説明

両面印字用ラベルおよび両面印字プリンタ

【課題】ラベル基材2の表面側における印字領域6、7に位置検出用マークを印刷する必要がなく、ラベル基材2の表面側における印字面積を減少させることがないとともに、体裁上もすっきりして良好な両面印字用ラベルおよび両面印字プリンタを提供すること。
【解決手段】ラベル基材2の表面側ではなく、その裏面側に磁性体材料ないしは磁気材料による位置検出用のマーク32を設けることに着目したもので、ラベル基材2に形成した折畳み線3において折り畳み、折畳み線3の左右両側に位置する表面側の印字領域6、7に印字可能とするとともに、折畳み線3の部分で左右両側の印字領域6、7を開いて被貼付け体に貼り付け可能とする両面印字用ラベルであって、ラベル基材2の裏面側に磁気材料による位置検出用磁気マーク32を形成していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は両面印字用ラベルおよび両面印字プリンタにかかるもので、とくにラベル基材の両面に印字可能とする両面印字用ラベルおよび両面印字プリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からの両面印字用ラベルおよび両面印字プリンタについて、図6ないし図10にもとづき概説する。
図6は、両面印字用ラベル1を一部開いた状態の斜視図であって、両面印字用ラベル1は、ラベル基材2を有し、ラベル基材2の長さ方向(両面印字プリンタ11(図9)における移送方向)の中央部に位置して折畳み線3(仮想線)を形成している。
【0003】
図7は、両面印字用ラベル1を折畳み線3の部分で左右に開いた状態の平面図、図8は、同、両面印字用ラベル1を折畳み線3の部分で左右に開いた状態の裏面図である。
ラベル基材2の裏面側には、粘着剤層4および剥離剤層5を交互に(図示の例では、両面印字用ラベル1の幅方向に沿って交互に縞状に)形成している。
さらにラベル基材2は、折畳み線3を中心にしてその左右両側に位置する表面側の印字領域(第1の印字領域6、第2の印字領域7)を有しており、第1の印字領域6および第2の印字領域7におけるそれぞれの粘着剤層4および剥離剤層5が互いに対向するように形成してあることにより、第1の印字領域6および第2の印字領域7を一時的に互いに仮着するように折り畳んだ状態で両面から印字可能としているとともに、折畳み線3を中心に第1の印字領域6および第2の印字領域7を開くことにより、任意の被貼付け体M(図10)に貼り付けることができる。
粘着剤層4および剥離剤層5の塗布パターンは、それぞれが第2の印字領域6および第2の印字領域7において互いに対向するとともに、互いに交互に形成されていれば、両面印字用ラベル1の長さ方向に沿って縞状、あるいは市松模様状など任意である。
【0004】
ラベル基材2の表面側(図示の例では、第1の印字領域6側)には、細長矩形状の位置検出用マーク8(一般的には黒色のベタ塗りのマーク)を両面印字用ラベル1の長さ方向において一定のピッチであらかじめ印刷して形成しているとともに、同ピッチで切断用ミシン目9を形成することにより、単葉のラベル片10を形成可能としている。
【0005】
図9は、両面印字用ラベル1に印字するための両面印字プリンタ11(たとえばサーマルプリンタ)の概略側面図であって、両面印字プリンタ11は、プリンタハウジング12と、プリンタハウジング12の上流側に設けた両面印字用ラベル1の供給部13と、位置検出部14と、第1の印字部15および第2の印字部16と、制御部17と、を有する。
【0006】
供給部13は、両面印字用ラベル1をたとえばファンホールド式に収容して、プリンタハウジング12の供給口18からプリンタハウジング12内に帯状に供給可能とする。
【0007】
位置検出部14は、両面印字用ラベル1の位置検出用マーク8を検出可能な、反射型あるいは透過型などの光学センサ19を有している。
【0008】
第1の印字部15は、第1のサーマルヘッド20および第1のプラテンローラ21を有して、両面印字用ラベル1の表面側における第1の印字領域6に所定の情報を印字可能とする。
第2の印字部16は、第2のサーマルヘッド22および第2のプラテンローラ23を有して、両面印字用ラベル1の表面側における第2の印字領域7に所定の情報を印字可能とする。
なお、第1の印字部15および第2の印字部16による印字方式としては、両面印字用ラベル1を感熱発色タイプのサーマル紙として印字することもできるし、熱転写インクリボン(図示せず)を用いて印字するように構成することもできる。
【0009】
制御部17は、上述の位置検出部14、第1の印字部15および第2の印字部16を制御する。
【0010】
なお、印字ののち、両面印字用ラベル1の切断用ミシン目9の部分で手により切断してラベル片10を得ることもできるし、図9中、仮想線で示すような切断刃を有する切断部24を設け、機械的に切断してラベル片10を発行ようにすることも可能である。
【0011】
プリンタハウジング12には、排出口25を形成し、印字済みの両面印字用ラベル1あるいはそのラベル片10を発行排出可能としている。
【0012】
こうした構成の両面印字用ラベル1および両面印字プリンタ11において、とくに両面印字用ラベル1は、ピッチ検出のためにいずれかの第1の印字領域6および第2の印字領域7に位置検出用マーク8があらかじめ印刷されているため、事実上印字面積が少なくなるという問題がある。
すなわち、位置検出部14の光学センサ19により検出される位置検出用マーク8の部分には、ラベル片10への名入り印刷(ラベル発行者や貼付け者などの名称の印刷)やその他の必要な情報あらかじめ印刷を行うことができないという問題、あるいは印刷できてもこの印刷部と位置検出用マーク8とが接近している場合には光学センサ19がこれらを混同する、いわゆる誤検知の問題がある。
【0013】
さらに図10は、ラベル片10を折畳み線3を中心に左右に広げて商品その他の被貼付け体Mに貼り付けた状態を示す平面図であって、貼り付けた表面側の領域(たとえば第1の印字領域6)に位置検出用マーク8が位置することになるので、見た目が悪く体裁上の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2010−032711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、ラベル基材の表面側における印字面積を減少させることがない両面印字用ラベルおよび両面印字プリンタを提供することを課題とする。
【0016】
また本発明は、ラベル基材の表面側における印字領域に位置検出用マークを印刷する必要がない両面印字用ラベルおよび両面印字プリンタを提供することを課題とする。
【0017】
また本発明は、名入りラベルなどにおける誤検知を防止可能な両面印字用ラベルおよび両面印字プリンタを提供することを課題とする。
【0018】
また本発明は、体裁上もすっきりして良好な両面印字用ラベルおよび両面印字プリンタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
すなわち本発明は、ラベル基材の表面側ではなく、その裏面側に磁性体材料ないしは磁気材料による位置検出用のマークを設けることに着目したもので、第一の発明は、ラベル基材を有し、このラベル基材に形成した折畳み線において折り畳み、この折畳み線の左右両側に位置する表面側の印字領域に印字可能とするとともに、この折畳み線の部分でこの左右両側の印字領域を開いて被貼付け体に貼り付け可能とする両面印字用ラベルであって、上記ラベル基材の裏面側に磁気材料による位置検出用磁気マークを形成していることを特徴とする両面印字用ラベルである。
【0020】
第二の発明は、ラベル基材を有し、このラベル基材に形成した折畳み線において折り畳み、この折畳み線の左右両側に位置する表面側の印字領域に印字可能とするとともに、この折畳み線の部分でこの左右両側の印字領域を開いて被貼付け体に貼り付け可能とする両面印字用ラベルの上記印字領域に印字するための両面印字プリンタであって、上記ラベル基材の裏面側に形成している磁気材料による位置検出用磁気マークを検出可能な磁気センサを設けていることを特徴とする両面印字プリンタである。
【0021】
上記ラベル基材の裏面側に、粘着剤層および剥離剤層を交互に形成するとともに、上記折畳み線において上記粘着剤層および上記剥離剤層を互いに対向するように折り畳み、上記左右両側の印字領域に印字可能とすることができる。
【0022】
上記折畳み線は、上記ラベル基材の中央部に位置していることができる。
【0023】
上記位置検出用磁気マークは、上記ラベル基材の長さ方向に沿ってこれを一定のピッチで形成していることができる。
【0024】
上記磁気材料としては、粉末状の酸化鉄などを含む磁性体、あるいは磁気塗料や磁性インクなど任意の磁性体からこれを選択することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明による両面印字用ラベルおよび両面印字プリンタにおいては、磁気材料による位置検出用マークをラベル基材の裏面側に形成しているので、表面側には従来のような位置検出用マークが現出することがなく見た目は良好であるとともに、印字面積を減少させることなく、必要な情報量を印字可能である。
【0026】
とくに第一の発明の両面印字用ラベルによれば、ラベル基材を折畳み線の部分で折り畳んだ内側(裏面側)に磁気材料による位置検出用磁気マークを形成したので、位置検出用のマークが表側に現出することなく、あらかじめ印刷した情報による誤検出や、体裁の悪さを解消し、かつ印字面積を減少させることがない。
【0027】
とくに第二の発明の両面印字プリンタによれば、両面印字用ラベルのラベル基材の裏面側に形成している磁気材料による位置検出用磁気マークを検出可能な磁気センサを設けたので、誤検出を回避しつつ、印字面積を減少させることがないプリンタとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例による両面印字用ラベル30を一部開いた状態の斜視図である。
【図2】同、両面印字用ラベル30を折畳み線3の部分で左右に開いた状態の平面図である。
【図3】同、両面印字用ラベル30を折畳み線3の部分で左右開いた状態の裏面図である。
【図4】同、両面印字用ラベル30に印字するための両面印字プリンタ31(たとえばサーマルプリンタ)の概略側面図である。
【図5】同、ラベル片35を折畳み線3を中心に左右に広げて商品その他の被貼付け体Mに貼り付けた状態を示す平面図である。
【図6】従来の両面印字用ラベル1を一部開いた状態の斜視図である。
【図7】同、両面印字用ラベル1を折畳み線3の部分で左右に開いた状態の平面図である。
【図8】同、両面印字用ラベル1を折畳み線3の部分で左右に開いた状態の裏面図である。
【図9】同、両面印字用ラベル1に印字するための両面印字プリンタ11(たとえばサーマルプリンタ)の概略側面図である。
【図10】同、ラベル片10を折畳み線3を中心に左右に広げて商品その他の被貼付け体Mに貼り付けた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、ラベル基材の裏面側に磁気材料による位置検出用磁気マークを形成したので、印字面積を減少させることなく、ピッチ検出にも支障がない両面印字用ラベルおよび両面印字プリンタを実現した。
【実施例】
【0030】
つぎに本発明の実施例による両面印字用ラベル30および両面印字プリンタ31を図1ないし図5にもとづき説明する。ただし、図6ないし図10と同様の部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。
図1は、両面印字用ラベル30を一部開いた状態の斜視図であって、両面印字用ラベル30は、従来の両面印字用ラベル1と同様に、ラベル基材2を有し、折畳み線3、粘着剤層4、剥離剤層5、第1の印字領域6および第2の印字領域7、切断用ミシン目9などについては、両面印字用ラベル1と同様の構成を有している。
【0031】
図2は、両面印字用ラベル30を折畳み線3の部分で左右に開いた状態の平面図、図3は、同、両面印字用ラベル30を折畳み線3の部分で左右開いた状態の裏面図であって、ラベル基材2の裏面側には位置検出用マークとして、磁気材料による位置検出用磁気マーク32を一定のピッチで形成している。
位置検出用磁気マーク32としては、一般的には茶色で粉末状の酸化鉄などの磁性体粉末を塗布するか、各種の磁気塗料や磁気インクなどを採用することができる。すなわち、磁気材料としては、任意の磁性体からこれを選択することができる。
【0032】
図4は、両面印字用ラベル30に印字するための両面印字プリンタ31(たとえばサーマルプリンタ)の概略側面図であって、両面印字プリンタ31は、従来の両面印字プリンタ11と同様に、前記プリンタハウジング12と、前記供給部13と、前記位置検出部14に相当する位置検出部33と、前記第1の印字部15および前記第2の印字部16と、前記制御部17と、を有する。もちろん、必要に応じて切断部24を備えることができる。
【0033】
とくに図3に示すように、位置検出部33は、ラベル基材2の裏面側に一定のピッチで形成している磁気材料による位置検出用磁気マーク32を検出可能な磁気センサ34を設けている。
【0034】
なお、切断用ミシン目9部分での切断により単葉のラベル片35を得ることができる。
【0035】
こうした構成の両面印字用ラベル30および両面印字プリンタ31において、位置検出部33の部分を移送されてくる両面印字用ラベル30は、そのラベル基材2を通して位置検出用磁気マーク32の磁気を磁気センサ34が検出し、第1の印字部15および第2の印字部16に対する両面印字用ラベル30の位置を検出可能である。
【0036】
図5は、ラベル片35を折畳み線3を中心に左右に広げて商品その他の被貼付け体Mに貼り付けた状態を示す平面図であって、位置検出用磁気マーク32はラベル基材2の裏面側に位置しているので、被貼付け体Mにラベル片35を貼り付けたときに、その表面側には現出せず、体裁は良好である。
さらに、裏面側に形成している位置検出用磁気マーク32の部分に位置する表面側や位置検出用磁気マーク32の移送方向の線上にも、名入りその他任意の情報を印字可能であって印字面積を減少させることがないとともに、位置検出用磁気マーク32との誤検出がない。
【符号の説明】
【0037】
1 両面印字用ラベル(従来、図6)
2 ラベル基材
3 折畳み線
4 粘着剤層
5 剥離剤層
6 第1の印字領域
7 第2の印字領域
8 位置検出用マーク
9 切断用ミシン目
10 単葉のラベル片
11 両面印字プリンタ(サーマルプリンタ、図9)
12 プリンタハウジング
13 供給部
14 位置検出部
15 第1の印字部
16 第2の印字部
17 制御部
18 供給口
19 光学センサ
20 第1のサーマルヘッド
21 第1のプラテンローラ
22 第2のサーマルヘッド
23 第2のプラテンローラ
24 切断部
25 排出口
30 両面印字用ラベル(実施例、図1)
31 両面印字プリンタ(実施例、図4)
32 磁気材料による位置検出用磁気マーク
33 位置検出部
34 磁気センサ
35 ラベル片
M 被貼付け体(商品その他、図5、図10)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル基材を有し、
このラベル基材に形成した折畳み線において折り畳み、この折畳み線の左右両側に位置する表面側の印字領域に印字可能とするとともに、この折畳み線の部分でこの左右両側の印字領域を開いて被貼付け体に貼り付け可能とする両面印字用ラベルであって、
前記ラベル基材の裏面側に磁気材料による位置検出用磁気マークを形成していることを特徴とする両面印字用ラベル。
【請求項2】
前記ラベル基材の裏面側に、粘着剤層および剥離剤層を交互に形成するとともに、
前記折畳み線において前記粘着剤層および前記剥離剤層を互いに対向するように折り畳み、前記左右両側の印字領域に印字可能とすることを特徴とする請求項1記載の両面印字用ラベル。
【請求項3】
前記折畳み線は、前記ラベル基材の中央部に位置していることを特徴とする請求項1または2記載の両面印字用ラベル。
【請求項4】
前記位置検出用磁気マークは、前記ラベル基材の長さ方向に沿ってこれを一定のピッチで形成していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の両面印字用ラベル。
【請求項5】
前記磁気材料としては、粉末状の酸化鉄などを含む磁性体、あるいは磁気塗料や磁性インクなど任意の磁性体からこれを選択することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の両面印字用ラベル。
【請求項6】
ラベル基材を有し、
このラベル基材に形成した折畳み線において折り畳み、この折畳み線の左右両側に位置する表面側の印字領域に印字可能とするとともに、この折畳み線の部分でこの左右両側の印字領域を開いて被貼付け体に貼り付け可能とする両面印字用ラベルの前記印字領域に印字するための両面印字プリンタであって、
前記ラベル基材の裏面側に形成している磁気材料による位置検出用磁気マークを検出可能な磁気センサを設けていることを特徴とする両面印字プリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−181409(P2012−181409A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44905(P2011−44905)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)