説明

両面吸盤及び空気抜き具及び両面吸盤の空気抜きの方法及び吸盤付袋。

【課題】 通常の押し付け吸盤にあっては軟質系の樹脂を一体成型により椀状の部分と外側に設けられる取り付け部からなっていて材質は均一なものであった。被接触面との馴染を良くするために素材を選定されていた。それでもまだ馴染みが悪く被吸着面と吸盤の間に馴染の良い素材で樹脂系エストラマー等を設けて馴染みをよくする事が提案されたがその分構造が複雑になる事は否めなかった。
【解決手段】 上記課題を解決すべく、吸盤の素材を樹脂系エストラマーで作る事により馴染みを良くし、リング状の形状で吸盤の機能を作る。吸盤の空気抜き機構を構築する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は押し付け吸盤に関する。(吸盤、吸着盤は同意語とする)。
【背景技術】
【0002】
吸盤に関しては押し付け吸盤、引っ張り吸盤、吸引(脱気)吸盤があって、押し付け吸盤にあっては椀状のものを被吸着面に押し付け、その吸盤の弾力により戻ろうとする力が働いて中心部に負圧の状態が出来き、その負圧の部分と大気圧の圧力差により吸引されるが如く固定される。粘着シートとして樹脂系エストラマーが各社各仕様の物が提案されていた。
【特許文献1】特開2007−285494。
【特許文献2】特開2007−040510。
【特許文献3】特開2007−205562。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常の押し付け吸盤にあっては軟質系の樹脂を一体成型により椀状の部分と外側に設けられる取り付け部からなっていて材質は均一なものであった。被接触面との馴染を良くするために素材を選定されていた。それでもまだ馴染みが悪く被吸着面と吸盤の間に馴染の良い素材で樹脂系エストラマー等を設けて馴染みをよくする事が提案されたが、その分構造が複雑になる事は否めなかった。粘着シートとして樹脂系エストラマーが各社各仕様の物が提案されていて仮付け材や耐震用マットとして販売されてはいたが、粘着材であるから当然ではあるが力に対する抗力は少なく、短時間では抗力を発揮するものの長時間では滑る(ずれる)又は剥がれる性能のものが多かった。*用語の定義として、樹脂系エストラマーとは樹脂がゲル状の状態であって表面に粘着性があるという条件を、この発明では定義し、実物としてはシリコン、ポリウレタン、ウレタン等のエストラマーがある。ゲル状とはプリンやコンニャクや蒲鉾の様な状態のものをこの発明ではゲル状と定義する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決すべく、吸盤の素材を樹脂系エストラマーで作る事により馴染みを良くする。形状は図1に記載のようなリング状にして、板を押し付けた時にリングの中の空気が外に押し出され、離した時には該吸盤の復元力で微量戻る事により、空間部に負圧部分が出来外部大気圧との圧力差により吸い付くように吸着される。粘着シートからの見方をすれば、シート部材の中心付近に空洞をそれにあて板を当てて押し付け潰して空洞の空気を抜く事で負圧状態を作り常時大気圧により押し付けられている機構にする、これにより粘着性能と押し付け機能の相乗効果を生み出す。
【発明の効果】
【0005】
吸盤の素材を樹脂系エストラマーで作る事により馴染みが良くなり空気漏れがより少なくなる。被吸着面の形状がある程度の凹凸にも対応できるようになる、例えば曇りガラス面ツヤ消し面でも維持可能となる。素材本体が持つ粘着性と吸盤機能の押し付け圧力(吸着力)との相乗効果もあって維持時間が大きくなる。簡易な形状であるので製作上のメリットもある。従来提案されているものと近いものとの比較では穴あきの両面吸盤があるが構造の簡易性において本発明に優位性がある。構造がシンプルであるので多種多様の要求に対応する事が出来る、例えば素材の選択によりやや硬めの物と軟らかめな物との材質の選択が可能、外径の大きさで選択が可能、厚さの選択が可能となる。外側に取り付け用の部材が多様に出来るので利用範囲が幅広くなる。吸盤がリング状であるので形状が小さなもので大きな力と持続性が確保される、理由として図3で説明すると押し付けた時には厚み方向が小さくなるのは当然ではあるがリングの内径も小さくなって変化している、厚さ方向と空間面積方向が小さくなるので負圧度を椀状の形状と比較すれば大きく変化させる事が出来き、ここの所が戻るまでの耐久力を増す事になる。
【0006】
粘着シートからの比較では、シート部材の中心付近に空洞を作り、それにあて板を当てて押し付け潰して空洞の空気を抜く事で負圧状態を作れば常時大気圧により押し付けられている機構になるので、製品の小型化と、引き付ける強さと、継続時間の拡大が出来る、当然両性質の相乗効果となる。耐震用としては図6に記載のテレビモニターのベースのような所へ使用すると平時は上からの重力が掛かっているので空気漏れは少なく地震時に吸盤が持つ固定能力を発揮できて耐震補助具としても有用である。即ち単なる粘着能力よりも大きな固定能力を発揮出来る。当然箱のような形状でも底の部分に設置すれば転倒と横滑りを防ぎ、力を発揮する事は言うまでも無い。吸盤からの概念で粘着シートと捉えるか、粘着シートの分野から吸盤機能を持たせるか、ちょうど中間地点であってどちらの性能も有効に使う事となる効果がある。
【0007】
吸盤に取り付けるものは板状の物ではあるがその外側に何を取り付けるかのバリエーションが広くなる事も大きな効果である。硬質の板である場合は空気抜きの技術を用いて利用可能となる。複数の吸盤と一枚の板という事も出来、応力の分布に応じた吸盤の配置が出来ると言う効果がある。代表事例として図5に示すような配置が出来る。図5ではシャワーヘッドを書いてはいるがブラケットのような形状に対応可能となる。大きさや重量には制限はあるものの箱体の面を直接、被吸着面に取り付け可能となる事も特筆される。その他、取付のバリエーションに付いては図4に記載されるような事が可能となる。
【0008】
取付の板が可とう性の物の場合には吸盤の中心部分を押し付けることにより板が撓んで空気が抜けるので被吸着面に直接付けられる。図7の(r)に示すようにガラス面にフィルム状のものを取り付けるには効力を発揮する。当然フィルムを加工して袋状の物を作って被吸着面に取り付けも可能となり代表として図7の(p)(q)のように出来、幅広く利用出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】 本発明の吸盤の図面である(a)は平面図、(b)は斜視図である。
【図2】 本発明の空気抜き具の図面である(c)は正面図、(d)は側面図である。
【図3】 本発明の空気抜き具の図面である(c)は正面図、(d)は側面図である。
【図4】 本発明の使用の状態を示す断面模式図である。
【図5】 本発明の取り付けバリエーションを示す側面図である。
【図6】 本発明の取り付けの状態の図面で(n)は正面図、(o)は側面図である。
【図7】 本発明の取り付けの状態を示す斜視図である。
【図8】 本発明の断面模式図である。
【図9】 本発明の取り付けのバリエーションを示す側面図である。
【図10】 本発明の多層吸盤の断面図である。
【発明を実施するための形態1】
【0010】
本発明を図と共に説明すると請求項1では、リング状の吸盤(1)であって、リングの断面形状は矩形であり、材質は樹脂系エストラマーからなりリングの外形は5mm程度から50mm程度であって、内径の大きさは外形の80%程度から30%程度で、厚さは2mm程度から8mm程度の範囲とする。図1では本発明の本体の平面図(a)と斜視図(b)で表現した。
【発明を実施するための形態2】
【0011】
請求項2ではリング状の吸盤であるので押し付けた時に内部空気が自然には抜けずらい為、特に取り付け物が剛性物(たわまないもの)では空気バネの様になって吸着が出来ない。然るに空気を抜く道具として、L型に曲がる針金で片方の部分には波型に折れ曲がる部分を作り長さは60mm程度とし、他端は折り返し掴み部分は25mm程度とし取手とし針金の太さは0.5Φ〜1.0Φ程度のもので空気を抜く。使い方としてはリングの内側から外までになるように設置し、押し圧を掛けた状態で引き抜く、このとき取手の部分を持って回転や上下・左右に動かしながら抜くと上手く空気が抜ける。
【発明を実施するための形態3】
【0012】
請求項3では、少なくとも3本以上の細線に撚りを掛け1本にした撚り線(21)の片方の端部に取手部(20)を設け、撚り線の太さは0.5Φ〜1.0Φ程度で長さは100mm程度である。空気を抜く時に3本以上で合わせると中に確実に空間が出来るのでそれをパイプ代わりに使う思想である。前項、前段落では動かしながら抜くのに比べると、押し付けた時点で空気の抜けが始まるところに特徴がある。図3に構成を表現した。
【発明を実施するための形態4】
【0013】
請求項4では請求項1に記載の両面吸盤の使用で、吸盤の接触面に線をリングの内側から外までになるように設置し、吸盤に押し圧を掛けた状態で引き抜く事でリング内の空気を抜く、両面吸盤の空気抜きの方法である。ここで線とは前段落の説明の針金方式が取付取り外しをくり返す回数が多い場合には最適である、針金も線の一形態としている。ただし余りくり返さない場合は糸やワイヤーでも同じとなる。特殊事例として、引き抜きのスペースが無いような場合には糸を配置して引き抜く方が便利な場合もある。引き抜きのスペースが無い場合とは箱体の底の部分一面に板を取り付けたいような場合は箱体の側壁が邪魔をするような場合であって、全体としての説明とすれば凹み部分に取付の場合である。実際に使う時は両方あるので両方方を取手部で合わせると都合が良いので、請求項7に記載した(図示は省略)。物が小さいので紛失も防ぐ事が出来る。針金や撚り線に色をつけて紛失を防ぐ事も有用である。蛍光色であれば尚よい。
【発明を実施するための形態5】
【0014】
請求項5では、請求項1に記載の両面吸盤と柔軟性のあるあて板(4)からなり、該あて板を折り返して袋状にする。あて板が薄く柔軟性があるものの場合には直接中心部押すと吸盤は楕円状の変形しその先の部分から更に飛び出して空気が抜ける。基本原理は図6に記載のようになる。空気の出方は図9(r)の様に楕円になって更に空気の出る所が飛び出すようになって張り付く。この場合はリングの幅を比較的大きくするのが良い、概ね外径の1/4程度以上が推奨される。幅が小さいと大気圧により楕円が更に扁平になって復元力を上回る為である。その条件であて板に余裕を持たせておいて折り返して袋状にして使う方式である。フィルムを吸盤外で加工して取り付け部を作り利用を幅広くするものである。事例として図9のようなものがある。窓にフィルムの様なものを取り付ける場合は原理としては図8の様になるが吸盤としては図1の製品で使う。取付板の部類上でここに記載した。
【発明を実施するための形態6】
【0015】
請求項6では外形が同じ物で、吸盤を多層に設けて厚みの調整をするのに使う利点とリングの内径を変えて押し出す空気量を大きくする利点がある。図8に示すように接触部分では接触面積が大きい方が空気漏れの量は少なくなり、内部では空間容量が大きい方が有用となる。当然空間を中膨れ形状を作る事も出来るが効率としては多層で処理する事がこの場合には都合が良い、厚さに対応した製品を作ると作る種類が増えるので、部品点数を少なくする効果がある。
【符号の説明】
【0015】
1両面吸盤
1a両面吸盤の変形状態
2針金
3あて板
4柔軟性のあるあて板
5接着部
20取手部
21波型部
22撚り線
23空間
100被吸着面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング状の両面吸盤(1)であって、リングの断面形状は矩形であり、材質は樹脂系エストラマーとし、リングの外径は5mm程度から50mm程度であって、内径の大きさは外径の80%程度から30%程度で、厚さは2mm程度から8mm程度であることを、特徴とする両面吸盤。
【請求項2】
L型に曲がる針金で、片方の部分には波型に折れ曲がる部分を設け、長さは60mm程度とし、他端は25mm程度であって、針金の太さは0.5Φ〜1.0Φ程度であることを、特徴とする空気抜き具。
【請求項3】
少なくとも3本以上の細線に撚りを掛け1本にした撚り線の片方の端部に取手部(20)を設け、撚り線の太さは0.5Φ〜1.0Φ程度で長さは100mm程度であることを、特徴とする空気抜き具。
【請求項4】
請求項1に記載の両面吸盤の使用で、吸盤の接触面に線をリングの内側から外までになるように配置し、吸盤に押し圧を掛けた状態で引き抜く事でリング内の空気を抜く事を、特徴とする両面吸盤の空気抜きの方法。
【請求項5】
請求項1に記載の両面吸盤と柔軟性のあるあて板(4)からなり、該あて板を折り返して袋状とする、以上のように構成される吸盤付袋。
【請求項6】
リング状の両面吸盤を複数層に設けることを、特徴とする請求項1に記載の両面吸盤。
【請求項7】
請求項2と請求項3を取手部で合わせた事を特徴とする空気抜き具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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