説明

不正乗車防止方法およびシステム

【目的】 切符と定期券を組み合わせた不正乗車を防止する。
【構成】 切符を自動改札機に入力して乗車しようとする乗客がいれば、自動改札機は非接触ICカードである定期券に、定期券固有の「ID番号を送れ」、と発信する。乗客が定期券を有していれば、その乗車区間を自動改札機に発信し、切符の乗車区間と比べ、不正乗車の可能性が有れば、乗車駅、乗車日時を定期券に書き込む。 その乗客が定期券を使って下車する時に、乗車駅を読み取って、定期券の所定の乗車区間から乗車しているか否かをチェックし、不正乗車を摘発する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄道機関等の不正乗車の防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】読み書き可能な非接触のICカードを用いて、切符、定期券等に応用しようと考えられている。しかし、このカードと切符を組み合わせた不正乗車を防止する方法は、論じられていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】切符を使って自動改札機から乗車した乗客が、読み書き可能な非接触のICカード定期券を使って下車しても、その乗客は、どこから乗車したのかわからなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】改札口に設置する自動改札機には、磁気化された切符を読み取る手段と、乗客がポケット等に所有しているICカードの定期券に信号を発する手段と、ICカード定期券からの信号を受信して、ICカード定期券の情報を読み取る手段と、ICカード定期券に乗車に関する情報を書き込む手段と、有効な乗車券(切符、定期券等)を入力した乗客がまだ自動改札機内に滞留している人数を計算する手段と、自動改札機から出て行く人数をカウントする手段を設ける。
【0005】乗客が切符で乗車する時、自動改札機は、切符とICカード定期券を読み、乗車区間が連続しているか否かの判定手段で判定し、連続していなければ、ICカード定期券に、乗車駅名等の乗車に関する情報を書き込む。乗客が、そのICカード定期券で、下車した場合は、乗車に関する情報とICカード定期券の乗車区間を比較し、所定の乗車区間から乗車しているかどうかを判定する手段を設けて、所定の乗車区間外から乗車した不正乗車の乗客を発見する。
【0006】
【作用】改札口に設置する自動改札機には、磁気化された切符を読み取る手段で、切符で乗車できる範囲を調べる。乗客がポケット等に所有しているICカードの定期券に信号を発する手段によって、その乗客がICカード定期券を所有しているかどうかを調べる。ICカード定期券からの信号を受信すれば、その乗客はICカード定期券を所有していることが分かる。ICカード定期券の情報を読み取る手段によって、そのICカード定期券の乗車区間を調べる。
【0007】乗客が切符で乗車する時、自動改札機は、切符とICカード定期券を読み、乗車区間が連続しているか否かの判定手段で判定し、連続していなければ、ICカード定期券に乗車に関する情報を書き込む手段によって、乗車駅名等の乗車に関する情報を書き込む。
【0008】乗客が、そのICカード定期券で、下車した場合は、乗車に関する情報とICカード定期券の乗車区間を比較し、所定の乗車区間から乗車しているかどうかを判定する手段によって、所定の乗車区間外から乗車した不正乗車の乗客を発見する。
【0009】不正乗車の乗客を発券した場合、有効な乗車券(切符、定期券等)を入力した乗客がまだ自動改札機内に滞留している人数を計算する手段と、その自動改札機から出て行く人数をカウントする手段によって、上記滞留人数が自動改札機の外に出たことを確認し、上記不正乗車の乗客が自動改札機の外に出るのを妨げる。
【0010】
【実施例】実施例の説明に入る前に、用語の定義を行う。乗車、下車とは、本来それぞれ、電車に乗ったり、電車から降りることを言うが、本明細書では、自動改札機から駅構内に入場することを’乗車’、自動改札機から駅の外に出ることを’下車’と言う。
【0011】乗車の方法として、切符、定期券以外にプリペイドカードや料金後払いのクレジットカードがあったり、下車の場合には、さらに駅で不足料金を支払ったことを証明する精算書もある。以下の実施例では、乗車の時’切符’と言えば、切符以外にプリペイドカード、クレジットカードを含み、下車の時’切符’と言えば、前記以外に精算書も含めるものとする。さらに、定期券には、非接触で読み書き可能なICカードを用いるものとする。非接触ICカードについては、たとえば特開昭61−193897等で述べられているので、ここでは説明は省略する。
【0012】図1、図2に乗客が乗車する時の、自動改札機と定期券の処理の流れを示す。
【0013】ステップ101自動改札機は自分が持つ乗客センサで、乗客が来たのを感知すれば、定期券に’ID番号を送れ’という命令を発する。
ステップ102自動改札機に切符が入力されていれば、ステップ103へ進む。そうでなければ、ステップ107へ。
ステップ103入力された切符は乗車可能な切符かどうか判定する。乗車可能であればステップ104へ、そうでなければステップ105へ進む。
ステップ104ステップ101で自動改札機から定期券に発した命令に対して、もしその乗客が定期券を保有していれば、自動改札機に定期券固有のID番号を発信しているので、それを自動改札機が受信したかどうかを判定する。受信していればステップ111へ、そうでなければステップ106ヘ進む。
ステップ105乗車できない切符なので、自動改札機のゲートを閉め、音を発したりして、乗車できないようにする。
ステップ106この乗客は、乗車可能な切符を入力し、定期券を保有していないので、自動改札機のゲートを開けて、乗車を認める。
ステップ107ステップ104と同様の処理を行う。受信していれば、ステップ108へ、そうでなければ、「切符も定期券も持っていない乗客」と判断し、ステップ105ヘ。
ステップ108この乗客は、定期券を保有しているので、自動改札機から定期券に、その「ID番号」と「乗車区間を報告せよ」という命令を発信する。それを受けた定期券は、上記「ID番号」が自分の番号であることを確認した後、自分の「ID番号」と「定期券所定の乗車区間」を自動改札機に発信する。
ステップ109この乗客は切符を入力しておらず、定期券だけで乗車しようとしているので、自動改札機はその有効期間を読み取る。読み取る手順はステップ108と同様にし、「乗車区間」を「有効期間」に置き換えて行う。
ステップ110上記定期券が乗車可能な定期券であるかどうかを、「乗車区間」と「有効期間」に基づいて、判定する。乗車可能ならステップ114へ、そうでなければステップ105へ進む。
ステップ111ステップ108と同様の処理を行う。
ステップ112この乗客は定期券を保有しながら、切符で乗車したので、切符の乗車可能な範囲と、定期券の乗車区間が連続するか否かを調べる。例えば、A駅、B駅、C駅、D駅の順に駅があり(4駅の間に他の駅があっても構わない)、この駅がA駅であるとすれば、切符の乗車範囲がC駅まで、定期券の乗車区間がC駅からD駅までならば、「切符と定期券の乗車区間は連続である」、と判定する。また、乗車区間が重なっていても(例えば、「切符ではC駅まで乗車可能」で「定期券の乗車区間はB駅からD駅まで」)、連続しているとみなす。一方、「切符の乗車可能範囲はB駅まで」で「定期券の乗車区間はC駅からD駅まで」である時は、連続でないと判定する。切符と定期券の区間が連続していれば、ステップ113へ、連続していなければステップ114へ進む。
ステップ113自動改札機は、定期券に記憶してある「乗車駅名」をクリアする。または、定期券の乗車区間がC駅からD駅までならば、その中のどれか1つの駅名を「乗車駅名」に書き込んでも良い。
ステップ114不正乗車の可能性が有るので、定期券の「乗車駅名」のエリアに「A駅」と書き込む。
ステップ115乗車日時を定期券に書き込む。
【0014】ステップ101とステップ102でセンサが乗客を感知する前に、乗客が切符を自動改札機に投入した場合は、ステップ102の後で、ステップ101を実行する。
【0015】ステップ108等での、定期券の内容を読みだす手順を図3に、ステップ112等での、定期券にデータを書き込む手順を図4に示す。
ステップ301自動改札機は定期券にID番号を送れ、という命令を発信する。
ステップ302上記命令を受信した定期券は、自分のID番号を自動改札機に発信する。
ステップ303自動改札機は定期券のID番号を受信後、そのID番号と、データを送れ、という命令コード、及び読み出したいエリアの位置(例えば、第cバイトから第(d−1)バイトまで)を発信する。
ステップ304定期券はID番号を受信し、自分のID番号と一致すれば、自動改札機から指示された所定の場所の情報(乗車区間、有効期間等、この例では、第cバイトから第(d−1)バイトまで)とID番号を自動改札機に発信する。
ステップ305上記内容を受信する。
ステップ401自動改札機はデータを書き込みたい定期券のID番号とデータを書き込めという命令コードと書き込みたいエリアの位置(この例では、第fバイトから)、及び書き込みたいデータ(この例ではxxyyzz)を発信する。
ステップ402定期券はID番号を受信し、自分のID番号と一致すれば、自動改札機から指示された所定の場所に(第fバイトから)ステップ401で送られてきたデータ(xxyyzz)を書き込む。
ステップ403上記内容を書き込んだこと及びID番号を自動改札機に報告する。
ステップ404自動改札機は上記報告事項を受信する。
【0016】ステップ301で読み出したいエリアの位置と述べたが、図5に定期券のフォーマットの例を示す。
【0017】(1)第1バイトから第(a−1)バイトまで:システムエリアとする。ID番号等カード発行後は、誰も書替えできないエリアである。
(2)第aバイトから第(b−1)バイトまで:暗証番号を記憶する。カード保有者のみが書き替えることが可能である。定期券だけの使用であれば、暗証番号は不要かもしれないが、クレジットカードとの併用をする場合には必要である。
(3)第bバイトから第(c−1)バイトまで:この定期券が有効な、またはこの定期券を発行した鉄道会社のコードを記憶する。
(4)第cバイトから第(d−1)バイトまで:乗車区間を示す2駅の駅名を記憶する。必要ならば、経由駅等もここに記憶する。
(5)第dバイトから第(e−1)バイトまで:この定期券の有効期間を記憶する。
(6)第eバイトから第(f−1)バイトまで:定期券の期限は切れても、クレジットカードとして利用できるように、このICカード自身の有効期限を記憶する。
(3)から(6)までは鉄道会社等のカード発行者だけが、書替え可能である。
(7)第fバイトから第(g−1)バイトまで:自動改札機が乗車駅名を書き込むエリアである。
(8)第gバイトから第(h−1)バイトまで:自動改札機が乗車日時を書き込むエリアである。
(7)、(8)は自動改札機だけが、書替え可能である。
(9)第hバイトから:予備エリアとする。
【0018】図6に乗客が下車する時の、自動改札機と定期券の処理の流れを示す。
【0019】ステップ601自動改札機は自分が持つ乗客センサで、乗客が来たのを感知すれば、定期券に’ID番号を送れ’という命令を発信する。
ステップ602自動改札機に切符が入力されていれば、ステップ603へ進む。そうでなければ、ステップ607へ。
ステップ603入力された切符は下車可能な切符かどうか判定する。下車可能であればステップ604へ、そうでなければステップ605へ進む。
ステップ604下車できる切符なので、自動改札機のゲートを開け、その乗客の下車を許可する。
ステップ605下車できない切符なので、自動改札機のゲートを閉め、音を発したりして、その乗客が下車できないようにする。
ステップ606正常な乗車なので、もしその乗客が定期券を保有していれば、その中の乗車に関する情報をクリアする。
ステップ607ステップ101で自動改札機から定期券に発した命令に対して、もしその乗客が定期券を保有していれば、自動改札機に定期券固有のID番号を発信しているので、それを自動改札機が受信したかどうかを判定する。受信していればステップ608へ、そうでなければ、切符も定期券も持っていない乗客、と判断し、ステップ605ヘ進む。
ステップ608この乗客は定期券を保有しているので、自動改札機から定期券に、その「ID番号」と「乗車区間を報告せよ」という命令を発信する。それを受けた定期券は、上記「ID番号」が自分の番号であることを確認した後、自分の「ID番号」と「定期券所定の乗車区間」を自動改札機に発信する。
ステップ609自動改札機はその定期券の有効期間を読み取る。読み取る手順はステップ608と同様にし、「乗車区間」を「有効期間」に置き換えて行う。有効期間内ならステップ610へ、有効期間内でなければステップ605へ進む。
ステップ610定期券の乗車に関する情報(乗車駅、乗車日時等)を読む。
ステップ611乗車駅、乗車日時に矛盾はないか?をチェックする。例えば、この定期券の所定の乗車区間が、C駅からD駅までなのに、定期券の乗車駅名がこの区間でなければ、矛盾が有る、と判断する。また、乗車日時が現在時刻よりも所定の時間以上も以前であれば、乗車日時に矛盾がある、と判断し、ステップ605へ進み、矛盾がなければステップ604へ進む。
【0020】ステップ601とステップ602の順序は、図1と同様である。
【0021】ステップ606で、乗車に関する情報をクリアする、と述べたが、その必要性を説明する。図2のステップ112、及びステップ114で、「切符と定期券の乗車区間が連続しない場合、定期券の乗車駅名にA駅と書き込む」と述べた。A駅からB駅まで有効な切符と、C駅からD駅まで有効な定期券を使って、A駅から切符で乗車し、(A駅、B駅、C駅、D駅の位置関係は図2と同じ)D駅で定期券を使って下車すると、不正乗車となるが、この乗客が切符を使ってB駅で下車する時は、正常な乗車である。この場合は、乗車時に書き込んだ乗車駅名=A駅、をクリアする必要が有る。ステップ606がこれにあたる。図6では詳細なフローは省略したが、ステップ606の前に、その乗客が定期券を持っているか否かを判断し、持っている場合のみステップ606の処理を実行し、持っていなければ、何もしないことは、言うまでもない。また、クリアする以外に、自動改札機が定期券の内容を読まないとか、読んでも正常な乗車か否かの判定には用いない、という方法もある。
【0022】自動改札機の導入が全駅一斉でなく、段階的に行われるならば、次のことにも留意が必要である。
【0023】
(1)乗車駅に自動改札機がなく、下車駅にある場合乗車駅名、乗車日時が書き込まれていないので、いつ、どこから乗車したのか不明であるが、不正乗車の証拠がないので、下車を認める。
【0024】
(2)乗車駅に自動改札機があり、下車駅にない場合乗車駅名、乗車日時がクリアされずに、定期券に残る。この後、上記(1)の場合になると、下車時の情報では、「数日前に乗車した」ということになる。従って、ステップ611で乗車日時に矛盾がないか否かチェックする、と述べたが、「所定の日数が経過していれば有効」等の判断をしなければならない。
【0025】つぎに、本発明で使用する自動改札機の例を説明する。図7にその構成図を示す。切符投入口701から切符が投入され、切符搬送路702を通って、乗車の時は切符返却口703で乗客に切符を返却し、下車の場合は、切符回収口704に切符を回収する。乗客の接近を感知するためにセンサ705を設け、このセンサが感知すると、発信部706から乗客の定期券に’ID番号を送れ’という命令を発する。この命令を受信した定期券は、自分のID番号、乗車区間等を発信し、受信部707がこれらを受信する。複数人が自動改札機の中に滞留している時に、下車を認められない乗客が発生した時に、その乗客を特定するために、乗客の通過をカウントするカウンタ708を設ける。乗客の乗車、下車を認めた時にはゲート709を開け、認めない時にはゲート709を閉める。
【0026】1台の自動改札機を乗車、下車を兼用するためには、乗客の進行方向に対して、対象にする必要が有る。図8に乗車、下車兼用の自動改札機を示す。図7との違いを説明する。切符投入口701、切符返却口703を統一して、切符出入口810と811とする。切符回収口704、センサ705、発信部706、カウンタ708、及びゲート709を、図面上で左右対象となるように、もう1つずつ設ける。
【0027】センサ705、センサ805、切符出入口810、切符出入口811の4つの中で一番最初に乗客を感知、または切符の入力を感知した方向の乗客の進行を認める。言い替えれば、切符出入口810かセンサ705が他の2つよりも先に感知すれば、図8で向かって右から左への進行を認め、左側のゲート709を閉め、切符出入口811に切符を入力できないようにする。切符出入口811かセンサ805が他の2つよりも先に感知すれば、その逆を実行する。
【0028】図9に発信部901、903、受信部902、904と2つずつ設置した自動改札機の例を示す。図面向かって左から右が乗車、右から左が下車の方向である。乗車時の処理フローを図10に、下車時の処理フローを図11に示す。なお、乗車、下車の処理フローは図1、図6で述べたので、ここでは定期券を持っている乗客に対する自動改札機と定期券の処理フローを説明する。
【0029】ステップ1001センサ805が乗客の接近を感知、または切符出入口811に切符が投入されれば、発信部903は「ID番号を送れ」という命令を定期券に発信する。
ステップ1002上記命令を受けた定期券は、自分のID番号を自動改札機に発信する。
ステップ1003受信部904または受信部902が、定期券のID番号を受信すれば、発信部903は、「そのID番号」と「データを送れ」という命令コード、及び読み出したいエリアの位置、この場合は「第cバイトから第(e−1)バイトまでの情報(乗車区間と有効期間)」を発信する。
ステップ1004定期券はID番号を受信し、自分のID番号と一致すれば、「自動改札機から指示された所定の場所の情報(この例では、第cバイトから第(e−1)バイトまで)」と「ID番号」を自動改札機に発信する。
ステップ1005受信部902または受信部904は上記発信内容を受信し、この定期券で乗車できるか否かを判断する。乗車を認めるならばステップ1006へ、認めないならばゲート809を閉め、この処理を終了する。
ステップ1006データを書き込みたい定期券の「ID番号」と「データを書き込めという命令コード」と「書き込みたいエリアの位置(この例では、第fバイトから)」、及び「書き込みたいデータ(この例では乗車駅名、乗車日時)」を発信する。この時、切符と定期券の乗車区間が連続しているか等の処理が必要になる。詳細は図2のステップ111からステップ114で述べたので、ここでは省略する。
ステップ1007定期券はID番号を受信し、自分のID番号と一致すれば、自動改札機から指示された所定の場所に(第fバイトから)ステップ1006で送られてきたデータを書き込む。
ステップ1008上記内容を書き込んだこと及びID番号を自動改札機に報告する。
ステップ1009自動改札機は上記報告事項を受信する。
ステップ1101センサ705が乗客の接近を感知、または切符出入口810に切符が投入されれば、発信部901は「ID番号を送れ」という命令を定期券に発信する。
ステップ1102上記命令を受けた定期券は、自分のID番号を自動改札機に発信する。
ステップ1103受信部902または受信部904が、定期券のID番号を受信すれば、発信部903は、「そのID番号」と「データを送れ」という命令コード、及び読み出したい「エリアの位置」、この場合は「第cバイトから第(h−1)バイトまでの情報(乗車区間、有効期間、乗車に関する情報)」を発信する。
ステップ1104定期券はID番号を受信し、自分のID番号と一致すれば、「自動改札機から指示された所定の場所の情報(この例では、第cバイトから第(h−1)バイトまで)」と「ID番号」を自動改札機に発信する。
ステップ1105受信部902または受信部904は上記発信内容を受信する。
ステップ1106正常な乗車か、不正な乗車かを判断する。詳細は図6のステップ610とステップ611で述べたので、ここでは省略する。
ステップ1107上記判断ができた後で、自動改札機を出る直前の乗客の定期券に「ID番号を送れ」という命令を発信する。
ステップ1108上記命令を受けた定期券は、自分のID番号を自動改札機に発信する。
ステップ1109受信部904はID番号を受信後、ステップ1106の判断に基づいて、その乗客が正常な乗車をした乗客なら、ゲート709を開け、不正な乗車をした乗客ならば、ゲート709を閉める。
【0030】ステップ1109で正常な乗車をした乗客か不正な乗車をした乗客かを判定するために、ステップ1106で、ID番号と正常な乗車をした乗客か否かを示す表を作成する。表1にその例を示す。
【0031】
【表1】


【0032】表中’OK’は正常な乗車、’NG’は不正な乗車を意味し、’OUT’はもう既に自動改札機を出た(カウンタ708を通過した)、’IN’はまだ自動改札機の中に居る、ことを意味している。第1列の通し番号は、自動改札機に電源が投入された時にリセットされ、上限値、例えば整数型2バイトを割り当てたとして、65536人までカウントし、65537人目からは、再び通し番号1から書き込めば良い。ステップ1106での判定結果をNGかOKを表1に書き込み、ステップ1109では、その乗客のID番号を参照して、NGかOKかを表1で調べる。
【0033】このように、乗客が下車する直前に、ID番号を読めば、数人が続けて自動改札機に殺到した場合に定期券の情報を読み取る順序が、到着順序と違っても、自動改札機を正しく動作させることが可能になる。例えば、表1で、(n−1)人目の定期券の情報より先に、n人目の定期券の情報を自動改札機が読んでしまうと、表1がなければ、先に下車しようとしている正常な乗車をした(n−1)人目の乗客をn人目の乗客と間違い、不正な乗車をした乗客、と誤認識してしまうが、表1で下車直前に’ID番号’と’OKかNG’を参照すれば、正しく乗客を認識することが、可能である。
【0034】自動改札機が必ず乗客が到着した順に、定期券の情報を読み取ることができれば、下車直前にID番号を読んで、正常な乗車をした乗客か否かどうか、チェックする必要はない。NGと判定した時、その時の通し番号から下車した人数を減算すれば、そのNGの乗客を含めて、何人の乗客が自動改札機の中に滞留しているかが分かる。例えば表1で、n人目の乗客がNGであった場合、nから下車した人数(n−2)を減算し、n−(n−2)=2となり、(n−1)人目とn人目の乗客が、まだ自動改札機の中に滞留していることが分かる。この場合は1人((n−1)人目の乗客)がカウンタ708を通過したのを確認した後、ゲートを閉めて、n人目の不正乗車の乗客を下車させないようにすれば良い。
【0035】その他、自動改札機の構成として、受信部と発信部を1つにまとめて、受発信部として自動改札機の中央付近に1つだけ配置しても良いし、1つにまとめた受発信部を自動改札機の入口、出口に2つ設置しても良い。
【0036】第1の実施例では、正常な乗車か否かの判断は自動改札機が行っていたが、定期券がこの判断をすることも可能である。これを、第2の実施例で説明する。
【0037】図12に、図9の自動改札機から乗車する時の処理フローを、図13に、図9の自動改札機から下車する時の処理フローを示す。
【0038】ステップ1201センサ805が乗客の接近を感知、または切符出入口811に切符が投入されれば、発信部903は「ID番号を送れ」という命令を定期券に発信する。
ステップ1202上記命令を受けた定期券は、自分のID番号を自動改札機に発信する。
ステップ1203受信部904または受信部902が、定期券のID番号を受信すれば、発信部903は、「そのID番号」と、この自動改札機が設置してある「駅名のコード」を発信する。
ステップ1204定期券はID番号を受信し、自分のID番号と一致すれば、送られてきた駅名のコードを受信する。
ステップ1205非接触カードである定期券は内部のCPUで、この駅から乗車できるか否かを判断する。その方法は、定期券内部のメモリに乗車可能駅コードを記憶してCPUが参照したり、事前に路線コードと駅名コードを一連の昇べきの順や降べきの順になるように番号づけておき、定期券に路線コードと乗車区間を記憶しておけば、この駅が乗車区間内にあるか否か、判断ができる。この後、有効期間内であるかどうかもCPUが判断し、乗車可能であるか、ないかの信号、及び自分のID番号を自動改札機に送り、乗車可能であれば、ステップ1206へ、そうでなければ、ゲート809を閉じて、乗車できないようにし、この処理を終了する。
ステップ1206発信部901は、データを書き込みたい定期券の「ID番号」と「データを書き込めという命令コード」と「書き込みたいエリアの位置(この例では、第fバイトから)」、及び「書き込みたいデータ(この例では乗車駅名、乗車日時)」を発信する。この時、切符と定期券の乗車区間が連続しているか等の処理が必要になる。詳細は図2のステップ111からステップ114で述べたので、ここでは省略する。
ステップ1207定期券はID番号を受信し、自分のID番号と一致すれば、自動改札機から指示された所定の場所に(第fバイトから)ステップ1206で送られてきたデータを書き込む。
ステップ1208上記内容を書き込んだこと及びID番号を自動改札機に報告する。
ステップ1209受信部902または受信部904は上記発信内容を受信する。
ステップ1301センサ705が乗客の接近を感知、または切符出入口810に切符が投入されれば、発信部901は「ID番号を送れ」という命令を定期券に発信する。
ステップ1302上記命令を受けた定期券は、自分のID番号を自動改札機に発信する。
ステップ1303受信部902または受信部904が、定期券のID番号を受信すれば、発信部903は、「そのID番号」とこの自動改札機が設置してある駅名コードを発信する。
ステップ1304定期券はID番号を受信し、自分のID番号と一致すれば、駅名コードを受信する。
ステップ1305定期券の所定の乗車区間、有効期間、乗車に関する情報を読み、定期券内部のCPUが、正常な乗車か否かを判断する。詳細は図6のステップ610とステップ611で述べたので、ここでは省略する。この判断に基づいて、表1の中にID番号と’NG’または’OK’を記述し、その結果を自動改札機に報告(発信)する。
ステップ1306受信部904または902は上記報告事項を受信する。
ステップ1307上記判断ができた後で、発信部903は自動改札機を出る直前の乗客の定期券に「ID番号を送れ」という命令を発信する。
ステップ1308上記命令を受けた定期券は、自分のID番号を自動改札機に発信する。
ステップ1309受信部904はID番号を受信後、表1を参照して、その乗客が正常な乗車をした乗客なら、ゲート709を開け、不正な乗車をした乗客ならば、ゲート709を閉める。
【0039】本実施例によると、定期券が乗車、下車可能かどうかの判断をするので、自動改札機の負荷が軽減できる、という効果が有る。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、不正乗車を防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗車時の処理の流れ(その1)を示すフロー図。
【図2】乗車時の処理の流れ(その2)を示すフロー図。
【図3】乗車時の自動改札機と定期券の処理の流れを示すフロー図。
【図4】下車時の自動改札機と定期券の処理の流れを示すフロー図。
【図5】定期券のフォーマットの例を示す図。
【図6】乗車時の処理の流れを示すフロー図。
【図7】自動改札機の構成の例を示す図。
【図8】自動改札機の構成の例を示す図。
【図9】自動改札機の構成の例を示す図。
【図10】自動改札機が乗車の可否を判断する時の、乗車時の自動改札機と定期券の処理の流れを示すフロー図。
【図11】自動改札機が下車の可否を判断する時の、下車時の自動改札機と定期券の処理の流れを示すフロー図。
【図12】ICカードが乗車の可否を判断する時の、乗車時の自動改札機と定期券の処理の流れを示すフロー図。
【図13】ICカードが下車の可否を判断する時の、下車時の自動改札機と定期券の処理の流れを示すフロー図。
【符号の説明】
701:切符投入口、702:切符搬送路、703:切符返却口、704:切符回収口、705:センサ、706:発信部、707:受信部、708:カウンタ、709:ゲート、801:発信部、802:受信部、803:発信部、804:切符回収口、805:センサ、808:カウンタ、809:ゲート、810:切符出入口、811:切符出入口、901:発信部、902:受信部、903:発信部、904:受信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】乗車時に乗客が所有する第1の乗車券と第2の乗車券の保持する乗車に関する情報を読み取り、それらの乗車区間が連続しない場合は、第2の乗車券に乗車に関する情報を書き込み、乗客が第2の乗車券で下車する時に、乗車時に書き込まれた乗車に関する情報を読み、下車駅での情報と乗車時に書き込まれた乗車に関する情報との合理性をチェックして、正常な乗車か否かを判断することを特徴とする不正乗車防止方法。
【請求項2】第2の乗車券に備えられた乗車情報エリアに、第1の乗車券と第2の乗車券の乗車区間が連続しなければ、乗車に関する情報を書き込むことを特徴とする請求項1記載の不正乗車防止方法。
【請求項3】第1の乗車券と第2の乗車券の乗車区間が連続する場合は、第2の乗車券に、第2の乗車券の乗車区間の内で、第1の乗車券で下車できる少なくとも1つの駅名を乗車に関する情報の中に書き込むことを特徴とする請求項1記載の不正乗車防止方法。
【請求項4】第2の乗車券に乗車情報エリアを設け、乗車時に第1の乗車券と第2の乗車券の乗車に関する情報を読み取り、第1の乗車券と第2の乗車券の乗車区間が連続すれば、該エリアをクリアすることを特徴とする請求項1記載の不正乗車防止方法。
【請求項5】第1の乗車券と第2の乗車券の乗車区間が連続しない時、第2の乗車券の乗車エリアに乗車に関する情報を書き込み、その後、乗客が第1の乗車券で下車可能な駅で下車した時には、第2の乗車券の乗車エリアに書き込まれた乗車に関する情報をクリアすることを特徴とする請求項1記載の不正乗車防止方法。
【請求項6】第1の乗車券と第2の乗車券の乗車区間が連続しない時、第2の乗車券の乗車エリアに乗車に関する情報を書き込み、その後、乗客が第1の乗車券を使い精算して下車した時には、精算の情報により、第2の乗車券の乗車エリアに書き込まれた乗車に関する情報をクリアすることを特徴とする請求項1記載の不正乗車防止方法。
【請求項7】乗車時に、乗客が入力した第1の乗車券の保持する情報を読み取る第1の手段、第1の手段の情報読み取りに応じて乗客が所有している可能性のある第2の乗車券に対しその乗車券の保持する乗車に関する情報の送信を前記第2の乗車券に要求する第2の手段、前記乗車に関する情報の送信要求に応じてそれが保持する乗車に関する情報を送信する手段を有する第2の乗車券、前記第2の乗車券から送信された乗車に関する情報と前記第1の乗車券の保持する情報との合理性をチェックする第3の手段および前記第3の手段の結果に応じて前記第2の乗車券に前記第1の乗車券の保持する乗車に関する情報を送信する第4の手段を備え、前記第2の乗車券は送信された前記第1の乗車券の保持する乗車に関する情報を書き込む機能を有するとともに、下車時に、乗客が入力した第2の乗車券の保持する情報を読み取る第5の手段、前記第5の手段の情報読み取りに応じて前記第2の乗車券の保持する前記書き込まれた第1の乗車券の保持していた乗車に関する情報の送信を要求し受信する第6の手段、前記第5の手段および第6の手段のそれぞれの出力の間の合理性をチェックし前記第2の乗車券の使用の正当性を判定する第7の手段よりなることを特徴とする不正乗車防止システム。
【請求項8】前記第3の手段および第7の手段が同じ処理装置を使用するものであることを特徴とする第7項記載の不正乗車防止システム。
【請求項9】下車時、正規な乗車券を自動改札機に入力した時には、第7の手段の機能を無視するかまたは第6の手段の機能を停止することを特徴とする第7項記載の不正乗車防止システム。
【請求項10】下車時、正規な乗車券が入力された時には、第2の乗車券が保持している第1の乗車券の乗車に関する情報をクリアすることを特徴とする第7項記載の不正乗車防止システム。
【請求項11】正規な乗車券とは、その駅で下車可能な乗車券、カード、またはその駅で料金精算をした精算書であることを特徴とする請求項8、9、10項のいずれかに記載の不正乗車防止システム。
【請求項12】乗車券を受け付ける自動改札機において、乗客の進行方向に対して、乗客の接近を感知するセンサ、乗車券への第1の信号発信部、乗車券からの第1の信号受信部、乗車券への第2の信号発信部、乗車券からの第2の信号受信部、乗客の通過をカウントする計測器の順序で配置した自動改札機。
【請求項13】乗車券を受け付ける自動改札機において、乗客の進行方向に対して、乗客の接近を感知するセンサ、乗車券からの第1の信号受信部、乗車券への第1の信号発信部、乗車券からの第2の信号受信部、乗車券への第2の信号発信部、乗客の通過をカウントする計測器の順序で配置した自動改札機。
【請求項14】乗車券を受け付ける自動改札機において、乗車券を使った乗客の下車時、乗車券の所定の乗車区間外から乗車した乗客を発見した場合、その時点で自動改札機内に滞留している人数を計算または記憶し、その人数が自動改札機を出た後に、自動改札機の出口を閉めあるいは音を発して、該乗客の外出を妨げることを特徴とする請求項12または13の自動改札機。
【請求項15】乗車券を受け付ける自動改札機において、乗客が下車する時、正常な乗車、と認めた人数から、該自動改札機を出て行った人数を減算することによって、該自動改札機内に滞留している人数を求めることを特徴とする請求項12または13の自動改札機。
【請求項16】乗車券を受け付ける自動改札機において、乗客が下車する時、乗車券のID番号、乗車に関する情報、及び乗車券所定の乗車区間、有効期間を自動改札機に報告し、該自動改札機は上記情報から、各ID番号に対して、正常な乗車か否かを判定し、乗客が該自動改札機を出る直前に、再びID番号を読み、正常な乗車をした乗客なら、該自動改札機からの外出を認め、正常な乗車でない乗客なら、該自動改札機からの外出を認めないことを特徴とする請求項12または13の自動改札機。
【請求項17】第1の乗車券とは磁気等で乗車駅、有効な期間、価格等の情報を記憶している切符、精算が済んで下車可能である情報を磁気等で記憶している精算書、残高が足りているプリペイドカード、利用可能なクレジットカードのいずれかであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の不正乗車防止方法。
【請求項18】第1の乗車券とは磁気等で乗車駅、有効な期間、価格等の情報を記憶している切符、精算が済んで下車可能である情報を磁気等で記憶している精算書、残高が足りているプリペイドカード、利用可能なクレジットカードのいずれかであることを特徴とする請求項7から11のいずれかに記載の不正乗車防止システム。
【請求項19】第2の乗車券とは非接触で読み書き可能な媒体を用いた定期券であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の不正乗車防止方法。
【請求項20】第2の乗車券とは非接触で読み書き可能な媒体を用いた定期券であることを特徴とする請求項7から11のいずれかに記載の不正乗車防止システム。
【請求項21】第1の乗車券の保持する乗車に関する情報とは、乗客が乗車時に自動改札機を通った日時、または該自動改札機が設置してある駅名の少なくとも一方であることを特徴とする請求項7から11のいずれかに記載の不正乗車防止システム。

【図7】
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【図1】
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【図5】
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【図8】
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【図2】
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【図9】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開平6−290320
【公開日】平成6年(1994)10月18日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−79338
【出願日】平成5年(1993)4月6日
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)