説明

中栓センタリングユニットとこれを用いた中栓打栓装置

【課題】簡便な構成で容器本体の開口部に対して容器用中栓を正確かつ確実に調心して、しかも、容器本体の開口部へ向けた容器用中栓の送り出しを円滑に達成する中栓センタリングユニットとこれを用いた中栓打栓装置を提供すること。
【解決手段】押し込みロッド110と中栓センタリングユニット120と中栓供給手段130と容器固定手段140とからなり、中栓センタリングユニット120が、容器用中栓Tを内周壁でガイドする中栓ガイド121と、中栓ガイド121の下端に配置された環状の弾性コイルからなる中栓調心用スプリング122と、中栓調心用スプリング122の外周に配置されたスプリング調心用環状体123とを備えた中栓打栓装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料用容器、医薬品用容器、食品用容器等の容器本体に容器用中栓を打栓する際に用いられる中栓センタリングユニットとこの中栓センタリングユニットを用いた中栓打栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装置本体にピンを介して揺動自在に支持された状態で同心円状かつ等間隔に配設されて栓を打栓ヘッドの直下位置に案内する複数の栓案内部材と、該栓案内部材に形成された案内面を相互に近接させるように複数の栓案内部材をそれぞれ付勢する複数の引張りばねとを備えた打栓機におけるセンタリング装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実公昭58−40077号公報(第3欄、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述したような従来のセンタリング装置は、複数の栓案内部材および複数の引張りばね等の多数の部材が装置本体に設置されて複雑な構成になっており、取り扱う容器および栓の大きさや形状に応じて装置設定を調整する際には過分な設定調整作業を要するため、多種多様な大きさや形状の容器および栓を取り扱う必要のある作業現場での使用が困難であるという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、従来の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、簡便な構成で容器本体の開口部に対して容器用中栓を正確かつ確実に調心して、しかも、容器本体の開口部へ向けた容器用中栓の送り出しを円滑に達成する中栓センタリングユニットとこれを用いた中栓打栓装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る本発明は、内容物を内在させる容器本体の開口部に向けてフランジ付きの容器用中栓を上方から押し込んで打栓する際に前記容器本体の開口部に対して容器用中栓をガイドして調心する中栓センタリングユニットにおいて、前記容器用中栓を内周壁でガイドする中栓ガイドと、該中栓ガイドの下端で弾性コイルの両端を相互に接合するなどの方法により形成され、前記容器用中栓のフランジを受け止めて調心する環状の中栓調心用スプリングと、該中栓調心用スプリングの外周で中栓調心用スプリングの拡径に伴って弾性変形するとともに中栓調心用スプリングの縮径に伴って調心復帰させるスプリング調心用環状体とを備えていることにより、前述した課題を解決したものである。
【0006】
請求項2に係る本発明は、内容物を内在させる容器本体の開口部に向けてフランジ付きの容器用中栓を上方から押し込んで打栓する押し込みロッドと、前記容器用中栓の打栓時に容器用中栓を容器本体の開口部に対してガイドして調心する中栓センタリングユニットと、該中栓センタリングユニットに対して容器用中栓を供給する中栓供給手段と、前記容器本体を位置決めして固定する容器固定手段とからなる中栓打栓装置において、前記中栓センタリングユニットが、前記容器用中栓を内周壁でガイドする中栓ガイドと、該中栓ガイドの下端で弾性コイルの両端を相互に接合するなどの方法により形成され、前記容器用中栓のフランジを受け止めて調心する環状の中栓調心用スプリングと、該中栓調心用スプリングの外周で中栓調心用スプリングの拡径に伴って弾性変形するとともに中栓調心用スプリングの縮径に伴って調心復帰させるスプリング調心用環状体とを備えていることにより、前述した課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る本発明によれば、内容物を内在させる容器本体の開口部に向けてフランジ付きの容器用中栓を上方から押し込んで打栓する際に容器本体の開口部に対して容器用中栓をガイドして調心する中栓センタリングユニットにおいて、容器用中栓を内周壁でガイドする中栓ガイドと、中栓ガイドの下端で容器用中栓のフランジを受け止めて調心する環状に形成された弾性コイルからなる中栓調心用スプリングとを備えていることにより、中栓ガイド内に供給された容器用中栓のフランジが容器用中栓のフランジよりも小径な中栓調心用スプリングによって一時的に受け止められるので、容器用中栓の軸線と容器本体の軸線とが一致するように容器用中栓を位置決め調心でき、また、容器用中栓のフランジが中栓調心用スプリングによって一時的に受け止められた状態から容器用中栓を容器本体の開口部に向けて押し込むことで、中栓調心用スプリングが容器用中栓のフランジの通過に伴って水平面内で拡径するので、容器用中栓を容器本体の開口部に向けて送り出すことができ、そして、前述したような簡便な構成で容器用中栓の調心および容器本体への送り出しを達成できるので、取り扱う容器本体および容器用中栓の大きさや形状に応じて中栓センタリングユニットの設定調整または交換を容易に達成でき、多種多様な大きさや形状の容器本体および容器用中栓を取り扱う必要のある作業現場においても過分な作業負担を要することなく使用することができる。
【0008】
そして、中栓調心用スプリングが弾性コイルの両端を相互に接合するなどの方法を用いて環状に形成されていることにより、容器用中栓のフランジを中栓調心用スプリングによって一時的に受け止めた状態から容器用中栓を容器本体に向けて押し込む際に中栓調心用スプリングの外周面が垂直方向へのガイド機能を発揮するとともに、容器用中栓との接触面積および摺接抵抗が低減されるので、容器用中栓を容器本体の開口部に向けて円滑に送り出すことができ、また、容器用中栓が中栓ガイド内で偏在または傾倒した状態で中栓調心用スプリングに供給された際にも、中栓調心用スプリングの外周面が前述した垂直方向へのガイド機能を発揮すると同時に中栓調心用スプリングの中心に向けた水平方向へのガイド機能を発揮して、中栓調心用スプリングの外周面が中栓調心用スプリングの中心にガイドされた容器用中栓に対して環状に接触するので、押し込み時に容器用中栓との接触圧を中栓調心用スプリング全体に均一に分散できるとともに、中栓調心用スプリングの代替としてゴム製のOリング等を用いた場合に生じがちな部分的な弾性変形や垂直方向の弾性変形を回避して、容器用中栓の位置ズレまたは傾倒の発生や部分的な接触箇所のみに接触圧が集中することで進行しがちな摩耗損傷を防止できる。
【0009】
さらに、ゴム製のOリング等を用いることなく弾性コイルを中栓調心用スプリングとして採用したことにより、弾性を発揮しつつも耐久性や耐摩耗性に優れた金属等の硬質材をその材料として用いることができるので、容器用中栓等との繰り返しの摺動接触に起因して生じる摩耗損傷を低減して、中栓調心用スプリングによる容器用中栓の調心機能を長期に亘って安定して発揮することができるとともに、容器用中栓と中栓調心用スプリングの摺動接触に起因する摩耗粉が発生しにくく、このような摩耗粉が容器本体の内部に入り込むことを防止できる。
【0010】
また、スプリング調心用環状体が中栓調心用スプリングの外周に配置されていることにより、スプリング調心用環状体が中栓調心用スプリングの拡径に伴って弾性変形し拡がるとともに中栓調心用スプリングの縮径に伴って弾性変形し元の径に戻って中栓調心用スプリングを調心復帰させる、すなわち、中栓調心用スプリングを所定位置に復帰させるので、中栓調心用スプリングの位置ズレを防止して中栓調心用スプリングによる容器用中栓の調心機能を正確かつ確実に発揮させることができる。
【0011】
請求項2に係る本発明によれば、内容物を内在させる容器本体の開口部に向けてフランジ付きの容器用中栓を上方から押し込んで打栓する押し込みロッドと、容器用中栓の打栓時に容器用中栓を容器本体の開口部に対してガイドして調心する中栓センタリングユニットと、中栓センタリングユニットに対して容器用中栓を供給する中栓供給手段と、容器本体を位置決めして固定する容器固定手段とからなる中栓打栓装置において、中栓センタリングユニットが、容器用中栓を内周壁でガイドする中栓ガイドと、中栓ガイドの下端で容器用中栓のフランジを受け止めて調心する環状に形成された弾性コイルからなる中栓調心用スプリングとを備えていることにより、中栓供給手段によって中栓ガイド内に供給された容器用中栓のフランジが容器用中栓のフランジよりも小径な中栓調心用スプリングによって一時的に受け止められるので、容器用中栓の軸線と容器本体の軸線とが一致するように容器用中栓を位置決め調心でき、また、容器用中栓のフランジが中栓調心用スプリングによって一時的に受け止められた状態から押し込みロッドによって容器用中栓を容器本体の開口部に向けて押し込むことで、中栓調心用スプリングが容器用中栓のフランジの通過に伴って水平面内で拡径するので、容器用中栓を容器本体の開口部に向けて送り出すことができ、そして、前述したように中栓センタリングユニットが簡便な構成であるので、取り扱う容器本体および容器用中栓の大きさや形状に応じて中栓センタリングユニットの設定調整または交換を容易に達成でき、多種多様な大きさや形状の容器本体および容器用中栓を取り扱う必要のある作業現場においても過分な作業負担を要することなく使用することができる。
【0012】
そして、中栓調心用スプリングが弾性コイルの両端を相互に接合するなどの方法を用いて環状に形成されていることにより、容器用中栓のフランジを中栓調心用スプリングによって一時的に受け止めた状態から容器用中栓を容器本体に向けて押し込む際に中栓調心用スプリングの外周面が垂直方向へのガイド機能を発揮するとともに、容器用中栓との接触面積および摺接抵抗が低減されるので、容器用中栓を容器本体の開口部に向けて円滑に送り出すことができ、また、容器用中栓が中栓ガイド内で偏在または傾倒した状態で中栓調心用スプリングに供給された際にも、中栓調心用スプリングの外周面が前述した垂直方向へのガイド機能を発揮すると同時に中栓調心用スプリングの中心に向けた水平方向へのガイド機能を発揮して、中栓調心用スプリングの外周面が中栓調心用スプリングの中心にガイドされた容器用中栓に対して環状に接触するので、押し込み時に容器用中栓との接触圧を中栓調心用スプリング全体に均一に分散できるとともに、中栓調心用スプリングの代替としてゴム製のOリング等を用いた場合に生じがちな部分的な弾性変形を回避して、容器用中栓の位置ズレまたは傾倒の発生や部分的な接触箇所のみに接触圧が集中することで進行しがちな摩耗損傷を防止できる。
【0013】
さらに、ゴム製のOリング等を用いることなく弾性コイルを中栓調心用スプリングとして採用したことにより、弾性を発揮しつつも耐久性や耐摩耗性に優れた金属等の硬質材をその材料として用いることができるので、容器用中栓等との繰り返しの摺動接触に起因して生じる摩耗損傷を低減して、中栓調心用スプリングによる容器用中栓の調心機能を長期に亘って安定して発揮することができるとともに、容器用中栓と中栓調心用スプリングの摺動接触に起因する摩耗粉が発生しにくく、このような摩耗粉が容器本体の内部に入り込むことを防止できる。
【0014】
また、スプリング調心用環状体が中栓調心用スプリングの外周に配置されていることにより、スプリング調心用環状体が中栓調心用スプリングの拡径に伴って弾性変形し径が拡がるとともに中栓調心用スプリングの縮径に伴って弾性変形し元の径に戻って中栓調心用スプリングを調心復帰させる、すなわち、中栓調心用スプリングを所定位置に復帰させるので、中栓調心用スプリングの位置ズレを防止して中栓調心用スプリングによる容器用中栓の調心機能を正確かつ確実に発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、内容物を内在させる容器本体の開口部に向けてフランジ付きの容器用中栓を上方から押し込んで打栓する押し込みロッドと、容器用中栓の打栓時に容器用中栓を容器本体の開口部に対してガイドして調心する中栓センタリングユニットと、中栓センタリングユニットに対して容器用中栓を供給する中栓供給手段と、容器本体を位置決めして固定する容器固定手段とからなる中栓打栓装置において、中栓センタリングユニットが、容器用中栓を内周壁でガイドする中栓ガイドと、中栓ガイドの下端で弾性コイルの両端を相互に接合するなどの方法により形成され、容器用中栓のフランジを受け止めて調心する環状の中栓調心用スプリングと、中栓調心用スプリングの外周で中栓調心用スプリングの拡径に伴って弾性変形するとともに中栓調心用スプリングの縮径に伴って調心復帰させるスプリング調心用環状体とを備えて、簡便な構成で容器本体の開口部に対して容器用中栓を正確かつ確実に位置決め調心して、しかも、容器本体の開口部へ向けた容器用中栓の送り出しを円滑に達成するものであれば、その具体的な実施の形態は如何なるものであっても何ら構わない。
【0016】
例えば、本発明の中栓打栓装置を構成する中栓センタリングユニットの中栓調心用スプリングの具体的材料については、容器用中栓の通過に伴って円滑に拡径するとともに容器本体の開口部に向けた容器用中栓の送り出し時にその外周面がガイド機能を発揮するものであれば如何なるものであっても良く、特に、テフロン(登録商標)、MCナイロン(登録商標)、ジュラコン(登録商標)等のエンジニアリングプラスチックを採用した場合には、優れた自己潤滑性能を発揮して容器用中栓の打栓時における容器用中栓のガイド機能を向上でき、また、金属を採用した場合には、優れた耐久性および耐摩耗性を発揮するので、容器用中栓等との繰り返しの摺動接触に起因して生じる摩耗損傷を低減して、中栓調心用スプリングによる容器用中栓の調心機能を長期に亘って安定して発揮することができるとともに、容器用中栓と中栓調心用スプリングとの摺動接触に起因する摩耗粉が発生しにくく、このような摩耗粉が容器本体の内部に入り込むことを防止できる。金属としては、腐食しにくく耐久性が更に高いことから、ステンレスが特に好ましい。
【0017】
また、中栓センタリングユニットのスプリング調心用環状体の具体的材料については、内周に配置された中栓調心用スプリングの拡径に伴って拡径するとともに中栓調心用スプリングの縮径に伴って縮径して中栓調心用スプリングを調心復帰、すなわち、中栓調心用スプリングを所定位置に復帰させるものであれば、天然ゴム、合成ゴム、合成樹脂等の如何なる素材を用いたものであっても良く、これら素材の単独または組み合わせにより構成される材料や、これら素材がスポンジ状の発泡構造や繊維集合体構造など、材料内部に連続または不連続の空間が形成された構造を有する材料であってもよい。素材として合成樹脂を採用した場合には、優れた弾性を発揮して、長期に亘って中栓調心用スプリングを調心復帰させることができ、また、優れた耐摩耗性を発揮して、中栓調心用スプリングとの摺動接触に起因した摩耗損傷を防止するとともに中栓調心用スプリングとの摺動接触に起因する摩耗粉が発生しにくく、このような摩耗粉が容器本体の内部に入り込むことを防止できる。
【0018】
また、容器本体の具体的材料については、ガラス、プラスチック、金属、陶器等のいずれであっても良い。
また、容器用中栓の具体的材料については、中栓形状の成形加工が容易なものであればいずれの材料でも良く、特に、ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチックが好ましい。
【0019】
また、本発明の容器に用いられる容器本体の具体的形状については、開口部が円筒状のものであれば、内容物を内在させる本体部の形状は、円形断面、多角形断面を有する筒状のもの、球形状のもの等のいずれであっても良い。
【0020】
そして、本発明の中栓打栓装置は、容器本体の上方に中栓センタリングユニットを配置して容器本体の開口部に対して容器用中栓を垂直方向に向けて押し込むものとして説明したが、例えば、容器本体の側方に中栓センタリングユニットを配置して容器本体の開口部に対して容器用中栓を水平方向に向けて押し込むものであっても容器用中栓の打栓動作に何ら支障はない。
【実施例】
【0021】
以下、本発明の一実施例である容器100を図面に基づいて説明する。
なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
ここで、図1は、本発明の一実施例である中栓打栓装置の全体概略図であり、図2は、中栓センタリングユニットの一部を切り欠いた斜視図であり、図3は、中栓センタリングユニットの断面図であり、図4は、中栓センタリングユニットを分解組み付けした斜視図であり、図5は、容器用中栓が中栓ガイド内に供給された状態を示す説明図であり、図6は、容器用中栓が中栓調心用スプリングにより受け止められた状態を示す説明図であり、図7は、容器用中栓が中栓調心用スプリングを通過する状態を示す説明図であり、図8は、容器用中栓が中栓調心用スプリングを通過した後の状態を示す説明図であり、図9は、容器用中栓の変形例を示す斜視図である。
【0022】
まず、本実施例である中栓打栓装置100は、図1乃至図4に示すように、内容物を内在させる容器本体Cの開口部Oに向けてフランジF付きの容器用中栓Tを上方から押し込んで打栓する押し込みロッド110と、容器用中栓Tの打栓時に容器用中栓Tを容器本体Cの開口部Oに対してガイドして調心する中栓センタリングユニット120と、中栓センタリングユニット120に対して容器用中栓Tを供給する中栓供給手段130と、容器本体Cを位置決めして固定する容器固定手段140とを備えている。
なお、前述した容器は、化粧料を内容物として内在させる化粧料用容器として用いられるものである。
また、前述した容器用中栓Tは、図2乃至図4に示すように、容器本体Cの開口部O内に密着挿入される胴体部Bと、胴体部Bの上端に一体成形されるフランジFとから構成されており、このフランジFを有するものであれば如何なる形状を呈していても良く、例えば、図9に示すような形状を呈していても良い。
【0023】
そこで、本実施例の中栓打栓装置100が最も特徴とする中栓センタリングユニット120の具体的な形態について図2乃至図4により詳しく説明する。
まず、図2乃至図4に示すように、中栓センタリングユニット120は、容器用中栓Tを内周壁でガイドする円筒状の中栓ガイド121と、中栓ガイド121の下端に配置されて弾性コイルの両端を相互に接合して容器用中栓TのフランジFを受け止めて調心する環状の中栓調心用スプリング122と、中栓調心用スプリング122の外周に配置されて中栓調心用スプリング122の拡径に伴って弾性変形し径が拡がるとともに中栓調心用スプリング122の縮径に伴って元の径に復帰し中栓調心用スプリング122を調心復帰させるスプリング調心用環状体123と、中栓調心用スプリング122とスプリング調心用環状体123とを下方から支持して中栓ガイド121に嵌着される環状のリテーナ124とを備えている。
【0024】
そして、中栓ガイド121は、図2乃至図4に示すように、その内周壁で容器用中栓Tを容器本体Cの開口部Oに向けてガイドするガイド孔121aを有しており、このガイド孔121aの内径は、容器用中栓TのフランジFの外径よりも僅かに大きく設定されている。
また、中栓調心用スプリング122は、図2乃至図4に示すように、ステンレスからなる弾性コイルの両端を相互に接合させることで環状に形成されており、この中栓調心用スプリング122の環の内径は、容器用中栓TのフランジFの外径よりも小さく設定されているとともに、容器用中栓Tの胴体部Bの外径よりも大きく設定されている。
また、スプリング調心用環状体123は、図2乃至図4に示すように、合成樹脂から成形されており、このスプリング調心用環状体123の内径は、中栓調心用スプリング122の環の外径に概ね一致するように設定されている。
【0025】
つぎに、本発明の中栓打栓装置100を用いて容器本体Cの開口部Oに容器用中栓Tを押し込む打栓動作について、図5乃至図8に基づいて説明する。
まず、図5に示すように、中栓供給手段130を用いて中栓ガイド121内に容器用中栓Tを供給する。
次に、図6に示すように、中栓ガイド121内に供給された容器用中栓Tは、下方に向けて落下した後、中栓ガイド121の下端に配置された中栓調心用スプリング122によりフランジFを介して一時的に受け止められる。
なお、このように容器用中栓Tが中栓調心用スプリング122によって受け止められた際に、容器用中栓Tの胴体部Bは、中栓調心用スプリング122の内側に入り込むようになっている。
次に、図7に示すように、押し込みロッド110を介して容器用中栓Tを下方、すなわち、容器本体Cの開口部Oに向けて押し込む。
なお、このように中栓調心用スプリング122によって受け止められた容器用中栓Tを下方に向けて押し込む際に、中栓調心用スプリング122が、容器用中栓TのフランジFの通過に伴って水平面内で拡径するようになっており、また、スプリング調心用環状体123は、中栓調心用スプリング122の拡径に伴って弾性変形し径が拡がるようになっている。
次に、図8に示すように、押し込みロッド110によって更に容器用中栓Tを下方に向けて押し込むことで容器用中栓Tの胴体部Bを容器本体Cの開口部Oに押し込んで打栓する。
なお、容器用中栓Tが中栓調心用スプリング122を通過した後に、中栓調心用スプリング122は、縮径するようになっており、また、スプリング調心用環状体123は、中栓調心用スプリング122の縮径に伴って弾性変形し元の径に戻るようになっており、このスプリング調心用環状体123の弾性変形の結果として、中栓調心用スプリング122は調心復帰、すなわち、所定位置に復帰するようになっている。
【0026】
このようにして得られた本実施例の中栓打栓装置100は、中栓センタリングユニット120が、容器用中栓Tを内周壁でガイドする中栓ガイド121と、中栓ガイド121の下端で弾性コイルの両端を相互に接合して容器用中栓TのフランジFを受け止めて調心する中栓調心用スプリング122とを備えている。
したがって、中栓供給手段130によって中栓ガイド121内に供給された容器用中栓TのフランジFが容器用中栓TのフランジFよりも小径な中栓調心用スプリング122によって一時的に受け止められるので、容器用中栓Tの軸線と容器本体Cの軸線とが一致するように容器用中栓Tを位置決め調心でき、また、容器用中栓TのフランジFが中栓調心用スプリング122によって一時的に受け止められた状態から押し込みロッド110によって容器用中栓Tを容器本体Cの開口部Oに向けて押し込むことで、中栓調心用スプリング122が容器用中栓TのフランジFの通過に伴って水平面内で拡径するので、容器用中栓Tを容器本体Cの開口部Oに向けて送り出すことができ、そして、前述したように中栓センタリングユニット120が簡便な構成であるので、取り扱う容器本体Cおよび容器用中栓Tの大きさや形状に応じて中栓センタリングユニット120の設定調整または交換を容易に達成でき、多種多様な大きさや形状の容器本体Cおよび容器用中栓Tを取り扱う必要のある作業現場においても過分な作業負担を要することなく使用することができる。
【0027】
そして、中栓調心用スプリング122が、弾性コイルの両端を相互に接合することで形成されている。
したがって、容器用中栓TのフランジFを中栓調心用スプリング122によって一時的に受け止めた状態から容器用中栓Tを容器本体Cに向けて押し込む際に中栓調心用スプリング122の外周面が垂直方向へのガイド機能を発揮するとともに、容器用中栓Tとの接触面積および摺接抵抗が低減されるので、容器用中栓Tを容器本体Cの開口部Oに向けて円滑に送り出すことができ、また、容器用中栓Tが中栓ガイド121内で偏在または傾倒した状態で中栓調心用スプリング122に供給された際にも、中栓調心用スプリング122の外周面が前述した垂直方向へのガイド機能を発揮すると同時に中栓調心用スプリング122の中心に向けた水平方向へのガイド機能を発揮して、中栓調心用スプリング122の外周面が中栓調心用スプリング122の中心にガイドされた容器用中栓Tに対して環状に接触するので、押し込み時に容器用中栓Tとの接触圧を中栓調心用スプリング122全体に均一に分散できるとともに、中栓調心用スプリング122の代替としてゴム製のOリング等を用いた場合に生じがちな部分的な弾性変形や垂直方向の弾性変形を回避して、容器用中栓Tの位置ズレまたは傾倒の発生や部分的な接触箇所のみに接触圧が集中することで進行しがちな摩耗損傷を防止できる。
さらに、ゴム製のOリング等を用いることなく弾性コイルを中栓調心用スプリング122として採用したことにより、弾性を発揮しつつも耐久性や耐摩耗性に優れた金属等の硬質材をその材料として用いることができるので、容器用中栓T等との繰り返しの摺動接触に起因して生じる摩耗損傷を低減して、中栓調心用スプリング122による容器用中栓Tの調心機能を長期に亘って安定して発揮することができるとともに、容器用中栓Tと中栓調心用スプリング122との摺動接触に起因する摩耗粉が発生しにくく、このような摩耗粉が容器本体Cの内部に入り込むことを防止できる。
【0028】
また、環状のスプリング調心用環状体123が、中栓調心用スプリング122の外周に配置されている。
したがって、スプリング調心用環状体123が中栓調心用スプリング122の拡径に伴って弾性変形し径が拡がるとともに中栓調心用スプリング122の縮径に伴って弾性変形し元の径に戻って中栓調心用スプリング122を調心復帰させる、すなわち、中栓調心用スプリング122を所定位置に復帰させるので、中栓調心用スプリング122の位置ズレを防止して中栓調心用スプリング122による容器用中栓Tの調心機能を正確かつ確実に発揮させることができる等、その効果は甚大である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施例である中栓打栓装置の全体概略図。
【図2】中栓センタリングユニットの一部を切り欠いた斜視図。
【図3】中栓センタリングユニットの断面図。
【図4】中栓センタリングユニットを分解組み付けした斜視図。
【図5】容器用中栓が中栓ガイド内に供給された状態を示す動作説明図。
【図6】容器用中栓が中栓調心用スプリングに受け止められた状態を示す動作説明図。
【図7】容器用中栓が中栓調心用スプリングを通過する状態を示す動作説明図。
【図8】容器用中栓が中栓調心用スプリングを通過した後の状態を示す動作説明図。
【図9】容器用中栓の変形例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0030】
100 ・・・ 中栓打栓装置
110 ・・・ 押し込みロッド
120 ・・・ 中栓センタリングユニット
121 ・・・ 中栓ガイド
121a ・・・ ガイド孔
122 ・・・ 中栓調心用スプリング
123 ・・・ スプリング調心用環状体
124 ・・・ リテーナ
130 ・・・ 中栓供給手段
140 ・・・ 容器固定手段
C ・・・ 容器本体
O ・・・ 容器本体の開口部
T ・・・ 容器用中栓
F ・・・ 容器用中栓のフランジ
B ・・・ 容器用中栓の胴体部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を内在させる容器本体の開口部に向けてフランジ付きの容器用中栓を上方から押し込んで打栓する際に前記容器本体の開口部に対して容器用中栓をガイドして調心する中栓センタリングユニットにおいて、
前記容器用中栓を内周壁でガイドする中栓ガイドと、該中栓ガイドの下端で前記容器用中栓のフランジを受け止めて調心する環状の弾性コイルからなる中栓調心用スプリングと、該中栓調心用スプリングの外周で中栓調心用スプリングの拡径に伴って弾性変形するとともに中栓調心用スプリングの縮径に伴って調心復帰させるスプリング調心用環状体とを備えていることを特徴とする中栓センタリングユニット。
【請求項2】
内容物を内在させる容器本体の開口部に向けてフランジ付きの容器用中栓を上方から押し込んで打栓する押し込みロッドと、前記容器用中栓の打栓時に容器用中栓を容器本体の開口部に対してガイドして調心する中栓センタリングユニットと、該中栓センタリングユニットに対して容器用中栓を供給する中栓供給手段と、前記容器本体を位置決めして固定する容器固定手段とからなる中栓打栓装置において、
前記中栓センタリングユニットが、前記容器用中栓を内周壁でガイドする中栓ガイドと、該中栓ガイドの下端で前記容器用中栓のフランジを受け止めて調心する環状の弾性コイルからなる中栓調心用スプリングと、該中栓調心用スプリングの外周で中栓調心用スプリングの拡径に伴って弾性変形するとともに中栓調心用スプリングの縮径に伴って調心復帰させるスプリング調心用環状体とを備えていることを特徴とする中栓打栓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−190779(P2009−190779A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−35572(P2008−35572)
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】