具210を用いた照明環境250においては、第6式から、照明環境250の不快グレアに関する評価パラメータ値Yは、22.0となる。既に説明したように、この値は、主観評価値Esubとの一致性が高い。
【0105】
図10に関して説明した主観評価特性を利用すると、22.0の評価パラメータ値Yは、“不快に感じ始める”に対応する。例えば、執務室の推奨UGRである19を基準値とする。評価パラメータ値を22.0から19以下にするための1つの方法が、例えば、照明器具210の発光部220の輝度均斉度Uを0.06以上にすることであることが、本実施形態を用いることで分かる。
【0106】
このように、本実施形態に係る不快グレア評価方法を用いることで、不快グレアを低減する照明空間の設計仕様を決めることができる。
【0107】
なお、例えば、第1式に含まれる種々の定数は必要に応じて変更できる。例えば、各パラメータ値を対数化して計算した場合、照明器具210の発光部220の輝度均斉度Uの計算方法を変更した場合、照明器具210及び照明空間(照明環境250)の条件を変更した場合、及び、照明器具210を直接観察した場合などにおいて、例えば第6式における定数とは異なる定数を用いることで、適切に不快グレアを評価することができる。
【0108】
上記では、不快グレアの評価パラメータ値Yが、図10に関して説明した主観評価値Esubと一致するように定められる場合について説明したが、主観評価値Esubの特性が図10で例示した特性とは異なる特性でも良い。このとき、第1式中の定数は適切に設定される。すなわち、第6式中の定数は、適切に変更される。
【0109】
このように、本実施形態に係る不快グレア評価方法によれば、発光部220(発光面)の輝度均斉度Uが低い照明器具210(例えば、LED照明器具)を用いた照明環境250における不快グレアを、簡単な計算により、適切に評価できる。また、本実施形態に係る不快グレア評価方法によれば、発光部220の輝度均斉度Uが低い部分を含む照明器具210の不快グレアを、簡単な計算によって求めることができる。さらに、不快グレアを適切に評価することで、不快グレアの程度を所望に制御した照明環境250(照明器具210を含む)を得るための照明パラメータを提示することができる。
【0110】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、不快グレアを評価するためのコンピュータプログラムに係る。
本実施形態に係る不快グレア評価プログラムは、例えば、図15に関して説明した動作をコンピュータに実施させる。
【0111】
本プログラムは、コンピュータに、照明器具210の発光部220の平均輝度Laに関する平均輝度情報と、発光部220の輝度均斉度Uに関する輝度均斉度情報と、発光部220の大きさωに関する発光部大きさ情報と、照明器具210の背景輝度Lbに関する背景輝度情報と、を含む情報を入手させる(ステップS111を含むステップS110)。
【0112】
本プログラムは、コンピュータに、上記の情報の入手で入手した平均輝度Laと、輝度均斉度Uと、発光部大きさωと、背景輝度Lbに基づいて、Laに基づく値と、Uに基づく値と、ωに基づく値との積を、Lbに基づく値で除した評価パラメータ値を算出させる(ステップS120)。例えば、本プログラムは、コンピュータに、算出された評価パラメータ値に基づく値を出力させても良い。
【0113】
上記のステップS110は、コンピュータに、照明器具210が設けられる照明環境250に関する環境情報を入手すること(ステップS101)と、照明環境250における視点102に関する視点情報を入手すること(ステップS102)と、をさらに実施させても良い。
【0114】
ステップS110は、コンピュータに、環境情報と視点情報とに基づいて、i番目(iは1以上の整数)の照明器具210に関する予め定められた位置指数piをさらに入手すること(ステップS112)をさらに実施させても良い。
【0115】
平均輝度情報は、i番目の照明器具210の発光部220の平均輝度Liを含む。輝度均斉度情報は、i番目の照明器具210の発光部220の輝度均斉度Uiを含む。発光部大きさ情報は、i番目の照明器具210の発光部220の大きさωiを含む。そして、ステップS120は、第1式で表される評価パラメータ値Yを、コンピュータに算出させることを含む。さらに、ステップS120では、コンピュータに、評価パラメータ値Yに基づく値を出力させても良い。
【0116】
例えば、ステップS101では、照明環境250に関する情報として、照明環境250の大きさ、照明環境250の内装の反射率、照明器具210の情報、及び、照明器具210の数などに関する情報を、コンピュータに入手させる。照明器具210の情報は、照明器具210の配光特性、発光面(例えば発光部220)の最大輝度、発光面の大きさ(例えば、平方メートルの単位の面積値)、保守率及び調光率などを含む。本プログラムは、コンピュータに、不快グレア評価方法を用いる使用者によって照明環境250に関する情報を設定させるように促させても良い。また、本プログラムは、コンピュータに、情報提供源から照明環境250に関する情報を入手させても良い。
【0117】
例えば、ステップS102では、コンピュータに、照明環境250内における視点102の位置に関する情報を入手させる。本プログラムは、コンピュータに、不快グレア評価方法を用いる使用者によって視点情報を設定させるように促させても良い。また、本プログラムは、コンピュータに、情報提供源から視点情報を入手させても良い。
【0118】
ステップS101及びステップS102の実施の後に、ステップS103において、入手の完了(設定の完了)が判断され、入手が完了したらステップS111に進む。
【0119】
ステップS111では、本プログラムは、コンピュータに、平均輝度La、輝度均斉度U、発光部220の大きさω、背景輝度Lb、を入手させる。例えば、本プログラムは、コンピュータに、不快グレア評価方法を用いる使用者によってこれらの値を設定させるように促させても良い。また、本プログラムは、コンピュータに、情報提供源からこれらの値を入手させても良い。また、本プログラムは、コンピュータに、上記の環境情報及び視点情報に基づいてこれらの値を算出させても良い。
【0120】
ステップS112では、本プログラムは、コンピュータに、上記の環境情報及び視点情報に基づいて位置指数piを算出させる。また、本プログラムは、コンピュータに、不快グレア評価方法を用いる使用者に位置指数piを設定させるように促させても良い。また、本プログラムは、コンピュータに、情報提供源から位置指数piを入手させても良い。
【0121】
すなわち、本プログラムは、コンピュータに、種々の装置から、ステップS111における平均輝度La、輝度均斉度U、発光部220の大きさω、背景輝度Lb、及び、ステップS112における位置指数piを入手させても良い。この装置として、例えば、カラーセンサ、フォトダイオード及び画像センサ等の各種のセンサなどを用いた装置や、入力出力が可能な情報端末装置などを用いることができる。
【0122】
ステップS111及びステップS112の実施の後に、ステップS113において、入手の完了(設定の完了)が判断され、入手が完了したらステップS120に進む。
このような手順により、任意の照明環境250における不快グレアが評価できる。
【0123】
本実施形態に係る不快グレア評価プログラムによれば、輝度均斉度Uが低い照明器具210(例えば、LED照明器具)などの種々の照明器具においても、コンピュータに適切に不快グレアを評価させることができる。さらに、不快グレアを適切に抑制した照明設計を提示することができる。
【0124】
実施形態によれば、適切に不快グレアを評価できる不快グレア評価方法及び不快グレア評価プログラムが提供できる。
【0125】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、不快グレアの評価方法において用いられる照明器具、発光部及び照明環境等の各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0126】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0127】
その他、本発明の実施の形態として上述した適切に不快グレアを評価できる不快グレア評価方法及び不快グレア評価プログラムを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての適切に不快グレアを評価できる不快グレア評価方法及び不快グレア評価プログラムも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0128】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0129】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0130】
101…観測者、 102…視点、 103…注視点、 104…視線、 210…照明器具、 210a…第1例、 210b…第2例、 220…発光部、 221…照明器具中心、 230…光源、 250…照明環境、 251…天井、 252…壁、 253…床、 253a…水平面、 254…出入り口、 301…斜め線、 400…不快グレア評価装置、 401…設定部、 402…パラメータ算出部、 403…計算部、 404…出力部、 405…電源部、 406…記憶部、 ΔB1…幅、 B1…輝度、 B1a…平均輝度、 B1m…最小値、 B1x…最大輝度、 Eave…平均照度、 Esub、Esuba…主観評価値、 H…垂直距離、 Psc…第2位置、 Pse…第1位置、 R…視線上距離、 Rfw…反射率、 S01〜S12…第1〜第12サンプル、 T…水平距離、 p、pi…位置指数
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明器具の発光部の平均輝度La(cd/m2)に関する平均輝度情報と、前記発光部の輝度均斉度U(無次元の値)に関する輝度均斉度情報と、前記発光部の大きさω(sr)に関する発光部大きさ情報と、前記照明器具の背景輝度Lb(cd/m2)に関する背景輝度情報と、を入手する情報入手工程と、
前記情報入手工程で入手した前記平均輝度Laと、前記輝度均斉度Uと、前記発光部大きさωと、前記背景輝度Lbに基づいて、前記Laに基づく値と、前記Uに基づく値と、前記ωに基づく値との積を、前記Lbに基づく値で除した評価パラメータ値を算出する算出工程と、
を備えたことを特徴とする不快グレア評価方法。
【請求項2】
前記情報入手工程は、前記照明器具が設けられる照明環境に関する環境情報と、前記照明環境における視点に関する視点情報と、をさらに入手することを含み、
前記情報入手工程は、前記環境情報と前記視点情報とに基づいて、i番目(iは1以上の整数)の前記照明器具に関する予め定められた位置指数piに関する情報をさらに入手することを含み、
前記平均輝度情報は、前記i番目の前記照明器具の前記発光部の平均輝度Li(cd/m2)を含み、
前記輝度均斉度情報は、前記i番目の前記照明器具の前記発光部の輝度均斉度Ui(無次元の値)を含み、
前記発光部大きさ情報は、前記i番目の前記照明器具の前記発光部の前記大きさωi(sr)を含み、
前記算出工程は、前記評価パラメータ値として、以下の第1式
【数7】
で表される値Y(前記第1式における前記A、前記B、前記a、前記b、前記c、前記d、前記k、前記n、前記const1及び前記const2は定数であり、前記a、前記b、前記c、前記d、前記k及び前記nは、0以上10以下であり、「・」は乗算を表す)を算出することを含むことを特徴とする請求項1記載の不快グレア評価方法。
【請求項3】
前記aは0以下1以上であり、前記bは2であり、前記cは0以上1以下であり、前記dは2であることを特徴とする請求項2記載の不快グレア評価方法。
【請求項4】
前記情報入手工程は、前記環境情報と前記視点情報とに基づいて、前記位置指数pi、前記背景輝度Lb、前記平均輝度La、前記輝度均斉度U、前記発光部の前記大きさωの少なくともいずれかを算出することを含むことを特徴とする請求項2または3に記載の不快グレア評価方法。
【請求項5】
前記情報入手工程における前記環境情報、前記視点情報、前記位置指数pi、前記背景輝度Lb、前記平均輝度La、前記輝度均斉度U、及び、前記発光部の前記大きさωの少なくともいずれかは入力された値であることを特徴とする請求項2または3に記載の不快グレア評価方法。
【請求項6】
前記情報入手工程は、前記環境情報、前記視点情報、前記位置指数pi、前記背景輝度Lb、前記平均輝度La、前記輝度均斉度U、及び、前記発光部の前記大きさωの少なくともいずれかを測定することを含むことを特徴とする請求項2または3に記載の不快グレア評価方法。
【請求項7】
コンピュータに、照明器具の発光部の平均輝度Laに関する平均輝度情報と、前記発光部の輝度均斉度Uに関する輝度均斉度情報と、前記発光部の大きさωに関する発光部大きさ情報と、前記照明器具の背景輝度Lbに関する背景輝度情報と、を含む情報を入手させ、
前記コンピュータに、前記情報の入手で入手した前記平均輝度Laと、前記輝度均斉度Uと、前記発光部大きさωと、前記背景輝度Lbに基づいて、前記Laに基づく値と、前記Uに基づく値と、前記ωに基づく値との積を、前記Lbに基づく値で除した評価パラメータ値を算出させることを特徴とする不快グレア評価プログラム。
【請求項8】
前記情報の入手は、前記コンピュータに前記照明器具が設けられる照明環境に関する環境情報と、前記照明環境における視点に関する視点情報と、をさらに入手させることを含み、
前記情報の入手は、前記コンピュータに前記環境情報と前記視点情報とに基づいて、i番目(iは1以上の整数)の前記照明器具に関する予め定められた位置指数piに関する情報をさらに入手させることを含み、
前記平均輝度情報は、前記i番目の前記照明器具の前記発光部の平均輝度Liを含み、
前記輝度均斉度情報は、前記i番目の前記照明器具の前記発光部の輝度均斉度Uiを含み、
前記発光部大きさ情報は、前記i番目の前記照明器具の前記発光部の前記大きさωiを含み、
前記算出させることは、前記コンピュータに、前記評価パラメータ値として、以下の第1式
【数8】
で表される値Y(前記第1式における前記A、前記B、前記a、前記b、前記c、前記d、前記k、前記n、前記const1及び前記const2は定数であり、前記a、前記b、前記c、前記d、前記k及び前記nは、0以上10以下であり、「・」は乗算を表す)を算出させることを含むことを特徴とする請求項7記載の不快グレア評価プログラム。
【請求項1】
照明器具の発光部の平均輝度La(cd/m2)に関する平均輝度情報と、前記発光部の輝度均斉度U(無次元の値)に関する輝度均斉度情報と、前記発光部の大きさω(sr)に関する発光部大きさ情報と、前記照明器具の背景輝度Lb(cd/m2)に関する背景輝度情報と、を入手する情報入手工程と、
前記情報入手工程で入手した前記平均輝度Laと、前記輝度均斉度Uと、前記発光部大きさωと、前記背景輝度Lbに基づいて、前記Laに基づく値と、前記Uに基づく値と、前記ωに基づく値との積を、前記Lbに基づく値で除した評価パラメータ値を算出する算出工程と、
を備えたことを特徴とする不快グレア評価方法。
【請求項2】
前記情報入手工程は、前記照明器具が設けられる照明環境に関する環境情報と、前記照明環境における視点に関する視点情報と、をさらに入手することを含み、
前記情報入手工程は、前記環境情報と前記視点情報とに基づいて、i番目(iは1以上の整数)の前記照明器具に関する予め定められた位置指数piに関する情報をさらに入手することを含み、
前記平均輝度情報は、前記i番目の前記照明器具の前記発光部の平均輝度Li(cd/m2)を含み、
前記輝度均斉度情報は、前記i番目の前記照明器具の前記発光部の輝度均斉度Ui(無次元の値)を含み、
前記発光部大きさ情報は、前記i番目の前記照明器具の前記発光部の前記大きさωi(sr)を含み、
前記算出工程は、前記評価パラメータ値として、以下の第1式
【数7】
で表される値Y(前記第1式における前記A、前記B、前記a、前記b、前記c、前記d、前記k、前記n、前記const1及び前記const2は定数であり、前記a、前記b、前記c、前記d、前記k及び前記nは、0以上10以下であり、「・」は乗算を表す)を算出することを含むことを特徴とする請求項1記載の不快グレア評価方法。
【請求項3】
前記aは0以下1以上であり、前記bは2であり、前記cは0以上1以下であり、前記dは2であることを特徴とする請求項2記載の不快グレア評価方法。
【請求項4】
前記情報入手工程は、前記環境情報と前記視点情報とに基づいて、前記位置指数pi、前記背景輝度Lb、前記平均輝度La、前記輝度均斉度U、前記発光部の前記大きさωの少なくともいずれかを算出することを含むことを特徴とする請求項2または3に記載の不快グレア評価方法。
【請求項5】
前記情報入手工程における前記環境情報、前記視点情報、前記位置指数pi、前記背景輝度Lb、前記平均輝度La、前記輝度均斉度U、及び、前記発光部の前記大きさωの少なくともいずれかは入力された値であることを特徴とする請求項2または3に記載の不快グレア評価方法。
【請求項6】
前記情報入手工程は、前記環境情報、前記視点情報、前記位置指数pi、前記背景輝度Lb、前記平均輝度La、前記輝度均斉度U、及び、前記発光部の前記大きさωの少なくともいずれかを測定することを含むことを特徴とする請求項2または3に記載の不快グレア評価方法。
【請求項7】
コンピュータに、照明器具の発光部の平均輝度Laに関する平均輝度情報と、前記発光部の輝度均斉度Uに関する輝度均斉度情報と、前記発光部の大きさωに関する発光部大きさ情報と、前記照明器具の背景輝度Lbに関する背景輝度情報と、を含む情報を入手させ、
前記コンピュータに、前記情報の入手で入手した前記平均輝度Laと、前記輝度均斉度Uと、前記発光部大きさωと、前記背景輝度Lbに基づいて、前記Laに基づく値と、前記Uに基づく値と、前記ωに基づく値との積を、前記Lbに基づく値で除した評価パラメータ値を算出させることを特徴とする不快グレア評価プログラム。
【請求項8】
前記情報の入手は、前記コンピュータに前記照明器具が設けられる照明環境に関する環境情報と、前記照明環境における視点に関する視点情報と、をさらに入手させることを含み、
前記情報の入手は、前記コンピュータに前記環境情報と前記視点情報とに基づいて、i番目(iは1以上の整数)の前記照明器具に関する予め定められた位置指数piに関する情報をさらに入手させることを含み、
前記平均輝度情報は、前記i番目の前記照明器具の前記発光部の平均輝度Liを含み、
前記輝度均斉度情報は、前記i番目の前記照明器具の前記発光部の輝度均斉度Uiを含み、
前記発光部大きさ情報は、前記i番目の前記照明器具の前記発光部の前記大きさωiを含み、
前記算出させることは、前記コンピュータに、前記評価パラメータ値として、以下の第1式
【数8】
で表される値Y(前記第1式における前記A、前記B、前記a、前記b、前記c、前記d、前記k、前記n、前記const1及び前記const2は定数であり、前記a、前記b、前記c、前記d、前記k及び前記nは、0以上10以下であり、「・」は乗算を表す)を算出させることを含むことを特徴とする請求項7記載の不快グレア評価プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図15】
【図16】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図15】
【図16】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−51188(P2013−51188A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189900(P2011−189900)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願、平成23年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代高効率・高品質照明の基盤技術開発/戦略的国際標準化推進事業/LED光源、並びにLED照明器具の性能評価方法の国際標準化に係る研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願、平成23年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代高効率・高品質照明の基盤技術開発/戦略的国際標準化推進事業/LED光源、並びにLED照明器具の性能評価方法の国際標準化に係る研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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