説明

不正開封防止紙箱

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一且糊付け密封した後は破らないと開封できなくなり、犯罪などに利用されるのを防ぐことのできる、不在開封防止紙箱に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、包装用紙箱を開封して内部の品物に毒物を添加したり或は損傷を与えるなどしたのち、再び密封して正常な製品に混入させて、犯罪などの目的に利用されるのを防ぐ、不正開封防止紙箱に関しては数多く提案されている。例えば特公平3−2740号公報がある。
【0003】上記提案された発明は、「前壁片、右側壁片、後壁片、左壁片を折曲げ線を介して順次折り畳んで筒状体を構成し、前壁片の上下両端部にそれぞれ折畳み自在に連設した蓋板及び底板によって筒状体の上下開口部を閉塞できるように構成してなる公知の箱体において、
【0004】箱本体の筒状部を構成する後壁片の上下両端部に、後壁片の内側に折込むための閉止用当接板をそれぞれ連設し、この閉止用当接板の折曲げ部には、蓋板及び底板の先端にそれぞれ連続するようにして形成した閉止用舌片を挿入させるための挿入孔を穿設するとともに、閉止用当接板の折込み時における内側(後壁片と接する側の面)に、蓋板及び底板の先端に連設した閉止用舌片の裏面を当接貼着せしめるように構成してなる開封防止機構を備えた包装用の箱」である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の提案された発明は、右側壁片と糊代との貼付部分に、非常に困難であるが薄い刃物を入れて切離すと、上下端に連設された折込片が単に差込まれただけなので、右側壁片が開き、不正開封防止にならない欠陥がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来のこのような問題点に着目してなされたものであって、封印する各差込片を、折畳まれた各側板の間に挿入し内面同志を固着して、薄い刃物を外部から挿入しても貼着部分を切離ことのできない、不正開封防止紙箱を提供することにより、上記問題点を解決することを目的としている。
【0007】 本発明は、上蓋、左側板、底板、右外側板、右内側板、連結板と貼着板を折線介して連接した折込板を、折線を介して横一方向に順次連接し、さらに上蓋の上・下・左端の中央に、折線を介して夫々差込片を連接し、また左・右側板の上下端に、折線を介して夫々フラップを連接し、また底板には、上端に折線を介して上外側板、上内側板、連結板と貼着板を折線を介して連接した上折込板を、外方向に順次連接し、下端に折線を介して下外側板、下内側連結板と貼着板を折線を介して連接した下折込板を、外方向に順次連接し、また上・下・右外側板の外端折線中央に、夫々嵌挿孔を設けて;
【0008】 各折線に従って各構成板及び各構成片を折曲げて、所定箇所を夫々組立てられたものにおいて、外側板、内側板、連結板と貼着板からなる折込板を折畳み、四重の上・下・右側板を形成する過程で、上・下側板が左側板と右外側板に連接する上・下フラップを挟み、その際、上・下側板を構成する上・下内側板と対応する上・下フラップとを糊着部を介して固着せしめると共に、上蓋の上・下・左端に連接された差込片を、各側板に設けられた嵌挿孔に挿入する際に、各側板を構成する貼着板に対応する差込片を糊着部を介して固着せしめた不正開封防止紙箱である。
【0009】
【作用】不正開封防止紙箱(以下単に防止紙箱と云う)は、左上、右上フラップが四重に折畳まれた上側板の上内側板内面に、また左下・右下フラップが四重に折畳まれた下側板の下内側板内面に夫々固着され、さらに上蓋に連設された上・下・左差込片が、四重に折畳まれた上・下・右側板の嵌挿孔に挿入されて、貼着板の内面に夫々固着されているので、外部から薄い刃物を入れて接着部分を切離することができないため、不正開封を確実に防止する。
【0010】また防止紙箱は、上蓋に連設された上・下・左差込片を、上・下・右側板に設けられた嵌挿孔に挿入して、内側で固着されているため、封紙工程を省略することができて、包装作業工数を低減できる。また防止紙箱は、紙箱用板紙だけでなく段ボール紙の場合にも応用できるので、利用範囲が極めて広範である。
【0011】
【実施例】本発明を図1〜図7に示す一実施例に基づいて以下詳述する。防止紙箱1の展開図を示す図1において、幅方向の一方に片寄って(図面では右寄り)高さ方向のジッパー2を設けられた上蓋3、左側板4、上蓋3と同大の底板5、左側板4と同幅の右外側板6、右外側板6と同幅の右内側板7、右内側板7より高さの低い折込板8を、折線a,b,c,d,eを介して、横一方向に順次連設している。
【0012】尚、折込板8は、折線eを介して右内側板7の高さ方向の中央に連設された、右内側板7と同幅の連結板9と、切込みの入った折線fを介して連結板9に連設された、連結板9と同幅の貼着板10とからなっている。また折線dの中央に所定長さの切込みを入れて、嵌挿孔11が設けられている。
【0013】さらに、上蓋3の上・下・左端の中央に、折線g,h,iを介して同一で方形状の上・下・左差込片12・13・14を、夫々連設している。また左側板4の上・下端に、折線j・kを介して方形状の左上・左下フラップ15・16を連設し、また右外側板6の上・下端に、折線l・mを介して、左上・左下フラップ15・16と同形で対象に、右上・右下フラップ17・18を連設している。
【0014】また底板5には、その上端に折線n,o,pを介して、右外側板6の幅と同じ高さの上外側板19、上外側板19と同高の上内側板20、上内側板20の外端中央に、折込板8と同形で連結板9′と貼着板10′を折線f′で連設された上折込板8′を、外方向に順次連設し、その下端に折線q,r,sを介して、上外側板19と同高の下外側板21、下外側板21と同高の下内側板22、下内側板22の外端中央に、折込板8及び上折込板8′と同形で連結板9″と貼着板10″を折線f″で連設された下折込板8″を、外方向に順次連設している。
【0015】尚、折線q,rの中央に、所定長さの切込みを入れて、上・下差込片12・13を挿入する嵌挿孔23・24を設けている。また左差込片14は、嵌挿孔11に挿入される。25は糊着部である。
【0016】防止紙箱1の組立方法について、図2〜図6R>6に基づいて以下説明する。先づ、各貼着板10,10′,10″の糊着部25夫々に適当な接着剤を塗布して、折線e,p,sに従って各折込板8,8′,8″を内側に折曲げて、右外側板6、右内側板7に折込板8を、上外側板19、上内側板20に上折込板8′を、下外側板21、下内側板22に下折込板8″を夫々重合させて、貼着板10を右外側板6に、貼着板10′を上外側板19に、貼着板10″を下外側板21に夫々固着(図2)する。
【0017】さらに、左上・左下・右上・右下フラップ15・16・17・18の各糊着部25に、同様な接着剤を塗布してから、折線j・k・l・mに従って内側に折曲げて直立させ(図3)たのち、折込板8を重合固着させた右外・右内側板6・7と、左側板4とを、折線b,cに従って内側に折曲げて夫々直立(図4)させる。
【0018】次に、上折込板8′を重合固着させた上外・上内側板19・20を、折線nに従って内側に折曲げ直立させたのち、連結板9′と上内側板20を、左上・右上フラップ15・17を挟持するように、折線f′,qに従って内側に折曲げ、貼着板10′に連結板9′を重合させ、上内側板20の内面に左上・右上フラップ15・17を固着させて、4重に折畳まれた上側板26を形成する。
【0019】同様に下折込板8″を重合固着された下外・下内側板21・22を、折線qに従って内側に折曲げ直立させたのち、連結板9″と下内側板22を、左下・右下フラップ16・18を挟持するように、折線f″,rに従って内側に折曲げ、貼着板10″に連結板9″を重合させ、下内側板22の内面に左下・右下フラップ16・18を固着させて、4重に折畳まれた下側板27を形成する。
【0020】 さらに連結板9と右内側板7を、折線f,dに従って内側に折曲げ、貼着板10に連結板9を重合させて、4重に折畳まれた右側板28を形成すると共に、箱本体29を組立(図5)てる。続けて、上・下・左差込片12・13・14の着部25夫々に同様な接着剤を塗布してから、折線aに従って上蓋3を内側に折曲げ、箱本体29の開口部を覆って、上・下・左差込片12・13・14を折線g・h・i に従って内側に折曲げて、嵌挿孔2324,11に夫々挿入し貼着板10′,10″,10の内側に固着して防止紙箱1を組立(図6)てる。
【0021】この防止紙箱1は、前記の箱本体29が組立てられたとき、内部に製品を収納したのち、上記の手順に従って上蓋3を閉じて使用される。消費者は、上蓋3に設けられたジッパー2を切取って、内部の製品を取出して使用する。
【0022】この場合、防止紙箱1は、左上・右上フラップ15・17が四重に折畳まれた上側板26の上内側板20内面に、また左下・右下フラップ16・18が、四重に折畳まれた下側板27の下内側板22内面に夫々固着され、さらに上蓋3に連設された上・下・左差込片12・13・14が、四重に折畳まれた上・下・右側板26・27・28の嵌挿孔23,24,11に挿入されて、貼着板10′,10″,10の内面に夫々固着されているので、外部から薄い刃物を入れて接着部分を切離すことができないため、不正開封を確実に防止することができる。
【0023】 また防止紙箱1は、上蓋3に連接された上・下・左差込片12・13・14を上・下・右側板26・27・28に設けられた嵌挿孔23・24・11に挿入して、内側で固着されてから、封紙工程を省略することができて、包装作業工数の低減を計ることができる。また防止紙箱1は、紙箱用紙だけでなく段ボール紙にも応用できるので、利用範囲が極めて広範である。
【0024】上記の一実施例において、ジッパー2は、上蓋3の幅方向の右寄り(左側板4寄り)に片よせて、高さ方向に設けたが、この代りに上・下差込片12・13のない他の適宜な箇所に設けても良い。また折込板8は、右外側板6の高さから右上・右下フラップ17・18の高さを引いた高さより若干低い高さに形成したが、使用目的により嵌挿孔11の長さより若干高い程度迄低くしても良い。
【0025】
【発明の効果】本発明は、上記の構成を有するので次の効果を奏する。
(1)左上・右上フラップは四重に折畳まれた上側板の内部に、左下・右下フラップは四重に折畳まれた下側板の内部に夫々挟持固着され、上蓋に連設された差込片は、四重に折畳まれた上・下・右側板に設けられた嵌挿孔に挿入されて、内部に固着されているため、不正開封を確実に防止することができて、需要家の要望を充足させることができる。
(2)上蓋に連設された差込片を、上・下・右側板に設けられた嵌挿孔に挿入して、内面に固着されているため、封紙工程を省略することができて、包装作業工数の低減を計って、包装経費の節減に寄与する。
(3)前記2項が相俟って、販売拡大に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る不正開封防止紙箱の展開図。
【図2】本発明の一実施例に係る不正開封防止紙箱の組立方法を説明するための組立て途中の状態を示す平面図。
【図3】図2に続く組立て途中の状態を示す平面図。
【図4】図3に続く組立て途中の状態を示す平面図。
【図5】図4に続く組立て途中の状態を示す平面図。
【図6】図5に続く組立て途中の状態を示す平面図。
【図7】本発明の一実施例に係る不正開封防止紙箱のA−A断面図。
【符号の説明】
1 不正開封防止紙箱
2 ジッパー
3 上蓋
4 左側板
5 底板
6 右外側板
7 右内側板
8 折込板
8′ 上折込板
8″ 下折込板
9,9′,9″ 連結板
10,10′,10″ 貼着板
11,23,24 嵌挿孔
12 上差込片
13 下差込片
14 左差込片
15 左上フラップ
16 左下フラップ
17 右上フラップ
18 右下フラップ
19 上外側板
20 上内側板
21 下外側板
22 下内側板
25 糊着部
26 上側板
27 下側板
28 右側板
a,b…r,s,f,f″ 折線

【特許請求の範囲】
【請求項1】 上蓋、左側板、底板、右外側板、右内側板、連結板と貼着板を折線介して連接した折込板を、折線を介して横一方向に順次連接し、さらに上蓋の上・下・左端の中央に、折線を介して夫々差込片を連接し、また左・右側板の上下端に、折線を介して夫々フラップを連接し、また底板には、上端に折線を介して上外側板、上内側板、連結板と貼着板を折線を介して連接した上折込板を、外方向に順次連接し、下端に折線を介して下外側板、下内側連結板と貼着板を折線を介して連接した下折込板を、外方向に順次連接し、また上・下・右外側板の外端折線中央に、夫々嵌挿孔を設けて;各折線に従って各構成板及び各構成片を折曲げて、所定箇所を夫々組立てられたものにおいて、外側板、内側板、連結板と貼着板からなる折込板を折畳み、四重の上・下・右側板を形成する過程で、上・下側板が左側板と右外側板に連接する上・下フラップを挟み、その際、上・下側板を構成する上・下内側板と対応する上・下フラップとを糊着部を介して固着せしめると共に、上蓋の上・下・左端に連接された差込片を、各側板に設けられた嵌挿孔に挿入する際に、各側板を構成する貼着板に対応する差込片を糊着部を介して固着せしめた不正開封防止紙箱。
【請求項2】 ジッパーを左側板側に寄せて設けられた上蓋を備えた請求項1に記載の不正開封防止紙箱。

【図7】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図1】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【特許番号】特許第3375425号(P3375425)
【登録日】平成14年11月29日(2002.11.29)
【発行日】平成15年2月10日(2003.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−191021
【出願日】平成6年7月20日(1994.7.20)
【公開番号】特開平8−34425
【公開日】平成8年2月6日(1996.2.6)
【審査請求日】平成13年6月13日(2001.6.13)
【出願人】(000202154)相互印刷紙器株式会社 (43)
【参考文献】
【文献】特開 昭62−271833(JP,A)
【文献】特開 平8−11870(JP,A)
【文献】実開 昭61−183816(JP,U)
【文献】実公 昭39−26656(JP,Y1)