説明

両性コポリマーを含む液相中の無機粒子のコロイド分散液

本発明のコロイド分散液は、少なくとも1種の巨大分子鎖B、および少なくとも1種の巨大分子鎖Bの単一末端に結合している部分Aを含む、本発明の液相中の無機粒子の分散液であり、ここで、巨大分子鎖Bは、陽イオンモノマーBから誘導される陽イオン単位Bを含み、部分Aは、少なくとも1種の陰イオン基または潜在的陰イオン基を含む、ポリマー基または非ポリマー基である。この分散液は、1から11の間のpH範囲内で正のゼータ電位を有し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両性コポリマーを含む液相中の無機粒子のコロイド分散液に関する。
【背景技術】
【0002】
金属酸化物および/または水和酸化物(水酸化物)のコロイド分散液(またはゾル)は、当業者によく知られており、これらの調製方法は、先行技術において広く記載されている。セリウムゾルはよく知られており、ジルコニウム酸化物ゾルまたはチタニウム酸化物ゾルも同様である。ジルコニウム酸化物ゾルに関して、例えば、特にthe Journal of Gel Science Technology、1巻、223頁(1994年)を参照することができる。チタニウム酸化物ゾルに関して、Chemical Materials、10巻、3217−3223頁(1998年)における論文にも言及することができる。
【0003】
用いられる金属元素の性質に応じて、これらの分散液は、触媒分野(ここで、これらは、担持触媒の調製におけるナノメートル粒子の原料として使用される。)における、または紫外線からの保護の分野における用途に極めて有利であり得る。これらの分散液は、電子産業の分野においても有利であり、ここで、これらは、ディスクまたは誘電体化合物などの種々の部品の研磨のために使用することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】the Journal of Gel Science Technology、1巻、223頁(1994年)
【非特許文献2】Chemical Materials、10巻、3217−3223頁(1998年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの分散液に関連する主要な問題の1つは、これらの安定性、非常に特にpHの関数としてのこれらの安定性である。分散液は、安定でなければならないが、これは、これらが構成されているコロイド粒子は、最適な使用のための十分な期間にわたって、沈殿による分離が生ずることなく、液相中の懸濁液中に留まらねばならないことを意味するものと理解される。さらに、可能な限り多様な用途においておよび条件下で、有効にそれらを使用できるようにする、かなりのpH範囲にわたって安定な分散液が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、このような分散液を提供することである。
【0007】
この目的で、本発明による液相中の無機粒子のコロイド分散液は、これが、少なくとも1種の巨大分子鎖Bおよび少なくとも1種の巨大分子鎖Bの単一末端に結合している部分Aを含む両性コポリマーを含むことを特徴とし、ここで、
−巨大分子鎖Bは、陽イオンモノマーBに由来する陽イオン性単位Bを含み、
−部分Aは、少なくとも1種の陰イオン基または潜在的陰イオン基を含むポリマー基または非ポリマー基である。
【0008】
本発明の他の特徴、詳細および利点は、添付図面を参照してなされる以下の説明を読むと、さらにより完全に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の製品および先行技術の製品について得られたゼータ電位曲線を与える図である。
【図2】本発明の別の製品および先行技術の製品について得られたゼータ電位曲線を与える図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
説明の続きとして、無機粒子の「コロイド分散液」または「ゾル」という表現は、コロイド寸法の微細固体粒子、すなわち、一般的に1nmから500nm、より特定すると1nmから100nmの間のサイズを有する粒子を含む任意の系を意味する。本明細書で与えられるサイズは、準弾性光散乱(QELS)によってまたはレーザー回折技術によって測定される。これらの粒子は、液相中で安定な懸濁液である。これは、これらの分散液に関して、沈殿による分離により形成されるケークが、数日前、例えば、少なくとも8日前に形成することは観察されていないことを意味するものと理解される。さらに、沈殿による分離により形成されるケークは、これが形成される場合、簡単な撹拌によって再懸濁化し得る。粒子は、例えば、酢酸塩、硝酸塩、塩化物またはアンモニウムなどの結合イオンまたは吸着イオンを場合によって含み得る。このような分散液において、粒子は、完全にコロイドの形態で、または同時にイオンもしくはポリイオンの形態およびコロイドの形態でのいずれかで存在し得ることに留意する必要がある。
【0011】
本発明の場合、液相は一般的に水相である。これは、より特定すると、水または水/水混和性溶媒混合物であり得る。
【0012】
このタイプの溶媒として、メタノールまたはエタノールなどのアルコール、エチレングリコールなどのグリコール、エチレングリコールモノアセテートなどのグリコールのアセテート誘導体、グリコールエーテル、ポリオールまたはケトンに言及することができる。
【0013】
その上、さらに本明細書の文脈の中で、「希土類金属」という用語は、イットリウムおよび57から71(これらを含む)の間の原子番号を有する元素周期表の元素からなる群からの元素を意味するものと理解される。「三価希土類金属」という用語は、特に断りのない限り、三価形態でのみ存在し得る希土類金属を意味するものと理解される。
【0014】
同様に、本明細書では、「比表面積」という用語は、定期刊行物の「The Journal of the American Chemical Society、60巻、309頁(1938年)」に記載されたBrunauer−Emmett−Teller法から引用されたASTM D 3663−78標準に従って、窒素吸着により求められるB.E.T.比表面積を意味するものと理解される。
【0015】
最後に、特に断りのない限り、与えられる値の範囲において、境界における値は含まれることを指定する。
【0016】
説明の続きとして、コロイド無機粒子の特徴が、第1部に記載され、両性コポリマーの特徴が、第2部に記載される。
【0017】
A−コロイド無機粒子
本発明のコロイド分散液は、上記に与えられたサイズを有する無機粒子を含む。より特定すると、これらの無機粒子は、CeO、TiO、ZrO、A1またはFeから選択し得る無機酸化物に基づく。粒子は、同じ上記の金属元素の水酸化物および/またはオキシ水酸化物にも基づき得る。このAの節における説明の続きとして、「酸化物」という用語は、単数形においてまたは複数形において、酸化物形態のみならず「水酸化物」形態および「オキシ水酸化物」形態にも適用するものとして理解されるべきである。
【0018】
粒子は、上述の酸化物の混合物にも基づき得る。
【0019】
さらに、粒子は、酸化セリウムの希土類金属もしくは錫から選択される少なくとも1種の他の元素との混合物、またはさらに酸化ジルコニウムおよび三価希土類金属の混合物にも基づくことができ、希土類金属元素および錫は、一般的に酸化物形態で存在する。
【0020】
本発明は、粒子が酸化物の混合物を含む上述の場合のみならず、分散液が酸化物の第1のタイプの粒子を酸化物の別のタイプの粒子との混合物として含む場合にも当てはまる。
【0021】
一般的に、両性コポリマーは、粒子の表面に存在する。さらに、目的は、分散液の安定性を改善するために粒子の表面の最大可能な部分をコポリマーで被覆することである。この理由のため、分散液中のコポリマーの量は、粒子の比表面積が増加するにつれて増加する。
【0022】
より具体的には、コポリマーの量は、粒子およびコポリマーの組合せに対する酸化物または複数の酸化物の重量比が、少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より有利には少なくとも80%およびより好ましくは少なくとも90%であるような量である。特定の実施形態によれば、この比は、少なくとも95%、より好ましくは少なくとも99%である。
【0023】
本発明の分散液は、広い境界の範囲内で変わることができ、これは、例えば、最大45%から50%であり得る粒子の全含有量(含有量は、分散液の全体に対する無機粒子酸化物の重量として表される。)を示す。最小含有量は、重要ではなく、これは、好ましくは少なくとも0.1%であり得る。
【0024】
ここで、粒子の特定の特徴に関するより特定の実施形態が、より詳細に記載される。
A−1−第1の特定の実施形態
第1の実施形態によれば、粒子は、国際特許出願公開第2006/111650号に記載されたコロイド分散液の粒子の特徴を示す。したがって、この特許出願の教示を参照することができ、この主要な構成部分は、以下に再び記載される。
【0025】
コロイド粒子は、セリウムおよびジルコニウム、セリウム以外の希土類金属(Ln)、チタニウムおよび錫から選択される少なくとも1種の他の元素Mの化合物の粒子であり、この化合物は、セリウムおよび元素Mが、純粋な固溶体となっている混合酸化物の形態であり、この化合物は、0.005から0.06の間のセリウム(III)/合計セリウムの原子比率として表される量のセリウム(III)の形態のセリウムを含む。
【0026】
これらの粒子は、一般的に1nmから100nmの間、より特定すると2nmから50nmの間のサイズを示す。
【0027】
この第1の実施形態の場合の粒子の特異的な特徴の1つは、これらが構成されている化合物が、セリウムおよび元素Mが固溶体となっている混合酸化物(Ce、M)Oの形態であることである。これは、元素の一方、一般的に元素Mは、もう一方のマトリックスを形成する元素、例えばセリウムの酸化物の結晶格子に完全に組み込まれていることを意味するものと理解される。この組み込みは、特に限外濾過によるまたは同様に超遠心分離による洗浄、および60℃での乾燥後のコロイドのX線回折技術によって実証し得る。X線図によって、マトリックスを形成する元素の酸化物(一般的に酸化セリウム)に対応し、この第1のマトリックスを形成する元素の純粋な酸化物に対して多かれ少なかれずれた単位格子パラメーターを有する結晶構造の存在が明らかになり、これは、したがって、第1の酸化物の結晶格子における他の元素の組み込みを表している。例えば、酸化セリウム中の元素Mの固溶体の場合に、したがって、X線図によって、ちょうど結晶性酸化セリウムCeOのような蛍石型の結晶構造が明らかになり、この単位格子パラメーターは、純粋な酸化セリウムに対して多かれ少なかれずれており、したがって、酸化セリウムの結晶格子中の元素Mの組み込みを反映している。
【0028】
固溶体は、純粋である、すなわち、コロイド粒子について、一方の元素の全量が、他方において固溶体となっている、例えば、全ての元素Mは、酸化セリウム中で固溶体となっている。この場合、X線図は、固溶体の存在のみを示し、マトリックスを形成する元素以外の元素の酸化物のタイプの酸化物、例えば元素Mの酸化物に対応する線を含まない。
【0029】
この第1の実施形態の別の特徴は、コロイド粒子が構成される化合物中のセリウム(III)の形態のセリウムの存在である。セリウム(III)/全セリウムの原子比率で表されるセリウム(III)の量は、0.005から0.06の間である。より特定すると、この量は、0.005から0.05の間であり、より特定すると、さらに0.005から0.03の間であり得る。
【0030】
セリウム(III)は、セリウム化合物の粒子の表面に吸着された形態、または化合物の結晶単位格子中のいずれかの陽イオンとして化合物中に存在し得ることに、ここで留意する必要がある。当然、これらの形態の両方とも共存し得る。
【0031】
溶液中のセリウム(III)の存在は、化学定量法によって実証し得る。したがって、炭酸カリウム媒体中のフェリシアン化カリウムを使用する、セリウム(IV)を与えるセリウム(III)の酸化による電位差測定アッセイによる分析のための技術を使用することができる。粒子の表面におけるセリウム(III)の存在は、コロイド分散液の等電点の測定によって実証し得る。この測定は、分散液のゼータ電位における変動の測定による知られている方法で実施される。この電位における変動を、分散液のpHを酸性値から塩基性値に変えることによって測定する場合、この電位は、正の値から負の値に変化し、電位のゼロの値における移行が等電点を構成する。表面におけるセリウム(III)の存在は、セリウム(IV)のみを含む化合物に対して等電点の値を増加させる。ちょうど記載した測定方法は、コポリマーを含まない分散液、例えば、分散液を調製する方法で(この方法は、以下で記載される。)、本発明による分散液を得るために使用する予定である出発分散液に適用することに留意する必要がある。
【0032】
ここで、この第1の実施形態の様々な代替形態が、セリウム化合物の特性およびより具体的には元素Mの特性に応じて、より詳細に記載される。これらの代替形態の記載において以下に与えられる式は、50000rev/分における6時間の超遠心分離によって、または分散液の洗浄後(この洗浄は、少なくとも10当体積の水(1体積の分散液:10体積の水)を用いる限外濾過によってまたは透析によって実施される。)のいずれかで回収されるコロイドの化学分析に由来する組成に対応することに、ここで留意する必要がある。
【0033】
第1の代替形態によれば、元素Mは、ジルコニウムである。より特定すると、この代替形態の場合、化合物は、式(1)Ce1−xZr(式中、xは、1未満であり、少なくとも0.01に等しく、好ましくは少なくとも0.02に等しい。)に対応し得る。
【0034】
別の代替形態によれば、元素Mは、ジルコニウムおよび錫の組合せである。より特定すると、この代替形態の場合、化合物は、以下の式(2)Ce1−x−yZrSn(式中、x+y<1であり、xは、0.05≦x≦0.95の条件に従い、yは、少なくとも0.01に等しく、yの高い値は、固溶体が実際に得られるように選択される。)に対応し得る。好ましくは、xは、0.20≦x≦0.8の条件に従い、より好ましくは、さらに、0.40≦x≦0.60の条件に従う。好ましくは、同様に、yは、少なくとも0.05に等しく、より好ましくは、さらに、yは、少なくとも0.2に等しい。好ましくは、yは、最大0.4に等しく、より好ましくは、さらに、最大0.25に等しい。
【0035】
第3の代替形態によれば、元素Mは、ジルコニウムおよび少なくとも1種の希土類金属Ln、より特定すると、三価希土類金属の組合せである。希土類金属は、特に、ランタン、カドリニウム、テルビウム、プラセオジムまたはネオジムであり得る。より特定すると、この第3の代替形態の場合、化合物は、式(3)Ce1−x−yZrLn(式中、x+y<1であり、xは、0.05≦x≦0.95の条件に従い、yは、少なくとも0.01に等しく、yの高い値は、固溶体が実際に得られるように選択される。)に対応し得る。好ましくは、xは、0.20≦x≦0.08の条件に従い、より好ましくは、さらに、0.40≦x≦0.60の条件に従う。好ましくは、同様に、yは、少なくとも0.02に等しく、より好ましくは、さらに、yは、少なくとも0.04に等しい。好ましくは、yは、最大0.07に等しく、特に、最大0.05に等しく、より好ましくは、さらに、最大0.03に等しい。さらに、この代替形態の場合に、元素Mは、少なくとも2種の希土類金属(これらの少なくとも1つは、プラセオジムである。)の組合せであり得る。最後に、Mが、場合によって他の希土類金属と組み合わさったテルビウムまたはプラセオジムである場合、これらの元素は、Tb(III)形態およびPr(III)形態ならびにTb(IV)形態およびPr(IV)形態の両方で存在し得ることに留意することができる。
【0036】
さらに別の代替形態によれば、元素Mは、ジルコニウム、錫および少なくとも1種の希土類金属Lnの組合せである。ここで再び、本発明は、希土類金属が、三価希土類金属であり、希土類金属が、特にランタン、カドリニウム、テルビウム、プラセオジムまたはネオジムであり得る場合に非常に特に良好に適用する。より特定すると、この代替形態の場合、化合物は、式(4)Ce1−x−y−zZrSnLn(式中、x+y+z<1であり、xは、0.05≦x≦0.95の条件に従い、yは、少なくとも0.01に等しく、zは、少なくとも0.01に等しい。)に対応し得る。好ましくは、xは、0.20≦x≦0.8の条件に従い、yは、少なくとも0.10に等しく、より好ましくは、さらに、xは、0.40≦x≦0.60の条件に従い、yは、少なくとも0.2に等しい。yおよびzの高い値は、固溶体が実際に得られるように選択される。好ましくは、yは、最大0.4に等しく、より好ましくは、さらに、最大0.25に等しく、その上、好ましくは、zは、最大0.05に等しく、より好ましくは、さらに、最大0.03に等しい。
【0037】
本発明の分散液の化合物は、Mが、希土類金属または希土類金属の組合せである化合物でもあり得る。再び、本発明は、希土類金属が、三価希土類金属である場合に非常に特に良好に適合する。希土類金属は、特に、ランタン、ガドリニウム、テルビウム、プラセオジムまたはネオジムであり得る。したがって、化合物は、より特定すると、次式(5)Ce1−xLn(式中、xは、最大0.15に等しく、少なくとも0.01に等しく、好ましくは、少なくとも0.02に等しく、より好ましくは、さらに、少なくとも0.04に等しい。)に対応し得る。好ましくは、xは、最大0.10に等しく、より好ましくは、さらに、最大0.05に等しい。希土類金属は、少なくとも部分的に、Ln(III)形態で、ここで再び、結晶単位格子またはセリウム化合物の粒子表面に吸着された形態のいずれかで存在し得る。プラセオジムの場合、後者の元素は、Pr(III)形態およびPr(IV)形態の両方で存在することができ、同一の場合、xは、より特定すると、少なくとも0.04に等しく、より特定すると、さらに、0.03から0.08の間である。
【0038】
本発明のさらに別の代替形態によれば、化合物は、式(6)Ce1−xTi(式中、xは、最大0.6に等しく、少なくとも0.01に等しく、好ましくは、少なくとも0.05に等しく、より好ましくは、さらに、少なくとも0.2に等しい。)の混合酸化物である。好ましくは、xは、最大0.5に等しい。
【0039】
分散液の化合物を構成する粒子は、微細で狭い粒径分布を示す。これは、これらが、好ましくは、最大10nmであり、より特定すると、2から8nmの間であり得る、これらの平均直径で測定されるサイズを有するためである。このサイズは、通常、銅格子上に支持された炭素膜上の予め乾燥した試料への透過電子顕微鏡法(TEM)および50の測定値の平均で測定する。
【0040】
さらに、これらの粒子は、良く分離されている。低温TEM技術を使用して粒子の凝集の状態を確かめることができる。これによって、透過電子顕微鏡法により、これらの自然の媒体(これは、例えば、水であり得る。)中で凍結保存された試料を観測することが可能になる。
【0041】
この実施形態の場合、分散液の液相は、より特定すると水である。
【0042】
ここで、第2の特定の実施形態が記載される。
A−2−第2の特定の実施形態
この形態によれば、分散液の無機粒子は、酸化セリウム粒子であり、これらの粒子(第2粒子)は、最大200nmの平均サイズを示し、これらの第2粒子は、最大100nmの平均値を示すサイズを有し、標準偏差が前記平均サイズの最大30%の値を有する第1粒子を含む。
【0043】
この第2の実施形態による分散液が構成される粒子は、最大200nmの平均サイズを示すが、この第2の形態に関する説明の続きにおいて、「第2粒子」と称される。これらの粒子は、後で「第1粒子」と称される、他のより微細な凝集した粒子の凝集体である。
【0044】
有利な特徴によれば、これらの第1粒子は、微細であり単分散である。具体的には、これらは、最大100nmの平均サイズを示し、標準偏差が前記平均サイズの最大30%、より特定すると、最大20%の値を有する。
【0045】
第1粒子のサイズの平均値は、X線回折(XRD)技術によって求められる。XRDにより測定される値は、Scherrerモデルを用いて2つの最も強い回折線の幅から計算されるコヒーレント領域のサイズに対応する。この値は、BET表面の測定によって求めることもできる。
【0046】
本明細書で言及される標準偏差は、通常の数学的な意味を有し、変量の平方根であり、式:
【0047】
【数1】

によって表され、
nは、測定で考慮に入れる粒子の数であり、
は、粒子iのサイズであり、
xは、粒子のサイズの平均値(1/nΣ)である。
【0048】
n個の異なる粒子のサイズは、透過電子顕微鏡法(TEM)により得られる写真から測定される。
【0049】
この標準偏差は、より特定すると、平均サイズの値の最大15%、より特定すると、さらに、最大10%であり得る。
【0050】
第1粒子は、より特定すると、最大80nm、より特定すると、さらに、最大60nmの平均値を示すサイズを有し得る。
【0051】
第1粒子のこれらの平均サイズは、さらに、少なくとも10nm、特に、少なくとも20nm、より特定すると、少なくとも30nmであり得る。特定の代替形態によれば、これらの平均サイズは、したがって、10nmから100nmの間であり、20nmから80nmの間であり、30nmから60nmの間であり得る。
【0052】
上述のように、これらの第1粒子は、したがって第2粒子を構成する凝集体を形成する。これらの第2粒子は、より特定すると、最大150nmの平均サイズ、より特定すると、最大100nmの平均サイズを有し得る。
【0053】
さらに、この実施形態の別の有利な特徴によれば、これらの第2粒子も、これら自体、単分散である。具体的には、これらは、最大0.5の分散係数を示し得る。この係数は、より特定すると、最大0.4であり、より特定すると、さらに、最大0.3であり得る。
【0054】
この実施形態の記載を通しておよび第2粒子に関して、平均サイズおよび分散係数は、レーザー粒子寸法測定器(重量分布)を使用するレーザー回折技術を用いることによって得られる値である。
【0055】
「分散係数」という用語は、比:
σ/m=(d90−d10)/2d50
を意味するものと理解され、
式中、
−d90は、これに対して、粒子の90%が、d90未満の直径を有する粒子のサイズまたは直径であり、
−d10は、これに対して、粒子の10%が、d10未満の直径を有する粒子のサイズまたは直径であり、
−d50は、粒子の平均サイズまたは直径である。
【0056】
この第2の実施形態による分散液の液相は、水であり得る。
【0057】
これは、水/水混和性溶媒混合物でもあり得る。このタイプの溶媒の例として、メタノールまたはエタノールなどのアルコール、エチレングリコールなどのグリコール、エチレングリコールモノアセテートなどのグリコールのアルキル誘導体またはアセテート、またはポリオールに言及し得る。
【0058】
ここで、この第2の実施形態による分散液を調製する方法が記載される。
【0059】
分散液は、以下の段階を含む第1のプロセスによって調製し得る。
−(a)セリウム(IV)をさらに含むセリウム(III)塩の溶液を調製し、
−(b)不活性雰囲気下で、この溶液を塩基と接触させ、これによって沈殿が得られ、
−(c)不活性雰囲気下で、前段階で得られる媒体を熱処理にかけ、段階(a)、(b)または(c)の少なくとも1つは、硝酸イオンの存在下で実施され、
−(d)このようにして得られる媒体を、連続的に、但し任意の順序で、酸性化し洗浄し、これによって、分散液が得られる。
【0060】
したがって、上記プロセスの第1段階(a)は、セリウム(III)塩の溶液である出発溶液を調製することにある。
【0061】
より特定すると、セリウム(III)塩として、セリウム(III)硝酸塩、塩化物、硫酸塩または炭酸塩、さらに硝酸塩/塩化物の混合物などのこれらの塩の混合物を使用し得る。
【0062】
1つの知られている方法において、この出発溶液は、セリウムが溶液中に実際に完全に存在するために好適な酸性度を示さねばならない。
【0063】
出発溶液は、さらにセリウム(IV)を含む。セリウム(IV)は、塩によって与えられる。これは、例えば、硝酸セリウム(IV)であり得る。
【0064】
一般的に、セリウム(IV)の量は、出発溶液中の(Ce(IV)/Ce(III))モル比が、1/5000から1/50の間となる量である。
【0065】
段階(a)で調製される出発溶液は、不活性ガスを通気することによって予め脱気し得る。「不活性ガス」または「不活性雰囲気」という用語は、本明細書については、酸素を含まない空気または気体を意味するものと理解され、この気体は、例えば、窒素またはアルゴンであり得る。
【0066】
プロセスの第2段階(b)は、出発溶液を塩基と反応させることにある。
【0067】
特に、塩基として、水酸化物タイプの製品を使用し得る。アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物およびアンモニア水に言及し得る。2級、3級または4級アミンも使用し得る。しかし、それらがアルカリ金属またはアルカリ土類金属陽イオンによる汚染のリスクを低減する限りにおいて、アミンおよびアンモニア水は、好ましくあり得る。
【0068】
塩基も、不活性ガスを通気することによって予め脱気し得る。
【0069】
プロセスの第2段階の反応を実施するためには、接触させることの操作は、任意の順序で反応物を導入して実施し得る。しかし、塩基を含む媒体中に出発溶液を導入することが好ましい。
【0070】
この第2段階は、不活性ガスによってフラッシングして、閉鎖反応器中または半閉鎖反応器中のいずれかにおいて不活性雰囲気下で実施されなければならない。接触させることの操作は、一般的に撹拌反応器中で実施される。
【0071】
最後に、この第2段階は、一般的に、周囲温度(20℃−25℃)または高くても50℃の温度で実施される。
【0072】
プロセスの第3段階(c)は、先行段階の結末で得られる反応媒体の熱処理である。
【0073】
この処理は、媒体を加熱し、一般的に高くても95℃であり、より特定すると60℃から95℃の間である温度にこれを維持することにある。
【0074】
この処理の継続時間は、数分から数時間の間であり得る。
【0075】
この処理も、不活性雰囲気下で実施され、この雰囲気について第2段階のために記載されたことが、ここにも適用する。
【0076】
プロセスの1つの特徴によれば、段階(a)、(b)または(c)の少なくとも1つは、硝酸イオンの存在下で実施されなければならない。一般的に、硝酸イオンは、より特定すると段階(a)において、セリウム(III)溶液の調製中に、硝酸の添加によって導入される。
【0077】
NO3−/Ce3+モル比によって表される硝酸イオンの量は、一般的に1/3から5の間である。
【0078】
プロセスの最終段階である段階(d)は、実際には、任意の順番で実施し得る2つの連続する操作を含む。これらの操作は、第一に、酸性化であり、第二に、洗浄操作である。
【0079】
これらの操作が、酸性化、次いで洗浄の操作順序の場合において、より具体的に以下に記載される。
【0080】
酸性化は、一般的に、段階(c)の結末に得られる媒体を冷却後に、酸の添加によって行う。
【0081】
任意の無機または有機酸を使用し得る。より特定すると硝酸を使用する。
【0082】
添加する酸の量は、酸性化後の媒体のpHが2から5の間となる量である。
【0083】
この操作は、空気下で実施することができ、プロセスのこの相で、不活性雰囲気下で操作することは、もはや必要ではない。
【0084】
酸性化に続いて洗浄操作が行われ、この目的は、分散液から可溶成分、本質的に塩を除去することである。
【0085】
洗浄操作は、固体/液体分離を用いるまたは用いない様々な方法で実施し得る。
【0086】
したがって、これは、液相から固体粒子を分離すること、例えば、前面濾過、沈殿による分離または遠心分離によって実施し得る。続いて、得られる固体は、水相に再分散する。接線濾過も実施し得る。
【0087】
この洗浄操作は、必要に応じて、例えば、分散液の所与の導電率(導電率は、この分散液中に存在する不純物のレベルを測る。)が得られるまで場合によって繰り返し得る。
【0088】
上述のように、操作の順序は、ちょうど記載されたものに対して反対にし得る。したがって、段階(c)の結末に、ここで再び、一般的に、得られる媒体の冷却後に、次いで、洗浄操作を上記の方法で実施し得る。洗浄操作の結末に、次いで、得られる媒体を酸性化する。
【0089】
段階(d)の結末に、第2の実施形態による分散液が得られる。
【0090】
水混和性溶媒媒体中の分散液の場合、この分散液は、記載されたプロセスによって得られる水性分散液から出発し、これを溶媒と接触させることによって、それ自体知られている方法で調製し得る。
【0091】
接触させることの操作は、周囲温度、例えば約20℃で、さらに、より高温、例えば60℃から150℃に及ぶ範囲内で実施し得る。
【0092】
ここで、第2のプロセスが記載される。
【0093】
この第2のプロセスは、もっぱら第1段階における第1と異なる。
【0094】
この第1段階は、過酸化水素水溶液をさらに含むセリウム(III)塩の溶液を調製することにある。
【0095】
セリウム(III)塩の特性に関して上記されたことが、同様に、ここに適用する。
【0096】
溶液の量は、セリウム塩溶液中の(H/Ce(III))モル比が、1/10000から1/100の間となる量である。
【0097】
この第2のプロセスの続きは、第1のプロセスについて上に定義された通りである、すなわち、第1段階の溶液を、不活性雰囲気下で塩基と接触させ、熱処理を不活性雰囲気下で実施し、こうして得られる媒体を酸性化し洗浄する(段階(a)(b)および(c)の少なくとも1つにおける硝酸イオンの存在下の上記の段階(b)、(c)および(d))。したがって、これらの後続の段階の組合せおよび第1のプロセスについて上述されたことは、同様に、本明細書では第2のプロセスに適用する。
【0098】
ここで、両性コポリマーが記載される。
B−両性コポリマー
本発明の分散液は、安定剤の役割を果たす両性コポリマーをさらに含むことを特徴とする。ここで、このコポリマーが、より具体的に記載される。定義が、以下に与えられる。
B−1−定義
本特許出願において、「モノマーから誘導される単位」という用語は、前記モノマーから重合によって直接得ることができる単位を意味する。したがって、例えば、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルから誘導される単位は、例えば、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを重合し、次いで加水分解することによって得られる式−CH−CH(COOH)−、または−CH−C(CH)(COOH)−の単位を包含しない。したがって、「モノマーから誘導される単位」という用語は、ポリマーの最終組成のみに関し、ポリマーを合成するために使用される重合プロセスと無関係である。
【0099】
本特許出願において、モノマーについての「疎水性」という用語は、「水への親和性を有さない」という通常の意味で使用され、これは、モノマーが、1重量%以上の濃度で、25℃で、蒸留水中において2相巨視的溶液を形成することができる、または本特許出願において疎水性であると分類されていることを意味する。
【0100】
本特許出願において、モノマーについての「親水性」という用語も、「水への親和性を有する」という通常の意味で使用され、すなわち、1重量%以上の濃度で、25℃で、蒸留水中において2相巨視的溶液を形成することができず、または本特許出願において親水性であると分類されている。
【0101】
「陰イオン単位または潜在的陰イオン単位」という用語は、陰イオン基または潜在的陰イオン基を含む、および/またはこのようなものとして分類されている単位を意味するものと理解される。陰イオン単位または基は、コポリマーが存在する媒体のpHにかかわらず、(一般的に、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属化合物、例えば、ナトリウムの陽イオンなどの1個もしくは複数の陽イオン、またはアンモニウムなどの1個もしくは複数の陽イオン性化合物と一緒に)少なくとも1個の負電荷を示す単位または基である。潜在的陰イオン単位または基は、コポリマーが存在する媒体のpHに応じて、中性であり得るまたは少なくとも1個の負電荷を示し得る単位または基である。この場合、これらの中性形態または陰イオン形態における潜在的陰イオン単位が言及される。ひいては、陰イオン単位または潜在的陰イオン単位またはモノマーに言及し得る。陰イオン性とみなされる基は、一般的に、例えば、2以下のpKaを有する強酸基である。潜在的に陰イオン性とみなされる基は、一般的に、例えば、2を超えるpKaを有する弱酸基である。
【0102】
「陽イオン単位」という用語は、陽イオン基を含むおよび/またはこのようなものとして分類されている単位を意味するものと理解される。陽イオン単位または基は、コポリマーが導入される媒体のpHにかかわらず、(一般的に、塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸基または硫酸メチル基などの1個または複数の陰イオンと一緒に)少なくとも1個の正電荷を示す単位または基である。ひいては、陽イオンモノマーに言及し得る。
【0103】
「中性単位」という用語は、コポリマーが存在する媒体のpHにかかわらず、電荷を示さない単位を意味するものと理解される。
【0104】
本特許出願において、ブロックの間の重量比は、ブロックの調製に使用されるモノマー(またはモノマーの混合物)の重量の間の比に対応する(可能な後の変更に関連する重量の変動を考慮する。)。ブロックの重量比は、全ブロックコポリマーに対する比であり、ブロックコポリマーを調製するために使用されるモノマーの全体に対する、ブロックの調製に使用されるモノマー(またはモノマーの混合物)の重量比に対応する(可能な後の変更に関連する重量の変動を考慮する。)。
【0105】
本特許出願において、「連鎖移動剤」という用語は、不飽和モノマーおよび場合によって遊離ラジカルの発生源の存在下で制御されたラジカル重合を誘発し得る薬剤を意味するものと理解される。
【0106】
本特許出願において、重合段階で用いられる「モノマーから形成される組成物」は、モノマーの特性および相対量によって定義される。上記組成物は、単一モノマーであり得る。これは、所与の比率における異なる特性の数種のモノマー(コモノマー)の組合せであり得る。同様に、「巨大分子鎖の組成物または巨大分子鎖の単位から形成される組成物」は、それから巨大分子鎖の単位が誘導されるモノマーの特性および相対量によって限定される。本件は、単一モノマーから誘導される巨大分子鎖(ホモポリマー鎖)に関し得る。本件は、所与の比率における様々な特性の数種のモノマーから誘導される単位を有する巨大分子鎖に関し得る。
【0107】
本特許出願において、「モノマーから形成される様々な組成物」は、モノマーまたは複数のモノマーおよび/または様々なモノマーのこれらの比が様々である組成物を意味する。様々な巨大分子鎖または単位から形成される様々な組成物について、これは同様であると類推される。100%のモノマーMを含むモノマーから形成される組成物は、100%のモノマーMを含む組成物と異なる。50%のモノマーMおよび50%のモノマーAを含むモノマーから形成される組成物は、10%のモノマーMおよび90%のモノマーAを含む組成物と異なる。50%のモノマーMおよび50%のモノマーAを含むモノマーから形成される組成物は、50%のモノマーMおよび50%のモノマーAを含む組成物と異なる。
【0108】
本特許出願において、簡単にするために、モノマーから誘導される単位は、しばしば、モノマーこれ自体と同一のカテゴリーに置かれ、この逆もまた同様である。
【0109】
本特許出願において、「エチレン性不飽和」モノマーは、重合性の炭素−炭素二重結合を含む化合物である。これは、モノエチレン性不飽和モノマー、好ましくは、α−モノエチレン性不飽和モノマー、またはポリエチレン性不飽和モノマーであり得る。本特許出願において、星型コポリマー以外の化合物および星型コポリマーを調製する方法以外の方法について、エンレン性不飽和モノマーは、モノエチレン性不飽和モノマー、好ましくはα−モノエチレン性不飽和モノマーを意味する。
B−2−両性コポリマーの説明
両性コポリマーは、
−陽イオンモノマーBから誘導される陽イオン単位Bを含む少なくとも1種の巨大分子鎖B、および
−少なくとも1種の巨大分子鎖Bの単一末端に結合している部分A(この部分は、少なくとも1種の陰イオン基または潜在的陰イオン基を含むポリマー基または非ポリマー基である。)
を含む。
【0110】
両性コポリマーは、いくつかの部分Bを含み得るが、これは、有利には1つだけの部分Aを含むことが観察されている。両性コポリマーの巨大分子鎖Bは、1から100重量%の単位B、好ましくは50から100重量%の単位Bを含み得る。
【0111】
本発明の第3の実施形態によれば、部分Aは、非ポリマー基である。この第3の実施形態において、部分Aは、特に、陰イオン基または潜在的陰イオン基を含む、(巨大分子鎖Bの末端における)鎖末端における単位であり得る。本実施形態において、両性コポリマーは、両性「テロマー」と称し得る。テロマー構造は、当業者に知られており、いくらか、および調製方法は、以下に詳細に記載されている。したがって、コポリマーは、構造A−Bを有するテロマー(ここで、Aは、少なくとも1種の陰イオン基または潜在的陰イオン基を含む鎖末端単位である。)であり得る。
【0112】
好ましい本発明の第4の実施形態によれば、部分Aはポリマー基である。これは、好ましくは(分枝鎖および/または星型鎖および/または架橋鎖と対照的に)直鎖であり、陰イオンモノマーまたは潜在的陰イオンモノマーAから誘導される陰イオン単位または潜在的陰イオン単位Aを含む巨大分子鎖Aであり得る。巨大分子鎖AおよびBは、炭素−炭素結合を介してまたは別のタイプの結合を介して互いに結合していてよい。
【0113】
この第4の実施形態の第1の代替形態によれば、コポリマーは、単一巨大分子鎖Aに結合している、複数の、好ましくは少なくとも3種の巨大分子鎖Bを示し、この巨大分子鎖Aは、巨大分子鎖Aの末端に位置していない分岐点で結合している。この第1の代替形態において、両性コポリマーは、特に、櫛型コポリマー(主鎖A)−(側鎖B)であってよく、部分Aは、主鎖Aを構成し、このコポリマーは、それらの末端の1つで主鎖Aにそれぞれ結合している複数の巨大分子鎖Bを含む。
【0114】
特に好ましいこの第4の実施形態の第2の代替形態によれば、コポリマーは、1種または2種の巨大分子鎖Bを示し、この巨大分子鎖Bは、巨大分子鎖Aに、後者の末端の1つまたは両方で結合している。この第2の代替形態において、巨大分子鎖Bは、「ブロックB」に例えることができ、巨大分子鎖Aは、「ブロックA」に例えることができる。さらに、この代替形態において、両性コポリマーは、両性「ブロックコポリマー」と称することができる。好ましくは、この代替形態について、巨大分子鎖AおよびBは、炭素−炭素結合を介して互いに結合している。
【0115】
両性コポリマーは、特に、以下のコポリマー:
−(ブロックA)−(ブロックB)ジブロックコポリマー(部分AがブロックAを構成しており、巨大分子鎖BがブロックBを構成している。)、
−(ブロックB)−(ブロックA)−(ブロックB)トリブロックコポリマー(部分AがブロックAを構成しており、巨大分子鎖BがブロックBを構成している。)
から選択し得る。
【0116】
第4の実施形態の第2の代替形態によれば、コポリマーは、直鎖ジブロックまたはトリブロックコポリマーであり、このブロックAおよび/またはブロックBは、好ましくは両方とも、エチレン性不飽和モノマーから、好ましくはモノ−α−エチレン性不飽和モノマーから、および/またはN,N−ジメチルジアリルアンモニウムクロリド(DADMAC)などの共重合性ジアリルタイプのモノマーから誘導される。
【0117】
陰イオン基または潜在的陰イオン基は、特に、適切ならば酸形態で、以下の基:
−カルボン酸基−COO
−スルホン酸基−SO
−硫酸基−SO
−ホスホン酸基−PO2−
−リン酸基−PO2−
から選択される基を含み得る。
【0118】
基が酸形態である場合、これは、少なくとも1個または複数の陽子と組み合わさっている。基は、陽子以外の対イオン(陽イオン)と組み合わさっていてよい。これは、特に、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の陽イオン、特に、ナトリウムもしくはカリウムイオン、または有機陽イオン、例えば、アンモニウムイオンであり得る。部分Bの陽イオン基は、陰イオン基または潜在的陰イオン基と組み合わさった対イオンの全てまたは一部を構成し得ることが観察されている。陰イオン基または潜在的陰イオン基は、陽イオン基および陰イオン基または潜在的陰イオン基の両方を含む両性イオン基(これらは、したがって、全体でゼロ電荷を有することになる。)ではないことに言及される。
【0119】
単位は、陽イオン単位である。これらは陽イオン基を含む。本特許出願において、陽イオン基は、1級または2級アミン、またはさらにアミド基などの陽子の付加によって陽イオン性になり得る弱塩基タイプの潜在的陽イオン基を包含しない。陽イオン基は、特に、以下のタイプ:
−(式−N(ここで、Rは、同一または異なるが、水素原子以外の基、例えば、適切ならば、ヘテロ原子によって中断されている、場合によって置換されている炭化水素基、例えば、直鎖または分枝C−C22アルキル基、例えば、メチル基である。)の)4級アンモニウム、
−(式=N(ここで、Rは、同一または異なるが、水素原子以外の基であり、この1つは、適切ならば、二重結合に結合している環の部分を形成し、前記環は、適切ならば、芳香族であり、R基の少なくとも1つが、例えば、適切ならば、ヘテロ原子によって中断されている、場合によって置換されている炭化水素基、例えば、直鎖または分枝C−C22アルキル基、例えば、メチル基であり得る。)の)イニウム
の基であり得る。
【0120】
4級アンモニウムタイプの基の場合、当該基は、特に、トリメチルアンモニウム基であり得る。
【0121】
イニウム基の場合、当該基は、特に、ピリジニウム基、好ましくは、アルキルピリジニウム基、好ましくは、メチルピリジニウム基であり得る。
【0122】
陽イオン基は、対イオン(陰イオン)と結合し得る。これは、特に、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硝酸イオン、硫酸メチルイオンまたは硫酸エチルイオンであり得る。部分Aの陰イオン基または潜在的陰イオン基は、陽イオン基と結合している対イオンの全てまたは一部を構成し得ることが観察されている。陽イオン単位は、陽イオン基および陰イオン基または潜在的陰イオン基の両方を含む両性イオン単位(これらは、したがって、全体でゼロ電荷を有することになる。)ではないことに言及される。言い換えれば、上述のR基は、陰イオン置換基を含まない。
【0123】
それから単位Bが誘導され得るモノマーBの例として:
−トリメチルアンモニオプロピルメタクリレートクロリド、
−トリメチルアンモニオエチルアクリルアミドまたは−メタクリルアミドクロリドまたはブロミド、
−トリメチルアンモニオブチルアクリルアミドまたは−メチルアクリルアミドメチルサルフェート、
−トリメチルアンモニオプロピルメタクリルアミドメチルサルフェート(MAPTA MeS)、
−(3−メタクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、
−(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、
−メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドまたはメチルサルフェート、
−アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩(ADAMQUAT)、
−1−エチル−2−ビニルピリジニウムまたは1−エチル−4−ビニルピリジニウムブロミド、クロリドまたはメチルサルフェート;
−N,N−ジメチルジアリルアンモニウムクロリド(DADMAC);
−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(DlQUAT);
−式:
【0124】
【化1】

(ここで、Xは、陰イオン、好ましくは、クロリドまたはメチルサルフェートである。)のモノマー、
−これらの混合物または組合せ
に言及し得る。
【0125】
単位Bは、特に、(適切ならば、他のモノマーとの混合物として)モノマーBを含むモノマーの少なくとも1種の巨大分子鎖Bを形成するための重合によって得ることができる。これらは、(適切なら、他のモノマーとの混合物として)単位Bの前駆体モノマーを含む少なくとも1種のモノマーの前駆体巨大分子鎖Bprecursorを形成するための重合で、単位Bの前駆体単位を得、次いで巨大分子鎖B中に単位Bを得るための前駆体単位の化学修飾によっても得ることができる。このような修飾は知られている。これらは、例えば、硫酸ジメチルまたは4級ハロアルキルアンモニウムまたは4級ハロアルキルヒドロキシアルキルアンモニウムを使用する、例えば、4級化であり得る。
【0126】
巨大分子鎖Bは、陽イオン基を含まない、モノマーB以外のモノマーBotherから誘導される、陽イオン基を含まない、単位B以外の単位Botherを含み得る。これらは、特に:
−中性親水性モノマーNphileから誘導される中性親水性単位である単位Nphile
−中性疎水性モノマーNphobeから誘導される中性疎水性単位である単位Nphobe
であり得る。
【0127】
それから単位Nphileを誘導し得るモノマーNphileの例として:
−ヒドロキシエチルまたはヒドロキシプロピルアクリレートおよびメタクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどのα,β−エチレン性不飽和酸のヒドロキシアルキルエステル、
−アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどのα,β−エチレン性不飽和アミド、
−ポリエチレンオキシドα−メタクリレート(Laporte製Bisomer S20W、S10Wなど)またはポリエチレンオキシドα,ω−ジメタクリレート、Rhodia製Sipomer BEM(ω−ベヘニルポリオキシエチレンメタクリレート)、Rhodia製Sipomer SEM−25(ω−トリスチリルフェニルポリオキシエチレンメタクリレート)などのポリエチレンオキシドタイプの水溶性ポリオキシアルキレン部分を有するα,β−エチレン性不飽和モノマー、
−ビニルアルコール、
−重合すると、加水分解されてビニルアルコール単位またはポリビニルアルコール部分を生成し得る、酢酸ビニルなどの親水性単位または部分の前駆体であるα,β−エチレン性不飽和モノマー、
−ビニルピロリドンまたはN−ビニルカプロラクタムなどのビニルラクタム、
−ウレイドタイプのα,β−エチレン性不飽和モノマーおよび特に2−イミダゾリジノンエチルのメタクリルアミド(Rhodia製Sipomer WAM II)、
−非エチレングリコールメチルエーテルアクリレートまたは非エチレングリコールメチルエーテルメタクリレート、
−これらの混合物または組合せ
に言及し得る。
【0128】
それからNphobe単位を誘導し得るモノマーNphobeの例として:
−スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのビニル芳香族モノマー、
−塩化ビニルもしくは塩化ビニリデンなどのビニルもしくはビニリデンハロゲン化物、またはペンタフルオロスチレンなどのビニル芳香族ハロゲン化物、
−メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのα,β−モノエチレン性不飽和酸のC−C12アルキルエステル、
−ビニルまたはアリルアセテート、プロピオネート、ベルサセート、ステアレートなどの飽和カルボン酸のビニルまたはアリルエステル、
−アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの3から12個の炭素原子を含むα,β−モノエチレン性不飽和ニトリル、
−エチレンなどのα−オレフィン、
−ブタジエン、イソプレンまたはクロロプレンなどの共役ジエン、
−ポリジメチルシロキサン鎖(PDMS)を生成し得るモノマー(したがって、部分Bは、シリコーン、例えば、ポリジメチルシロキサン鎖またはジメチルシロキシ単位を含むコポリマーであり得る。)、
−ジエチレングリコールエチルエーテルアクリレートまたはジエチレングリコールエチルエーテルメタクリレート、
−これらの混合物または組合せ
に言及し得る。
【0129】
第2の実施形態の巨大分子鎖Aは、モノマーAから誘導される陰イオン単位または潜在的陰イオン単位Aを含む。
【0130】
それから単位Aを誘導し得るモノマーAの例として:
−アクリル酸、無水アクリル酸、メタクリル酸、無水メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、N−メタクリロイルアラニン、N−アクリロイルグリシン、パラ−カルボキシスチレン、およびこれらの水溶性塩などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸または対応する無水物などの少なくとも1種のカルボキシル官能基を有するモノマー、
−重合後に、加水分解によってカルボキシル官能基を生ずる、tert−ブチルアクリレートなどのカルボキシレート官能基の前駆体であるモノマー、
−2−スルホオキシエチルメタクリレート、ビニルベンゼンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホエチルアクリレートまたはメタクリレート、スルホプロピルアクリレートまたはメタクリレート、およびこれらの水溶性塩などの少なくとも1種のサルフェートまたはスルホネート官能基を有するモノマー、
−ビニルホスホン酸など、ヒドロキシエチルメタクリレートから誘導されるホスフェート(Rhodia製Empicryl 6835)およびポリオキシアルキレンメタクリレートから誘導されるものなどのエチレン性不飽和ホスフェートエステル、およびこれらの水溶性塩などの少なくとも1種のホスホネートまたはホスフェート官能基を有するモノマー、
−これらの混合物または組合せ
に言及し得る。
【0131】
特に、ホスフェートまたはホスホネート官能基を含むモノマーの例として:
−N−メタクリルアミドメチルホスホン酸エステル誘導体、特に、n−プロピルエステル(RN 31857−11−1)、メチルエステル(RN 31857−12−2)、エチルエステル(RN 31857−13−3)、n−ブチルエステル(RN 31857−14−4)またはイソプロピルエステル(RN 51239−00−0)、およびN−メタクリルアミドメチルホスホン二酸(RN 109421−20−7)などのこれらのホスホン酸および二酸誘導体、
−N−メタクリルアミドエチルホスホン酸ジメチルエステル(RN 266356−40−5)またはN−メタクリルアミドエチルホスホン酸ジ(2−ブチル−3,3−ジメチル)エステル(RN 266356−45−0)などのN−メタクリルアミドエチルホスホン酸エステル誘導体、およびN−メタクリルアミドエチルホスホン二酸(RN 80730−17−2)などのこれらのホスホン酸および二酸誘導体、
−N−アクリルアミドメチルホスホン酸ジメチルエステル(RN 24610−95−5)、N−アクリルアミドメチルホスホン酸ジエチルエステル(RN 24610−96−6)またはビス(2−クロロプロピル)N−アクリルアミドメチルホスホネート(RN 50283−36−8)などのN−アクリルアミドエチルホスホン酸エステル誘導体、およびN−アクリルアミドメチルホスホン酸(RN 151752−38−4)などのこれらのホスホン酸および二酸誘導体、
−ビニルベンジルホスホン酸ジアルキルエステル誘導体、特に、ジ(n−プロピル)(RN 60181−26−2)、ジ(イソプロピル)(RN 159358−34−6)、ジエチル(RN 726−61−4)、ジメチル(RN 266356−24−5)、ジ(2−ブチル−3,3−ジメチル)(RN 266356−29−0)およびジ(t−ブチル)(RN 159358−33−5)エステル誘導体、およびビニルベンジルホスホン二酸(RN 53459−43−1)などのこれらのホスホン酸および二酸の代替形態、ジエチル2−(4−ビニルフェニル)エタンホスホネート(RN 61737−88−0)、
−2−(アクリロイルオキシ)エチルホスホン酸ジメチルエステル(RN 54731−78−1)および2−(メタクリロイルオキシ)エチルホスホン酸ジメチルエステル(RN 22432−83−3)、2−(メタクリロイルオキシ)メチルホスホン酸ジエチルエステル(RN 60161−88−8)、2−(メタクリロイルオキシ)メチルホスホン酸ジメチルエステル(RN 63411−25−6)、2−(メタクリロイルオキシ)プロピルホスホン酸ジメチルエステル(RN 252210−28−9)、2−(アクリロイルオキシ)メチルホスホン酸ジイソプロピルエステル(RN 51238−98−3)または2−(アクリロイルオキシ)エチルホスホン酸ジエチルエステル(RN 20903−86−0)などのジアルキルホスホノアルキルアクリレートおよびメタクリレート誘導体、および2−(メタクリロイルオキシ)エチルホスホン酸(RN 80730−17−2)、2−(メタクリロイルオキシ)メチルホスホン酸(RN 87243−97−8)、2−(メタクリロイルオキシ)プロピルホスホン酸(RN 252210−30−3)、2−(アクリロイルオキシ)プロピルホスホン酸(RN 254103−47−4)および2−(アクリロイルオキシ)エチルホスホン酸などのこれらのホスホン酸および二酸の代替形態、
−シアノ、フェニル、エステルまたはアセテート基で場合によって置換されているビニルホスホン酸、ナトリウム塩形態またはこのイソプロピルエステルの形態におけるビニリデンホスホン酸、またはビス(2−クロロエチル)ビニルホスホネート、
−2−(メタクリロイルオキシ)エチルホスホネート、
−2−(アクリロイルオキシ)エチルホスホネート、
−2−(メタクリロイルオキシ)プロピルホスホネート、
−2−(アクリロイルオキシ)プロピルホスホネート、
−ビニルホスホン酸、
−2−(メタクリロイルオキシ)エチルホスホン酸、
−2−(アクリロイルオキシ)エチルホスホン酸、
−2−(メタクリロイルオキシ)エチルホスホネート、および
−2−(アクリロイルオキシ)エチルホスホネート
に言及される。
【0132】
単位Aは、特に、(適切ならば、他のモノマーとの混合物として)モノマーAを含むモノマーの巨大分子鎖Aを形成するための重合によって得ることができる。これらは、(適切ならば、他のモノマーとの混合物として)単位Aの前駆体モノマーを含むモノマーの少なくとも1種の前駆体巨大分子鎖Aprecursorを形成するための重合によって、単位Aの前駆体単位を得、次いでの巨大分子鎖Aにおいて単位Aを得るための前駆体単位の化学修飾によっても得ることができる。このような修飾は知られている。これらは、例えば、加水分解性エステル基を含む単位(例えば、エチルまたはtert−ブチルアクリレートまたはメタクリレートから誘導される単位)の加水分解であり得る。
【0133】
巨大分子鎖Aは、陰イオン基または潜在的陰イオン基を含まない、モノマーA以外のモノマーAotherから誘導される、陰イオン基または潜在的陰イオン基を含まない、単位A以外の単位Aotherを含み得る。これらは、特に:
−中性親水性モノマーNphileから誘導される中性親水性単位である単位Nphile(このような単位およびモノマーは上述されている。)、
−中性疎水性モノマーNphobeから誘導される中性疎水性単位である単位Nphobe(このような単位およびモノマーは上述されている。)、
−陽イオンモノマーAから誘導される陽イオン単位A
−両性イオンモノマーZから誘導される両性イオン単位Z(このような単位およびモノマーは上述されている。)、
−潜在的陽イオンモノマーから誘導される潜在的陽イオン単位C(このような単位およびモノマーは上述されている。)、
−これらの混合物または組合せ
であり得る。
【0134】
巨大分子鎖A中の単位Aotherの重量比は、0から99%、好ましくは0から90%、好ましくは0から50%、例えば0から25%であり得る。これは、有利には、ゼロ(単位Aother無し)であり得る。巨大分子鎖Aは、好ましくは、1から100重量%、好ましくは50%から100%の単位Aを含む。
【0135】
巨大分子鎖Aが、単位Aを含む場合、前記鎖におけるこれらの数量比は、好ましくは、巨大分子鎖Bにおけるこれを下回る。好ましくは、巨大分子鎖Aにおける単位Aの数量比は、単位Aの数量比を下回る。好ましくは、巨大分子鎖Aにおける単位Aの数量比は、10%未満、好ましくはゼロである。
【0136】
それから単位Aを誘導し得るモノマーAの例として、詳細に上述されたモノマーBに言及し得る。
【0137】
同様に、一例として、両性コポリマーは、ブロックAが、アクリル酸から誘導され、ブロックBが、DADMAC、MAPTACおよびAPTACから選択される陽イオンモノマーから誘導されるブロックコポリマーであり得る。
【0138】
両性コポリマーは、好ましくは、陰イオン基または潜在的陰イオン基と比べてより多数の単位Bを含む。好ましくは、これは、単位Aと比べてより多数のBを含む。好ましくは、巨大分子鎖(複数可)B、好ましくはブロック(複数可)Bの、部分A、好ましくは巨大分子鎖A、好ましくはブロックAに対する重量比は、1より大きく、例えば、2より大きい。
【0139】
両性コポリマーは、特に、500から50000g/モルの間の理論または測定平均分子量を示し得る。巨大分子鎖(複数可)B、好ましくはブロック(複数可)Bは、特に、500から49000g/モルの間、好ましくは2000から48000g/モルの間の理論または測定平均分子量を示し得る。巨大分子鎖A、好ましくはブロック(複数可)Aは、特に、250から20000g/モルの間、好ましくは500から10000g/モルの間の理論または測定平均分子量を示し得る。
【0140】
両性コポリマーは、好ましくは、水溶性であり、好ましくは、5から8、好ましくは4から9、好ましくは1から11に及ぶpH範囲の全体にわたって水溶性である。様々な単位の特性および割合をこの目的で選択し得る。好ましくは、これは、50重量%未満好ましくは25重量%未満、好ましくは10重量%未満の単位Nphobeを含み、例えば、まったく含まない。
【0141】
コポリマーは、固体形態または溶液の形態、例えば水溶液、アルコール溶液および/または(例えば、エタノールまたはイソプロパノール/水混合物中の)水/アルコール溶液で提供し得る。溶液の濃度は、例えば、5から75重量%、一般的には10から50重量%であり得る。
【0142】
ここで、本発明のために使用し得る両性コポリマーを調製する方法が記載される。
【0143】
両性コポリマーは、後の段階で化学修飾される巨大分子鎖Bまたは前駆体鎖を形成するための少なくとも1つの重合段階を含む任意の好適なプロセスによって調製し得る。
【0144】
両性テロマー(第3の上記実施形態)を調製するために、例えば、成長鎖(例えば、チオール基)および少なくとも1種のカルボキシル基にラジカル反応によってグラフトされ得る制限基を示す薬剤の存在下におけるラジカル重合によって、モノマーBを重合させることが可能である。これは、例えば、HOOC−CH−CH(COOH)−SHの式の薬剤であり得る。
【0145】
櫛型コポリマー(第4の上記実施形態の第1の代替形態)を調製するために、鎖Bの少なくとも1つの末端基と反応する官能基を示す巨大分子鎖Aへの巨大分子鎖Bのグラフト化に従来技術によって進むことが可能である。別法として、重合により、好ましくはラジカル重合により、好ましくは制御されたラジカル重合により、好ましくはこの末端にグラフトされたまたは巨大分子鎖A中でこの末端に共重合された単位により支持された、重合を開始し得る、少なくとも3種の基を含む予め調製された巨大分子鎖A上に、モノマーBからの側鎖Bの成長をもたらすことが可能である。これらは、特に、不飽和モノマーおよび場合によって遊離基の発生源の存在下で、制御されたラジカル重合を引き起こし得る移動基であり得る。このような基は、制御されたラジカル重合(いくつかは以下に詳細に記載されている、ATRPの技術、窒素酸化物の存在下の重合の技術、−S−CS−基の存在下のRAFTおよび/またはMADIXの名称で知られている重合の技術など)の分野で知られている。調製が、モノマーBを使用する主鎖A上の鎖Bの成長によって行われる場合、調製は、好ましくは、単位Aが、好ましくは、例えば4以下、好ましくは3、例えば2のpHにおける酸媒体中で中性形態となるようなpHで行われる。
【0146】
特に、ブロックAおよび少なくとも1種のブロックBを含むブロックコポリマーを調製するための第4の実施形態の第2の代替形態との関連において、特に、好ましくは制御されたラジカル重合タイプの逐次重合によってコポリマーを調製することが可能である。
【0147】
特に、以下の段階:
段階1):ブロックAおよびブロックBから選択される第1ブロックまたは第1ブロックの前駆体ブロックを得るための、好ましくは制御されたラジカル重合によるモノマーの重合、
段階2):ブロックBまたは前駆体が段階1で得られた場合にブロックAから、およびブロックAまたは前駆体が段階1)で得られた場合にブロックBから選択される少なくとも1種の第2ブロック、または第2ブロックの前駆体ブロックを得るための、好ましくは制御されたラジカル重合によるモノマーの重合、
段階3):場合による:前駆体ブロックが段階1)および/または2)中に得られた場合に、ブロックAおよびブロックBを得るための、これらのブロックの化学修飾
を含むプロセスを使用することができる。
【0148】
段階1)および2)は連続している。段階3)の前に他の重合段階を行う可能性は、排除されない。段階1)中にブロックB、次いで段階2)中にブロックA、場合によって後の段階中に別のブロックBを調製することが可能である。しかし、段階1)中にブロックA、次いで段階2)中に少なくとも1種のブロックBを調製することが好ましい。全ての場合で、電荷を有さない段階1)に由来するブロック上に段階2)を行うことが好ましい。この目的で、ブロックBが、段階2)中に調製される場合、特に、調製が、モノマーBを使用して(後の化学修飾を用いずに)直接行われる場合、調製は、好ましくは、単位Aが、好ましくは、例えば4以下、好ましくは3、例えば2のpHにおける酸媒体中で中性形態となるようなpHにおいて行われる。しかし、ブロックAが、段階2)中に調製される場合、段階1)中に、中性形態において非イオン性または潜在的陽イオン性であるブロックBの前駆体を調製し、次いで段階3)中に、これを化学的に修飾することが好ましいことがある。モノマーBが、ジアリルアンモニウムタイプのものである場合、段階2)中に、これを重合することが好ましい。
【0149】
段階3)との関連で行い得る化学修飾は、上述されている。これらは、例えば、ブロックBを得るための4級化、およびブロックAを得るための加水分解である。好ましくは、化学修飾の段階3)を実施せず、モノマーBを段階1)および2)のいずれかの間に直接重合し、モノマーAを他の段階中に直接重合する。
【0150】
上記プロセスは、巨大分子鎖により運ばれる移動基の失活の段階、および/またはコポリマーの精製の段階、および/または化学修飾および/または失活からの副産物の分解の段階を含み得る。このような段階は、重合段階後に実施し得る。これは、段階3)の前または後に、後者を用いる場合、実施し得る。場合による精製および/または失活および/または分解の段階の間、得られるブロックコポリマーまたは副産物は、例えば、加水分解、酸化、還元、熱分解、オゾン分解または置換タイプのプロセスによる、特定成分からの精製またはこれらの分解のための反応にかけることができる。過酸化水素水溶液による酸化の段階は、特に、硫黄を含む成分を処理するために好適である。これらの反応または操作のいくつかは、段階3)中に全てまたは部分的に行われ得ることが言及される。この場合、これらの反応または操作について、2つの段階は、同時に行われる。
【0151】
好ましくは、重合段階(特に、段階1)および2))について、「リビング」または「制御された」ラジカル重合法、および、特に好ましくは、特にRAFTまたはMADIXの名称で知られている式−S−CS−の移動基を含む移動剤を使用する制御されたまたはリビングラジカル重合法を使用する。
【0152】
特に、「リビング」または「制御された」重合プロセスの例として:
−ザンテートタイプの制御剤によって制御されるラジカル重合を使用する国際特許出願公開第98/58974号、第00/75207号および第01/42312号の方法、
−国際特許出願公開第98/01478号のジチオエステルまたはトリチオカーボネートタイプの制御剤によって制御されるラジカル重合プロセス、
−国際特許出願公開第99/31144号のジチオカルバメートタイプの制御剤によって制御されるラジカル重合プロセス、
−国際特許出願公開第02/26836号のジチオカルバゼートタイプの制御剤によって制御されるラジカル重合プロセス、
−国際特許出願公開第02/10223号のジチオホスホン酸エステルタイプの制御剤によって制御されるラジカル重合プロセス、
−窒素酸化物前駆体の存在下の重合を使用する国際特許出願公開第99/03894号の方法、または他の窒素酸化物または窒素酸化物/アルコキシアミン錯体を用いる方法
−原子移動ラジカル重合(ATRP)を使用する国際特許出願公開第96/30421号の方法、
−Outら、Makromol.Chem.Rapid.Commun.、3巻、127頁(1982年)の教示によるイニファータータイプの制御剤によって制御されるラジカル重合プロセス、
−Tatemotoら、特開昭50−127991号公報(1975年)、ダイキン工業株式会社 日本、およびMatyjaszewskiら、Macromolecules、28巻、2093頁(1995年)の教示によるヨウ素変性移動によって制御されるラジカル重合プロセス、
−Macromol.Symp.、111巻、63頁(1996年)においてD.Braunらによって開示されたテトラフェニルエタン誘導体によって制御されるラジカル重合プロセス、またはさらに
−J.Am.Chem.Soc.116巻、7973頁(1994年)においてWaylandらによって記載された有機コバルト錯体によって制御されるラジカル重合プロセス、
−ジフェニルエチレン(国際公開第00/39169号または国際公開第00/37507号)によって制御されるラジカル重合プロセス
を参照することができる。
【0153】
段階1)および2)は、一般的に、モノマー、制御剤および場合によって少なくとも1種の遊離基の発生源を一緒にすることによって実施し得る。遊離基の発生源は、開始剤であり得る。好ましくは、このような開始剤を段階1)中で使用する。開始剤は、再び、段階2)中に導入し得る。段階1)に由来する反応媒体中に存在する遊離基を使用することも可能である。
【0154】
重合は、当業者に知られている遊離基開始剤の存在下で実施し得る。例えば、過硫酸ナトリウムを使用し得る。一般的に、移動剤の量に対して5から50数量%の量の開始剤を使用し得る。
【0155】
重合は、有利には、溶液中で、好ましくは水性媒体、アルコール媒体または水性/アルコール媒体中で行われる。
【0156】
(段階1)および2)の間の)プロセスの実施における有用な移動剤は、当業者に知られており、特に、RAFTおよび/またはMADIXの名称で知られている重合プロセスの実施のための移動基−S−CS−を含む化合物を含む。好ましくは、式−S−CS−O−(ザンテート)の移動基を含む移動剤を使用する。このようなプロセスおよび薬剤は、以下に詳細に記載されている。
【0157】
重合段階の間に、モノマーまたはモノマーの混合物、開始剤および/または重合の制御を促進する薬剤(−S−CS−タイプ、窒素酸化物などの基を含む移動剤)から第1ブロックを調製し、次いで、先のブロックの調製に使用されたものからのモノマーおよび場合によって開始剤および/または重合の制御を促進する薬剤を添加して形成される、様々な組成を有するジブロックコポリマーを得るために第1ブロック上に第2ブロックを成長させることが可能である。ブロックコポリマーを調製するこれらの方法は、当業者に知られている。コポリマーは、鎖末端においてまたは鎖の中央において、移動基または移動基の残基、例えば(例えばザンテート、ジチオエステル、ジチオカルバメートまたはトリチオカーボネートに由来する)−S−CS−基を含む基またはこのような基の残基を示し得ることが言及される。
【0158】
ジブロックコポリマーが得られるように、適切ならば、後に(例えば、特定の段階でまたは分解および/または失活および/または精製の段階で)修飾されるトリブロックコポリマーをもたらす調製プロセスを使用し適合させることは、本発明の範囲を逸脱しないことが言及される。特に、ジブロックコポリマー(ブロックA)−(ブロックB)を得るために、数種の移動基(例えば、トリチオカーボネートZ−S−CS−S−Z)を含む移動剤を使用し、(コア)−[(ブロックA)−(ブロックB)]タイプのトリブロック(例えば、トリブロック(ブロックA)−(ブロックB)−(コア)−(ブロックB)−(ブロックA)などの(ブロックA)−(ブロックB)−R−(ブロックB)−(ブロックA))などのR−[(ブロックB)−(ブロックA)]タイプのテレケリックコポリマー(telechelic copolymer)をもたらし、次いでコアでテレケリックコポリマーを分解(分裂、「開裂」)することを考えることが可能である。分裂は加水分解中に起こり得る。
【0159】
本発明の分散液は、1から11の間のpH範囲内で、より特定すると3から11の間のpH範囲内で正のゼータ電位を示す。さらに、このゼータ電位は、このpH範囲の大部分にわたり安定な値を示し得る。「安定な値」という用語は、本発明の両性コポリマーを含み、2から3のオーダーの初期pHを示すコロイド分散液のpHが、上記範囲内で変えられる場合、最大50%のゼータ電位の値における変化を意味するものと理解される。
【0160】
本発明の分散液は、本明細書の部分Aで上記されたタイプの出発コロイド分散液を、本明細書の部分Bで上記された両性コポリマーの溶液と混合することによって調製し得る。この混合は、周囲温度から100℃の間の温度で、例えば、およそ、約80℃で行い得る。混合は、好ましくは、激しく撹拌しながら行う。
【0161】
本発明の分散液の可能な使用として、特に自動車の後燃え用の触媒に言及し得る。この場合、分散液は、触媒の調製において使用される。分散液は、紫外線に対抗するこれらの性質のために、例えば、(例えば、アクリルまたはポリカーボネートタイプの)ポリマーのフィルム、塗料、紙または化粧品組成物の調製において、特に紫外線保護用のクリームの調製においても使用し得る。
【0162】
ここで、例が与えられる。
【0163】
これらの例において、実施例1から8は、ポリマーの調製に関し、実施例9から14は、コロイド分散液に関する。
【0164】
中性または陰イオン性の親水性ポリマー(例えば、ポリ(アクリル酸)およびポリ(アクリルアミド)ホモポリマー)の相対モル質量は、Shodex OHパックSB−Gプレカラム(No.L410061)および30cm OHパックSB−806M HQ(No.L 411 054;L 411 055;L 411 056)の3種のShodexカラムおよび0.1mol/lのNaNOを添加した脱イオン水の溶液中のアセトニトリルを含む移動相(アセトニトリル/水の体積比は20/80である。)を使用する立体排除クロマトグラフィー(SEC)によって特性を決定する。陽イオンブロックを含むコポリマーの相対モル質量は、Shodex OHパックSB−Gプレカラム(No.L211067)および30cm OHパックSB−806M HQ(No.L 301011;L 301013;L 301014)の3種のShodexカラムおよび1mol/lのNHNOおよび100 ppmのDADMAC(カラムを不動態化するため)を添加した脱イオン水の溶液中のアセトニトリルを含む移動相(アセトニトリル/水の体積比は20/80である。)を使用する立体排除クロマトグラフィー(SEC)によって特性を決定する。相対モル質量の全ての測定は、ポリ(エチレンオキシド)の標準に対して行う。
【0165】
実施例において、使用される水は、脱イオン水である。
【0166】
実施例1
この実施例は、ポリ(アクリル酸)(PAA)の合成に関する。
【0167】
31.87gのO−エチルS−(1−(メトキシカルボニル)エチル)ザンテート(CHCHCOCH)S(C=S)OEt、101.3gのエタノール、8.5gのアクリル酸および23.64gの脱イオン水を、周囲温度で機械的撹拌機および還流冷却器を備えた2lジャケット付きガラス反応器に導入する。溶液の温度を70℃に上げる。この温度に到達したら、0.49gの4,4’−アゾビス(シアノ吉草酸)を導入する。この開始剤の導入で開始して、212.8gの水中の76.5gのアクリル酸の溶液を1時間かけて導入する。この導入の終わりに、0.49gの4,4’−アゾビス(シアノ吉草酸)を再び導入する。この反応を、導入が終わってから3時間延長する。
【0168】
ポリマーのサンプルを回収する。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による生成物の分析によって、全てのアクリル酸が重合中に反応したことが結論づけられる。ポリ(エチレンオキシド)による相対較正を用いる立体排除クロマトグラフィー(SEC)分析によって、次の数平均モル質量(M)および多分散係数(M/M)値:M=650g/mol、M/M=1.60が与えられる。
【0169】
実施例2
この実施例は、P(アクリル酸−ブロック−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)ジブロックコポリマー:P(AA−DADMAC)の合成に関する。
【0170】
実施例1に記載されたように、第1ブロックの合成の終わりに、温度を65℃に下げる。この温度が安定したら、水中の65重量%における706gのジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、さらにWako製の4gのV50開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド)の溶液を導入する。次いで、反応を、この温度で12時間維持する。4時間および8時間反応した後、4gのV50開始剤を、このたびごとに反応媒体に添加する。反応の終わりに、サンプルを回収する。H NMR分析によって、98.2%のDADMAC変換率が示されている。MおよびM/Mを、ポリ(エチレンオキシド)較正曲線を用いる水中のSECによって測定する:M=2500;M/M=1.50。実施例1および実施例2からの生成物の2つのクロマトグラムを重ね合わすことによって、形成されたコポリマーは、事実上ジブロックであることが結論づけられる。これは、実施例1からの生成物のSECクロマトグラムは、実施例2からの生成物の合成の終わりに、より高い分子量の範囲に向かって完全にシフトされるためである。
【0171】
実施例3
この実施例は、ポリ(アクリル酸)(PAA)の合成に関する。
【0172】
6.2gのO−エチルS−(1−(メトキシカルボニル)エチル)ザンテート(CHCHCOCH)S(C=S)OEt、23.7gのエタノール、30gのアクリル酸および74.9gの脱イオン水を、周囲温度で磁気撹拌機および還流冷却器を備えた250mlジャケット付きガラス反応器に導入し、5分間、窒素の流れに曝露する。溶液の温度を70℃に上げる。この温度に到達したら、0.167gの4,4’−アゾビス(シアノ吉草酸)を導入する。3時間還流した後、0.167gの4,4’−アゾビス(シアノ吉草酸)を再び導入する。反応を、磁気撹拌しながら、さらに4時間延長する。
【0173】
ポリマーのサンプルを回収する。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による生成物の分析によって、全てのアクリル酸が重合中に反応したことが結論づけられる。相対ポリ(エチレンオキシド)較正を用いる立体排除クロマトグラフィー(SEC)分析によって、次の数平均モル質量(Mn)および多分散係数(M/M)値:M=960g/mol、M/M=1.70が与えられる。
【0174】
実施例4
この実施例は、P(アクリル酸−ブロック−(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド)ジブロックコポリマー:P(AA−APTAC)の合成に関する。
【0175】
実施例3に記載されたように、第1ブロックの合成の終わりに、温度を65℃に下げる。この温度が安定したら、窒素の流れで予め脱気(5分)した、水中の75重量%における15.7gの(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、0.073gのV50開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド)および10gの脱イオン水の溶液を、第1ブロックの溶液中に導入する。次いで、反応を、この温度(65℃)で9時間30分磁気撹拌しながら維持する。4時間反応した後、さらなる0.073gのV50開始剤を反応媒体に添加する。反応の終わりに、サンプルを回収する。H NMR分析によって、99%のAPTAC変換率が示されている。MおよびM/Mを、ポリ(エチレンオキシド)で較正した後、SECによって測定する:M=2740g/mol;M/M=1.50。実施例3および実施例4からの生成物の2つのクロマトグラムを重ね合わせることによって、形成されたコポリマーがジブロックの性質であることが結論づけられる。これは、実施例3からの生成物のSECクロマトグラムは、実施例4からの生成物の合成の終わりに、より高い分子量の範囲に向かって完全にシフトされるためである。
【0176】
実施例5
この実施例は、ポリ(アクリルアミド)(PAM)の合成に関する。
【0177】
12.6gのO−エチルS−(1−(メトキシカルボニル)エチル)ザンテート(CHCHCOCH)S(C=S)OEt、39.8gのエタノール、60.0gの50%アクリルアミド溶液および46.2gの脱イオン水を、周囲温度で磁気撹拌機および還流冷却器を備えた250mlジャケット付きガラス反応器に導入し、5分間窒素の流れに曝露する。溶液の温度を70℃に上げる。この温度に到達したら、0.169gの4,4’−アゾビス(シアノ吉草酸)を導入する。3時間還流した後、0.169gの4,4’−アゾビス(シアノ吉草酸)を再び導入する。反応を、磁気撹拌しながら、さらに4時間延長する。
【0178】
ポリマーのサンプルを回収する。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による生成物の分析によって、全てのアクリルアミドが重合中に反応したことが結論づけられる。相対ポリ(エチレンオキシド)較正を用いる立体排除クロマトグラフィー(SEC)分析によって、次の数平均モル質量(M)および多分散係数(M/M)値:M=530g/mol、M/M=2.45が与えられる。
【0179】
実施例6
この実施例は、P(アクリルアミド−ブロック−(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド)ジブロックコポリマーP(AM−APTAC)の合成に関する。
【0180】
第1ブロックの合成の終わりに、実施例5に記載されたように、温度を65℃に下げる。この温度が安定したら、窒素の流れで予め脱気(5分)した、水中の75重量%における31.4gの(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、0.034gのV50開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド)および20gの脱イオン水の溶液を、第1ブロックの溶液中に導入する。次いで、反応を、磁気撹拌しながら、この温度(65℃)で9時間30分維持する。4時間反応した後、さらなる0.034gのV50開始剤を反応媒体に添加する。反応の終わりに、サンプルを回収する。H NMR分析によって99%のAPTAC変換率が示されている。MおよびM/Mを、ポリ(エチレンオキシド)で較正した後、SECによって測定し、M=3000g/mol;M/M=1.50が与えられている。実施例5および6からの生成物の2つのクロマトグラムを重ね合わせることによって、形成されたコポリマーがジブロックの性質であることが結論づけられる。これは、実施例5からの生成物のSECクロマトグラムが、実施例6からの生成物の合成の終わりに、より高い分子量の範囲に向かって完全にシフトされるためである。
【0181】
実施例7
この実施例は、ポリ(アクリルアミド)(PAM)の合成に関する。
【0182】
4.22gのO−エチルS−(1−(メトキシカルボニル)エチル)ザンテート(CHCHCOCH)S(C=S)OEt、25.0gのエタノール、60.0gの50%アクリルアミド溶液および40.1gの脱イオン水を、周囲温度で磁気撹拌機および還流冷却器を備えた250mlジャケット付きガラス反応器に導入し、5分間窒素の流れに曝露する。溶液の温度を70℃に上げる。この温度に到達したら、0.167gの4,4’−アゾビス(シアノ吉草酸)を導入する。3時間還流した後、0.167gの4,4’−アゾビス(シアノ吉草酸)を再び導入する。反応を、磁気撹拌しながら、さらに4時間延長する。
【0183】
ポリマーのサンプルを回収する。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による生成物の分析によって、全てのアクリルアミドが重合中に反応したことが結論づけられる。相対ポリ(エチレンオキシド)較正を用いる立体排除クロマトグラフィー(SEC)分析によって、次の数平均モル質量(M)および多分散係数(M/M)値:M=710g/mol、M/M=2.25が与えられる。
【0184】
実施例8
この実施例は、P(アクリルアミド−ブロック−(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド)ジブロックコポリマー:P(AM−APTAC)の合成に関する。
【0185】
第1ブロックの合成の終わりに、実施例7に記載されたように、温度を65℃に下げる。この温度が安定したら、窒素の流れで予め脱気(5分)した、水中の75重量%における30.9gの(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、0.011gのV50開始剤(2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド)および20gの脱イオン水の溶液を、第1ブロックの溶液に導入する。次いで、反応を、磁気撹拌しながら、この温度(65℃)で9時間30分維持する。4時間反応した後、さらなる0.011gのV50開始剤を反応媒体に添加する。反応の終わりに、サンプルを回収する。H NMR分析によって99%のAPTAC変換率が示されている。MおよびM/Mを、ポリ(エチレンオキシド)で較正した後、SECによって測定し、M=3180g/mol;M/M=1.44が与えられている。実施例7および8からの生成物の2つのクロマトグラムを重ね合わせることによって、形成されたコポリマーがジブロックの性質であることが結論づけられる。これは、実施例7からの生成物のSECクロマトグラムが、実施例8からの生成物の合成の終わりに、より高い分子量の範囲に向かって完全にシフトされるためである。
【0186】
実施例9
この実施例は、酸化セリウムのコロイド分散液の合成に関する。
【0187】
薄い硝酸セリウム溶液を、6.4kgの2.88M 3価硝酸セリウム溶液(d=1.715)、1.0kgの68% HNO溶液、4.8kgの脱イオン水および10.64gの1.39M 4価硝酸セリウム(d=1.440)の添加によって調製する。1/1500のCe4+/Cetotalモル比を有するこの溶液を、半密閉槽に装入し、次いで窒素を通気し、激しく撹拌しながら脱気する。
【0188】
薄い水性アンモニア溶液を、22.6kgの脱イオン水および4.6kgの28%水性アンモニア溶液の添加によって調製する。この溶液を、40l半密閉ジャケット付き反応器に装入し、次いで窒素を通気しながら撹拌する。
【0189】
次いで、薄い硝酸セリウム溶液を、撹拌および窒素でフラッシングしながら、周囲温度で30分かけて薄い水性アンモニア溶液に添加する。次いで、この反応混合物を、1時間の3/4かけて80℃の温度に上げ、次いで、まだ窒素でフラッシングしながら、この温度に4時間維持する。
【0190】
この熱処理が終わったら、反応混合物を冷却し、次いで、これをNutscheフィルター上で濾過し洗浄する。このケークを脱イオン水中に再懸濁し、68%硝酸の添加によって酸性化し、これによって17.9重量%のCeOを含み3.0のpHを有する分散液が得られる。
【0191】
第2粒子のサイズを、Horiba LA910タイプのレーザー粒子寸法測定器を使用し、1.7の水中のCeO2の光学指数の値を取って測定する。メジアン径d50は109nmである。それぞれ89、109および133nmのd10、d50およびd90値から算出される分散指標σ/mは0.20である。
【0192】
懸濁液をTEMによって観測する。第1粒子は、実際に単分散であり、サイズは60nmを中心とすることが見出されている。懸濁液を代表する数百個の粒子の写真上の粒子のそれぞれを、数え、測定し、これによって、6nmの標準偏差を有する62nmの平均サイズが得られ、この標準偏差は、平均値のサイズの10%に相当する。
【0193】
分散液の一部を、乾燥機中で200℃において乾燥し、これによってXRD分析用のCeO粉末が得られる。この粉末のX線回折図は、結晶性CeOの特徴を有する(ASTMカード34−394)。2θ=28.6°、47.5°および56.4°に位置する回折ピークの中間高さの幅からScherrerモデルの適用により算出されるコヒーレント領域の平均サイズは82nmを示す。窒素吸着によって求めたBET比表面積は、13.5m/gであり、これによって、62nmの第1粒子の平均サイズが示されている。
【0194】
実施例10(本発明による)
この実施例は、1から11の間のpH範囲全体にわたって安定しており陽イオン性である、本発明による酸化セリウムのコロイド分散液の合成に関する。
【0195】
分散液の調製
0.025重量%のPAA−PDADMACを含む80gのPAA−PDADMAC 0.5K−3K溶液を、実施例2に記載されたPAA−PDADMAC 0.5K−3K溶液を脱イオン水で希釈することによって調製する。
【0196】
80gの5重量%コロイドCeO分散液を、実施例9に記載されたコロイドCeO分散液を脱イオン水で希釈することによって調製する。
【0197】
5重量%コロイドCeO分散液を、周囲温度で激しく撹拌しながら0.025重量%PAA−PDADMAC 0.5K−3K溶液に10分かけて添加する。この添加の終わりにおいて、CeO濃度は2.5重量%である。PAA−PDADMAC/CeO重量比は0.5重量%である。
【0198】
第2粒子のサイズは、Horiba LA910タイプのレーザー粒子寸法測定器を使用し、1.7の水中のCeOの光学指数の値を取って測定する。メジアン径d50は105nmであり、それぞれ89、105および131nmのd10、d50およびd90値から算出される分散指標σ/mは0.20である。
【0199】
この酸性コロイド分散液のアリコートを、pHを10.6に上げるために、激しく撹拌しながら数滴の28%水性アンモニア溶液で処理する。沈殿による分離は観察されていない。第2粒子のサイズは、Horiba LA910タイプのレーザー粒子寸法測定器を使用し、1.7の水中のCeOの光学指数の値を取って測定する。メジアン径d50は106nmであり、それぞれ88、106および130nmのd10、d50およびd90値から算出される分散指標σ/mは0.20である。
【0200】
ゼータ電位の測定
薄いKNO溶液を、1.0110gのKNO(M=101.103g/mol)を脱イオン水で希釈して100gにすることによって調製する。10gの薄いKNO溶液および86gの脱イオン水を、PAA−PDADMACで安定化した4gのCeOの酸性コロイド分散液のアリコートに添加し、これによって、0.1重量%のCeOおよび10−2mol/lのKNOを含むPAA−PDADMACで安定化したCeOのコロイド分散液が得られる。PAA−PDADMAC/CeOの比は、変わらないままであり、0.5重量%に等しい。pHは3.3であり、イオン伝導率は1.7mS/cmである。ゼータ電位は、Malvern ZetaSizer Nano−ZSタイプの装置を使用して測定する。ゼータ電位の曲線は、10−2mol/l KOH溶液の添加によってpH=11までpHを徐々に増加させることによって得られる。同じ曲線を実施例9に記載されたコロイドCeO分散液を用いて引く。
【0201】
図1によって、こうして得られるゼータ電位の曲線が示されている。実線の曲線は、実施例10からの生成物に対応する曲線であり、これは、ゼータ電位がpH=1からPH=11の間のpH範囲全体にわたり正であることを示している。破線で示された曲線は、実施例9からの生成物の曲線に対応する。
【0202】
実施例11から14
実施例11および12は、1から11のpH範囲全体にわたり安定しており陽イオン性である、本発明による酸化セリウムのコロイド分散液の合成に関する。実施例13および14は、そのブロックが陰イオン基を含まないコポリマーを含む酸化セリウムのコロイド分散液に関する比較例である。
分散液の調製
溶液A:100mlの20g/lのコロイドCeO分散液を、その第2粒子のサイズが、準弾性光散乱(QELS)で測定して、8nmであり、その第1粒子のサイズが3nmである、完全に透明なコロイドCeO分散液を脱イオン水で希釈することによって調製する。pHは1.4であり、イオン伝導率は10mS/cmである。
【0203】
溶液B:20g/lの濃度のポリマーの溶液の100mlを、ビーカー中に周囲温度で調製し、澄んだ透明な溶液が得られるまで撹拌する。
【0204】
溶液Bを、激しく撹拌されている、周囲温度における溶液Aに15分かけて添加する。この添加の終わりにおいて、最終のCeO濃度は、10g/lである。ポリマーによってこのように安定化された酸性コロイドCeO分散液は、長い間、この初期の特性、すなわち、完全な透明性および完全な安定性を保持する。
【0205】
この酸性コロイド分散液のアリコートを、pHを10.5に上げるために、激しく撹拌しながら、数滴の28%水性アンモニア溶液で処理する。QELSで測定された、こうして得られたポリマーで安定化されたCeOの塩基性コロイド分散液の第2粒子のサイズは、以下の表1に示されている。実施例2および4に記載されたポリマーで安定化された実施例11および12のコロイドCeO分散液は、長い間安定しており、QELSで測定された、その粒子のサイズが、水性アンモニアの添加の開始前に測定されたものと匹敵する、透明な溶液をもたらすことが観察されている。対照的に、実施例6および8に記載されたポリマーで安定化された実施例13および14のコロイドCeO分散液は、凝集する不安定な分散液をもたらす。
【0206】
【表1】

【0207】
ゼータ電位の測定
薄いKNO溶液を、1.0110gのKNO(M=101.103g/mol)を脱イオン水で希釈して100gにすることによって調製する。10gの薄いKNO溶液および86gの脱イオン水を、PAA−PDADMAC(実施例11によりCeOの添加により実施例2から得られるポリマー)で安定化されたCeOの酸性コロイド分散液の4gのアリコートに添加し、これによって、0.1重量%のCeOおよび10−2mol/lのKNOを含むPAA−PDADMACで安定化されたCeOのコロイド分散液がもたらされる。PAA−PDADMAC/CeOの重量比は、1に等しい。pHは3.3であり、イオン伝導率は、1.7mS/cmである。ゼータ電位は、Malvern ZetaSizer Nano−ZSタイプの装置を使用して測定する。ゼータ電位の曲線は、10−2mol/l KOH溶液の添加によってpH=11までpHを徐々に増加させることによって得られる。
【0208】
図2によって、こうして得られたゼータ電位の曲線が示されている。実線の曲線は、実施例11からの生成物に対応する曲線であり、これは、ゼータ電位が、pH=1からpH=10.7の間のpH範囲全体にわたって正であることを示している。破線で示された曲線は、したがってポリマーが添加されない溶液AのコロイドCeO分散液の曲線に対応する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の巨大分子鎖Bおよび少なくとも1種の巨大分子鎖Bの単一末端に結合している部分Aを含む両性コポリマーを含み、ここで、
−巨大分子鎖Bは、陽イオンモノマーBから誘導される陽イオン単位Bを含み、
−部分Aは、少なくとも1種の陰イオン基または潜在的陰イオン基を含むポリマー基または非ポリマー基である
ことを特徴とする、液相中の無機粒子のコロイド分散液。
【請求項2】
1から11の間、より特定すると3から11の間のpH範囲内で、正のゼータ電位を示すことを特徴とする、請求項1に記載の分散液。
【請求項3】
無機粒子が、セリウム、チタニウム、ジルコニウム、アルミニウムおよび鉄から選択される金属元素の酸化物、水酸化物および/もしくはオキシ水酸化物、セリウムの酸化物、水酸化物および/もしくはオキシ水酸化物と希土類金属もしくは錫から選択される少なくとも1種の他の元素との混合物またはジルコニウムの酸化物、水酸化物および/もしくはオキシ水酸化物および3価希土類金属の混合物に基づく粒子であることを特徴とする、請求項1または2に記載の分散液。
【請求項4】
無機粒子が、酸化セリウム粒子であり、これらの粒子(第2粒子)が、最大200nmの平均サイズを示し、これらの第2粒子が、最大100nmの平均値を示すサイズを有し、標準偏差が前記平均サイズの最大30%の値を有する第1粒子を含むことを特徴とする、請求項1から3の一項に記載の分散液。
【請求項5】
第1粒子が、前記平均サイズの最大20%の値を有する標準偏差を示すサイズを有することを特徴とする、請求項4に記載の分散液。
【請求項6】
第1粒子が、最大80nm、より特定すると、最大60nmの平均値を示すサイズを有することを特徴とする、請求項4または5に記載の分散液。
【請求項7】
第2粒子が、最大0.5の分散指数を示すことを特徴とする、請求項4から6の一項に記載の分散液。
【請求項8】
第2粒子が、最大150nm、より特定すると、最大100nmの平均サイズを示すことを特徴とする、請求項4から7の一項に記載の分散液。
【請求項9】
上記の両性コポリマーの部分Aが、以下の基:
−陰イオンモノマーまたは潜在的陰イオンモノマーAから誘導される陰イオン単位または潜在的陰イオン単位Aを含む巨大分子鎖A、
−少なくとも1種の陰イオン基または潜在的陰イオン基を含む鎖末端単位
から選択されることを特徴とする、請求項1から8の一項に記載の分散液。
【請求項10】
巨大分子鎖Bの陽イオン単位Bが、4級アンモニウム基を含むことを特徴とする、請求項1から9の一項に記載の分散液。
【請求項11】
上記の陰イオン基または潜在的陰イオン基が、適切ならば酸形態で、以下の基:
−カルボン酸基−COO
−スルホン酸基−SO
−硫酸基−SO
−ホスホン酸基−PO2−
−リン酸基−PO2−
から選択される基を含むことを特徴とする、請求項1から10の一項に記載の分散液。
【請求項12】
両性コポリマーが、構造A−B(ここで、Aは、少なくとも1種の陰イオン基または潜在的陰イオン基を含む鎖末端単位である。)を有するテロマーであることを特徴とする、請求項1から11の一項に記載の分散液。
【請求項13】
両性コポリマーの部分Aが、陰イオンモノマーまたは潜在的陰イオンモノマーAから誘導される陰イオン単位または潜在的陰イオン単位Aを含む巨大分子鎖Aであり、両性コポリマーが、以下のコポリマー:
−(ブロックA)−(ブロックB)ジブロックコポリマー(部分Aは、ブロックAを構成し、巨大分子鎖Bは、ブロックBを構成する。)、
−(ブロックB)−(ブロックA)−(ブロックB)トリブロックコポリマー(部分Aは、ブロックAを構成し、巨大分子鎖Bは、ブロックBを構成する。)、
−(主鎖A)−(側鎖B)櫛型コポリマー(部分Aは、主鎖Aを構成し、コポリマーは、それらの末端の1つで主鎖Aにそれぞれ結合している複数の巨大分子鎖Bを含む。)
から選択されることを特徴とする、請求項1から11の一項に記載の分散液。
【請求項14】
両性コポリマーが、直鎖ジブロックまたはトリブロックコポリマーであり、このブロックAおよび/またはブロックBは、エチレン性不飽和モノマーから誘導されることを特徴とする、請求項13に記載の分散液。
【請求項15】
単位Bが、以下の陽イオンモノマー:
−トリメチルアンモニオプロピルメタクリレートクロリド、
−トリメチルアンモニオエチルアクリルアミドまたは−メタクリルアミドクロリドまたはブロミド、
−トリメチルアンモニオブチルアクリルアミドまたは−メチルアクリルアミドメチルサルフェート、
−トリメチルアンモニオプロピルメタクリルアミドメチルサルフェート(MAPTA MeS)、
−(3−メタクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、
−(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、
−メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドまたはメチルサルフェート、
−アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩(ADAMQUAT)、
−1−エチル−2−ビニルピリジニウムまたは1−エチル−4−ビニルピリジニウムブロミド、クロリドまたはメチルサルフェート;
−N,N−ジメチルジアリルアンモニウムクロリド(DADMAC);
−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N−(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(DlQUAT);
−式:
【化1】

(ここで、Xは、陰イオン、好ましくは、クロリドまたはメチルサルフェートである。)のモノマー
から誘導される単位から選択される陽イオン単位であることを特徴とする、請求項1から14の一項に記載の分散液。
【請求項16】
両性コポリマーの部分Aが、陰イオンモノマーまたは潜在的陰イオンモノマーAから誘導される陰イオン単位または潜在的陰イオン単位Aを含む巨大分子鎖Aであることを特徴とし、単位Aが、以下の陰イオンモノマーまたは潜在的陰イオンモノマーA
・アクリル酸、無水アクリル酸、メタクリル酸、無水メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、N−メタクリロイルアラニン、N−アクリロイルグリシンおよびこれらの水溶性塩、
・2−スルホオキシエチルメタクリレート、ビニルベンゼンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホエチルアクリレートまたはメタクリレート、スルホプロピルアクリレートまたはメタクリレート、およびこれらの水溶性塩、
・ビニルホスホン酸またはエチレン性不飽和リン酸エステル
から誘導される単位から選択される陰イオン単位または潜在的陰イオン単位であることを特徴とする、請求項1から11または13から15の一項に記載の分散液。
【請求項17】
両性コポリマーの巨大分子鎖Bが、好ましくは、中性親水性または疎水性モノマーBから誘導される、中性親水性または疎水性単位Bから選択される、少なくとも1種のモノマーBotherから誘導される、単位B以外の単位Botherを含むことを特徴とする、請求項1から16の一項に記載の分散液。
【請求項18】
両性コポリマーの巨大分子鎖Bが、1から100重量%、好ましくは、50重量%から100重量%の単位Bを含むことを特徴とする、請求項17に記載の分散液。
【請求項19】
両性コポリマーの部分Aが、陰イオンモノマーまたは潜在的陰イオンモノマーAから誘導される、陰イオン単位または潜在的陰イオン単位Aを含む巨大分子鎖Aであることを特徴とし、巨大分子鎖Aが、好ましくは、中性親水性または疎水性モノマーAから誘導される、中性親水性または疎水性単位Aから選択される、少なくとも1種のモノマーAotherから誘導される、単位A以外の単位Aotherを含むことを特徴とする、請求項1から11または13から18の一項に記載の分散液。
【請求項20】
両性コポリマーの巨大分子鎖Aが、1から100重量%、好ましくは、50重量%から100重量%の単位Aを含むことを特徴とする、請求項19に記載の分散液。
【請求項21】
無機粒子のコロイド分散液が、上記の両性コポリマーを含む溶液と混合されることを特徴とする、請求項1から20の一項に記載の分散液を調製する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−502757(P2011−502757A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532547(P2010−532547)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/064674
【国際公開番号】WO2009/059919
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(508183151)ロデイア・オペラシヨン (70)
【Fターム(参考)】